JP2005336167A - 抗酸化性組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】生体内で産生される多様な活性酸素種に対して生体内において有効に抗酸化能を発揮できる抗酸化性組成物を提供する。
【解決手段】生体内で産生される活性酸素種に対して、ジ亜塩素酸系活性酸素消去剤として、動物エキスから得られるヒスチジン含有ジペプチド又は硫黄含有アミノ酸ないしその類縁体100mg当たり、過酸化亜硝酸系活性酸素消去剤として、ビタミンC(L−アスコルビン酸又はL−アスコルビン酸ナトリウム)を少なくとも20mg、そして、水酸化ラジカル系活性酸素消去剤として、カフェ酸類縁体の場合は少なくとも2mg、ポリフェノール化合物の場合は少なくとも10mg、カロテノイド化合物の場合は少なくとも1.5mgの割合で配合してなる、生体内で次亜塩素酸ラジカル、水酸化ラジカル及び過酸化亜硝酸ラジカルの3種を抑制する作用を有することを特徴とする抗酸化性組成物。
【選択図】図5

Description

本発明は、動物性天然エキス及び植物性天然エキスに由来する抗酸化能を有する抗酸化性組成物に関するものであり、更に詳しくは、生体内で産生される多様な活性酸素種に対して生体内において有効に抗酸化能を発揮できる抗酸化性組成物及び抗酸化性食品に関するものである。本発明は、特に、人体内で発生する活性酸素による酸化ストレスを解消して、広義の生活習慣病の予防、具体的には体内活性酸素が顕著に高い糖尿病患者の糖尿病関連疾患の予防等に供せる抗酸化性食品及び食品素材の創製を可能とする新規抗酸化性組成物を提供するものである。
近年、わが国では、高齢者人口の増加に伴う各種成人病の増加とその医療に関わる人的、経済的負担の増大が極めて深刻な問題として取り上げられている。生物の老化と病気の発生は言わば不可分の関係にあるので、高齢者が増加すれば病人の数も増えることは避けられないことである。そこで、人間の老化する速度を可能な限り遅くし、病気の発生を抑制することが重要になる。
人間が老化する第一の原因は、体を構成する細胞が組織再生のために分裂増殖する回数に限りがあること、すなわち、細胞が何らかの傷害を受けることによって分裂増殖の回数が限界に到達し、組織再生能力が低下することである。そして、細胞を傷害する要因、例えば、紫外線や放射線の照射、薬物などの傷害あるいは生体内で発生する活性酸素による作用によって老化は促進される。特に、活性酸素は、酸素を利用してエネルギー代謝を行う生物では必然的に発生するものであり、この意味から、我々の老化は必然的に起こるともいえる。そこで、老化を遅延させ、老化に伴う疾病の発生を抑制する主要な対策は、生体内で発生する活性酸素の有害作用を抑制することが重要になる。
これまで、各種の抗酸化剤が市場に供給されているが、これらのほとんどが単一成分あるいは単一原料により調製されたものであった。しかし、生体内で発生する活性酸素の種類は、多様であり、具体的に例を挙げれば、体内に取り込まれた酸素ガスから発生するスーパーオキサイド(O )、O から、スーパーオキサイドディスミューテース(SOD)と呼ぶ酵素により過酸化水素(H)が生成され、更に、これが、遷移金属の触媒作用によって水酸化ラジカル(OH・)を発生させる。また、生体内に侵入した細菌類を殺菌するために白血球が活性酸素を産生するが、この中には、H以外に、次亜塩素酸ラジカルや窒素酸化物ラジカルなどがある。
一方、これらの活性酸素を消去するために各種抗酸化剤が用いられているが、これらの抗酸化剤がこれらの活性酸素全てに効果的なのか、あるいは作用する活性酸素種が限定されるのか、十分に検討が行われて来なかった。本発明者らは、各種活性酸素の蛋白質酸化分解作用に対する抗酸化剤の作用を検討し、抗酸化剤には、それらが作用する活性酸素の種類があり、生体内で全ての活性酸素に有効な抗酸化剤は極めて少ないことを明らかにして来た。
すなわち、各種動物生体内に存在するペプチドのアンセリン、カルノシン、還元型グルタチオン(GSH)、硫黄含有アミノ酸あるいはアミノ酸類縁体は、次亜塩素酸ラジカル(ClO・)に対して、ビタミンC(L−アスコルビン酸、V.C)は過酸化亜硝酸ラジカル(ONOO・)に対して、そして、ビタミンE(α−トコフェロール、V.E)は水酸化ラジカル(OH・)に対して強い抗酸化作用を持つており、生体内で発生する活性酸素の傷害を完全に除去するためには、これらを単一で使用するのではなく、これらを併用した抗酸化剤の組み合わせや組成が有効であることを確認した(特許文献1参照)。
これまで、抗酸化剤を各種疾病、特に、生活習慣病を予防するために各種抗酸化剤が試験されて来た。例えば、V.C、V.E、β−カロチン、カテキンなどのポリフェノール類などが試験されて来た。しかし、これらの抗酸化剤による疾病予防、例えば、ガンなどの疾病予防について見てみると、必ずしも有効であったという知見は多くない。逆に、臨床的効果がないという知見も多くあり(非特許文献1参照)、期待されているほど抗酸化剤が疾病や老化の予防に効果を上げていなかったのである。
