JP2005330594A - 糸送り装置を備えた繊維機械 - Google Patents

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Abstract

【課題】糸道の途中に複数の糸送り装置を備えた繊維機械において、前記複数の糸送り装置のうちの、一の糸送り装置による糸送り速度に対する他の糸送り装置による糸送り速度の比率を設定変更可能に構成して、その設定した糸送り速度の比率が誤りなく目標の値に設定されているかを自動的にチェックする、糸送り装置を備えた繊維機械を提供することを課題とする。
【解決手段】糸送りに関わる回転体(ローラ201・501等)間での糸送り速度の比率を計測する計測手段によって計測された計測値と、入力パネル930に入力された目標値と、を比較して、該計測値が該目標値から所定値以上、所定時間乖離した場合に、表示パネル920と報知ポール980とに異常報知信号を出力する制御装置910を備えた構成とする。
【選択図】 図7

Description

本発明は、糸道の途中に複数の糸送り装置を備えた繊維機械に関する。
従来より、繊維機械は複数の糸送り装置(例えば、フィードローラ等)を備えており、これら各糸送り装置間で糸条が送られながら熱処理等を行った後、巻取パッケージに巻き取る技術が知られている(特許文献1参照)。
特許第3173463号公報
ところで、繊維機械によっては、例えば、糸送出し速度に対して糸巻取り速度を低速に設定した状態で糸条に掛かるテンションを弱めてソフトに巻き取る場合や、その逆に、糸送出し速度に対して糸巻取り速度を高速に設定した状態で糸条に掛かるテンションを強めて固く巻き取る場合など、第一の糸送り装置と、該第一の糸送り装置との間で糸送りが行われる第二の糸送り装置との間において、該第一の糸送り装置による糸送り速度に対する該第二の糸送り装置による糸送り速度の比率を高くしたり、低くしたりしたものが要求されることがある。
この糸送り速度は糸条の種類や巻取条件等に応じて最適値が異なり、そこで、本発明は、このような点を鑑みて、第一の糸送り装置による糸送り速度に対する第二の糸送り装置による糸送り速度の比率を設定変更可能に構成するとともに、その設定した糸送り速度の比率が誤りなく目標の値に設定されているかを自動的にチェックする、糸送り装置を備えた繊維機械を提供することを課題とする。
本発明の解決しようとする課題は以上のとおりであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
まず、請求項1に記載のように、糸道の途中に複数の糸送り装置を備えた繊維機械において、前記複数の糸送り装置のうちの、一の糸送り装置による糸送り速度に対する他の糸送り装置による糸送り速度の比率を機械的に設定することで糸条の延伸率を設定する延伸率設定機構と、前記糸送り装置の異常を報知する報知手段と、制御手段と、を具備し、前記制御手段は、前記一の糸送り装置による糸送り速度に対する前記他の糸送り装置による糸送り速度の比率の計測値に基づいて、前記設定された比率の異常を判定し、前記報知手段へ異常報知信号を出力するものとする。
また、請求項2に記載のように、前記糸送り速度を計測する計測手段と、前記比率の計測値に関連する目標値を入力するための入力手段と、を具備し、前記制御手段は、前記計測手段により計測された計測値と、前記入力された目標値とに基づいて、前記設定された比率の異常を判定するものとする。
そして、請求項3に記載のように、前記繊維機械は、前記複数の糸送り装置の駆動部を含む駆動系統を複数備えて、各駆動系統毎に、前記延伸率設定機構と、前記計測手段と、を具備し、前記駆動部は複数の駆動系統に共通の駆動源より駆動が伝達されるものであって、前記入力手段は、駆動系統毎に前記比率に関連する目標値を入力可能であるとともに、前記異常判定を停止する制御モードを設定可能な入力部を具備し、前記制御手段は、前記制御モードの設定に基づいて、対象となる駆動系統の異常判定を停止するものとする。
さらに、請求項4に記載のように、前記制御手段は、前記判定に基づいて、運転停止信号を出力するものとする。
本発明は、以上のように構成したことにより、次のような効果を奏する。
まず、請求項1に記載の発明では、繊維機械に延伸率設定機構を設けたことで、糸条の種類などに応じて糸条に掛かるテンションをフレキシブルに最適に設定変更することができ、汎用性が向上する。また、本発明では、糸送り装置による糸送り速度が誤りなく目標の値に設定されているかを自動的にチェックすることができ、そのチェック結果に基づいて、報知手段が異常を報知して、オペレータに前記糸送り速度の比率が誤った値に設定されていることを知らせ、これによりオペレータは繊維機械の運転を停止して目的の糸品質の条件から外れた条件での糸処理をすぐさま中断することができ、NG品の生産を防ぐことができて、信頼性が向上する。
また、請求項2に記載の発明では、前記測定手段によって計測された計測値と前記目標値とを比較して、該計測値が該目標値から所定値以上、所定時間乖離するという判定条件が満たされた場合を異常として判定することができる。
そして、請求項3に記載の発明では、前記複数ある駆動系統のうち、一部のものについて試験を行う場合、試験の対象外となる駆動系統の比率の異常があったとしても、その場では異常発生に神経を遣うことなく試験に集中することができる。従って、このような機能を設けたことにより、駆動源を複数の駆動系統毎に設ける必要がなく、且つ個別に試験が行いやすい。
さらに、請求項4に記載の発明では、前記判定に基づいて、繊維機械の運転を自動的に停止して、目的の糸品質の条件から外れた条件での糸処理を自動的に中断することができ、NG品の生産を防ぐことができて、信頼性が向上する。
以下では、本発明の一実施の形態を、繊維機械の一例である撚糸機1を参照しながら説明する。
<製造方法の説明>
まず、図1を用いて、撚糸機1が利用されるミシン用糸の巻取パッケージ(巻玉)の製造方法について説明する。
この製造方法は、次の五工程よりなる。複数本の原糸を単糸単位で下撚りする下撚工程1000と、下撚り複数本の単糸を合糸する合糸工程2000と、合糸を上撚りする上燃工程3000と、合糸の撚りのヒートセットを行うヒートセット工程4000と、合糸を低接圧でソフトに巻取るソフト巻工程5000と、である。
