JP2005328730A - 核酸抽出装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 核酸抽出カートリッジ11及び核酸を含む回収液を収容する回収容器13をそれぞれ複数配列させて保持する保持機構3と、核酸抽出カートリッジ11に単一の加圧ノズル41から加圧エアを導入する加圧エア供給機構4と、核酸抽出カートリッジ11に洗浄液及び回収液をそれぞれ分注する分注ノズル51w、51rを有する分注機構5と、少なくとも加圧エア供給機構4の加圧ノズル41と保持機構3とを相対移動させる移動手段7と、を備えた。
【選択図】 図1
Description
例えば、フィルターを用いた核酸抽出装置としては、フィルターを収容したフィルターチューブをラックに多数セットし、これに試料液を分注し、上記ラックの底部の周囲をシール材を介してエアチャンバーで密閉して内部を減圧し、全フィルターチューブを同時に排出側より吸引し試料液を通過させて核酸をフィルターに吸着し、その後、洗浄液および溶出液を分注して、同様に減圧吸引して洗浄・溶出するようにした機構が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、このような装置においては、短時間で効率よくコンタミネーションが発生しないように処理し、かつ、装置を小型化する等の点が要望されるが、特許文献1では次のような問題がある。
採取全血のように各試料液の特性が異なる場合に、特許文献1のように全体を同時に吸引するものでは、一部のフィルターチューブの吸引が終了してその抵抗がなくなると、他のフィルターチューブに作用する減圧が小さくなって粘度の高い試料液の処理が終了しない場合が生じる。その減圧容量を増大することは装置の小型化を図る際の障害となり、減圧容積が大きいために減圧を作用させるまでの時間が掛かり、また、液が全部排出されたことの検出が困難で、時間設定が長く、処理効率の向上の障害となる。一方、粘度の低い試料液では、フィルターチューブより勢いよく液が排出されて、泡状の飛沫が隣接するフィルターチューブ及びラックに付着してコンタミネーションを生じ、精度低下を招く問題がある。
本発明はこのような点に鑑みなされたもので、短時間で効率よく試料液の核酸を自動的に抽出できるようにしたコンパクト化が可能な核酸抽出装置を提供することを目的とするものである。
(1) フィルター部材を備えた核酸抽出カートリッジを用い、該核酸抽出カートリッジに核酸を含む試料液を注入し加圧して該試料液中の核酸を前記フィルター部材に吸着させた後、前記核酸抽出カートリッジに洗浄液を分注し加圧して不純物を除去し、その後、前記核酸抽出カートリッジに回収液を分注し加圧してフィルター部材に吸着した核酸を分離して回収液とともに回収する抽出動作を自動的に行う核酸抽出装置であって、前記核酸抽出カートリッジ及び前記核酸を含む回収液を収容する回収容器をそれぞれ複数配列させて保持する保持機構と、前記核酸抽出カートリッジに単一の加圧ノズルから加圧エアを導入する加圧エア供給機構と、前記核酸抽出カートリッジに洗浄液及び回収液をそれぞれ分注する分注ノズルを有する分注機構と、少なくとも前記加圧エア供給機構の加圧ノズルと前記保持機構とを相対移動させる移動手段と、を備えたことを特徴とする核酸抽出装置。
図1は核酸抽出装置の一実施形態であってカバーを除去した状態を示す斜視図、図2は核酸抽出装置の移動ヘッドの概略構成図、図3は核酸抽出装置の概略ブロック構成図である。
本核酸抽出装置100は、容器内にフィルター部材を収容した核酸抽出カートリッジ(以降は単にカートリッジと称する)11及び核酸を含む回収液を収容する回収容器13をそれぞれ複数配列させて保持する保持機構3と、カートリッジ11に単一の加圧ノズル41から加圧エアを導入する加圧エア供給機構4と、カートリッジ11に洗浄液及び回収液をそれぞれ分注する分注ノズル51を有する分注機構5と、加圧エア供給機構20の加圧ノズル41と保持機構10とを相対移動させる移動機構7とを備えて構成される。フィルター部材は、核酸吸着性多孔質体(ここでは核酸吸着性多孔性膜)が用いられる。
図4はカートリッジの(a)斜視図と(b)P−P断面図、図5は抽出動作の工程図(a)〜(g)である。
この核酸抽出装置100は、図4(a)に示すようなカートリッジ11を用いて試料液中の核酸を抽出するものである。このカートリッジ11は、上端が開口した筒状本体11aの底部に核酸吸着性多孔膜11bが保持され、筒状本体11aの核酸吸着性多孔膜11bより下方部位はロート状に形成され、下端中心部に細管ノズル状の排出部11cが所定長さに突出形成され、筒状本体11aの側部両側に縦方向の突起11dが形成されてなる。カートリッジ11の上部開口11eより後述の試料液、洗浄液、回収液が分注された後、上部開口11eより加圧エアが導入され、各液を核酸吸着性多孔膜11bを通して排出部11cより後述の廃液容器12又は回収容器13に流下排出する。なお、図示の場合、筒状本体11aは上部と下部に分割され嵌着する構造となっている。また、上部開口11eは、図4(b)にP−P断面を示すように、内周面をテーパ状にカットした傾斜面11fを有し、この傾斜面11fは、後述する加圧ノズル41先端の傾斜外周面に略一致するように形成されている。
