JP2005324230A - Znめっき鋼板の重ね溶融溶接方法及びFe系溶加材 - Google Patents

Znめっき鋼板の重ね溶融溶接方法及びFe系溶加材 Download PDF

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Abstract

【課題】面倒かつ困難な隙間管理をすることなく、Znめっき鋼板間に発生したZn蒸気を上手く逃がしてZn蒸気によるブローホール等の溶接欠陥を抑制する。
【解決手段】Znめっき鋼板の重ね溶融溶接方法において、Feを主成分としAl、Si及びMnよりなる粘性低下金属の群から選ばれる少なくとも一種を下記(a)式を満たす含有量で含むFe系溶加材を、溶融池中に混入させる。溶融池の低粘度化により、Zn蒸気が溶融池内を移動しやすくなるため、Znめっき層のZnがガス化して溶融池中に存在するZn蒸気を溶融池内を通して板面から逃がすことができる。
0.27Al(%)+0.044Si(%)+0.035Mn(%)≧0.32 …(a)
【選択図】 なし

Description

本発明はZnめっき鋼板の重ね溶融溶接方法及びこのZnめっき鋼板の重ね溶融溶接方法に用いることのできるFe系溶加材に関し、詳しくはZnめっき鋼板同士の重ね部を溶融、凝固させて両Znめっき鋼板を一体的に接合するZnめっき鋼板の重ね溶融溶接方法及びFe系溶加材に関する。
Znメッキ鋼板を重ね溶融溶接する場合、母材の表面にZnめっき層が形成された2枚のZnめっき鋼板を重ね合わせ、この重ね合わせ部の所定部位にレーザ熱やアーク熱等を付与することにより両母材を溶融して溶融池とし、この溶融池を冷却、凝固させて両母材を一体的に接合する。
ところで、Znめっき鋼板においては、母材としての鋼板の融点よりもZnめっき層のZnの沸点の方が低い。このため、溶接時にZnめっき鋼板の母材が溶融したときにはZnめっき層のZnはガス化してZn蒸気となっている。したがって、Znめっき鋼板の重ね溶融溶接においては、重ね合わせられたZnめっき鋼板間のZnがガス化したZn蒸気が、溶融池内に閉じ込められて残存したり、溶融池内で高圧となって溶融池から噴出し溶融母材を飛散させたりすることによる、ブローホール等の溶接欠陥が問題となる。
このようなZn蒸気によるブローホール等の溶接欠陥に対しては、重ね合わせた両Znめっき鋼板間に適度の微小隙間を形成し、この微小隙間からZn蒸気を逃がして脱気することが有効であり、重ね合わせた両Znめっき鋼板間にガス逃がし用の微小隙間を形成する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に開示された技術では、プレス成形によりZnめっき鋼板の一面に凸部を設けることにより、重ね合わせた両Znめっき鋼板間にガス逃がし用の微小隙間を形成している。このため、レーザ溶接時に両Znめっき鋼板間で発生したZn蒸気を両Znめっき鋼板間の微小隙間から逃がすことにより、溶融池を通しての高圧ガス噴出を抑えることができる。
なお、ブローホール等の溶接欠陥の原因となるZn蒸気の発生自体を防ぐ技術も知られている(例えば、特許文献2参照)。
この特許文献2に開示された技術では、酸化物の標準生成自由エネルギがFeよりも小さくかつZnよりも大きい材料であるMnの酸化物粉末(MnO粉末)を、溶接部に供給しながらレーザ溶接している。そして、この特許文献2には、Feよりも活性であるがZnよりも不活性であるMnOは溶融池内でFeと反応せずにZnと反応してZnOを生成し、このZnOは沸点が高いためレーザ溶接中にガス化することがないため、Zn蒸気の発生自体を防いでZn蒸気によるブローホール等の溶接欠陥を防止できる、とある。
特開2001−162387号公報(第3−5頁、第2図) 特開平8−215882号公報(第3−4頁)
しかしながら、プレス成形によりZnめっき鋼板の一面に凸部を設けることによりガス逃がし用の微小隙間を形成する前記従来技術では、微小隙間の大きさの管理が面倒かつ困難である。
すなわち、微小隙間が大きすぎると溶融した母材同士がつながらずに分離してしまう一方、微小隙間が小さすぎるとZn蒸気の脱気が不十分となって前記ブローホール等の溶接欠陥が発生することになるため、微小隙間の大きさを0.1〜0.4mm程度の範囲に管理する必要があるが、プレス成形機の型摩耗や成形精度等を考慮すると、微小隙間の大きさを高精度に管理することは面倒かつ困難である。
なお、前記特許文献2に開示された技術は、MnO粉末を供給しながらレーザ溶接することによりZn蒸気の発生自体を防ぐものであり、本発明とは技術的思想が異なる。また、この特許文献2に開示された技術では、MnOとZnとの反応により生成したZnOが溶接部に残存することになるため、残存したZnOにより溶接部の強度が低下するおそれがある。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、面倒かつ困難な隙間管理をすることなく、Znめっき鋼板間に発生したZn蒸気を上手く逃がしてZn蒸気によるブローホール等の溶接欠陥を抑制することを解決すべき技術課題とするものである。
