JP2005321532A - 基板収納ケース - Google Patents

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Abstract

【課題】マスク又はマスクブランクスを収納する基板収納ケースであって、収納したマスク又はブランクスに異物や不純物が付着することを有効に防止できる基板収納ケースを提供する。
【解決手段】ブランクス又はマスクを収納する基板収納ケースであって、少なくとも、ケース本体と、ケース蓋と、前記ケース本体に収容され、ブランクス又はマスクを支持するインナーケースと、収納したブランクス又はマスクを固定する基板押さえとを有し、前記インナーケース及び基板押さえが、ロックウェル硬度(Rスケール)で100以上150以下の硬度であることを特徴とする基板収納ケース。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体デバイスの製造で用いられる、マスク、ブランクスを収納する基板収納ケースに関する。
シリコンウェーハなどの半導体ウェーハ上に形成される集積回路(IC)は、近年、ますます高集積化が進み、大規模集積回路(LSI)の実現に至っている。このため、LSI製造におけるリソグラフィー工程では、露光に用いられるマスクのマスクパターンの微細化が進んでいる。ここで、ブランクスは、石英ガラス体に、Cr、MoSi等の遮光膜、位相シフト膜などをスパッタリングなどの方法により成膜した基板である。また、ここでは、この基板にスピン塗布法などによりレジスト材料を塗布してレジストを形成した基板をも含めて、ブランクスと称する。そして、このレジストを形成した基板にパターン露光、現像などの手段を経てマスクパターンを形成したものがマスク(フォトマスク)である。
そしてLSI製造のための微細化技術が進むにつれプロセスの安定化が重要な課題となってきている。特に、LSI製造工程においては、異物や不純物による汚染の防止が重要な事項として注目されてきている。
例えば、露光用マスクのマスクパターンに塵埃等の異物や不純物が付着していると、これが半導体ウェーハに投影されて欠陥となり、製造するLSIの製品不良となるという問題がある。また、ブランクス上に塵埃等の異物や不純物が付着していると、マスク製造の際にブランクスに所望のマスクパターンが刻めなくなるという問題がある。そのため、このようなマスクを用いて露光を行うと、製造するLSIの製品不良となる。
特に、光近接効果補正(Optical Proximity Correction = OPC)法では、微細パターンでの光量不足や、隣接する比較的大きなパターンから進入する光の影響を抑制するため、マスクパターンの角部に小さな図形を付加したり、密集部と粗の部分でパターンサイズを変化させる。このため、被加工基板にパターンを描くための線幅より微細なマスクパターンをブランクスに刻まなければならない。よって、ブランクスやマスクに付着する異物や不純物のうち、より微小なパーティクルでさえもブランクスやマスクに付着するのを防止することが求められるようになってきた。
これら、マスク及びブランクスは、通常、基板収納ケースに収納して、保存、保管、搬送などを行う。しかし、この際、基板収納ケースのケース本体とケース蓋の隙間などからケース内に塵埃等の異物や不純物が侵入することがある。そして、このことが、マスク及びブランクスに異物や不純物が付着する原因の一つとなっている。
そこで、ケース内に塵埃等が侵入するのを防ぐためにケースを隙間なく密封でき、かつケース本体及びケース蓋の取り外しが容易な基板収納ケースが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、ケース内に塵埃等が侵入しても、マスクやブランクスに付着しないようにケース内側部分に粘着性を持たせた基板収納ケースが提案されている。
しかし、これら従来の基板収納ケースを用いても、塵埃等の異物や不純物が収納されたマスクやブランクスに付着するのを完全には防ぐことができず、未だ改良の余地があった。
特開2001−154341号公報
本発明はこのような問題に鑑みてなされたもので、マスク又はマスクブランクスを収納する基板収納ケースであって、収納したマスク又はブランクスに異物や不純物が付着することを有効に防止できる基板収納ケースを提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決されるためになされたもので、ブランクス又はマスクを収納する基板収納ケースであって、少なくとも、ケース本体と、ケース蓋と、前記ケース本体に収容され、ブランクス又はマスクを支持するインナーケースと、収納したブランクス又はマスクを固定する基板押さえとを有し、前記インナーケース及び基板押さえが、ロックウェル硬度(Rスケール)で100以上150以下の硬度であることを特徴とする基板収納ケースを提供する(請求項1)。
