この従来のごみ等排出作業方法によると、引戸の取り外しを行わなければならないため、多くの手間と時間がかかり、したがって良好な作業性とならず、これの改善が望まれていた。
本発明の目的は、戸袋内部からのごみ等の排出を簡単に行えるようになる戸袋のごみ等排出構造を提供するところにある。
本発明に係る戸袋のごみ等排出構造は、開閉体が収納される戸袋に、戸袋内部と戸袋外部を連通させて戸袋内部のごみ等を排出可能とするごみ等排出部が設けられていることを特徴とするものである。
この戸袋のごみ等排出構造によると、戸袋には、戸袋内部と戸袋外部を連通させて戸袋内部のごみ等を排出可能とするごみ等排出部が設けられているため、このごみ等排出部を使用して戸袋内部のごみや異物の排出を行え、引戸等の開閉体の取り外しは不要であるため、ごみ等排出作業を短時間で簡単に行える。
ごみ等排出部の配置位置は、戸袋内部からのごみ等の排出を行える限りにおいて任意である。例えば、戸袋の上部や下部あるいはその中間部に形成してもよく、また、戸袋の正面や背面、側面に形成してよい。また、戸袋の外面の全部又は一部を形成している外面形成部材を着脱自在又は開閉自在とし、この取り外し又は開閉により戸袋にごみ等排出部を形成できるようにしてもよい。
しかし、ごみ等排出部は、より好ましくは戸袋の下部に設けるようにする。ごみ等は戸袋内部の下部に溜まるため、ごみ等排出部を戸袋の下部に設けることにより、ごみ等排出作業を一層容易に行えるようになる。
また、ごみ等排出部を戸袋の奥側(戸尻側)に設けることも好ましいことである。ごみや異物は引戸等の開閉体に押されて戸袋の奥側に移動し、その奥側に溜まりやすいからである。
また、ごみ等排出部は、戸袋内部のごみや異物を箒等の手清掃具で排出できるものでもよく、ごみ等排出部に掃除機の吸引管を挿入することにより戸袋内部のごみや異物を吸引、排出できるものでもよい。
また、戸袋の下部が上方へ立ち上がった立上部を有する下枠で形成されている場合には、ごみ等排出部をこの立上部に設けてもよい。このようにすると、下枠は金属で形成されて大きな強度を有するため、この下枠の強度を利用することによって開口部等によるごみ等排出部を大きな強度を有するものとして形成できるとともに、下枠だけの加工によりごみ等排出部を戸袋に形成できるため、戸袋全体を大きく構造変更する必要がなくなる。
また、戸袋に設けるごみ等排出部の戸袋内外方向における位置は任意であるが、このごみ等排出部を戸袋外面と面一又は略面一に設けることが好ましい。このようにすると、ごみ等排出部が戸袋の外面に沿って歩く人等の邪魔にならず、また、ごみ等排出部が戸袋内部に大きく窪んだ位置に形成されないため、その窪んだ個所にごみ等が溜まるのを防止できるようになる。
さらに、ごみ等排出部は常時開口しているものでもよく、蓋によって開閉自在となっているものでもよい。すなわち、ごみ等排出部は蓋を含まないものでもよく、蓋を含んだものでもよい。しかし、後者とすることがより好ましい。後者とすることにより、ごみ等排出作業時以外にごみ等排出部を通ってごみや異物が戸袋内部に入ることを防止でき、また、戸袋の外観を良好とすることができる。
このようにごみ等排出部を蓋を含んだものとした場合であって、ごみ等排出部を戸袋外面と面一又は略面一に設ける場合には、蓋を含んで戸袋外面と面一又は略面一とする。この場合の蓋は、スライド移動等による開閉移動中ではない蓋でもよく、開閉移動中ではないときと開閉移動中のときとの両方の蓋でもよい。
また、蓋は摘みで開閉操作されるものでもよく、摘みが設けられず、例えば、指が掛けられる凹部、凸部が形成されたものや摩擦部材が設けられたものでもよく、ドライバ等の工具や硬貨等で操作される操作部が設けられたものでもよい。
このような摘み、凹部、凸部、摩擦部材、操作部が蓋に設けられた場合には、これらを含めて蓋を戸袋外面と面一又は略面一に設けることが好ましい。
また、ごみ等排出部に開閉用の蓋を設ける場合には、ごみ等排出部を開閉するためのこの蓋の動作をスライド移動とさせることが好ましい。蓋のスライド移動でごみ等排出部が開閉されるようにすると、蓋が戸袋内部又は戸袋外部に突出することによりごみ等排出部を開閉することにはならないため、蓋の開閉動作を戸袋内外に対する影響を少なくして行わせることができるようになる。