本発明者は、溶接時にZnめっき鋼板間に発生したZn蒸気を溶融池から上手く逃がすことができれば面倒かつ困難な隙間管理が不要になる点に着目し、溶融池を通してZn蒸気を逃がすという新規な発想の下、本発明を完成させた。
すなわち、上記課題を解決する本発明のZnめっき鋼板の重ね溶融溶接方法は、母材表面にZnめっき層を形成してなるZnめっき鋼板同士を重ね合わせる重ね合わせ工程と、この重ね合わせ部の所定部位を加熱して両該母材が溶融した溶融池とし、該溶融池を冷却、凝固させることにより両該Znめっき鋼板の該母材同士を一体的に接合する接合工程とを備え、前記接合工程で、Feを主成分としAl、Si及びMnよりなる粘性低下金属の群から選ばれる少なくとも一種を下記(a)式を満たす含有量で含むFe系溶加材を、前記溶融池中に混入させることを特徴とするものである。
0.27Al(%)+0.044Si(%)+0.035Mn(%)≧0.32 …(a)
ここに、前記(a)式中の「%」は「質量%」を意味する。また、以下の説明において、単に「%」と記載されているものは全て「質量%」を意味する。
また、前記「両母材が溶融し」とは、加熱部位において、重ね合わされた一方のZnめっき鋼板の母材全体が溶融し、かつ、他方のZnメッキ鋼板の母材全体又は母材の一部が溶融していることを意味する。
好適な態様において、前記Fe系溶加材は、Fe系外皮と、該Fe系外皮内に充填された金属粉末及び/又は合金粉末とからなるコアードワイヤよりなり、前記金属粉末は前記粘性低下金属の群から選ばれる少なくとも一種の金属粉末であり、前記合金粉末は前記粘性低下金属の群から選ばれる少なくとも二種よりなる合金粉末のうちの少なくとも一種である。
本発明のZnめっき鋼板の重ね溶融溶接方法は、好適な態様において、前記接合工程で、前記重ね合わせ部の所定部位にレーザ光を照射してレーザ熱により両前記母材及び前記Fe系溶加材を溶融させる。
本発明のZnめっき鋼板の重ね溶融溶接方法は、好適な態様において、前記接合工程で、前記重ね合わせ部の所定部位にレーザ光を照射して主にレーザ熱により両前記母材を溶融させるとともに、アーク熱により前記Fe系溶加材を溶融させる。
本発明のZnめっき鋼板の重ね溶融溶接方法は、好適な態様において、前記接合工程で、前記重ね合わせ部の所定部位にレーザ光を照射して主にレーザ熱により両前記母材を溶融させるとともに、前記コアードワイヤを消耗電極としてアークを発生させアーク熱により該コアードワイヤを溶融させる。
上記課題を解決する本発明のFe系溶加材は、Znめっき鋼板の重ね溶融溶接方法に用いられるFe系溶加材であって、Fe系外皮と、Fe系溶加材全体を100%としたときAl、Si及びMnよりなる粘性低下金属の群から選ばれる少なくとも一種を下記(a)式を満たす含有量で含むように、該Fe系外皮内に充填された金属粉末及び/又は合金粉末と、からなるコアードワイヤよりなることを特徴とするものである。。
0.27Al(%)+0.044Si(%)+0.035Mn(%)≧0.32 …(a)
本発明のZnめっき鋼板の重ね溶融溶接方法は、母材表面にZnめっき層を形成してなるZnめっき鋼板の重ね溶融溶接方法であって、重ね合わせ工程と、接合工程とを備えている。
前記重ね合わせ工程では、母材表面にZnめっき層を形成してなるZnめっき鋼板同士を重ね合わせる。このとき、両Znめっき鋼板間の隙間管理を厳密に行う必要がなく、0〜0.8mm程度の隙間とすることができる。Znめっき鋼板における鋼板の種類やZnめっき層の目付量は特に限定されない。また、Znめっき鋼板におけるめっき方法は、溶融めっきでも電気めっきでもいずれでもよい。
前記接合工程では、Znめっき鋼板の重ね合わせ部の所定部位を加熱して両母材が溶融した溶融池とし、この溶融池を冷却、凝固させることにより両Znめっき鋼板の母材同士を一体的に接合する。
この接合工程で、重ね合わせ部の所定部位(溶接後に溶接部となる部位)を加熱して両母材を溶融させる手段としては、加熱部位において、重ね合わされた一方のZnめっき鋼板の母材全体を溶融させ、かつ、他方のZnメッキ鋼板の母材全体又は母材の一部を溶融させることのできるものであれば特に限定されず、レーザ熱、アーク(プラズマ、MIGやCO2 等)熱や電子ビーム熱等を利用することができる。ただし、溶接線形状の自由度が高く、溶接の操作性や制御性が優れているレーザ熱を利用することが好ましい。
すなわち、本発明のZnめっき鋼板の重ね溶融溶接方法は、前記接合工程で、前記重ね合わせ部の所定部位にレーザ光を照射してレーザ熱により両前記母材及び後述するFe系溶加材を溶融させることが好ましい。