収納されたブランクスやマスクに付着した場合に悪影響を及ぼす異物や不純物としては、ケースの外から、ケース内に侵入する塵埃等のほか、収納したブランクスやマスクと、これらと接触するインナーケースや基板押さえとが擦れることが原因で発生する塵埃等がある。本発明では、耐磨耗性に優れたロックウェル硬度(Rスケール)で100以上150以下の硬度のインナーケース及び基板押さえを用いることで、収納したブランクスやマスクと、これらと接触するインナーケースや基板押さえとが擦れることが原因で発生する塵埃等を大幅に減らすことができる。したがって、収納したブランクスやマスクに塵埃等の異物や不純物が付着することを有効に防止することができ、ブランクスやマスクを非常に清浄な状態に保つことができる。
また、本発明の基板収納ケースでは、前記インナーケース及び基板押さえが、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール、ナイロンから選択される1以上の樹脂で成形したものであるのが好ましい(請求項2)。
インナーケース及び基板押さえは、これらの樹脂から成形することで簡単にRスケールで100以上150以下の硬度とすることができる。さらに、これらの樹脂は、自己潤滑性材料であり、また耐疲労性にも優れる。したがって、これらの樹脂から成形したインナーケース及び基板押さえは、耐磨耗性に非常に優れたものとなり、マスクやブランクスと擦れることが原因で発生する塵埃等が非常に少ない。
さらに、本発明は、ブランクス又はマスクを収納する基板収納ケースであって、少なくとも、ケース本体と、ケース蓋と、前記ケース本体に収容され、ブランクス又はマスクを支持するインナーケースと、収納したブランクス又はマスクを固定する基板押さえとを有し、少なくとも、前記インナーケース及び基板押さえが、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール、ナイロンから選択される1以上の樹脂で成形したものであることを特徴とする基板収納ケースを提供する(請求項3)。
これらの樹脂から成形することで、インナーケース及び基板押さえとブランクスやマスクとの擦れによるパーティクルの発生を抑制することができるし、あるいは、インナーケース及び基板押さえから発生するアウトガスの量を低減し、さらにはレジストに悪影響を与えるガスが発生しないようにすることもできる。したがって、このような基板収納ケースに収納したブランクスやマスクは、収納中に異物や不純物が付着せず、ブランクスやマスクを非常に清浄な状態に保つことができる。
また、本発明の基板収納ケースでは、前記ケース本体及びケース蓋が、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール、ナイロンから選択される1以上の樹脂で成形したものであるのが好ましい(請求項4)。
ケース本体及びケース蓋は、これらの樹脂から成形することで耐磨耗性に非常に優れたものとなる。したがって、ケース本体及びケース蓋から発生する塵埃等を、大幅に減らすことができる。
また、本発明の基板収納ケースでは、前記基板押さえが、ケース蓋から着脱可能な構造であり、かつケース蓋への係止構造がフック式であるのが好ましい(請求項5)。
このように、基板押さえを、ケース蓋から着脱可能な構造とし、かつケース蓋への係止構造をフック式とすることで、基板押さえを、ケースから取り外して簡単に交換等することができる。
また、本発明の基板収納ケースでは、前記インナーケース及び基板押さえが、樹脂50mg中のアウトガス発生量が0.10μg以下の樹脂で成形したものであるのが好ましい(請求項6)。
基板収納ケースから発生するアウトガスは、収納されたブランクスやマスクに付着すると悪影響を及ぼすことがある。例えば、ブランクスのレジストに付着した場合、収納中にレジストが経時変化を引き起こし、レジストの感度を変化させる。その結果、マスクの露光時の最適露光量が変化しているため、狙いの最適露光量との間に差が生じる。この差が大きいほど、プロセスマージンが無くなり、正しい寸法精度で描画できないという事態が生じる。化学増幅型レジストは特にケース内環境に敏感で、感度変化を生じ易い。そのため、特に、インナーケース及び基板押さえは、ブランクスやマスクをケースに収納した時にこれらとの距離が非常に近いため、アウトガスが発生した場合に影響が大きい。したがって、上記のように樹脂50mg中のアウトガス発生量が0.10μg以下の樹脂で成形したインナーケース及び基板押さえを用いることで、インナーケース及び基板押さえから発生するアウトガスを確実に減らすことができるため、収納したブランクスやマスクがアウトガスにより汚染されるのを十分に防止することができる。
また、本発明の基板収納ケースでは、前記ケース本体及びケース蓋が、樹脂50mg中のアウトガス発生量が0.10μg以下の樹脂で成形したものであることのが好ましい(請求項7)。
このように樹脂50mg中のアウトガス発生量が0.10μg以下の樹脂で成形したケース本体及びケース蓋を用いることで、ケース本体及びケース蓋から発生するアウトガスの量を最小限に抑えることができる。