これらの原因には、次の点が考えられる。まず、生体内で発生する活性酸素は多種類のものがあり、単一の抗酸化剤でそれらの害作用を消去することが困難であること、更に、V.Cを除いて、その他の植物に由来する抗酸化剤の多くは、フェノール基などを骨格に持ち、脂溶性の性質を示すこと、そして、ポリフェノール類は、人間の腸管からの吸収が悪く、体内に吸収される量が経口摂取した量の1/1000以下になることもあること、などである。従って、試験管の中で極めて強力な抗酸化活性を示しても、それらの多くは、生体内で効果を十分に発揮していたわけではなかったと考えられる。
これらの欠点を除くためには、特に、広い範囲の活性酸素種に対応できる抗酸化剤の配合組成であること、そして、エネルギー代謝の過程で発生するOH・に十分に対応できる素材を選択すること、が重要である。上記のように、動物原料から得られる抗酸化性ペプチドのアンセリンとカルノシンや硫黄含有アミノ酸類は、ClO・に対して強い抗酸化作用を持ち、水溶性ビタミンであるV.Cは、ONOO・に対して、脂溶性ビタミンであるV.Eは、OH・に対して、強い抗酸化作用を持つ。
しかし、V.EのOH・に対する抗酸化作用を、蛋白質分解阻止作用でその他の植物由来抗酸化剤と比較すると、カロテノイド類のアスタキサンチンの1/5000、ポリフェノール類のカテキンやケルセチンの1/2000〜1/1000、カフェ酸類縁体の1/1000〜1/500程度であった(表1)。これらのことから、V.Eが腸管での吸収性に優れ、また、生体内の全身に分布する特性を持っていても、OH・を消去するためには、多量に摂取する必要があつた。しかし、成人のV.E1日最大摂取量は300mgであり、V.Eの過剰摂取は有害になること、また、V.Eは油状であり、保存中の抗酸化活性の低下や食品加工上での問題点も有していた。
特願2003−025210号 J.Kaikkonenら、Free Radicals Research、33巻、329−340、2000年
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、上記従来技術の諸問題を解決することが可能な新しい抗酸化性組成物を開発することを目標として鋭意研究を進める中で、V.Eに代わる、あるいはそれを増強するOH・消去能が強い抗酸化剤の素材について探索したところ、上記したように、カテキンやケルセチンなどのポリフェノール類、カフェ酸類縁体であるクルクミンやフェルラ酸などのフェノール化合物、そして、カロテノイド類であるアスタキサンチンやβ−カロチンが、OH・に対して強い抗酸化作用を持つことを見出した(図1)。
これらのOH・消去作用の強い抗酸化剤は、V.Eと同様に、ClO・やONOO・に対して生理的に調節可能な低濃度では抗酸化作用をほとんど示さない性質を有しており、ClO・消去剤のアンセリン−カルノシンやONOO・消去剤のV.Cとの併用が必須のものでもあることを見出し、本発明を創出するに至った。本発明は、生体内で産生される多様な活性酸素種に対して生体内において有効に抗酸化能を発揮できる新規抗酸化性組成物及び抗酸化性食品を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)生体内で産生される活性酸素種に対して、次亜塩素酸系活性酸素消去剤としてのヒスチジン含有ジペプチド又は硫黄含有アミノ酸あるいはその類縁体100mg当たり、過酸化亜硝酸系活性酸素消去剤としてビタミンC(L−アスコルビン酸又はL−アスコルビン酸塩)を少なくとも20mg、そして、水酸化ラジカル系活性酸素消去剤としてカフェ酸類縁体の場合は少なくとも2mg、ポリフェノール化合物の場合は少なくとも10mg、カロテノイド化合物の場合は少なくとも1.5mgの割合で配合してなる、生体内で次亜塩素酸ラジカル、水酸化ラジカル及び過酸化亜硝酸ラジカルの3種を抑制する作用を有することを特徴とする抗酸化性組成物。
(2)上記次亜塩素酸系活性酸素消去剤のヒスチジン含有ジペプチドが、家禽、牛、豚、回遊性魚類の筋肉を熱水抽出して得られる動物エキス中に含まれるアンセリンとカルノシンの混合体であり、硫黄含有アミノ酸あるいはその類縁体が、ネギ科又はアブラナ科植物のエキスから得られる還元型グルタチオン、システイン、アセチルシステイン、メチオニン、及びアリインの1種以上である前記(1)記載の抗酸化性組成物。
(3)上記カフェ酸類縁体が、麦科又はイネ科の植物から抽出されたものである前記(1)記載の抗酸化性組成物。
(4)上記ポリフェノール化合物が、桑葉又は茶葉の植物より抽出されたカテキン類及び/又はネギ科の植物より抽出されたケルセチン類である前記(1)記載の抗酸化性組成物。
(5)上記カロテノイド化合物が、魚肉又は藻類から抽出されたアスタキサンチン及び/又は明日葉、カボチャ、ニンジン、ヨモギ、シソ、又はケールの植物から抽出されたβ−カロチンである前記(1)記載の抗酸化性組成物。
