JP2005336259A - 感圧性接着剤担持フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】配線回路基板用積層体ユニットの製造方法にて保護フィルムとして好適に使用可能な感圧性接着剤担持フィルムを提供する。
【解決手段】感圧性接着剤担持フィルム17は、
(i)導体回路形成用金属層への貼着後の初期剥離力が0.05〜30N/25mmであり、
(ii)活性エネルギー線照射後に剥離力を0.05N/25mm未満に低下させることができ、
(iii)剛体振り子自由振動法による感圧性接着剤担持フィルムの感圧性接着剤層側の対数減衰率が、前記感圧性接着剤担持フィルムの支持体層単独の対数減衰率の200%以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、感圧性接着剤担持フィルムに関する。本発明の感圧性接着剤担持フィルムは、特に、金属バンプ群を層間接続手段として含む配線回路基板用の積層体ユニットの製造方法において、保護フィルムとして用いられる。
半導体素子や液晶表示素子などの電子部品素子には、多層配線基板の使用が提案されており、各層に形成される回路間の層間接続手段として、金属バンプ群の採用が提案されている。
こうした金属バンプを採用する試みは、導電性ペーストを層間接続手段とする配線回路基板の改良法として提案され、銅箔をエッチングしてバンプ群を形成する方法が種々提案されている(特許文献1〜特許文献3)。金属バンプ群を層間接続手段とする配線回路基板は、現在のところ、工業的には実用化されていないが、いままでに提案されている代表的なバンプ形成方法(特許文献1)を図4及び図5に沿って以下に説明する。図4(A)〜(F)及び図5(G)〜(J)は、従来の配線回路基板の製造方法を工程順に示す断面図である。
(1)工程(A):
図4(A)に示すように、3層構造のベース基材91を用意する。前記ベース基材91は、バンプ形成用金属層(例えば、銅層)71の一方の表面に、例えばニッケルからなるエッチングバリア層72を、例えばメッキにより形成し、前記エッチングバリア層72の表面に導体回路形成用金属層(例えば、銅層)73を形成してなる。
(2)工程(B)〜(C):
次に、図4(B)に示すように、前記バンプ形成用金属層71の表面にレジスト膜76を選択的に形成する。このレジスト膜76はバンプを形成すべき部分のみを覆うように形成する。続いて、図4(C)に示すように、前記レジスト膜76をマスク材として前記バンプ形成用金属層71をエッチングすることにより、多数のバンプ前駆体81を形成する。使用するエッチング液は、例えば、ニッケルからなる前記エッチングバリア層72を侵食することはできないが、バンプ形成用金属層71を侵食可能なエッチング液である。
(3)工程(D)〜(E):
次に、図4(D)に示すように、前記エッチングにおいてエッチングマスク材として用いたレジスト膜76を除去する。図4(D)はエッチングマスク除去後の状態を示す。続いて、図4(E)に示すように、前記バンプ前駆体81をマスク材として利用しながら、前記エッチングバリア層72のエッチングを実施する。このエッチングにおいては、バンプ前駆体81の構成金属を侵食しないが、エッチングバリア層72の構成金属の侵食が可能なエッチング液を使用する。こうして、3層構造のベース基材91の内、バンプ形成用金属層(例えば、銅層)71の選択的エッチングに由来する部分81と、エッチングバリア層72の選択的エッチングに由来する部分82とからなるバンプ88が、導体回路形成用金属層(例えば、銅層)73の上に形成された構造を有するバンプ群担持体92が得られる。
(4)工程(F):
続いて、図4(F)に示すように、前記バンプ群担持体92における前記バンプ88のそれぞれの間隙に、層間絶縁樹脂層87を挿入する。例えば、絶縁性接着剤シートを、前記バンプ群担持体92における前記バンプ88が形成された側の面に熱ローラで圧着することにより、前記接着剤シートからなる層間絶縁樹脂層87を形成することができる。この際には、前記の層間絶縁樹脂層87の形成後に、バンプ88の頂上部を層間絶縁樹脂層87から突出させて、露出させることが必要である。バンプ88の上部が露出していないと、バンプ88による層間接続を確実に行うことができなくなる。この工程(F)により、導体回路形成用銅層73上に層間絶縁樹脂層87が形成され、更に、前記導体回路形成用銅層73と接続されたバンプ88が前記層間絶縁樹脂層87を貫通してその表面から突出した積層体ユニット93が形成される。
(5)工程(G)〜(H):
次に、図5(G)に示すように、前記積層体ユニット93の、層間絶縁樹脂層87が形成され、バンプ88の頂部が突出する側に、導体回路形成用金属箔(例えば、銅箔)74を臨ませ、図5(H)に示すように、積層プレスにて熱圧着することにより積層する。この工程(G)〜(H)により、層間絶縁樹脂層87の両主面に形成された金属層73,74を前記バンプ88により層間接続し、しかも各バンプ88が相互に絶縁された構造を有する回路形成用基板94が形成される。なお、導体回路形成用金属箔74の厚さは、例えば18μm程度である。
(6)工程(I)〜(J):
