JP2005204578A - 抽出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 短時間で効率よく試料液の核酸などの特定物質を自動的に抽出でき、各抽出カートリッジで良好な加圧エアの導入および圧力開放を行い、確実な抽出とコンタミネーションを防止する。
【解決手段】 フィルター部材を備えた抽出カートリッジ11を用い、試料液を加圧し核酸などの特定物質を吸着させるもので、抽出カートリッジ11に加圧エアを導入する加圧エア供給機構4は、エアポンプ43と、複数の抽出カートリッジ11への加圧エアの供給路には加圧エアの供給を個々に開閉する開閉バルブ45と、抽出カートリッジ11の圧力を個々に大気開放する圧力開放弁44aとを備える。抽出カートリッジ11へ加圧エアを導入してから密閉し、液排出が完了した時点で圧力開放弁44aを個々に開放し、抽出カートリッジ11内に残存する加圧エアを放出する。
【選択図】 図5

Description

本発明は、フィルター部材を備えた抽出カートリッジを用いて試料液の特定物質例えば核酸を抽出する抽出装置に関し、特に抽出カートリッジへ加圧エアを導入して抽出する抽出加圧に関するものである。
従来の抽出法、例えば核酸抽出法としては、遠心法によるもの、磁気ビーズを用いるもの、フィルターを用いるものなどがある。
フィルターを用いた核酸抽出装置としては、フィルターを収容したフィルターチューブをラックに多数セットし、これに試料液を分注し、上記ラックの底部の周囲をシール材を介してエアチャンバーで密閉して内部を減圧し、全フィルターチューブを同時に排出側より吸引して試料液を通過させて核酸をフィルターに吸着し、その後、洗浄液および溶出液を分注して、同様に減圧吸引して洗浄・溶出するようにした機構が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この抽出装置では次のような問題がある。採取全血のように各試料液の特性が異なる場合に、特許文献1のように全体を同時に吸引するものでは、一部のフィルターチューブの吸引が終了してその抵抗がなくなると、他のフィルターチューブに作用する減圧が小さくなって粘度の高い試料液の処理が終了しない場合が生じる。その減圧容量を増大することは装置の小型化を図る際の障害となり、減圧容積が大きいために減圧を作用させるまでの時間が掛かり、また、液が全部排出されたことの検出が困難で、時間設定が長く、処理効率の向上の障害となる。一方、粘度の低い試料液では、フィルターチューブより勢いよく液が排出されて、泡状の飛沫が隣接するフィルターチューブおよびラックに付着してコンタミネーションを生じ、精度低下を招く問題がある。
特に、全体の真空吸引では、1つの抽出カートリッジへの試料液注入不良、抽出カートリッジの装填ミス等によってエア抵抗がないものがあると、正常な作動を確保することができず、また、多数の抽出カートリッジを個別に吸引する機構を構成することも困難である。
上記のような点より、他の抽出装置として、フィルター部材を備え核酸の吸着・洗浄・回収を行う抽出カートリッジ内に加圧エアを供給し、加圧した各液をフィルター部材を通過させて廃液容器または回収容器に排出するように構成して、処理効率の向上、小型化を図るようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
特許第2832586号公報 特開2003−128691号公報
上記のように抽出カートリッジに加圧エアを供給して加圧抽出する抽出装置では、加圧された液の全量がフィルター部材を通過した際に、残留加圧エアが抽出カートリッジの排出部より液とともに噴出されてミスト状の排出液が飛散して周囲を汚染し、コンタミネーションの原因となる恐れがある。
また、複数の抽出カートリッジに対する加圧エアの導入において、1つの開閉バルブの動作でその導入を行うと、1つの抽出カートリッジの液排出が完了した際に、この抽出カートリッジより加圧エアがリークして他の抽出カートリッジへの加圧エアの導入が不十分となり、所定圧力にまで高めることができずに、抽出条件が異なると同時に抽出が十分に行われずに核酸純度の低下や、次工程における反応性の低下などの弊害が生起する問題がある。
この点からは、各抽出カートリッジに対し個々に開閉バルブを設置して開閉作動することが好適であるが、エアポンプを複数設置することはコンパクト化、コスト面で不利となる。一方、前述の抽出カートリッジでの液排出完了時には、この抽出カートリッジ内に残留している加圧エアを抽出カートリッジの廃液口より噴出することなく開放することで、排出液の飛散防止が図れることに着目した。
しかし、複数の抽出カートリッジに、それぞれ加圧エアを導入し、密閉して液加圧を行い、液排出完了時に加圧エアを開放する際に、一部の抽出カートリッジへの加圧エアの導入と他の抽出カートリッジでの圧力開放とが同時に行えることが、測定精度を確保する上で重要であることが判明した。例えば、各抽出カートリッジへの加圧エアの導入条件は一定とすることが安定した抽出を得る上で重要であり、また、圧力開放は液排出完了と同時でないと効果ないが、全部の抽出カートリッジで同時に液排出が完了するものではない。そして、液排出途中で圧力開放が行われると抽出不足を招き、核酸純度の低下や、次工程における反応性の低下などの弊害が生起する問題がある。
本発明はこのような点に鑑みなされたもので、短時間で効率よく試料液の核酸等の特定物質を抽出できるとともに、各抽出カートリッジで良好な加圧エアの導入および圧力開放が行えるようにした抽出装置を提供することを目的とするものである。
