以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.パチンコ機の装置構成:
A−1.全体構成:
A−2.遊技盤の表面構造:
A−3.裏面構造:
A−4.パチンコ機の制御回路の構成:
B.賞球動作の概要:
C.制御ジョブの概要:
C−1.主制御部メインジョブ:
C−2.普通図柄制御ジョブ:
C−3.特別図柄制御ジョブ:
C−4.特別遊技関連ジョブ:
C−5.サブ基板メインルーチン:
D.中央装置の構造:
D−1.視認窓と図柄表示装置との位置関係:
D−2.可動枠体および図柄表示装置による演出動作:
D−3.可動枠体の駆動機構:
E.変形例:
A.パチンコ機の装置構成 :
本発明は、いわゆるパチンコ機あるいはアレンジボール遊技機などの弾球遊技機一般に適用することができるが、以下では、デジパチと呼ばれるタイプのパチンコ機(弾球遊技機)を例にとって説明する。
A−1.全体構成 :
先ず初めに、図1および図2を参照しながら本実施例のパチンコ機1の大まかな構造について説明する。図1は、パチンコ機1を前面側(すなわち、遊技者の側)から見たときの正面図である。また、図2は、パチンコ機1を斜め上方から見たときの斜視図である。図示されているように、パチンコ機1は主に、木製の板状体を略長方形の額縁状に組み立てて固着した外枠(本体枠とも言う)2と、外枠2の前面に開閉可能に軸支されたプラスチック製の中枠3と、中枠3の左端部で開閉可能に軸支されたプラスチック製の前面枠4と、前面枠4の下方に設けられた上皿部5および下皿部6と、中枠3の右側に設けられて前面枠4の施錠を行う施錠装置7と、中枠3の前面側に取り付けられた図示しない遊技盤などから構成されている。上皿部5は、前面枠4を施錠したときに前面枠4のちょうど下側に来る位置に、中枠3に対して開閉可能に軸着されている。また、下皿部6は、上皿部5の下方の位置で中枠3に取り付けられている。
図1に示されているように、前面枠4はパチンコ機1の前面の略2/3を占めており、そのほぼ中央部には略円形の開口部4aが形成されている。後述する遊技領域は、この開口部4aの内側に形成される。開口部4aの左方には略円弧状の左LED表示部4bが、更にその外側上方には左上LED表示部4dが設けられ、一方、開口部4aの右方には略円弧状の右LED表示部4cが、その外側上方には右上LED表示部4eが設けられている。また、開口部4aの上方で且つ、左LED表示部4bおよび右LED表示部4cの間には、略円形状の中上LED表示部4fが2つ並べて配置されている。これら2つの中上LED表示部4fの間には、2つの賞球LED表示部4gが設けられている。これらのLED表示部4d〜4gは、遊技効果を高めることなどを目的として、遊技の進行に応じて点灯および消灯あるいは点滅する。また、賞球LED表示部4gの上方には、略扇形状のエラーLED表示部4hが設けられている。更に、前面枠4の裏面側にはガラス枠41sが取り付けられており、ガラス枠41sには二枚のガラス板41rが装着されている(図2参照のこと)。パチンコ機1の遊技者は、このガラス板41rを介して遊技領域を目視することが可能となっている。遊技領域については、後ほど詳しく説明する。
前面枠4の下方に設けられた上皿部5には、複数の長孔を有する第1音声出力部5cと、皿外縁部5aと、パチンコ機1の内部の遊技球を上皿部5に排出するための排出口5bなどが設けられている。第1音声出力部5cには、遊技状態に応じて効果音あるいは音声などを出力するためのスピーカー400aと、後述する音量スイッチ基板12とが接続されている。尚、本実施例のスピーカー400aは、中高音用ユニット(ツィータ)および低音用ユニット(ウーハ)を含んだマルチウェイ方式とされており、第1音声出力部5cには、中高音用ユニット(ツィータ)が図示しないダクトを介して接続されている。また、低音用ユニット(ウーハ)は、後述する第2音声出力部6dに、図示しないダクトを介して接続されている。皿外縁部5aには玉抜きボタンや遊技球の貸出・返却ボタンなどが設けられている。また、本実施例の上皿部5には、前面左端側の部位に、2つの操作スイッチSW1およびSW2が設けられている。
上皿部5の下方に設けられた下皿部6には、略中央部に排出口6aが設けられており、下皿部6の左端には灰皿6bが、右端には発射ハンドル9が設けられている。排出口6aからは、パチンコ機1の内部から下皿部6に遊技球が排出されてくる。また、下皿部6の底面には図示しない球抜き孔が設けられている。球抜き孔は通常時には閉鎖されているが、下皿部6の略中央手前側に設けられた排出ノブ6cを操作して球抜き孔を開放状態とすれば、下皿部6に貯留された遊技球をパチンコ機1から排出することができる。排出ノブ6cは、プルロック式のノブであり、通常は直立状態となっている。そして、排出ノブ6cの下端を奥側に押圧すると、ノブの動きに連動して球抜き孔が開放状態となり、下皿部6から遊技球が排出される。この排出ノブ6cの右側前面および左側前面には、前述した第2音声出力部6dが設けられている。
発射ハンドル9は、遊技球の発射動作を制御するための操作部である。パチンコ機1の遊技者は発射ハンドル9を操作することによって遊技球の発射動作を制御することができる。発射ハンドル9には、遊技者が発射ハンドル9に触れていることを検出するタッチスイッチ9aが装着されており、その近傍には、遊技球の発射を一時的に停止するための発射停止スイッチ9bが装着されている。また、パチンコ機1の左端側にはプリペイドカードユニット13が設けられている。
次に、図2を参照しながら、中枠3の構成について説明する。中枠3は、枠体部3aと下板部(図示せず)とを備えている。このうち枠体部3aは、前述した前面枠4を施錠すると前面枠4がちょうど覆い被さるような位置に、すなわち中枠3の上端から下方に向かって略2/3の大きさを占める位置に設けられている。また、下板部は、上皿部5および下皿部6に対応する位置、すなわち中枠3の下端から上方に向かって略1/3の大きさを占める位置に設けられている。
枠体部3aの上部には、前面枠4の枠飾りランプ用レンズ4bに対応する位置に、図示しない複数個の遊技効果ランプと、前面枠4の枠飾りLED用レンズ4cに対応する位置に、図示しない賞球表示LEDと、同じく枠飾りLED用レンズ4eに対応する位置に、図示しないストップ表示LEDなどが設けられている。更に枠体部3aには、遊技効果ランプの点滅を制御するための枠飾りランプ基板4gと、賞球表示LEDの点滅を制御するための賞球表示LED基板4dと、ストップ表示LEDの点滅を制御するストップ表示LED基板4fなどの各種基板も取り付けられている。これら基板の詳細については後述する。
A−2.遊技盤の表面構造 :
次に、遊技盤10の構成について説明する。図3は、遊技盤10の表面の構造を示した説明図である。図示するように遊技盤10は、木製で略長方形の板状体であって、中枠3の表面側に着脱可能に取り付けられているとともに、その背面側は後述する裏機構盤102(図5参照)によって覆われている。遊技盤10の表面には外レール14と内レール15とが設けられており、これらレールに囲まれた部分に、略円形状の遊技領域11が形成されている。
遊技領域11には、略中央部に中央装置26が設けられており、下方部分には変動入賞装置18が、そして中央装置26と変動入賞装置18との間には始動口(普通電動役物)17などが設けられている。また、遊技領域11の左端には普通図柄作動左ゲート36が、遊技領域11の右端には普通図柄作動右ゲート37が設けられている。更に、普通図柄作動左ゲート36と中央装置26との間には、左側のランプ風車24が設けられ、普通図柄作動右ゲート37と中央装置26との間には、右側のランプ風車25が設けられている。これら各遊技装置の間および周辺には、多数の障害釘23が設けられている。
詳細には後述するが、中央装置26は、中央に設けられた図柄表示装置27や可動枠体28などから構成されている。本実施例の図柄表示装置27には液晶表示装置が搭載されており、主に遊技状態を表す情報(遊技情報)の表示に用いられる小さな主表示部27aと、主に遊技の演出に用いられる大きな副表示部27bとが設けられている。副表示部27aでは、遊技の進行に合わせて種々の演出用の図柄や背景図柄を変動表示することが可能であり(以下では、演出用の図柄と背景の図柄をまとめて演出用図柄と呼ぶことがあるものとする。)、副表示部27bでは、遊技情報に対応した図柄を変動表示することが可能となっている。また、可動枠体28は、図柄表示装置27の副表示部27bの前面側に設けられており、ちょうど副表示部27bがある部分には大きく開口した窓(視認窓28w)が設けられている。このため、この開口部分から表示画面上に表示された演出用図柄を確認することが可能となっている。尚、このように本実施例の図柄表示装置27には、主表示部27aと副表示部27bとが設けられているが、「表示領域」とは演出用の図柄が表示される部分を指している。従って、演出用の図柄が液晶画面の全面に表示される場合は、液晶画面全体が表示領域に相当する。一方、液晶画面に縁部が設けられており、演出用の図柄は縁部より内側の部分に表示される場合には、縁部より内側の図柄が表示される部分が表示領域に相当する。また、可動枠体28は枠体に相当しており、可動枠体28に設けられた開口部分は視認窓に相当している。図表示装置27に設けられた主表示部27aおよび副表示部27bの詳細については、別図を用いて後述する。
遊技者が発射ハンドル9を操作することによって発射された遊技球が、前述した普通図柄作動左ゲート36あるいは普通図柄作動右ゲート37を通過すると、図柄表示装置27は普通図柄の変動表示を開始する。普通図柄には当り図柄と外れ図柄とが用意されている。普通図柄は所定時間だけ変動表示された後、いずれかの図柄で停止表示される。このとき、停止した図柄が当り図柄であった場合には、始動口(普通電動役物)17が所定時間(例えば0.5秒)開放するようになっている。
始動口(普通電動役物)17は、左右に一対の翼片部が開閉可能に構成されたいわゆるチューリップ式の始動口である。始動口17の内部には、遊技球の通過を検出する始動口(普通電動役物)入賞検知スイッチ17s(図6参照)と、翼片部を作動させるための始動口(普通電動役物)ソレノイド17c(図6参照)とが備えられている。一対の翼片部が左右に開くと、遊技球の入球可能性が大きくなる開放状態となり、一対の翼片部が立設され、遊技球の入球可能性が小さくなる通常状態となる。
翼片部の開閉は次のようにして行われる。始動口17の左右に設けられた普通図柄作動左ゲート36、普通図柄作動右ゲート37のいずれかを遊技球が通過すると、普通図柄作動左ゲート36および普通図柄作動右ゲート37の内部にそれぞれ設けられた左、右普通図柄作動ゲート検知スイッチ36s、37s(図6参照)で検出され、図柄表示装置27が普通図柄の変動表示を開始する。そして、所定時間経過後に、普通図柄が所定の図柄で停止表示すると、所定時間(例えば、0.5秒間)だけ始動口17の翼片部が開放される。
