JP2006223175A - 核酸抽出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 カートリッジの大きさに無関係に、効率よく、簡便かつ迅速で、自動化適性に優れ、再現性の高い試料液中の核酸抽出処理が行える核酸抽出装置を提供する。
【解決手段】 核酸抽出装置100は、カートリッジ11に対して加圧空気を導入する加圧ノズル41と、カートリッジ11に対して洗浄液Wや回収液Rを分注する分注ノズル51と、加圧ノズル41と分注ノズル51とをカートリッジホルダ61に対峙させて一体に搭載し、カートリッジ11の並び方向に移動自在な移動ヘッド40と、を備える。試料液Sの量に応じて複数種の大きさのカートリッジ11,11M,11Lを選択的に使用する場合に、加圧ノズル41と分注ノズル51の並び方向に沿った所定の配置ピッチLを、最も大きなカートリッジ11Lに対する並び方向の配置ピッチpの整数倍に設定する。
【選択図】 図9

Description

本発明は、フィルター部材を備えたカートリッジを用いて試料液中の核酸を自動抽出する核酸抽出装置に関するものである。
核酸の従来の抽出法としては、遠心法によるもの、磁気ビーズを用いるもの、フィルターを用いるもの等がある。
フィルターを用いて核酸を抽出する核酸抽出装置としては、フィルターを収容したフィルターチューブをラックに多数セットし、これに試料液を分注し、上記ラックの底部の周囲を、シール材を介してエアチャンバーで密閉して内部を減圧し、全フィルターチューブを同時に排出側より吸引し試料液を通過させて核酸をフィルターに吸着し、その後、洗浄液及び溶出液を分注して、同様に減圧吸引して洗浄・溶出するようにした機構が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許第2832586号公報
しかしながら、上記のような従来の自動抽出装置では、装置が大型で多量の検体を分析する場合に適したもので、検体数が少なく分析頻度の少ない場合には、高価で不向きであるとともに、処理効率が低くなる問題を有する。
また、このような装置においては、短時間で効率よくコンタミネーションが発生しないように処理し、かつ、装置を小型化する等の点が要望されるが、特許文献1では次のような問題がある。
採取全血のように各試料液の特性が異なる場合に、特許文献1のように全体を同時に吸引するものでは、一部のフィルターチューブの吸引が終了してその抵抗がなくなると、他のフィルターチューブに作用する減圧が小さくなって粘度の高い試料液の処理が終了しない場合が生じる。その減圧容量を増大することは装置の小型化を図る際の障害となり、減圧容積が大きいために減圧を作用させるまでの時間が掛かり、また、液が全部排出されたことの検出が困難で、時間設定が長く、処理効率の向上の障害となる。一方、粘度の低い試料液では、フィルターチューブより勢いよく液が排出されて、泡状の飛沫が隣接するフィルターチューブ及びラックに付着してコンタミネーションを生じ、精度低下を招く問題がある。
そこで、本願出願人は、上記問題を解決すべく鋭意検討を加えた結果、新規な核酸抽出装置を完成した。この核酸抽出装置は、核酸を含む試料溶液を用いて、容器内に核酸吸着性多孔膜(フィルター部材)を収容した核酸抽出カートリッジ(以後、カートリッジと言う)と圧力発生装置により、核酸を含む資料溶液中の核酸を核酸吸着性多孔膜に吸着させ、その後、洗浄等を経て、核酸を分離精製するものである。
新規な核酸抽出装置は、核酸吸着性多孔膜が装着され、核酸を含む試料液が注入されるカートリッジと、該カートリッジにそれぞれ対応してカートリッジの下方に配置された廃液容器及び回収容器を複数組備え、カートリッジに洗浄液W及び回収液Rを分注すると共に、加圧空気供給手段によりカートリッジに加圧エアを導入して試料液から核酸を含む回収液を回収容器に回収する。カートリッジ、廃液容器、及び回収容器の複数の組は、整列した状態で配置されており、各カートリッジに対して上記した抽出操作が順次行われる。
この核酸抽出装置による核酸の抽出工程の概略を説明する。
核酸抽出装置は、基本的に図16(a)〜(g)に示すような抽出工程によって核酸の抽出を行う。まず図16の(a)工程で、廃液容器12上に位置するカートリッジ11に溶解処理された核酸を含む試料液Sを注入する。次に(b)工程で、カートリッジ11に加圧エアを導入して加圧し、核酸吸着性多孔膜11bを通して試料液Sを通過させ、この核酸吸着性多孔膜11bに核酸を吸着させ、通過した液状成分は廃液容器12に排出する。
次に(c)工程でカートリッジ11に洗浄液Wを自動分注し、(d)工程でカートリッジ11に加圧エアを導入して加圧し、核酸吸着性多孔膜11bに核酸を保持したままその他の不純物の洗浄除去を行い、通過した洗浄液Wを廃液容器12に排出する。この(c)工程及び(d)工程は複数回繰り返してもよい。
その後、(e)工程でカートリッジ11の下方の廃液容器12を回収容器13に交換してから、(f)工程でカートリッジ11に回収液Rを自動分注し、(g)工程でカートリッジ11に加圧エアを導入して加圧し、核酸吸着性多孔膜11bと核酸の結合力を弱め、吸着されている核酸を離脱させて、核酸を含む回収液Rを回収容器13に排出し回収する。
上記カートリッジ11における核酸吸着性多孔膜11bは、基本的には核酸が通過可能な多孔質体であり、その表面は試料液中の核酸を化学的結合力で吸着する特性を有し、洗浄液による洗浄時にはその吸着を保持し、回収液による回収時に核酸の吸着力を弱めて離すように構成されてなる。
ところが、上記の工程を自動的に行う核酸抽出装置には、次のような問題があった。