なお、この製造方法においては、原糸が二度の撚りを受けるため、説明の便宜上、撚りの順序に応じて、下撚り、上撚り、という区別を設けている。
そして、これらの各工程を経て原糸より染色用糸の巻玉(パッケージ)が製造され、この巻玉の糸が後工程である染色工程6000を経て染色される。
下撚工程1000は、撚糸合糸機50に備える撚糸スピンドル装置60(図2等、後述)を用いて、原糸の複数本が単糸単位で撚りを入れられる作業工程である。
また、合糸工程2000は、撚糸合糸機50に備える合糸手段である合糸ガイド70(図2等、後述)を用いて、下撚工程1000を経た糸を合糸する作業工程である。
前記両工程を経て合糸された糸はフランジ付きボビン11に巻き取られて、次工程である上燃工程3000用の給糸パッケージ3(後述)とされる。
上燃工程3000は、撚糸機(上撚り機)1に備える撚糸スピンドル装置100(図4等、後述)を用いて、合糸工程2000で製造された合糸に撚りを加える作業工程である。
本実施の形態では、撚糸スピンドル装置100として、二重撚糸スピンドル装置を用いており、スピンドルの一回転につき二回の撚りが合糸に加えられるものとして、錘あたりの生産量を増大させている。
ヒートセット工程4000は、撚糸機1に備えるヒータ400(図4等、後述)を用いて、上撚工程3000を経た合糸を加熱して撚り固定する(ヒートセットする)作業工程である。
特に、ヒータ400を通過する合糸は延伸された状態で、そのヒートセットが行われる構成である。糸送出方向でヒータ400の前後には、糸送り手段である第一糸送り装置200および第二糸送り装置500が配置されているが、第一糸送り装置200および第二糸送り装置500により、この間に位置するヒータ400を通過する合糸が延伸される。
ソフト巻工程5000は、撚糸機1に備える巻取装置700(図4等、後述)を用いて、
ヒートセット工程4000を経た合糸を別のボビンにソフトに巻取る作業工程である。
ここで、「ソフトに巻取る」とは、染色用糸に適した巻密度で、糸(合糸)を巻き取ること、を意味する。
巻取装置700は、詳しくは後述するが、駆動回転する巻取ドラム701に巻取パッケージ4を接触させることで、巻取パッケージ4を従動回転させて糸を巻取る構成であるため、巻き取られる合糸の巻密度が次の要因により決定される。
まず、巻取ドラム701と巻取パッケージ4との接触圧が高いと、きつく巻き取られてしまうことがある。また、巻取装置700へ送り込まれる合糸のテンション自体が高い状態で巻き取られた場合も、同様である。
このため、前記接触圧(接圧)を所定圧に調整(設定)する接圧調整手段(後述)が、前記巻取装置700に設けられると共に、巻取装置700への糸送り速度(巻取装置700へ送り込まれる合糸の速度)が適切に設定されて、合糸のテンションが適切に保たれている。
つまり、「ソフトに巻取る」とは、染色用糸以外の通常の糸巻玉の巻密度に比して、低巻密度で糸巻玉を製造することを意味している。具体的には、巻取ドラム701に対する巻取パッケージ4の接触圧を通常より低くした状態で糸を巻き取ること、および/又は、巻取速度700での糸巻取テンションを通常より低くした状態で糸を巻き取ること、である。
以下では、低接圧、低テンションと称する場合は、染色用糸の製造において「ソフトに巻取る」場合(染色に適した巻密度に巻取る場合)の接圧、テンションのことを指す。
次に、図2を用いて、前記ミシン用糸製造の二工程を担当する撚糸合糸機50の全体構成について説明する。
撚糸合糸機50が担当する二工程とは、前述したように、撚糸工程1000と、合糸工程2000と、である。
撚糸合糸機50(図1に図示)には、一方向に沿って並設される撚糸合糸ユニット51・51・・・(図2に図示)が、二列に渡って背中合わせに備えられている。また、撚糸合糸ユニット51の並設方向の一端部には、各撚糸合糸ユニット51を駆動するための駆動装置や、該駆動装置を制御する制御盤等が、設けられている。
図2(a)、図2(b)に示すように、各撚糸合糸ユニット51には、複数の撚糸スピンドル装置60・60・・・(撚糸手段)と、一つの合糸ガイド70(合糸手段)と、巻取装置80とが、備えられている。
各撚糸スピンドル装置60では、原糸が巻き取られて形成される原糸パッケージ61より解舒された原糸62に、撚りが入れられる。この撚糸スピンドル装置60は、後述する撚糸スピンドル装置100と同様に、二重撚糸スピンドル装置で構成されている。撚糸スピンドル装置100については後述で説明しているので、同様の構成である撚糸スピンドル装置60の説明を省略する。
解舒された各原糸62は、全錘で共通に駆動されるフィードローラ63により送られて合糸ガイド70に至り、合糸ガイド70で合糸された後、巻取装置80へと送られる。
そして、合糸ガイド70より糸送出方向下流の合糸90が、巻取装置80でフランジ付きボビン11上に巻き取られて、給糸パッケージ3が形成される。
<撚糸機の全体構成>
次に、図3、図4を用いて、前記ミシン用糸製造の三工程を担当する撚糸機1の全体構成について説明する。
撚糸機1が担当する三工程とは、前述したように、上燃工程3000と、ヒートセット工程4000と、ソフト巻工程5000と、である。
撚糸機1には、図3に示すように一方向に沿って並設される撚糸ユニット2が、図4に示すように二列に渡って背中合わせに備えられている。また、撚糸ユニット2の並設方向の一端部には、各撚糸ユニット2を駆動するための駆動装置800と、該駆動装置800を制御する制御盤900とが、撚糸機1に設けられている。
各撚糸ユニット2は、合糸が巻き取られた一つの給糸パッケージ3を、前記三工程を経て、一つの巻取パッケージに巻き返す装置であり、一つの撚糸ユニット2が一錘に対応している。
図4に示すように、撚糸ユニット2には、給糸パッケージ3から巻取パッケージ4に至る合糸5の糸経路に沿って、概略的には、次の各種装置が備えられている。撚糸スピンドル装置100、第一糸送り装置200、オイリング装置300、ヒータ400、第二糸送り装置500、テンション緩衝装置600、トラバース装置650、巻取装置700である。