なお、ここでいうスライド移動とは、水平方向の移動でもよく、上下方向の移動でもよく、これらの方向に対して傾斜した方向の移動でもよい。
また、ごみ等排出部をヒンジを中心に回動する蓋で開閉させるようにする場合には、この蓋がヒンジを中心に戸袋外側へ回動することによりごみ等排出部が開くようにすることが好ましい。蓋がヒンジを中心に戸袋内部へ回動することによりごみ等排出部が開くようにすると、戸袋内部に多量のごみ又は大きなごみや異物がある場合に蓋を開けることができなくなるからである。
このようにヒンジを中心に蓋が戸袋外側へ回動することによってごみ等排出部が開くようにした場合におけるそのヒンジは、軸方向が水平方向のものでもよく、垂直方向のものでもよく、これらの方向に対して傾斜した方向のものでもよい。
また、以上のようにごみ等排出部を蓋を含むものとする場合には、この蓋には、所定の人だけが開閉操作できるように、鍵を設けることが好ましい。
さらに、ごみ等排出部を前述のように戸袋の下部に形成する場合には、このごみ等排出部を、戸袋の下部外面に設けられた化粧幅木の一部を外観上形成している幅木模擬部材に設けてもよい。このようにすると、ごみ等排出部を化粧幅木の配置位置に設けているにもかかわらず、化粧幅木の一部を幅木模擬部材によって省略でき、また、ごみ等排出部を含めた戸袋の外観を良好とすることができる。
この幅木模擬部材は戸袋の下部を形成している下枠の立上部の部分でもよく、下枠とは別の部材でもよい。
また、戸袋内部と戸袋外部を連通させるごみ等排出部の形状、構造は任意であり、その一例はごみ等排出部を窓等の開口部とすることである。この開口部は矩形のものでもよく、円形や楕円のものでもよい。また、ごみ等排出部は短寸のものでもよく、長寸のものでもよく、短寸のものとする場合には、複数個並設してもよい。
ごみ等排出部の他の例は、戸袋の内部に配置された管部材でごみ等排出部を形成し、この管部材に、戸袋内部で開口したごみ等吸引口と、戸袋外部に向かって開口したごみ等排出口とを設け、このごみ等排出口に掃除機の吸引管等を接続できるようにすることである。これによると、戸袋の奥深いところまで管部材を挿入配置できるため、戸袋内部全体からごみや異物を排出できるようになる。
このようにごみ等排出部を戸袋の内部に配置した管部材とした場合において、戸袋外部に向かって開口する前記ごみ等排出口のその開口位置は任意であり、例えば、戸袋が上吊り式引戸のためのものであって、戸袋又は上吊り式引戸で開閉される開口部等の上部にその上吊り式引戸の駆動機構等を点検するための点検口が設けられている場合には、この点検口においてごみ等排出口を開口させてもよく、あるいは、上吊り式引戸等の引戸を収納するための戸袋の戸先側竪額縁や戸尻側竪枠にごみ等排出口を開口させてもよい。
この管部材のごみ排出口は戸袋の引戸移動方向と平行な面(戸袋の正面)に設けてもよいが、ごみ等排出口を戸袋の戸先側竪額縁や戸尻側竪枠に開口させた場合には、このごみ等排出口から戸袋の内部のごみ等を排出する作業を、戸袋の正面に沿って歩く人や戸袋の正面に沿って置かれる物等の障害とならずに行えるようになる。
また、ごみ排出部を戸袋の内部に配置した管部材とした場合には、この戸袋に圧搾空気を供給する圧搾空気供給手段を設け、この手段により戸袋の内部に圧搾空気を供給しながら管部材の前記ごみ等吸引口から戸袋内部のごみ等を吸引して戸袋外部に排出するようにしてもよい。このようにすると、戸袋の内部に溜まっているごみ等を圧搾空気によって加圧移動させながら管部材の前記ごみ等吸引口へ吸引させることができるようになり、一層有効に戸袋外部に排出できるようになる。
また、戸袋の内部に配置した管部材を戸袋の内部に圧搾空気を供給する圧搾空気供給手段としたり(この管部材が前述の戸袋内部に配置された管部材であって、前記ごみ等吸引口を空気噴出口に、前記ごみ等排出口を空気供給口に切り替え可能にした場合を含む)、逆作動によって空気を噴出する掃除機や、任意な部材等で構成された圧搾空気供給手段を戸袋を形成する部材に設けた接続口に接続することにより、戸袋の内部に圧搾空気を供給するようにし、この圧搾空気の圧力により、戸袋の内部に溜まっているごみ等を戸袋に設けられている前記ごみ等排出部から戸袋の外部へ強制排出するようしてもよい。