図17は移動ヘッドに配置された各ノズルの配置位置を示す正面図、図18はカートリッジホルダに保持されたカートリッジと各ノズルの位置関係を示す正面図である。図17及び図18に示すように、核酸抽出を効率的に行うため、核酸抽出装置のカートリッジホルダ(図示せず)には、複数のカートリッジ11が所定の間隔p4で整列した状態で装着される。一方、カートリッジホルダに対向配置され、カートリッジ11の配列方向に移動自在に配設された移動ヘッド40には、カートリッジ11に加圧空気を供給する加圧ノズル41、洗浄液Wを分注する洗浄液分注ノズル51w及び回収液Rを分注する回収液分注ノズル51rが一体に搭載されている。
従来、洗浄液分注ノズル51wと回収液分注ノズル51rとの間隔Lは、カートリッジホルダに保持されたカートリッジ11の間隔p4と同じ間隔であり、また、加圧ノズル41とこれと隣接する分注ノズル(図示例においては、洗浄液分注ノズル51w)との間隔は、間隔Lの整数倍(n×L、即ちn×p4)に設定されていた。図17及び図18は、n=2に設定された例を示す。各間隔をこのように設定することにより、図18に示すように、加圧ノズル41から加圧空気を供給しながら洗浄液分注ノズル51w又は回収液分注ノズル51rから洗浄液W又は回収液Rをカートリッジ11に分注することができ、効率的な抽出処理作業が可能となる。
加圧ノズル41と洗浄液分注ノズル51wが間隔2×p4に、洗浄液分注ノズル51wと回収液分注ノズル51rが間隔p4に設定された核酸抽出装置(図17参照)による核酸抽出の具体的な作業を、図19に基づいて説明する。ここで、図19(a)〜(e)に加圧ノズルから各カートリッジへ加圧空気を供給する説明図を示した。以降は、図19を適宜参照して説明する。
図19(a)に示すように、カートリッジホルダに保持された各カートリッジ11に核酸を含む試料液を注入した後、移動ヘッド40を移動させて図中左端のカートリッジ(C1)の直上に加圧ノズル41を配置させ、加圧ノズル41を下降移動させて、加圧ノズル41の先端外周面をカートリッジ(C1)の上部開口に密着させ、1番目のカートリッジ(C1)にエアポンプからの加圧空気を所定量供給する(図19(b))。
次いで、図19(c)に示すように、移動ヘッド40をカートリッジ11の配列ピッチ(p4)分移動させる。そして、次の2番目のカートリッジ(C2)に対して同様に加圧空気を所定量供給する。更に、移動ヘッド40がカートリッジ11の配列ピッチ(p4)分移動して3番目のカートリッジ(C3)に対して同様に加圧空気を所定量供給する(図19(d))。このとき、加圧ノズル41から距離2×p4離間して設けられた洗浄液分注ノズル51wは、1番目のカートリッジ(C1)の真上に位置しており、1番目のカートリッジ(C1)に洗浄液Wが分注される。即ち、3番目のカートリッジ(C3)に対する加圧空気の供給と、1番目のカートリッジ(C1)に対する洗浄液Wの分注が同時に行われる。
同様に、移動ヘッド40がカートリッジ11の配列ピッチ(p4)分移動して4番目のカートリッジ(C4)に対して同様に加圧空気を所定量供給する。このとき、洗浄液分注ノズル51wは、2番目のカートリッジ(C2)の真上に位置しており、4番目のカートリッジ(C4)に対して加圧空気が供給されると共に、2番目のカートリッジ(C2)に対して洗浄液Wが同時に分注される(図19(e))。
以後、同様にカートリッジホルダに保持された全てのカートリッジ11に対して加圧空気の供給、及び洗浄液Wの分注が順次繰り返して行われる。
なお、核酸抽出処理は、上記した工程に続いて洗浄液Wが分注されたカートリッジ11に対して加圧空気を供給して核酸以外の不純物の洗浄除去を行う洗浄処理工程、更に、カートリッジ11に回収液分注ノズル51rから回収液Rを分注した後、加圧ノズル41から加圧空気を所定量供給して回収液Rとともに核酸を回収容器に回収する回収処理工程が行われるが、いずれも図19(a)〜(e)に示すと同様の工程が繰り返し行われる。この際にも、加圧空気の供給と、洗浄液Wの分注、又は回収液Rの分注が、同時に行われるが、詳細な説明は省略する。
このように、移動ヘッド40に加圧ノズル41、洗浄液分注ノズル51w及び回収液分注ノズル51rを、カートリッジ11(最小のカートリッジ)の配置ピッチp4の整数倍の間隔で配置することにより、カートリッジ11への加圧空気の供給と同時に、他のカートリッジ11への所定液の分注を同時に行い、処理時間を短縮することができる。
ところで、近年、核酸を抽出する試料液の多様化に伴い、核酸抽出の処理対象に応じて各種サイズのカートリッジが用意されるようになった。特に、試料容量が大きく、大サイズの核酸抽出フィルタも利用されるようになり、一度に抽出できる核酸の量を増加することができる。ところが、移動ヘッドに対する加圧ノズル、洗浄ノズル、回収液ノズルの配置は容易には変更できず、カートリッジのサイズに無関係に常に一定ピッチで配置されたノズルを用いて核酸分離処理を行っているため、大サイズのカートリッジが使用される場合には、ノズルの配置ピッチとカートリッジの配置ピッチとが一致しない場合が生じる。
例えば、図20に示すように、2倍のピッチp5(2×p4)で配列された大きなカートリッジ11Mに対して、図17に示す移動ヘッド40(加圧ノズル41と洗浄液分注ノズル51wの間隔2×p4、洗浄液分注ノズル51wと回収液分注ノズル51rの間隔p4)を用いて核酸分離処理を行うと、カートリッジ11Mの配置ピッチp5(2×p4)に対して、加圧ノズル41と回収液分注ノズル51rの配置ピッチ3×L(3×p4)とが合わず、カートリッジ11M(例えば、C3)に加圧空気を供給するとき、洗浄液分注ノズル51wからカートリッジ11M(例えば、C2)に洗浄液Wを分注することはできるものの、いずれのカートリッジ11Mにも回収液Rを分注することができず、加圧空気の供給と回収液Rの分注を同時処理できなかった。このような同時処理できないカートリッジ11Mに対しては、別途に単独で処理する必要が生じることとなる。