ここで、第一糸送り装置200および第二糸送り装置500は、撚糸スピンドル装置100から巻取装置700へ、合糸5を送り出すための装置である。また、テンション緩衝装置600は、詳しくは後述するが、トラバース装置650の駆動による合糸5のテンション変動を緩衝するための装置である。
なお、オイリング装置300によるオイリング処理は、製造する糸の用途等によって必要になる場合があるが、必ずしもミシン用糸の製造に必要な処理ではない。つまり、オイリング装置300は、撚糸機1の構成に必須の要素ではなく、各撚糸ユニット2に付加的に設けられる装置となっている。
<駆動方式の説明>
撚糸機1に備える各撚糸ユニット2の駆動方式について説明する。
各撚糸ユニット2は、主として全錘駆動方式で駆動され、一部の駆動部が各錘駆動方式で駆動される構成である。
各撚糸ユニット2に備える駆動部としては、撚糸スピンドル装置100、第一糸送り装置200、オイリング装置300、第二糸送り装置500、トラバース装置650、巻取装置700がある。
このうち、撚糸スピンドル装置100には単錘駆動方式が適用されており、各撚糸スピンドル装置100には、自らを駆動するための駆動用のスピンドルモータ101が設けられている。
一方、第一糸送り装置200、オイリング装置300、第二糸送り装置500、トラバース装置650、巻取装置700には、全錘駆動方式が適用されており、これらの装置はそれぞれ、全錘で同一の駆動軸により駆動される(後述)。
図3、図4に示すように、全錘駆動方式の各装置を駆動する駆動軸が、駆動装置800より撚糸ユニット2の並設方向に延設されている。
駆動装置800より延出する駆動軸には、第一糸送り装置200を駆動する第一糸送り駆動軸7、オイリング装置300を駆動するオイリング駆動軸8、第二糸送り装置500を駆動する第二糸送り駆動軸9、トラバース装置650を駆動するトラバース駆動軸12、巻取装置700を駆動するドラム駆動軸10、がある。
そして、これらの駆動軸の駆動により、各撚糸ユニット2で対応する部分の各装置が、全錘で同時に駆動される。
<糸送り速度調整のタイミングプーリによる設定>
図5、図6を用いて、駆動装置800について説明する。
駆動装置800には、合糸5の糸送りに関わる前記各駆動軸7・9・10に駆動力を伝達する機構およびその駆動源と、前記トラバース駆動軸12に駆動力を伝達する機構およびその駆動源と、前記オイリング駆動軸8に駆動力を伝達する機構およびその駆動源と、が備えられている。
ここで、第一糸送り駆動軸7、第二糸送り駆動軸9、ドラム駆動軸10は、合糸5の糸送りに関わる駆動軸である。そして、これらの各駆動軸7・9・10を駆動する駆動源として、メインモータ801が設けられている。該メインモータ801は、トラバース装置12を駆動する駆動源も兼ねている。
また、オイリング駆動軸8を駆動する駆動源として、オイリングモータ802が設けられている。
糸送りに関わる駆動伝達において、メインモータ801より出力される駆動力が、撚糸ユニット2の並設方向の左右に駆動力を分配するギヤボックス803を経て、ドラム駆動軸10、第二糸送り駆動軸9、第一糸送り駆動軸7、の順に伝達される。前記の各要素間(ドラム駆動軸10と第二糸送り駆動軸9との間等)は、ベルトおよびプーリよりなる駆動伝達機構を介して、駆動力が伝達される。
特に、前記ベルトおよびプーリには、歯付きベルトおよび歯付きプーリが適用されており、ベルトとプーリとの間での滑りが防止されると共に、歯数の異なるプーリを交換することで、前記駆動軸10・9・7間での回転速度比の調整が可能に構成されている。
糸送りに関わる駆動伝達機構は、具体的には、次の構成である。
メインモータ801のモータ軸に固設される第一プーリ804と、ギヤボックス803の入力軸に固設される第二プーリ805との間は、第一ベルト806を介して動力伝達可能に接続される。
ギヤボックス803の出力軸は、前記左右のドラム駆動軸10・10であり、第二プーリ805が固設される入力軸より入力された駆動力が、ギヤボックス803内に備える駆動伝達装置を介して、左右のドラム駆動軸10・10に均一に分配される。
各ドラム駆動軸10にはドラムプーリ807が固設されると共に、各第二糸送り駆動軸9には第二糸送り入力プーリ808が着脱自在に固設されている。ドラムプーリ807と第二糸送り入力プーリ808との間は、第二ベルト809を介して動力伝達可能に接続される。
各第二糸送り駆動軸9には第二糸送り入力プーリ808に加えて第二糸送り出力プーリ810が着脱自在に固設されると共に、第一糸送り駆動軸7には第一糸送りプーリ811が着脱自在に固設されている。第二糸送り出力プーリ810と第一糸送りプーリ811との間は、第三ベルト812を介して動力伝達可能に接続される。
図3に示すように、各錘毎に、各駆動軸に連動する回転体として、第一糸送り駆動軸7には第一糸送りローラ201が設けられ、第二糸送り駆動軸9には第二糸送りローラ501が設けられ、ドラム駆動軸10には前記巻取ドラム701が設けられている。そして、合糸5は各錘で、第一糸送りローラ201や第二糸送りローラ501により送り出されると共に、巻取ドラム701と接触して従動回転する巻取パッケージ4により巻き取られる。
本明細書において、合糸5の送り速度(以下、糸送り速度)とは、合糸5を送り出す駆動側の終端部における合糸5を送り出す速度のことを意味している。
一方、この駆動側の終端部により送り出される従動側の合糸5の実際の速度を、合糸5の移動速度としている。
つまり、糸送り速度は駆動機構側の速度であり、合糸5の移動速度は合糸5自体の速度のことであって、これらの両速度は異なる物理量を意味している。
なお、駆動側の終端部とは、合糸5と接触して送り出す前記各回転体(ローラ201・501や巻取ドラム701)のことであり、糸送り速度はこれらの回転体の周速度に相当する。
合糸5の移動速度は、基本的には、糸送り速度、つまり前記各回転体(ローラ201・501や巻取ドラム701)の周速度により決定されるものである。ここで、基本的とするのは、例えば、前記回転体と合糸5との間で滑りが発生する場合には、回転体の周速度と合糸5の移動速度とが完全には一致しないためである。特に、後述の第二糸送り装置500においては、この滑りを利用して、合糸5の移動速度の微調整が行われる構成である。