本発明の抽出装置は、フィルター部材を備えた抽出カートリッジを用い、該抽出カートリッジに特定物質を含む試料液を注入し加圧して該試料液中の特定物質を前記フィルター部材に吸着させる抽出装置において、前記抽出カートリッジに加圧エアを導入する加圧エア供給機構は、エアポンプと、複数の抽出カートリッジへの供給路には加圧エアの供給を個々に開閉する開閉バルブと圧力を個々に開放作動する圧力開放弁とを備えたことを特徴とするものである。
また、本発明の他の抽出装置は、フィルター部材を備えた抽出カートリッジを用い、該抽出カートリッジに核酸を含む試料液を注入し加圧して該試料液中の核酸を前記フィルター部材に吸着させた後、前記抽出カートリッジに回収液を分注し加圧して前記フィルター部材に吸着した核酸を分離して回収液とともに回収する抽出装置において、前記抽出カートリッジに加圧エアを導入する加圧エア供給機構は、エアポンプと、複数の抽出カートリッジへの供給路には加圧エアの供給を個々に開閉する開閉バルブと圧力を個々に開放作動する圧力開放弁とを備えたことを特徴とするものである。
前記開閉バルブを個別に開閉作動して、複数の前記抽出カートリッジへそれぞれ加圧エアを導入してから密閉し、各抽出カートリッジで液排出が完了した時点で、前記圧力開放弁を個々に開放作動し、該抽出カートリッジ内に残存する加圧エアを放出するのが好適である。
前記加圧エア供給機構は、前記抽出カートリッジの内圧を個別に検出する圧力センサをさらに備え、該圧力センサの検出に基づいて前記圧力開放弁の開放作動を行うことが好ましい。
上記のような本発明によれば、フィルター部材を備えた抽出カートリッジに特定物質、例えば核酸を含む試料液を注入し加圧して特定物質をフィルター部材に吸着させる抽出動作を短時間で効率よく行って試料液の核酸などの特定物質を抽出できる機構をコンパクトに構成することができる。
さらに、加圧エア供給機構は、複数の抽出カートリッジへの供給路に加圧エアの供給を個々に開閉する開閉バルブと圧力を個々に開放作動する圧力開放弁とを備え、個々に抽出カートリッジの圧力開放が行えることにより、一部の抽出カートリッジでの加圧エアの導入・密閉と、他の抽出カートリッジでの圧力開放とが同時に行え、測定精度が確保できる。
特に、抽出カートリッジからの液の排出が終了した時点で圧力開放弁を開放作動して抽出カートリッジ内に残存する加圧エアを放出することにより、抽出カートリッジの排出部より液と共に残存エアが噴出されてミスト状に飛散するのを防止でき、これに起因するコンタミネーションの発生が防止できる。さらに、個々の抽出カートリッジで最適な条件による加圧エアの導入と最適時期の圧力開放とが行え、コンタミネーションの防止とともに確実な抽出作用を得て、安定した核酸などの特定物質の抽出処理が実施でき、核酸純度の低下、次工程における反応性の低下を招くことなく信頼性が高まる。
また、圧力開放弁の開放作動を圧力センサの検出に基づいて行うと、確実に液排出完了時に開放作動させることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に沿って説明する。図1は抽出装置の一つの実施形態にかかる核酸抽出装置のカバーを除去した状態を示す斜視図、図2は核酸抽出装置の概略機構図、図3は搭載機構におけるラックの斜視図、図4はラックの使用状態を示す斜視図、図5は加圧エア供給機構のエア系統図、図6は加圧エア供給機構の制御系統図、図7および図8は加圧制御例のフローチャート図、図9は抽出カートリッジ内圧力の変動を示す図、図10は抽出動作の工程図、図11は抽出カートリッジの斜視図である。
一実施形態の核酸抽出装置1の機構を説明する前に、この核酸抽出装置1は、図11に示すような抽出カートリッジ11(フィルターカートリッジ)を用いて試料液中の特定物質としての核酸を抽出するものである。この抽出カートリッジ11は、上端が開口した筒状本体11aの底部にフィルター部材11bが保持され、筒状本体11aのフィルター部材11bより下方部位はロート状に形成され、下端中心部に細管ノズル状の排出部11cが所定長さに突出形成され、筒状本体11aの側部両側に縦方向の突起11dが形成されてなる。上部開口より後述の試料液、洗浄液、回収液が分注され、上部開口より加圧エアが導入され、各液をフィルター部材11bを通して排出部11cより後述の廃液容器12または回収容器13に流下排出する。なお、図示の場合、筒状本体11aは上部と下部に分割され嵌着する構造となっている。
そして、核酸抽出装置1は基本的に図10(a)〜(g)に示すような抽出工程によって核酸の抽出精製を行う。まず図10(a)工程で、廃液容器12上に位置する抽出カートリッジ11に溶解処理された核酸を含む試料液Sを注入する。次に図10(b)工程で、抽出カートリッジ11に加圧エアを導入して加圧し、フィルター部材11bを通して試料液Sを通過させ、このフィルター部材11bに核酸を吸着させ、通過した液状成分は廃液容器12に排出する。
次に図10(c)工程で抽出カートリッジ11に洗浄液Wを自動分注し、(d)工程で抽出カートリッジ11に加圧エアを導入して加圧し、フィルター部材11bに核酸を保持したままその他の不純物の洗浄除去を行い、通過した洗浄液Wは廃液容器12に排出される。この(c)工程および(d)工程を複数回繰り返してもよい。
その後、(e)工程で抽出カートリッジ11の下方の廃液容器12を回収容器13に交換してから、(f)工程で抽出カートリッジ11に回収液Rを自動分注し、(g)工程で抽出カートリッジ11に加圧エアを導入して加圧し、フィルター部材11bと核酸の結合力を弱め、吸着されている核酸を離脱させて、核酸を含む回収液Rを回収容器13に排出し回収する。