また、図21に示すように、3倍のピッチp6(3×p4)で配列された更に大きなカートリッジ11Lに対しては、加圧空気を供給しながら洗浄液Wを分注することができず、同時処理できなかったカートリッジ11Lに対しては、別途に単独で処理する必要が生じる。
更に、図22に示すように、4倍のピッチp7(4×p4)でカートリッジ11LLが配列された場合、加圧ノズル41から加圧空気を供給する際、洗浄液分注ノズル51w及び回収液分注ノズル51r共にいずれのカートリッジ11LLとも一致しない。従って、加圧空気の供給、洗浄液Wの分注、及び回収液Rの分注を、それぞれ単独で実施しなければならない。このため、核酸分離処理に時間が余分にかかり、作業効率を著しく低下させて抽出の処理能力向上の障害となっていた。
また、このような不具合を解消するため、各ノズルとカートリッジの配置ピッチを一致させるには、使用されるカートリッジの大きさに合わせて各ノズルが所定の間隔で配置された専用の移動ヘッドを準備しておき、カートリッジの大きさが変更されるごとに移動ヘッドを交換する必要がある。移動ヘッドの交換作業は、大変な工数を要する作業であり実用的でなかった。
本発明はこのような点に鑑みなされたもので、カートリッジの大きさに無関係に、効率よく、簡便かつ迅速で、自動化適性に優れ、再現性の高い試料液中の核酸抽出処理が行える核酸抽出装置を提供することを目的とするものである。
即ち、本発明は、下記の構成よりなるものである。
(1) フィルター部材を備えたカートリッジを複数個収容可能なカートリッジホルダを有し、該カートリッジホルダに保持された前記カートリッジに対し、試料液を注入し加圧して該試料液中の核酸を前記フィルター部材に吸着させた後、前記カートリッジに回収液を分注し加圧して前記フィルター部材に吸着した核酸を前記回収液とともに回収する抽出動作を自動的に行う核酸抽出装置であって、少なくとも、前記カートリッジに対して加圧空気を導入する加圧ノズルと、前記カートリッジに対して前記回収液を分注する分注ノズルと、前記加圧ノズルと前記分注ノズルとを前記カートリッジホルダに対峙させて一体に搭載し、前記カートリッジの並び方向に移動自在な移動ヘッドと、を備え、前記試料液量に応じて複数種の大きさのカートリッジを選択的に使用する場合に、前記加圧ノズルと前記分注ノズルの前記並び方向に沿った所定の配置ピッチを、最も大きな前記カートリッジに対する前記並び方向の配置ピッチの整数倍に設定することを特徴とする核酸抽出装置。
この核酸抽出装置によれば、加圧ノズルと分注ノズルの配置ピッチが、最も大きなカートリッジに対する配置ピッチの整数倍に設定されているので、複数種の大きさのカートリッジの配置ピッチを最も大きなカートリッジに対する配置ピッチの整数分の1とすることにより、加圧ノズル、洗浄液分注ノズル、及び回収液分注ノズルの配置ピッチを、配列された複数種のカートリッジの配置ピッチに対応させることができ、これにより加圧空気の供給と、洗浄液又は回収液の分注を同時に処理することができる。従って、カートリッジのサイズに対応した専用の移動ヘッドを準備することなく、抽出作業のタクトアップを図り、抽出処理能力を高めて効率的に作業することができる。
(2) 前記分注ノズルが、前記カートリッジに対して洗浄液を分注する分注ノズルを含む複数のノズルであることを特徴とする(1)記載の核酸抽出装置。
この核酸抽出装置によれば、分注ノズルが、カートリッジに対して洗浄液を分注する分注ノズルを含む複数のノズルであるので、加圧空気の供給と同時に、カートリッジに洗浄液を分注して効率よく洗浄処理することができる。
(3) 前記加圧ノズルを前記カートリッジへ押し当てて加圧空気を導入するときに、前記加圧ノズルの先端の一部に前記カートリッジの開口側先端部を収容する溝部を設けたことを特徴とする(1)又は(2)記載の核酸抽出装置。
この核酸抽出装置によれば、加圧ノズルの先端の一部にカートリッジの開口側先端部を収容する溝部を設けたので、加圧ノズルから加圧空気を供給するとき、カートリッジの開口を確実に塞いでカートリッジ内を密閉し、密封状態の下で漏れのないカートリッジ内への加圧空気の送給が可能となる。
(4) 前記カートリッジホルダが、前記カートリッジの大きさを検出するホルダ判別センサを備え、該ホルダ判別センサにより被抽出カートリッジの配置位置を検出することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の核酸抽出装置。
この核酸抽出装置によれば、ホルダ判別センサによりカートリッジホルダに保持されたカートリッジの大きさを自動的に検出することができる。これにより、移動ヘッドをカートリッジの大きさに対応して最適に制御することができる。
(5) 前記カートリッジホルダのうち最も小さなカートリッジに対する配置ピッチを単位として、前記カートリッジホルダの各カートリッジ保持位置に前記加圧ノズルをステップ移動させるノズル移動手段と、
各保持位置でそれぞれ加圧空気をノズルから噴出させたときの前記加圧ノズルの流路の圧力を測定する圧力測定手段と、
前記圧力測定手段による圧力測定値の大小に応じて被核酸抽出カートリッジを特定する被核酸抽出対象設定手段と、を備えたことを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の核酸抽出装置。
この核酸抽出装置によれば、最も小さなカートリッジに対する配置ピッチを単位として、各カートリッジ保持位置に加圧ノズルをステップ移動させ、ノズルから加圧空気を供給すると共に加圧ノズルの流路の圧力を測定し、測定された圧力値に応じて被核酸抽出対象設定手段により被核酸抽出カートリッジを特定するようにしたので、被核酸抽出カートリッジ以外のカートリッジに対する以後の抽出処理を中止して抽出作用のタクトアップを図り、核酸抽出装置の稼働率を向上させることができる。
本発明の核酸抽出装置によれば、カートリッジの大きさに無関係に、効率よく、簡便かつ迅速で、自動化適性に優れ、再現性の高い核酸抽出処理が行える。
