JP2005326361A - 防食剤の処理方法および処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】二次廃棄物の発生量を抑制することができ、かつ、最終埋設処分に適合した防食剤の処理方法および処理装置を提供する。
【解決手段】有機防食剤を含有する廃液中の有機物をオゾンガスで分解して処理する。6価クロムを含む無機防食剤は、ギ酸を加えて廃液のpHを調整し、過酸化水素を加えて6価クロムを3価クロムに還元して処理する。
【選択図】図4

Description

本発明は、原子力施設から発生する使用済みの冷却水などに含まれる防食剤を処理する防食剤の処理方法および処理装置に関する。
原子力施設、鉄鋼産業および化学プラントなどでは、機器の冷却に広範囲で冷却水が使用されている。こうした冷却水系の配管や貯槽などの材質は、多くの場合軟鋼で形成されており、この軟鋼の腐食を防止するために冷却水に水系防食剤が添加されている。水系防食剤には、有機のものと無機のものがあり、有機防食剤としては、有機カルボン酸塩およびアゾール系有機化合物が知られており、無機防食剤としては、クロム酸カリウム(クロメート(KCrO))が知られている。
原子力施設から発生する使用済みの冷却水には放射性物質が混在しているため、原子力施設から発生する冷却廃水は、セメント固化処理など、最終埋設処分に適合した処理を行う必要がある。
しかしながら、有機系の液体は、有機物の存在により、セメント固化した際に固化体中に閉じこめられていた放射性物質の浸出(漏洩)速度を速め、周辺環境に悪影響を及ぼすおそれがある。
このため、有機防食剤は、廃液から除去するか、あるいは有機物を分解して無機化するなどの処理を行う必要があると考えられるが、従来、有機防食剤を分解処理する技術は確立されていない。
また、原子力施設では6価クロムが有害物質に指定されている。このため、6価クロムを含む無機防食剤の使用を中止し、冷却水中に無機防食剤が存在した状態で有機防食剤を追加補充している場合がある。この場合、有機防食剤と無機防食剤が混在した状態となるが、このように有機防食剤と無機防食剤が混在した廃液を処理する技術も確立されていない。
なお、従来6価クロムの処理については、pH調整剤として硫酸などの無機酸を添加し、二価鉄または亜硫酸により6価クロムを3価クロムに還元し、次に苛性ソーダなどのアルカリ剤を添加して3価クロムを水酸化クロムとして沈殿させ廃液から除去する方法が知られている(たとえば、非特許文献1、特許文献1参照。)。
また、硫酸によってpHを調整した後、過酸化水素を用いて6価クロムを3価クロムに還元し、過剰な過酸化水素をカタラーゼによって分解する方法も知られている(たとえば、特許文献2参照)。
しかしながら、このような処理方法は、放射性物質を含む廃棄物における二次廃棄物量の低減という点については考慮されておらず、このような方法を原子力施設から発生する使用済みの冷却水などにおける防食剤の処理に適用しようとすると、無機防食剤の成分であるクロムとカリウムの他に多くの二次廃棄物が発生してしまうという課題が生じる。
編者 公害防止の技術と法規編集委員会,「公害防止の技術と法規[水質編]」,平成8年4月1日,第248〜253頁 特開平10−277565号公報(2−5頁) 特開平09−206763号公報(2−3頁)
上述したとおり、従来においては、原子力施設などにおいて発生した防食剤を含む廃液、特に有機防食剤を含む廃液や、有機防食剤と無機防食剤が混在する廃液の処理を行うに際し、これらの防食剤を処理する有効な方法がなかった。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、二次廃棄物の発生量を抑制することができ、かつ、最終埋設処分に適合した防食剤の処理方法および処理装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の防食剤の処理方法は、放射性物質を含む廃液中の有機防食剤を処理する防食剤の処理方法であって、前記廃液にオゾンガスを供給して、前記有機防食剤を分解する分解工程と、前記分解工程の後に前記廃液中の分解生成物をイオン交換樹脂で除去する脱塩工程とを有することを特徴とする。