このようにした場合において、前記ごみ等排出部は、前述したとおり戸袋の下部等に特別に設けた窓等による開口部でよく、引戸等の開閉体を出入りさせるために戸袋の戸先側にもともと形成されているスリットでもよく、戸袋の戸先側を構成している部材を取り外すことによって形成されるものでもよく、本発明はこのようなごみ等排出部をも含む。
また、戸袋が設置される建物がセントラルクリーニングシステムを備えている場合には、ごみ等排出部をこのシステムの吸引口とし、セントラルクリーニングシステムの稼動により戸袋内部のごみや異物を自動的に吸引、排出するようにしてもよい。
以上説明した本発明に係る戸袋は、上吊り式の引戸や上下のレールに案内されて移動する雨戸等の一般的な引戸のための戸袋でもよく、また、可動式の間仕切りパネルのための戸袋でもよく、さらには開き戸のための戸袋でもよく、本発明は、任意な開閉体を収納するための戸袋に適用できる。
また、戸袋は両方の外面が外部に露出した外面形成部材で形成されているものでもよく、一方の外面が壁や柱等の建物構成部となっていて、他方の外面が外部に露出した外面形成部材で形成されているものでもよく、両方の外面が壁になっているもの、言い換えると壁収納型の戸袋になっているものでもよい。
また、戸袋の外面の一部が壁や柱等の建物構成部となっている場合であって、前記ごみ等排出部をスライド移動する蓋で開閉するようにした場合には、ごみ等排出部をこの建物構成部の近くに設け、スライド移動でごみ等排出部を開けた蓋がこの建物構成部の裏側に隠れるようにしてもよい。
以上説明した本発明に係る戸袋内部からごみ等を排出するための各種のごみ等排出構造は、それぞれのごみ等排出構造を単独で実施することもできるし、複数のごみ等排出構造を組み合わせても実施することもできる。
本発明によると、戸袋内部からのごみ等の排出を簡単に行えるようになるという効果を得られる。
以下に本発明に係る戸袋のごみ等排出構造の各実施形態を図面に基づいて説明する。各実施形態は、例えば、病院内の廊下と病室との間などに設置される建物内部の出入り口用上吊り式引戸のための戸袋の場合である。
図1〜図5は第1実施形態に係る戸袋のごみ等排出構造を示し、初めに図1〜図3によって上吊り式引戸の構造を説明する。図1において、建物内部に設けられている出入口用の開口部1は移動式開閉体である引戸2で開閉され、引戸2は、開口部1の上縁を形成している上枠3の内部のレールから吊り下げられた上吊り式である。開口部1における引戸移動方向に対して直角をなす戸先側の縁部は戸先側竪枠4で形成され、開口部1における引戸移動方向に対して直角をなす戸尻側の縁部は竪額縁5で形成され、開口部1における下縁は床6で形成されている。なお、床6に沓摺りが配置される場合には、開口部1の下端はこの沓摺りで形成される。
竪額縁5の後側は戸袋7になっており、この戸袋7の内部に、後退移動して開口部1を開けたときの引戸2が収納される。戸袋7の後端は戸尻側竪枠8で形成され、上枠3は戸先側竪枠4から戸尻側竪枠8までの長さを有している。戸袋9の下端は下枠9で形成され、この下枠9は竪額縁5から戸尻側竪枠8までの長さを有する。
図1のII−II線断面図である図2、及び上枠3に設けられている点検カバーを取り外したときの上枠3の内部を示す図3には、上枠3の内部に組み込まれている引戸2のための上吊り移動機構が示されている。図2で示すとおり、上枠3の内面には補強部材10が取り付けられ、この補強部材10は、図3で示すように、引戸2の移動方向に複数設けられている。これらの補強部材10には上枠3とほぼ同じ長さのレール11が結合され、このレール11は図2のように縦断面L字状であり、水平部11Aの先端に引戸2の移動を案内するガイド部11Bが設けられている。図3で示すとおり、上枠3内に挿入されている引戸2の上部にはローラ12がローラ保持部材13に取り付けられて回転自在に支持され、複数個あるローラ12がレール11のガイド部11Bに係合されている。これにより引戸2はレール11に吊り下げ支持されているとともに、レール11に沿って移動自在になっている。
また、図1で示す床6にはガイドローラ14が配置され、図2で示すとおり、このガイドローラ14は引戸2の下向きに開口した下フレーム2A内に挿入され、開口部1を開閉する引戸2の移動は、引戸2の下端がガイドローラ14で案内されながら行われる。