以下に本発明に係る核酸抽出装置について、その好適な実施の形態について詳細に説明する。
図1は核酸抽出装置の一実施形態であって前面カバーが開放された状態を示す斜視図、図2は前面カバーが閉じられた状態にある核酸抽出装置の外観斜視図、図3は核酸抽出装置の移動ヘッドの概略構成図、図4は核酸抽出装置の概略ブロック構成図、図5は保持機構の斜視図、図6は保持機構の分解斜視図、図7は保持機構及び液容器が取り外された装置本体の斜視図である。
本核酸抽出装置100は、容器内にフィルター部材を収容した核酸抽出カートリッジ(以降は単にカートリッジと称する)11、廃液を収容する廃液容器12、及び核酸を含む回収液を収容する回収容器13をそれぞれ複数配列させて保持する保持機構3と、カートリッジ11に単一の加圧ノズル41から加圧エアを導入する加圧エア供給機構4と、カートリッジ11に洗浄液及び回収液をそれぞれ分注する分注ノズル51を有する分注機構5と、加圧エア供給機構4の加圧ノズル41と保持機構3とを相対移動させるノズル移動手段である移動機構7とを備えて構成される。フィルター部材は、核酸吸着性多孔質体(ここでは核酸吸着性多孔性膜)が用いられる。
そして、この核酸抽出装置100では、(1)核酸を含む試料溶液を核酸吸着性多孔性膜に通過させて、該多孔性膜内に核酸を吸着させる工程、(2)該核酸吸着性多孔性膜を、核酸が吸着した状態で洗浄する工程、及び(3)回収液を該核酸吸着性多孔性膜に通過させて、該多孔性膜内から核酸を分離させる工程を順次実施するものである。
核酸抽出装置100は、図1〜図4に示すように、装置本体2に、保持機構3と、カートリッジ11に加圧エアを導入する加圧エア供給機構4と、カートリッジ11に洗浄液W及び回収液Rを分注する分注機構5等を備えてなる。
上記装置本体2は、保持機構3、加圧エア供給機構4、分注機構5、及び移動機構7等を収容すると共に天面に操作パネル71を供え前面側が開放された箱状の本体部75と、本体部75の開放面を覆う前面カバー73と、を備える。本体部75の正面側方の壁75bには、正面側から背面側に窪む凹部75aが設けられている。これにより、容器保持台63の側方に作業空間を確保して、後述する容器保持台63を装置本体2に脱着する際、容器保持台63を把持する手などが本体部75に干渉することを防止して、作業性を向上している。
次に、保持機構3、加圧エア供給機構4、分注機構5を具体的に説明する。
<保持機構>
保持機構3は、図5及び図6に示すように、カートリッジホルダ61と、容器ホルダ62と、容器保持台63とからなる。容器保持台63には、カートリッジホルダ61及び容器ホルダ62がそれぞれ位置決めされた状態で載置される。カートリッジホルダ61及び容器ホルダ62が載置された容器保持台63は、更に、載置台64上に載置される。
図7に示すように、容器ホルダ62の容器交換移動(前後動)は、装置本体2の後壁28から前方に突出し、前後方向及び上下方向に移動自在に設置された作動部材31が、容器交換モータ32(DCモータ)の駆動に応じて移動することで行われる(図4参照)。この前後動により、カートリッジホルダ61に保持されたカートリッジ11の下方に、回収容器13が位置したり、廃液容器12が位置するようになる。上記容器交換モータ32の作動は位置センサ33a,33bの検出に応じて制御される。
載置台64は、略矩形枠状に形成された基部64aから両側壁64b,64cが上方に突出して設けられている。両側壁64b,64cの後端上部には、略逆U字形のフック部64dが後方に突出して形成されている。
ここで、図8は装置本体の斜視図であり、(a)は装置本体に載置台が取り付けられた状態を示す斜視図、(b)は更に保持機構が載置台に載置された状態を示す斜視図である。
図8(a)に示すように、載置台64は、フック部64dを装置本体2の後壁28に形成された矩形係止穴28a(図7参照)に挿入、係合することにより、基部64aが作動部材31の下方に位置すると共に、両側壁64b,64cが作動部材31の両脇側に配置されるようにして装置本体2に設置される。従って、作動部材31は、両側壁64b,64cの間で前後方向及び上下方向に自在に移動する。
そして、図8(b)に示すように、カートリッジホルダ61、容器ホルダ62及び容器保持台63が一体に組み付けられた保持機構3が、装置本体2に設置された載置台64上に載置される。
カートリッジホルダ61は、ステンレス鋼板などを略コの字形に折り曲げて形成した台部65と、プレート材66とを備え、2分割構造に構成されている。台部65の両側壁65a,65bの下端は、互いに離間する方向に折り曲げられて支持部65cを形成する。また、両側壁65a,65bの後端上部には、略逆U字形の係止溝65g,65hを有する係止部65f,65jが形成されている(図5,図6参照)。これら係止部65f,65jは、係止ロッド76及び係止ロッド76の切欠溝76aにそれぞれ係合して位置決めされる。
両側壁65a,65bを連結する中間部65dの後端は、更に略コの字形に折り曲げられると共に、V字形に形成された複数(図に示す実施形態においては8箇所)のV字保持溝65eを備える。
プレート材66は、台部65のV字保持溝65eに対して離接する方向に移動自在に構成されており、内蔵するコイルバネ(図示せず)によってV字保持溝65eに接近する方向に付勢されている。また、プレート材66は、台部65のV字保持溝65eに対応する位置にV字形の保持部(図示せず)が複数形成されており、台部65のV字保持溝65eとプレート材66の保持部との間にコイルバネの弾性力によってカートリッジ11を挟持するようになっている。即ち、台部65のV字保持溝65e、プレート材66の保持部、及びコイルバネによりカートリッジ11の把持機構が構成され、該把持機構により複数種の大きさのカートリッジ、例えば、小サイズのカートリッジ11、中サイズのカートリッジ11M、大サイズのカートリッジ11Lが保持可能とされている。