一方、始動口(普通電動役物)17に遊技球が入球すると、図柄表示装置27では、特別図柄の変動表示が開始され、所定時間変動表示した後、任意の図柄で停止表示される。このとき所定の図柄で停止表示された場合には、変動入賞装置18に設けられた大入賞装置31が作動することになる。
大入賞装置31は、変動入賞装置18のほぼ中央に設けられており、略長方形状に大きく開口する大入賞口311と、大入賞口311を開放あるいは閉鎖する開閉板312と、開閉板312を開閉するための大入賞口ソレノイド313(図6参照)と、大入賞口311に入賞した後に遊技球が通過する特定領域(V入賞口及び一般入賞口/図示略)と、図示しない連動杆と、入賞球を検知する入賞球検知スイッチ318(図6参照)と、裏箱(図示略)と、大入賞口中継基板(図示略)などから構成されている。
図柄表示装置27で所定の特別図柄が停止表示されると、大入賞装置31が作動して、大入賞口311が開放状態となる。大入賞口311が開放すると、発射した遊技球は高い確率で大入賞口311に入球するので、遊技者にとってたいへんに有利な遊技状態(特別遊技状態)となる。
遊技盤10の下方にはアウト口48が設けられ、そのアウト口48の下部にはバック球防止部材58が設けられており、遊技領域11に到達せず戻ってきた遊技球が再び発射位置に戻ることを防止している。一方、内レール15の先端部には、図示しないファール球防止部材が取り付けられ、ファール球防止部材と略正反対側(遊技盤10の右半分側)には、図示しない返しゴムが外レール14に沿って嵌合状に取り付けられている。
図4は、本実施例の遊技機に搭載された図柄表示装置27の構成を示した説明図である。前述したように図柄表示装置27には、主表示部27aと副表示部27bとが設けられており、これら2つの表示領域は、本実施例では1つの液晶画面27L上に形成されている。もちろん、それぞれの表示領域を別体の液晶画面上に設けることとしてもよい。それぞれの表示領域を1つの液晶画面上に設けておけば、液晶表示装置を共用化することができるので部品点数を低減することが可能となる。これに対して、それぞれの表示領域を別体の液晶画面上に設けた場合は、小さな液晶画面を用いることができる。一般に液晶表示装置は画面が大きくなるにつれて高価になるから、小さな液晶画面を用いることができれば、たとえ搭載すべき液晶表示装置の数が増えたとしても、全体としての製造コストを抑制することが可能となる。
主表示部27aには、普通図柄表示領域271と、特別図柄表示領域273、普通図柄保留表示領域272、特別図柄保留表示領域274などが設けられている。普通図柄表示領域271には普通図柄が変動停止表示され、特別図柄表示領域273には左右2つの特別図柄が変動停止表示される。また、普通図柄の変動表示中に遊技球が普通図柄作動ゲート36、37のいずれかを通過した場合には、遊技球の通過が普通図柄の保留として、最大4つまで普通図柄保留表示領域272に表示される。同様に、特別図柄の変動表示中に遊技球が始動口17に入球した場合には、遊技球の入球が特別図柄の保留として、最大4つまで特別図柄保留表示領域274に表示される。
副表示部27bには、各種の演出用図柄が表示される。演出用図柄は、背景図柄275や、演出の為に疑似的に特別図柄の当否を表示する演出用特別図柄277などが組み合わされて構成されている。これら図柄に加えて、漫画のキャラクタなどが用いられることもある。尚、主表示部27aに表示される特別図柄は、当否の結果をそのまま表示するものであるのに対し、副表示部27bに表示される特別図柄は、遊技の演出の為に疑似的に当否を表示する図柄である。このことから、主表示部27aに表示される特別図柄は「本図柄」と呼ばれ、副表示部27bに表示される演出用特別図柄277は「疑似図柄」と呼ばれることがある。
A−3.裏面構造 :
次に、パチンコ機1の裏面構造について説明する。図5は、本実施例のパチンコ機1の裏面構造を示した説明図である。本実施例では、パチンコ機1の裏面構造は、大きな裏機構盤102の上に各種装置が搭載された構造となっており、裏機構盤102は、一対のヒンジ103によって中枠3に開閉可能に軸支されている。図5では、ヒンジ103は、中枠3右側の上端付近および下端付近に示されている。
裏機構盤102には、遊技球が蓄えられる賞球タンク105と、賞球の払出を行う賞球払出装置109と、前述した液晶表示装置27が格納された蓋付きの裏ケース111と、後述する主制御基板340が格納された主制御基板ケース112と、前述した発射装置ユニットを制御する発射装置制御基板が格納された発射装置制御基板ケース113と、賞球払出装置109を制御する払出制御基板が格納された払出制御基板ケース118と、主制御基板340と各種スイッチ類とを中継する中継基板190などが搭載されている。
賞球タンク105には底部にタンク球切れ検知スイッチ104が設けられており、球切れを検出することができる。賞球タンク105と賞球払出装置109とは、タンクレール106によって接続されており、図上でタンクレール106の右側には球抜きレバー107が設けられ、またタンクレール106の下流側には図示しない補給球切れ検知スイッチが設けられている。更に、賞球払出装置109の下流側には、球技球の振り分け部が設けられている。尚、図5では、図示が煩雑となることを避けるために、振り分け部の表示は省略されている。
また、主制御基板ケース112、中継基板190や、払出制御基板ケース118などの各種基板は、裏機構盤102に回動自在に懸架された図示しない金属板に、着脱自在に装着されている。
裏機構盤102の右上端部には、ヒューズボックス119、電源スイッチ120、電源ターミナル基板121および大当り、発射装置制御、球切れ、扉開放、賞球、球貸し用等の遊技機枠用外部接続端子を備えた端子基板122が設けられている。尚、電源ターミナル基板121には、ラムクリア信号を発生させるためのラムクリアスイッチ(図示を省略)を接続してもよい。また、端子基板122の上側には、外部からの電力の供給を受けるための電源ケーブル123も配設されている。更に、払出制御基板ケース118からは接続ケーブル124が上方へ延出し、電源ケーブル125を備えたプリペイドカードユニット13に接続されている。また、裏機構盤102の略中央下端部には、下皿部用球通路部材126が設けられている。
A−4.パチンコ機の制御回路の構成 :
次に、本実施例のパチンコ機1が有する制御回路の構成について説明する。図6は、本実施例のパチンコ機1に搭載された電子制御装置における制御回路の構成を示したブロック図である。図示されているように、電子制御装置は、その機能に着目すると、主制御部140と、複数の副制御部とから構成されている。また副制御部は、主制御部140に直接に接続された第1次副制御部と、第1次副制御部を介して主制御部140に接続された第2次副制御部とから構成されている。主制御部140と第1次副制御部とは信号伝送経路500aによって接続されている。尚、パチンコ機の機種によっては、第1次副制御部と第2次副制御部とを介して主制御部140に接続される第3次副制御部が設けられている場合もある。
図示されているように、本実施例の電子制御装置には、第1次副制御部として、払出制御部150と音声・ランプ制御部170とが設けられており、第2次制御部として、払出制御部150に接続された発射装置制御部193と、音声・ランプ制御部170に接続された図柄制御部160とが設けられている。
主制御部140から、払出制御部150および音声・ランプ制御部170へは、一方向形式若しくは双方向形式でデータが伝送される。また、本実施例では音声・ランプ制御部170から図柄制御部160へも一方向形式でデータが伝送されるものとして説明するが、音声・ランプ制御部170と図柄制御部160との間では双方向形式でデータを伝送することとしてもよい。
また、図6中に示した破線の矢印は、各制御部140ないし170への電源供給経路を表している。図示されているように、電源は先ず初めに電源受電基板410に供給され、電源ユニット420で所定電圧に変換された後、分電基板430から各制御部140ないし170に電力が供給される。更に、電源投入時には、後述するシステムリセット信号が全制御基板に送信される。
詳細には後述するが、主制御部140は各種スイッチや検知器などからの情報を受け取って所定の演算を行った後、払出制御部150や音声・ランプ制御部170に各種のコマンドを出力するとともに、各種の基板やソレノイドなどに駆動信号を出力する。後述するように、本実施例の始動口(普通電動役物)17は、通常状態と、遊技球が入球し易いように翼片部が開放した状態の2つの状態を取ることが可能であるが、こうした状態の切り換えも、主制御部140からソレノイド17c、313を駆動することによって実現されている。また、音声・ランプ制御部170には、基準位置検出センサ4oおよび枠体駆動モータ4mも接続されている。音声・ランプ制御部170から枠体駆動モータ4mに駆動信号を出力することで、中央装置26に組み込まれた可動枠体28を回転させることができる。このとき可動枠体28が基準位置を通過すると、基準位置検出センサ4oから信号が出力される。音声・ランプ制御部170は、この信号を受け取ることによって、可動枠体28の回転位置を基準位置に位置決めすることが可能となっている。以下では、主制御部140や、払出制御部150、音声・ランプ制御部170、図柄制御部160、各種基板などの構成について順番に説明する。
主制御部140は、主制御基板ケース112に格納された主制御基板340によって主に構成されており、主制御基板ケース112は、不正行為者が容易に開封できないような封止構造が採られている。図7は、主制御基板340の構成を概念的に示した説明図である。図示されているように、主制御基板340は、CPU401を含む主回路部400と入出力回路部500とが、バスで接続されて相互にデータをやりとり可能に構成されている。主回路部400には、CPU401と、発振部1410と、リセット回路部1450と、I/Oデコード回路部1420と、データバス安定化部1411と、第1外部入力回路部1430などが設けられている。
上述した主回路部400とともに主制御基板340を構成する入出力回路部500には、外部端子部145が接続されており、この外部端子部145によってパチンコホールの「ホールコンピューター」に接続されている。主制御基板340はRAMクリア処理を実行するに際して、RAMクリア信号をONにした後、一定時間経過後に再びOFFとする動作を行うが、このRAMクリア信号は外部端子部145を介してパチンコホールのシステム等に報知されている。このため、不正行為者によってRAMクリア処理が実行された場合には、不正行為者に悟られることなく、パチンコホールの管理者側で不正行為を検知することが可能となっている。