(6)次亜塩素酸系活性酸素消去剤としてのヒスチジン含有ジペプチド又は硫黄含有アミノ酸あるいはその類縁体100mg当たり、過酸化亜硫酸系活性酸素消去剤としてビタミンC(L−アスコルビン酸又はL−アスコルビン酸塩)を少なくとも20mg、そして、水酸化ラジカル系活性酸素消去剤としてのカフェ酸類縁体を少なくとも2mgの割合で配合してなる、生体内で水溶性の血中コレステロール低下作用を有する前記(1)記載の抗酸化性組成物。
(7)次亜塩素酸系活性酸素消去剤としてのヒスチジン含有ジペプチド又は硫黄含有アミノ酸あるいはその類縁体が、アンセリンとカルノシンの混合体、そして、水酸化ラジカル系活性酸素消去剤のカフェ酸類縁体が、水可溶性を示すフェラル酸、クロロゲン酸、桂皮酸又はカフェ酸である前記(6)記載の抗酸化性組成物。
(8)前記(1)から(7)のいずれかに記載の抗酸化性組成物を含むことを特徴とする抗酸化性食品。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
動物エキスに由来する抗酸化性物質及び植物エキスに由来する抗酸化性物質を用いて、これらの相互の短所を補強し合い、生体内で発生する特定の3種の活性酸素を完全に消去できる抗酸化性組成物を天然の素材で構成するために、上記したClO・消去剤、OH・消去剤及びONOO・消去剤としての成分を含有する天然素材の選抜を行った。ClO・消去作用の強いアンセリンやカルノシンは、各種畜肉エキス、チキンエキス、マグロ、カツオ、鮭など大型回遊魚の魚肉エキスに豊富に含有され、硫黄含有アミノ酸類は、玉ネギなどのネギ科植物やキャベツなどのアブラナ科植物エキスに豊富に含有される。ONOO・消去作用の強いV.Cは、かんきつ類の果物、キャベツなどのアブラナ科植物エキスに多く含まれている。
一方、OH・消去作用の強いアスタキサンチンやβ―カロチンなどのカロテノイド類は、前者の場合は、動物エキスである鮭エキスや藻類抽出物、後者の場合は、ニンジンなどの緑黄色野菜のエキスに豊富に含有され、カテキン、エピガロカテキンガレート、ケルセチンなどのポリフェノール類は、それぞれ、桑葉、お茶、玉ネギなどの植物エキスに含まれている。更に、OH・消去作用の強いカフェ酸類縁体では、クルクミンはウコンエキス、フェルラ酸などは麦科及びコメ科植物から得られるエキス、例えば、小麦若葉やコメ糠エキスなどに豊富に含有されている。実際に、これらのエキス類についてOH・消去能を試験すると、これらは、いずれもOH・に対して強い抗酸化作用を示すものであった(図2)。
これらの抗酸化剤をヒトに投与、あるいは摂取させる場合の量については、それぞれ確定した投与量はないが、例えば、V.Cでは、1日60mg以上2000mg以下、V.Eでは、1日3mg以上300mg以下の摂取量が推奨されているので、これらを参考にして、また、本発明の試験結果から、各種成分の投与又は摂取量を設定すると、以下の通りであった。
ClO・消去剤であるアンセリンとカルノシン、アンセリン−カルノシン混合体、あるいは硫黄含有アミノ酸類は、5mM濃度で、10mM濃度のClO・の蛋白質分解作用を完全に抑制する抗酸化作用を持っている。他方、5mM濃度のONOO・に対して、1mM濃度のV.C又はV.CナトリウムがONOO・の酸化作用を完全に抑制する。また、10mMのOH・に対しては、0.5μM濃度のカロテノイド類、2.5μM濃度のカフェ酸類縁体、あるいは2.5μM濃度のポリフェノール類がOH・の酸化作用を完全に抑制する作用を示した。なお、ポリフェノール類は、腸管吸収の問題があり、また、生体内で発生する活性酸素種の中でOH・が量的に産生されやすいこともから、その配合量は多く設定する必要がある。
生体内で発生する活性酸素の濃度は、生理的条件によって変化するが、局所的には最大で数10μM〜数100μMの水準に達することも推定されるので、本発明の抗酸化性組成物を1回摂取した時の各抗酸化剤の最低血中濃度をClO・消去剤のアンセリン−カルノシン混合体500μM(血液量5000mLとして計算して約600mgの摂取量)当たりで標準化すると、ONOO・消去剤では、V.Cは200μM(同じく摂取量として約90mg)、OH・消去剤では、生体内でのOH・発生比率を配慮して、最低血中濃度通りの量でカロテノイド類は0.5μM(同じく摂取量として1.5mg)、カフェ酸類縁体は2.5μM(同じく5〜10mg)、そして、ポリフェノール類は2.5μM(同じく4mg)であれば、それぞれの活性酸素の傷害作用を十分に防止できると考えられる。
ClO・消去剤のアンセリン−カルノシン混合体、あるいは還元型グルタチオンなどの硫黄含有アミノ酸類100mg当たりで、各成分の配合量を表せば、ONOO・消去剤のV.Cは20mg以上、OH・消去剤の場合は、腸管吸収も考慮して、カロテノイド類は最低血中濃度のまま1.5mg以上(M.Osterileら、Journal of Nutritional Biochemistry、11巻、482−490頁、2000年)、腸管吸収に特に問題のないカフェ酸類縁体は2mg以上、カテキンなどのポリフェノール類は1mg以上であるが、腸管吸収を考慮すれば(F.Catterallら、Xenobiotica、33巻、743−753頁、2003年)、その10倍量の10mg以上が望ましい配合量として計算される。