以上説明したように、本発明によれば、インナーケース及び基板押さえが、ロックウェル硬度(Rスケール)で100以上150以下の硬度である基板収納ケースを用いることで、収納したマスク又はブランクスに異物や不純物が付着することを有効に防止することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
図1は、本発明の基板収納ケースの一例を示す概略図である。図1(a)は、基板収納ケースの側面図であり、図1(b)は、基板収納ケースの断面図である。さらに、図1(b)の左半分では、基板収納ケース内のインナーケースの側面を示し、右半分では、インナーケースの断面を示している。
図1に示すように、基板収納ケース1は、ケース本体2と、ケース蓋3と、インナーケース4と、基板押さえ5で構成されている。インナーケース4は、ケース本体2に収容され、基板(ブランクス又はマスク)6を収納して支持できるようになっている。また、基板押さえ5は、ケース蓋3の内側に設けられており、基板6をインナーケース4に収容し、ケース蓋3を閉めたときに、基板6を固定できるようになっている。そして、基板6が、保存、保管、搬送等のために基板収納ケース1に収納されると、通常、基板収納ケース1は、外部環境の影響を受けないように、開閉部にテープを巻き付けることによって密封される。
また、図2には、基板収納ケースの基板押さえの一例を示した概略図を示す。図2に示すように、この基板押さえ5は、ケース蓋3から着脱可能な構造であり、かつケース蓋3への係止構造がフック式である。したがって、基板押さえ5は、ケースから取り外して簡単に交換等することができる。尚、この基板押さえ5は、基板を固定するために凸部7を有する。
さらに、図3は、基板収納ケースのインナーケースの一例を示す概略図である。図3(a)は、インナーケースの概略側面図である。
図3(b)の右半面は、インナーケース側面の内面を示す。また左半面は、インナーケース側面の外面を示す。図3(b)に示すように、インナーケース4は、複数の基板を一定の間隔で収納できるように、その内壁にスリットが一定の間隔で設けられている。基板は、インナーケース内壁のスリットに沿って入れる。スリットは、基板が入れやすいようにテーパー形状となっている。基板下部がインナーケースの底面に正しく入るように、底面に対しテーパーを設けてあり、基板下部を落とし込む構造となっている。インナーケースに入れた時点では、基板はスリットに対してガタつく余地があるが、ケース蓋に設けた基板押さえ爪部のテーパーによって、基板を固定できる構造となっている。
そして、本発明の基板収納ケース1は、インナーケース4及び基板押さえ5が、ロックウェル硬度(Rスケール)で100以上150以下の硬度である。
このように、収納した基板と接触するインナーケース及び基板押さえが、ロックウェル硬度(Rスケール)で100以上の硬度であれば、輸送中などの振動により、収納したブランクスやマスクと擦れたとしても、インナーケース及び基板押さえがほとんど削られないため、発生する塵埃等の量を大幅に減らすことができる。したがって、収納したブランクスやマスクに塵埃等の異物や不純物が付着することを有効に防止することができ、ブランクスやマスクを非常に清浄な状態に保つことができる。
さらに、インナーケース及び基板押さえが、ロックウェル硬度(Rスケール)で150以下の硬度であるため、強度の面でも優れており、インナーケース及び基板押さえに、ある程度の強い衝撃が加わったとしても、破損せずにその衝撃に耐えることができる。また、硬すぎてマスクやブランクスを傷付けたり、柔軟性不足に基づくクラックの発生やパーティクルの発生もない。
このような硬度のインナーケース及び基板押さえは、例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアセタール(PON)、ナイロン等から選択される1以上の樹脂から成形するのが好ましい。これらの樹脂を用いることで、簡単にインナーケース及び基板押さえを、Rスケールで100以上150以下のロックウェル硬度とすることができる。硬度の調整は、例えば、GF(ガラスファイバー)などの補強剤を添加することにより行うことができる。しかし、アウトガスの点から、樹脂は極力添加剤(安定剤、離形剤等)を減らすことが望ましい。尚、補強剤を添加しないでも、PBT、PET、PEEK、PON、ナイロンでは、ぞれぞれ、ロックウェル硬度をRスケールで120、125、126、120、120にできる。さらに、これらの樹脂は、自己潤滑性材料であり、また耐疲労性にも優れる。したがって、これらの樹脂から成形したインナーケース及び基板押さえは、耐磨耗性に非常に優れたものとなり、マスクやブランクスと擦れることが原因で発生する塵埃等が非常に少ない。
また、本発明の基板収納ケースでは、ケース本体及びケース蓋も、例えば、PBT、PET、PEEK、PON、ナイロンから選択される1以上の樹脂で成形したものであるのが好ましい。ケース本体及びケース蓋も、これらの樹脂から成形することで耐磨耗性に非常に優れたものとなる。したがって、ケース本体及びケース蓋から発生する塵埃等を、大幅に減らすことができる。
さらに、本発明者らは、基板収納ケース、特にはインナーケースや基板押さえから発生するアウトガスについての検討も行った。