図3で示す複数のローラ保持部材13のうち、最後部のローラ保持部材13にはゴム等による緩衝部材15が後ろ向きに取り付けられ、この緩衝部材15が引戸2の後退移動によりレール11に結合されているストップ部材16に当接することにより引戸2は後退限に達する。また、レール11の先端に連結された連結部材17にはピン18が垂下固定され、このピン18にはワイヤー19の一端が結合され、ワイヤー19の他端は、複数個のローラ保持部材13のうちの最前部のローラ保持部材13に連結されているブラケット20内の図示されていない渦巻きばね機構に結合されている。
このため、図1で示す把持部2Bを握った手で引戸2を後退移動させると、ワイヤー19が渦巻きばね機構から繰り出されるとともに、ワイヤー19からの引っ張り力で渦巻きばね機構の渦巻きばねが蓄圧され、把持部2Bから手を離すと、この渦巻きばねの蓄圧力により引戸2が自動的に前進移動し、開口部1を閉じるようになっている。このため、本実施形態に係る上吊り式引戸は、半自動式(自閉式)である。
また、図3で示すように上枠3内のレール11にはブラケット21でエアシリンダ22が後ろ向きに取り付けられ、このエアシリンダ22のピストンロッド23の先端部は、最後部のローラ保持部材13に設けられているキャッチ部材24で把持されている。このため、引戸2の往復動によりピストンロッド23はエアシリンダ22に対して伸縮動する、エアシリンダ22には、引戸2が後退移動したとき、すなわちピストンロッド23が伸び作動したときに多量の空気をエアシリンダ22内部に吸引し、引戸2が前進移動したときはこの空気を絞りながら排出するバルブが設けられているため、上記渦巻きばねの蓄圧力により開口部1を閉じるときの引戸2の前進移動は、エアシリンダ22のダンパー作用で低速で行われるようになっている。
なお、引戸2を案内する上枠3内のレール11は、上枠3に設ける受け部材に着脱自在に取り付けるようにしてもよい。
図1で示した戸袋7の下部を形成している下枠9にはごみ等排出部であるごみ等排出窓25が形成され、図4は、このごみ等排出窓25の部分の拡大図であり、図5は、図4のV−V線断面である。下枠9の上部には戸袋7の外面を形成する外面形成部材26が配置されている。
図5に示すように、金属製の下枠9は、床6に固定された第1水平部9Aと、第1水平部9Aの幅方向両端から立ち上がった立上部9Bと、それぞれの立上部9Bの上端から戸袋内側へ水平に延びる第2水平部9Cと、第2水平部9Cの先端から下向きに延びる垂直部9Dとからなる。第2水平部9Cの上方からは、下向きに開口したチャンネル状のカバー27が上下摺動自在に被せられ、このカバー27は下枠9と同じ長さを有する。また、第2水平部9Cの下側には、下向きに開口した材料によるアジャスト用台部材28が第1水平部9Aに載せられて配置され、この台部材28は、図4に示されているとおり、下枠9の長さ方向に短寸で、下枠9の長さ方向に間隔を開けて複数配置されている。
図5に示すように、台部材28の上面にはナット29が下枠9の第2水平部9Cを貫通して載置固定され、このナット29には台部材28の上面を貫通したアジャストねじ30が螺入されている。アジャストねじ30の上部に形成されている受け部30Aでカバー27の上面部27Aが受けられ、この上面部27Aからアジャストねじ30の上端の回転操作部30Bが突出している。カバー27の上面部27Aの上に前記外面形成部材26が載せられ、この外面形成部材26を載せる前に回転操作部30Bを工具で回転操作することにより、アジャストねじ30のナット29からの上方突出量、すなわちカバー27の下枠9からの上方突出量が調整される。
これにより、図1で示すカバー27から上枠3までの間隔を外面形成部材26の上下寸法と対応した大きさにできる。外面形成部材26がカバー27の上面部27Aに載せられるときに、図5で示すように上面部27Aに固定されている板状の振れ止め部材27Bの両側を外面形成部材26の下端のリップ部26Aが挟み込み、これにより外面形成部材26が戸袋内外方向に触れるのを防止し、そして外面形成部材26は図1で示した竪額縁5や戸尻側竪枠8等にビス等あるいは嵌め込みで止められる。
