JP2005331244A - 染色体染色方法およびその装置 - Google Patents

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元裕 佐野
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Abstract

【課題】 標本スライドの染色体の染色を均質、且つ、短時間で、しかも、作業者の経験や技量に頼ることなく得ることのできる染色体染色方法その装置を提供する。
【解決手段】 サンプルの有核細胞浮遊液を展開した標本スライドに対する染色の初期工程において、染色を不安定にする染色阻害物質を超純水で溶出除去し、あるいは、減圧脱気して除去する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、特に、検体標本の染色体分析におけるトリプシン・ギムザ染色に有用な染色体染色方法およびその装置に関する。
現在、染色体検査に用いられる染色体Gバンド染色(トリプシン・ギムザ染色法。以下、ギムザ染色法という)では、用手法により有核細胞浮遊液をスライドグラス上に滴下展開した標本スライドに、未だ作用が明確に解明されていないエージングと称される操作が経験的に行われている。
標本スライドのエージングは、染色体を良好に染色することを目的として行われるものであり、標本スライドの作製方法によって異なるが、サンプルの有核細胞浮遊液を展開した標本スライドを、室温の環境下に於いては7〜10日、60℃恒温器内の環境下に於いては1〜3日放置する操作をさす(実施例1参照)。しかしながら、その放置時間や放置する環境設定は確立されていない。
また、標本スライドを作製した当日に染色するときには、標本スライドを過酸化水素(31%)に30〜60秒間浸漬してから、十分に洗浄することで前記エージングの効果を得ることができる(実施例2参照)。
さらに、標本スライドはエージング効果によって後に作用させるトリプシン処理の最適時間が短くなるといった特徴があり、トリプシン処理の時間が1秒異なっただけでも結果が大きく変化する。そして、そのトリプシン処理に用いるトリプシンの濃度に関しても、バンド染色を行う研究室毎あるいは施設毎に異なり、その数値は0.0125%〜0.1%程度まで様々であって、基準は確立されていない(実施例1乃至3参照)。
また、染色効果は、トリプシン処理が不十分であると、染色体のバンドパターンが現れずに染色体全体がギムザ液によって濃く染色されてしまい、標本としては不適なものとなる。逆に、トリプシン処理時間が長すぎ、過剰なトリプシン処理を行った染色体は、染色体の周辺部が毛羽立つような様を呈し、ギムザ液で染色することができない。
ここで、ギムザ染色法の評価方法として、一般に知られている吸光度法による数値評価を行った結果を示す。
図10の染色体と染色評価位置に示すように、染色体外の明るいところの平均値(Is)、白バンド(Iw)、黒バンド(Ib)とするとき、それぞれの吸光度(absorbance)Aw, Abと評価数値Enは、次の式で求めることができる。
Aw = log(Is/Iw)
Ab = log(Is/Ib)
En = Ab − Aw
= log(Is/Ib) − log(Is/Iw)
= log(Iw/Ib)
また、図11乃至図13は、トリプシン処理時間をそれぞれ5秒、10秒、20秒として異ならせた場合におけるGバンド画像を示している。このようにトリプシン処理時間を変化させた場合の染色濃度(吸光度)値ODをグラフにすると図14に示すような関係が得られる。ただし、グラフはトリプシン濃度0.1%液を用いて処理した場合であって、トリプシン濃度が低くなると評価値Enの最大点はトリプシン処理時間が長い方に移動する。
画像とグラフの関係を説明すると、トリプシン処理を5秒とした時はバンドの白及び黒がともに濃く染まっており、トリプシン処理を20秒とした時はこれに比べてバンドの白及び黒がともに明るい方にシフトしている。このため、トリプシン5秒及び20秒の画像は評価値がともに低く0.2程度を示している。これに比較して、トリプシン処理を10秒とした時はバンドの白いところが明るく、バンドの黒いところが濃く染まっているのがみられ、評価値は0.5以上となり、よいコントラストを呈している。
また、以下には、ギムザ染色法で所望のバンド展開を得るためのプロトコルの3つの従来例を示す。なお、図15乃至図17は、各従来例のフローチャートである。
従来例1(図15参照):
まず、標本スライドを、室温の環境下で7〜10日放置し、あるいは、60℃恒温器で1〜3日放置して、エージング処理を行う(ステップST101)。
続いて、10〜60秒間、エージング処理済みの標本スライドに0.05%トリプシン溶液をマウントし(ステップST102)、リン酸緩衝液で軽く洗浄した後(ステップST103)、さらに70%のアルコールに浸漬した状態で2〜3回上下動させ、振り洗いする(ステップST104)。
次に、95%アルコールに浸漬し、軽く馴染ませてから標本スライドを取り出し(ステップST105)、アルコールを十分に蒸発させる(ステップST106)。
続いて、5〜10分間、標本スライドにギムザ液をマウントし(ステップST107)、続いて蒸留水で十分に洗浄し(ステップST108)、乾燥させて(ステップST109)、染色体染色を完了させる。