近年、マスク製造工程におけるレジスト露光では線幅微細化対応のため、レジストの高感度化が求められている。そのため、近年のレジストは、高感度化が進み、従来に比べ保存安定性が悪い。このレジストの保存安定性を悪化させる原因の一つが、基板収納ケースから発生するアウトガスにある。
例えば、アウトガスの付着量がレジストの部分部分により異なれば、マスク製造におけるレジスト露光時に、プロセスマージンが狭くなることがある。また、レジストに付着する量としては、微量であっても、種類によってはレジスト、特には化学増幅型レジストに大きな悪影響を与えるものがある。アミン系物質、酸、アルカリ系物質などはその例である。
そこで、樹脂50mg中のアウトガス発生量が0.10μg以下の樹脂で成形したインナーケース及び基板押さえを用いるのが好ましい。これにより、インナーケース及び基板押さえから発生するアウトガスを確実に減らすことができるため、収納したブランクスやマスクがアウトガスにより汚染されるのを十分に防止することができる。
また、樹脂50mg中のアウトガス発生量が0.10μg以下の樹脂で成形したケース本体及びケース蓋を用いることが好ましい。これにより、ケース本体及びケース蓋から発生するアウトガスの量も最小限に抑えることができる。
本発明者らは、このような、基板収納ケースから放出されるアウトガスの量を低減でき、また、レジストに悪影響を与えるガス種の放出がない樹脂について、以下のように、調査、研究を行った。
(アウトガスの分析)
アウトガスの分析は、加熱脱着−ガスクロマトグラフ質量分析法(加熱脱着−GC/MS)(TIC:トータルイオンクロマトグラム)により行った。
先ず、それぞれPBT(ポリブチレンテレフタレート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、PAr(ポリアリレート)製の成型品を50mgに切断した試料片を用意した。そして、加熱脱着装置としてキュリーポイントパージアンドトラップサンプラJHS−100A(日本分析工業)を用いて熱抽出により試料片からガスを抽出し、この抽出ガスを、吸収管に送り込み、吸収管内の吸収剤(Tenax TA)に吸着させて捕集した。熱抽出は120℃で15分行い、吸収剤への吸着は−60℃で15分行った。その後、捕集したガスをガスクロマトグラフ質量分析装置に導入し、アウトガスの分析を行った。この時、ガスクロマトグラフ質量分析装置として、HP社製の5890GC(ガスクロマトグラフ)と、5971MSD(質量分析検出器)を組み合わせた装置を用いた。それぞれの試験片の分析結果を表1に示す。尚、表1中、各試験片のアウトガスの量は、トルエン換算で求めた量である。
Figure 2005321532
表1に示すように、PBT、PETといった飽和ポリエステルは、抽出されるアウトガスの量が非常に少ない。また、レジスト、特に化学増幅型レジストに悪影響を与える、アミン系物質、酸、アルカリ系物質なども放出されない。したがって、PBT、PETといった飽和ポリエステルは、アウトガスの観点からも基板収納ケース、特にはインナーケースや基板押さえを成形する樹脂として優れていることが判る。一方、従来用いられているPPは、アウトガスが非常に多く、収納するブランクスのレジストに悪影響を与えることが予想される。
さらに、本発明者らは、上記「アウトガスの分析」で用いた樹脂について、以下のようにパーティクルの測定を行った。
(パーティクルの測定)
それぞれPBT(ポリブチレンテレフタレート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、PAr(ポリアリレート)で成形した長さ4cmの試験片を用意した。そして、この試験片を、ブランクスの端面の中央部に一定の荷重(5kg)で合計10回押し付けた。そして、ブランクスの試験片を押し付けた部分を、光学顕微鏡(ノマルスキー顕微鏡)で観察し、顕微鏡視野内で観察されたパーティクル数を計測した。それぞれの試験片を用いた時の測定結果を、表2に記す。表2中のパーティクル数は、1cmあたりの数である。
Figure 2005321532
表2に示すように、PBT、PETといった飽和ポリエステルは、フォトマスクと接触したときに転写するパーティクルの量も非常に少ない。したがって、これらの樹脂は、収納時にフォトマスクと接触するインナーケースや基板押さえを成形するのに極めて優れた材料であることが判る。一方、PP、PArは、転写するパーティクルが非常に多く、収納中にマスクやブランクスを汚染することが予想される。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
図1に示す基板収納ケース1を準備した。この基板収納ケース1のインナーケース4と基板押さえ5は、PBTで成形したもので、ロックウェル硬度(Rスケール)で120の硬度である。そして、この基板収納ケース1にブランクス(152mm(6インチ)×152mm(6インチ)×6.35mm(0.25インチ)t)を5枚入れ、蓋をした後、外気が混入しないように密封した。さらに、密封した基板収納ケースをナイロン製の袋に入れて、クッション材と共にダンボール箱に入れた。そして、その後、これを700km陸送した。