上記抽出カートリッジ11におけるフィルター部材11bは、基本的には核酸が通過可能な多孔性であり、その表面は試料液中の核酸を化学的結合力で吸着する特性を有し、洗浄液による洗浄時にはその吸着を保持し、回収液による回収時に核酸の吸着力を弱めて離すように構成されてなる。その一例の具体的構成は、特開2003−128691号の核酸の分離精製方法に詳述されているように、例えば、上記フィルター部材11bは表面に水酸基を有する有機高分子で構成されている。表面に水酸基を有する有機高分子としては、アセチルセルロースの表面鹸化物が好ましい。アセチルセルロースとしては、モノアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロースのいずれでもよいが、特にはトリアセチルセルロースが好ましい。その表面が鹸化処理液(例えば、NaOH)との接触により鹸化され、その構造体はアセチルセルロースのままである。表面鹸化処理の程度(表面鹸化度)で表面の水酸基の量(密度)がコントロールでき、水酸基の数が多い方が核酸の吸着効果が高くなる。例えば、トリアセチルセルロースなどのアセチルセルロースの場合には、表面鹸化率が約5%以上であることが好ましく、10%以上であることがさらに好ましい。アセチルセルロースは多孔性膜が好適である。
前記「核酸を含む試料液S」は、細胞またはウィルスを含む検体を溶解処理することにより核酸を液中に分散させた溶液に水溶性有機溶媒を添加したものである。例えば診断分野においては、検体として採取された全血、血漿、血清、尿、便、精液、唾液等の体液、あるいは植物(またはその一部)、動物(またはその一部)など、あるいはそれらの溶解物およびホモジネートなどの生物材料から調製された溶液が対象となる。「溶解処理」は、細胞膜および核膜を溶解して核酸を可溶化する試薬(例えば、グアニジン塩、界面活性剤およびタンパク質分解酵素を含む溶液)を含む水溶液で処理するもので、例えば、対象となる試料が全血の場合、フィルター部材11bへの非特異吸着および目詰まりを防ぐために赤血球および各種タンパク質を分解、低分子化し、抽出の対象である核酸を可溶化させるために白血球および核膜の溶解を行う。「水溶性有機溶媒」としてはエタノール、イソプロパノールまたはプロパノールなどが挙げられ、中でもエタノールが好ましい。水溶性有機溶媒の濃度は好ましくは5〜90重量%であり、さらに好ましくは20〜60重量%である。エタノールの添加濃度は、凝集物を生じない程度でできるだけ高くすることが特に好ましい。
「洗浄液W」は、核酸と一緒にフィルター部材11bに付着した試料液中の不純物を洗い流す機能を有し、核酸の吸着はそのままで不純物を離脱させる組成を有する。主剤と緩衝剤、および必要に応じて界面活性剤を含む水溶液からなる。主剤としてはメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−イソプロパノール、ブタノール、アセトン等の約10〜100重量%(好ましくは20〜100重量%、さらに好ましくは40〜80重量%)の水溶液が挙げられる。
「回収液R」は、塩濃度が低いことが好ましく、特には0.5M以下の塩濃度の溶液、例えば、精製蒸留水、TEバッファ等が使用される。
前記核酸抽出装置1は、図1および図2に示すように、装置本体2に、複数の抽出カートリッジ11、廃液容器12および回収容器13を保持する搭載機構3と、抽出カートリッジ11に加圧エアを導入する加圧エア供給機構4と、抽出カートリッジ11に洗浄液Wおよび回収液Rを分注する分注機構5などを備えてなる。次に各機構3〜5を具体的に説明する。
<搭載機構>
搭載機構3は、装置本体2の前方下部に搭載台21を備え、この搭載台21上に複数の抽出カートリッジ11、廃液容器12および回収容器13を保持したラック6が載置される。ラック6は、図3にも示すように、スタンド61とカートリッジホルダー62と容器ホルダー63とを備える。
スタンド61は両側の柱状部61aに上下移動可能にカートリッジホルダー62を保持し、柱状部61aの間の下部の底板61b上に前後移動可能に容器ホルダー63を保持している。
カートリッジホルダー62は、前後のプレート材の接合による2分割構造に構成され、横方向に延びる保持部62aの両端に上下方向に延びる支持脚62bを備える。その支持脚62bがスタンド61の柱状部61aの上下方向の摺動溝61cに上下移動可能に挿入され、この支持脚62bがスタンド61に内蔵された付勢部材(不図示)によって上方に付勢されている。保持部62aには複数の保持孔62cが並設され、上方より抽出カートリッジ11が挿入され、抽出カートリッジ11の筒状本体11aの側部両側に形成された突起11d(図11参照)の下端がカートリッジホルダー62内の係合部材(不図示)に係合保持される。係合部材は移動可能で、移動時には突起11dとの係合を解除して抽出カートリッジ11を全部同時に下方に落下廃棄するようになっている。
このカートリッジホルダー62は上面の両側にピン孔62dを備え、使用状態では後述の押えピン49(図1参照)の先端49aが係合して下方に押し下げられる。図3のようにカートリッジホルダー62が上昇した位置では、カートリッジホルダー62に保持された抽出カートリッジ11の排出部11cの下端は容器ホルダー63にセットされた廃液容器12および回収容器13より上方に位置しているが、図4に示すように、カートリッジホルダー62が下降した際には抽出カートリッジ11の排出部11cが廃液容器12または回収容器13の内部に所定量挿入されるように設定されている。