次に、図5(I)に示すように、前記金属層73,74の表面にエッチングマスクとなるレジスト膜86を形成し、その後、前記レジスト膜86をマスクとして前記金属層73,74をエッチングすることにより導体回路83,84を形成する。こうして、図5(J)に示すように、両面の導体回路83,84がバンプ88により層間接続された配線回路基板95が形成される。この配線回路基板95の1枚と、前記の積層体ユニット93〔図4(F)参照〕の1枚と積層させて組み合わせると、3層の回路を2層のバンプ群によって接続して含む多層配線回路基板を得ることができる。更に、前記の積層体ユニット93〔図4(F)参照〕を次々に積層させることにより、「n」層の回路を「n−1」層のバンプ群によって接続して含む多層配線回路基板を得ることができる。
特開2001−111189号公報 特開2001−326459号公報 特開2001−144412号公報
本発明者は、図4及び図5に示す従来の配線回路基板の製造方法を、工業的に具体化する技術を開発するために鋭意研究していたところ、不良品が発生する原因の一つとして、特に前記工程(E)〜(F)〔図4(E)〜(F)参照〕における操作が影響することを見出し、少なくとも前記工程(B)〜(F)〔図4(B)〜(F)参照〕において、或る特定の物性を有する保護フィルムを用いると歩留まりが上昇することを見出した。
本発明は、こうした知見に基づくものである。
従って、本発明は、
支持体上に感圧性接着剤を担持するフィルムであって、
(i)導体回路形成用金属層への貼着後の初期剥離力が0.05〜30N/25mmであり、
(ii)活性エネルギー線照射後に剥離力を0.05N/25mm未満に低下させることができ、
(iii)剛体振り子自由振動法による感圧性接着剤担持フィルムの感圧性接着剤層側の対数減衰率が、前記感圧性接着剤担持フィルムの支持体層単独の対数減衰率の200%以下である
ことを特徴とする、感圧性接着剤担持フィルムに関する。
本発明の特に好ましい態様によれば、支持体層のガラス転移点を超える温度領域において、感圧性接着剤層を担持したフィルムの感圧性接着剤層側の対数減衰率が、支持体層単独の対数減衰率よりも低くなる。
本発明の別の好ましい態様によれば、
(1)(a)金属製のエッチングバリア層と、(b)そのエッチングバリア層の一方の表面上に設けられ、前記エッチングバリア層を構成する金属とは別異の金属からなる第1導体回路形成用金属層と、(c)前記エッチングバリア層のもう一方の表面上に設けられ、前記エッチングバリア層を構成する金属とは別異の金属からなるバンプ形成用金属層とを含むベース基材に対して、前記第1導体回路形成用金属層の側の表面に、感圧性接着剤担持保護フィルムを、前記感圧性接着剤を介して貼付する工程、
(2)前記ベース基材において、前記バンプ形成用金属層の選択的エッチングによって金属バンプ群を形成して、バンプ群担持体を得る工程、
(3)前記バンプ群担持体におけるバンプ群の間隙に、各バンプの頂部を露出させた状態で、層間絶縁樹脂層を挿入する工程、及び
(4)前記保護フィルムの感圧性接着剤の粘着力を、活性エネルギー線照射によって低下させてから、前記保護フィルムを前記の導体回路形成用金属層表面から剥離する工程
を含む、配線回路基板用の積層体ユニットの製造方法において、前記感圧性接着剤担持保護フィルムとして用いる。
本発明の感圧性接着剤担持フィルムを、配線回路基板用の積層体ユニットの製造方法において保護フィルムとして用いると、ベース基材の一方の表面上に保護フィルムを貼着して、エッチング工程及び層間絶縁樹脂層挿入工程を実施することができるので、それらの工程の搬送や作業性が向上し、また、前記エッチング工程においては、回路形成用金属層をエッチング液から保護することができ、更に、前記層間絶縁樹脂層挿入工程においては、バンプ群の直立状態を良好に維持しながら、層間絶縁樹脂層をバンプ群の間隙に挿入させることができる。
本発明による感圧性接着剤担持フィルムは、前記の通り、特異の物性を有するので、配線回路基板用積層体ユニットの製造方法において保護フィルムとして用いることによって優れた効果を示すことができる。最初に、本発明の感圧性接着剤担持フィルムを感圧性接着剤担持保護フィルムとして用いて、配線回路基板用の積層体ユニットを製造する方法について説明し、続いて、本発明の感圧性接着剤担持フィルムの構成について説明する。
(I)本発明フィルムを用いる配線回路基板用積層体ユニットの第1の製造方法
第1の製造方法を図1及び図2に沿って以下に順に説明する。
(1)工程(A):
図1(A)に示すように、3層構造のベース基材31を用意する。前記ベース基材31は、バンプ形成用金属層(例えば、銅層)11の一方の表面に、例えばニッケルからなるエッチングバリア層12を、例えばメッキにより形成し、前記エッチングバリア層12の表面に導体回路形成用金属層(例えば、銅層)13を形成してなる。バンプ形成用金属層11の厚さは、例えば3〜100μm程度であり、エッチングバリア層12の厚さは、例えば2μm程度であり、導体回路形成用金属層の厚さは、例えば3〜50μm程度である。本発明フィルムを用いる方法においては、前記のベース基材31の前記の導体回路形成用金属層13の表面に、感圧性接着剤担持保護フィルム17として本発明によるフィルムを貼付する。この保護フィルム17は、支持体18の一方の表面上に感圧性接着剤層19を有しており、その感圧性接着剤層19を介して前記の導体回路形成用金属層13の表面に貼付する。
(2)工程(B)〜(C):