入出力回路部500には、信号伝送経路500aを介して払出制御部150および音声・ランプ制御部170が接続されている(図6参照)。入出力回路部500は、払出制御部150や音声・ランプ制御部170での処理内容を指示する指令信号たるコマンドデータを、信号伝送経路500aを介して払出制御部150あるいは音声・ランプ制御部170に出力する。また、入出力回路部500からは、図柄制御部160での処理内容を指示するコマンドデータも出力される。図柄制御部160に対するコマンドデータは、一旦、音声・ランプ制御部170に向けて出力された後、音声・ランプ制御部170から信号伝達経路500bを経由して図柄制御部160に供給される。
加えて入出力回路部500には、始動口(普通電動役物)入賞検知器(入賞検知スイッチ)17sや、各種ソレノイド17c,313、右普通図柄作動ゲート通過検知器(右普通図柄作動ゲート通過検知スイッチ)37s、左普通図柄作動ゲート通過検知器(左普通図柄作動ゲート通過検知スイッチ)36sなどが接続されている。
図8は、CPU401の詳細な構造を示した説明図である。図示されているようにCPU401は、CPUコア480と、内蔵RAM481と、内蔵ROM482と、メモリ制御回路483と、クロック発生器484と、アドレスデコーダ485と、ウオッチドッグタイマ486と、カウンタ/タイマ487と、パラレル入出力ポート488と、リセット/割り込みコントローラ489と、外部バスインターフェース490と、出力制御回路491などから構成されている。CPU401は、ワークエリアとしてRAM481を使用しながら、ROM482に格納された制御プログラムを実行することにより、パチンコ機1全体の作動制御(すなわち、遊技の基本進行制御)を司るとともに、ROM482に記憶された当否判定プログラムを実行することにより、当否判断制御を行う。
次に、払出制御部150の構成について説明する。払出制御部150は、払出制御基板ケース118に格納された払出制御基板350によって主に構成されている。図9は、払出制御基板350の構成を概念的に示した説明図である。前述した主制御基板340と同様に払出制御基板350も、主回路部152と入出力回路部153とがバスで相互にデータをやりとり可能に接続されて構成されている。入出力回路部153には信号伝送経路500aが接続されており、主制御基板340から出力された前述のコマンドデータは信号伝送経路500aを介して入出力回路部153に入力される。また、入出力回路部153には、賞球払出装置109や発射装置制御部193なども接続されている。
図10は、音声・ランプ制御部170の構成を概念的に示した説明図である。音声・ランプ制御部170は、音声・ランプ制御基板370と、ランプインターフェース基板380との、主に2つの基板から構成されている。音声・ランプ制御基板370は、効果音の出力や照明の点灯による演出を制御する機能を有している。この機能を実現するため、音声・ランプ制御基板370には、演算回路構成要素として、CPU171と、RAM172と、ROM173と、入出力ポート174と、サウンドジェネレータ176と、コネクタCN1などが設けられており、これらがバス175で相互にデータをやりとり可能に接続されている。サウンドジェネレータ176は、予め記憶された音声データをゲームの進行に合わせて再生することで、スピーカー400aから各種の音声を出力する。尚、スピーカー400aから出力される音量は、音量スイッチ基板12によって調整可能となっている。また、基準位置検出センサ4oからの信号は、音声・ランプ制御基板370に入力される。
入出力ポート174には信号伝送経路500aが接続されている。前述した主制御部140が、特別図柄の変動・停止、リーチ発生、リーチ表示の態様、特別遊技態様、確率変動や時短などの遊技モードを指示する制御命令を出力すると、出力された各種の制御命令は信号伝送経路500aを介して入出力ポート174に入力される。音声・ランプ制御基板370では、こうして制御命令を受け取ると、ROM173に予め記憶されているプログラムに従って所定の処理を行い、ランプインターフェース基板380に向かって各種の命令を出力する。音声・ランプ制御基板370とランプインターフェース基板380とは、コネクタCN1とコネクタCN2とで互いに接続されている。
ランプインターフェース基板380は、照明の点灯による演出を制御する機能や、中央装置26に設けられた可動枠体28を回転駆動させる機能などを有している。こうした機能を実現するため、ランプインターフェース基板380には、各種LEDやランプ、枠体駆動モータ4mなどを駆動するための駆動信号を発生させる駆動回路部382と、発生した駆動信号を、各種LED基板4d,4f,19f〜22fや、各種ランプ基板216f,262f、枠飾り基板4g、枠体駆動モータ4mなどに出力するためのコネクタ出力部384とが設けられている。これら各基板にランプあるいはLED等が1個または複数個接続されており、コネクタ出力部384から供給される駆動信号により、ゲームの進行に対応して点灯・消灯または点滅する。尚、コネクタ出力部384を、駆動回路部382とは別基板に設ける構成としても良い。こうすることで、各種LEDなどのランプの数や色が変更されたり、あるいは枠体駆動モータ4mの個数やコネクタ形状が変更された場合などにも、駆動回路部382の変更を要しない場合には、コネクタ出力部384のみを変更して対応することが可能となる。
図柄制御部160は、図柄制御基板360によって主に構成されている。図11は、図柄制御部160の構成を概念的に示した説明図である。図示されているように図柄制御部160は、演算回路構成要素としてCPU161と、RAM162と、ROM163と、入出力ポート164と、駆動回路166とを備えており、これら演算回路構成要素がバス165により接続されて相互にデータをやりとり可能に構成されている。入出力ポート164には、信号伝送経路500bや図柄表示装置27が接続されている。CPU161は、RAM162をワークエリアとして使用しながら、ROM163に格納された制御プログラムを実行することにより、中央装置26の制御を行っている。
中継端子基板190には、入賞球検知スイッチ318,19s〜22s等が接続されており、中継端子基板190の出力端子は、主制御部140の入出力回路部500と接続されている。払出用端子基板191には、タッチスイッチ9a、発射停止スイッチ9b、ヴォリュームスイッチ192、タンク球切れ検知スイッチ104及び補給球切れ検知スイッチ108等が接続され、払出用端子基板191の出力端子は、図9に示す払出制御部150の入出力回路部153に接続されている。
以上のような構成の本実施例の電子制御装置においては、遊技球が始動口17に入球すると、その情報が始動口入球検知スイッチ17sによって検知されて、主制御部140に入力される。遊技球が普通図柄作動左ゲート36あるいは普通図柄作動右ゲート37を通過すると、その情報が普通図柄作動口通過検知器36s,37sにより検知されて、主制御部140に入力される。また、入賞球検知スイッチ19s〜22s,318で遊技球の入球が検知されると、その情報は、中継端子基板190を介して主制御部140に入力される。主制御部140は、これらの情報を受け取って、変動パターン指定コマンド、停止図柄指定コマンド、及び図柄停止コマンドを送信する。これらのコマンドは、信号伝送経路500a、音声・ランプ制御部170、信号伝送経路500bを経由して図柄制御部160に供給される。変動パターン指定コマンドを受けとると、その変動パターン指定コマンドが指定する変動パターンに基づいて、特別図柄の変動を開始する。また、主制御部140は、図柄制御部160に出力するコマンドに同期させて、音声・ランプ制御部170にも所定のコマンドを送信する。こうして、図柄の表示と音声の出力とを併せて行うことによって各種の演出を行う。
B.賞球動作の概要 :
次に、本実施例のパチンコ機1の賞球動作について簡単に説明する。遊技球が大入賞口311に入球すると、大入賞口311の内部に設けられた入賞球検知スイッチ318がこれを検知して、入球を知らせる信号を、信号ケーブルを介して主制御部140に出力する。信号を受け取ると、主制御部140は後述する処理を行って、払出制御部150に向かって15個分の遊技球を払い出す旨のコマンドを出力する。また、遊技球が始動口(普通電動役物)17に入球した場合は、始動口の内部に設けられた始動口入賞検知スイッチ17sがこれを検知して、信号を信号ケーブルを介して主制御部140に出力する。この信号を受けて主制御部140は、後述する処理を行った後、6個分の遊技球を払い出す旨のコマンドを払出制御部150に向かって出力する。賞球コマンドは、払出制御部150を作動指令対象とする指令信号として、遊技球の通過を検知した順番に従って信号伝送経路500aを介して送信される。払出制御部150は、こうして主制御部140から賞球コマンドを受け取って、賞球払出信号を出力することにより、賞球払出装置109を作動させて指示された個数分の賞球動作を行う。
また、主制御部140は、上述した各種検知スイッチの出力に基づいて遊技状態を判断し、また、その遊技状態に基づいて当否判定を行うとともに、判定内容に応じて対応する図柄表示態様で画像表示制御を行うためのデータを読み込む。例えば、主制御部140は、始動口(普通電動役物)入賞検知スイッチ17s、入賞球検知スイッチ318等の検知結果や、特別図柄当否判定乱数の取得値などを使用して、「遊技が行われていない客待ちの状態」、「遊技は行われているが始動入賞がない状態(変動準備状態)」、「始動入賞があった状態」、および「特別遊技状態」などを判断する。また主制御部140は、始動入賞を検知すると乱数値に基づいて、遊技者にとって有利な特別遊技状態を発生させるか否かの当否判定(特別図柄の当否判定)を行い、その判定結果に基づいて特別図柄の変動(リーチ表示態様を含む)や確定などの表示態様制御を行うための各種コマンドを出力する。これらコマンドは、前述した信号伝送経路500aを介して一旦、音声・ランプ制御部170に出力された後、音声・ランプ制御部170から信号伝送経路500bを介して図柄制御部160に送信される。
C.制御ジョブの概要 :
C−1.主制御部メインジョブ :
次に、上述した電子制御装置によって実行されるパチンコ機1の制御の内容について説明する。図12は、主制御部メインジョブの流れを示すフローチャートである。かかるジョブは、主制御部140に搭載された主制御基板340によって実行されるジョブであり、パチンコ機1における遊技全体の進行を制御する根幹をなすジョブである。主制御部メインジョブは、パチンコ機1の電源が投入され、あるいはリセットスイッチが押された時に、CPU401に内蔵されたCPUコア480が内蔵ROM482のブート領域に格納されているプログラムを読み出すことによって、自動的に開始される。パチンコ機1では主制御部メインジョブ以外にも多数のジョブが存在するが、これらジョブの多くは、所定の条件が成立すると主制御部メインジョブから呼び出されることによって実行される。以下では、図12のフローチャートに従って、主制御部メインジョブについて説明する。