また、本発明の防食剤の処理方法は、放射性物質を含む廃液中に混在する有機防食剤と6価クロムを含む無機防食剤とを処理する防食剤の処理方法であって、前記廃液にオゾンガスを供給して、前記有機防食剤を分解する分解工程と、前記分解工程後の前記廃液中にpH調整剤としてギ酸を添加して前記廃液のpHを酸性に調整するpH調整工程と、前記pH調整工程後の前記廃液に還元剤として過酸化水素を添加して前記無機防食剤に含まれる6価クロムを3価クロムに還元する還元工程とを有することを特徴とする。
また、本発明の防食剤の処理装置は、放射性物質を含む廃液中の有機防食剤を処理する防食剤の処理装置であって、前記廃液を貯留する廃液貯留槽と前記廃液貯留槽に貯留された前記廃液を循環する廃液循環機構とを有する廃液収容機構と、前記廃液にオゾンガスを供給して前記有機防食剤を分解するオゾンガス供給機構と、前記廃液を通流して前記廃液中の分解生成物をイオン交換樹脂で分離する脱塩機構と具備したことを特徴とする。
また、本発明の防食剤の処理装置は、放射性物質を含む廃液中に混在する有機防食剤と6価クロムを含む無機防食剤とを処理する防食剤の処理装置であって、前記廃液を貯留する廃液貯留槽と前記廃液貯留槽に貯留された前記廃液を循環する廃液循環機構とを有する廃液収容機構と、前記廃液にオゾンガスを供給して前記有機防食剤を分解するオゾンガス供給機構と、前記廃液にギ酸を供給して前記廃液のpHを酸性に調整するギ酸供給機構と、前記廃液に還元剤として過酸化水素を供給して前記6価クロムを3価クロムに還元する過酸化水素供給機構とを具備したことを特徴とする。
本発明によれば、二次廃棄物の発生量を抑制することができ、かつ、最終埋設処分に適合した防食剤の処理方法および処理装置を提供することができる。
以下、本発明の詳細を、実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態における防食剤の処理方法の構成を示すものである。同図に示すとおり、本実施形態では、まず、有機防食剤(有機カルボン酸塩もしくはアゾール系有機化合物が単独のもの、または有機カルボン酸塩とアゾール系有機化合物が混合されたもの)が溶解した廃液A1を、有機物分解工程A2に送り、この工程においてオゾンガスの供給A3を行う。これによって廃液A1中の有機物が、オゾンガスの酸化力により酸化されて、炭酸ガスと水に分解される。
次に、有機物分解工程A2を終了した廃液を脱塩工程A4に送り、ここで廃液中の分解生成物をイオン交換樹脂に吸着させて分離することによって有機防食剤を処理する。
図2は、本実施形態に係る防食剤の処理装置の構成を示すものである。同図に示すように、防食剤の処理装置は、処理槽1、オゾン発生器2、循環ライン3を具備している。また、循環ライン3には、過流ポンプ4、ヒーター5が設けられている。さらに、循環ライン3には、カチオン樹脂およびアニオン樹脂からなるイオン交換樹脂を備えた混床樹脂塔6が接続されており、計測機器として、導電率計7、pH計8、酸化還元電位計9が設けられている。
上記構成の防食剤の処理装置では、処理槽1に廃液を供給し、過流ポンプ4により循環ライン3に廃液を循環させる。これとともに、ヒーター5により所定温度に廃液を加熱し、オゾンガス発生器2により発生したオゾンガスを過流ポンプ4によって廃液へ供給する。これによって、廃液中の有機物は、オゾンガスの酸化力により酸化されて分解される。
上記の分解反応を確認するため、有機防食剤の分解試験を実施した。有機防食剤は大塚化学株式会社製のシャダンW-2(商品名(有機カルボン酸塩(カリウム塩)とアゾール系有機化合物(カリウム塩)の混合物))を使用した。試験条件は、シャダンW-2の濃度が1000 ppm、オゾンガス供給量が0.6 kg・h-1・m-3、温度が50℃である。
試験結果を図3に示す。図3のグラフにおいて、縦軸は有機炭素濃度 (ppm)、横軸は時間(min)を示している。同図に示されるとおり、廃液中の有機炭素濃度は、60分で5 ppm以下に低下した。その他の物質としては、シャダンW-2の成分であるカリウムが、試験前後とも60 ppm検出され、また分解生成物としてアンモニウムイオン(NH )が0.2 ppm検出された。