次に、図1(B)に示すように、前記バンプ形成用金属層11の表面にレジスト膜16を選択的に形成する。このレジスト膜16はバンプを形成すべき部分のみを覆うように形成する。続いて、図1(C)に示すように、前記レジスト膜16をマスク材として前記バンプ形成用金属層11をエッチングすることにより、多数のバンプ前駆体21を形成する。このエッチングは、例えば、ウェットエッチングにより実施することができ、使用するエッチング液は、例えば、ニッケルからなる前記エッチングバリア層12を侵食することはできないが、バンプ形成用金属層11を侵食可能なエッチング液である。
(3)工程(D)〜(E):
次に、図1(D)に示すように、前記エッチングにおいてエッチングマスク材として用いたレジスト膜16を除去する。図1(D)はエッチングマスク除去後の状態を示す。続いて、図1(E)に示すように、前記バンプ前駆体21をマスク材として利用しながら、前記エッチングバリア層12のエッチングを実施する。このエッチングにおいては、バンプ前駆体21の構成金属を侵食しないが、エッチングバリア層12の構成金属の侵食が可能なエッチング液を使用する。例えば、バンプ前駆体21が銅層からなり、エッチングバリア層12がニッケルからなる場合は、ニッケル剥離液を用いる。こうして、3層構造のベース基材31の内、バンプ形成用金属層(例えば、銅層)11の選択的エッチングに由来する部分21と、エッチングバリア層12の選択的エッチングに由来する部分22とからなるバンプ28が、導体回路形成用金属層(例えば、銅層)13の上に形成された構造を有するバンプ群担持体32が、保護フィルム17の上に形成される。
(4)工程(F):
続いて、図1(F)に示すように、前記バンプ群担持体32における前記バンプ28のそれぞれの間隙に、層間絶縁樹脂層27を挿入する。例えば、絶縁性接着剤シートを、前記バンプ群担持体32における前記バンプ28が形成された側の面に熱ローラで圧着することにより、前記接着剤シートからなる層間絶縁樹脂層27を形成することができる。この際には、前記の層間絶縁樹脂層27の形成後に、バンプ28の頂上部を層間絶縁樹脂層27から突出させて、露出させることが必要である。従って、前記の接着剤シートとしては、そのバンプ28の高さよりも適宜薄いものを用いる。なお、バンプ28の上部が露出していないと、バンプ28による層間接続を確実に行うことができなくなる。この工程(F)により、導体回路形成用銅層13上に層間絶縁樹脂層27が形成され、更に、前記導体回路形成用銅層13と接続されたバンプ28が前記層間絶縁樹脂層27を貫通してその表面から突出した積層体ユニット33が、保護フィルム17の上に形成される。
(5)工程(G)〜(I):
次に、図2(G)〜(I)に示すように、積層体ユニット33に貼付されている保護フィルム17を積層体ユニット33から剥離する。図1及び図2に示す態様では、感圧性接着剤層19の接着剤として、活性エネルギー(例えば、紫外線又は電子線)硬化型接着剤を使用し、図2(G)の矢印Aに示すように、支持体18の側から活性エネルギー(例えば、紫外線又は電子線)を照射して、感圧性接着剤層19の粘着力を低下させてから、図2(H)に示すように、保護フィルム17を積層体ユニット33から剥離する。この場合、支持体18は、活性エネルギー(例えば、紫外線又は電子線)を透過可能であることが必要である。保護フィルム17を積層体ユニット33から剥離することによって、図2(I)に示すように、積層体ユニット33を得ることができる。この積層体ユニット33を用いて、後述するように回路形成用基板34〔図2(K)〕、又は配線回路基板35〔図2(M)〕を製造し、更には多層配線回路基板を製造することができる。
(6)工程(J)〜(K):
こうして得られた積層体ユニット33を用いて、図2(K)に示すような回路形成用基板34を製造するには、図2(J)に示すように、導体回路形成用金属箔14aと前記積層体ユニット33とを積層プレスにて熱圧着させる。この際に、導体回路形成用金属箔14aは、前記積層体ユニット33おける各バンプ28の突出頂部と接合させる。こうして得られる回路形成用基板34は、第1導体回路形成用金属層13と、第2導体回路形成用金属層14とが各バンプ28を介して電気的に接続し、また、各バンプ28は、層間絶縁樹脂層27によって相互に電気的絶縁状態になる。なお、導体回路形成用金属箔14の厚さは、例えば3〜50μm程度である。
(7)工程(L)〜(M):
前記工程(K)で得られる回路形成用基板34の第1導体回路形成用金属層13と第2導体回路形成用金属層14の各表面に、図2(L)に示すように、エッチングマスクとなるレジスト膜16を形成し、続いて、前記レジスト膜16をマスクとして前記第1導体回路形成用金属層13と第2導体回路形成用金属層14をエッチングすることにより、導体回路23,24を形成することができる。レジスト膜16を除去して、図2(M)に示すように、配線回路基板35が形成される。この配線回路基板35は、一方の表面に第1導体回路23を有し、もう一方の表面に第2導体回路24を有し、それらの各回路が必要な部分においてバンプ28を介して電気的に接続しており、しかも、各バンプ28が、層間絶縁樹脂層27によって相互に電気的絶縁状態になる。
(II)本発明フィルムを用いる配線回路基板用積層体ユニットの第2の製造方法
次に、本発明フィルムを用いる第2の製造方法を図3に沿って説明する。この第2製造方法では、前記の第1製造方法の工程(A)〜(D)と同じ工程によりバンプ形成用金属層からバンプ群を形成した後、前記の第1製造方法の工程(E)を実施せずに〔すなわち、前記エッチングバリア層のエッチングを実施せずに〕、工程(F)以下の工程を実施する。