主制御部メインジョブを開始すると、先ず初めに初期化ジョブを実施する(S10)。図13は初期化ジョブの流れを示したフローチャートである。初期化ジョブでは、電源投入時に行われる所定の各種処理を行った後(S12)、音声・ランプ制御部170に向かって初期図柄指定コマンドを出力する処理を行う(S14)。ここで、電源投入時に行われる各種処理とは、例えばCPU401に内蔵されているCPUコア480の動作チェックやRAMの初期化を行ったり、音声・ランプ制御部や、払出制御部、図柄制御部などの各制御部を初期化したりする処理である。また、初期図柄とは、パチンコ機1の電源投入時あるいはリセットボタンを押されたときに、図柄表示装置27などに表示される図柄を言い、初期図柄指定コマンドとは、これら初期図柄の表示を図柄制御部160に対して指定するコマンドである。
図14は、主制御部140から初期図柄指定コマンドが出力される様子を概念的に示した説明図である。主制御部140に設けられた主制御基板340は、1bitのストローブ信号と8bitのコマンドデータとを、音声・ランプ制御基板370に向かって出力する。音声・ランプ制御基板370では、ストローブ信号の立ち上がりのタイミングでコマンドデータを読み取ることにより、初期図柄指定コマンドを確実に読み取ることができる。尚、ここでは初期図柄指定コマンドを出力する場合について説明したが、主制御部140が出力する他のコマンドも同様の手順によって出力されている。こうしてストローブ信号とともに供給された初期図柄制定コマンドは、直ちに音声・ランプ制御部170から図柄制御部160に転送され、図柄制御部160の制御の下で図柄表示装置27に初期図柄が表示される。
以上の説明からも明らかなように、パチンコ機1では、主制御部140が所定の処理を行って各種のコマンドを出力し、このコマンドを受けて、音声・ランプ制御部170や図柄制御部160、払出制御部150など所定の処理を行うことによって遊技が進行する。換言すれば、主制御部140と、その他の各種制御部とは、互いに処理を分担しながら、パチンコ機1の動作を制御している。そこで、理解の便宜を図るために、以下では、主制御部140内で実施される処理は「ジョブ」と呼び、音声・ランプ制御部170や図柄制御部160などで行われる処理は「ルーチン」と呼んで区別することにする。例えば、図13に示した初期化ジョブは「ジョブ」という名前が示すように、いずれも主制御部140で実施される処理である。
主制御部140は、以上のようにして初期化ジョブを終了したら、図12に示した主制御部メインジョブに復帰して、今度はデモ表示ジョブを開始する(S20)。ここでデモ表示とは、パチンコ機1がいわゆる客待ち状態の時に、遊技客の注意を引きつけるために、普通図柄や特別図柄で特別に行われる演出の表示を言う。
図15は、デモ表示ジョブの流れを示すフローチャートである。デモ表示ジョブを開始すると、先ず初めに、発射ハンドル9に設けられたタッチスイッチ9a(図1を参照のこと)がONとなっているか否かを判断する(S22)。前述したように、遊技者が発射ハンドル9に触れていればタッチスイッチ9aはONになるから、タッチスイッチがONであれば(S22:yes)、客待ち状態ではないと判断される。そこで、このような場合はデモ表示は不要であり、直ちにデモ表示ジョブを終了して、主制御部メインジョブに復帰する。一方、タッチスイッチがOFFであれば(S22:no)、客待ち状態となっている可能性がある。そこで、タッチスイッチが継続してOFFとなっている経過時間を検出し(S24)、連続してOFFとなっている経過時間が、所定時間(例えば2分)に達しているか否かを判断する(S26)。経過時間が所定時間に達していない場合は(S26:no)、客待ち状態ではないと判断してデモ表示ジョブを終了する。経過時間が所定時間に達している場合は(S26:yes)、主制御部140はデモ指定コマンドを出力する(S28)。
デモ指定コマンドは、図14を用いて前述した初期図柄指定コマンドと同様に、主制御基板340から音声・ランプ制御基板370に向かってストローブ信号とともに出力される。音声・ランプ制御部170は、受け取ったデモ指定コマンドを図柄制御部160に転送するとともに、スピーカーやランプを駆動してデモ時の演出を行う。一方、図柄制御部160は、音声・ランプ制御部170からデモ指定コマンドを受け取ると、図柄表示装置27を制御して所定のデモ表示を行う。
主制御部メインジョブでは、以上のような一連の処理を終了すると、図3に示した普通図柄変動ゲート36,37を遊技球が通過したか否かを判断する(S30)。遊技球が通過している場合は(S30:yes)、図柄表示装置27における演出を制御するためのジョブ(普通図柄制御ジョブ)を開始する(S40)。普通図柄制御ジョブの内容については後ほど詳細に説明する。
次いで主制御部140は、遊技機に複数設けられた入賞口のいずれかに遊技球が入球したか否かを判断する(S50)。前述したように、各入賞口の内部には入賞球の通過を検知するスイッチが設けられており、スイッチで検出された信号が信号ケーブルによって主制御基板340に伝達される。主制御部140は、いずれの信号ケーブルから信号が伝達されたかに基づいて、入球のあった入賞口を容易に検出することができる。そして、入球のあった入賞口に応じて、所定数の遊技球を払い出す旨の賞球コマンドを出力する(ステップS52)。賞球コマンドは、主制御部140から払出制御部150に向かって出力され、払出制御部150ではコマンドに従って賞球払出装置109を制御することにより、所定数の遊技球の払出を行う。もちろん、主制御部140から音声・ランプ制御部170にもコマンドを出力して、賞球に伴う所定の演出を行うこととしても良い。
続いて主制御部140は、遊技球の入球した入賞口が始動口17か否かを判断する(S54)。そして、入球した入賞口が始動口17である場合は(S54:yes)、内蔵RAM481内の特別図柄保留数メモリに記憶されている保留数(特別図柄保留数)が4以上か否かを判断し、その保留数が4に達していなければ(S56:no)、その保留数を1加算する(S58)。ここで、特別図柄保留数メモリに記憶される保留数は、特別図柄変動中もしくは特別遊技状態における始動口17への遊技球の入球数に該当し、この入球数は、図柄表示装置27にて、後述する特別図柄制御ジョブ(図20)の特別図柄当否判定処理(S82)の結果表示を未だ行っていない数に該当する。次に、主制御部140は特別図柄当否判定乱数を発生し、その判定乱数値を内蔵RAM481内の特別図柄当否判定乱数メモリに記憶する(S59)。この特別図柄当否判定乱数メモリは、発生した判定乱数値を始動入賞の時系列にシフトメモリ形式で記憶されている。この後、図柄表示装置27の動作を制御するためのジョブ(特別図柄制御ジョブS80)、更には、特別遊技状態時の動作を制御するためのジョブ(特別遊技関連ジョブS100)を実施する。この特別図柄制御ジョブおよび特別遊技関連ジョブの内容については後述する。一方、ステップS56において特別図柄の保留数が4に達している場合は(S56:yes)、保留数を加算する処理をスキップする。
また、ステップS54において、入球した入賞口が始動口17でない場合は(S54:no)、内蔵RAM481内の特別図柄保留数メモリに記憶されている保留数が0か否かを判断し(S60)、0でない場合は(S60:no)、特別図柄制御ジョブ(S80)および特別遊技関連ジョブ(S100)を行う。一方、特別図柄の保留数が0の場合は(S60:yes)、特別図柄制御ジョブや特別遊技関連ジョブは行わない。
以上の様な処理を行ったら、パチンコ機1の電源がOFFとされたか否かを判断し(S62)、電源がONであると判断された場合は(S62:no)、再びS20のデモ表示ジョブに戻って続く一連の処理を行う。これに対して、パチンコ機1の電源がOFFになったと判断された場合は(S62:yes)、主制御部メインジョブを終了する。こうして主制御部メインジョブを終了すると、遊技の進行が停止しパチンコ機1の遊技状態が終了する。
以下では、普通図柄制御ジョブ(S40)、特別図柄制御ジョブ(S80)、および特別遊技関連ジョブ(S100)の各ジョブについて、順番に説明する。
C−2.普通図柄制御ジョブ :
図16は、普通図柄制御ジョブの流れを示すフローチャートである。前述したように、この処理は、遊技球が普通図柄変動ゲートを通過すると、図12に示した主制御部メインジョブから呼び出されて開始されるジョブである。また、「ジョブ」という名称から分かるように、この処理は主制御部140によって実行される。
普通図柄制御ジョブを開始すると、先ず初めに普通図柄の当否判定を行い(S42)、続いて、当否の結果に応じた変動パターンと停止図柄とを決定する(S44)。当否判定およびこれらを決定する手法としては種々の方法を用いることができるが、本実施例のパチンコ機1では、乱数を利用した抽選を行うことによって、これらを決定する。また、ここでは変動パターンとして、普通図柄を変動表示させる時間を決定している。もちろん、より詳細な内容まで決定することも可能である。
こうして普通図柄の当否と、当否に応じた変動パターンおよび停止する普通図柄とを決定したら、これら決定内容に従って、普通図柄関連コマンドを音声・ランプ制御基板370に向かって出力する処理を行う(S46)。普通図柄関連コマンドとは、普通図柄制御のために主制御基板340から出力される各種のコマンドであり、具体的には、普通図柄の変動パターンを指定するコマンド(普通図柄変動パターン指定コマンド)や、変動後に停止する普通図柄を指定するコマンド(普通図柄指定コマンド)、普通図柄の変動を停止させるコマンド(普通図柄停止コマンド)などの各種コマンドを言う。
図17は、これら普通図柄関連コマンドを一覧的に表示した説明図である。普通図柄の変動パターンに応じて、コマンドChp1 ,コマンドChp2 ,コマンドChp3 ,コマンドChp4 ・・・など、各種の指定コマンドが予め設定されている。また、変動後に停止させる普通図柄に応じて、コマンドChs1 ,コマンドChs2 ,コマンドChs3 ,コマンドChs4 ・・・などの各種の指定コマンドが設定されており、普通図柄の変動表示を停止させるためのコマンドとしては、コマンドChstpが設定されている。もちろん、表示されているコマンド以外に他のコマンドを設定しておくことも可能である。これらの普通図柄関連コマンドは、図8に示したCPU401の内蔵ROM482に予め記憶されている。図16のステップS46では、ステップS42およびS44で決定した変動パターンおよび普通図柄に応じて、内蔵ROM482から対応するコマンドを読み出した後、音声・ランプ制御基板370に向かってストローブ信号とともに出力する処理を行う(図14を参照のこと)。