前記レーザ光の種類やレーザ溶接の条件は特に限定されず、Znめっき鋼板の種類や厚さ等に応じて適宜設定することができる。YAGレーザやCO2 レーザ等を好適に用いることができるが、操作の容易性等を考慮すれば、CO2 レーザよりもYAGレーザを用いることがより好ましい。
レーザ溶接を利用した接合工程では、Znめっき鋼板の重ね合わせ部の板面に対してレーザ光の光源を略水平方向に所定速度で移動させながら同板面に対して略垂直方向(重ね合わせ方向)から所定出力のレーザ光を照射する。レーザ光が照射された部分は重ね合わされたZnめっき鋼板の両母材がレーザ熱で溶融して溶融池となる。
そして、本発明のZnめっき鋼板の重ね溶融溶接方法では、前記接合工程で、レーザ熱等により両母材が溶融した前記溶融池に、所定のFe系溶加材を混入させる。
溶融池にFe系溶加材を混入させる態様は特に限定されず、固形状態(固相)のFe系溶加材をそのまま溶融池に添加して溶融池の熱によりFe系溶加材を溶融させてもよいし、アーク熱等でFe系溶加材を予め溶融状態(液相)にしてから溶融池に添加してもよいし、レーザ熱等でFe系溶加材とZnめっき鋼板の母材とをほぼ同時に溶融させて両者を混合させてもよい。
また、レーザ熱を利用して母材を溶融させる場合、前記Fe系溶加材は、レーザ光の照射に先行させてZnめっき鋼板の所定位置(レーザ光が照射されて溶接部となる溶接線上)に予め配置しておいてもよいし、レーザ光の照射点(溶接点)又はその近傍(レーザ光の移動方向前方側又は後方側等の近傍)にレーザ光の照射とほぼ同時に供給してもよい。レーザ光の照射点(溶接点)やその近傍の溶融池等に対してFe系溶加材をどの方向から供給するかについても、レーザ光の後方(レーザ光の移動方向後方)、前方(レーザ光の移動方向前方)及び側方等のいずれでもよい。
前記Fe系溶加材は、Feを主成分とし、Fe系溶加材全体を100%としたとき、Al、Si及びMnよりなる粘性低下金属の群から選ばれる少なくとも一種を前記(a)式を満たす含有量で含むものである。粘性低下金属としてのAl、Si及びMnは、Znめっき鋼板の母材の溶融池中に混入されることにより、この溶融池の粘度を低下させるように作用する。本発明に係るFe系溶加材は、これら粘性低下金属としてのAl、Si及びMnのうちの少なくとも一種を含む。このFe系溶加材に含まれる粘性低下金属の組み合わせとしては特に限定されず、Al、Si又はMnの一種を単独で含ませてもよいし、AlとSiとの二種、AlとMnとの二種又はSiとMnとの二種を含ませてもよいし、あるいはAl、Si及びMnの三種全てを含ませてもよい。
ここに、Fe合金に添加される添加金属の濃度と、その添加金属が添加された溶融2元系Fe合金の1550℃における粘度との関係が図1に示されるように、Al、Mn、Si及びNiの四種は溶融Fe合金の粘度を低下させることがわかる。これら四種のうちNiについては、粘度を低下させる効果が小さいことから相当量の添加が必要となるが、これにより溶加材の融点が上がってしまうため、適切量を溶融させることができなかった。
また、前記Fe系溶加材は、Al、Si及びMnよりなる粘性低下金属の群から選ばれる少なくとも一種が前記(a)式を満たす含有量で含まれている。Al、Si及びMnのうちの少なくとも一種の含有量が少なすぎて、前記(a)式を満たさない場合は、前記溶融池の粘度を低下させる効果が不十分となり、Zn蒸気によるブローホール等の溶接欠陥を効果的に抑制することが困難となる。
このような本発明のZnめっき鋼板の重ね溶融溶接方法では、前記粘性低下金属の群から選ばれる少なくとも一種を特定の割合で含むFe系溶加材が溶融池に混入されることにより、この溶融池の特性が変化して溶融池の粘度が低下する。溶融池が低粘度化すると、Zn蒸気がこの溶融池内を移動しやすくなる。このため、Znめっき鋼板間のZnめっき層のZnがガス化して発生したZn蒸気は溶融池内を通って板面から抜け出やすくなる。したがって、溶融池内にZn蒸気が閉じ込められて残留したり、溶融池内でZn蒸気が高圧となって母材を飛散させながら溶融池から噴出したりすることを抑えることができ、ブローホール等の溶接欠陥を効果的に抑えることが可能となる。
さらに、前記溶融池に前記Fe系溶加材を供給しながら溶融溶接することから、Zn蒸気によるブローホール等の溶接欠陥を抑えるべく、両Znめっき鋼板間の隙間管理を厳密に行う必要がなくなり、作業が容易となる。すなわち、本発明方法によれば、仮に両Znめっき鋼板間の隙間を零にした場合であっても、Zn蒸気によるブローホール等の溶接欠陥を効果的に抑えることができる。また、前記Fe系溶加材の供給により前記溶融池を補充することができるので、仮に両Znめっき鋼板間の隙間を0.4mmを超える程度(例えば、0.4〜0.8mm程度)に大きくした場合でも、前記Fe系溶加材による補充分だけ隙間を埋めることが可能となり、溶け落ちや溶融池同士が分離することによる溶接不良を防ぐことができる。
