JP2005321186A - 熱交換器用チューブ、熱交換器及びそれらの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】フィン列剥がれやろう材のチューブへの侵食等によるろう付け不良の発生を防止できて、良好なろう付け性を得ることができる熱交換器用チューブの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、アルミニウム製熱交換器用チューブの製造方法を対象とする。アルミニウム製の扁平なチューブ芯材2aの表面に、Al−Si系合金の溶射粒をアーク溶射等によって溶射して溶射層21を形成するに際して、チューブ芯材2aに向けて吹き付けた溶融状態の溶射粒を急冷して付着させる。溶射層21をその表面を圧延ローラ等により平滑化してろう付け層20を形成する。
【選択図】 図3

Description

この発明は、例えばカーエアコン用冷凍サイクルに用いられるアルミニウム製熱交換器、それに用いられる熱交換器用チューブ、及びそれらの製造方法に関する。
なお、本明細書において、「アルミニウム」の語は、アルミニウム及びその合金を含む意味で用いている。
カーエアコン用冷凍サイクルに用いられるアルミニウム製熱交換器として、図5に示すように、複数本の扁平チューブ(52)が相互間にコルゲートフィン(53)を介在させた状態で厚さ方向に積層され、これらチューブ(52)の両端に中空ヘッダー(54)が連通接続された構成のマルチフロータイプないしはパラレルフロータイプの熱交換器(51)が周知である。
このような熱交換器(51)は、各構成部材を製品形態に仮組みし、炉中ろう付けにて一括して連結一体化する方法が多く採用されているが、例えば下記特許文献1に示すように、アルミニウム製の熱交換チューブの表面にろう合金を溶射してろう付け層を形成する方法が周知である。
しかしながら、熱交換チューブ(52)の表面にろう合金を溶射してろう材層を形成した場合、ろう材層の凹凸差が大きくなり、ろう付け後にろう付け層が収縮してしまう。このため同図に誇張して示すように、熱交換チューブ(52)及びフィン(53)間のいずれかの接合予定部がチューブ(52)の長さ方向に沿って連続的に未接合状態となり、いわゆるフィン列剥がれ等のろう付け不良部(55)が生じる恐れがある。
そこで従来においては、下記特許文献2に示すように、表面に予め筋状の凹凸を形成した未溶射の熱交換チューブ(チューブ芯材)にろう合金を溶射して、ろう付け層を形成する技術や、下記特許文献3に示すように、ろう合金粉末を溶射するに際して、合金粉末を完全に溶融させずに一部に非溶融組織を残存させた状態で、熱交換チューブ表面に溶射するという技術が提案されている。
特開昭59−10467号(特許請求の範囲) 特開平11−33709号(請求項2) 特開平6−200344号(請求項1、3)
しかしながら、上記特許文献2に示すように、チューブ芯材の表面に筋状の凹凸を形成する技術においては、筋状凹凸部に沿って毛細管力が発生するため、ろう付け時に溶融ろう材がチューブ表面において流れ易くなり、ろう材によるチューブへの侵食が発生して、ろう付け不良が生じるという問題があった。
また上記特許文献3に示すように、ろう合金粉末を部分的に非溶融状態で溶射する技術では、例えば溶射粒が大きい場合には、チューブ表面に溶射された粒子間に空隙部が形成され、空隙部を含む溶射層全体(見掛けの溶射層)における実質ろう材(正味の溶射層)の体積割合(充填率)が低くなるため、実際のろう材量が少なくなる傾向にあり、この点において、改良の余地が残されている。
この発明は、上記従来技術の問題を解消し、フィン列剥がれやろう材のチューブへの侵食等によるろう付け不良の発生を防止できて、良好なろう付け性を得ることができる熱交換器用チューブ、熱交換器及びそれらの製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は以下の構成を要旨とするものである。