図18は、上述したステップS46において、主制御部140が各種の普通図柄関連コマンドを出力する様子を概念的に示した説明図である。普通図柄制御ジョブが開始されて、ステップS46の処理が初めて実行される場合は、先に決定しておいた普通図柄の変動パターン指定コマンドが、主制御基板340から出力される。図18に示した白抜きの矢印は、コマンドが出力されていることを模式的に示したものである。音声・ランプ制御基板370は、普通図柄の変動パターン指定コマンドを受け取ると、直ちに図柄制御基板360に転送する。音声・ランプ制御部170および図柄制御部160では、こうして受け取ったコマンドに基づいてそれぞれの処理が開始され、その結果、所定の効果音やランプの点滅をともなって、図柄表示装置27の副表示部27bで普通図柄の変動表示が開始される。
ここで、図12を用いて前述した主制御部メインジョブのS20からS62までの処理は、ほぼ4msec間隔で繰り返されており、従って、図16の普通図柄制御ジョブも約4msec間隔で実行される。初回の実行時には普通図柄の変動パターン指定コマンドを出力するが、2周目の実行時には、変動表示後に停止表示する普通図柄を指定するコマンド、すなわち普通図柄指定コマンドを出力する。本実施例の遊技機のように、図柄の指定が1回で良い場合、すなわち図柄表示装置27が同時には1つの普通図柄しか表示することができず、且つ変動開始後に1回だけ普通図柄を停止表示させる場合は、普通図柄指定コマンドは1回だけ出力される。しかし、図柄表示装置27が同時に複数の普通図柄を表示可能な場合、あるいは同時には1つの図柄しか表示できないものの変動表示と疑似的な停止とを何回か繰り返した後に最終的な普通図柄で停止表示する場合などには、普通図柄指定コマンドを複数回出力することになる。
こうして普通図柄変動パターン指定コマンドと普通図柄指定コマンドとを出力したら、変動パターンに応じて定まる所定のタイミングで、普通図柄変動表示を停止するコマンド(普通図柄停止コマンド)を出力する。つまり、前述したように、当否判定を行って決定する変動パターンには、図柄の変動時間に関する情報を含んでいるので、図柄停止コマンドを出力するタイミングは、変動パターンに依存するのである。例えば、4秒間だけ図柄を変動させる変動パターンを選択していた場合、主制御部メインジョブが1回まわるために約4msecかかるから、100周目の実行時に図柄停止コマンドを出力すればよいことになる。
図16に示したステップS46の処理では、図17に示す各種の普通図柄関連コマンドを、以上に説明したようにして順番に出力する処理を行う。こうして、ステップS42およびS44で決定した内容に応じて各種の普通図柄関連コマンドを出力し、最後に図柄停止コマンドを出力したら、普通図柄制御ジョブを終了する。
図19は、図柄表示装置27の主表示部27a上で、普通図柄が変動・停止表示されている様子を示す説明図である。図19(a)は、普通図柄変動パターン指定コマンドが出力されて、普通図柄表示領域271で普通図柄の変動表示が開始された様子を概念的に表している。そして、変動パターンに対応した変動時間が経過すると、図柄指定コマンドが出力されて、普通図柄が停止表示される。このとき停止表示する図柄は、普通図柄指定コマンドによって予め指定されている。尚、前述したように、普通図柄の変動表示は、遊技球が普通図柄作動ゲート36,37のいずれかを通過することによって開始されるが、図柄の変動表示中に遊技球が作動ゲートを通過した場合には、遊技球の通過が普通図柄の保留として、普通図柄保留表示領域272に表示される。このような普通図柄の保留は、最大4つまで記憶しておくことが可能となっている。
図19(b)は、普通図柄が当り図柄で停止表示された状態を示しており、図19(c)は普通図柄が外れ図柄で停止表示された状態を示している。図19(b)に示すように、普通図柄が当り図柄で停止表示された場合には、始動口17が開放状態となる。この始動口17に遊技球が入球すれば、特別図柄表示領域273において特別図柄(本図柄)の変動表示が開始され、特別図柄(本図柄)が当り図柄で停止表示されれば、後述する特別遊技状態に移行する。一方、図19(c)に示すように、普通図柄が外れ図柄で停止表示された場合は、始動口17は開放されることなく、遊技が続行される。このとき、普通図柄の保留数が残っていれば、再び普通図柄の変動表示が開始され、所定時間の変動表示の後に、当り図柄または外れ図柄のいずれかで停止表示されることになる。
C−3.特別図柄制御ジョブ :
次に、図12のステップS80で行われる特別図柄制御ジョブの内容について説明する。図20は、特別図柄制御ジョブの流れを示すフローチャートである。この処理は、主制御部140によって開始される処理である。
特別図柄制御ジョブでは、先ず、特別遊技状態であるか否かを判断し(S81)、特別遊技状態でない場合には(S81:no)、特別図柄の当否判定を行い(S82)、続いて当否に応じた変動パターンと変動後に停止させる特別図柄とを決定する処理を行う(S84)。尚、図4を用いて前述したように、本実施例の遊技機には、当否の判定結果を表示する本図柄と、演出の為の疑似図柄とが設けられている。特別図柄制御ジョブにおいて決定される特別図柄は本図柄であり、疑似図柄は、決定された本図柄に合わせて音声・ランプ制御部170において別処理によって決定される。ステップS82の特別図柄の当否判定処理は、遊技者にとって有利な特別遊技状態を成立させるか否かの抽選処理であり、主制御部140の内蔵ROMに格納されたプログラムによって行われる。このステップS82の処理は、図12のステップS59で記憶されている最も古い先頭の特別図柄当否判定乱数を読み出して、その読み出した判定乱数値と、内蔵ROM482内の大当り乱数メモリに記憶されている大当り乱数値との比較を行うものであり、両者が一致すれば当り判定となって、遊技者にとって有利な特別遊技状態が成立し、一致しなければ外れ判定となって、通常の遊技状態が維持される。尚、本実施例のパチンコ機1では、特別図柄に関する当否判定と普通図柄に関する当否判定とは、異なる乱数値を用いた別個の処理によって実施されている。こうすれば、特別図柄で更に複雑な演出を行う必要が生じた場合でも、容易に対応することが可能となる。もちろん、特別図柄の当否判定処理を利用して普通図柄の当否判定を行うことも可能である。また、特別図柄制御ジョブにおいても普通図柄制御ジョブと同様に、変動パターンとしては、特別図柄を変動表示させる時間を決定している。もちろん、より詳細な内容まで決定することとしても良い。
特別図柄の変動パターンと停止図柄とを決定したら、これら決定内容に従って、特別図柄関連コマンドを音声・ランプ制御基板370に向かって出力する処理を行う(S86)。特別図柄関連コマンドとは、特別図柄制御のために主制御基板340から出力される各種のコマンドであり、図8に示したCPU401の内蔵ROM482に予め記憶されている。
図21は、記憶されている各種の特別図柄関連コマンドを一覧的に表示した説明図である。特別図柄関連コマンドとしては、特別図柄(本図柄)の変動パターンを指定するコマンド(特別図柄変動パターン指定コマンド)や、変動後に停止する特別図柄(本図柄)を指定するコマンド(特別図柄指定コマンド)、特別図柄(本図柄および疑似図柄)の変動を停止させるコマンド(特別図柄停止コマンド)、更には、大当り時にスピーカーから出力する効果音を指定するコマンド(大当り効果音指定コマンド)、大当り時に行われる特別遊技に関する各種コマンド(大当りラウンド指定コマンド、大入賞口カウント指定コマンド)などが設定されている。もちろん、これらコマンド以外に、他のコマンドを設定しておくことも可能である。
また、前記したステップS81において、特別遊技状態である場合には(S81:yes)、前記したステップS82〜S86の処理を行わずに、そのまま特別図柄制御ジョブを終了して、図12に示した主制御部メインジョブに復帰する。
図22は、図20のステップS86において、上述した特別図柄関連コマンドが主制御基板340から出力される様子を概念的に示した説明図である。前述した普通図柄制御ジョブと同様に、特別図柄制御ジョブにおいてもステップS86の処理が初めて実行される時には、特別図柄変動パターン指定コマンドが出力される。図22中に示された白抜きの矢印は、主制御部140の発するコマンドが、音声・ランプ制御部170あるいは図柄制御部160に供給されていることを模式的に示したものである。
特別図柄制御ジョブにおいても、音声・ランプ制御基板370は特別図柄変動パターン指定コマンドを受け取ると、直ちに図柄制御基板360に転送する。音声・ランプ制御部170および図柄制御部160では、こうして受け取ったコマンドに基づいて、後述する処理が開始される。
特別図柄制御ジョブが1周目の処理を終了して、2周目にS86(図20参照のこと)の処理が実行されるときには、特別図柄の変動表示後に停止表示する左本図柄を指定するコマンドCtsL を音声・ランプ制御基板370に向かって出力する。前述したように、主制御部メインジョブは一連の処理を完了するために約4msecかかるから、特別図柄変動パターン指定コマンドを出力してから、ほぼ4msec後に左本図柄指定コマンドを出力することになる。その約4msec後に3周目の処理が実行される時には、右本図柄指定コマンドCtsR が出力されることになる。音声・ランプ制御基板370は、これら本図柄指定コマンドを受け取ると、直ちに図柄制御基板360に転送する。
主表示部27aに表示される本図柄は、以上のようにして主制御基板340から出力された特別図柄変動パターン指定コマンド、左本図柄指定コマンド、右本図柄指定コマンドに基づいて変動表示される。一方、副表示部27bに表示される疑似図柄の変動表示は、次のようにして行われる。先ず、主制御基板340から出力された特別図柄変動パターン指定コマンドを、音声・ランプ制御基板370が受け取ると、そのコマンドが図柄制御基板360に転送されて、疑似図柄の変動が開始される。次に、主制御基板340から出力された左本図柄指定コマンドと右本図柄指定コマンドとを、音声・ランプ制御基板370が受け取ると、音声・ランプ制御部170は疑似図柄の演出態様と、最終的に停止表示する疑似図柄とを決定する。疑似図柄は演出用に変動表示される図柄であり、本図柄の停止に合わせて停止表示されることから、音声・ランプ制御基板370が受け取った特別図柄変動パターン指定コマンドに基づいて、疑似図柄の変動時間を判断し、その変動時間に対応する演出態様を決定する。また、音声・ランプ制御基板370が受け取った左本図柄指定コマンドおよび右本図柄指定コマンドに基づいて本図柄の当否を判断し、その判断に基づき、停止表示する疑似図柄を決定する。