従来例2(図16参照):
まず、標本スライドを、室温の環境下で1日放置し(ステップST201)、前記標本スライドに31%過酸化水素を5〜7分マウントして静置し(ステップST202)、その後、水道水で洗浄してエージング処理を行う(ステップST203)。
続いて、1時間、40℃恒温器で放置して乾燥させる(ステップST204)。
そして、7〜10数秒、エージング処理済みの標本スライドに0.025〜0.05%トリプシン溶液をマウントし(ステップST205)、蒸留水に瞬間浸漬した後(ステップST206)、数十秒、70%アルコールに浸漬して放置した後(ステップST207)、取り出してアルコール滴を除去する(ステップST208)。
その後、5〜10分間、標本スライドをギムザ液に浸漬し(ステップST209)、続いて水道水で十分に洗浄し(ステップST210)、乾燥させて(ステップST211)、染色体染色を完了させる。
従来例3(図17参照):
まず、標本スライドを、37℃恒温器で6〜10日放置してエージング処理を行う(ステップST301)。
続いて、7〜9秒、エージング処理済みの標本スライドに0.1%トリプシン溶液をマウントし(ステップST302)、8.5%生理食塩水で軽く洗浄した後(ステップST303)、さらに、蒸留水で十分に洗浄する(ステップST304)。
その後、5〜10分間、標本スライドを5%ギムザ液に浸漬し(ステップST305)、続いて蒸留水で十分に洗浄し(ステップST306)、乾燥させて(ステップST307)、染色体染色を完了させる。
古床敏,吉田廸弘,阿部達生,福嶋義光,近藤郁子 著,「臨床染色体診断法」,第1版,金原出版,1996年10月31日,P.105 奈良信雄 著,「遺伝子・染色体検査学」,第1版,医歯薬出版,2002年2月,P.87 日本臨床衛生技師会 編,「臨床検査 遺伝子・染色体検査教本」,第1版,近代出版,1998年8月,P.137
このように、従来における染色体染色の方法は、処理や作用時間などが異なるのが現実であり、当然、染色結果も同様に一様ではない。このため、経験豊富な作業者であっても、展開不良を見込んで、予め同じサンプルの有核細胞浮遊液を展開した標本スライドを複数枚準備し、各スライド毎の染色体の状態を見ながら、トリプシンの処理時間等の諸条件を変えて染色処理を進め、用意した複数枚の標本スライドのうちの少なくとも1枚がバンド分析に適するものとなるように努めて、標本スライドを作製しているのが現状である。
また、従来の染色体の染色方法では染色時間や染色液濃度を試料により異ならせており、その加減も前述のように決まった基準がなく、作業者の経験や試行錯誤に頼っているため、1回の染色作業で安定した染色が得られるとは限られないのが現実である。
さらに、有核細胞浮遊液を展開して標本スライドができてから染色体の染色が完了するまでに最長10日もかかっているのが現実であり、この時間の短縮は改善課題の1つであるといえる。
そこで、本発明は、標本スライドの染色体の染色を均質、且つ、短時間で、しかも、作業者の経験や技量に頼ることなく得ることのできる染色体染色方法およびその装置を提供することを目的とするものである。
前述した目的を達成するため、本発明の染色体染色方法においては、サンプルの有核細胞浮遊液を展開した標本スライドに対する染色の初期工程において、染色を不安定にする染色阻害物質を超純水で溶出除去し、あるいは、減圧脱気して除去する。
また、本発明の染色体染色装置においては、サンプルの有核細胞浮遊液を展開した標本スライドに付着した前記染色阻害物質を、超純水で洗浄除去するための構成、あるいは、減圧脱気した環境下で脱離除去するための構成を備える。
本発明の染色体染色方法によれば、標本スライドの染色体染色のトリプシン処理を短時間とするとともに、染色を均質にすることができ、複数の標本スライドを用意しなくても、100%に近い確率で所望の染色体の染色展開スライドを得ることができるので、作業効率を向上させることができる。
また、本発明の染色体染色装置によれば、作業者の経験や技量に頼ることなく、染色体の染色作業を一元化、機械化することができ、作業効率を向上させることができる。
まず、本発明の染色体染色方法の実施形態を説明する。
図1は、標本スライドの染色体染色におけるトリプシンによる処理前に、染色体の染色を不安定にする染色阻害物質を超純水で溶出除去する工程を有する、本発明の第1実施形態を示すフローチャートである。
なお、超純水は、純水よりもさらに純度が高く、純度を導電率で表した場合に純水が100μS/m以下とされるのに対し、6μS/m以下とされている、一般的なものを意味する。
本実施形態においては、まず、10分間、標本スライドを超純水を用いて洗浄し(ステップST1)、染色を不安定にする染色阻害物質を溶出除去する。その後、洗浄空気で水滴を除去する(ステップST2)。
続いて、5〜7分間、前記標本スライドに31%過酸化水素をマウントして静置し(ステップST3)、その後、洗浄空気で水滴を除去する(ステップST4)。
次に、2分間、70%エタノール液をマウントし(ステップST5)、その後、洗浄空気でエタノール滴を除去する(ステップST6)。なお、このステップST5およびステップST6の工程は省略可能である。
そして、30秒間、蒸留水洗浄し(ステップST7)、その後、洗浄空気で水滴を除去する(ステップST8)。