保持機構3は、カートリッジホルダ21と容器保持台22からなる。容器保持台22には、装置本体2の前方下部に廃液容器12及び回収容器13を保持したラック6が載置される。ラック6の容器交換移動(前後動)は、容器保持台22の基部に設置された作動部材31(図3参照)が、容器交換モータ32(DCモータ)の駆動に応じて移動することで行われる。この前後動により、カートリッジホルダ21の下方に回収容器13が位置したり、廃液容器12がカートリッジホルダ21の下方に位置するようになる。上記容器交換モータ32の作動は位置センサ33a,33bの検出に応じて制御される。
加圧エア供給機構4は、図1〜図3に示すように、前記保持機構3のラック6に対して昇降移動する可動体としての移動ヘッド40と、この移動ヘッド40に設置された単一の加圧ノズル41と、加圧エアを発生するエアポンプ43と、リリーフバルブ44と、加圧ノズル41側に設置され給気経路を開閉する開閉バルブ45と、加圧ノズル41側に設置された圧力センサ46と、加圧ノズル41を昇降動作させるノズル昇降手段を備えている。ノズル昇降手段は、パルスモータ等のノズル昇降モータ81とこれに接続されるネジ−ナット機構により昇降動作を実現している。この構成により、順次カートリッジ11に加圧エアを送給する。そして、エアポンプ43と、リリーフバルブ44と、加圧ノズル41はそれぞれ制御部70からの制御指令に基づいて動作する。
分注機構5は、カートリッジホルダ21上を横方向に移動可能な前述の移動ヘッド40に一体に搭載された洗浄液分注ノズル51w及び回収液分注ノズル51rと、洗浄液ボトル56wに収容された洗浄液Wを洗浄液分注ノズル51wに給送する洗浄液供給ポンプ52w(図3参照)と、回収液ボトル56rに収容された回収液Rを回収液分注ノズル51rに給送する回収液供給ポンプ52r(図3参照)と、中間フレーム23に載置された廃液容器57等を備える。
圧力が作用した試料液Sは、核酸吸着性多孔膜11bを通って核酸が吸着保持され、その他の液状成分は下端部の排出部11cより廃液容器12に排出される。試料液Sが全て核酸吸着性多孔膜11bを通過すると圧力が液排出完了圧力以下に低下し、圧力センサ46によってカートリッジ11の抽出終了が検出される。この工程をカートリッジ11の数だけ繰り返し行う。
次に、図6に示したように、移動ヘッド40の加圧ノズル41が下降して、加圧ノズル41の下端部がカートリッジ11の上端開口に圧接して密閉してから、前述と同様に開閉バルブ45を開作動してカートリッジ11に加圧エアを供給する。圧力が作用した洗浄液Wは、核酸吸着性多孔膜11bを通って核酸以外の不純物の洗浄除去を行い、洗浄液Wは下端部の排出部11cより廃液容器12に排出される。全部のカートリッジ11における洗浄液Wが全て核酸吸着性多孔膜11bを通過して排出されると、移動ヘッド40が初期の位置まで作動される。なお、洗浄処理を複数回行う場合には上記動作を繰り返す。
加圧エアが前述同様に供給され、圧力が作用した回収液Rは、核酸吸着性多孔膜11bを通ってそれに吸着されている核酸を離脱させて、回収液Rとともに核酸が下端部の排出部11cより回収容器13に排出される。全部のカートリッジ11における回収液Rが全て回収容器13に排出されると、移動ヘッド40が最初の廃液容器57直上の待避位置に移動して、一連の動作が終了する。
さらに、カートリッジ11を均等な配列ピッチで設け、加圧ノズル41に対する分注ノズル51r、51wの配列ピッチをカートリッジ11の配列ピッチの整数倍とすることで、複数の異なるカートリッジ11に対して分注処理と加圧処理を同時に実施することもでき、処理時間の短縮が図られる。なお、カートリッジ11、廃液容器12、回収容器13は、直線状に配列する他にも円弧状等の曲線状に配列させてもよい。例えば円弧状に配列した場合には、支軸を中心とするアームを用いることで円弧状の各位置に加圧エア供給や分注を行うことができる。
上記カートリッジ11に内有する核酸吸着性多孔膜11bは、基本的には核酸が通過可能な多孔性であり、その表面は試料液中の核酸を化学的結合力で吸着する特性を有し、洗浄液による洗浄時にはその吸着を保持し、回収液による回収時に核酸の吸着力を弱めて離すように構成されてなる。