前記Fe系溶加材は、Feを主成分とし、Al、Si及びMnよりなる粘性低下金属の群から選ばれる少なくとも一種を前記(a)式を満たす含有量で含むものであれば、その形態は特に限定されず、例えば、Fe粉末と、Al粉末、Si粉末及びMn粉末のうちの少なくとも一種とからなる混合粉末であってもよいし、Al、Si及びMnのうちの少なくとも一種をFeに合金化してなるFe合金よりなる粉末状合金材であってもよいし、同Fe合金よりなるワイヤ状合金材であってもよい。
ただし、Fe粉末と、Al粉末、Si粉末及びMn粉末のうちの少なくとも一種とからなる前記混合粉末を溶融池に供給する場合は、溶融池の幅が狭いことや供給途中で粉末が飛散すること等により、材料歩留りが低下し、また、粘性低下金属の金属粉末とFe系粉末とを特定の割合で前記溶融池に確実に供給することが必ずしも容易ではない。一方、Al、Si及びMnのうちの少なくとも一種をFeに合金化してなる前記Fe合金よりなる合金材にあっては、Feと粘性低下金属とを特定の割合で前記溶融池に確実に供給することが可能であるが、以下に示す欠点がある。すなわち、前記Fe合金よりなる前記粉末状合金材を溶融池に供給する場合は、供給途中で粉末が飛散すること等により材料歩留りが低下するし、また、前記Fe合金のインゴットから粉末化する際にインゴット又は粉末化工程でワレが生じるおそれがある。また、前記Fe合金よりなる前記ワイヤ状合金材の場合も、インゴットから線引き等により細いワイヤ形状に製造することが必ずしも容易ではなく、インゴットの状態で割れたり、線引き工程の途中で切れたりするおそれがある。
そこで、前記Fe系溶加材の形態としては、Fe系外皮と、該Fe系外皮内に充填された金属粉末及び/又は合金粉末とからなるコアードワイヤとすることが好ましい。このとき、前記Fe系外皮内には、Fe系溶加材(コアードワイヤ)全体を100%としたときAl、Si及びMnよりなる粘性低下金属の群から選ばれる少なくとも一種を前記(a)式を満たす含有量で含むように、前記粘性低下金属の群から選ばれる少なくとも一種の金属粉末(すなわち、Al粉末、Si粉末及びMn粉末のうちの少なくとも一種)を充填してもよいし、前記粘性低下金属の群から選ばれる少なくとも二種よりなる合金粉末のうちの少なくとも一種(すなわち、AlとSiとの合金粉末、AlとMnとの合金粉末、SiとMnとの合金粉末及びAlとSiとMnとの合金粉末のうちの少なくとも一種)を充填してもよいし、あるいはこれら金属粉末及び合金粉末の双方を充填してもよい。
このように前記Fe系溶加材として、前記粘性低下金属の金属粉末や合金粉末をFe系外皮で包んでなる前記コアードワイヤを採用することにより、粉末と比べて取り扱いが容易であることから、このコアードワイヤを前記溶融池あるいはレーザ光の照射部に確実かつ容易に供給することができ、またその供給量の制御も容易となる。このため、材料歩留りが低下することがない。また、前記粘性低下金属を前記(a)式で示された特定の含有量で含むFe系溶加材を前記溶融池に確実に混入させることが可能となる。したがって、このコアードワイヤにより前記溶融池を確実に低粘度化させることができ、ブローホール等の溶接欠陥を効果的に抑制することが可能となる。
前記コアードワイヤにおける前記Fe系外皮の外径及び厚さや、前記金属粉末や合金粉末の平均粒径は、適宜設定することができる。
ここに、レーザ熱で母材を溶融させるレーザ溶接を利用する場合は、前記接合工程で、前記重ね合わせ部の所定部位にレーザ光を照射して主にレーザ熱により両前記母材を溶融させるとともに、アーク熱により前記Fe系溶加材を溶融させることが好ましい。
特に、前記Fe系溶加材として前記コアードワイヤを採用する場合は、前記接合工程で、前記重ね合わせ部の所定部位にレーザ光を照射して主にレーザ熱により両前記母材を溶融させるとともに、前記コアードワイヤを消耗電極としてアークを発生させアーク熱により該コアードワイヤを溶融させることが好ましい。
レーザ溶接におけるレーザ光の照射点(溶接点)は極めて小さく、溶融池の幅も狭いため、コアードワイヤ等のFe系溶加材の供給位置のズレ等により、Fe系溶加材をレーザ熱や溶融池の熱によって確実に溶融させることが困難となる。この点、前記重ね合わせ部の所定部位にレーザ光を照射して主にレーザ熱により両前記母材を溶融させるとともに、いわゆるアーク溶接を併用し、アーク熱により前記Fe系溶加材を溶融させれば、Fe系溶加材の供給位置にズレ等があったとしても、Fe系溶加材を確実に溶融させて前記溶融池に混入させることができる。特に、前記コアードワイヤを消耗電極とするアーク溶接によれば、その作業も容易となり、溶融池に対して確実かつ容易に供給することができる。したがって、Fe系溶加材により前記溶融池を確実に低粘度化させることができ、ブローホール等の溶接欠陥を効果的に抑制することが可能となる。また、アーク熱によりFe系溶加材を溶融させれば、Fe系溶加材の溶融にレーザ熱の一部が使われることがないため、その分レーザ出力を抑えることができ、より低コストで溶接することが可能となる。