なお、アンモニウムイオンは、アゾール系有機化合物が分解されたことによって生成されたものと考えられる。ただし、廃液のpHが8〜9のアルカリ性であったので、アンモニウムイオンはアンモニアガスに変化して気体中に移行したものと考えられる。
次に、分解試験後の廃液を、カチオン樹脂およびアニオン樹脂からなる混床樹脂塔6に通液した。廃液中のカリウムイオンは後述の図7に示すようにカチオン樹脂に吸着され、また廃液に残留するアニオン成分はアニオン樹脂に吸着され、廃液の導電率は飲料水レベルまで低下した。
以上の結果より、廃液中の有機防食剤成分である有機物は、オゾンにより炭酸ガスと水に分解できることが確認できた。分解処理した廃液は、混床樹脂に通液することにより、分解生成物と放射性物質が除去されるため、処理された廃液は原子力施設の廃棄物処理系で容易に処理することができる。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。この第2の実施形態は、有機防食剤と無機防食剤(クロメート)が混在した廃液の処理に関するものである。
図4は、第2の実施形態における防食剤の処理方法の構成を示すものである。同図に示すとおり、第2の実施形態では、まず、有機防食剤と無機防食剤(クロメート)が混在した廃液B1を、有機物分解工程B2に送り、これに引き続き、pH調整工程B3、還元工程B4、カチオン成分除去工程B5、ギ酸分解工程B6、過酸化水素分解工程B7、脱塩処理工程B8を経由して防食剤の処理が行われる。
上記有機物分解工程B2ではオゾンガスの供給B9が行われ、pH調整工程B3ではギ酸の添加B10が行われ、還元工程B4およびギ酸分解工程B6では過酸化水素の添加B11が行われ、過酸化水素分解工程B7では紫外線の照射またはカタラーゼの添加B12が行われる。
また、図5は、上記の方法を実施するための第2の実施形態における防食剤の処理装置の構成を示すものである。同図に示すように、防食剤の処理装置は、処理槽1、オゾン発生器2、循環ライン3を具備している。また、処理槽1にはギ酸供給部10が設けられ、循環ライン3には、過流ポンプ4、ヒーター5、過酸化水素供給部11、紫外線照射部12が設けられている。さらに、循環ライン3には、カチオン樹脂塔13、混床樹脂塔6が接続されており、計測機器として、導電率計7、pH計8、酸化還元電位計9が設けられている。
処理槽1には、有機防食剤(たとえば、大塚化学株式会社製のシャダンW-2(商品名))と無機防食剤(クロメート)が混在した廃液を供給し、過流ポンプ4により廃液を循環させる。また、ヒーター5により所定温度に廃液を加熱し、過流ポンプ4からオゾン発生器2で発生させたオゾンガスを供給する。このようにして行う有機物分解工程B2については前述した第1の実施形態と同様である。
有機物分解工程B4を経た時点で廃液のpHは、8〜9のアルカリ性である。このpHでは、廃液中の6価クロムは(Cr6+)は、(1)式に示すように酸化還元電位が小さく酸化力の弱いクロム酸イオン(CrO 2−)として存在する。
CrO 2−+4HO+3e=Cr(OH)+5OH E°=-0.13V (1)
この電位では、還元剤で3価クロムに還元されないため、廃液のpHを酸性にして(2)式に示す酸化還元電位が大きく酸化力の強いニクロム酸イオン(Cr 2−)を生成する必要がある。
Cr 2−+14H+6e=2Cr3++7HO E°=+1.33V (2)
このため、ギ酸供給部10よりギ酸(HCOOH)を注入し(B10)、廃液のpHを酸性に調整する。このように、pH調整剤として、炭酸ガスと水に分解可能なギ酸を用いることによって二次廃棄物の発生量を抑制することができる。ギ酸注入により、(3)式に示すように二クロム酸(HCr)が生成する。
2KCrO+4HCOOH=HCr+4KCOOH+HO (3)
この状態で、過酸化水素供給部11から過酸化水素(H)を添加すると、(4)式に示す反応により、二クロム酸の6価クロムは3価クロムに還元される。
Cr+6HCOOH+H
=2Cr(COOH)+2O+5HO (4)
この反応を確認するため、過酸化水素による6価クロムの還元試験を実施した。試験条件は、6価クロム濃度が150 ppmになるようにKCrOを溶解し、その溶液にギ酸を5000 ppm添加して廃液を酸性にした。次に過酸化水素を徐々に添加し、6価クロムを3価クロムに還元した。試験結果を図6に示す。図中の縦軸は6価クロム濃度 (ppm)、横軸は規定濃度比(H添加濃度/初期Cr6+濃度)を示す。廃液中の6価クロム濃度は、過酸化水素の添加量が約4規定濃度比で0.5 ppm以下に低下した。