特にトリアセチルセルロースとジアセチルセルロースの混合物を好ましく使用することができる。トリアセチルセルロースとジアセチルセルロースの混合比(質量比)は、99:1〜1:99である事が好ましく、90:10〜50:50である事がより好ましい。
又、鹸化率を変えるには、水酸化ナトリウムの濃度を変えて鹸化処理を行えば良い。鹸化率は、NMR、IR又はXPSにより、容易に測定することができる(例えば、カルボニル基のピーク減少の程度で定めることができる)。
有機材料の多孔性膜にグラフトポリマー鎖を結合する方法としては、多孔性膜とグラフトポリマー鎖とを化学結合させる方法と、多孔性膜を起点として重合可能な二重結合を有する化合物を重合させグラフトポリマー鎖とする2つの方法がある。
基材に結合しているグラフトポリマー鎖を形成するのに有用な化合物は、重合可能な二重結合を有しており、核酸の吸着に関与する親水基を有するという、2つの特性を兼ね備えていることが必要である。これらの化合物としては、分子内に二重結合を有していれば、親水基を有するポリマー、オリゴマー、モノマーのいずれの化合物をも用いることができる。特に有用な化合物は親水基を有するモノマーである。
特に有用な親水基を有するモノマーの具体例としては、次のモノマーを挙げることができる。例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリセロールモノメタクリレート等の水酸性基含有モノマーを特に好ましく用いることができる。また、アクリル酸、メタアクリル酸等のカルボキシル基含有モノマー、もしくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩も好ましく用いることができる。
多孔性膜とグラフトポリマー鎖とを化学結合にて付着させる場合は、グラフトポリマー鎖の末端の官能基と反応する官能基を無機材料に導入し、そこにグラフトポリマーを化学結合させる。また、分子内に二重結合を有している親水基を有するモノマーを使用して、多孔性膜を起点として、グラフトポリマー鎖を重合する場合は、二重結合を有する化合物を重合する際の起点となる官能基を無機材料に導入する。
そして、以上に説明した核酸吸着性多孔性膜は、カートリッジの形状に応じて、膜状以外の形態にすることができる。例えば、チップ状やブロック状等とすることができる。
3 保持機構
4 加圧エア供給機構
5 分注機構
6 ラック
7 移動手段
11 カートリッジ(核酸抽出カートリッジ)
11b 核酸吸着性多孔膜
12 廃液容器
13 回収容器
21 カートリッジホルダ
22 容器保持台
40 移動ヘッド(可動体)
41 加圧ノズル
43 エアポンプ
45 開閉バルブ
46 圧力センサ
51w,51r 分注ノズル
52w,52r 供給ポンプ
56w,56r ボトル
70 制御部
72 記憶部
100 核酸抽出装置
S 試料液
W 洗浄液
R 回収液
Claims (5)
- フィルター部材を備えた核酸抽出カートリッジを用い、該核酸抽出カートリッジに核酸を含む試料液を注入し加圧して該試料液中の核酸を前記フィルター部材に吸着させた後、前記核酸抽出カートリッジに洗浄液を分注し加圧して不純物を除去し、その後、前記核酸抽出カートリッジに回収液を分注し加圧してフィルター部材に吸着した核酸を分離して回収液とともに回収する抽出動作を自動的に行う核酸抽出装置であって、
前記核酸抽出カートリッジ及び前記核酸を含む回収液を収容する回収容器をそれぞれ複数配列させて保持する保持機構と、
前記核酸抽出カートリッジに単一の加圧ノズルから加圧エアを導入する加圧エア供給機構と、
前記核酸抽出カートリッジに洗浄液及び回収液をそれぞれ分注する分注ノズルを有する分注機構と、
少なくとも前記加圧エア供給機構の加圧ノズルと前記保持機構とを相対移動させる移動手段と、を備えたことを特徴とする核酸抽出装置。 - 前記複数の核酸抽出カートリッジが固定側に支持され、前記加圧エア供給機構の加圧ノズルが前記核酸抽出カートリッジの配列方向に沿って移動自在に支持されていることを特徴とする請求項1記載の核酸抽出装置。
- 少なくとも一つの前記分注ノズルと前記加圧ノズルとが、前記一体の可動体に設けられていることを特徴とする特徴とする請求項2記載の核酸抽出装置。
- 前記加圧エア供給機構の加圧ノズルが固定側に支持され、前記複数の核酸抽出カートリッジがその配列方向に沿って移動自在に支持されていることを特徴とする請求項1記載の核酸抽出装置。
- 前記複数の核酸抽出カートリッジが均等な配列ピッチで設けられ、前記加圧ノズルに対する前記分注ノズルの配列ピッチが、前記核酸抽出カートリッジの配列ピッチの整数倍であることを特徴とする請求項3記載の核酸抽出装置。
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