把持機構により挟持されたカートリッジ11は、筒状本体の側部両側に形成された突起(不図示)がプレート材66の係合部(不図示)に係合保持される。コイルバネの弾性力に抗してプレート材66を移動させると、突起との係合が解除されてカートリッジ11を全部同時に下方に落下廃棄するようになっている。また、プレート材66の各保持部に相当する位置には、数字が昇順に記載されており、保持されたカートリッジ11が個別に容易に識別できるようになっている。
容器保持台63は、図6に示すように、リブ63c,63dにより連結されて一対の側壁63a,63bが対向配置されている。リブ63cは、更に両側方に延設されて一対の把持部材63eが形成されている。また、一対の側壁63a,63bの内壁面下部には、互いに対向する一対の支持リブ63fが水平方向に形成されており、該支持リブ63f上に容器ホルダ62を載置可能となっている。支持リブ63fの上面両端は、上方に突出する突起63gが形成されており、支持リブ63f上に載置された容器ホルダ62が突起63gに当接して前後方向の位置決めがなされる。更に、一対の側壁63a,63bの外壁面前方には、上下方向に縦リブ63hが形成されている。カートリッジホルダ61は、両側壁65a,65bが容器保持台63の一対の側壁63a,63bを挟持しつつ、縦リブ63hと把持部材63eの間に上方から挿入され、位置決めされた状態で容器保持台63に載置される。
容器ホルダ62は、その天面で横方向に延びる廃液容器保持孔62aと回収容器保持孔62bとを平行2列に備え、後側の廃液容器保持孔62aに複数の廃液容器12が、前側の回収容器保持孔62bに複数の回収容器13がそれぞれ列状に保持される。廃液容器保持孔62a及び回収容器保持孔62bはカートリッジホルダ61の把持機構(V字保持溝65e)と等ピッチで等位置に配設され、保持された各カートリッジ11の下方にそれぞれ廃液容器12及び回収容器13が位置するように設定されている。
2列に形成された廃液容器保持孔62aと回収容器保持孔62bとの間の天面62cには、カートリッジホルダ61に記載された数字と対応する数字が昇順で記載されている。これにより、カートリッジホルダ61に保持されているカートリッジ11と、容器ホルダ62に保持された廃液容器12及び回収容器13とを1対1に対応させて識別することができる。また、容器ホルダ62の底面には、一対の位置決め孔62dが形成されている。 なお、この廃液容器12と回収容器13とは混同防止のためにサイズ、形状等が異なったものを使用するのが好ましい。
図5に示すように、カートリッジホルダ61は、両側壁65a,65bが容器保持台63の一対の側壁63a,63bを挟持するように容器保持台63の上方から挿入されて載置される。また、容器ホルダ62は、容器保持台63の手前側の開口から挿入されて一対の支持リブ63f上に載置される。これにより、カートリッジホルダ61、容器ホルダ62及び容器保持台63が一体に組み付けられて保持機構3が構成される。保持機構3は、装置本体2に設置された載置台64に載置されるが、このとき、カートリッジホルダ61の支持部65cは、載置台64の両側壁64b,64cの上面64eに当接して保持される。
なお、カートリッジホルダ61は、図5のように容器ホルダ62が容器保持台63の一対の支持リブ63f(図6参照)上に載置されている下降した位置では、カートリッジホルダ61に保持されたカートリッジ11の排出部11cの下端は容器ホルダ62にセットされた廃液容器12及び回収容器13より上方に位置している。容器ホルダ62がパルスモータ等の昇降モータ47(図4参照)の駆動により昇降動作されて、容器ホルダ62がフォトセンサ48a〜48cの検出に伴う制御により昇降移動されると、これにより、容器ホルダ62が上昇した際にカートリッジ11の排出部11cが廃液容器12又は回収容器13の内部に所定量挿入されるようになる。
<加圧エア供給機構>
加圧エア供給機構4は、図4に示すように、容器ホルダ62に対して昇降移動する可動体としての移動ヘッド40と、この移動ヘッド40に設置された単一の加圧ノズル41と、加圧エアを発生するエアポンプ43と、リリーフバルブ44と、加圧ノズル41側に設置され給気経路を開閉する開閉バルブ45と、加圧ノズル41側に設置された圧力測定手段の一例である圧力センサ46と、加圧ノズル41を昇降動作させるノズル昇降手段を備えている。ノズル昇降手段は、パルスモータ等のノズル昇降モータ81とこれに接続されるネジ−ナット機構により昇降動作を実現している。この構成により、順次カートリッジ11に加圧エアを送給する。そして、エアポンプ43と、リリーフバルブ44と、加圧ノズル41はそれぞれ制御部70からの制御指令に基づいて動作する。
移動ヘッド40は、装置本体2の内部に設置された移動手段としてのパルスモータ等のヘッド移動モータ26(図3、図4参照)、ヘッド移動モータ26により回転駆動される駆動側プーリ27、回転自在でテンション調整を行う従動側プーリ(図示せず)、駆動側プーリ27と従動側プーリとの間を懸架されるタイミングベルト29とを備えている。なお、ヘッド移動モータ26は、フォトセンサ25a〜25cの検出に伴う制御により駆動され、カートリッジ11の配列方向に沿って移動ヘッド40を移動させる。
加圧ノズル41は移動ヘッド40に上下移動可能にかつ下方に付勢されて設置され、加圧ノズル41の下方先端の外周面は、円錐形状とされている。これにより、加圧ノズル41が下降移動した際に、カートリッジホルダ61にセットされたカートリッジ11の上部開口に、加圧ノズル41先端で当接させることで、加圧ノズル41の先端の円錐面と密着してカートリッジ11内を密閉する。この密封状態の下で、漏れのないカートリッジ11内への加圧エア送給が可能となる。