続いて、10秒間、エージング処理済みの標本スライドに0.1%トリプシン溶液をマウントして静置する(ステップST9)。
その後、2秒間、8.5%生理食塩水で洗浄し(ステップST10)、続けて、30秒間、蒸留水で洗浄した後(ステップST11)、洗浄空気で水滴を除去する(ステップST12)。
その後、10分間、前記標本スライドにギムザ液をマウントして静置する(ステップST13)。
そして、30秒間、蒸留水で洗浄した後(ステップST14)、洗浄空気で水滴を除去し(ステップST15)、染色体染色の工程を完了させる。
また、図2は、標本スライドの染色体染色におけるトリプシンによる処理前に、染色体の染色を不安定にする染色阻害物質を減圧脱気により除去する工程を有する、本発明の第2実施形態を示すフローチャートである。
本実施形態においては、まず、0.5KPaに減圧し、脱気した環境下に、20分間、標本スライドを放置し(ステップST21)、染色を不安定にする染色阻害物質を脱離させて除去する。
続いて、5分間、前記標本スライドに31%過酸化水素をマウントして静置し(ステップST22)、その後、洗浄空気で水滴を除去する(ステップST23)。
次に、2分間、70%エタノール液をマウントし(ステップST24)、その後、洗浄空気でエタノール滴を除去する(ステップST25)。
そして、30秒間、蒸留水で洗浄し(ステップST26)、その後、洗浄空気で水滴を除去する(ステップST27)。
続いて、10秒間、エージング処理済みの標本スライドに0.1%トリプシン溶液をマウントして静置する(ステップST28)。
その後、2秒間、8.5%生理食塩水で洗浄し(ステップST29)、続けて、30秒間、蒸留水で洗浄した後(ステップST30)、洗浄空気で水滴を除去する(ステップST31)。
その後、10分間、前記標本スライドにギムザ液をマウントして静置し(ステップST32)、30秒間、蒸留水で洗浄した後(ステップST33)、洗浄空気で水滴を除去し(ステップST34)、染色体染色の工程を完了させる。
このいずれの方法によっても、標本スライドのGバンドの染色状態は、一様に均質なものとなり、従来のように複数の標本スライドを用意しなくても、100%に近い確率で所望の染色体の染色展開スライドを得ることができた。
また、これらの染色体の染色方法は、時には10日間にも及んでいた従来のエージング処理に相当する処理を、前記第1実施形態に示した超純洗浄浄による染色プロトコルにおいては、ステップST1乃至ステップST8の工程で20分弱、第2実施形態に示した減圧脱気による染色プロトコルにおいては、ステップST21乃至ステップST27の工程で25分弱と極めて短時間で行い、さらに、標本スライドの染色体染色のトリプシン処理も細かな調整を要することなく、一律に10秒とする短時間で行うことができ、作業効率を向上させることができた。
なお、ここでトリプシン処理の時間について、経験による調整等を不要として一律に10秒間としたのは、図14に示した、前述の吸光度法による数値評価を行った結果に基づくものである。よって、そのトリプシン処理の時間としては、0.5程度の評価値を確保することのできる8〜12秒程度で一律に設定すれば、バンド染色の良好なコントラストを得ることができる。
また、図3には、前記第1実施形態の染色体染色方法のステップST1において使用することができるスライド洗浄装置1の一例を示す。
このスライド洗浄装置1は、スライド上下機構を構成する板状の円盤2を有している。前記円盤2は、略鉛直状に配置されるようにして図示しない駆動源の回転軸3に軸支され、前記駆動源の駆動により往復回動自在とされている。そして、前記円盤2の外周辺の一部には、1本のロープ4の一端部が取付けられている。
また、前記ロープ4の他端部には複数枚の標本スライド5を吊持可能とされたスライド支持体6が連結されている。そして、前記ロープ4の中間部は、前記回転軸3と略同じ高さで、前記回転軸3と平行に位置するようにして配設された支点軸7に対して前記円盤2の回動に伴って移動可能に係支されており、前記スライド支持体6は、前記支点軸7から下方へ前記ロープ4で吊下されて保持されている。
前記支点軸7の配置位置における下方には、一定量の超純水8を貯留可能とされた貯留槽9が配置されており、前記ロープ4は、前記スライド支持体6に吊持された標本スライド5を、前記貯留槽9に貯留された超純水8に浸漬した状態で上下動可能な長さに調整されている。例えば、前記ロープ4の長さは、円盤2に取付けられた一端部が最も前記支点軸7に近接する時に、前記スライド支持体6に吊持された標本スライド5が前記貯留槽9内における最下点位置に達し、前記円盤2の回動動作において、前記一端部が前記支点軸7から最も離間する時に、前記スライド支持体6に吊持された標本スライド5が前記貯留槽9内における最上点位置に達するように調整する。
このような構成のスライド洗浄装置1においては、前記スライド支持部に1乃至複数の標本スライド5の一端部を把持させた状態で吊下させ(吊持状態)、前記貯留槽9に貯留されている超純水8に前記標本スライド5の他端部側を浸す。
そして、前記円盤2の駆動源を駆動させて前記円盤2を往復回動させることにより、ロープ4の一端部を、前記支点軸7から略水平方向に離間させたり近接させたりする。そのとき、梃子(テコ)の原理により、前記ロープ4の他端部に連結されたスライド支持体6とそれに吊持されている標本スライド5は、前記支点軸7から鉛直方向(上下方向)に移動し、標本スライド5の表面が前記超純水8によって濯がれ、洗浄されることとなる。