一般的には、各回転体の周速度が異なる場合は、その回転体間で、合糸5が緩ませられるか、もしくは引き伸ばされることになる。つまり、合糸5に加えられるテンションが変化することになる。
例えば、糸送出方向で、下流側の回転体の周速度に対して上流側の回転体の周速度を遅らせると、合糸5のテンションが強められることになり、逆の場合は合糸5のテンションが緩められることになる。
ここで、前記各回転体(ローラ201・501や巻取ドラム701)は皆、同一の駆動源(メインモータ801)から駆動を得る構成であるが、該駆動源から各回転体へと至る動力伝達経路の構成の違いや、回転体自体の径の違いにより、各回転体の周速度を揃えたり、異なるものとしたりすることが可能である。
図5、図6を用いて、糸送りに関わる前記各回転体(ローラ201・501や巻取ドラム701)の周速度比の設定について説明する。
これらの周速度比の設定は、本実施の形態では、糸送りに関わる前記各駆動軸10・9・7間での回転速度比の設定により行われる。以下、この構成について具体的に説明する。
前述したように、ベルトおよびプーリを介して、ドラム駆動軸10より第二糸送り駆動軸9に駆動力が伝達され、第二糸送り駆動軸9から第一糸送り駆動軸7に駆動力が伝達される。
ここで、駆動装置800においては、駆動軸10・9間回転速度比と、駆動軸9・7間での回転速度比とが、変更可能に構成されている。これらの駆動速度比の変更により、各駆動軸9・7の駆動速度が変更され、前記各回転体(ここでは巻取ドラム701を除く)の周速度が変更される。
前記各駆動軸10・9・7間の駆動速度比の変更は、具体的には、これらの各駆動軸10・9・7に固設するプーリの歯数の変更により行われる。前述したように、駆動装置800に備えるプーリは歯付きプーリで構成されており、歯の大きさが一定(モジュール一定)かつ歯数の異なるプーリに交換することで、該プーリを経由する回転速度の比が変更されることになる。
特に、第一糸送りローラ201と第二糸送りローラ501とのように、これらの駆動軸により駆動される回転体の外径が同一の場合、駆動軸間の回転速度比は、これらの回転体の周速度比と一致する。
例えば、第二糸送り駆動軸9から第一糸送り駆動軸7への駆動伝達において、第二糸送り出力プーリ810と第一糸送りプーリ811の歯数共に40である場合は、第二糸送り駆動軸9と第一糸送り駆動軸7とは同じ回転速度で駆動される。ここで、第二糸送り出力プーリ810を、歯数が40のプーリから歯数が42のプーリに交換すると、第二糸送り駆動軸9に対する第一糸送り駆動軸7の回転速度比は、105%(42/40)となる。
<タイミングプーリの説明>
駆動装置800において、前記回転体間の周速度比変更のため、歯数を変更する対象のプーリは、つまりタイミングプーリとして設定されているのは、第二糸送り入力プーリ808、第二糸送り出力プーリ810、第一糸送りプーリ811である。
これらのプーリの歯数の変更により、ドラム駆動軸10に対する第二糸送り駆動軸9の回転速度比や、第二糸送り駆動軸9に対する第一糸送り駆動軸7の駆動回転比、の調整が可能である。そして、前記各回転体(ここでは巻取ドラム701を除く)間での周速度比が変更される。
特に、これらのプーリ808・810・811は、駆動軸7・9の始端部に固設される構成であるので、ギヤボックス803内より延出するドラム駆動軸10上に設けるドラムプーリ807などと比して、交換が容易である。
<糸条の延伸率の設定>
次に、駆動軸7・9間及び駆動軸9・10間に設けられた、延伸率設定機構について説明する。
図4、図5に示す、第一糸送り装置200と第二糸送り装置500との間の合糸5の延伸率(糸進行方向の伸び率)は、第一糸送り駆動軸7と第二糸送り駆動軸9とに設けられた第一延伸率設定機構によって、第一糸送りローラ201による糸送り速度に対する第二糸送りローラ501による糸送り速度の比率を機械的に設定することで、設定されるように構成されており、第二糸送り装置500と巻取装置700との間の合糸5の延伸率は、第二糸送り駆動軸9とドラム駆動軸10に設けられた第二延伸率設定機構によって、第二糸送りローラ501による糸送り速度に対する巻取ドラム701による糸送り速度の比率を機械的に設定することで、設定されるように構成されている。
ここで、これらの第一糸送りローラ201、第二糸送りローラ501、巻取ドラム701は、糸を送るための回転体であり、ここでは、巻取装置700を糸送り装置の一つとみなし、巻取ドラム701を糸送りローラの一つとみなして考える。
具体的に、前記第一延伸率設定機構は、第一糸送り駆動軸7に着脱自在に取り付けられた歯付きの第一糸送りプーリ811と、第二糸送り駆動軸9に着脱自在に取り付けられた歯付きの第二糸送り出力プーリ810と、該プーリ811・810間に巻回されている第三ベルト812とで構成されており、第一糸送りプーリ811又は/及び第二糸送り出力プーリ810を同じモジュールで異なる歯数のプーリに変更することで、第一糸送り駆動軸7の回転速度又は/及び第二糸送り駆動軸9の回転速度が変更され、これにより第一糸送りローラ201による糸送り速度に対する第二糸送りローラ501による糸送り速度の比率が変更されて、糸送りローラ201・501間で糸条である合糸5の延伸率が変更されるように構成されている。
一方、前記第二延伸率設定機構は、第二糸送り駆動軸9に着脱自在に取り付けられた歯付きの第二糸送り入力プーリ808と、ドラム駆動軸10に固設された歯付きのドラムプーリ807と、該プーリ808・807間に巻回されている第二ベルト809とで構成されており、第二糸送り入力プーリ808を同じモジュールで異なる歯数のプーリに変更することで、第二糸送り駆動軸9の回転速度が変更され、これにより第二糸送りローラ501による糸送り速度に対する巻取ドラム701による糸送り速度の比率が変更されて、糸送りローラ501と巻取ドラム701との間で糸条である合糸5の延伸率が変更されるように構成されている。