(1)工程(A):
この第2製造方法では、前記第1製造方法(I)における工程(A)〜(D)〔図1(A)〜(D)参照〕と同じ方法で、バンプ21を形成する。すなわち、バンプ形成用金属層(例えば、銅層)11の選択的エッチングに由来するバンプ21の群が、エッチングバリア層12と導体回路形成用金属層(例えば、銅層)13の上に形成された構造を有するバンプ群担持体32が、保護フィルム17の上に形成される。図3(A)は、その状態を示す。
(2)工程(B):
次に、前記の第1製造方法における工程(E)を実施せずに〔すなわち、前記エッチングバリア層22のエッチングを実施せずに〕、図3(B)に示すように、前記バンプ群担持体32における前記バンプ21のそれぞれの間隙に、層間絶縁樹脂層27を挿入する。例えば、絶縁性接着剤シートを、前記バンプ群担持体32における前記バンプ21が形成された側の面に熱ローラで圧着することにより、前記接着剤シートからなる層間絶縁樹脂層27を形成することができる。この際には、前記の層間絶縁樹脂層27の形成後に、バンプ21の頂上部を層間絶縁樹脂層27から突出させて、露出させることが必要である。従って、前記の接着剤シートとしては、そのバンプ21の高さよりも適宜薄いものを用いる。なお、バンプ21の上部が露出していないと、バンプ21による層間接続を確実に行うことができなくなる。この工程(B)により、導体回路形成用銅層13上に層間絶縁樹脂層27が形成され、更に、前記導体回路形成用銅層13と接続されたバンプ21が前記層間絶縁樹脂層27を貫通してその表面から突出した積層体ユニット33が、本発明による保護フィルム17の上に形成される。
なお、この第2製造方法によって得られる配線回路基板用積層体ユニットには、エッチングバリア層22がエッチングされていない状態で含まれることになるが、後述するように、第2導体回路形成用金属層14を選択的にエッチングする際に、エッチングバリア層22も同時にエッチングされる。
(3)工程(C)〜(D):
次に、図3(C)〜(D)に示すように、積層体ユニット33に貼付されている本発明による保護フィルム17を積層体ユニット33から剥離する。前記の第1製造方法と同様に、感圧性接着剤層19の接着剤として、活性エネルギー(例えば、紫外線又は電子線)硬化型接着剤を使用し、図3(C)の矢印Aに示すように、活性エネルギー(例えば、紫外線又は電子線)を透過可能な支持体18の側から活性エネルギー(例えば、紫外線又は電子線)を照射して、感圧性接着剤層19の粘着力を低下させてから、図3(D)に示すように、保護フィルム17を積層体ユニット33から剥離する。保護フィルム17を積層体ユニット33から剥離することによって、積層体ユニット33を得ることができる。
(4)工程(E):
前記の積層体ユニット33を用いて、前記の第1製造方法の工程(J)〜(K)と同様の方法で、導体回路形成用金属箔と前記積層体ユニット33とを積層プレスにて熱圧着させることにより、図3(E)に示すような回路形成用基板34を製造することができる。こうして得られる回路形成用基板34は、第1導体回路形成用金属層13及びエッチングバリア層12と、第2導体回路形成用金属層14とが各バンプ21を介して電気的に接続し、また、各バンプ21は、層間絶縁樹脂層27によって相互に電気的絶縁状態になる。
(5)工程(F)〜(G):
前記工程(E)で得られる回路形成用基板34の第1導体回路形成用金属層13と第2導体回路形成用金属層14の各表面に、図3(F)に示すように、エッチングマスクとなるレジスト膜16を形成し、続いて、前記レジスト膜16をマスクとしてエッチングを実施する。この際、一方の表面では、前記第1導体回路形成用金属層13とエッチングバリア層12とを同時にエッチングすることにより、導体回路23(22)を形成することができる。また、もう一方の表面でも、第2導体回路形成用金属層14をエッチングすることにより、導体回路24を形成することができる。なお、エッチング液としては、前記第1導体回路形成用金属層13を形成する金属(例えば、銅)とエッチングバリア層12を形成する金属(例えば、ニッケル)とを同時にエッチングすることのできるエッチング液を用いる。続いて、レジスト膜16を除去すると、図3(G)に示すように、配線回路基板35が形成される。この配線回路基板35は、一方の表面に第1導体回路23(22)を有し、もう一方の表面に第2導体回路24を有し、それらの各回路が必要な部分においてバンプ21を介して電気的に接続しており、しかも、各バンプ21が、層間絶縁樹脂層27によって相互に電気的絶縁状態になる。
この第2製造方法では、エッチングバリア層12と第1導体回路形成用金属層13とを、共に同じレジスト膜16をマスクとする1回の選択的エッチングによって除去するので、バンプ21の形成後に、これをマスクとしてエッチングバリア層12を選択的に除去する必要がなく、従って、工程数が低減される点で有利である。
(III)保護フィルム
次に、本発明による感圧性接着剤担持フィルムについて説明する。
(1)支持体