これらのOH・消去剤を改良して構築された本発明の抗酸化性組成物は、アンセリン−カルノシン混合体100mg当たり、V.C20mg、V.E20mgの組成と同等の抗酸化活性を持つものであり、動物エキスから各種植物エキスまで、極めて選択肢の広い食品素材の組み合わせの配合が可能であり、生体内で発生する活性酸素の有害作用を防止できる抗酸化性食品及び抗酸化性食品素材の調製が可能であることが分かった。本発明において、抗酸化性食品とは、上記抗酸化性組成物を含むあらゆる種類及び形態の食品、飲料、及び食品素材を意味するものであり、食品の種類、形態等の如何を問わず対象とするものである。
本発明の抗酸化性組成物では、次亜塩素酸系活性酸素消去剤としてのヒスチジン含有ジペプチド又は硫黄含有アミノ酸あるいはその類縁体としては、好適には、アンセリン及び/又はカルノシンが配合され、その100mg当たり、過酸化亜硝酸系活性酸素消去剤としてのビタミンCが20mg以上配合され、そして、水酸化ラジカル系活性酸素消去剤として、好適には、フェラル酸、クロロゲン酸、桂皮酸、カフェ酸、クルクミンなどのカフェ酸類縁体、カテキン類、ケルセチン類などのポリフェノール化合物、アスタキサンチン、β−カロチンなどのカロテノイド化合物、が1.5mg以上の割合で配合される。
本発明では、上記成分は、それらの化合物として配合される他、それらの成分を含む天然素材として配合され、また、それらを任意に混合して配合することも可能である。本発明では、生体内で産生される特定の活性酸素種である次亜塩素酸ラジカル、水酸化ラジカル及び過酸化亜硝酸ラジカルの3種を生体内で同時的に抑制する作用を持つ特定の抗酸化性組成物を構築したことに重要な技術的意義があるものであり、これらは、単に、公知の抗酸化剤を寄せ集めたものではなく、また、従来の抗酸化剤に関する通常の知識及び公知技術から容易に予期し得るものでもない。本発明の抗酸化性組成物は、上記特定の成分を特定の割合で配合することを必須の構成要件としているが、これらの要件を満たす限り、他の任意の成分を配合することは、抗酸化性組成物の使用目的等に応じて任意に設計することができる。
次に、本発明の試験例について説明する。
(1)3種の活性酸素による卵白アルブミン(Ovalbumin、以下、Ovaと略記することがある。)分解作用に対する各種抗酸化剤の阻止作用
生体内で産生される典型的な活性酸素として、ClO・、OH・及びNO・の3種を調製した。これらの内、ClO・は、ジ亜塩素酸ナトリウムをpH6.5の蒸留水に希釈する方法で、また、OH・は、Fenton法(B.Halliwellら、Analytical Biochemistry、165巻、215〜219頁、1987年)を一部改変して、また、NO・は、quenching flow reactor法(R.Radiら、Journal of Biological Chemistry、266巻、4244〜4250頁、1991年)を改変してそれぞれ調製した。
次に、Ovaを2.5mg/mLになるように緩衝化生理食塩水、pH7.2に溶解し、蛋白質溶液に対して10:1の容量比で各濃度の抗酸化剤を添加して、室温で30分間静置させ、次いで、同じく蛋白質溶液に対して10:1の容積比で各濃度の活性酸素を添加して、ClO・酸化は37℃、30分間、OH・酸化は37℃、60分間、NO・酸化は37℃、120分間反応させた。反応後、各試料溶液をドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(SDS−PAGE)で泳動した後、クマシーブリリアントブルーR250染色液で染色したゲルをデンシトメーターにかけてOvaの分解阻止率を計算した。また、正確な分解阻止率は、反応試料液を直接TSKG−3,000SWカラムのGPC−HPLCにかけて、蛋白分解阻止活性を、次の式で算出した。
上記3種の活性酸素によるOva酸化分解に対する各種抗酸化剤の阻止作用は、図1に示す通りである。ClO・に対しては、チキンエキス由来精製アンセリン−カルノシン混合体がClO・による酸化分解を完全に阻止し、次いで、V.C、そして、β−カロチンとエピギャロカテキンガレート(EGCG)で、かすかに阻止活性が観察された。しかし、β−カロチンやEGCGの濃度は、20μMと500μM濃度であり、実際に生理的に調節できる濃度の100倍以上に相当する濃度であり、実用的ではないことが分かった。
OH・に対しては、5mM濃度のV.Eと同程度に、10μMのアスタキサンチンとβ−カロチン、5μMのカテキン、ケルセチン、EGCG、カフェ酸類縁体のクルクミン、クロロゲン酸、フェルラ酸も、Ovaの酸化分解を完全に阻止した。ONOO・に対しては、1mMのV.Cがその酸化分解作用を完全に阻止した以外には、β−カロチン、カテキン及びEGCGが、その酸化分解を抑制する作用を示したが、これらの濃度は、それぞれ、10μM、500μM、500μMであり、生理的に調節可能な濃度を超えるものであった。これらの分解阻止活性を要約すると、表1の通りである。