ここで、前記各糸送りに関わる回転体(第一糸送りローラ201、第二糸送りローラ501、巻取ドラム701)による糸送り速度は、該回転体の周速度に相当するため、該回転体の半径に、該回転体を駆動する駆動軸の角速度を掛け合わせて求められる。2つの回転体において、一方の回転体の半径をR1、該一方の回転体を駆動する駆動軸の角速度をW1、他方の回転体の半径をR2、該他方の回転体を駆動する駆動軸の角速度をW2とすると、一方の回転体による糸送り速度に対する他方の回転体による糸送り速度の比率ρは、ρ=(R2・W2)/(R1・W1)で求められる。
また、駆動軸の角速度は駆動軸の単位時間当たりの回転数に比例することから、一方の回転体を駆動する駆動軸の回転数をN1、他方の回転体を駆動する駆動軸の回転数をN2とすると、前記糸送り速度の比率ρは、ρ=(R2・N2)/(R1・N1)としても求められる。
さらに、同一モジュールの歯付きプーリにおいては、駆動軸の回転数は該駆動軸に取り付けられたプーリの歯数に反比例することから、一方の回転体を駆動する駆動軸に取り付けられたプーリの歯数をG1、一方の回転体を駆動する駆動軸に取り付けられたプーリの歯数G2とすると、前記糸送り速度の比率ρは、ρ=(R2・G1)/(R1・G2)としても求められる。
なお、本実施の形態では、第一糸送りローラ201と第二糸送りローラ501とは同径に構成されており、従って、該第一糸送りローラ201による糸送り速度に対する該第二糸送りローラ501による糸送り速度の比率は、第二糸送り駆動軸9に取り付けられた第二糸送り入力プーリ808の歯数に対する第一糸送り駆動軸7に取り付けられたドラムプーリ807の歯数の比率で設定される。
以上のように撚糸機1は延伸率設定機構を備え、該延伸率設定機構により糸条の種類などに応じて糸送り速度の比率を設定することができて、糸条に掛かるテンションをフレキシブルに最適に設定変更することができ、汎用性の向上が図られている。
次に、糸送りに関わる回転体間で機械的に設定した糸送り速度の比率が、誤りなく設定されているかをチェックする制御構成について説明する。
前記のように、本実施の形態の撚糸機1は、多数の撚糸ユニット2を並設した撚糸生産ラインが一系統として、該撚糸生産ラインが背中合わせに二系統配置されており、各撚糸生産ラインは全錘駆動方式で駆動される構成である。
図4、図5に示すように、前記駆動装置800内には前記各撚糸生産ラインの駆動系統850が左右一対設けられており、各駆動系統850は第一糸送り装置200を駆動する第一糸送り駆動軸7、第二糸送り装置500を駆動する第二糸送り駆動軸9、巻取ドラム701を駆動するドラム駆動軸10等を備えて、各駆動系統850へは単一の駆動源(前記メインモータ801)から動力が分配されるように構成されている。
左右の第一糸送り駆動軸7にはそれぞれその駆動軸7の回転数を検出する第一回転センサ951が設けられており、左右の第二糸送り駆動軸9にはそれぞれその駆動軸9の回転数を検出する第二回転センサ952が設けられている。左右のドラム駆動軸10についてはそれぞれ同じモジュールで同じ歯数のドラムプーリ807が固設されていて、メインモータ801からの駆動力により同じ回転数で同期して回転するように構成されており、このため左右一方のドラム駆動軸10にのみ、その駆動軸10の回転数を検出する第三回転センサ953が設けられている。なお、前記プーリ808・810・811と同様に、ドラムプーリ807もドラム駆動軸10に着脱自在に構成して異なる歯数のプーリに交換可能としてもよく、この場合は、第三回転センサ953は左右のドラム駆動軸10に設けられる。
図6に示すように、前記制御盤900は、撚糸機1の運転を制御する制御装置910と、撚糸機1の運転状態などを表示する表示パネル920と、オペレータが糸送りに関わる回転体間の糸送り速度の比率などのデータを入力設定する入力パネル930と、を備えている。
また、撚糸機1の制御手段である制御装置910は、前記各回転センサ951・952・953からの検出データに基づき糸送りに関わる回転体間における糸送り速度の比率を算出する算出部913と、この検出データに基づき算出された糸送り速度の比率と、糸送りに関わる回転体間で機械的に設定した糸送り速度の比率とを比較判定する判定部912と、時間を計測するタイマー911と、を備えている。
本実施の形態では、第一糸送りローラ201と第二糸送りローラ501とが同径に構成されていることから、該第一糸送りローラ201による糸送り速度に対する該第二糸送りローラ501による糸送り速度の比率は、前記第一回転センサ951で検出された検出データに対する前記第二回転センサ952で検出された検出データの比率で求められる。また、第二糸送りローラ501による糸送り速度に対する巻取ドラム701による糸送り速度の比率は、前記第二回転センサ952で検出された検出データに対する前記第三回転センサ953検出された検出データの比率に、予め算出部911に入力して記憶されている第二糸送りローラ501の半径に対する巻取ドラム701の半径の比率を掛け合わせて求められる。このような構成で、算出部911と、各駆動軸7・9・10の回転数(又は回転速度)を検出する回転検出手段である回転センサ951・952・953とによって、糸送りに関わる回転体間の糸送り速度の比率(合糸5の延伸率)を計測する計測手段が構成されている。
また、前記制御装置910はメインモータ801の駆動制御手段(ドライバ)であるインバータ960に通信接続されており、インバータ960の出力周波数を徐々に上昇させてメインモータ801を起動させる。
前記左右の撚糸生産ラインにおいて、各錘のスピンドルモータ101毎に駆動制御手段であるドライバ970が設けられており、各錘のドライバ970は前記制御装置910に通信接続されて、各錘毎にスピンドルモータ101を起動/停止できる構成で、起動後スピンドルモータ101は該ドライバ970によって前記メインモータ801と同期して回転するように構成されている。
図2に示すように、前記制御盤900の一側部には操作部901が設けられており、該操作部901に前記表示パネル920と前記入力パネル930とが配置されている。