リリーフバルブ44はエアポンプ43と開閉バルブ45との間の通路のエアを排出する際に大気開放作動される。開閉バルブ45は選択的に開作動されて、エアポンプ43からの加圧エアが加圧ノズル41を経てカートリッジ11内に導入されるようにエア回路が構成されている。以上の構成により、エアポンプ43からカートリッジ11までの間に給気流路が形成される。
<分注機構>
分注機構5は、図1、図3、図4,及び図7に示すように、カートリッジホルダ61上をカートリッジ11の並び方向に移動可能な前述の移動ヘッド40に、一体に搭載された洗浄液分注ノズル51w及び回収液分注ノズル51rと、洗浄液ボトル56wに収容された洗浄液Wを洗浄液分注ノズル51wに給送する洗浄液供給ポンプ52wと、回収液ボトル56rに収容された回収液Rを回収液分注ノズル51rに給送する回収液供給ポンプ52rと、廃液容器台23に載置された廃液容器57等を備える。
移動ヘッド40は、ヘッド移動モータ26(図4参照)によって各カートリッジ11上で順次停止し、復帰状態では廃液容器57上に停止して、各カートリッジ11上の空間を空けるように駆動制御される。各カートリッジ11上の空間が空くことによって、作業性が大きく向上される。
洗浄液分注ノズル51w及び回収液分注ノズル51rは先端が下方に向けて屈曲され、洗浄液分注ノズル51wは、バルブ55wを介して洗浄液供給ポンプ52wに接続され、洗浄液供給ポンプ52wは洗浄液ボトル56wに接続されている。回収液分注ノズル51rは、バルブ55rを介して回収液供給ポンプ52rに接続され、回収液供給ポンプ52rは回収液ボトル56rに接続されている。洗浄液ボトル56w及び回収液ボトル56rはそれぞれ装置本体2の前面側に装着されて操作性を高めている。洗浄液供給ポンプ52w及び回収液供給ポンプ52rはチューブポンプで構成され、それぞれポンプモータ53w,53r(パルスモータ)によってセンサ54w,54rの位置検出に基づいて所定量の洗浄液W及び回収液Rを分注するように駆動制御される。これら、ポンプモータ53w,53r、及びバルブ55w,55rは、制御部70からの指令に基づいて動作する。
洗浄液W又は回収液Rを分注する場合には、バルブ55w又は55rを開き、ポンプモータ53w又は53rを駆動して洗浄液供給ポンプ52w又は回収液供給ポンプ52rのロータ部材を回転作動させる。これにより、洗浄液W又は回収液Rを洗浄液供給ポンプ52w又は回収液供給ポンプ52rにより吸引してバルブ55w又は55rを通じて洗浄液分注ノズル51w又は回収液分注ノズル51rより吐出させる。この吐出時には、洗浄液分注ノズル51w又は回収液分注ノズル51rをカートリッジ11上に移動させておく。これにより、所定量の洗浄液W又は回収液Rがカートリッジ11に分注される。
洗浄液ボトル56w及び回収液ボトル56rは、容器本体56wb,56rbとキャップ56wu,56ruよりなり、両キャップ56wu,56ruにはそれぞれ細パイプ状の吸引チューブ58w,58rが設置され、該吸引チューブ58w,58rの下端が容器本体56wb,56rbの底部近傍に開口して、洗浄液供給ポンプ52w又は回収液供給ポンプ52rの作動に応じて洗浄液W、回収液Rを吸い上げるようになっている。
上記のような各機構3〜5は、装置本体2の上部に設置された操作パネル71の入力操作に対応して、連係された制御部70(図4参照)によって制御される。つまり、制御部70に接続された記憶部72に予め記憶されているプログラムに基づいて駆動制御される。また、図1及び図2に示すように、各機構3〜5は、装置本体2に対して開閉自在に配設された前面カバー73で装置本体2の前面を覆うことにより装置本体2内に収容される。
図9は各ノズルの配置ピッチが、最大のカートリッジの配置ピッチの整数倍(図9においては、1倍)に設定された移動ヘッドとカートリッジの位置関係を示す正面図である。 図9に示すように、移動ヘッド40に配設された、加圧ノズル41と洗浄液分注ノズル51wの間隔L1、及び洗浄液分注ノズル51wと回収液分注ノズル51rの間隔L1は、カートリッジホルダ61にセット可能な最大のカートリッジ11Lの配置ピッチpの整数倍(図9においては、1倍)に設定されている。従って、加圧ノズル41をいずれかのカートリッジ11Lに対応させて位置させたとき、洗浄液分注ノズル51w及び回収液分注ノズル51rも他のカートリッジ11Lに対応した位置にある。これにより、加圧ノズル41からの加圧空気の供給と分注ノズル51からの洗浄液W又は回収液Rの分注を同時に行うことができる。
次に、最大のカートリッジ11Lの配置ピッチpの1/2の配置ピッチp2(p2=p/2)を有する中サイズのカートリッジ11M、または最大のカートリッジ11Lの配置ピッチpの1/3の配置ピッチp3(p3=p/3)を有する小サイズのカートリッジ11をカートリッジホルダ61にセットする例について説明する。
図10は、配置ピッチp2(p2=p/2)を有する中サイズのカートリッジ11Mと移動ヘッド40の各ノズルの位置関係を示す正面図、図11は配置ピッチp3(p3=p/3)を有する小サイズのカートリッジ11と移動ヘッド40の各ノズルの位置関係を示す正面図である。
図10に示すように、中サイズのカートリッジ11Mをセットした場合、移動ヘッド40の各ノズル41,51r,51wの間隔L1(p)は、カートリッジ11Mの配置ピッチp2の2倍となっているので、加圧ノズル41をいずれかのカートリッジ11Mに対応して位置させたとき、洗浄液分注ノズル51w及び回収液分注ノズル51rも他のカートリッジ11Mに対応して位置する。
また、図11に示すように、小サイズのカートリッジ11をセットした場合も同様に、移動ヘッド40の各ノズル41,51r,51wの間隔L1(p)は、カートリッジ11の配置ピッチp3の3倍となっているので、加圧ノズル41をいずれかのカートリッジ11に対応して位置させたとき、洗浄液分注ノズル51w及び回収液分注ノズル51rも他のカートリッジ11に対応して位置する。