前記アーク溶接におけるアークの種類や条件としては、前記Fe系溶加材を溶融させることができれば特に限定されず、MIGアーク、プラズマアークやTIGアーク等を適宜用いることができる。
以下、実施例により、本発明を更に詳しく説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。
[第1実施例]
本実施例は、レーザ熱によりZnめっき鋼板の母材及びFe系溶加材を溶融させるレーザ溶接を利用して、Znめっき鋼板を重ね溶融溶接するものである。
(実施例1)
Znめっき鋼板として、母材の表裏両面にZnめっき層を形成してなる(Zn目付量は片面当たり45g/m2 )板厚t=0.8mmの溶融化亜鉛めっき鋼板(SCGA270−45/45)を準備した。
一方、Fe系溶加材として、図2の模式断面図に示されるように、略円筒状のFe系外皮1と、このFe系外皮内に充填された金属粉末2とからなるコアードワイヤ10を準備した。このFe系外皮1は純Feよりなり、外径φ=1.2mm、厚さt=0.4mmのものである。また、金属粉末2はAl粉末である。
そして、このコアードワイヤ10は、Feを主成分とし、コアードワイヤ10全体を100%としたとき、粘性低下金属としてのAlを1.5%の含有量で含むものであり、前記(a)式を満たしている。
なお、このコアードワイヤ10は、所定量の金属粉末2を包むように鉄板を略円筒状に曲げ加工することにより、製造した。
<重ね合わせ工程>
前記Znめっき鋼板を2枚重ね合わせた。このとき、両Znめっき鋼板間の隙間は零とした。
<接合工程>
そして、Znめっき鋼板の重ね合わせ部の板面に対してレーザ光の光源を略水平方向に所定速度で移動させながら、同板面に対して略垂直方向(重ね合わせ方向)から所定出力のレーザ光をレーザ溶接後に溶接部となる所定の溶接線上に照射し、レーザ光が照射された加熱部において、重ね合わされた両Znめっき鋼板の両母材の全体が溶融した溶融池を形成した。このとき、形成された溶融池に対して、レーザ光の移動方向後方から前記コアードワイヤ10を所定の供給量で連続的に供給した。こうして、レーザ光の照射により形成された溶融池に前記コアードワイヤ10を固形状態で連続的に供給しながらレーザ溶接をすることにより、両Znめっき鋼板を重ねレーザ溶接した。このときの溶接条件は以下のとおりである。
レーザ光:YAGレーザ
レーザ出力:3.0kW
溶接速度:2.0m/min
コアードワイヤの供給量:3.0m/min
なお、この接合工程では、前記コアードワイヤ10を固形状態で前記溶融池に供給し、この溶融池の熱によりコアードワイヤ10を溶融して、溶融池の母材溶融金属とコアードワイヤ10の溶融金属とを混合した。
また、こうして重ねレーザ溶接した溶接部はにおいては、十分な実用強度が確保されていた。
(実施例2)
本実施例では、金属粉末2としてAl粉末とSi粉末とを用いて、前記コアードワイヤ10を製造した。
このコアードワイヤ10は、Feを主成分とし、コアードワイヤ10全体を100%としたとき、粘性低下金属としてのAlを0.5%の含有量で含むとともに、粘性低下金属としてのSiを5%の含有量で含むものであり、前記(a)式を満たしている。
その他の構成は前記実施例1と同様にして、2枚のZnめっき鋼板を重ねレーザ溶接した。
(実施例3)
本実施例では、金属粉末2としてSi粉末とMn粉末とを用いて、前記コアードワイヤ10を製造した。
このコアードワイヤ10は、Feを主成分とし、コアードワイヤ10全体を100%としたとき、粘性低下金属としてのSiを5%の含有量で含むとともに、粘性低下金属としてのMnを5%の含有量で含むものであり、前記(a)式を満たしている。
その他の構成は前記実施例1と同様にして、2枚のZnめっき鋼板を重ねレーザ溶接した。
(比較例1)
表面にZnめっき層が形成されていない2枚の裸鋼板(SPC270D、板厚t=0.8mm)を準備し、これらを重ね合わせた。このとき、両裸めっき鋼板間の隙間は零とした。
そして、溶融池に前記コアードワイヤ10を供給しないこと以外は、前記実施例1と同様にして、2枚のZnめっき鋼板を重ねレーザ溶接した。
(比較例2)
前記実施例1と同様のZnめっき鋼板を2枚準備し、これらを重ね合わせた。このとき、両Znめっき鋼板間の隙間は零とした。
そして、溶融池に前記コアードワイヤ10を供給しないこと以外は、前記実施例1と同様にして、2枚のZnめっき鋼板を重ねレーザ溶接した。
(比較例3)
金属粉末2としてAl粉末を用いて、コアードワイヤを製造した。