次に、還元処理した廃液をカチオン樹脂塔13に通液した。有機防食剤シャダンW-2(商品名)の成分であるカリウムイオン、無機防食剤(クロメート)の成分であるクロムおよびカリウムは(5),(6)式の反応により、カチオン樹脂に吸着され、廃液から除去される。
3R-H+Cr(COOH)=R-Cr+3HCOOH (5)
R-H+KCOOH=R-K+HCOOH (6)
この反応を確認するため、カチオン樹脂によるクロムおよびカリウムの分離試験を実施した。
試験結果を図7に示す。図の縦軸はクロムおよびカリウムの濃度比(各濃度/初期濃度)、横軸はカチオン樹脂塔への通水量 (L・h-1)である。通水量11 L・h-1において、クロムは除染係数3700、カリウムは5900が得られた。なお、この時のクロム濃度およびカリウム濃度は0.1 ppm以下であった。
次に過酸化水素供給部11より過酸化水素を供給し、廃液に残留するギ酸を分解した。過酸化水素は(7),(8)式に示すように相手の酸化還元電位によって還元剤または酸化剤として作用する。
→O+2H+2e E°=-0.68V (7)
+2H+2e→HO E°=-1.77V (8)
したがって、過酸化水素はギ酸に対して酸化剤として作用し、(9)式に示す反応によりギ酸は炭酸ガス(CO)と水に分解される。
HCOOH+H=CO+2HO (9)
ギ酸の分解反応を確認するため、過酸化水素によるギ酸の分解試験を実施した。試験条件はギ酸濃度5000ppm、温度60℃、過酸化水素添加濃度はギ酸濃度の2倍当量である。試験結果を図8に示す。図の縦軸は有機炭素濃度 (ppm)、横軸は時間 (h)を示す。廃液中の有機炭素濃度は4時間の試験で5ppm以下に低下した。
次に、ギ酸分解後の残留過酸化水素を分解するため、紫外線照射部12から廃液に紫外線を照射した。過酸化水素は(10)式の反応により水と酸素に分解される。
=HO+(1/2)O (10)
この反応を確認するため、紫外線による残留過酸化水素の分解試験を実施した。試験条件は、過酸化水素の濃度が28ppm、紫外線の出力容量(出力/液量)が10w/Lである。試験結果を図9に示す。図の縦軸は過酸化水素濃度 (ppm)、横軸は時間 (h)を示す。廃液中の残留過酸化水素の濃度は3時間で検出下限値0.5ppm以下に低下した。
次に、残留過酸化水素を分解した後の廃液は、カチオン樹脂およびアニオン樹脂からなる混床樹脂塔6に通水した。廃液には有機防食剤の有機物を分解した後の未分解成分(アンモニウムイオン、有機炭素など)が残留している。この残留物は混床樹脂に通水することで除去でき、廃液の導電率は飲料水レベルまで低下した。
以上の結果より、有機防食剤成分である有機物をオゾンにより分解し、その後に無機防食剤成分である6価クロムはギ酸と過酸化水素により3価クロムに還元できることが確認できた。また、防食剤成分である3価クロム、カリウムはギ酸酸性下でカチオン樹脂により分離でき、添加したギ酸は過酸化水素により、残留過酸化水素は紫外線により分解できることが確認できた。したがって、防食剤の処理のために添加した薬剤は二次廃棄物とならないため、二次廃棄物の発生量を大幅に抑制することができる。また、廃液中に残留する塩(放射性物質を含む)は、カチオン樹脂および混床樹脂で除去できるため、廃液は原子力施設の廃棄物処理系で容易に処理することができる。
次に、第3の実施形態について図10、図11を参照して説明する。
第3の実施形態は、紫外線照射のかわりに、カタラーゼを用いて過酸化水素を分解したことを除いては第2の実施形態と同一同じである。したがって、第2の実施形態と同一部分の重複した説明は省略し、異なる部分である、残留過酸化水素をカタラーゼで分解する装置の構成および作用を説明する。
図10は有機防食剤および無機防食剤が混在した廃液の処理装置を示す。その構成は図5の装置とほぼ同じであるが、廃液に残留する過酸化水素をカタラーゼで分解するため、処理槽1にカタラーゼ供給部14が付設され、紫外線照射部12が削除されている。
カタラーゼは過酸化水素分解剤として良く知られており、前記した(10)式に示す反応により過酸化水素を水と酸素に分解する。