下枠9に設けられて戸袋7の外面下部の幅木にもなっている左右一対の立上部9Bの一方には、図1及び図4で示す前記ごみ等排出窓25が形成され、この一方の立上部9Bの裏側(戸袋内側)には、図5で示すように下部が水平に屈曲した脚部31Aとなっている蓋31が、引戸2の移動方向である下枠9の長手方向にスライド自在に配置されている。この蓋31には、図4に示すとおり下から上へ切欠された切欠部31Bが蓋31の長さ方向途中に形成され、また、蓋31には、立上部9Bに形成されている長孔32から突出した摘み33が結合されている。
このため、摘み33で蓋31をスライドさせることができ、このスライドで切欠部31Bをごみ等排出窓25と一致させたときには、ごみ等排出窓25は開き、蓋31の切欠部31Bが形成されていない個所とごみ等排出窓25とを一致させたときには、ごみ等排出窓25は閉じられる。本実施形態では、ごみ等排出窓25は複数並設され、引戸2の移動方向に長く形成されている蓋31にも切欠部31Bが複数設けられており、したがって複数のごみ等排出窓25は同時に開き、閉じる。
蓋31のスライド操作でごみ等排出窓25を開けることにより、戸袋7の内部と外部はごみ等排出窓25を介して連通することになり、これにより、ごみ等排出窓25に掃除機の吸引管を挿入することにより、戸袋7の内部に溜まっているごみや異物を排出することができる。このごみ等排出作業は、蓋31をスライド操作するこにより行え、引戸2の取り外しなどの面倒な作業を行う必要がないため、短時間で簡単に行える。
また、ごみ等排出窓25は戸袋7の下部に形成されているため、戸袋7の内部の下部に溜まるごみ等を有効に排出できる。
さらに、ごみ等排出窓25は下枠9の立上部9Bに形成され、下枠9は金属製であって戸袋7の構造材となっているため強度が大きい。このため、ごみ等排出窓25を大きな強度を確保して形成でき、しかも下枠9にごみ等排出窓25を設けても下枠9の必要とされる強度を確保できる。
さらに、蓋31はスライド移動によりごみ等排出窓25を開閉するものとなっており、このごみ等排出窓25を開閉するときに戸袋7の内外方向に突出移動するものとはなっていないため、蓋31の開閉動作を戸袋内外に対する影響を少ない状態で、言い換えると、戸袋内外に必要される部材等を任意に配置できる状態にして行わせることができるようになり、戸袋内外への部材等の配置自由度を確保できる。
図6〜図8は第2実施形態を示し、図7は図6のVII−VII線断面図、図8は図6のVIII−VIII線断面図である。図7に示すとおり、床6に固定された戸袋の下枠35の左右の立上部35Aに沿って戸袋の外面形成部材36が立設され、これらの外面形成部材36の下部外面には化粧幅木37が取り付けられている。この実施形態における外面形成部材36は壁ボードが外側に配置されたものであり、このため、この実施形態の戸袋は壁内に収納されたものとなっている。
図6で示されている一方の外面形成部材36に取り付けられた化粧37は長さ方向に連続しておらず、その不連続部分には化粧幅木37と同じ高さ寸法の幅木模擬部材38が設けられ、この幅木模擬部材38は外面形成部材36に形成されている切除部に組み込まれ、この組み込みは、化粧幅木37と同じ外面形成部材36からの突出量をもってなされている(図8参照)。このため、幅木模擬部材38は化粧幅木37の不連続部分を埋めるものとなっており、幅木模擬部材38は化粧幅木37の一部を外観上形成するものとなっている。
図6に示すとおり、幅木模擬部材38には開口部であるごみ等排出窓38Aが形成され、このごみ等排出窓38Aに蓋39が配置されている。蓋39には、幅木模擬部材38のブラケット38Bに挿入されているヒンジとしてピン40が固定されており、したがって、蓋39は、摘み41を摘まむことにより図7の2点鎖線で示すように、下部のピン40を中心に戸袋外側へ回動させることができる。幅木模擬部材38にはごみ等排出窓38Aの両側においてブラケット42が取り付けられ、これらのブラケット42には、図8で示すようにごみ等排出窓38Aに露出するマグネット43が固定されている。
このため、鋼板等の磁性材料からなる蓋39は、通常時はマグネット43に吸着されてごみ等排出窓38Aを閉じており、摘み41で蓋39を戸袋外側の下側へ回動させることにより、蓋39はマグネット43から離れてごみ等排出窓38Aを開く。このため、ごみ等排出窓38Aに掃除機の吸引管を挿入することにより、図7で示されている下枠35の幅木模擬部材38側の立上部35Aに形成されている切除部35Bを介して、戸袋内部に溜まっているごみや異物の排出作業を行える。