前述の第1実施形態においては、このスライド洗浄装置1を10分間駆動させ、標本スライド5を超純水で洗浄すればよい。
また、図4には、前記第2実施形態の染色体染色方法のステップST21において使用することができる減圧脱気装置の一例を示す。
この減圧脱気装置11は、標本スライド5を収納可能とされており、密閉可能な真空チャンバ12を有している。前記真空チャンバ12には、吸気用バルブV11を備え、前記吸気用バルブV11の開閉により吸気の流通を制御可能とされた吸気パイプ13の端部が連接されている。また、前記真空チャンバ12には、真空ポンプ14と排気用バルブ15を備え、前記排気用バルブ15の開閉により排気の流通を制御可能とされた排気パイプV12の端部が連接されている。
このような構成の減圧脱気装置11においては、前記真空チャンバ12内に標本スライド5を収納した状態で、前記排気用バルブV12を開状態とし、真空ポンプ14を駆動させて、前記真空チャンバ12内の気圧を所望の値とするまで、その空気を真空チャンバ12外へ排気(脱気)する。そして、前記真空チャンバ12内が所望の気圧状態に減圧されたところで、再び前記排気用バルブV12を閉状態とするとともに真空ポンプ14の駆動を停止する。この減圧状態を解除する際には、前記吸気用バルブV11を開状態とし、外部空気を前記真空チャンバ12内へ吸気するようにする。
前述の第2実施形態においては、この減圧脱気装置11の真空チャンバ12内を0.5KPaとし、その中で標本スライド5を20分間放置すればよい。
このように構成された前記第1実施形態、第2実施形態のいずれの染色体染色方法によっても、サンプルの有核細胞浮遊液を展開した標本スライドに対する染色の初期工程において、染色を不安定にする染色阻害物質を超純水で溶出除去するか、あるいは、減圧脱気して除去することで、標本スライドの染色体染色のトリプシン処理を短時間とするとともに、染色を均質にすることができ、複数の標本スライドを用意しなくても、100%に近い確率で所望の染色体の染色展開スライドを得ることができる。
また、図5は、前述した本発明の染色体染色方法の第1実施形態を全自動で実施可能な構成を有する、染色体染色装置の第1実施形態を示す要部平面図であり、図6はその要部正面図である。
この第1実施形態の染色体染色装置21は、図6に示すように、本体22aと蓋体22bとからなるチャンバ22と、回転軸24の先端を前記チャンバ22内に位置させるテーブル回転装置としての駆動モータ23と、前記回転軸24の開放端部に固定され、チャンバ22内に配設される回転テーブル25と、前記チャンバ22内の所定位置にニードル26の開放先端部を位置させるようにして配設された複数の試薬ボトル27と、同じくノズル29の開放先端部を位置させるようにして配設されたエアフィルタ装置28を有している。
前記チャンバ22の本体22aは、平面形状が円形で略凹状とされており、その底部には、円形の底部と同心とするドーナツ状の溝部30が形成されている。この溝部30には、染色体の染色に用いられた廃液が回収される。そして、前記底部の中心には、前記チャンバ22の下方に配設された前記駆動モータ23の断面鍵穴形状とされた回転軸24が防水軸受け32を介して前記チャンバ22内に突出し、回転自在に配設されている。また、前記溝部30を構成する底部には、前記染色体の染色に用いられた廃液を当該チャンバ22外に配設された廃液タンク33へ排出する排水パイプ31が連接されている。
前記回転テーブル25は、図6および図7に示すように、その中心点から放射状に8つの標本スライド載置部34が等間隔で配設された略星型の外形状とされている。このような形状とされた回転テーブル25は、滴下された試液等を、隣位の標本スライド載置部34間に形成された扇形の間隙から、チャンバ22の本体22aの底部に形成された溝部30内に回収することができる。また、前記中心点には鍵穴型の軸孔35が形成されており、前記駆動モータ23の回転軸24に対し、常に前記標本スライド載置部34の位置を一定にし嵌合させ得るように構成されている。
また、前記回転テーブル25を回転させるテーブル回転装置としての駆動モータ23は、本実施形態においては回転角45°を最小単位として、制御部からの制御信号に基づいて、その整数倍の回転角で正逆双方向に回転可能とされている。すなわち、本実施形態においては、前記駆動モータ23の回転制御により、前記回転テーブル25に形成された標本スライド載置部34は前記チャンバ22内における、45°づつ相互に角度を隔てた8カ所の停止位置(SP1乃至SP8)に停止するように構成されている。そして、前記標本スライド載置部34の8つの停止位置のうちの7つの停止位置には、チャンバ22外に配設された7つの試薬ボトル27にそれぞれ接続され、前記チャンバ22の本体22aの側壁を貫通して当該チャンバ22内に臨むニードル26の解放先端部が、前記標本スライド載置部34の中央部に位置するようにして配設されている。前記各ニードル26の中間部には、所定量の薬液等を注入するためのポンプPがそれぞれ配設されている。