上記したように、大きさの異なるカートリッジ11L,11M,11をカートリッジホルダ61にセットした場合でも、自動的にカートリッジと各ノズルの位置を一致させることができる。これにより、加圧空気の供給と洗浄液または回収液の分注を同時に行って核酸の抽出を効率的に行うことができる。また、小サイズのカートリッジ11をセットした場合には、多数の試料液の抽出が可能となり、ランニングコストの低減が可能となる。
なお、図12に示すように、移動ヘッド40に配置するノズルの数は3個に限定されず、例えば、2つの洗浄液分注ノズル51w1,51w2を含む4つのノズルを配置すれば、成分の異なる2種類の洗浄液W1,W2を供給することもできる。この場合にも、各ノズルの間隔L1を最大のカートリッジ11Lの配置ピッチpの整数倍(図12においては、1倍)に設定すれば、上記と同様の効果が得られる。
また、移動ヘッド40に配置するノズルの配置位置も特に限定されるものではなく、任意に配置することができる。図13は各ノズルの配置図であり、(a)は加圧ノズルが中央に配置された移動ヘッドの正面図、(b)は加圧ノズルが左端に配置された移動ヘッドの正面図である。図13(a)及び(b)に示すように、加圧ノズル41、洗浄液分注ノズル51w及び回収液分注ノズル51rの配置位置は、各ノズルの間隔L1が最大のカートリッジ11Lの配列ピッチpの整数倍であればよく、カートリッジホルダに保持されたカートリッジに合わせて移動ヘッド40の移動距離を制御することにより、上述したと同様の機能を有する。
1回の核酸抽出処理においては、複数種のカートリッジの中から同一サイズのカートリッジを揃えてカートリッジホルダに保持して処理するのが、作業を効率的に行う観点から望ましい。図14は、カートリッジホルダに保持されたカートリッジ(同一サイズのカートリッジ)の大きさが位置センサにより検出される状態を示す平面図であり、(a)は小サイズのカートリッジが保持された状態を示す平面図、(b)は大サイズのカートリッジが保持された状態を示す平面図である。
図14に示すように、大きさが異なるカートリッジ11,11M,11Lの中から同一サイズのカートリッジが選択されて、単一のカートリッジホルダ61により保持される。 即ち、プレート材66と台部65とを相対的に移動させて、相互の間隔を広げ、コイルバネの弾性力によってV字保持溝65eとプレート材66の保持部との間にカートリッジ11(11M,11L)を位置決めしながら保持する(図6参照)。図14(a)に示すように、小サイズのカートリッジ11が保持された場合、台部65とプレート材66との間隔X1は小さい。また、図14(b)に示すように、大サイズのカートリッジ11Lが保持された場合、台部65とプレート材66が互いに同期してスライドし、双方の間隔X2は大きくなる。このとき、サイズの異なるカートリッジ11L,11Mの中心位置は、常に同一線上に位置されるようにする。また、ホルダ判別センサの一例である位置センサ68により台部65とプレート材66との間隔Xの距離を検出することにより、カートリッジホルダ61に保持されているカートリッジの大きさを知ることができる。
位置センサ68により検出されたカートリッジサイズに関する検出信号は制御部70に入力され、該信号に基づいて制御部70が移動ヘッド40の移動距離を該カートリッジのサイズに合わせて制御する。具体的には、保持されているカートリッジが大サイズのカートリッジ11Lであると認識されると、移動ヘッド40はピッチpで移動し、中サイズのカートリッジ11Mであると認識されると、移動ヘッド40はピッチp2(p/2)で移動し、小サイズのカートリッジ11であると認識されると、移動ヘッド40はピッチp3(p/3)で移動するように制御部70によって制御される。
なお、位置センサ68を設けず、作業者がスイッチ操作するなどして制御モードを切り換え、移動ヘッド40の移動距離をカートリッジサイズに合わせるようにすることもできる。
また、ここでは、単一のカートリッジホルダ61に複数種のカートリッジを保持させる場合について記したが、カートリッジの大きさに合わせて専用カートリッジホルダを設けるようにしてもよい。
次に、大きさが異なり混在して保持されたカートリッジに対する加圧空気の供給について説明する。図15は、大きさが異なり混在するカートリッジに対して加圧空気を供給する状態を示す説明図である。図15に示すように、大サイズのカートリッジ11L、中サイズのカートリッジ11M、小サイズのカートリッジ11が混在して保持される場合は、移動ヘッド40を最小ピッチ、即ち、小サイズのカートリッジ11の配置ピッチP3(p/3)で順次ステップ移動させつつ、加圧ノズル41から加圧空気を供給する。そして、加圧空気供給時における配管内の圧力を圧力センサ46により測定し、測定結果を制御部70に入力する。なお、カートリッジホルダ(図示せず)は、プレート材が複数に分割され、それぞれのプレート材が台部に対して独立して移動可能に構成されおり、任意の大きさのカートリッジを混在して保持することができる。
カートリッジが装着されていない位置において加圧空気が供給された場合、配管内の圧力は上昇しない。従って、制御部70は、測定された圧力データが所定の大きさより大きければカートリッジが装着されていると判断して、その位置を記憶部72に記憶する。即ち、制御部70は、カートリッジ内に加圧空気を導入したときに圧力センサ46が検出する圧力により、該カートリッジを核酸の回収を行う被核酸抽出カートリッジとして特定する被核酸抽出対象設定手段として機能する。洗浄処理工程、回収処理工程などの以後の加圧空気供給時には、記憶部72に被核酸抽出カートリッジとして記憶された位置においてのみ加圧空気が供給され、それ以外の位置は移動ヘッド40がスキップして効率的に抽出処理がなされる。