図1〜図3に示すように、本発明の感圧性接着剤担持保護フィルム17は、支持体18の一方の表面上に感圧性接着剤層19を有している。この支持体としては、感圧性接着剤の担持が可能である限り、任意の合成樹脂フィルムを用いることができ、エッチング耐性を有することが好ましい。このような合成樹脂としては、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、又はポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリ塩化ビニル、又はポリプロピレン等のポリオレフィンを使用することができる。特に限定されないが、前記合成樹脂フィルムには、高温時の寸法安定性を良くするため、アニール処理を施しても構わない。なお、感圧性接着剤として活性エネルギー硬化型接着剤(例えば、紫外線又は電子線硬化型接着剤)を使用する場合は、活性エネルギー(例えば、紫外線又は電子線)を透過可能な支持体を用いることが必要である。
前記の支持体の厚さは、特に限定されないが、図1〜図3に示すベース基材31、バンプ群担持体32、あるいは積層体ユニット33の工程フィルムとしての作業性に悪影響を与えず、導体回路形成用金属層の充分な保護が可能な厚さであることが好ましく、例えば、100μm以下、好ましくは75μm以下、より好ましくは50μm以下である。一方、前記の支持体の厚さの下限も特に限定されないが、例えば、10μmである。支持体の厚さが100μmを超えると保護フィルムとして使用する場合の柔軟性が損なわれ、保護フィルムの剥離工程において、剥離が困難となり、積層体ユニットに折れや屈曲を生じることがあり、10μm未満になると保護フィルムとして使用する場合の変形や折れ曲がりを生じ易い。
(2)感圧性接着剤
感圧性接着剤層を形成する感圧性接着剤は、再剥離性を有することが好ましく、例えば、活性エネルギー照射(例えば、紫外線又は電子線照射)によって粘着力が低下する感圧性接着剤である。具体的には、公知の活性エネルギー硬化型のアクリル樹脂系、シリコーン樹脂系、エポキシ樹脂系、スチレン−ブタジエン系、SBS若しくはSIS系、イソプレン系、クロロプレン系、又はアクリルブタジエン系等のエラストマー重合体や、天然ゴム若しくは再生ゴム等の接着剤を用いることができる。特に、アクリル樹脂系の感圧性接着剤が好ましい。必要に応じて、ポリテルペン樹脂、ガムロジン、ロジンエステル若しくはロジン誘導体、油溶性フェノール樹脂、クマロン・インデン樹脂、又は石油系炭化水素樹脂等の粘着付与剤を配合することもできる。また、溶剤型、エマルジョン型、又は無溶剤型等の任意のタイプの感圧性接着剤を用いることができる。
前記の感圧性接着剤の貼着後の初期剥離力は、好ましくは0.05〜30N/25mm、より好ましくは0.1〜10N/25mmである。初期剥離力が30N/25mmを超えると、粘着力低下処理後の剥離力を0.05N/25mm未満とすることが困難になり、初期剥離力が0.05N/25mm未満になると粘着力が不足して、剥離工程を実施する前に剥離することがある。一方、粘着力低下処理後の剥離力は、好ましくは0.05N/25mm未満である。粘着力低下処理後の剥離力が0.05N/25mm以上になると剥離操作の際に積層体ユニットに折れや屈曲を生じることがある。なお、本明細書において「剥離力」とは、JIS Z0237によって測定した値を意味する。また、「初期剥離力」とは、貼着処理後20分以内での剥離力を意味する。
感圧性接着剤層の厚さは、前記の初期剥離力及び粘着力低下処理後の前記の剥離力を発現可能な厚さである限り特に限定されない。具体的には、使用する感圧性接着剤の種類によっても異なるが、好ましくは0.5〜20μm、より好ましくは0.5〜10μmである。感圧性接着剤層の厚さが20μmを超えると感圧性接着剤層の流動性を無視することができなくなり、保護フィルムとして使用する場合、形成されたバンプを層間絶縁樹脂層に挿入する際に、バンプが貫通しない等の不具合が発生することがあり、0.5μm未満になると感圧性接着剤の粘着力が不足して剥離工程を実施する前に剥離することがある。
(3)対数減衰率
本発明の感圧性接着剤担持フィルムを、配線回路基板用積層体ユニットの製造方法において保護フィルムとして用いる場合の物性に関して、本発明者が更に検討した結果、剛体振り子自由振動法による保護フィルムの感圧性接着剤層側(粘着力低下処理前)の対数減衰率が、支持体層単独の対数減衰率(以下、対数減衰率比と称する)の200%以下であることが好ましく、150%以下であることがより好ましく、支持体層のガラス転移点を超える温度領域においては、100%以下であることが特に好ましいことが分かった。
本明細書において「対数減衰率」は、剛体振り子自由振動法によって測定した値である。この剛体振り子自由振動法による対数減衰率の具体的な測定方法を、図6に沿って説明する。図6は、剛体振り子型物性試験器41の模式的説明図であり、冷熱台42の上にサンプル載置部43を有する。冷熱台42は、サンプル47の温度制御を行うことができ、例えば、低温度範囲を液体窒素により、高温度範囲をヒータによって正確に制御することができる。この剛体振り子型物性試験器41によって、支持体48上に感圧性接着剤層49を担持するフィルムサンプル47について、感圧性接着剤層側の対数減衰率を測定する場合には、図6に示すように、そのフィルムサンプル49の支持体48の側をサンプル載置部43に接触させるように置き、感圧性接着剤層49の上にシリンダエッジ44を載せる。