容器ホルダー63は、横方向に延びる廃液容器保持孔63aと回収容器保持孔63bとを平行2列に備え、後側の廃液容器保持孔63aに複数の廃液容器12が、前側の回収容器保持孔63bに複数の回収容器13がそれぞれ列状に保持される。廃液容器保持孔63aおよび回収容器保持孔63bはカートリッジホルダー62の保持孔62cと等ピッチで等位置に配設され、複数保持された各抽出カートリッジ11の下方にそれぞれ廃液容器12および回収容器13が位置するように設定されている。この廃液容器12と回収容器13とは混同防止のためにサイズ、形状等が異なったものを使用するのが好ましい。
上記容器ホルダー63はスタンド61に内蔵された不図示の付勢部材によって前方に付勢されている。容器ホルダー63の容器交換移動(前後動)は、搭載台21に設置された作動部材31(図2参照)が、スタンド61の底板61bに形成された開口を通して、容器ホルダー63の底部の係合孔(不図示)に係合されて行われる。容器交換モータ32(DCモータ)の駆動に応じた作動部材31の移動動作に応じて容器ホルダー63が後退移動され、カートリッジホルダー62の下方に回収容器13が位置するように作動する。非作動時には廃液容器12がカートリッジホルダー62の下方に位置するように不図示の付勢部材で付勢されている。上記容器交換モータ32の作動は位置センサ33a,33bの検出に応じて制御される。
なお、廃液容器保持孔63aおよび回収容器保持孔63bは有底に設けられ、廃液容器12または回収容器13がセットされていない状態で誤って液が滴下しても外部に流出して汚染が発生しないようになっている。
<加圧エア供給機構>
加圧エア供給機構4は、前記搭載機構3のラック6に対して昇降移動する加圧ヘッド40に1列に並んで設置された複数(図の場合8個)のエアノズル41と、図5のエア系統図にも示すように、加圧エアを発生するエアポンプ43と、各エアノズル41に対し個々に設置されエアポンプ43による加圧エアの供給を個別に開閉する開閉バルブ45と、各エアノズル41に設置され個々の抽出カートリッジ11の内圧を大気開放する個別の圧力開放弁44aと、エアポンプ43の直下流のエア通路を大気開放するリリーフバルブ44bと、各エアノズル41に設置され抽出カートリッジ11の内圧を検出する個別の圧力センサ46aと、エアポンプ43の吐出圧力を検出する圧力センサ46bとを備え、順次抽出カートリッジ11に加圧エアを送給する。
前記加圧ヘッド40は、装置本体2の中間フレーム22と上フレーム23との間に上下方向に設置されたガイドロッド24に上下移動可能に保持されている。同様に上下方向に設置されたボールネジ25に加圧ヘッド40に設置されたボールナット40aが螺合し、昇降モータ47(パルスモータ)の駆動に伴うタイミングベルト、プーリを介したボールネジ25の回転により加圧ヘッド40が、フォトセンサ48a〜48cの検出に伴う制御により昇降移動される。加圧ヘッド40の両側には押えピン49を有し、この押えピン49はスプリング49bで下方に付勢されて上下移動可能で、先端49aがカートリッジホルダー62の上面のピン孔62dに係合して位置を規制して押えるようになっている。
上記押えピン49は、カートリッジホルダー62を押圧作動している状態で、後述の洗浄液分注ノズル51wおよび回収液分注ノズル51rの横方向移動と干渉しないように、カートリッジホルダー62の前側位置を押えるように配設されている。
エアノズル41は加圧ヘッド40にそれぞれ上下移動可能にかつ下方に付勢されて設置され、その下方にはエアノズル41に対応した連通孔42a(図2参照)が開口されたシート状のシール材42が配設され、加圧ヘッド40が下降移動した際に、カートリッジホルダー62にセットされた抽出カートリッジ11の上端開口を、エアノズル41先端でシール材42を介して押圧して密閉し、連通孔42aを通して抽出カートリッジ11内へ加圧エアが送給可能となる。
各エアノズル41に対し個々に設置された圧力開放弁44aは通常は開閉バルブ45からエアノズル41に至るエア通路を開通した状態にあり、その圧力開放作動は抽出カートリッジ11から液が全部排出された加圧終了の判定に応じて行われ、抽出カートリッジ11内に残留する加圧エアを大気開放して抜き、先端排出部11cからのエア噴出による液飛散を阻止する。なお、上記圧力開放弁44aは、図5では3方電磁弁で構成しているが、リリーフバルブ44bと同様に、エア通路から分岐して接続した2方電磁弁で構成してもよい。
また、エアポンプ43の直下流のリリーフバルブ44b(図5)は通常は閉状態にあり、全部の開閉バルブ45が閉じているときに大気開放作動し、連続駆動されるエアポンプ43による過剰加圧エアを逃がし、連続運転している間に圧力が上昇した加圧エアが開閉バルブ45の開作動に伴って急激に抽出カートリッジ11内に供給されるのを防止している。
開閉バルブ45(図5では2方電磁弁)は個別に開作動されて、エアポンプ43からの加圧エアを対応するエアノズル41を経て抽出カートリッジ11内に導入するようにエア経路が構成されている。
圧力センサ46aは各エアノズル41に設置され、抽出カートリッジ11の内圧を個別に検出するものであり、検出圧力が加圧上限用の指定圧力(例えば90kPa)となったときに、その信号を受けた制御ユニット8(図6参照)により、対応する開閉バルブ45を閉作動して加圧エアの送給を停止したり、また、抽出カートリッジ11よりの液排出の完了に伴う圧力低下の検出により加圧終了を判定し、圧力開放弁44aを開放作動して、次の工程に移行するなどの制御が行われる。
また、前記圧力センサ46aによる抽出カートリッジ11内の圧力変動より、カートリッジホルダー62への抽出カートリッジ11のセットの有無検出、液の有無検出、液量不足の検出、フィルター詰まりの検出を行うようになっている。詳細は図9により後述する。