表示手段としての表示パネル920は液晶パネルで構成されており、この表示パネル920には入力パネル930で入力設定した合糸5の糸送り速度の比率の目標値や、前記算出部913で算出された合糸5の糸送り速度の比率の計測値等が表示されるようになっている。また、表示パネル920には、撚糸機1の運転状態に異常が発生した場合には、その異常内容が表示されて、視覚を通じてオペレータに報知するように構成されており、報知手段としての役割も果たしている。
入力手段としての入力パネル930はテンキーや、確定キー、シフトキーなどの各種操作キーを備え、表示パネル920の近くに配置されている。
図2に示すように、前記制御盤900の上面からは報知手段である報知ポール980が立設されており、該報知ポール980は前記制御装置910に通信接続されている。この報知ポール980は赤・青等の信号を点灯又は点滅させるように構成されており、例えば、赤信号を点灯又は点滅させることで、オペレータに視覚を通じて撚糸機1の運転状態の異常等を報知するように構成されている。
本実施の形態では、撚糸機1は表示パネル920での報知と報知ポール980での報知と二重の報知手段を備えているが、報知手段の構成はこれらの構成に限定するものではなく、警報音や音声アナウンスなどオペレータに聴覚を通じて報知するものなどであってもよく、これらを併用してもよい。
前記の合糸5の延伸率は糸品質に関わり、第一糸送り駆動軸7のプーリ811や、第二糸送り駆動軸9のプーリ810・808を本来の設定の歯数と異なる歯数のプーリにつけ間違えると、目的の糸品質から外れた合糸5が生産されて、NG品となってしまう。
例えば、第一糸送り駆動軸7のプーリ811や、第二糸送り駆動軸9のプーリ810・808には、歯数が40、41、42・・・などのものが使われていて、これらは一見しただけでは区別がつき難く、オペレータが誤って本来の設定すべき歯数と異なる歯数のプーリを駆動軸に装着してしまうことがある。
そこで、本発明では、この点を鑑み、仮にオペレータが誤った歯数のプーリを駆動軸に装着してしまったとしても、その誤りを発見することができる撚糸機1を提供することを課題として、前記制御装置910に、次のような設定ミスチェック手段を設けている。
この設定ミスチェック手段は、各駆動系統850内で糸送りに関わる回転体間における糸送り速度の比率のチェックを行うチェック手段を備え、このチェック手段は制御プログラムとして制御装置910の判定部912に組み込まれている。
具体的には、チェック手段は、前記各駆動系統850において、前記回転センサ951・952・953と前記算出部913とを含む計測手段によって計測された、糸送りに関わる回転体間の糸送り速度の比率の計測値と、前記入力パネル930で入力設定した糸送りに関わる回転体間の糸送り速度の比率の目標値とを比較して、該計測値が該目標値から所定値(許容値)以上、所定時間乖離するという判定条件に基づき、判定を行っている。
前記許容値は前記目標値からの許容値として、入力パネル930の操作により、例えば、0%、1%、2%、・・・などと入力設定される。前記所定時間については、予め前記チェック手段の制御プログラムに設定されている。なお、この所定時間についても入力パネル930から入力設定するように構成してもよい。
次に、糸送りに関わる回転体間において機械的に設定された糸送り速度の比率が、誤りなく設定されているかをチェックする制御について、その流れを説明する。
図7に示すように、まず、オペレータは、撚糸機1の運転を停止させた状態で、前記第一延伸率設定機構と第二延伸率設定機構とによって、各駆動系統850における糸送りに関わる回転体(第一糸送りローラ201、第二糸送りローラ501、巻取ドラム701)間の糸送り速度の比率を機械的に設定する(ステップS1)。
次に、オペレータは入力パネル930を操作して、各駆動系統850における糸送りに関わる回転体間の糸送り速度の比率の目標値Pと、該目標値Pからの許容値C1とを入力設定する(ステップS2)。
以上のように設定をした上で、前記メインモータ801と前記全錘のスピンドルモータ101とを起動して撚糸機1の運転を開始する(ステップS3)。
なお、ここで、この撚糸機1の運転開始直後は、メインモータ801では滑りが生じるなどして各駆動系統850への駆動伝達が安定していないため、撚糸機1の運転開始直後、前記の所定時間が経過するまでは、前記比率が前記許容値C1以上に乖離していたとしても、前記チェック手段による判定は行わないように設定されている。
この撚糸機1の運転中に、左右の駆動系統850では、前記回転センサ951・952・953と前記算出部913とを含む計測手段によって、糸送りに関わる回転体間の糸送り速度の比率が計測されており、ここで、左右の駆動系統850で対応する糸送りに関わる回転体間において、左の駆動系統850の糸送りに関わる回転体間の計測値をML、右の駆動系統850の糸送りに関わる回転体間の計測値をMRとすると、前記チェック手段では、これらの計測値ML・MRと前記目標値Pとがそれぞれ比較判定される(ステップS4)。
そして、撚糸機1の運転開始後、前記チェック手段による判定で、この計測値ML(又はMR)と目標値Pとの差の絶対値|ML−P|(又は|MR−P|)が許容値C1以上となって、その状態が所定時間継続するという判定条件が満たされた場合(ステップS5)、前記表示パネル920による表示と前記報知ポール980による報知とを含む報知手段へ異常報知信号が出力されてオペレータへ報知されるとともに(ステップS6)、前記メインモータ801のインバータ960と、全錘のスピンドルモータ101のドライバ970へ、運転停止信号が出力されて撚糸機1の運転が停止される(ステップS7)。
以上のようにして、糸送りに関わる回転体間において機械的に設定された糸送り速度の比率が、正しく設定されているかチェックされており、ここで、前記チェック手段について一例を挙げて説明すると、例えば、第一糸送り装置200と第二糸送り装置500との間において、第一糸送り駆動軸7の第一糸送りプーリ811には歯数が42のプーリを取り付け、第二糸送り駆動軸9の第二糸送り出力プーリ810には前記第一糸送りプーリ811と同じモジュールで歯数が40のプーリを取り付けて、合糸5にかかるテンションが設定されるものとする。
第二糸送り出力プーリ810の歯数に対する第一糸送りプーリ811の歯数の比は42/40で105%となり、計算上、第一糸送り駆動軸7に対する第二糸送り駆動軸9の糸送り速度の比率(延伸率)は105%となる。