シリンダエッジ44は、矢印R1の往復運動が可能な振り子(図示せず)によって、矢印R2に示すように感圧性接着剤層49の上で回転し、微小距離を転がることができる。この際に、感圧性接着剤の粘弾性により振り子の振動周期に減衰作用が生じ、振動周期と対数減衰率を経時的に測定することができる。支持体層単独の対数減衰率を測定する場合は、サンプル載置部43に支持体のみを載せ、前記と同様に対数減衰率を測定することができる。
具体的には、対数減衰率(Δ)は、以下の計算式(1):
Δ=−ln(Yr) (1)
によって算出することができる。ここで、Yrは、計算式(2):
Yr=(Tpy3−Tpyav)/(Tpy1−Tpyav) (2)
から算出され、Tpyavは、計算式(3):
Tpyav=(Tpy1+2×Tpy2+Tpy3)/4 (3)
から算出される。また、Tpy1、Tpy2、及びTpy3は、それぞれ、振り子の振幅と時間経過との関係のグラフである図7に示すように、各々の極大値である。
さて、図6に示すような剛体振り子型物性試験器によって、合成樹脂フィルム単独の対数減衰率を昇温下で測定すると、その合成樹脂のガラス転移温度(Tg)以下では、対数減衰率はほとんど変化しないか、若干の上昇が認められる程度である。昇温を続けると、ガラス転移温度(Tg)付近を変曲点として対数減衰率が比較的急激に上昇し、更に昇温を続けると、上昇した対数減衰率がそのまま維持される。この現象は、ガラス転移温度付近における合成樹脂の軟化によるものと考えられる。
合成樹脂フィルムに感圧性接着剤を塗布し、図6に示すように、感圧性接着剤層側から対数減衰率を昇温下で測定した場合も、ほぼ同様の傾向が観察されるはずである。しかしながら、本発明者が見出したところによると、感圧性接着剤を塗布した場合に、対数減衰率の上昇が抑制されることがある。すなわち、支持体層のガラス転移点を超える特定の温度領域において、感圧性接着剤層を担持した保護シートの感圧性接着剤層側の対数減衰率が、支持体層単独の対数減衰率よりも低くなる現象が、少なくとも、支持体層の厚さが10〜100μm(より好ましくは10〜50μm)であり、感圧性接着剤層の厚さが0.5〜5μmである範囲において観察されることを、本発明者は確認している。しかも、こうした物性を示す保護シートを用いて積層体ユニットを製造すると、これらの積層体ユニットから製造される配線回路基板や多層配線回路基板の歩留まりを向上させることができる。
感圧性接着剤を塗布した場合に、対数減衰率の上昇が抑制される理由は、現在のところ不明であるが、こうした物性を示す感圧性接着剤担持フィルムを保護シートとして用いて、例えば、前記図1〜図3に示す方法によって配線回路基板用積層体ユニットを製造した場合に、優れた歩留まりを提供する積層体ユニットが得られる理由は、以下のように推定することができる。
例えば、前記の図1などに示す前記バンプ群担持体32は、導体回路形成用金属層13の上に多数のバンプ28を担持した構造を有する。ここで、導体回路形成用金属層13の層厚は、例えば、3〜50μmであり、バンプ28の高さは、例えば、30〜100μmである。従って、前記バンプ群担持体32は、比較的薄い導体回路形成用金属層13の上に、比較的高いバンプ群を有しており、しかも、バンプ28は第1及び第2の導体回路形成用金属層間の接続が必要な部位にのみ形成されるので、不均一に分布している。このようなバンプ群担持体32に層間絶縁樹脂層27を挿入する工程において、前記バンプ群担持体を絶縁性樹脂シートに突き刺す場合に、保護シート17が柔らかすぎると、バンプ群の一部が導体回路形成用金属層13を介して保護シート17側に押し込まれて、バンプ群の先端の突出程度が不均一になったり、あるいはバンプの先端が絶縁性樹脂シートに突き刺さる際に、バンプの先端がずれたりすると考えられる。こうしたズレが発生した積層体ユニットを用いると、第1及び第2の導体回路形成用金属層間の接続不良や接続位置がずれる原因となる。
また、前記の層間絶縁樹脂層挿入工程を実施する温度は、室温〜120℃付近であり、その温度範囲は、保護シート17の支持体18を構成する合成樹脂のガラス転移温度付近に相当する。層間絶縁樹脂層挿入工程を実施している際に、保護シート17の対数減衰率が支持体18の対数減衰率の200%より大きくなると、バンプのズレが発生する確率が高くなる。
これに対して、対数減衰率が前記の物性を示す保護シートを用いると、保護シートに適度の剛性が付与され、しかも層間絶縁樹脂層挿入工程の実施温度付近における対数減衰率の上昇を防止し、一定の対数減衰率を維持することができる。従って、優れた歩留まりを提供する積層体ユニットが得られるものと推定することができる。なお、本発明は、前記の推定によって限定されるものではない。
従って、本発明による感圧性接着剤担持フィルムを、前記図1〜図3に示す配線回路基板用積層体ユニットの製造方法において、保護フィルムとして用いる場合には、初期剥離力が0.05〜30N/25mmであり、粘着力低下処理後の剥離力が0.05N/25mm未満となり、支持体層の厚さが10〜100μmであり、感圧性接着剤の厚さが0.5〜20μmであり、剛体振り子自由振動法による保護シートの感圧性接着剤層側(粘着力低下処理前)の対数減衰率が、支持体層単独の対数減衰率の200%以下である保護フィルム(以下、極薄保護フィルムと称する)であることが好ましい。