このコアードワイヤは、Feを主成分とし、コアードワイヤ全体を100%としたとき、粘性低下金属としてのAlを0.5%の含有量で含むものであり、前記(a)式を満たしていない。
その他の構成は前記実施例1と同様にして、2枚のZnめっき鋼板を重ねレーザ溶接した。
(比較例4)
金属粉末2としてAl粉末を用いて、コアードワイヤを製造した。
このコアードワイヤは、Feを主成分とし、コアードワイヤ全体を100%としたとき、粘性低下金属としてのAlを1.0%の含有量で含むものであり、前記(a)式を満たしていない。
その他の構成は前記実施例1と同様にして、2枚のZnめっき鋼板を重ねレーザ溶接した。
(比較例5)
金属粉末2としてSi粉末を用いて、コアードワイヤを製造した。
このコアードワイヤは、Feを主成分とし、コアードワイヤ全体を100%としたとき、粘性低下金属としてのSiを5.0%の含有量で含むものであり、前記(a)式を満たしていない。
その他の構成は前記実施例1と同様にして、2枚のZnめっき鋼板を重ねレーザ溶接した。
(比較例6)
金属粉末2としてMn粉末を用いて、コアードワイヤを製造した。
このコアードワイヤは、Feを主成分とし、コアードワイヤ全体を100%としたとき、粘性低下金属としてのMnを5.0%の含有量で含むものであり、前記(a)式を満たしていない。
その他の構成は前記実施例1と同様にして、2枚のZnめっき鋼板を重ねレーザ溶接した。
(重量減少量による評価)
前記実施例1〜3及び前記比較例1〜6において、溶接前重量から溶接後重量を引いた重量減少量(溶接長100mm当たり)を、下記(b)式により求めて、重ねレーザ溶接の良否を評価した。その結果を表1に示す。
重量減少量(g/100mm)={溶接前重量(g)+コアードワイヤの添加重量(g)−溶接後重量(g)}×100(mm)/溶接長(mm) …(b)
なお、前記溶接前重量とは、重ねレーザ溶接する前の2枚の鋼板の総重量のことであり、前記溶接後重量とは、2枚の鋼板を重ねレーザ溶接した後の総重量のことであり、コアードワイヤの添加重量とは、重ねレーザ溶接する際に溶融池中に添加されたコアードワイヤの重量のことである。
ここに、前記重量減少量の値が小さいほど、溶融池からスパッタ等として飛散する母材金属量が少なく、したがってブローホール等の溶接欠陥の少ない良好な溶接が行われたことを意味する。
なお、表1において、前記実施例1、2、3はNo.5、8、9にそれぞれ対応し、前記比較例1、2、3、4、5、6はNo.1、2、3、4、6、7にそれぞれ対応する。
Figure 2005324230
表1から明らかなように、No.5の前記実施例1、No.8の前記実施例2及びNo.9の前記実施例3では、いずれも重量減少量が0.12g/100mm以下で、ブローホール等の溶接欠陥の少ない良好な溶接が行われていた。特に、No.5の前記実施例1及びNo.8の前記実施例2では、いずれも重量減少量が0.1g/100mm以下で、ブローホール等の溶接欠陥が極少ない極めて良好な溶接が行われていた。なお、本発明者の調査により、この重量減少量が0.12g/100mm以下であれば、少量のブローホール等の欠陥が多少認められるが、実用上問題ないことがわかっている。
これに対し、コアードワイヤ10を供給せずにレーザ溶接を行ったNo.2の比較例2では、重量減少量が0.55g/100mmと多く、ブローホール等の溶接欠陥が極めて多く発生した。
また、粘性低下金属としてのAl、Si及びMnのうちの一種を前記(a)式を満たさない範囲で含むコアードワイヤを用いたNo.3、4、6、7の比較例3、4、5、6でも、いずれも重量減少量が0.13g/100mm以上と多く、ブローホール等の溶接欠陥が多く発生した。
なお、コアードワイヤを供給せずに裸鋼板同士をレーザ溶接したNo.1の比較例1では、スパッタはほとんど発生しないが、蒸発金属及び裏側に抜けた溶融金属の分だけ、0.05g/100mmの重量減少量が認められた。
(Fe系溶加材における粘性低下金属の含有量と重量減少量との相関関係)
前記表1に示すZnめっき鋼板同士をレーザ溶接したNo.2〜9の結果について、Fe系溶加材としてのコアードワイヤを添加せずにレーザ溶接したNo.2における各粘性低下金属の含有量を0%として、重回帰分析による多変量解析を行うことにより、Fe系溶加材における粘性低下金属の含有量と重量減少量との相関関係を調べた。
この重回帰分析では、表1のNo.2〜9の8個(n=8)の標本について、Al含有量、Si含有量及びMn含有量をそれぞれ説明変量x1 、x2 及びx3 とし、重量減少量を目的変量yとする。そして、説明変量(x1 ,x2 ,x3 )と目的変量(y)との相関を表す下記(c)式の重回帰予測式を考え、実際の標本データと重回帰予測式(c)で表される値との差を残差εとして、重回帰式を下記(d)式とする。そして、下記(c)式及び下記(d)式で残差εに注目すると、残差εは下記(e)式で表されるので、下記(f)式により残差平方和Σ(εi 2 を求める。