(2)3種の活性酸素に対する抗酸化成分含有天然エキスの作用の比較
上記(1)の試験方法と同様に、各種天然エキスの活性酸素のOva酸化分解作用に対する阻止活性を比較した。試験した天然エキスの濃度は、固形物として5mg/mLであった。SDS−PAGEの結果は、図2に示す通りである。
ClO・の酸化分解に対して抑制作用を示した天然エキスは、チキンエキス、鮭エキス及びキャベツエキスの3種であった。チキンエキスにはアンセリンとカルノシンが含有され、鮭エキスにはアンセリンが、キャベツエキスには硫黄含有アミノ酸類とV.Cが含まれている。OH・の酸化分解に対しては、鮭エキス、ニンジンエキス、お茶エキス、ウコンエキス、キャベツエキスが強い阻止作用を示し、次いで、小麦若葉エキス、米糠エキス、玉ネギエキス、桑の葉エキスも、阻止作用を示した。チキンエキス、レモン果汁の阻止作用は極めて弱いものであった。鮭エキスにはアンセリンの他にアスタキサンチンが含有され、ニンジンエキスにはβ−カロチンが、お茶エキスにはEGCGが、ウコンエキスにはクルクミンが、キャベツエキスには硫黄含有アミノ酸、V.Cの他、カテキン類、カフェ酸類縁体が含有される。
小麦若葉エキスと米糠エキスにはフェルラ酸などのカフェ酸類縁体が、玉ねぎエキスにはケルセチンが、桑の葉エキスにはカテキン類とカフェ酸類縁体がそれぞれ含有される。
ONOO・の酸化分解に対しては、レモンエキスが最も強い阻止作用を示し、次いで、鮭エキス、玉ねぎエキス、キャベツエキス、チキンエキスでも、酸化分解阻止作用が認められた。これらのエキスの主成分は、レモン果汁及びキャベツにはV.Cなどが含まれ、玉ねぎ及び桑の葉にはV.C以外に還元型グルタチオンとカテキン類などが含まれ、チキンエキスと鮭エキスにはアンセリンとカルノシンの他に、各種アミノ酸類が含まれる。これらの抗酸化作用をまとめると、表2の通りである。
(3)各抗酸化剤の活性酸素消去作用の比較
ClO・に対して、抗酸化活性を持つペプチド及び硫黄含有アミノ酸類の抗酸化活性の強さの比較と、OH・に対して、抗酸化活性を持つ各種抗酸化剤の抗酸化活性の強さを比較した。10mMのClO・が示す蛋白質酸化分解を完全に阻止するClO・消去作用を持つ各抗酸化剤の濃度で比較すると、表3に示す通りであり、還元型グルタチオン、L−システイン、N−アセチル−L−システインが最も強く、次いで、アンセリンとカルノシンのジペプチド、更に、アリイン及びメチオニンの順であった。
OH・に対して、抗酸化活性を持つ抗酸化剤について、同様に、10mM濃度のOH・が示す蛋白質分解作用を完全に阻止する各抗酸化剤の濃度で比較すると、表4の通りであった。OH・による蛋白質の酸化分解に対して、最も強い抗酸化作用を示したのが、カロテノイド類のアスタキサンチンとβ−カロチン、ポリフェノール類のケルセチン、カテキン、カフェ酸類縁体のクルクミン、フェルラ酸、クロロゲン酸、カフェ酸の順であり、V.Eは、試験した中で最も抗酸化活性が弱いものであった。
(4)活性酸素によるヒト赤血球のマイクロチャンネル通過能障害と各種抗酸化剤による防止効果
微細血管モデルであるマイクロチャンネル(MCと略記する。)は、血液レオロジー、すなわち血液の微細血管循環能を測定する装置である。血液レオロジーに及ぼす要因として、食事、酸化ストレスなどが挙げられている。本発明では、生体内で生成される3種の活性酸素のヒト赤血球のMC通過能に及ぼす影響を試験し、各種抗酸化剤の活性酸素障害作用の防止効果について比較した。
試験方法は、健康人志願者血液をFicoll−Paque遠心法(ファルマシァ社製)で血漿、白血球、赤血球画分に分け、MCFAN KH−3A(チャンネル幅7μm、MC研究所)により各血液画分のMC通過時間を測定した。その結果、ClO・、OH・及びONOO・の3種の活性酸素により、白血球(有核細胞数2×10
個/mL)、赤血球(ヘマトクリット15%)は通過障害を起こしたが、血漿(1:1希釈)は通過能に全く影響を受けなかった(図3)。
次に、赤血球を用いて、各種活性酸素によるMC通過障害に対する各種抗酸化剤の防止効果を測定した。図4に、その1例を示すが、この試験では、ClO・消去剤としてチキンエキス由来精製アンセリン−カルノシン混合体(2.5mM)、OH・消去剤としてEGCG(50μM)、ONOO・消去剤としてV.C(2.5mM)を用いた。また、抗酸化剤配合は、これら3種を混合したものである。図4に示す通り、各種活性酸素による赤血球通過障害は、それぞれの抗酸化剤によって完全に阻止され、抗酸化剤配合はいずれの活性酸素の障害をも完全に阻止する結果であった。
(5)糖尿病モデルラットの血中糖化ヘモグロビン濃度低下作用