この反応を確認するため、廃液に残留する過酸化水素の分解試験を実施した。試験条件は、ギ酸分解後のpHが5.5、残留過酸化水素濃度が30 ppm、温度が室温であり、カタラーゼは、洛東化成工業株式会社製のエンチロンKAT-50(商品名)を使用した。
試験結果を図11に示す。図の縦軸は過酸化水素濃度 (ppm)、横軸は時間 (min)を示す。同図に示されるとおり、過酸化水素は30分で検出下限値0.5 ppm以下に低下した。
次に、残留過酸化水素を分解した後の廃液を、カチオン樹脂およびアニオン樹脂からなる混床樹脂塔6に通水したところ、前述の第2の実施形態と同様に廃液の導電率は飲料水レベルまで低下した。
なお、カタラーゼは三菱ガス化学製株式会社製のアスクスーパー(商品名)、長瀬産業株式会社のレオネット(商品名)を使用しても同様の結果が得られた。
以上の結果より、廃液に残留する過酸化水素はカタラーゼにより短時間で分解できることが確認できた。したがって、カタラーゼを用いることによって、紫外線照射による過酸化水素の分解処理と比較して処理工期の短縮、装置費用の低減が可能である。
次に、前述した第2の実施形態により廃液を処理した場合と、比較例の場合とで、廃液処理の際の二次廃棄物発生量を比較評価した。処理対象の有機防食剤は大塚化学製のシャダンW-2(商品名)で濃度が1000 ppm、無機防食剤(クロメート)の6価クロム濃度が150 ppm、廃液量が1000 mである。
比較例では、シャダンW-2(商品名)成分の有機物をオゾンにより分解し、6価クロムを亜硫酸水素ナトリウムにより還元した。この比較例の詳細手順を以下に示す。
廃液に硫酸(HSO)を添加しpH2に調整すると、(11)式に示す様に二クロム酸を生成する。
2KCrO+3HSO=HCr+2KSO+HSO (11)
次に、亜硫酸水素ナトリウム(NaHSO)を添加すると(12)式に示すように6価クロムは3価クロムに還元される。
2HCr+NaHSO+3HSO
=2Cr(SO+3NaSO+8HO (12)
この後、混床樹脂塔に通水し、(13)〜(15)式に示すようにカチオン成分はカチオン樹脂(R-H)に、(16)式に示すようにアニオン成分はアニオン樹脂(R-OH)に吸着させる。
6R-H+Cr(SO=2R-Cr+3HSO (13)
2R-H+KSO+=2R-K+HSO (14)
2R-H+NaSO=2R-Na+HSO (15)
2R-OH+HSO=R-SO+2HO (16)
したがって、比較例では (13)〜(16)式の右辺に示される成分(廃棄物)のうち、(13),(14)式に示される防食剤成分から起因する廃棄物(R-Cr,R-K)の他に、(15),(16)式に示されるpH調整剤(硫酸)と還元剤(亜硫酸水素ナトリウム)から起因する二次廃棄物(R-Na,R-SO)が発生する。
一方、第2の実施形態では、pH調整剤(ギ酸)と還元剤(過酸化水素)は分解できるため、発生する廃棄物は、(5)式および(6)式に示すように防食剤成分から起因する廃棄物(R-Cr,R-K)のみである。
これらの方法における二次廃棄物発生量を試算した結果を図12に示す。図12から明らかなように、本実施形態における廃棄物発生量は比較例の1/5程度である。
以上のように、本実施形態では、廃液処理に伴って発生する廃棄物は、防食剤成分のクロムおよびカリウムから起因する廃棄物のみであるが、比較例ではこれにpH調整剤および還元剤から起因する二次廃棄物が追加される。したがって、本実施形態では比較例に比べて廃液処理に伴う廃棄物発生量を大幅に低減することができる。
本発明の第1の実施形態の防食剤の処理方法の工程を示す図。 本発明の第1の実施形態の防食剤の処理装置の構成を示す図。 本発明の第1の実施形態において有機物をオゾンにより分解処理した結果を示す図。 本発明の第2の実施形態の防食剤の処理方法の工程を示す図。 本発明の第2の実施形態の防食剤の処理装置の構成を示す図。 本発明の第2の実施形態において6価クロムを還元した結果を示す図。 本発明の第2の実施形態においてカチオン樹脂によりクロムおよびカリウムを除去した結果を示す図。 本発明の第2の実施形態において過酸化水素によりギ酸を分解した結果を示す図。 本発明の第2の実施形態において紫外線により過酸化水素を分解した結果を示す図。 本発明の第3の実施形態の防食剤の処理装置の構成を示す図。 本発明の第3の実施形態においてカタラーゼにより過酸化水素を分解した結果を示す図。 本発明の第2の実施形態と比較例の廃棄物発生量を試算した結果を示す図。