図6には、1つの抽出カートリッジ11に対するエア経路の制御系統を示し、エアポンプ43の駆動制御、圧力開放弁44aおよびリリーフバルブ44bの開閉作動、開閉バルブ45の個別開閉作動が、制御ユニット8からの出力によって行われ、この制御ユニット8には、圧力センサ46a,46bによる検出圧力信号、装置本体2の上部に設置された操作パネル7からの入力操作信号、情報読取器9からの試料液種信号などに応じ、内蔵されたプログラムに基づいて加圧制御される。
そして、上記構成により、開閉バルブ45を個別に開作動して対応する抽出カートリッジ11へ加圧エアを導入し、個々の圧力センサ46aで検出した内圧が加圧上限用の指定圧力に到達した際に前記開閉バルブ45を閉作動して加圧状態で密閉した後、加圧により抽出カートリッジ11のフィルター部材11bを通して各液が排出され、各抽出カートリッジ11における液排出が完了した加圧終了時点を、各圧力センサ46aにより液排出完了時の内圧低下から個別に検出し、圧力開放弁44aの圧力開放作動を制御している。また、エアポンプ43の吐出流量を圧力センサ46bの検出に基づいて補正制御し、開閉バルブ45の開作動時から所定時間後に抽出カートリッジ11内に送給した加圧エア量および圧力が一定となるようにしている。
さらに、制御ユニット8は、操作パネル7からの入力操作信号、または、情報読取器9からの試料液種信号などに応じ、前述の加圧上限用の指定圧力を含むその試料液Sの種類に最適な処理手順(プロトコル)、設定値で動作するように制御方法を変更する。つまり、処理する試料液Sの種類が変わると、加圧制御方法、処理液量、洗浄回数を変更したり、試薬の分注などを追加したりして対応することになる。例えば、操作パネル7のキーボードから検体種などをキー入力することにより、予めプログラミングしてあるプロトコル、設定値などが選択され制御される。また、処理する検体種ごとに使用する試薬が異なり、その試薬に添付されたバーコードのコード、ICチップの情報を情報読取器9により読み取ることにより、予めプログラミングしてあるプロトコル、設定値などが選択され制御される。同様に試料液に対応した情報を記録してあるCFカード(メモリーカード)などの記憶素子を情報読取器9により読み取ることにより、プロトコル、設定値の入れ替えを行うようにしてもよい。
上記加圧処理において、複数の抽出カートリッジ11への加圧エアの導入は、1つずつ順に行う場合と、複数同時に行う場合とがある。順に行う場合は、全部が閉状態にある開閉バルブ45のうち1つの開閉バルブ45を開作動し、対応する抽出カートリッジ11へ加圧エアを導入し、圧力センサ46aの検出に応じて該開閉バルブ45を閉作動するのに続いて、次の1つの開閉バルブ45を開作動し、対応する抽出カートリッジ11へ加圧エアを導入し、圧力センサ46aの検出に応じて該開閉バルブ45を閉作動する動作を繰り返して、複数の抽出カートリッジ11へ加圧エアを導入する。
また、複数同時に行う場合は、全部が閉状態にある開閉バルブ45のうち複数の開閉バルブ45を開作動し、各抽出カートリッジ11へ同時に加圧エアを導入し、各開閉バルブ45を各圧力センサ46aの検出に応じて個別に閉作動して、複数の抽出カートリッジ11へ加圧エアを導入する。この複数同時加圧の場合に、エアポンプ43の吐出量を、開作動する開閉バルブ45の数に応じて制御し、圧力上昇速度を一定とする。このエアポンプ43の吐出量制御は、例えばPWM制御で行う。すなわち、エアポンプ43に印加する電圧を、抽出カートリッジ11の数に応じて時間比を変動制御(オンオフデューティ制御)し、エアポンプ43の回転数を加圧数が多いほど高くするように制御して、抽出カートリッジ11に導入する加圧エアの圧力上昇速度を均一にし、圧力センサ46aが加圧上限用の指定圧力を検出して開閉バルブ45を閉作動した際の、密閉された圧力が一定となるようにする。前述の吐出流量制御も同様に行える。
前記制御ユニット8による加圧制御における液排出完了検出を図7および図8のフローチャートで後述するが、試料液の粘度等が不明な検体加圧時の制御特性(図7)と、洗浄液および回収液加圧時の制御特性(図8)とが異なっている。つまり、検体加圧時には、圧力低下加速度と圧力低下量との両者で判定しているのに対し、洗浄液および回収液加圧時には圧力低下量のみで判定している。
<分注機構>
分注機構5は、ラック6上を横方向に移動可能なノズル移動台50に設置された洗浄液分注ノズル51wおよび回収液分注ノズル51rと、洗浄液ボトル56wに収容された洗浄液Wを洗浄液分注ノズル51wに給送する洗浄液供給ポンプ52wと、回収液ボトル56rに収容された回収液Rを回収液分注ノズル51rに給送する回収液供給ポンプ52rと、搭載台21に載置された廃液ボトル57などを備える。
ノズル移動台50は、装置本体2の縦壁26に水平方向に設置されたガイドレール27に保持されて横方向に移動可能であり、その移動が不図示のノズル移動モータ(パルスモータ)によって各抽出カートリッジ11上で順次停止し、復帰状態では廃液ボトル57上に停止するように駆動制御される。洗浄液分注ノズル51wおよび回収液分注ノズル51rは先端が下方に向けて屈曲され、洗浄液分注ノズル51wは切替弁55wを介して洗浄液供給ポンプ52wに接続され、洗浄液供給ポンプ52wは切替弁55wを介して洗浄液ボトル56wに接続され、回収液分注ノズル51rは切替弁55rを介して回収液供給ポンプ52rに接続され、回収液供給ポンプ52rは切替弁55rを介して回収液ボトル56rに接続されている。洗浄液ボトル56wおよび回収液ボトル56rはそれぞれ装置本体2の側部に装着される。洗浄液供給ポンプ52wおよび回収液供給ポンプ52rはシリンジポンプで構成され、そのピストン部材がそれぞれポンプモータ53w,53r(パルスモータ)によってセンサ54w,54rの位置検出に基づいて所定量の洗浄液Wおよび回収液Rを分注するように駆動制御される。