糖尿病モデル動物であるGKラット(Y.Iharaら、FEBS Letters、473巻、24−26頁、2000年)を用いて、抗酸化剤単独投与と抗酸化剤の併用投与の効果を、血中糖化ヘモグロビン(HbA1c)濃度の低下作用で比較した。糖尿病に併発する心臓血管系疾患の死亡率と血中HbA1c濃度が高い相関性を持つことが知られており、HbA1c濃度を0.1%低下させると死亡率を5%低下させ、0.2%低下では10%の死亡率低下が期待される(KT.Khawら、BMJ 誌、322巻、1〜6頁、2001年)。
ClO・消去剤として、チキンエキス由来アンセリン−カルノシン混合体200mg/kg、OH・消去剤として、小麦若葉エキス(カフェ酸類縁体総量として10mg/kg)、ONOO・消去剤として、V.C100mg/kgを使用し、これらを全て配合した抗酸化剤配合をGKラットに28日間経口投与し、投与終了時の血中HbA1c濃度を測定した。その結果は、図5に示すとおり、ClO・消去剤単独投与で0.3%の低下、OH・単独投与では0.2%の低下、ONOO・消去剤単独投与では0.3%の低下、そして、これらの抗酸化剤を全て含有する配合の場合は0.4%の低下であり、高血糖と活性酸素の作用で形成される血中HbA1c濃度は、3種の抗酸化剤の配合が最も良い結果であった。
(6)ヒト血中コレステロール低下作用
抗酸化作用を持つ成分の中には血中コレステロールを低下させる作用があることが知られているが、その作用機構は様々である。例えば、脂肪からのエネルギー生産を促進してコレステロールを消費する機構、コレステロールの腸管吸収を妨害する機構、コレステロール合成酵素を阻害する機構、マクロファージによるコレステロール除去能を亢進する機構などである。本発明によるOH・消去剤のカフェ酸類縁体であるクロロゲン酸やフェルラ酸にも血中コレステロール低下作用があることが知られている(A. Herrera−Arellanoら、Phytomedicine、11巻561ー566頁、2004年;H.K. Kimら、Clinica Chimica Acta、327巻、129ー137頁、2003年)。しかし、フェルラ酸やクロロゲン酸の経口投与によるコレステロール低下作用は不明であるので、本発明による抗酸化性飲料の経口投与がコレステロール低下作用を有するか否かを試験した。
上記実施例5の方法で調製した抗酸化性飲料、すなわちClO・消去剤として、チキンエキス由来精製アンセリン−カルノシン400mg、OH・消去剤として、米糠由来精製フェルラ酸20mg、及びONOO・消去剤として、ビタミンC300mgを含有するマンゴ果汁50mlを、健康人男性志願者17名に対して一日一本、4週間飲用させ、飲用前と飲用後の血液を採取して血中脂質含量を測定した。測定した脂質は、総コレステロール、HDLコレステロール、及び中性脂肪であり、次式から、LDLコレステロール量を計算した。すなわち、LDLコレステロール=総コレステロールー(HDL+中性脂肪×0.2)の式である。
その結果を図4〜図6に示す。飲用開始前の健常人で血中総コレステロール濃度が200mg/dLを超える者は12名であったが、平均血中総コレステロールは233.8±19.9mg/dLから219.3±24.2mg/dLまで低下した(p<0.05)。また、飲用開始前の悪玉コレステロールLDLが120mg/dLを超える者は同じく12名であったが、平均血中LDL値は149.0±16.4mg/dLから135.0±16.4mg/dLへ低下した(p<0.05)。中性脂肪は、飲用開始前の血中コレステロールが220mg/dLを超える高コレステロール血症の者8名で比較すると、飲用前が124.9±57.1mg/dL、飲用後は91.6±29.4mg/dLまで低下する結果であった(p<0.05)。
本発明により、(1)生体内で発生する活性酸素種を3大別し、これらに対して有効に作用する抗酸化剤を提供できる、(2)酸素ガスから発生するOH・系と白血球から生成する塩素系と窒素酸化物系の活性酸素に対する抗酸化剤を特定し、調製できる、(3)老化や生活習慣病の発生抑制に効果的な抗酸化食品の提供を可能とする、という格別の効果が奏される。
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
丸鶏10kgから熱水抽出して得られたチキンエキス40Lを減圧濃縮して、固形分濃度を20%に調整した。この濃縮チキンエキスのアンセリンとカルノシン混合体の含量は、固形物当たり140mg/gであった。濃縮チキンエキス1200gに対して、V.C(食品添加物)を16.8g、また、小麦若葉から熱水抽出して得られたエキスを濃縮して、固形物含量10%、カフェ酸類縁体濃度0.2%に調整した濃縮小麦若葉エキス840gを添加し、更に、難消化性デキストリンを60g添加してよく混合し、噴霧乾燥してClO・消去剤、OH・消去剤及びONOO・消去剤を含有する抗酸化剤配合粉末約400gを調製した。この粉末は、1g当たりアンセリンーカルノシンを84mg、V.C.を42mg、カフェ酸類縁体を4mg含有するものであった。本粉末は、上記糖尿病モデルラットにおける試験で、血中HbA1c濃度の低下作用を示すことが確認された。