[1] アルミニウム製熱交換器用チューブの製造方法であって、
アルミニウム製の扁平なチューブ芯材の表面に、Al−Si系合金の溶射粒を溶射して溶射層を形成するに際して、チューブ芯材に向けて吹き付けた溶融状態の溶射粒を急冷して付着させる一方、
前記溶射層をその表面を平滑化してろう付け層を形成するものとしたことを特徴とするアルミニウム製熱交換器用チューブの製造方法。
この発明の製法によって得られたアルミニウム製熱交換器用チューブは、例えばアルミニウム製フィンと組み合わされてろう付け接合されるものであるが、この接合時に良好なろう付け特性を得ることができる。
すなわち本発明の製法による熱交換器用チューブは、ろう合金の溶射によって得られた溶射層をその表面を平滑化してろう付け層を得るものであるため、ろう付け層の表面全域にわたってフィンをバランス良く接合することができ、フィン列剥がれ等の接合不良を確実に防止することができる。
更に本発明においては、溶射層を平滑化してろう付け層を形成するものであるため、平滑化によってろう付け層のろう材充填率を高めることができ、ろう付け層に十分なろう材を得ることができ、ろう材不足によるろう付け不良を確実に防止することができる。
また本発明においては、溶融した溶射粒を急冷させるものであるため、溶射粒を一部未溶融状態で溶射する場合や、溶射粒を急冷せずに徐々に冷却する場合と比較して、溶射層に適度な脆弱性を付与することができる。このため、溶射層を平滑化してろう付け層に仕上げる際に、溶射層のみを所望状態に確実に成形することができ、例えばチューブ芯材側の変形等を有効に防止でき、高い品質を得ることができる。
ここで、本発明において、溶射温度を3000℃以上、好ましくは3500℃以上、より好ましくは4000℃以上、更に好ましくは4500℃以上に調整することによって、溶射粒の「溶融」を行うことができる。特にアーク溶射法を用いる場合、溶射粒の「溶融」をより確実に行うことができる。なお本発明において、溶射温度を高温に設定する場合には特に、溶射層の平滑化を有効に行えるものと考えられる。すなわち高温で溶射する場合、溶射粒が小さくなり冷却速度も速くなるので、その急冷された小粒の溶射粒がチューブ表面に堆積されることにより、溶射層として所望の脆弱な組織を形成することができ、溶射層の平滑化を有効に行えるものと考えられる。
また本発明において、溶射時に溶融状態の溶射粒とチューブ芯材に到達して冷却された状態の溶射粒との間の温度差を2500℃以上、好ましくは3000℃以上、より好ましくは3500℃以上に調整することによって、及び/又は溶射距離30〜150mmでアーク溶射法によって溶射することによって、溶射粒の「急冷」を行うことができる。
[2] 前記チューブ芯材の表面粗さ(Ry)を10μm未満に調整するものとした前項1記載のアルミニウム製熱交換器用チューブの製造方法。
この発明においては、チューブ芯材の表面を平滑面に形成するものであるため、ろう付け層がチューブ芯材の表面に広域にわたって安定状態に接合固定される。このため、ろう付け時に溶融ろう材がチューブ芯材表面において不用意に流れ出すのを有効に防止でき、ろう材のチューブへの侵食等の不具合が生じるのを確実に防止することができる。
[3] 前記ろう付け層の表面粗さ(Ry)を50μm以下に調整するものとした前項1又は2記載のアルミニウム製熱交換器用チューブの製造方法。
この発明においては、ろう付け層の表面が平滑化されるため、フィンをろう付け層にバランス良くろう付けすることができ、フィン列剥がれ等のろう付け不良の発生を、より確実に防止することができる。
[4] 溶射粒の溶射温度を3000℃以上に調整するものとした前項1〜3のいずれか1項に記載のアルミニウム製熱交換器用チューブの製造方法。
この発明においては、溶射処理において溶射粒を確実に溶融することができる。