尚、疑似図柄の演出態様とは、疑似図柄の変動表示中に行われる種々の演出内容のことであり、例えば、リーチなし外れ演出、リーチあり外れ演出、大当り演出、予告演出などがある。また、疑似図柄の演出態様を決定する際には、背景図柄やキャラクタなどの、他の演出用図柄の演出態様も決定することができる。
音声・ランプ制御部170が、疑似図柄の演出態様と停止表示する疑似図柄とを決定すると、停止表示する疑似図柄を指定する3つの疑似図柄指定コマンドと、演出態様を指定する演出指定コマンドとが、音声・ランプ制御基板370から図柄制御基板360に向かって出力される。図22では、音声・ランプ制御基板370から図柄制御基板360に向かって出力されるコマンドは、矢印に斜線を付すことによって表示されている。
以上のように、疑似図柄の変動表示は、主制御基板340と音声・ランプ制御基板370とから出力されるコマンドに基づいて行われる。尚、演出指定コマンドは、疑似図柄の演出態様によって1回または複数回出力されるものである。また、演出指定コマンドを図柄制御部160によって生成することとしても良い。
また、詳細には後述するが、本実施例の中央装置26には可動枠体28が設けられており(図3および図4を参照のこと)、枠体を回転させることで、演出用図柄と一体となった効果的な演出を可能としているが、可動枠体28を回転駆動するためのコマンド(枠体駆動コマンド)も、音声・ランプ制御基板370から出力される。
以上のようにして、主制御基板340から本図柄についての変動パターン指定コマンドおよび図柄指定コマンドが出力され、これを受けて、音声・ランプ制御基板370から疑似図柄についての図柄指定コマンド、および演出指定コマンドが出力され、それぞれ本図柄および疑似図柄の変動表示が実施される。次いで、主制御基板340は、変動パターンに応じて定まる所定のタイミングで、特別図柄変動表示を停止するコマンド(特別図柄停止コマンドCtstp)を出力する。出力された特別図柄停止コマンドは、直ちに音声・ランプ制御基板370から図柄制御基板360に転送され、このコマンドを受けて本図柄および疑似図柄が、それぞれに指定された図柄で停止表示される。こうして、特別図柄についての1回分の変動・停止表示が行われる。
以上のような特別図柄の変動・停止表示は、主制御部140からのコマンドに基づいて、音声・ランプ制御部170および図柄制御部160によって実行される。かかる処理を行うためのサブ基板メインルーチンの詳細については、別図を用いて後述する。
C−4.特別遊技関連ジョブ :
図12に示したように、主制御部140は、以上のようにして特別図柄制御ジョブ(S80)を終了すると、続いて特別遊技関連ジョブ(S100)を開始する。図23は、特別遊技関連ジョブの流れを示したフローチャートである。以下、フローチャートに従って説明する。
特別遊技関連ジョブを開始すると、先ず初めに、特別遊技状態(大当たり状態)か否かを判断する(S102)。すなわち、特別遊技状態は、特別図柄(本図柄)の当否判定において当り判定となったときに発生することから、先ず初めに特別遊技状態か否かを確認するのである。そして、特別遊技状態であることが確認されたら(S102:yes)、連続カウンタを初期化する(S104)。一方、特別遊技状態でない場合は、後述する特別遊技を行うことなく、そのまま図23に示した特別遊技関連ジョブを終了する。
特別遊技状態であることが確認され、連続カウンタを初期化したら、図3に示した大入賞口311を開口させる(S106)。図3に示されているように、大入賞口は他の入賞口よりも大きく開口するので、大入賞口311を開口させれば、遊技球は大変入賞し易くなる。尚、「連続カウンタ」の値は、特別遊技状態における「ラウンド回数」に相当している。
大入賞口311を開口させると、開口時間が所定時間(例えば30秒間)に達したか否かを判断し(S108)、所定時間に達していない場合は更に、遊技球の入賞数が所定数に達したか否かを判断する(S110)。開口時間はCPU401に内蔵されたタイマ487を用いて検出する。また、遊技球の入球は、入賞球検知スイッチ318(図6参照)によって検出することができる。入賞数が所定数に達していない場合は(S110:no)、再びS108に戻って、開口時間が所定時間に達したか否かを判断する。こうした操作を何度も繰り返して、大入賞口311の開口時間が所定時間に達するか(S108:yes)、もしくは遊技球の入賞数が所定数に達したことが確認されたら(S110:yes)、大入賞口311を一旦閉鎖する(S112)。このように、大入賞口311が開口してから閉鎖するまでが1つのラウンドとなる。
大入賞口311を一旦閉鎖したら、所定の継続条件が成立しているか否かを判断する(S114)。本実施例のパチンコ機1では、大入賞口311の内部に設けられた特定領域(いわゆるV入賞口)を遊技球が通過していれば、継続条件が成立したものと判断される。もちろん、継続条件はこうした条件に限られるものではなく、他に適切な条件を設定しておくことができる。継続条件が成立していると判断された場合は(S114:yes)、連続カウンタの値に1を加算した後(S116)、連続カウンタが所定回数に達したか否かを判断する(S118)。本実施例のパチンコ機1では、所定回数は16回に設定されている。そして、連続カウンタが所定回数に達していなければ(S118:no)、S104に戻って再び大入賞口311を開口し、第2ラウンドの特別遊技を開始する。
第2ラウンドにおいても、第1ラウンドと同様に、開口時間が所定時間に達したか否か(S108)、入賞数が所定数に達したか否か(S110)を判断する操作を繰り返し、開口時間が所定時間に達するか(S108:yes)若しくは入賞数が所定数に達したら(S110:yes)、大入賞口311を一旦閉鎖して(S112)、継続条件が成立しているか否かを判断する(S114)。そして、継続条件が成立していれば、連続カウンタを1つ増加させて、所定回数(16回)に達したか否かを判断する。
このように、継続条件が成立している限りは、大入賞口の開口と閉鎖とを繰り返す操作を、16ラウンドに達するまで繰り返す。一方、大入賞口311の閉鎖後に、継続条件が成立していないと判断された場合は(S114:no)、16ラウンドに達する前に特別遊技を終了してしまう。このような状態は「パンク」と呼ばれることがある。以上のように、大入賞口311の開口と閉鎖とを16ラウンド繰り返すか、若しくはパンク状態となったら、図23に示した特別遊技関連ジョブを終了して、図12の主制御部メインジョブに復帰する。
C−5.サブ基板メインルーチン :
以上に説明したように、主制御部140は、上述した主制御部メインジョブを繰り返し行いながら、音声・ランプ制御部170、図柄制御部160に対して各種のコマンドを出力する。音声・ランプ制御部170および図柄制御部160は、こうして主制御部140から受け取った各種コマンドに基づいて、以下に説明するようなサブ基板メインルーチンを実行する。
図24は、サブ基板メインルーチンの流れを示したフローチャートである。かかる処理は、パチンコ機1の電源が投入されるか、あるいはリセットスイッチが押されて、図12に示した主制御部メインジョブ中で初期化ジョブが実行され、音声・ランプ制御部170および図柄制御部160が初期化されると、自動的に開始される。
サブ基板メインルーチンを開始すると、先ず初めに特別図柄変動パターン指定コマンドを受信したか否かを判断する(S502)。前述したように、特別図柄変動パターン指定コマンドとは、図20に示した特別図柄制御ジョブ中で主制御基板340から出力されるコマンドである。変動パターン指定コマンドを受信した場合は(S502:yes)、本図柄の変動を開始する(S504)。もちろん、本図柄の変動開始に合わせて、所定の効果音を出力しても良い。
次いで、主制御部140から出力された本図柄指定コマンドを全て受信したか否かを判断する(S506)。図21および図22を用いて説明したように、主制御部140から出力される本図柄指定コマンドとしては、左右2つの本図柄について、それぞれ本図柄指定コマンドが出力されるので、S506ではこれら全てのコマンドを受信したか否かを判断するのである。2つの本図柄が全て指定されれば、大当りか否か、確変当りか否かなどの、図柄表示装置27の副表示部27bにおける詳細な演出内容を決定することができる。そこで、疑似図柄演出ルーチンを開始し(S508)、続いて大当り演出ルーチンを行う(S510)。
疑似図柄演出ルーチン(S508)では、主制御部140から受け取った特別図柄変動パターン指定コマンドに基づいて、変動時間を判断する。更に、主制御部140から受け取った左・右の本図柄の指定コマンドに基づいて、2つの本図柄が当り図柄の組合せか否かを判断する。当り図柄の組合せである場合は、確変図柄か否かも判断する。こうして判断した変動時間、本図柄の当否内容に基づいて、副表示部27bで行われる演出内容を決定し、図柄制御部360に向けて、疑似図柄指定コマンド、演出指定コマンドを出力する。また、指定された演出態様の時間が長く、幾段階かに発展するような演出を行う場合には、過渡的な演出態様や演出内容の切り換えを指示するコマンドなども出力する。更に、本実施例の遊技機では中央装置26に可動枠体28が搭載されており、発展する演出が行われる場合には、可動枠体28が回転することによって効果的な演出が可能となっている。演出中に可動枠体28を回転させるためのコマンド(枠体駆動コマンド)も、特別図柄演出ルーチンの中で音声・ランプ制御部370から枠体駆動モータ4mに向かって出力される。
そして、主制御部340から指定された本図柄の組合わせが、当り図柄の組合せであった場合には、大当り演出ルーチン(S510)において、当りの内容に応じた所定の演出が行われる。
以上の処理を行ったら、パチンコ機1の電源がOFFになっていないことを確認し(S512)、電源がOFFでなければステップS502に戻って続く一連の処理を行う。ステップS512において電源がOFFであると判断されたら、図24に示したサブ基板メインルーチンを終了する。
本実施例のパチンコ機1では、遊技者が遊技領域11に遊技球を発射すると、以上のような各種処理が行われることによって遊技が進行する。また、遊技を効果的に演出して遊技者の興趣を高めるために、図柄表示装置27では、普通図柄や特別図柄とともに各種の図柄を用いた演出が行われる。そして、図柄表示装置27で行われる演出を、より一層効果的なものとするために、本実施例のパチンコ機1に搭載された中央装置26では、図柄表示装置27に可動枠体28が組み合わされて搭載されており、図柄表示装置27と可動枠体28とが一体となった演出を行うことが可能となっている。以下では、本実施例のパチンコ機1に搭載された中央装置26の構造および、中央装置26で行われる演出動作について説明する。
D.中央装置の構造 :