この実施形態によると、ごみ等排出窓38Aは蓋39で開閉されるとともに、蓋39はヒンジとしてのピン40を中心に戸袋外側へ回動することによりごみ等排出窓38Aを開くものなっているため、戸袋内部に多量のごみや大きなごみ、異物が溜まっていても、蓋39を開いてごみの排出作業を確実に行える。
また、蓋39は下部に水平に設けられてピン40を中心に上側が開く構造になっているため、化粧幅木37が設けられる戸袋の外面下部にごみ等排出窓38Aを設けても、掃除機の吸引管を上側から容易にごみ等排出窓38Aに挿入できる。
さらに、ごみ等排出窓38Aは化粧幅木37の一部を外観上形成している幅木模擬部材38に設けられているため、ごみ等排出窓38Aを化粧幅木37の配置位置に設けることができるととも、幅木模擬部材38により化粧幅木37の一部を代用できて化粧幅木37の長さをそれだけ省略でき、しかも、戸袋の下部に良好な外観でごみ等排出窓38Aを設けることが可能になる。
なお、蓋39に摘み41を設けず、また、ピン40を図7で示されている位置よりも少し高い位置、すなわち蓋39の底部から少し上がった位置に設け、これにより、蓋39のピン40よりも下側を戸袋内側に押すことによって蓋39をマグネット43から分離させて開くことができるようにしてもよい。
図9及び図10は第3実施形態を示し、図10は図9のX−X線断面図である。この実施形態は、図6〜図8の実施形態におけるマグネット43に代えて爪部材44でごみ等排出窓38Aを閉じたときの蓋39を固定できるようにしたものでる。
すなわち、蓋39の表面側に設けられた摘み41には蓋39の裏側において爪部材44が結合され、摘み41で爪部材44を回転操作できるようになっている。このため、摘み41で爪部材44を下向きに回転させて摘み41を引くことにより、蓋39をピン40を中心に回動させてごみ等排出窓38Aを開くことができるとともに、ごみ等排出窓38Aを蓋39で閉じたときには、摘み41で爪部材44を上向きに回動させ、この爪部材44を幅木模擬部材38におけるごみ等排出窓38Aの上部に係止させることにより、蓋39を固定状態にすることができる。
図11及び図12は第4実施形態を示し、図12は図11のXII−XII線における半分の断面図である。図12に示すように、床6に固定された戸袋の下枠45は、第1水平部45Aと、第1水平部45Aの幅方向両端から立ち上がった立上部45Bと、それぞれの立上部45Bの上端から戸袋内側に屈曲した第2水平部45Cとからなる。第2水平部45Cに、アジャストねじ46を螺入させたナット47が固定され、これらのアジャストねじ46とナット47は、それぞれの第2水平部45Cに引戸の移動方向に間隔を開けて複数配置されている。アジャストねじ46の上端に戸袋の外面形成部材48が載せられ、外面形成部材48を載せる前にアジャストねじ46を工具で回転操作することにより、ナット47からのアジャストねじ46の突出量の調整が行われ、これにより外面形成部材48を下枠45の上の適正な高さ位置で支持し、外面形成部材48を戸袋の竪額縁や戸尻側竪枠等にビス等で固定する。
図11で示すとおり、下枠45の立上部45Bにはごみ等排出窓49が形成され、また、立上部45Bの裏側にはごみ等排出窓49よりも引戸移動方向の長さが長い蓋50が引戸移動方向にスライド自在に配置されている。この蓋50には、立上部45Bの長孔51から突出した摘み52が取り付けられており、また、蓋50には開口部50Aが形成されている。
このため、摘み51で蓋50をスライド移動させることができるとともに、このスライド移動でごみ等排出窓49に開口部50Aを一致させたときにごみ等排出窓49は開き、開口部50Aをごみ等排出窓49からずらせたときには、ごみ等排出窓49は閉じられる。
図13及び図14は第5実施形態を示す、図14は図13のXIV−XIV線における半分の断面図である。この実施形態は、図11及び図12の実施形態におけるスライド式蓋をヒンジを中心に回動する蓋にした場合である。