この陸送前後で、ブランクスに付着している塵埃等の量を日立デコ社製欠陥測定装置(GM−1000)で欠陥数として測定した。そして、陸送前後の欠陥増加数を求めた。尚、測定したブランクスは全部で30枚であり、測定した領域は142mm□内である。その結果を図4に示す。
(比較例1)
インナーケースと基板押さえとして、PE(ポリエチレン)で成形し、ロックウェル硬度(Rスケール)で50の硬度である基板収納ケースを用いたことを除いて、実施例1と同様に、基板収納ケースにブランクスを収納し、陸送した。そして、陸送前後の欠陥増加数を求めた。その結果を図4に示す。
(比較例2)
インナーケースと基板押さえとして、PP(ポリプロピレン)で成形し、ロックウェル硬度(Rスケール)で90の硬度である基板収納ケースを用いたことを除いて、実施例1と同様に、基板収納ケースにブランクスを収納し、陸送した。そして、陸送前後の欠陥増加数を求めた。その結果を図4に示す。
図4から判るように、インナーケース及び基板押さえがロックウェル硬度(Rスケール)で120の硬度である本発明の基板収納ケースを用いた場合、陸送中にブランクスに付着する塵埃等の量が極めて少ない。一方、比較例1,2のように、基板収納ケースのインナーケース及び基板押さえが、ロックウェル硬度(Rスケール)で100未満の硬度である場合、陸送中にブランクスに付着する塵埃等の量が極めて多いことが判る。これは、比較例1,2の基板収納ケースでは、陸送中の振動によりインナーケースや基板押さえとブランクスが擦れて、インナーケースや基板押さえが削れ、大量の塵埃等が発生し、それがブランクス表面に付着したたためであると考えられる。そして、ロックウェル硬度が高くなれば、欠陥数が減少する傾向が見受けられる。
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
本発明の基板収納ケースの一態様を示す概略図である。(a)側面図、(b)断面図。 基板収納ケースの基板押さえの一例を示す概略図である。 基板収納ケースのインナーケースの一例を示す概略図である。 陸送前後のフォトマスクブランクスの欠陥増加数を比較したグラフである(実施例1、比較例1,2)。
符号の説明
1…基板収納ケース、 2…ケース本体、 3…ケース蓋、 4…インナーケース、
5…基板押さえ、 6…基板、 7…凸部。

Claims (7)

  1. ブランクス又はマスクを収納する基板収納ケースであって、少なくとも、ケース本体と、ケース蓋と、前記ケース本体に収容され、ブランクス又はマスクを支持するインナーケースと、収納したブランクス又はマスクを固定する基板押さえとを有し、前記インナーケース及び基板押さえが、ロックウェル硬度(Rスケール)で100以上150以下の硬度であることを特徴とする基板収納ケース。
  2. 前記インナーケース及び基板押さえが、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール、ナイロンから選択される1以上の樹脂で成形したものであることを特徴とする請求項1に記載の基板収納ケース。
  3. ブランクス又はマスクを収納する基板収納ケースであって、少なくとも、ケース本体と、ケース蓋と、前記ケース本体に収容され、ブランクス又はマスクを支持するインナーケースと、収納したブランクス又はマスクを固定する基板押さえとを有し、少なくとも、前記インナーケース及び基板押さえが、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール、ナイロンから選択される1以上の樹脂で成形したものであることを特徴とする基板収納ケース。
  4. 前記ケース本体及びケース蓋が、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール、ナイロンから選択される1以上の樹脂で成形したものであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の基板収納ケース。
  5. 前記基板押さえが、ケース蓋から着脱可能な構造であり、かつケース蓋への係止構造がフック式であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の基板収納ケース。
  6. 前記インナーケース及び基板押さえが、樹脂50mg中のアウトガス発生量が0.10μg以下の樹脂で成形したものであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の基板収納ケース。
  7. 前記ケース本体及びケース蓋が、樹脂50mg中のアウトガス発生量が0.10μg以下の樹脂で成形したものであることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の基板収納ケース。
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