また、前記標本スライド載置部34の8つの停止位置のうちの残りの1つの停止位置には、前記チャンバ22の本体側壁を貫通して当該チャンバ22内に臨み、エアフィルタ装置28を通過した洗浄空気をチャンバ22内に供給するためのノズル29の開放先端部が、前記標本スライド載置部34の中央部に位置するようにして配設されている。このノズル29の中間部にも、所定量の洗浄空気を吹入するためのポンプPが配設されている。
本実施形態においては、前記チャンバ22内の図5における12時方向位置、3時方向位置、6時方向位置、および9時方向位置と、それぞれの中間位置の8箇所が前記停止位置とされている。そして、図5における6時方向の停止位置(以下、停止位置SP1)には、洗浄用蒸留水の試薬ボトル27のニードル26が配置され、停止位置SP1から時計回りに45°回転した停止位置(以下、停止位置SP2)には、超純水の試薬ボトル27のニードル26が配置されている。また、前記停止位置SP2から時計回りに45°回転した停止位置(以下、停止位置SP3)には、過酸化水素の試薬ボトル27のニードル26が配置されており、停止位置SP3から時計回りに45°回転した停止位置(以下、停止位置SP4)には、エタノール液の試薬ボトル27のニードル26が配置されている。そして、図5における12時方向の停止位置で、前記停止位置SP4から時計回りに45°回転した停止位置(以下、停止位置SP5)には、エアフィルタ装置28のノズル29が配置されている。また、停止位置SP5から時計回りに45°回転した停止位置(以下、停止位置SP6)には、生理食塩水の試薬ボトル27のニードル26が配置されており、停止位置SP6から時計回りに45°回転した停止位置(以下、停止位置SP7)には、トリプシン液の試薬ボトル27のニードル26が配置され、さらに、停止位置SP7から時計回りに45°回転した停止位置(以下、停止位置SP8)には、ギムザ液の試薬ボトル27のニードル26が配置されている。
そして、前記駆動モータ23、前記各ニードル26に配設されたポンプPおよびノズル29に配設されたポンプPは、それぞれ当該染色体染色装置21の駆動制御を行う制御部39と接続されており、前記制御部39において前記駆動モータ23の正逆双方向における回転量(回転角)の制御と、各試液や洗浄空気の供給量の制御が前記制御部39によって行われる構成とされている。
前記制御部39は、前述の第1実施形態の染色体染色方法を当該染色体染色装置において実行する場合、次のように前記駆動モータ23の正逆双方向における回転と、各試薬ボトル27やエアフィルタ装置28のポンプPの駆動とその時間を制御する。前記ポンプPの駆動時間とニードル26の管径を管理することにより、試薬の供給量を調整することができる。また、前記制御部39は、処理中の標本スライド5を静置させる時間をも管理制御するようになっている。
以下には、前記制御部39の制御について説明するが、その際、前記チャンバ22内には、前記回転テーブル25が前記駆動モータ23の回転軸24に対して係合されており、前記回転テーブル25の各標本スライド載置部34にはそれぞれ標本スライド5が載置されていることを前提とする。また、前記回転テーブル25を、45°ずつ時計回り又は反時計回りに回転させて、各標本スライド5に順次同じ工程処理を施したのち、次工程に移るように制御するものとし、以下の説明においては、同一の工程を施すために、前記回転テーブル25を45°ずつ8回に亘って回転駆動させる制御については説明を省略する。なお、1枚の標本スライド5に対し、染色体染色の全工程を施した後、次の1枚の標本スライド5に対する染色を行うように制御することも可能であるし、さらには、前記回転テーブル25の標本スライド載置部34のうち選択した特定の標本スライド載置部34に載置された標本スライド5のみに対し、染色体染色を行うように制御することも可能である。
本実施形態においては、まず、前記制御部39は、目的の標本スライド5を停止位置SP2に停止させるように、前記駆動モータ23の駆動を制御し、続いて、前記停止位置SP2に臨む超純水のニードル26のポンプP2の駆動を制御し、所定時間(例えば、10分間)、超純水を前記停止位置SP2に配置された標本スライド5の上面に注入する。これにより、前記標本スライド5を超純水を用いて洗浄することができる。
そして、前記制御部39は、目的の標本スライド5を停止位置SP5に停止させるように、前記駆動モータ23の駆動を制御し、続いて、前記停止位置SP5に臨むエアフィルタ装置28のノズル29のポンプP5の駆動を制御し、洗浄空気に前記標本スライド5の上面に吹き付ける。このときの洗浄空気により、残留する水滴を除去することができる。
次に、前記制御部39は、目的の標本スライド5を停止位置SP3に停止させるように、前記駆動モータ23の駆動を制御し、続いて、前記停止位置SP3に臨む31%過酸化水素のニードル26のポンプP3の駆動を制御し、所定量の31%過酸化水素を前記標本スライド5上に滴下し、その状態で、所定時間(例えば、5〜7分間)放置する制御を行う。
そして、前記制御部39は、目的の標本スライド5を停止位置SP5に停止させるように、前記駆動モータ23の駆動を制御し、続いて、前記停止位置SP5に臨むエアフィルタ装置28のノズルのポンプP5の駆動を制御し、洗浄空気を前記標本スライド5の上面に吹き付ける。このときの洗浄空気により、残留する過酸化水素を除去することができる。