図25は、本実施例のパチンコ機1に搭載されている中央装置26を前面側から見た正面図である。図示されているように、本実施例の中央装置26は、大きくは、ほぼ中央に設けられた図柄表示装置27と、図柄表示装置27の前面側に設けられた可動枠体28と、可動枠体28の周囲に設けられた飾り枠体29などから構成されている。また、図柄表示装置27には、可動枠体28の内側に設けられた大きな副表示部27bと、可動枠体28の外側に設けられた小さな主表示部27aとが設けられている。図25では、可動枠体28や、飾り枠体29、主表示部27a、副表示部27bの境界が明確になるように、境界部分は太い実線で表し、他の部分は細い破線で示している。また、可動枠体28の部分には細かいハッチングを施し、主表示部27aおよび副表示部27bの部分には粗いハッチングを施してある。
前述したように、本実施例の図柄表示装置27は、主に液晶表示装置によって構成されており、液晶画面上の副表示部27bに種々の態様で演出用の図柄を変動表示させることが可能となっている。また、可動枠体28は、中央部分に大きな視認窓28wが設けられており、図柄表示装置27の画面の前面で視認窓28wを中心として回転移動させることが可能となっている。可動枠体28に設けられた視認窓28wの上方内側と下方内側とには、それぞれに飾り板28dが形成されており、このため視認窓28wの上辺および下辺は波型形状となっている。一方、可動枠体28の周囲に設けられた飾り枠体29は、図柄表示装置27あるいは遊技盤面に固定されており、飾り枠体29の表面には種々の装飾が施されている。また、飾り枠体29の内部には、後述する駆動機構が搭載されており、かかる駆動機構によって可動枠体28を所定角度だけ回転させることが可能となっている。
D−1.視認窓と図柄表示装置との位置関係 :
本実施例の中央装置26では、図柄表示装置27と可動枠体28とが一体となって大きな演出効果を得ることができるように、可動枠体28の視認窓28wは図柄表示装置27の表示領域(すなわち、演出用図柄が表示される部分)に対して、次のような関係となる位置に形成されている。
図26は、可動枠体28の視認窓28wと、図柄表示装置27の表示領域との位置関係を示す説明図である。図中に破線で示した矩形は図柄表示装置27の液晶画面27Lを表しており、その中に一点鎖線で示された小さな矩形は液晶画面上で実際に演出用図柄が表示される部分、すなわち表示領域27dを示している。図示されているように、可動枠体28の視認窓28wは表示領域27dよりも内側の範囲に形成されている。このため、表示領域27dの外縁(図26では一点鎖線の部分)が可動枠体28あるいは飾り枠体29によって隠されて、遊技者からは不可視な状態となっている。
また、表示領域27dの外縁部分は、可動枠体28が移動した場合でも不可視な状態に保たれている。すなわち、視認窓28wは、可動枠体28を移動させても、表示領域27dの外縁にかからないように形成されている。このことは、見方を変えれば、視認窓28wが表示領域27dの外縁にかからない範囲で、可動枠28を移動させていると考えることもできる。
図27は、図柄表示装置27の画面上で可動枠体28を回転移動させたときの、可動枠体28の視認窓28wと図柄表示装置27の表示領域27dとの位置関係を示した説明図である。図示されているように本実施例のパチンコ機1では、可動枠体28を90度回転させても、視認窓28wが表示領域27dの外縁部分にかかることがない。また、視認窓28wは点対称な形状に形成されており、図26に示した状態から更に90度回転させると、視認窓28wは、回転前の状態と同じ状態に復帰する。従って、本実施例の可動枠体28は、どのような角度に回転させても視認窓28wが表示領域27dの外縁部分にかかることが無く、換言すれば、可動枠体28を、360度あらゆる角度で回転させることも可能となっている。
図28は、可動枠体28を回転移動させる他の態様を例示した説明図である。図示した例では、可動枠体28は、時計方向および反時計方向にそれぞれ約20度までなら回転移動させても、可動枠体28の視認窓28wが表示領域27dの外縁部分にかかることがない。図中に示した細い一点鎖線は、可動枠体28を時計方向に20度回転させたときの視認窓28wの位置を表している。また、図中に示した細い破線は、可動枠体28を反時計方向に20度回転させたときの視認窓28wの位置を表している。図28に示したように、可動枠体28の回転範囲に制限を設けた場合は、回転範囲に制限を設けない場合(図27参照)よりも、視認窓28wを大きく取ることができ、それだけ、演出用図柄を広い範囲に表示することができるので、演出効果を高めることができる。
一方、図27に示したように、可動枠体28の回転範囲に制限を設けない場合は、可動枠体28を一方向に回転させて視認窓28wを初期状態に復帰させることが可能となる。こうした特性を活用して図柄表示装置27で適切な演出用図柄を変動表示させれば、後述するような特殊な演出効果を発揮させることが可能となる。また、視認窓28wの形状を、可動枠体28の回転中心に対して点対称な形状としておけば、可動枠体28を一方向に所定角度だけ回転させることで、視認窓28wを初期状態(基準位置)に復帰させることができる。このため、演出の自由度が高められ、より効果的な演出を行うことが可能となる。尚、後述するように、本実施例の遊技機には基準位置検出センサ4oが搭載されており、可動枠体28の回転角度を確実に基準位置に位置決めすることが可能である。
D−2.可動枠体および図柄表示装置による演出動作 :
上述したように本実施例のパチンコ機1では、図柄表示装置27に設けられた表示領域27dの外縁部分を隠したまま、可動枠体28を駆動することが可能となっている。このため、可動枠体28の移動に合わせて、図柄表示装置27の副表示部27bで演出用図柄を変動表示させることにより、図柄表示装置27および可動枠体28が一体となった演出が可能であり、可動枠体28とともにあたかも図柄表示装置27が移動しているかのような錯覚を生じさせるなど、種々の演出効果を得ることができる。以下では、駆動枠体28および図柄表示装置27の副表示部27bによって行われる演出動作について説明する。
図29は、可動枠体28の回転に合わせて、図柄表示装置27が副表示部27bでの演出用図柄を変動表示させている様子を例示した説明図である。図29(a)は可動枠体28を回転させる前の図柄の表示を示している。これを初期状態として、可動枠体28を反時計回りに回転させ、可動枠体28の回転に合わせて図柄の表示も回転させると、図29(b)のような状態とすることができる。次いで、今度は可動枠体28を時計回りに回転させ、これに合わせて図柄の表示も回転させると図29(c)のような状態となる。そして、再び可動枠体28を反時計回りに回転させ、図柄の表示も回転させると、図29(a)に示した初期状態に復帰させることができる。
このように、可動枠体28を回転させ、この動きに合わせて図柄表示装置27の副表示部27bでの演出用図柄を変動表示させることで、可動枠体28と図柄表示装置27とが一体となった演出を行うことができる。特に、可動枠体28の回転は、画面上で演出用図柄を回転表示させることによって得られる仮想的な回転とは異なり、実際に可動枠体28を回転させているために、現実感を伴った強い演出効果がある。このような可動枠体28の実際の回転移動と、図柄表示装置27での図柄の仮想的な回転表示とが一体となることで、図柄表示装置27による演出効果を倍加させることができ、パチンコ機1の遊技性を大幅に高めることができる。
また、本実施例のパチンコ機1では、上述したように、図柄表示装置27に設けられた表示領域27dの外縁部分を隠したまま、可動枠体28を回転させることができる。このため、可動枠体8と図柄表示装置27との一体感を損なうことなく大きな演出効果を発揮させることができる。すなわち、表示領域27dの外縁部分が見えていたのでは、たとえ可動枠体28の回転に合わせて演出用図柄を回転表示させたとしても、可動枠体28の中で単に図柄が変動表示しているに過ぎないことが明らかである。また、可動枠体28を回転させる途中で表示領域27dの外縁部分が見えてしまったのでは、その瞬間に、単に可動枠体28の中で図柄が変動表示しているに過ぎないことが明らかとなってしまう。これでは、可動枠体28と図柄表示装置27とが、それぞれに演出を行っているに過ぎず、これらが一体となって大きな演出効果を発揮させることはできない。この点で、本実施例のパチンコ機1では、表示領域27dの外縁部分を隠したまま可動枠体28を移動させているために、可動枠体8と図柄表示装置27とが一体となった演出を行うことができるのである。
もちろん、表示領域27dの外縁部分を隠そうとすると、可動枠体28の視認窓28wは表示領域27dの外縁よりも内側に設けなければならず、従って、表示領域27dの視認可能な面積も小さくなってしまう。視認可能な面積が小さくなれば、それに伴って演出効果も小さくなってしまうので、常識的にはこうしたことは避けられるところである。しかし、本実施例のパチンコ機1では、視認可能な面積が小さくなっても敢えて視認窓28wで外縁部分を隠しておき、表示領域27dの外縁部分を隠したまま可動枠体28を移動している。その結果、可動枠体28と図柄表示装置27とが一体となった演出が可能となり、実際には演出用図柄の変動表示可能な面積が減少しているにもかかわらず、逆に演出効果を倍加させているのである。
尚、図29では、演出用図柄は、可動枠体28の回転に合わせてほぼ同じ角度だけ回転表示されるものとしている。しかし、演出用図柄の回転角度は、必ずしも可動枠体28とほぼ同じ角度とする必要はない。例えば、可動枠体28よりも若干、少なめに回転させることとしてもよい。一般に手前の景色は早く動き、遠くの景色はゆっくり動いているように見えることから、演出用図柄を可動枠体28よりも若干少なめに回転させれば、可動枠28は手前で回転し、演出用図柄は遠方で回転しているかのような演出を行うことができる。このため演出に奥行き感を与えることができ、より大きな演出効果を発揮させることが可能となる。
また、可動枠体28のみを回転させることにより、あたかも図柄表示装置27が反対方向に回転しているような錯覚を生じさせることも可能である。更には、特殊な視覚効果を狙って、可動枠体28とは反対方向に演出用図柄を回転させることも可能である。このように、本実施例のパチンコ機1では、可動枠体28と図柄表示装置27とが一体となった演出が可能であることから、可動枠体28と演出用図柄の表示との相対的な回転速度を選択してやることで、種々の演出効果を得ることが可能である。
尚、図25を用いて前述したように、本実施例のパチンコ機1では、視認窓28wの上方内側と下方内側とに、それぞれ飾り板28dが設けられており、視認窓28wの上辺および下辺は波型形状となっている。このため可動枠体28が、図29(a)に示した状態から、図29(b)、図29(c)の状態を経て、図29(a)に示した初期状態に復帰したときに、可動枠体28の回転角度がずれた場合でも、大幅にずれない限りは、ずれが目立つことがない。このため、可動枠体28の停止角度を精密に制御する必要がなく、制御内容および駆動・停止のための機構を簡素なものとすることが可能である。また、こうした効果は、視認窓28wの上辺および下辺を曲線によって構成しておけば、波型形状ではない場合でも、それなりに得ることができる。