以上、本実施形態の核酸抽出装置100によれば、移動ヘッド40に搭載された各ノズルの間隔とカートリッジの配置ピッチが合っているので、加圧ノズル41からカートリッジに加圧空気を供給しながら、同時に他のカートリッジに洗浄液や回収液を分注することができ、核酸抽出処理を効率的に行うことができる。
核酸抽出装置の一実施形態であって前面カバーが開放された状態を示す斜視図である。 前面カバーが閉じられた状態にある核酸抽出装置の外観斜視図である。 核酸抽出装置の移動ヘッドの概略構成図である。 核酸抽出装置の概略ブロック構成図である。 カートリッジホルダ、容器ホルダ、及び容器保持台が保持機構として一体に組み付けられ、載置台に搭載された状態を示す斜視図である。 カートリッジホルダ、容器ホルダ、容器保持台、及び載置台の斜視図である。 保持機構及び液容器が取り外された装置本体の斜視図である。 装置本体の斜視図であり、(a)は装置本体に載置台が取り付けられた状態を示す斜視図、(b)は更に保持機構が載置台に載置された状態を示す斜視図である。 各ノズルの間隔が、最大のカートリッジの配置ピッチの整数倍(1倍)に設定された移動ヘッドとカートリッジの位置関係を示す正面図である。 配置ピッチp2(p2=p/2)で配列された中サイズのカートリッジと移動ヘッドの各ノズルの位置関係を示す正面図である。 配置ピッチp3(p3=p/3)で配列された小サイズのカートリッジと移動ヘッドの各ノズルの位置関係を示す正面図である。 4つのノズルを有する移動ヘッドと各種カートリッジとの位置関係を示す正面図である。 各ノズルの配置図であり、(a)は加圧ノズルが中央に配置された正面図、(b)は加圧ノズルが左端に配置された正面図である。 カートリッジホルダに保持されたカートリッジの大きさが位置センサにより検出される状態を示す平面図であり、(a)は小サイズのカートリッジが保持された状態を示す平面図、(b)は大サイズのカートリッジが保持された状態を示す平面図である。 大きさが異なり混在するカートリッジに対して加圧空気を順次供給する状態を示す説明図である。 抽出動作の工程図(a)〜(g)である。 移動ヘッドに配置された各ノズルの位置関係を示す正面図である。 カートリッジと各ノズルの従来の位置関係を示す正面図である。 加圧ノズルから各カートリッジへ加圧空気を供給する工程を示す説明図(a)〜(e)である。 中サイズのカートリッジと各ノズルの従来の位置関係を示す正面図である。 大サイズのカートリッジと各ノズルの従来の位置関係を示す正面図である。 特大サイズのカートリッジと各ノズルの従来の位置関係を示す正面図である。
符号の説明
7 移動機構(ノズル移動手段)
11 (11M、11L) カートリッジ(核酸抽出カートリッジ)
11b フィルター部材(核酸吸着性多孔膜)
11e(11Me、11Le) 開口側先端部
40 移動ヘッド
41 加圧ノズル
41a 溝部
46 圧力センサ(圧力測定手段)
51w,51r 分注ノズル
61 カートリッジホルダ
68 位置センサ(ホルダ判別センサ)
70 制御部(被核酸抽出対象設定手段)
100 核酸抽出装置
S 試料液
W 洗浄液
R 回収液
p,p2,p3 配置ピッチ

Claims (5)

  1. フィルター部材を備えたカートリッジを複数個収容可能なカートリッジホルダを有し、該カートリッジホルダに保持された前記カートリッジに対し、試料液を注入し加圧して該試料液中の核酸を前記フィルター部材に吸着させた後、前記カートリッジに回収液を分注し加圧して前記フィルター部材に吸着した核酸を前記回収液とともに回収する抽出動作を自動的に行う核酸抽出装置であって、
    少なくとも、前記カートリッジに対して加圧空気を導入する加圧ノズルと、前記カートリッジに対して前記回収液を分注する分注ノズルと、前記加圧ノズルと前記分注ノズルとを前記カートリッジホルダに対峙させて一体に搭載し、前記カートリッジの並び方向に移動自在な移動ヘッドと、を備え、
    前記試料液量に応じて複数種の大きさのカートリッジを選択的に使用する場合に、前記加圧ノズルと前記分注ノズルの前記並び方向に沿った所定の配置ピッチを、最も大きな前記カートリッジに対する前記並び方向の配置ピッチの整数倍に設定することを特徴とする核酸抽出装置。
  2. 前記分注ノズルが、前記カートリッジに対して洗浄液を分注する分注ノズルを含む複数のノズルであることを特徴とする請求項1記載の核酸抽出装置。
  3. 前記加圧ノズルを前記カートリッジへ押し当てて加圧空気を導入するときに、前記加圧ノズルの先端の一部に前記カートリッジの開口側先端部を収容する溝部を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の核酸抽出装置。
  4. 前記カートリッジホルダが、前記カートリッジの大きさを検出するホルダ判別センサを備え、該ホルダ判別センサにより被抽出カートリッジの配置位置を検出することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の核酸抽出装置。
  5. 前記カートリッジホルダのうち最も小さなカートリッジに対する配置ピッチを単位として、前記カートリッジホルダの各カートリッジ保持位置に前記加圧ノズルをステップ移動させるノズル移動手段と、
    各保持位置でそれぞれ加圧空気をノズルから噴出させたときの前記加圧ノズルの流路の圧力を測定する圧力測定手段と、
    前記圧力測定手段による圧力測定値の大小に応じて被核酸抽出カートリッジを特定する被核酸抽出対象設定手段と、を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項記載の核酸抽出装置。
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