[5] 溶射粒をチューブ芯材に到達した後に800℃以下に冷却するものとした前項1〜4のいずれか1項に記載のアルミニウム製熱交換器用チューブの製造方法。
この発明においては、溶射時に溶射粒の急冷をスムーズに行うことができる。
[6] 溶射粒を溶射するに際して、溶融状態の溶射粒とチューブ芯材に到達して冷却された状態の溶射粒との間の温度差を、2500℃以上に調整するものとした前項1〜5のいずれか1項に記載のアルミニウム製熱交換器用チューブの製造方法。
この発明においては、溶射時に溶射粒を確実に急冷することができる。
[7] 溶射粒を溶射するに際して、チューブ芯材に到達した溶射粒をチューブ芯材に放熱させることによって冷却するものとした前項1〜6のいずれか1項に記載のアルミニウム製熱交換用チューブの製造方法。
この発明においては、溶射時に溶射粒の急冷をよりスムーズに行うことができる。
[8] 前記溶射層におけるSiの晶出物の平均相当直径を1μm以下に調整するものとした前項1〜7のいずれか1項に記載のアルミニウム製熱交換用チューブの製造方法。
この発明においては、溶射時に溶射粒の溶融及び急冷が確実に行われるものである。
[9] 見掛けのろう付け層中におけるろう材の体積割合(充填率)を40%以上に調整するものとした前項1〜8のいずれか1項に記載のアルミニウム製熱交換用チューブの製造方法。
この発明においては、ろう付け層中に十分なろう材量を確保することができ、ろう材不足によるろう付け不良の発生を確実に防止することができる。
[10] 溶射粒を溶射するに際して、溶射粒の吹き出し位置からチューブ芯材への付着位置まで溶射距離を30〜150mmに調整するものとした前項1〜9のいずれか1項に記載のアルミニウム製熱交換用チューブの製造方法。
この発明においては、溶射粒の急冷等をより確実に行うことができる。
[11] 溶射粒の溶射をアーク溶射によって行うものとした前項1〜10のいずれか1項に記載のアルミニウム製熱交換用チューブの製造方法。
この発明においては、溶射粒の溶融等をより確実に行うことができる。
[12] 前記溶射層におけるSi含有量を6〜15質量%に調整するものとした前項1〜11のいずれか1項に記載の熱交換用チューブの製造方法。
この発明においては、より一層ろう付け性に優れたろう付け層を形成することができる。
[13] 前記ろう付け層の平均厚さを3〜50μmに調整するものとした前項1〜12のいずれか1項に記載のアルミニウム製熱交換器用チューブの製造方法。
この発明においては、安定状態のろう付け層を形成することができる。
[14] 前記溶射層を圧延ロールにより圧下して表面を平滑化するものとした前項1〜13のいずれか1項に記載のアルミニウム製熱交換用チューブの製造方法。
この発明においては、溶射層の平滑化を連続的に行うことができ、作業効率を向上させることができる。
[15] 前記溶射層中にZnを含有させるものとした前項1〜14のいずれか1項に記載のアルミニウム製熱交換用チューブの製造方法。
この発明においては、チューブ表面に犠牲防食層を形成することができる。
[16] 前記溶射層中にZn及びCuを含有させるものとした前項1〜15のいずれか1項に記載のアルミニウム製熱交換用チューブの製造方法。
この発明においては、チューブ表面に犠牲防食層を形成しつつ、チューブ表面の電位も調整することができる。
[17] 前記チューブ芯材を押出材によって形成し、押し出された直後の前記チューブ芯材に対し、溶射粒を溶射するものとした前項1〜16のいずれか1項に記載のアルミニウム製熱交換用チューブの製造方法。
この発明においては、所望の溶射層、ひいてはろう付け層を効率良く確実に形成することができる。
[18] 前記チューブ芯材の表面に溶射粒が扁平状態に付着されてなる前項1〜17のいずれか1項に記載のアルミニウム製熱交換器用チューブの製造方法。
この発明においては、溶射粒の急冷を効率良く行うことができる。