内臓及び骨を除去した紅鮭5kgに、水15kg加えて、100℃、3時間煮出し、そのままミキサーで均質化した後、蛋白質分解酵素を0.2%濃度で添加して45℃、4時間加水分解して紅鮭ペーストを調製した。紅鮭ペースト20kgに対して、実施例1の濃縮丸鶏エキス1kg、V.Cナトリウム60g、茶葉抽出液粉末(カテキン含量20%)100g、調味液40g、デキストリン100gを添加して凍結乾燥し、抗酸化剤配合鮭エキス粉末約2kgを調製した。該粉末1gには、アンセリン−カルノシンとして50mg、V.Cとして25mg、総カロテノイドとしてアスタキサンチン1mg、カテキン10mg含有されていた。また、該粉末1%溶液は、上記の3種の活性酸素による蛋白質分解作用を完全に抑制した。
豚肉10kgに、水30kgを加えて、100℃、2時間加熱して得た抽出液をろ過して沈殿物を除去した後、減圧濃縮して固形物濃度10%の濃縮ポークエキス約4kgを調製した。これに、玉ネギエキス(固形物含量10%)1kg、V.Cナトリウム100g、小麦若葉エキス粉末(カフェ酸類縁体含量1.5%)100gを添加し、噴霧乾燥して抗酸化剤配合シチュー用ポークエキス粉末約600gを調製した。該粉末1gには、アンセリン−カルノシン混合体が85mg、V.Cが140mg、ポリフェノール類としてケルセチンが1mg、カフェ酸類縁体のフェルラ酸が2mg含有されていた。該粉末の1%水溶液は、上記3種の活性酸素による蛋白質分解作用を完全に抑制した。
チキンエキスを分画分子量3,000の限外ろ過膜(旭化成製SEP−3013)でろ過し、ろ過膜透過液を濃縮してDowex 50WX8の陽イオン交換体クロマトグラフでアンセリン−カルノシン混合体を精製した。また、米糠から熱水抽出して得られた米糠エキスを活性炭を添加して脱色・ろ過し、更に、固形物濃度が20%になるように濃縮してカフェ酸類縁体を含む濃縮米糠エキスを調製した。更に、グレープフルーツ果実をミキサーにかけ、得られた果汁液をろ過して不溶物を除去した。グレープフルーツ果汁100mL当たり、上記の精製アンセリン−カルノシン混合体500mg、米糠エキス10mL(フェルラ酸として30mg含有)、V.C200mg、甘味料1g、天然グレープフルーツ香料の適量を添加して、抗酸化剤配合清涼飲料を調製した。該清涼飲料水の10倍希釈液は、上記3種の活性酸素による蛋白質分解作用を完全に阻止した。
マンゴー果汁50mL当たり、実施例4の方法で調製した精製アンセリン−カルノシン混合体400mg、米糠より抽出した精製フェルラ酸(築野ライスファインケミカルズ社製)20mg、ビタミンC(食品添加物)300mgを添加し、抗酸化剤配合飲料を約3000本調製した。
以上詳述した通り、本発明は、抗酸化性組成物に係るものであり、本発明により、広い範囲の活性酸素種に対して有効に作用する抗酸化組成物を提供することができる。これまで単一の抗酸化剤を含有する食品が生活習慣病予防や老化予防の目的のために広く利用されてきた。例えば、動脈硬化や高血圧、ガン、糖尿病や糖尿病に併発する各種疾患などである。しかしながら、これまで行われて来た抗酸化剤の生活習慣病や老化予防の臨床試験では、必ずしも十分な効果を上げてこなかった現実がある。この原因はいろいろ考えられるが、第一に、試験管内や動物に強制投与して得られる臨床的効果が、実際に人間に経口摂取される場合には、腸管吸収性の問題や生体内分布の問題があったことがあげられる。特に、植物由来のポリフェノール類が該当する。
第二には、老化や生活習慣病の原因となる生体内の活性酸素は、単一のものではなく、人間の生活習慣や生理的条件によってさまざまな種類のものが発生していることである。従来、抗酸化剤の活性の強度は生体内で発生する活性酸素と関連性の乏しい活性酸素を対象に評価され、その基準で強さの順位が規定されてきた。しかし、本発明の試験例で確認されたように、生理的に調節可能な濃度での各種抗酸化剤の作用にはそれぞれ活性酸素種に対する特異性が存在し、従来、抗酸化活性が弱いと評価されたものでも特定の活性酸素に対して強い抗酸化作用を発揮すること、逆に、強い抗酸化剤と評価されてきたものでも作用が弱い活性酸素が存在することが明らかとなった。これらのことから、単一の抗酸化剤を主成分とする食品では生体内で発生するさまざまな活性酸素によって発症する各種疾病を十分に防止できなかったと考えられる。
本発明では、生体内で発生する活性酸素種を3大別し、酸素ガスから発生するOH・系、白血球が生成する塩素系と窒素酸化物系の活性酸素に対する抗酸化剤の特定を行った。その結果、ペプチドやペプチドを構成する硫黄含アミノ酸類が塩素系活性酸素に対して、植物由来のカロテノイド、ポリフェノール類及びフェノール類など疎水基を有する物質はOH・系に対して、そして、ビタミンCなどが窒素酸化物系の活性酸素に対してそれぞれ強い抗酸化活性を示すことが明らかとなった。これらの知見から、広い範囲の活性酸素種に対して有効に作用する抗酸化剤の配合が重要であり、実際に抗酸化剤を配合することによって、酸化障害によって起こる生体内での最終糖化産物の生成が顕著に抑制される効果が認められ、このことから、老化や生活習慣病の発生抑制に従来より更に効果的な抗酸化性食品の提供が可能となった。また、これらの抗酸化成分を含有する天然素材を配合することによっても、より効果的な抗酸化性食品素材の製造が可能である。