すなわち、図13で示すように下枠45の立上部45Bに形成されたごみ等排出窓55には蓋56が配置され、この蓋56の下部には、立上部45Bに設けられたブラケット57に挿入されているヒンジとしてのピン58が固定され、摘み59を摘まむことにより蓋56をピン58を中心に戸袋外側に回動させることができ、これによりごみ等排出窓55は開く。立上部45Bの裏面にはブラケット60が取り付けられ、このブラケット60にごみ等排出窓55内に露出するマグネット61が設けられているため、蓋56でごみ等排出窓55を閉じたときに、磁性材料からなる蓋56はマグネット61に吸着されてその位置に固定状態となる。
図15及び図16は第6実施形態を示し、図16は図15のXVI−XVI線における半分の断面図である。この実施形態は、図13及び図14の実施形態における回動式蓋56がごみ等排出窓55を閉じたときに、マグネットを使用せずに蓋56をその位置で固定状態にできるようにした場合である。
蓋56の摘み59には蓋56の裏面側において爪部材65が結合され、この爪部材は摘み59で回動させることができる。図16に示すように、下枠45の第2水平部45Cの下面には垂直下向きに延びる垂下部66Aを有する係止部材66が取り付けられている。爪部材65がこの垂下部66Aと下枠45の立上部45Bとの間に挿入された上向きとなっているときには、爪部材65の係止作用により蓋56はごみ等排出窓55を閉じた位置で固定状態となっており、摘み59で爪部材65を下向きに回動させると、この係止作用は解除され、蓋56をピン58を中心に回動させてごみ等排出窓55を開くことができる。
また、この実施形態では立上部45Bの裏面には、一部がごみ等排出窓55内に露出するストップ部材67が取り付けられているため、蓋56がごみ等排出窓55を閉じたときには、蓋56はストップ部材67に当接することによりそれ以上に戸袋内側へ回動しないようになっている。
図17及び図18は、戸袋を壁内収納型とするために壁ボードが外側に配置された外面形成部材71を使用した第7実施形態を示し、図18は図17のXVIII−XVIII線断面図である。図18に示すように、戸袋の下枠70の左右の立上部70Aに沿って立設された左右の外面形成部材71のうち、一方の外面形成部材71の下部には戸袋内側に向かって開口したごみ等排出窓形成用部材72が配置され、この部材72に、図17に示すとおり、ごみ等排出窓73が形成ざれている。ごみ等排出窓形成部材72は、図6〜図8の実施形態、図9及び図10の実施形態と同様に、外面形成部材71の下部外面に設けられる幅木の一部を外観上形成する幅木模擬部材としてもよく、あるいは、ごみ等排出窓形成部材72を外面形成部材71の全幅と同じ長さを有するものとすることにより、ごみ等排出窓形成部材72自体を外面形成部材71に設けた幅木としてもよい。後者とした場合には、長寸のごみ等排出窓形成部材72の一部にごみ等排出窓73を形成する。
図18に示すように、ごみ等排出窓形成部材72の内部には蓋74が引戸移動方向にスライド自在に配置され、この蓋74はごみ等排出窓73よりも一回り大きい面積を有し、また、蓋74にはごみ等排出窓73から突出する摘み75が取り付けられている。上記左右の立上部70Aのうち、ごみ等排出窓形成部材72が配置された側の立上部70Aにはごみ等排出窓73と対応する個所に切欠部70Bが形成されている。このため、摘み75で蓋74をスライド移動させることにより、ごみ等排出窓73を開閉することができるとともに、開いたときには、ごみ等排出窓73に掃除機の吸引管を挿入することにより、戸袋内部のごみや異物を吸引除去できる。
図19〜図21は、戸袋を壁内収納型とするために壁ボードが外側に配置された外面形成部材81を使用した第8実施形態を示し、図20は図19のXX−XX線断面図、図21は図19のXXI−XXI線断面図である。図20に示すように、戸袋の下枠80の左右の立上部80Aに沿って立設されている戸袋の外面形成部材81は、下地材81Aと壁ボードである無機質ボード部81Bとからなり、下地材81Aの下部は戸袋内側へ屈曲突出した突出部82となっている。一方の外面形成部材81における突出部82の下部からは無機質ボード部81Bが除去され、この部分に外面形成部材81の全幅と同じ長さを有する受け台83が配置されている。また、この外面形成部材81における受け台83の上部には無機質ボード部81Bが除去された空間部84が形成され、この空間部84は外面形成部材81の幅寸法よりも短く、図20と図21で示されているように、空間部84の上縁と左右縁は枠材85で縁取りされている。そして、空間部84と対面する外面形成部材81の金属製の下地材81Aにごみ等排出窓86が形成されている。