[19] 溶射粒を溶射するに際して、非酸化性雰囲気下で行うものとした前項1〜18のいずれか1項に記載のアルミニウム製熱交換用チューブの製造方法。
この発明においては、溶射粒に酸化膜が形成されるのを防止でき、安定状態の溶射層を形成することができる。
[20] アルミニウム製熱交換器用チューブの製造方法であって、
アルミニウム製の扁平なチューブ芯材の表面に、Al−Si系合金の溶射粒を溶射して溶射層を形成するに際して、アーク溶射によって溶射粒をチューブ芯材に吹き付けて800℃以下に冷却して付着させる一方、
前記溶射層をその表面を平滑化してろう付け層を形成するものとしたことを特徴とするアルミニウム製熱交換器用チューブの製造方法。
この発明の製法による熱交換器用チューブは、上記と同様に、ろう合金の溶射によって得られた溶射層をその表面を平滑化してろう付け層を得るものであるため、ろう付け層の表面全域にわたってフィンをバランス良く接合することができ、フィン列剥がれ等の接合不良を確実に防止することができる。
更に本発明においては、溶射層を平滑化してろう付け層を形成するものであるため、平滑化によってろう付け層のろう材充填率を高めることができ、ろう付け層に十分なろう材を得ることができ、ろう材不足によるろう付け不良を確実に防止することができる。
また本発明においては、アーク溶射によって、溶射粒を溶融してチューブ芯材に吹き付けるとともに、吹き付けた溶射粒を所定温度以下まで急冷させるものであるため、溶射粒を一部未溶融状態で溶射する場合や、溶射粒を急冷せずに徐々に冷却する場合と比較して、溶射層に適度な脆弱性を付与することができる。このため、溶射層を平滑化してろう付け層に仕上げる際に、溶射層のみを所望状態に確実に成形することができ、例えばチューブ芯材側の変形等を有効に防止でき、高い品質を得ることができる。
[21] アルミニウム製熱交換器用チューブの製造方法であって、
アルミニウム製の扁平なチューブ芯材の表面に、Al−Si系合金の溶射粒を溶射して溶射層を形成するに際して、溶射粒の吹き出し位置からチューブ芯材への付着位置まで溶射距離を30〜150mmに調整したアーク溶射によって行う一方、
前記溶射層をその表面を平滑化してろう付け層を形成するものとしたことを特徴とするアルミニウム製熱交換器用チューブの製造方法。
この発明の製法による熱交換器用チューブにおいては、上記と同様に、良好なろう付け特性を得ることができる。
また本発明においては、アーク溶射によって、溶射粒を溶融してチューブ芯材に吹き付けるとともに、溶射粒を高運動エネルギーでチューブ芯材に吹き付けて扁平形状に変形させて急冷するものである。このため上記と同様に、高い品質の熱交換器用チューブを提供することができる。
[22] アルミニウム製熱交換器用チューブの製造方法であって、
アルミニウム製の扁平なチューブ芯材の表面に、Al−Si系合金の溶射粒を溶射して溶射層を形成するに際して、溶射温度が3000℃以上の溶射粒をチューブ芯材に吹き付けて、800℃以下に冷却して付着させる一方、
前記溶射層をその表面を平滑化してろう付け層を形成するものとしたことを特徴とするアルミニウム製熱交換器用チューブの製造方法。
この発明の製法による熱交換器用チューブにおいては、上記と同様に、良好なろう付け特性を得ることができる。
また本発明においては、高温で溶融した溶射粒をチューブ芯材に吹き付けるとともに、吹き付けた溶射粒を所定温度以下で急冷させるものであるため、上記と同様に、高い品質の熱交換器用チューブを提供することができる。
[23] アルミニウム製熱交換器用チューブの製造方法であって、
アルミニウム製の扁平なチューブ芯材の表面に、Al−Si系合金の溶射粒を溶射して溶射層を形成するに際して、溶融状態の溶射粒をチューブ芯材に吹き付けて冷却して付着するとともに、溶融状態の溶射粒と冷却後の溶射粒との間の温度差を2500℃以上に調整する一方、
前記溶射層をその表面を平滑化してろう付け層を形成するものとしたことを特徴とするアルミニウム製熱交換器用チューブの製造方法。