続いて、前記制御部39は、目的の標本スライド5を停止位置SP4に停止させるように、前記駆動モータ23の駆動を制御し、続いて、前記停止位置SP4に臨むエタノール液のニードル26のポンプP4の駆動を制御し、所定量のエタノールを前記標本スライド5上に滴下し、その状態で、所定時間(例えば、2分間)放置する制御を行う。
そして、前記制御部39は、目的の標本スライド5を停止位置SP5に停止させるように、前記駆動モータ23の駆動を制御し、続いて、前記停止位置SP5に臨むエアフィルタ装置28のノズル29のポンプP5の駆動を制御し、洗浄空気を前記標本スライド5の上面に吹き付ける。このときの洗浄空気により、残留するエタノール液(アルコール)を除去することができる。
その後、前記制御部39は、目的の標本スライド5を停止位置SP1に停止させるように、前記駆動モータ23の駆動を制御し、続いて、前記停止位置SP1に臨む蒸留水のニードル26のポンプP1の駆動を制御し、所定時間(例えば、30秒間)、前記標本スライド5を蒸留水で洗浄する。
そして、前記制御部39は、目的の標本スライド5を停止位置SP5に停止させるように、前記駆動モータ23の駆動を制御し、続いて、前記停止位置SP5に臨むエアフィルタ装置28のノズルのポンプP5の駆動を制御し、洗浄空気を前記標本スライド5の上面に吹き付ける。このときの洗浄空気により、残留する水滴を除去することができる。
続いて、前記制御部39は、目的の標本スライド5を停止位置SP7に停止させるように、前記駆動モータ23の駆動を制御し、続いて、前記停止位置SP7に臨むトリプシン溶液のニードル26のポンプP7の駆動を制御し、エージング処理済みの標本スライド5にトリプシン溶液を滴下してマウントし、その状態で所定時間(例えば、10秒間)放置する制御を行う。
その後、前記制御部39は、目的の標本スライド5を停止位置SP6に停止させるように、前記駆動モータ23の駆動を制御し、続いて、前記停止位置SP6に臨む生理食塩水のニードル26のポンプP6の駆動を制御し、前記標本スライド5を所定時間(例えば、2秒間)、生理食塩水で洗浄する。
続けて、前記制御部39は、目的の標本スライド5を再び停止位置SP1に停止させるように、前記駆動モータ23の駆動を制御し、続いて、前記停止位置SP1に臨む蒸留水のニードル26のポンプP1の駆動を制御し、前記標本スライド5を所定時間(例えば、30秒間)、蒸留水で洗浄する。
そして、前記制御部39は、目的の標本スライド5を再び停止位置SP5に停止させるように、前記駆動モータ23の駆動を制御し、続いて、前記停止位置SP5に臨むエアフィルタ装置28のノズルのポンプP5の駆動を制御し、洗浄空気を前記標本スライド5の上面に吹き付ける。このときの洗浄空気により、残留する水滴を除去することができる。
その後、前記制御部39は、目的の標本スライド5を停止位置SP8に停止させるように、前記駆動モータ23の駆動を制御し、続いて、前記停止位置SP8に臨むギムザ液のニードル26のポンプP8の駆動を制御し、標本スライド5にギムザ液を滴下してマウントし、その状態で所定時間(例えば、10分間)放置する制御を行う。
そして、前記制御部39は、目的の標本スライド5を再び停止位置SP1に停止させるように、前記駆動モータ23の駆動を制御し、続いて、前記停止位置SP1に臨む蒸留水のニードル26のポンプP1の駆動を制御し、前記標本スライド5を所定時間(例えば、30秒間)、蒸留水で洗浄する。
そして、その後、前記制御部39は、目的の標本スライド5を再び停止位置SP5に停止させるように、前記駆動モータ23の駆動を制御し、続いて、前記停止位置SP5に臨むエアフィルタ装置28のノズルのポンプP5の駆動を制御し、洗浄空気を前記標本スライド5の上面に吹き付ける。このときの洗浄空気により、残留する水滴を除去することができる。
このような前記制御部39による駆動制御により、例えば、前述した染色体染色の工程を完了させることができる。
また、図8は、前述した本発明の染色体染色方法の第2実施形態を実施可能な構成を有する、染色体染色装置の第2実施形態を示す要部平面図であり、図9はその要部正面図である。そして、図8は、前述の染色体染色装置の第1実施形態を示す図5に対応し、図9は、同じく図6に対応する。
この第2実施形態の染色体染色装置は、前述した第1実施形態の染色体染色装置21の構成と略同様の構成とされている。以下では、共通点については詳しい説明を省略し、その相違点について説明する
本実施形態の染色体染色装置21は、減圧脱気の環境下でエージング処理の一部を行う染色体染色方法を実行するための装置である。よって、本実施形態の染色体染色装置21においては、前記チャンバ22の蓋体22bを閉じた状態における本体22aと蓋体22bとの間隙がシーリング材41によりシールされるように構成されている。また、本実施形態においてはテーブル回転装置として、チャンバ22の内外に対向させるようにしてそれぞれ配設された磁気42の磁力を利用して前記回転テーブル25を所定角度で回転駆動させる公知の磁気モータ43が利用されている。そして、前記第1実施形態において前記チャンバ22内の標本スライド5の各停止位置SP1乃至SP8に臨む各試薬ボトル27のニードル26とエアフィルタ装置28のノズル29に配設されたポンプPに代えてバルブVが配設されており、さらに、前記廃液タンク33に接続されるパイプPにも、廃液の流通を制御するバルブV10が配設されている。また、本実施形態においては、前記チャンバ22の本体22aには、当該チャンバ22内のエアを吸引するための真空ポンプ44と接続された真空用パイプ45が連接されており、前記真空用パイプ45には負圧を除去するためのバルブV9を備える枝管46が連接されている。また、前記チャンバ22には、前記チャンバ22内の圧力を測定する圧力計47が配設されている。