i =b1 ・x1i+b2 ・x2i+b3 ・x3i+b0 …(c)
i =b1 ・x1i+b2 ・x2i+b3 ・x3i+b0 +εi …(d)
εi =yi −Yi
=yi −(b1 ・x1i+b2 ・x2i+b3 ・x3i+b0 ) …(e)
Σ(εi 2 =Σ(yi −b1 ・x1i−b2 ・x2i−b3 ・x3i−b0 2 …(f)
そうすると、上記(f)式の残差平方和Σ(εi 2 が最小になるようなb0 、b1 、b2 、b3 を求めることにより、上記(d)式で示される重回帰式を得ることができる。
すなわち、
f=Σ(yi −b1 ・x1i−b2 ・x2i−b3 ・x3i−b0 2 …(g)
とすれば、上記(g)式をb0 、b1 、b2 、b3 で偏微分した∂f/∂b0 、∂f/∂b1 、∂f/∂b2 、∂f/∂b3 、∂f/∂b0 をそれぞれ0とおくことにより、下記(h)〜(k)式で示される4つの正規方程式を得ることができる。
Σ(yi −b1 ・x1i−b2 ・x2i−b3 ・x3i−b0 )=0 …(h)
Σx1i(yi −b1 ・x1i−b2 ・x2i−b3 ・x3i−b0 )=0 …(i)
Σx2i(yi −b1 ・x1i−b2 ・x2i−b3 ・x3i−b0 )=0 …(j)
Σx3i(yi −b1 ・x1i−b2 ・x2i−b3 ・x3i−b0 )=0 …(k)
したがって、これら連立方程式を解くことにより、上記(g)式、すなわち上記(f)式で示される残差平方和Σ(εi 2 を最小にするb0 、b1 、b2 、b3 を得て、上記(d)式で示される重回帰式を得ることができる。
そして、こうした重回帰分析による多変量解析により、下記(l)式で示される重回帰式を得ることができた。
i =−0.27x1i−0.044x2i−0.035x3i+0.44 …(l)
したがって、コアードワイヤにおけるAl含有量、Si含有量及びMn含有量と重量減少量との間には、下記(m)式で示される相関関係があることがわかった。
重量減少量=−0.27Al−0.044Si−0.035Mn+0.44 …(m)
ここに、前述のとおり、重量減少量が0.12g/100mm以下であれば実用上問題なく、また、重量減少量が0.10g/100mm以下であればブローホール等の溶接欠陥が極めて少ない良好な溶接ができる。このため、下記(a)式を満たす関係であればブローホール等の溶接欠陥を効果的に防止することができることが確認できた。
0.27Al(%)+0.044Si(%)+0.035Mn(%)≧0.32 …(a)
(比較例7)
外径がφ=1.2mmで、合金組成がFe−0.35Si−1.5MnのFe合金よりなるFe系ワイヤを準備した。
なお、このFe系ワイヤは、前記(a)式を満たしていない。
そして、前記コアードワイヤ10の代わりに前記Fe系ワイヤを用いること以外は前記実施例1と同様にして、2枚のZnめっき鋼板を重ねレーザ溶接した。
(溶接後外観の評価)
前記実施例3、前記比較例2及び前記比較例7について、重ねレーザ溶接後の溶接部をレーザの照射側から見た外観写真を図3、図4及び図5に示す。
前記コアードワイヤ10を供給しながら重ねレーザ溶接を行った実施例3の溶接部は、外観不良もなく良好であった。これに対し、前記コアードワイヤ10を供給せずに重ねレーザ溶接を行った比較例2、及び前記Fe系ワイヤを供給しながら重ねレーザ溶接を行った比較例7の溶接部には、ブローホール等によりビードの荒れがひどかった。
[第2実施例]
(実施例4)
本実施例は、主にレーザ熱によりZnめっき鋼板の母材を溶融させるレーザ溶接と、Fe系溶加材としての前記コアードワイヤ10を消耗電極としてアークを発生させアーク熱により該コアードワイヤ10を溶融させるアーク溶接とを併用したものである。
前記実施例1と同様のZnめっき鋼板及びコアードワイヤ10を準備した。
<重ね合わせ工程>
前記Znめっき鋼板を2枚重ね合わせた。このとき、両Znめっき鋼板間の隙間は零とした。
<接合工程>
そして、Znめっき鋼板の重ね合わせ部の板面に対してレーザ光の光源を略水平方向に所定速度で移動させながら、同板面に対して略垂直方向(重ね合わせ方向)から所定出力のレーザ光をレーザ溶接後に溶接部となる所定の溶接線上に照射し、レーザ光が照射された加熱部において、重ね合わされた両Znめっき鋼板の両母材の全体が溶融した溶融池を形成した。このとき、形成された溶融池に対して、レーザ光の移動方向後方から前記コアードワイヤ10を所定の供給量で連続的に供給しながら、MIGアークにより、両Znめっき鋼板を重ねレーザ溶接した。このときの溶接条件は以下のとおりである。
レーザ光:YAGレーザ
レーザ出力:2.0kW