前記の極薄保護フィルムの対数減衰率は、支持体層を構成する合成樹脂のガラス転移点以下の温度領域においては、保護シートの感圧性接着剤層側(粘着力低下処理前)の対数減衰率が、支持体層単独の対数減衰率の70〜200%であることが好ましく、70〜150%であることがより好ましい。また、支持体層を構成する合成樹脂のガラス転移点を超える温度領域(例えば、ガラス転移点ないし180℃の領域)においては、保護シートの感圧性接着剤層側(粘着力低下処理前)の対数減衰率が、支持体層単独の対数減衰率の200%以下であることが好ましく、150%以下であることがより好ましく、100%以下であることが特に好ましい。また、前記の極薄保護フィルムの対数減衰率は、23〜180℃において、好ましくは0.005〜0.07、より好ましくは0.005〜0.06である。
前記の極薄保護フィルムの感圧性接着剤層の厚さは、好ましくは0.5〜20μm、より好ましくは0.5〜10μmである。また、感圧性接着剤としては、例えば、紫外線硬化型のアクリル系接着剤を用いるのが好ましく、支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートを用いるのが好ましい。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
《実施例1》
(1)配線回路基板35の製造
図1及び図2に示す方法において、本発明による感圧性接着剤担持フィルムを保護フィルム17として用い、配線回路基板35を製造した。ベース基材31としては、バンプ形成用銅層11の一方の表面にニッケルメッキのエッチングバリア層12を備え、そのエッチングバリア層12の表面に導体回路形成用銅層13を形成した基材を用いた。バンプ形成用銅層11の厚さは、100μmであり、エッチングバリア層12の厚さは、2μmであり、導体回路形成用銅層の厚さは、18μmであった。本発明による保護フィルム17としては、支持体18としてのポリエチレンテレフタレートシート(厚さ=25μm)に、接着剤層19としての紫外線硬化型アクリル系接着剤層(層厚=2μm)を設けた極薄保護フィルムを用いた。
常法によりバンプ形成用銅層11のエッチングとエッチングバリア層12のエッチングとを行い、バンプ群担持体32を得た。続いて、導電性ペーストの塗布工程を省略し、バンプ群担持体32をポリイミド樹脂シートに突き刺して、積層体ユニット33を得た。この工程は約100℃において実施した。続いて、保護フィルム17に紫外線を照射し、保護フィルム17を剥離し、導体回路形成用金属箔14aと前記積層体ユニット33とを積層プレスにて熱圧着させ、更に、常法により配線回路基板35を製造した。配線回路基板35の歩留まりは、100%であった。ここでの配線回路基板の歩留まりは、限りなく100%でないと経済的でなく、歩留まり90%以下は実用的には使用不可のレベルである。
(2)保護フィルムの剥離力の測定
前記実施例1(1)で用いた本発明による極薄保護フィルムの剥離力を次に示す方法で測定した。
(a)初期剥離力
極薄保護フィルムを幅25mm及び長さ220mmのサイズに裁断した試料を、表面を洗浄した導体回路形成用金属面に、貼り付け面積が25mm×100mmとなるように貼り付け、重さ2kgのゴムロールを1往復して圧着して試験片とし、その試験片をJIS Z0237の条件に20分間静置し、JIS Z0237に従って粘着力を180°ピール方向に剥離を行って測定した。結果は表1に示した。
(b)活性エネルギー線照射後剥離力
前記実施例1(2)(a)と同様にして作成した試験片を、JIS Z0237の条件に20分間静置し、400mJ/cmの紫外線を照射した後、JIS Z0237に従って粘着力を180°ピール方向に剥離を行って測定した。結果は表1に示した。
(3)保護フィルムの対数減衰率の測定
前記実施例1(1)で用いた本発明による極薄保護フィルムの対数減衰率を、図6に示す方法で測定した。測定装置としては、剛体振り子型物性試験器RPT−3000W(エー・アンド・ディー社製)を用いた。昇温は、23℃から180℃に至るまで、4℃/60秒の速度で行い、振り子の波長を変化させず振幅の減衰を測定した。測定結果を図8に示す。
一方、ポリエチレンテレフタレートシート(厚さ=25μm)単独の対数減衰率を、同じ条件下で測定した結果を図9に示す。
図8及び図9から明らかなように、23〜180℃の範囲において、ポリエチレンテレフタレートシート単独では対数減衰率が上昇するのに対し、接着剤層を担持する極薄保護フィルムでは、対数減衰率の上昇が抑制された。
《実施例2》
(1)配線回路基板の製造
保護フィルムとして、ポリエチレンテレフタレートシート支持体の厚さが50μmで、接着剤層の層厚が2μmのフィルムを用いること以外は、前記実施例1(1)と同様の操作により、配線回路基板を製造した。配線回路基板の歩留まりは、100%であった。
(2)保護フィルムの剥離力の測定
前記実施例2(1)で使用した保護フィルムの剥離力の測定を前記実施例1(2)と同様の操作により測定した。結果を表1に示した。
(3)保護フィルムの対数減衰率の測定
実施例2(1)で使用した保護フィルムの対数減衰率、及びポリエチレンテレフタレートシート単独の対数減衰率を、前記実施例1(2)と同様の操作により測定した。結果を図10(保護フィルムの対数減衰率)及び図11(ポリエチレンテレフタレートシート単独の対数減衰率)に示す。図10及び図11から明らかなように、130〜180℃の範囲において、ポリエチレンテレフタレートシート単独では対数減衰率が上昇するのに対し、接着剤を担持する極薄保護フィルムでは、対数減衰率の上昇が抑制された。
《比較例1》
(1)配線回路基板の製造