そして、前記テーブル回転装置、前記各ニードル26、ノズル、パイプに配設された各バルブ、真空ポンプ、および圧力計は、それぞれ当該染色体染色装置の駆動制御を行う制御部39と接続されており、前記制御部39において、チャンバ22内の減圧と減圧解除、前記テーブル回転装置としての磁気モータ43の正逆双方向における回転量(回転角)の制御、および、各試薬や洗浄空気の供給量の制御が前記制御部39によって行われる構成とされている。
以下には、本第2実施形態における前記制御部39の制御について説明する。
本実施形態において前記制御部39は、チャンバ22内に回転テーブル25を配設し、回転テーブル25の標本スライド載置部34に標本スライド5を載置し、チャンバ22内の密閉した状態で、前記真空ポンプ45の駆動を制御し、圧力計を観察しながら、チャンバ22内を0.5KPaに減圧する制御を行い、所定時間(例えば、20分間)、前記標本スライド5をその脱気した環境下に放置する制御を行う。
その後、前記制御部39は、前記減圧解除バルブV9の開閉を制御し、後工程においてバルブVが開放された試液ボトルから良好に試液をチャンバ22内に吸引するため、0.05MPa程度にまで減圧状態を解除する。
次に、前記制御部39は、目的の標本スライド5を停止位置SP3に停止させるように、前記磁気モータ43の駆動を制御し、続いて、前記停止位置SP3に臨む31%過酸化水素のニードル26のバルブV3の開閉を制御し、所定量の31%過酸化水素を前記標本スライド5上に滴下し、その状態で、所定時間(例えば、5分間)放置する制御を行う。
そして、前記制御部39は、目的の標本スライド5を停止位置SP5に停止させるように、前記磁気モータ43の駆動を制御し、続いて、前記停止位置SP5に臨むエアフィルタ装置28のノズルのバルブV5の開閉を制御し、洗浄空気を前記標本スライド5の上面に吹き付ける。このときの洗浄空気により、残留する過酸化水素を除去することができる。
続いて、前記制御部39は、目的の標本スライド5を停止位置SP4に停止させるように、前記磁気モータ43の駆動を制御し、続いて、前記停止位置SP4に臨むエタノール液のニードル26のバルブV4の開閉を制御し、所定量のエタノールを前記標本スライド5上に滴下し、その状態で、所定時間(例えば、2分間)放置する制御を行う。
そして、前記制御部39は、目的の標本スライド5を停止位置SP5に停止させるように、前記磁気モータ43の駆動を制御し、続いて、前記停止位置SP5に臨むエアフィルタ装置28のノズルのバルブV5の開閉を制御し、洗浄空気を前記標本スライド5の上面に吹き付ける。このときの洗浄空気により、残留するエタノールを除去することができる。
その後、前記制御部39は、目的の標本スライド5を停止位置SP1に停止させるように、前記磁気モータ43の駆動を制御し、続いて、前記停止位置SP1に臨む蒸留水のニードル26のバルブV1の開閉を制御し、所定時間(例えば、30秒間)、前記標本スライド5を蒸留水で洗浄する。
そして、前記制御部39は、目的の標本スライド5を停止位置SP5に停止させるように、前記磁気モータ43の駆動を制御し、続いて、前記停止位置SP5に臨むエアフィルタ装置28のノズルのバルブV5の開閉を制御し、洗浄空気を
前記標本スライド5の上面に吹き付ける。このときの洗浄空気により、残留する水滴を除去することができる。
続いて、前記制御部39は、目的の標本スライド5を停止位置SP7に停止させるように、前記磁気モータ43の駆動を制御し、続いて、前記停止位置SP7に臨むトリプシン溶液のニードル26のバルブV7の開閉を制御し、エージング処理済みの標本スライド5にトリプシン溶液を滴下してマウントし、その状態で所定時間(例えば、10秒間)放置する制御を行う。
その後、前記制御部39は、目的の標本スライド5を停止位置SP6に停止させるように、前記磁気モータ43の駆動を制御し、続いて、前記停止位置SP6に臨む生理食塩水のニードル26のバルブV6の開閉を制御し、前記標本スライド5を所定時間(例えば、2秒間)、生理食塩水で洗浄する。
続けて、前記制御部39は、目的の標本スライド5を再び停止位置SP1に停止させるように、前記磁気モータ43の駆動を制御し、続いて、前記停止位置SP1に臨む蒸留水のニードル26のバルブV1の開閉を制御し、前記標本スライド5を所定時間(例えば、30秒間)、蒸留水で洗浄する。
そして、前記制御部39は、目的の標本スライド5を再び停止位置SP5に停止させるように、前記磁気モータ43の駆動を制御し、続いて、前記停止位置SP5に臨むエアフィルタ装置28のノズルのバルブV5の開閉を制御し、洗浄空気を前記標本スライド5の上面に吹き付ける。このときの洗浄空気により、残留する水滴を除去することができる。
その後、前記制御部39は、目的の標本スライド5を停止位置SP8に停止させるように、前記磁気モータ43の駆動を制御し、続いて、前記停止位置SP8に臨むギムザ液のニードル26のバルブV8の開閉を制御し、標本スライド5にギムザ液を滴下してマウントし、その状態で所定時間(例えば、10分間)放置する制御を行う。