オペレータは前記入力パネル930に、この105%の値を前記チェック手段による糸送り速度の比率の目標値Pとして入力し、また、該目標値Pからの許容値である許容値C1を入力する。ここで、許容値C1としては、例えば、2%を入力したとする。また、前記所定時間については、20秒と設定されているとする。
図8に示すように、この入力した目標値105%と許容値2%とは、表示パネル920に表示されて(図8の表示パネル920の糸送り速度の比率(I)欄と右上隅参照)、オペレータが視覚を通じて確認できるようになっており、この例の場合、前記計測手段で計測された糸送りに関わる回転体間の糸送り速度の比率が103%以下又は107%以上となって、この状態が運転開始直後から20秒間継続して計測されると、前記の判定条件に達したと判定される。
なお、図8では、表示パネル920の、糸送り速度の比率(A)の欄には、第一の糸送りローラ201による糸送り速度に対する第二の糸送りローラ501による糸送り速度の比率の目標値と計測値とが表示され、糸送り速度の比率(B)の欄には、第二の糸送りローラ501による糸送り速度に対する巻取ドラム701による糸送り速度の比率の目標値と計測値とが表示されるように構成されて、これらの糸送り速度の比率を看視するように構成されているが、この構成に限定するものではなく、表示パネル920の、糸送り速度の比率(A)の欄に、巻取ドラム701による糸送り速度に対する第一の糸送りローラ201による糸送り速度の比率の目標値と計測値とが表示され、糸送り速度の比率(B)の欄に、巻取ドラム701による糸送り速度に対する第二の糸送りローラ501による糸送り速度の比率の目標値と計測値とが表示されるように構成して、これらの糸送り速度の比率を看視するように構成してもよい。
以上のようにデータを入力設定した上で、撚糸機1の運転を開始し、ここで、例えば、オペレータが第一糸送り駆動軸7の第一糸送りプーリ811に歯数が42のプーリを取り付けるところを、誤って歯数が43のプーリが取り付けていたとする。この場合、第一糸送り駆動軸7に対する第二糸送り駆動軸9の糸送り速度の比率(延伸率)は、計算上43/40で107.5%で、撚糸機1の運転時に、前記計測手段による実測でも107.5%前後の値が計測されて、107%を超えた状態が制御装置910に内蔵されているタイマー911で20秒間計測されると、前記判定条件に達したと判定される。そして、これにより、前記報知手段によってオペレータに糸送り速度の比率(延伸率)が目的の値から外れていることが報知されるとともに、前記メインモータ801の駆動と全錘のスピンドルモータ101の駆動が停止される。
前記チェック手段の許容値及び前記第二のチェック手段の第二の許容値について補足すると、これらの許容値は0%に設定することも可能である。ここで、本来ならば、この許容値0%とは前記目標値との完全一致を意味し、第二の許容値が0%は左右の駆動系統850で、対応する箇所の糸送りに関わる回転体間で計測された、糸送り速度の比率が完全一致を意味する。計測値は多少なりとも変動することから、このような設定条件は実用的でない。そこで、本実施の形態では、この許容値0%の設定に関しては、前記チェック手段による異常判定を行わない等、判定を停止できる制御モード設定とされて、例えば、次のような場合に用いられる。
前記左右の駆動系統850はメインモータ801によって同時に駆動されるが、右側の駆動系統850だけを試験し、左側の駆動系統850は無視したいときがある。このとき、左右両方の駆動系統850で前記チェック手段が作動可能な状態に設定しておくと、左側の駆動系統850において、前記判定条件が満たされてしまうと、報知手段でアラームが報知されるとともに、撚糸機1の運転が強制停止されてしまう。
これでは不便であり、そこで、左側の駆動系統850の許容値は0%に設定しておいて、左側の駆動系統850では、前記チェック手段による判定は行わないようにしておき、報知手段による報知や、撚糸機1の運転の強制停止が行われないようにしておく。
従って、左右の駆動系統850・850のうち、左右一方のものについて試験を行う場合、試験の対象外となる駆動系統850の比率の異常があったとしても、その場では異常発生に神経を遣うことなく試験に集中することができる。従って、このような機能を設けたことにより、駆動源を複数の駆動系統850毎に設ける必要がなく、且つ個別に試験が行いやすい。
なお、上記の実施の形態では、前記計測手段(以下、「第一形態の計測手段」という)は、前記第一回転センサ951と、前記第二回転センサ952と、前記第三回転センサ953と、前記算出部911と、を備えて各糸送り装置(巻取装置を含む)による糸送り速度の比率を計測するように構成されているが、該第一形態の計測手段から該算出部911を除いた、次のような別構成の計測手段(以下、「第二形態の計測手段」という)を構成してもよい。
すなわち、この第二形態の計測手段は、前記第一回転センサ951と、前記第二回転センサ952と、前記第三回転センサ953と、を備えて、該第二形態の計測手段は各糸送り装置(巻取装置を含む)による糸送り速度を計測する構成とし、該第二形態の計測手段を前記第一形態の計測手段の代わりに用いた場合、前記入力パネル930には各糸送り装置(巻取装置を含む)による糸送り速度の目標値を入力するものとして、前記制御装置910では、該第二形態の計測手段によって計測された計測値と、該目標値と、を比較して、該計測値が該目標値から所定値以上、所定時間乖離するという判定条件が満たされた場合に、前記報知手段へ異常報知信号を出力するとともに、撚糸機1の運転停止信号を出力するように構成される。
本発明においては、上記第二形態のような、各糸送り装置の糸送り速度の目標値は、第一形態のような比率の目標値そのものとともに、「比率に関する目標値」に含まれるものとする。