図1は、各種抗酸化剤の、活性酸素による卵白アルブミン分解作用の阻止効果を示す。Aは10mMのClOラジカル、Bは10mMのOHラジカル、CはONOOラジカルの酸化分解である。各パネル上の記号は、Rは未処理卵白アルブミン、Cは酸化分解卵白アルブミン対照、1は精製アンセリン−カルノシン混合体、2はビタミンC、3はビタミンE、4はアスタキサンチン、5はβ−カロチン、6はカテキン、7はケルセチン、8はエピガロカテキンガレート(EGCG)、9はクルクミン、10はクロロゲン酸、11はフェルラ酸添加試料である(各濃度は表1の通り)。 図2は、各種天然原料の、活性酸素による卵白アルブミン分解作用の阻止効果を示す。Aは10mMのClOラジカル、Bは10mMのOHラジカル、CはONOOラジカルの酸化分解である。各パネル上の記号は、Rは未処理卵白アルブミン、Cは酸化分解卵白アルブミン対照、1はチキンエキス、2はレモン果汁、3は米糠エキス、4は鮭エキス、5はニンジンエキス、6は桑の葉エキス、7は玉ネギエキス、8は茶葉エキス、9はウコンエキス、10はキャベツエキス、11は小麦若葉エキスである(各濃度は表2の通り)。 図3は、人血液成分のマイクロチャンネル通過能を示す。AはClOラジカル処理、BはOHラジカル処理、CはONOOラジカル処理である。図中のグラフは左から血漿、白血球、赤血球、である。 図4は、人赤血球に対する各種活性酸素と各種抗酸化剤のマイクロチャンネル通過能に及ぼす効果を示す。AはClOラジカル処理、BはOHラジカル処理、CはONOOラジカル処理である。図中のグラフの左から対照、ClO・消去剤添加、OH・消去剤添加、ONOO・消去剤添加、3種の抗酸化剤配合、である。 図5は、各種抗酸化剤の糖尿病モデルGKラットの血中HbA1C濃度低下作用を示す。 図6は、健常人志願者12名の血中総コレステロール濃度を示す。 図7は、健常人志願者12名の血中LDLコレステロール濃度を示す。 図8は、高コレステロール値志願者8名の血中中性脂肪濃度を示す。

Claims (8)

  1. 生体内で産生される活性酸素種に対して、次亜塩素酸系活性酸素消去剤としてのヒスチジン含有ジペプチド又は硫黄含有アミノ酸あるいはその類縁体100mg当たり、過酸化亜硝酸系活性酸素消去剤としてビタミンC(L−アスコルビン酸又はL−アスコルビン酸塩)を少なくとも20mg、そして、水酸化ラジカル系活性酸素消去剤としてカフェ酸類縁体の場合は少なくとも2mg、ポリフェノール化合物の場合は少なくとも10mg、カロテノイド化合物の場合は少なくとも1.5mgの割合で配合してなる、生体内で次亜塩素酸ラジカル、水酸化ラジカル及び過酸化亜硝酸ラジカルの3種を抑制する作用を有することを特徴とする抗酸化性組成物。
  2. 上記次亜塩素酸系活性酸素消去剤のヒスチジン含有ジペプチドが、家禽、牛、豚、回遊性魚類の筋肉を熱水抽出して得られる動物エキス中に含まれるアンセリンとカルノシンの混合体であり、硫黄含有アミノ酸あるいはその類縁体が、ネギ科又はアブラナ科植物のエキスから得られる還元型グルタチオン、システイン、アセチルシステイン、メチオニン、及びアリインの1種以上である請求項1記載の抗酸化性組成物。
  3. 上記カフェ酸類縁体が、麦科又はイネ科の植物から抽出されたものである請求項1記載の抗酸化性組成物。
  4. 上記ポリフェノール化合物が、桑葉又は茶葉の植物より抽出されたカテキン類及び/又はネギ科の植物より抽出されたケルセチン類である請求項1記載の抗酸化性組成物。
  5. 上記カロテノイド化合物が、魚肉又は藻類から抽出されたアスタキサンチン及び/又は明日葉、カボチャ、ニンジン、ヨモギ、シソ、又はケールの植物から抽出されたβ−カロチンである請求項1記載の抗酸化性組成物。
  6. 次亜塩素酸系活性酸素消去剤としてのヒスチジン含有ジペプチド又は硫黄含有アミノ酸あるいはその類縁体100mg当たり、過酸化亜硫酸系活性酸素消去剤としてビタミンC(L−アスコルビン酸又はL−アスコルビン酸塩)を少なくとも20mg、そして、水酸化ラジカル系活性酸素消去剤としてのカフェ酸類縁体を少なくとも2mgの割合で配合してなる、生体内で水溶性の血中コレステロール低下作用を有する請求項1記載の抗酸化性組成物。
  7. 次亜塩素酸系活性酸素消去剤としてのヒスチジン含有ジペプチド又は硫黄含有アミノ酸あるいはその類縁体が、アンセリンとカルノシンの混合体、そして、水酸化ラジカル系活性酸素消去剤のカフェ酸類縁体が、水可溶性を示すフェラル酸、クロロゲン酸、桂皮酸又はカフェ酸である請求項6記載の抗酸化性組成物。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載の抗酸化性組成物を含むことを特徴とする抗酸化性食品。
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