そして、前記制御部39は、目的の標本スライド5を再び停止位置SP1に停止させるように、前記磁気モータ43の駆動を制御し、続いて、前記停止位置SP1に臨む蒸留水のニードル26のバルブV1の開閉を制御し、前記標本スライド5を所定時間(例えば、30秒間)、蒸留水で洗浄する。
そして、その後、前記制御部39は、目的の標本スライド5を再び停止位置SP5に停止させるように、前記磁気モータ43の駆動を制御し、続いて、前記停止位置SP5に臨むエアフィルタ装置28のノズルのバルブV5の開閉を制御し、洗浄空気を前記標本スライド5の上面に吹き付ける。このときの洗浄空気により、残留する水滴を除去することができる。
このような前記制御部39による駆動制御により、例えば、前述した染色体染色の工程を完了させることができる。
なお、本実施形態においては、前述の染色体染色方法を実行する場合を想定した前記制御部39の制御を例示したため、図8に示す停止位置SP2には超純水を配置する必要がないが、超純水を用いるプロトコルとすれば、前記制御部39は、この停止位置SP2において超純水を用いる制御を行うことができることは云うまでもない。
このように構成された前記第1実施形態、第2実施形態のいずれの染色体染色装置によっても、標本スライドの染色体染色のトリプシン処理を短時間とするとともに、染色を均質にすることができ、複数の標本スライドを用意しなくても、100%に近い確立で所望の染色体の染色展開スライドを得ることができるので、作業効率を向上させることができる。
また、両実施形態の染色体染色装置によれば、作業者の経験や技量に頼ることなく、染色体の染色作業を一元化、機械化することができ、作業効率を向上させることができる。
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。例えば、前記試薬とその配設する停止位置SPとの関係は、前記実施形態に限るものではなく、自由に設定可能であるし、前記試薬の種類や濃度等も、自由に変更することが可能である。
また、前述の実施形態においては、ギムザ染色法における染色体染色の場合を以て説明したが、本願発明の染色方法は、これに限るものではなく、FISH用検体標本あるいはCGH用検体標本の染色体染色に於いても有用である。
本発明の染色体染色方法の第1実施形態を示すフローチャート 本発明の染色体染色方法の第2実施形態を示すフローチャート スライド洗浄装置の一実施形態の構成を示す説明図 減圧脱気装置の一実施形態の構成を示す説明図 本発明の染色体染色装置の第1実施形態を示す要部平面図 図5の染色体染色装置の要部正面図 回転テーブルの要図平面図 本発明の染色体染色装置の第2実施形態を示す要部平面図 図8の染色体染色装置の要部正面図 染色体とその染色評価位置を示す説明図 トリプシン処理時間を5秒とした場合におけるGバンドの状態を示す図 トリプシン処理時間を10秒とした場合におけるGバンドの状態を示す図 トリプシン処理時間を20秒とした場合におけるGバンドの状態を示す図 トリプシン処理時間を変化させた場合の染色濃度(吸光度)値ODを示すグラフ ギムザ染色法の第1従来例を示すフローチャート ギムザ染色法の第2従来例を示すフローチャート ギムザ染色法の第3従来例を示すフローチャート
符号の説明
1 スライド洗浄装置
2 円盤
3 回転軸
4 ロープ
5 標本スライド
6 スライド支持体
7 支点軸
8 超純水
9 貯留槽
11 減圧脱気装置
12 真空チャンバ
13 吸気パイプ
14 真空ポンプ
15 排気用パイプ
21 染色体染色装置
22 チャンバ
22a 本体
22b 蓋体
23 駆動モータ
24 回転軸
25 回転テーブル
26 ニードル
27 試薬ボトル
28 エアフィルタ装置
29 ノズル
30 溝部
31 排水パイプ
32 防水軸受
33 廃液タンク
34 標本スライド載置部
35 軸孔
39 制御部
41 シーリング材
42 磁気
43 磁気モータ
44 真空ポンプ
45 真空用パイプ
46 枝管
47 圧力計
P ポンプ
V バルブ
SP 停止位置

Claims (4)

  1. 染色体の染色を不安定にする染色阻害物質を超純水で溶出除去する工程を経た後に、標本スライドの染色体染色におけるトリプシンによる処理を行うことを特徴とする染色体染色方法。
  2. 染色体の染色を不安定にする染色阻害物質を減圧環境下において脱気除去する工程を経た後に、標本スライドの染色体染色におけるトリプシンによる処理を行うことを特徴とする染色体染色方法。
  3. 検体標本の染色体染色の工程を全自動で実行可能とする染色体染色装置であって、標本スライドの染色体染色におけるトリプシンによる処理工程前に、サンプルの有核細胞浮遊液を展開した標本スライドに付着した染色体の染色を不安定にする染色阻害物質を超純水で洗浄除去するための構成を備えたことを特徴とする染色体染色装置。
  4. 検体標本の染色体染色の工程を全自動で実行可能とする染色体染色装置であって、標本スライドの染色体染色におけるトリプシンによる処理工程前に、サンプルの有核細胞浮遊液を展開した標本スライドに付着した染色体の染色を不安定にする染色阻害物質を減圧脱気した環境下で脱離除去するための構成を備えたことを特徴とする染色体染色装置。
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