すなわち、洗浄液Wまたは回収液Rを分注する場合には、切替弁55wまたは55rを洗浄液ボトル56wまたは回収液ボトル56r側に切り替え、ポンプモータ53wまたは53rを駆動して洗浄液供給ポンプ52wまたは回収液供給ポンプ52rのピストン部材を後退作動させ、洗浄液Wまたは回収液Rを洗浄液供給ポンプ52wまたは回収液供給ポンプ52rの内部に吸引収容し、続いて切替弁55wまたは55rを洗浄液分注ノズル51wまたは回収液分注ノズル51r側へ切り替え、ポンプモータ53wまたは53rを駆動して洗浄液供給ポンプ52wまたは回収液供給ポンプ52rのピストン部材を押込作動させ、廃液ボトル57に対して通路内のエアを排出するまで洗浄液または回収液を洗浄液分注ノズル51wまたは回収液分注ノズル51rより吐出させた後、洗浄液供給ポンプ52wまたは回収液供給ポンプ52rの駆動を停止させる。その後、洗浄液分注ノズル51wまたは回収液分注ノズル51rを抽出カートリッジ11上に移動させてから、洗浄液供給ポンプ52wまたは回収液供給ポンプ52rの駆動量を制御して所定量の洗浄液Wまたは回収液Rを抽出カートリッジ11へ分注するものである。
そして、前述の制御ユニット8(図6参照)は、加圧制御だけでなく、上記のような各機構3〜5の駆動制御を行うものであり、装置本体2の上部に設置された操作パネル7の入力操作に対応し、内蔵されたプログラムに基づいて一連の自動抽出動作を行うように制御する。
上記核酸抽出装置1による抽出動作を具体的に説明する。まず搭載機構3のラック6におけるカートリッジホルダー62に抽出カートリッジ11をセットし、容器ホルダー63に廃液容器12および回収容器13をそれぞれセットし、このラック6を装置本体2の搭載台21に載置して準備を行う。次に、溶解処理された試料液Sをピペット等によって各抽出カートリッジ11に順次注入する。なお、装置1に搭載する前のラック6にセットした後またはセットする前の抽出カートリッジ11に試料液Sを先に注入するようにしてもよい。
その後、操作パネル7の操作によって装置を作動させると、加圧エア供給機構4の昇降モータ47の駆動によって加圧ヘッド40が下降移動し、押えピン49の先端49aがカートリッジホルダー62のピン孔62dに係合して押さえつけて、このカートリッジホルダー62を下降させて位置を規制すると共に、抽出カートリッジ11の下端排出部11cを図4のように廃液容器12内に所定量挿入させて、排出液が飛散等によって外部に漏れないようにする。さらに加圧ヘッド40が下降移動してシール材42を介して各エアノズル41の下端部が抽出カートリッジ11の上端開口に圧接して密閉する。前記押えピン49がカートリッジホルダー62の位置を規制していることで、各抽出カートリッジ11に対し各エアノズル41が正確に圧接して確実な密閉が確保できる。
その後、加圧エアの供給が行われるもので、一例の検体加圧制御を図7のフローチャートに基づいて説明する。このフローチャートは、1つの抽出カートリッジ11に対する制御について示している。加圧開始後、ステップS1で開閉バルブ45が開作動されるとともに、エアポンプ43が駆動される。そして、対応するエアノズル41を通して抽出カートリッジ11にエアポンプ43からの加圧エアが供給され、圧力センサ46aにより圧力が検出され、この検出圧力が設定した上限圧力に到達したか否かを判定する(S2)。
供給圧力が上限圧力に到達してステップS2の判定がYESとなると、開閉バルブ45を閉作動し(S3)、加圧状態で抽出カートリッジ11への圧力を密閉する。加圧エアが導入された抽出カートリッジ11では、試料液Sは圧力の作用によりフィルター部材11bを通って核酸が吸着保持され、その他の液状成分は下端部の排出部11cより廃液容器12に排出される。
そして、ステップS4およびS5で液排出完了か否かを判定する。ステップS4では圧力低下加速度が所定値XkPa/sec2以上になったか否かを判定するもので、液排出に伴う圧力変動を2回微分して変化をみて、液排出完了時点で内圧が急激に低下するのを、試料液Sの粘度、加圧速度等の変動要素に関係なく、液排出完了時の圧力変動を精度良く検出する処理である。このステップS4による判定が行えないNOの場合には、ステップS5で圧力が抜け圧力(閾値)以上に低下したか否かを判定するもので、前記開閉バルブ45を閉作動した時点の上限圧力よりの低下圧力差がこの閾値を越えて大きくなった際を液排出完了時として判定する。このステップS4またはS5のYES判定により、抽出カートリッジ11における液排出が完了すると、ステップS6で圧力開放弁44aを大気開放作動して、その抽出カートリッジ11に対する加圧処理を終了する。
同様に、各抽出カートリッジ11に加圧エアを供給し、この動作を順に繰り返して全ての抽出カートリッジ11に圧力を加え、各圧力センサ46aによって全部の抽出カートリッジ11で液排出完了が検出されると全体の加圧処理を終了し、加圧ヘッド40が上昇作動される。
上記のように、試料液Sが全てフィルター部材11bを通過すると内圧が液排出完了時点で急激に低下変動するのを、圧力センサ46aに基づいて判別した加圧終了の時点で、対応する圧力開放弁44aを開放作動して、抽出カートリッジ11内に残留している加圧エアを圧力開放弁44aを介して大気開放し、抽出カートリッジ11の排出部11cから液と共に噴出されるのを阻止する。