加えて、図29に示した例では、可動枠体28は時計回り方向および反時計回り方向に、ある角度範囲で回転させるものとしたが、もちろん、一方向に1回転させることとしても良い。また、このときに表示する演出用図柄としては、図29に示した図柄のような明確に上下方向の分かる図柄ではなく、例えば逆さに見た場合でも、それなりに意味のとれる図柄を表示しても良い。こうすれば、演出用図柄を回転させることで、いつの間にか図柄が変わっているかのような印象を与えることができ、一種の騙し絵を見ているような特殊な演出効果を得ることができる。このとき、視認窓28wの形状を、可動枠体28の回転中心に対して点対称な形状としておけば、こうした演出効果をより効果的に発揮させることが可能となる。
更には、方向性を持たない図柄を表示することとしても良い。例えば、可動枠体28の回転に合わせて、図30に示すような渦巻き状の演出図柄を回転表示させれば、画面に吸い込まれるかのような錯覚を生じさせて、特殊な演出効果を得ることが可能となる。
D−3.可動枠体の駆動機構 :
次に、可動枠体28の駆動機構について説明する。図31は、本実施例の中央装置26に搭載された可動枠体28を回転させるための駆動機構の構成を示した斜視図である。図示されているように、駆動機構は、可動枠体28を回転可能な状態で保持する3つの枠体保持部材28sと、可動枠体28を駆動するための枠体駆動モータ4mと、可動枠体28を回転させるための基準位置を検出する基準位置検出センサ4oが搭載されたセンサ基板28pなどから構成されている。
また、図31に示されているように、センサ基板28pは、可動枠体28の真下の位置に設けられている。これは、可動枠体28の真下の位置は、可動枠体28に遮られて遊技球が通過しないので、センサ基板によって遊技球の動きが遮られたり、あるいは遊技球によってセンサが破損することを、確実に回避するためである。
可動枠体28の外縁部にはギアが形成されており、枠体駆動モータ4mの回転軸には歯車が取り付けられている。枠体駆動モータ4mが回転すると、モータの回転がギア機構によって伝達されて可動枠体28が回転する。このように、可動枠体28を外周部で保持しておけば、可動枠体28の視認窓28wが設けられている部分に回転軸を設けることなく、可動枠体28を回転可能に保持することができる。また、3つの枠体保持部材28sを用いて、三方から可動枠体28を保持しているため、少ない保持部材により、可動枠体28を安定して保持することが可能である。
また、本実施例の遊技機では、枠体駆動モータ4mとして、ステッピングモータが採用されている。ステッピングモータは、駆動波形を切り換えてモータの励磁状態を切り換えるたびに所定角度ずつ回転する。このため、励磁状態の切り換え回数を制御してモータの駆動量を制御することにより、可動枠体28を所望の角度だけ回転させることが可能である。もちろん、ステッピングモータを搭載するのではなく、可動枠体28の回転角度を検出してモータの回転角度をサーボ制御することにより、可動枠体28の回転角度を制御することとしても良い。
センサ基板28pには、基準位置検出センサ4oが搭載されており、可動枠体28が回転する際の基準位置を検出することが可能となっている。図32は、可動枠体28を裏面側から見て、センサ基板28pが取り付けられている部分を拡大して示した説明図である。センサ基板28pには、基準位置検出センサ4oとして、いわゆるホールセンサが搭載されており、可動枠体28の裏面側には被検出部として、永久磁石28mが装着されている。ホールセンサは、センサを通り抜ける磁束密度によってセンサ出力が切り換わる性質を有している。図33は、磁束密度の変化に伴って、ホールセンサの出力が切り換わる様子を示した説明図である。図示されているように、通過する磁束密度が所定の閾値以上になれば、センサ出力は「Hi」状態の出力となり、磁束密度が閾値以下になれば、センサ出力が「Low」状態の出力となる。本実施例の遊技機は、ホールセンサのこのような特性を利用することで、可動枠体28の基準位置を非接触で検出している。以下、図32を参照しながら基準位置を検出する方法について説明する。
今、可動枠体28が、図32(a)に示すような角度で停止していたとする。この様な状態では、可動枠体28に装着された永久磁石28mが、センサ基板28pの基準位置検出センサ(ホールセンサ)4oによって検出されることはない。この状態から、可動枠体28を裏面側から見て反時計方向に回転させると、枠体の回転とともに永久磁石28mがホールセンサ4oに近付いて行き、磁石の一部がホールセンサ4oに重なると、センサ出力がLow出力からHi出力に切り換わる。このとき、可動枠体28は、ちょうど飾り板28dが水平となる位置(すなわち、回転を開始する際の基準位置)にある。このことから、ホールセンサ4oのセンサ出力がLow出力からHi出力に切り換わった時点で、枠体の駆動を停止してやれば、可動枠体28を基準位置にセットすることが可能となる。
尚、可動枠体28を基準位置にセットする際には、裏面側から見て常に反時計方向に枠体を回転させている。このため、可動枠体28が、図32(c)に示すような位置で停止している場合は、可動枠体28を一回転させれば、永久磁石28mを検出することができる。もっとも、本実施例の遊技機では、可動枠体28の2箇所に永久磁石28mが装着されているため、仮に、可動枠体28が図32(c)に示す位置に停止している場合でも、枠体を一回転させることなく、迅速に基準位置に設定することができる。以下、この点について説明する。
図34は、可動枠体28全体を裏面側から見た説明図である。図示されているように、可動枠体28の裏面側には、2つの永久磁石28mが設けられており、これらは、視認窓28wの回転中心を挟んで点対称な位置に1つずつ設けられている。このため、図中に太い破線の矢印で示したように、最大でも180度回転させれば、2つの永久磁石28mのいずれかがホールセンサ4oに検出されて、可動枠体28を基準位置に位置決めすることが可能となる。
尚、永久磁石が、回転中心に対して対象な2箇所に設けられているのは、視認窓28wが、回転中心に対して180度ずつ回転させる度に、元の形状に重なるような形状であることによる。従って、例えば、可動枠体を回転中心に対して90度ずつ回転させる度に、視認窓が元の形状に重なる場合は、可動枠体28の回転中心に対して90度ずつ隔てた4箇所に永久磁石を設けておけばよい。この場合は、可動枠体28を最大でも90度回転させれば、可動枠体28を基準位置に位置決めすることが可能となる。
こうして、可動枠体28を基準位置に位置決めしておけば、枠体駆動モータ4mに駆動信号を供給することで、可動枠体28を所望の適切な角度まで回転させて、停止させることが可能となる。このため、図柄表示装置27の副表示部27bにおける演出用図柄の変動表示に合わせて、可動枠体28を適切に駆動して、大きな演出効果を生じさせることが可能となる。
また、保持部材28sによって保持された可動枠体28に多少のガタツキがあった場合でも、このように基準位置をセットすることが可能であれば、演出に支障が生じることはない。仮に、可動枠体28をできるだけガタツキのない状態で保持しようとすると、保持部材28sに高い組み付け精度が要求されることになったり、あるいは、バネなどを用いて可動枠体28を絶えず他の部材に押しつけた状態で回転させる必要が生じる。いずれの場合も、可動枠体28にかかる摩擦力を増大させる方向に働くため、可動枠体28の回転に大きな駆動トルクが必要となる。これに対して、本実施例の遊技機では、保持部材28sの組み付けに高い精度が要求されることがなく、また、小さなトルクで可動枠体28を回転させることが可能となっている。
E.変形例 :
本実施例のパチンコ機1にも種々の変形例が存在している。以下では、これら変形例について簡単に説明する。
(1)第1の変形例 :
上述した実施例では、図柄表示装置27で演出用図柄が表示される表示領域27dが横長形状であり(図26参照)、このことに対応して、可動枠体28に設けられた視認窓28wも横長形状に形成されているものとして説明した。これに対して、図柄表示装置27に設けられた表示領域27dが縦長形状である場合には、視認窓28wも縦長形状とすることができる。図35は、縦長形状の表示領域27dに合わせて、視認窓28wを縦長形状に形成した様子を示す説明図である。このように、表示領域27dの形状に合わせて、視認窓28wの形状を設定してやれば、可動枠体28を移動させても表示領域27dの外縁部分を隠したまま、尚かつ視認窓28wを大きく取ることができる。このため、演出用図柄を広い面積に表示させることができ、可動枠体28および図柄表示装置27が一体となった演出と相まって、より一層おおきな演出効果を生じさせることが可能となる。
また、図35に示したように、視認窓28wを縦長形状とした場合、視認窓28wの左右にある辺が長手方向の辺となり、飾り板28dも長手方向の辺となる、視認窓28wの左右に設けられている。一般に、可動枠体28の停止位置に誤差があると、長手方向の部分に大きなずれが発生する。そこで、第1の変形例では、視認窓28wの左右に飾り板28dを設けることで、位置ずれが目立ち難くすることで、制御内容および駆動・停止機構の簡素化を図っている。
(2)第2の変形例 :
また、上述した実施例では、可動枠体28は回転移動するものとして説明した。しかし、可動枠体28を移動させる態様は回転移動に限られるものではなく、例えば図36に示すように、可動枠体28を上下方向に移動させてもよい。このような場合でも、可動枠体28の動きに合わせて、演出用図柄を上下方向に変動表示させれば、図柄表示装置27があたかも可動枠体28とともに上下に移動しているかのような錯覚を生じさせることができ、大きな演出効果を得ることができる。もちろん、図37に例示したように、可動枠体28を左右方向に移動させ、この動きに合わせて、演出用図柄も左右方向に変動表示させることとしても良い。このような場合でも、図柄表示装置27があたかも可動枠体28とともに左右に移動しているかのような錯覚を生じさせることができる。更には、可動枠体28を、上下方向の移動と左右方向の移動とを組み合わせた態様で移動させたり、あるいは斜め方向に移動させることとしても構わない。
以上、本発明についての各種の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にもおよび、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。