溶接速度:2.0m/min
コアードワイヤの供給量:3.0m/min
アーク電流:100A
アーク電圧:20V
なお、この接合工程では、アーク熱により前記コアードワイヤ10が完全に溶融するとともに一方の前記Znめっき鋼板の母材表面が部分的に溶融し、かつ、レーザ熱により前記両Znめっき鋼板の両母材が完全に溶融することにより、両母材が溶融した溶融池に前記コアードワイヤ10が溶融した状態で混入される。
このため、仮にコアードワイヤ10の供給位置にズレ等があったとしても、コアードワイヤ10を確実に溶融させて前記溶融池に混入させることができ、コアードワイヤ10により前記溶融池を確実に低粘度化させることが可能となる。したがって、本実施例によっても、前記実施例1と同程度以上に、ブローホール等の溶接欠陥を効果的に抑制することできる。
また、アーク熱によりコアードワイヤ10を溶融させているので、コアードワイヤの溶融にレーザ熱の一部が使われることがない分、レーザ出力を抑えることができ、より低コストで溶接することが可能となる。
(その他の実施例)
前述の実施例では、レーザ熱によりZnめっき鋼板の母材を溶融させる例について説明したが、プラズマアーク等を利用したアーク熱によってZnめっき鋼板の母材を溶融させる他の溶融溶接方法であっても、本発明を適用することが可能である。
また、前述の実施例では、加熱部において、重ね合わされた両Znめっき鋼板の両母材の全体を溶融させて溶融池を形成する、いわゆるキーホール溶接(裏波溶接)の例について説明したが、重ね合わされた両Znめっき鋼板のうちの一方の母材全体を溶融させ、かつ、他方の母材の一部(重ね合わせ面側の一部)を部分的に溶融させて溶融池を形成する場合にも、本発明を適用することが可能である。
Fe合金に添加される添加金属の濃度と、その添加金属が添加された溶融2元系Fe合金の1550℃における粘度との関係を示す線図である。 実施例1に係るFe系溶加材としてのコアードワイヤを模式的に示す断面図である。 実施例3の溶接部外観を示す写真である。 比較例2の溶接部外観を示す写真である。 比較例7の溶接部外観を示す写真である。
符号の説明
1…Fe系外皮 2…金属粉末
10…コアードワイヤ(Fe系溶加材)

Claims (6)

  1. 母材表面にZnめっき層を形成してなるZnめっき鋼板同士を重ね合わせる重ね合わせ工程と、この重ね合わせ部の所定部位を加熱して両該母材が溶融した溶融池とし、該溶融池を冷却、凝固させることにより両該Znめっき鋼板の該母材同士を一体的に接合する接合工程とを備え、
    前記接合工程で、Feを主成分としAl、Si及びMnよりなる粘性低下金属の群から選ばれる少なくとも一種を下記(a)式を満たす含有量で含むFe系溶加材を、前記溶融池中に混入させることを特徴とするZnめっき鋼板の重ね溶融溶接方法。
    0.27Al(%)+0.044Si(%)+0.035Mn(%)≧0.32 …(a)
  2. 前記Fe系溶加材は、Fe系外皮と、該Fe系外皮内に充填された金属粉末及び/又は合金粉末とからなるコアードワイヤよりなり、
    前記金属粉末は前記粘性低下金属の群から選ばれる少なくとも一種の金属粉末であり、前記合金粉末は前記粘性低下金属の群から選ばれる少なくとも二種よりなる合金粉末のうちの少なくとも一種であることを特徴とする請求項1記載のZnめっき鋼板の重ね溶融溶接方法。
  3. 前記接合工程で、前記重ね合わせ部の所定部位にレーザ光を照射してレーザ熱により両前記母材及び前記Fe系溶加材を溶融させることを特徴とする請求項1又は2記載のZnめっき鋼板の重ね溶融溶接方法。
  4. 前記接合工程で、前記重ね合わせ部の所定部位にレーザ光を照射して主にレーザ熱により両前記母材を溶融させるとともに、アーク熱により前記Fe系溶加材を溶融させることを特徴とする請求項1記載のZnめっき鋼板の重ね溶融溶接方法。
  5. 前記接合工程で、前記重ね合わせ部の所定部位にレーザ光を照射して主にレーザ熱により両前記母材を溶融させるとともに、前記コアードワイヤを消耗電極としてアークを発生させアーク熱により該コアードワイヤを溶融させることを特徴とする請求項2記載のZnめっき鋼板の重ね溶融溶接方法。
  6. Znめっき鋼板の重ね溶融溶接方法に用いられるFe系溶加材であって、
    Fe系外皮と、Fe系溶加材全体を100%としたときAl、Si及びMnよりなる粘性低下金属の群から選ばれる少なくとも一種を下記(a)式を満たす含有量で含むように、該Fe系外皮内に充填された金属粉末及び/又は合金粉末と、からなるコアードワイヤよりなることを特徴とするFe系溶加材。
    0.27Al(%)+0.044Si(%)+0.035Mn(%)≧0.32 …(a)
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