次に図8のフローチャートに基づいて、上記検体加圧による核酸抽出後における後述の洗浄処理および回収処理における洗浄液Wまたは回収液Rを注入した後の加圧処理での一例の加圧制御を同様に説明する。加圧開始後、ステップS11で個別に開閉バルブ45が開作動され、エアノズル41を通して抽出カートリッジ11に加圧エアが供給され、圧力センサ46aによる検出圧力が上限圧力に到達したか否かを判定する(S12)。供給圧力が上限圧力に到達してステップS12の判定がYESとなると、開閉バルブ45を閉作動する(S13)。加圧エアが導入・密閉された抽出カートリッジ11では、洗浄液Wまたは回収液Rは圧力の作用によりフィルター部材11bを通って排出される。
そして、ステップS14で液排出完了か否かを判定するが、洗浄液Wまたは回収液Rは粘度が低く既知であり、圧力低下速度を判定する必要がない。このステップS14は、図7のフローチャートにおけるステップS5と同様の処理であり、圧力が抜け圧力(閾値)以上に低下したか否かを判定する。このステップS14のYES判定により、抽出カートリッジ11における液排出が完了すると、ステップS15で圧力開放弁44aを大気開放作動して、その抽出カートリッジ11に対する加圧処理を終了する。
次に、図9は上記加圧処理における抽出カートリッジ11内への加圧エアの導入に伴う内圧変動を示し、正常動作状態においては曲線Aで示す特性で変動し、曲線Bはその変化量を示す微分波形である。まず、開閉バルブ45が開作動されて加圧エアが導入開始された時間0点より圧力が直線的に上昇し、加圧上限用の指定圧力(例えば90kPa)に到達したa点で開閉バルブ45が閉作動されて、抽出カートリッジ11の内部空間は加圧状態で密閉される。その圧力が液に作用してフィルター部材11bを通過させるように加圧し、液が徐々に減少するのに伴って圧力が低下し、b点で液の全量がフィルター部材11bを通過して液排出が完了すると、フィルター部材11bでのエア抵抗が低減して圧力は急激に低下する。その圧力変動は微分波形曲線Bでは顕著に発生し、曲線Bで顕著でなくてもこれをさらに微分した2回微分波形では顕著となり、その変化量が前述の所定値XkPa/sec2以上となったことの検出により加圧終了を判定する。または、上記加圧終了の判定は、a点の閉止圧力から液排出に伴う低下圧力差が、設定した抜け圧力(閾値)以上に低下したことにより判定する。
なお、前述のように試料液Sの加圧の場合には、その粘度等に応じて圧力変動が異なり、粘度が低い液では、a点後のb点に至る圧力低下度合いが大きくなり、b点までの時間が短くなる。また、液の粘度が大きい場合で、フィルター部材11bに軽度の詰まりが生じているときには、a点後のb点に至る圧力低下度合いが小さくなり、b点までの時間が長くなる。
そして、前記圧力センサ46aにより検出された内圧の変動特性から加圧不良状態の検出、例えば、抽出カートリッジ11のセットの有無検出、液の有無検出、密閉不良の検出、また、液量不足の検出、フィルター詰まりの判定検出を行うようになっている。
まず加圧不良状態の検出は、開閉バルブ45を開作動してエアノズル41より加圧エアを噴出してから所定時間経過後にも圧力センサ46aによる検出圧力が、例えば10kPaと低く設定された加圧不良判定用の指定圧力に到達しない場合に行うもので、この場合には、エア抵抗が少ない異常状態であって、抽出カートリッジ11がセットされてない状態、または、試料液が注入されていない状態、または、エアノズル41と抽出カートリッジ11との間が密閉不良状態であると判定できる。
また、抽出カートリッジ11への試料液Sの注入が規定量でなく微量である場合には、初期圧力は上記加圧不良判定用の指定圧力以上に上昇するが、開閉バルブ45を閉作動する加圧上限用の指定圧力までは上昇せず、その途中で液の排出が完了して圧力が急激に低下することにより液量不足であったと判定できる。
一方、フィルター詰まりの検出は、液排出に伴って検出圧力は徐々に低下するが、この圧力低下が少なく、所定時間経過しても前述の液排出完了時の加圧終了判定が行えず、加圧終了判定用の指定圧力より低下しない場合に、フィルター詰まりが発生していると判定する。また、圧力低下変化量が所定値以上とならない時間が所定時間以上継続したことによりフィルター詰まりを検出するようにしてもよい。
この加圧時の圧力上昇不足時の加圧不良検出、液排出完了に伴う加圧終了検出、およびフィルター詰まり検出は、後述の洗浄処理および回収処理においても同様に行われる。
次に、洗浄処理に移行するが、上記加圧エア供給後の加圧ヘッド40の上昇は、エアノズル41が抽出カートリッジ11より離れ、ノズル移動台50の移動が許容できる高さまで上昇した位置で停止し、押えピン49がカートリッジホルダー62を押さえつけ、抽出カートリッジ11の下端が廃液容器12内に挿入されている図4の状態を保持して行う。そして、ノズル移動台50を移動させて洗浄液分注ノズル51wを1番目の抽出カートリッジ11上に停止させて洗浄液Wを所定量分注し、ノズル移動台50を次の抽出カートリッジ11に移動させて順次洗浄液Wを分注する。全部の抽出カートリッジ11への洗浄液Wの分注が終了すると、加圧ヘッド40が下降移動し、各エアノズル41の下端部がシール材42を介して抽出カートリッジ11の上端開口に圧接して密閉してから、前述と同様に開閉バルブ45が順次開作動されて各抽出カートリッジ11に加圧エアが供給される。圧力が作用した洗浄液Wは、フィルター部材11bを通って核酸以外の不純物の洗浄除去を行い、洗浄液Wは下端部の排出部11cより廃液容器12に排出され、液排出完了時には前述のように圧力開放弁44aが開放作動される。全部の抽出カートリッジ11における洗浄液Wが全てフィルター部材11bを通過して排出されると、加圧ヘッド40が初期の位置まで上昇作動される。洗浄処理を複数回行う場合には上記動作を繰り返す。