以上のように、本発明は、糸道の途中に複数の糸送り装置を備えた撚糸機1などの繊維機械において、前記複数の糸送り装置200・500・700のうちの、一の糸送り装置による糸送り速度に対する他の糸送り装置による糸送り速度の比率を機械的に設定することで糸条の延伸率を設定する延伸率設定機構と、前記糸送り装置の異常を報知する報知手段と、制御手段である制御装置910と、を具備し、前記制御装置910は、前記一の糸送り装置による糸送り速度に対する前記他の糸送り装置による糸送り速度の比率の計測値に基づいて、前記設定された比率の異常を判定し、前記報知手段へ異常報知信号を出力するように構成されている。
このような構成で延伸率設定機構を設けたことで、糸条の種類などに応じて糸条に掛かるテンションをフレキシブルに最適に設定変更することができ、汎用性が向上する。また、本発明では、糸送り装置200・500・700による糸送り速度が誤りなく目標の値に設定されているかを自動的にチェックすることができ、そのチェック結果に基づいて、報知手段が異常を報知して、オペレータに前記糸送り速度の比率が誤った値に設定されていることを知らせ、これによりオペレータは繊維機械の運転を停止して目的の糸品質の条件から外れた条件での糸処理をすぐさま中断することができ、NG品の生産を防ぐことができて、信頼性が向上する。
また、この撚糸機1は、前記の糸送り速度を計測する計測手段と、前記比率の計測値に関連する目標値を入力するための入力手段と、を具備して、前記制御装置910は、前記計測手段により計測された計測値と、前記入力された目標値とに基づいて、前記設定された比率の異常を判定するように構成されており、前記測定手段によって計測された計測値と前記目標値とを比較して、該計測値が該目標値から所定値以上、所定時間乖離するという判定条件が満たされた場合を異常として判定することができるようになっている。
そして、この撚糸機1は、前記複数の糸送り装置の駆動部を含む駆動系統850・850を複数備えて、各駆動系統850毎に、前記延伸率設定機構と、前記計測手段と、を具備し、前記駆動部は複数の駆動系統850・850に共通の駆動源(メインモータ801)より駆動が伝達されるものであって、前記入力手段は、駆動系統850毎に前記比率に関連する目標値を入力可能であるとともに、前記異常判定を停止する制御モードを設定可能な入力部を具備し、前記制御装置910は、前記制御モードの設定に基づいて、対象となる駆動系統850の異常判定を停止するように構成されている。
この構成によれば、前記複数ある駆動系統850・850のうち、一部のものについて試験を行う場合、試験の対象外となる駆動系統850の比率の異常があったとしても、その場では異常発生に神経を遣うことなく試験に集中することができる。従って、このような機能を設けたことにより、駆動源を複数の駆動系統850毎に設ける必要がなく、且つ個別に試験が行いやすい。
さらに、前記制御装置910は、前記判定に基づいて、運転停止信号を出力して、撚糸機1の運転を自動的に停止するように構成されており、目的の糸品質の条件から外れた条件での糸処理を自動的に中断することができて、NG品の生産を防ぐことができて、信頼性の向上が図られている。
染色用の糸の巻取パッケージ(巻玉)の製造方法の工程図である。 撚糸ユニットの並設方向の側方より見た撚糸機の全体図である。 撚糸ユニットの並設方向より見た撚糸ユニットのレイアウト図である。 撚糸ユニットの並設方向より見た各駆動軸間の動力伝達構成を示す図である。 撚糸ユニットの並設方向の側方より見た各駆動軸間の動力伝達構成を示す図である。 撚糸機の制御構成を示すブロック図。 機械的に設定された糸送り速度の比率をチェックする流れを示すフローチャート。 表示パネルの一例を示す図。
符号の説明
1 撚糸機
2 撚糸ユニット
3 給糸パッケージ
4 巻取パッケージ
5 合糸
7 第一糸送り駆動軸
9 第二糸送り駆動軸
10 ドラム駆動軸
100 撚糸スピンドル装置
101 スピンドルモータ
200 第一糸送り装置
201 第一糸送りローラ
500 第二糸送り装置
501 第二糸送りローラ
700 巻取装置
701 巻取ドラム
800 駆動装置
801 メインモータ
807 ドラムプーリ
808 第二糸送り入力プーリ
809 第二ベルト
810 第二糸送り出力プーリ
811 第一糸送りプーリ
812 第三ベルト
900 制御盤
910 制御装置
912 判定部
913 算出部
920 表示パネル
930 入力パネル
951 第一回転センサ
952 第二回転センサ
953 第三回転センサ
960 インバータ
970 インバータ
980 報知ポール

Claims (4)

  1. 糸道の途中に複数の糸送り装置を備えた繊維機械において、
    前記複数の糸送り装置のうちの、一の糸送り装置による糸送り速度に対する他の糸送り装置による糸送り速度の比率を機械的に設定することで糸条の延伸率を設定する延伸率設定機構と、
    前記糸送り装置の異常を報知する報知手段と、
    制御手段と、を具備し、
    前記制御手段は、前記一の糸送り装置による糸送り速度に対する前記他の糸送り装置による糸送り速度の比率の計測値に基づいて、前記設定された比率の異常を判定し、前記報知手段へ異常報知信号を出力する、糸送り装置を備えた繊維機械。
  2. 前記糸送り速度を計測する計測手段と、
    前記比率の計測値に関連する目標値を入力するための入力手段と、
    を具備し、
    前記制御手段は、前記計測手段により計測された計測値と、前記入力された目標値とに基づいて、前記設定された比率の異常を判定する、請求項1に記載の糸送り装置を備えた繊維機械。
  3. 前記繊維機械は、前記複数の糸送り装置の駆動部を含む駆動系統を複数備えて、
    各駆動系統毎に、前記延伸率設定機構と、前記計測手段と、を具備し、
    前記駆動部は複数の駆動系統に共通の駆動源より駆動が伝達されるものであって、
    前記入力手段は、駆動系統毎に前記比率に関連する目標値を入力可能であるとともに、前記異常判定を停止する制御モードを設定可能な入力部を具備し、
    前記制御手段は、前記制御モードの設定に基づいて、対象となる駆動系統の異常判定を停止する、請求項2に記載の糸送り装置を備えた繊維機械。
  4. 前記制御手段は、前記判定に基づいて、運転停止信号を出力する、請求項1から請求項3のうち何れか一項に記載の繊維機械。
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