符号の説明
A1…廃液(有機防食剤)、A2…分解工程、A3…オゾンガス供給、A4…脱塩工程。

Claims (12)

  1. 放射性物質を含む廃液中の有機防食剤を処理する防食剤の処理方法であって、
    前記廃液にオゾンガスを供給して、前記有機防食剤を分解する分解工程と、
    前記分解工程の後に前記廃液中の分解生成物をイオン交換樹脂で除去する脱塩工程と
    を有することを特徴とする防食剤の処理方法。
  2. 前記有機防食剤が、有機カルボン酸またはアゾール系有機化合物が単独のもの、あるいは有機カルボン酸とアゾール系有機化合物とが混合されたものであることを特徴とする請求項1記載の防食剤の処理方法。
  3. 放射性物質を含む廃液中に混在する有機防食剤と6価クロムを含む無機防食剤とを処理する防食剤の処理方法であって、
    前記廃液にオゾンガスを供給して、前記有機防食剤を分解する分解工程と、
    前記分解工程後の前記廃液中にpH調整剤としてギ酸を添加して前記廃液のpHを酸性に調整するpH調整工程と、
    前記pH調整工程後の前記廃液に還元剤として過酸化水素を添加して前記無機防食剤に含まれる6価クロムを3価クロムに還元する還元工程と
    を有することを特徴とする防食剤の処理方法。
  4. 前記有機防食剤が、有機カルボン酸またはアゾール系有機化合物が単独のもの、あるいは有機カルボン酸とアゾール系有機化合物とが混合されたものであることを特徴とする請求項3記載の防食剤の処理方法。
  5. 前記還元工程の後の前記廃液に残留するカチオン成分を、カチオン交換樹脂で分離するカチオン成分除去工程をさらに有することを特徴とする請求項4記載の防食剤の処理方法。
  6. 前記カチオン成分除去工程の後に前記廃液に残留するギ酸を、過酸化水素を用いて炭酸ガスと水に分解するギ酸分解工程をさらに有することを特徴とする請求項5記載の防食剤の処理方法。
  7. 前記ギ酸分解工程の後に前記廃液に残留する過酸化水素を、紫外線照射又はカタラーゼにより、酸素と水とに分解する過酸化水素分解工程をさらに有することを特徴とする請求項6記載の防食剤の処理方法。
  8. 前記過酸化水素分解工程の後に前記廃液中の残留物をイオン交換樹脂で除去する脱塩工程をさらに有することを特徴とする請求項7記載の防食剤の処理方法。
  9. 放射性物質を含む廃液中の有機防食剤を処理する防食剤の処理装置であって、
    前記廃液を貯留する廃液貯留槽と前記廃液貯留槽に貯留された前記廃液を循環する廃液循環機構とを有する廃液収容機構と、
    前記廃液にオゾンガスを供給して前記有機防食剤を分解するオゾンガス供給機構と、
    前記廃液を通流して前記廃液中の分解生成物をイオン交換樹脂で分離する脱塩機構と
    を具備したことを特徴とする防食剤の処理装置。
  10. 放射性物質を含む廃液中に混在する有機防食剤と6価クロムを含む無機防食剤とを処理する防食剤の処理装置であって、
    前記廃液を貯留する廃液貯留槽と前記廃液貯留槽に貯留された前記廃液を循環する廃液循環機構とを有する廃液収容機構と、
    前記廃液にオゾンガスを供給して前記有機防食剤を分解するオゾンガス供給機構と、
    前記廃液にギ酸を供給して前記廃液のpHを酸性に調整するギ酸供給機構と、
    前記廃液に還元剤として過酸化水素を供給して前記6価クロムを3価クロムに還元する過酸化水素供給機構と
    を具備したことを特徴とする防食剤の処理装置。
  11. 前記廃液に紫外線を照射して残留過酸化水素を分解する紫外線照射機構又は前記廃液にカタラーゼを供給して残留過酸化水素を分解するカタラーゼ供給機構をさらに具備したことを特徴とする請求項10記載の防食剤の処理装置。
  12. 前記廃液を通流して前記廃液中の分解生成物をイオン交換樹脂で分離する脱塩機構をさらに具備したことを特徴とする請求項11記載の防食剤の処理装置。
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