なお、洗浄処理および後述の回収処理の場合の加圧エアの供給は、複数同時に行ってもよく、前述の加圧不良状態と判定された箇所またはフィルター詰まりが発生した箇所の抽出カートリッジ11を除いて、その他の正常動作状態にある全部の抽出カートリッジ11に対する複数の開閉バルブ45を同時に開作動させ、PWM制御で可変駆動されたエアポンプ43による加圧エアを導入し、それぞれの圧力センサ46aの加圧上限圧力の検出により個別に開閉バルブ45を閉作動する。
次に、回収処理に移行する。まず洗浄処理後の前記加圧ヘッド40の上昇により、押えピン49が上昇してラック6のカートリッジホルダー62も上昇移動し、抽出カートリッジ11の下端排出部11cが廃液容器12より上方へ移動した後、搭載機構3の作動部材31を作動させて容器ホルダー63を後退移動させ、抽出カートリッジ11の下方に回収容器13を位置させる容器交換を行う。
続いて、加圧ヘッド40が下降移動し、押えピン49の先端がカートリッジホルダー62のピン孔62dに係合して押さえつける。そして、ノズル移動台50を移動させて回収液分注ノズル51rを1番目の抽出カートリッジ11上に停止させて回収液Rを所定量分注し、ノズル移動台50を次の抽出カートリッジ11に移動させて順次回収液Rの分注を行う。全部の抽出カートリッジ11への回収液Rの分注が終了すると、前述と同様にさらに加圧ヘッド40が下降し、各エアノズル41の下端部をシール材42を介して抽出カートリッジ11の上端開口に圧接させて密閉してから、開閉バルブ45が順次開作動されて各抽出カートリッジ11に加圧エアが供給される。圧力が作用した回収液Rは、フィルター部材11bを通ってそれに吸着されている核酸を離脱させて、回収液Rとともに核酸が下端部の排出部11cより回収容器13に排出され、液排出完了時には前述のように圧力開放弁44aが開放作動される。全部の抽出カートリッジ11における回収液Rが全て回収容器13に排出されると、加圧ヘッド40が上昇作動され、一連の動作が終了する。
抽出動作が終了したラック6は搭載台21より下ろされ、抽出カートリッジ11および廃液容器12はカートリッジホルダー62および容器ホルダー63より取り出されて廃棄され、一方、回収容器13は容器ホルダー63より取り出され、必要に応じて蓋がされて、次の核酸分析処理等が施される。
なお、本実施形態では、洗浄液Wによる洗浄処理を実施しているが、フィルター部材11bの濾過能力によっては必ずしも必要とするものではない。
また、上記実施形態では、核酸の抽出装置について記載しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の特定物質をフィルター部材に接触させる方法にも適用可能であり、また、必ずしも回収液を用いて回収する必要はなく、フィルター部材に特定物質を接触させたまま分析したり、処理液を入れて反応色を分析することも可能である。
本発明の一つの実施の形態における核酸抽出装置のカバーを除去した状態を示す斜視図 核酸抽出装置の概略機構図 搭載機構におけるラックの斜視図 ラックの使用状態を示す斜視図 加圧エア供給機構のエア系統図 加圧エア供給機構の制御系統図 検体加圧制御例のフローチャート図 洗浄液または回収液加圧制御例のフローチャート図 抽出カートリッジの内圧変動を示す図 抽出動作の工程図 抽出カートリッジの斜視図
符号の説明
1 抽出装置(核酸抽出装置)
2 装置本体
3 搭載機構
4 加圧エア供給機構
8 制御ユニット
11 抽出カートリッジ
11b フィルター部材
12 廃液容器
13 回収容器
40 加圧ヘッド
41 エアノズル
43 エアポンプ
44a 圧力開放弁
45 開閉バルブ
46a 圧力センサ
S 試料液
W 洗浄液
R 回収液

Claims (4)

  1. フィルター部材を備えた抽出カートリッジを用い、該抽出カートリッジに特定物質を含む試料液を注入し加圧して該試料液中の特定物質を前記フィルター部材に吸着させる抽出装置において、
    前記抽出カートリッジに加圧エアを導入する加圧エア供給機構は、エアポンプと、複数の抽出カートリッジへの供給路には加圧エアの供給を個々に開閉する開閉バルブと圧力を個々に開放作動する圧力開放弁とを備えたことを特徴とする抽出装置。
  2. フィルター部材を備えた抽出カートリッジを用い、該抽出カートリッジに核酸を含む試料液を注入し加圧して該試料液中の核酸を前記フィルター部材に吸着させた後、前記抽出カートリッジに回収液を分注し加圧して前記フィルター部材に吸着した核酸を分離して回収液とともに回収する抽出装置において、
    前記抽出カートリッジに加圧エアを導入する加圧エア供給機構は、エアポンプと、複数の抽出カートリッジへの供給路には加圧エアの供給を個々に開閉する開閉バルブと圧力を個々に開放作動する圧力開放弁とを備えたことを特徴とする抽出装置。
  3. 前記開閉バルブを個別に開閉作動して、複数の前記抽出カートリッジへそれぞれ加圧エアを導入してから密閉し、各抽出カートリッジで液排出が完了した時点で、前記圧力開放弁を個々に開放作動し、該抽出カートリッジ内に残存する加圧エアを放出することを特徴とする請求項1または2に記載の抽出装置。
  4. 前記加圧エア供給機構は、前記抽出カートリッジの内圧を個別に検出する圧力センサをさらに備え、該圧力センサの検出に基づいて前記圧力開放弁の開放作動を行うことを特徴とする請求項1,2または3に記載の抽出装置。
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