保護フィルムとして、ポリエチレンテレフタレートシート支持体の厚さが25μmで、接着剤層の層厚が30μmのフィルムを用いること以外は、前記実施例1(1)と同様の操作により、配線回路基板を製造した。配線回路基板の歩留まりは、90%であった。
(2)保護フィルムの剥離力の測定
前記比較例1(1)で使用した保護フィルムの剥離力の測定を前記実施例1(2)と同様の操作により測定した。結果を表1に示した。
(3)保護フィルムの対数減衰率の測定
比較例1(1)で使用した保護フィルムの対数減衰率を、前記実施例1(2)と同様の操作により測定した。結果を図12(保護フィルムの対数減衰率)に示す。
図12及び図9から明らかなように、23〜180℃の範囲において、保護フィルムの対数減衰率は、ポリエチレンテレフタレートシート単独の対数減衰率をはるかに上回り、上昇抑制効果は発現されなかった。
Figure 2005336259
本発明の感圧性接着剤担持フィルムを、配線回路基板用の積層体ユニットの製造方法において保護フィルムとして用いることにより、良好な歩留まりで前記積層体ユニットを製造することができ、更に、配線回路基板や多層配線回路基板を良好な歩留まりで製造することができる。
本発明フィルムを用いる第1の製造方法の工程(A)〜工程(F)を順に示す模式的断面図である。 本発明フィルムを用いる第1の製造方法の工程(G)〜工程(M)を順に示す模式的断面図である。 本発明フィルムを用いる第2の製造方法の工程(A)〜工程(G)を順に示す模式的断面図である。 従来の配線回路基板の製造方法の工程(A)〜工程(F)を順に示す模式的断面図である。 従来の配線回路基板の製造方法の工程(G)〜工程(J)を順に示す模式的断面図である。 剛体振り子自由振動法による対数減衰率の測定方法の模式的説明図である。 対数減衰率の測定方法における振り子の振幅と時間経過との関係を示すグラフである。 実施例1(1)で用いた極薄保護フィルムの対数減衰率を図6に示す方法で測定した結果を示すグラフである。 実施例1(1)で用いた極薄保護フィルムのポリエチレンテレフタレートシート支持体単独の対数減衰率を図6に示す方法で測定した結果を示すグラフである。 実施例2(1)で用いた保護フィルムの対数減衰率を図6に示す方法で測定した結果を示すグラフである。 実施例2(1)で用いた保護フィルムのポリエチレンテレフタレートシート支持体単独の対数減衰率を図6に示す方法で測定した結果を示すグラフである。 比較例1(1)で用いた保護フィルムの対数減衰率を図6に示す方法で測定した結果を示すグラフである。
符号の説明
11,71・・・バンプ形成用金属層;12,72・・・エッチングバリア層;
13,73・・・導体回路形成用金属層;16,76,86・・・レジスト膜;
17・・・感圧性接着剤担持保護フィルム;
18・・・支持体;19・・・感圧性接着剤層;21,81・・・バンプ前駆体;
22,82・・・エッチングバリア層由来部分;
23,24,83,84・・・導体回路;27,87・・・層間絶縁樹脂層;
28,88・・・バンプ;31,91・・・ベース基材;
32,92・・・バンプ群担持体;33,93・・・積層体ユニット;
34,94・・・回路形成用基板;35,95・・・配線回路基板;
74・・・導体回路形成用金属箔。

Claims (3)

  1. 支持体上に感圧性接着剤を担持するフィルムであって、
    (i)導体回路形成用金属層への貼着後の初期剥離力が0.05〜30N/25mmであり、
    (ii)活性エネルギー線照射後に剥離力を0.05N/25mm未満に低下させることができ、
    (iii)剛体振り子自由振動法による感圧性接着剤担持フィルムの感圧性接着剤層側の対数減衰率が、前記感圧性接着剤担持フィルムの支持体層単独の対数減衰率の200%以下である
    ことを特徴とする、感圧性接着剤担持フィルム。
  2. 支持体層のガラス転移点を超える温度領域において、感圧性接着剤層を担持したフィルムの感圧性接着剤層側の対数減衰率が、支持体層単独の対数減衰率よりも低くなる、請求項1に記載の感圧性接着剤担持フィルム。
  3. (1)(a)金属製のエッチングバリア層と、(b)そのエッチングバリア層の一方の表面上に設けられ、前記エッチングバリア層を構成する金属とは別異の金属からなる第1導体回路形成用金属層と、(c)前記エッチングバリア層のもう一方の表面上に設けられ、前記エッチングバリア層を構成する金属とは別異の金属からなるバンプ形成用金属層とを含むベース基材に対して、前記第1導体回路形成用金属層の側の表面に、感圧性接着剤担持保護フィルムを、前記感圧性接着剤を介して貼付する工程、
    (2)前記ベース基材において、前記バンプ形成用金属層の選択的エッチングによって金属バンプ群を形成して、バンプ群担持体を得る工程、
    (3)前記バンプ群担持体におけるバンプ群の間隙に、各バンプの頂部を露出させた状態で、層間絶縁樹脂層を挿入する工程、及び
    (4)前記保護フィルムの感圧性接着剤の粘着力を、活性エネルギー線照射によって低下させてから、前記保護フィルムを前記の導体回路形成用金属層表面から剥離する工程
    を含む、配線回路基板用の積層体ユニットの製造方法において、前記感圧性接着剤担持保護フィルムとして用いる、請求項1又は2に記載の感圧性接着剤担持フィルム。
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