本実施形態では、このごみ等排出窓86は戸袋の戸先側部材になっている竪額縁87に近接して形成されている。
ごみ等排出窓86が形成された下地材81Aの裏側(戸袋内側)には蓋88が引戸移動方向(外面形成部材81の幅方向)にスライド自在に配置され、また、図20で示すとおり、下枠80の左右の立上部80Aのうち、空間部84が形成されている外面形成部材81の側の立上部80Aには、空間部84と対応する位置に切除部89が形成されている。蓋88の下端には、この立上部80Aにおける切除部89よりも下部に当接する脚部88Aが形成され、また蓋88には、図21で示すように、切除部89から外面形成部材81の幅方向に外れた位置において立上部80Aに当接して蓋88を支持する支持部材90が設けられている。
このため、蓋88は下地材81Aの裏側で自立し、ごみ等排出窓86から露出する蓋88の表面に取り付けられている摘み91によって蓋88をスライド移動させることにより、ごみ等排出窓86は蓋88で開閉される。
また、この実施形態では、摘み91を含めた蓋88は、戸袋外面(この実施形態の戸袋は壁内に収納された壁内収納型であるため、この実施形態では、壁外面のこと)と面一又は略面一に配置に配置され、戸袋外面とのこの位置関係を維持しながら蓋88はスライド移動してごみ排出窓86を開閉するものになっている。
このため、この実施形態によると、摘み91を含めた蓋88は戸袋外面に沿って歩く人等の邪魔にならず、また、ごみ排出窓86は戸袋外面から戸袋内部にそれ程大きく侵入した位置に形成されず、前記空間部84は戸袋外面から戸袋内部に深く窪んだものにならないため、この空間部84にごみ等が溜まるのを防止できるようになる。
図22〜図24は第9実施形態を示し、図22はこの実施形態における戸袋の平断面図で、図23は図22のXXIII−XXIII線断面図、図24は図23のXXIV−XXIV線断面図である。
引戸95を収納する戸袋96の周囲は、図22で示すように、戸袋を壁内収納型とするために壁ボードが外側に配置された左右の外面形成部材97と、これらの外面形成部材97ごとに設けられた戸先側の竪額縁98と、戸尻側の竪枠99とで形成され、戸袋96の下部は図23で示す下枠100で形成されている。この下枠100の上には、管部材101が仕切り部材102によって引戸95の収納位置から外れた位置に配置され、図22で示されているとおり、この管部材101は竪額縁98から竪枠99まで延びている。管部材101には戸袋96の内部で開口した複数のごみ等吸引口101Aが設けられ、また、管部材101の端部は、竪額縁98に接続されることにより戸袋96の外部に向かって開口しているごみ等排出口101Bとなっている。
ごみ等吸引口101Aの開口部は、図24で示すとおり、下端が平坦となった半円形になっている。また、通常時のごみ等排出口101Bは図22で示すキャップ103で塞がれており、ごみ等排出作業時には、キャップ103を取り外すことにより、掃除機の吸引管104が接続される。このため、この実施形態ではごみ等排出口101Bに掃除機の吸引管104を接続することにより、戸袋96の内部からのごみや異物の排出作業がなされ、戸袋96の内部のごみ等は吸引口101Aから管部材101に吸引され、掃除機の吸引管104から戸袋96の外部へ排出されることになる。このため、この実施形態において、戸袋96の内部と外部を連通させて戸袋内のごみを排出するためのごみ等排出部は、管部材101で形成されている。
この実施形態によると、戸袋96の内部にごみ等を吸引するための管部材101を配置したため、戸袋内部全体からごみ等の排出を行えることになる。また、ごみ等吸引口101Aの開口部は下端が平坦となった形状になっているため、戸袋96の下面を形成している下枠100との接触面積が大きくなり、このため、下枠100上に存在するごみや異物を有効に吸引、排出できる。
このようにごみ等吸引口の開口部の下端を平坦とするためには、その開口部の形状を例えば三角形や四角形等としてもよい。
なお、ごみ等吸引口101Aの開口部の下端は以上のように平坦とすることが望ましいが、ごみ等の吸引を所定とおり行えるものであれば、これに限定されずに任意の形状とすることができ、例えば、湾曲形状でもよい。