この発明の製法による熱交換器用チューブにおいては、上記と同様に、良好なろう付け特性を得ることができる。
また本発明においては、溶融状態の溶射粒を吹き付けて急冷させるものであるため、上記と同様に、高い品質の熱交換器用チューブを提供することができる。
[24] 前項1〜23のいずれか1項に記載の製造方法によって製造されてなることを特徴とするアルミニウム製熱交換用チューブ。
この発明の熱交換器用チューブは、上記の製法発明によって得られるものであるため、上記と同様に、良好なろう付け特性を有する上、高い品質を得ることができる。
[25] アルミニウム製熱交換器用チューブであって、
アルミニウム製の扁平なチューブ芯材の表面に、Al−Si系合金を溶融した溶射粒が溶射されて溶射層が形成され、
前記溶射層がその表面が平滑化されてろう付け層として形成されてなり、
前記溶射層におけるSiの晶出物の平均相当直径が1μm以下に調整されてなることを特徴とするアルミニウム製熱交換用チューブ。
この発明の熱交換器用チューブにおいては、溶射層が平滑化されてろう付け層が形成されるものであるため、上記と同様に、良好なろう付け特性を得ることができる。
また溶射層におけるSi晶出物が小さいことから、溶射時に、溶射粒が溶融されて急冷されることが確認できるため、上記と同様に、高い品質の熱交換器用チューブを提供することができる。
[26] 見掛けのろう付け層中におけるろう材の体積割合(充填率)が40%以上に調整されてなる前項25記載のアルミニウム製熱交換用チューブ。
この発明の熱交換器用チューブにおいては、ろう付け層におけるろう材の充填率が高いため、十分なろう材量を確保することができ、より一層良好なろう付け特性を得ることができる。
[27] アルミニウム製熱交換器用チューブがアルミニウム製フィンと組み合わされてろう付け接合されてなるアルミニウム製熱交換器であって、
前記熱交換器用チューブが前項1〜23のいずれか1項に記載の製造方法によって製造されてなることを特徴とするアルミニウム製熱交換器。
この発明は、上記製法発明によって得られた熱交換器用チューブを主構成として備えた熱交換器を特定するものであるため、上記と同様に同様の作用効果を得ることができる。
[28] 一対のアルミニウム製ヘッダー間に、複数の熱交換器用チューブが各間にフィンを介在させてヘッダー長さ方向に積層配置された状態で、各熱交換器用チューブの両端が両ヘッダーに連通接続されてなる請求項27記載のアルミニウム製熱交換器。
この発明は、上記製法発明によって得られた熱交換器用チューブを主構成として備える熱交換器であって、パラレルフロー型やマルチフロー型等のヘッダータイプのものを特定するものであるため、上記と同様に同様の作用効果を得ることができる。
[29] 請求項1〜23のいずれか1項に記載の製造方法によって製造されたアルミニウム製熱交換用チューブを準備する工程と、
アルミニウム製フィンを準備する工程と、
前記熱交換器用チューブと前記フィンとを組み合わせてろう付け接合する工程とを含むアルミニウム製熱交換器の製造方法。
この発明は、上記製法発明によって得られた熱交換器用チューブを用いて、熱交換器を製造するものであるため、上記と同様に同様の作用効果を得ることができる。
[30] 請求項1〜23のいずれか1項に記載の製造方法によって製造されたアルミニウム製熱交換用チューブを複数準備する工程と、
アルミニウム製フィンを複数準備する工程と、
一対のアルミニウム製ヘッダーを準備する工程と、
前記一対のヘッダー間に、複数の熱交換器用チューブを各間にフィンを介在させてヘッダー長さ方向に積層配置した状態で、各熱交換器用チューブの両端を両ヘッダーに連通接続した状態に仮組した仮組製品を得る工程と、
前記仮組製品を一括ろう付けすることにより、隣接する前記熱交換器用チューブ及び前記フィンを接合一体化する工程とを含むアルミニウム製熱交換器の製造方法。
この発明は、上記製法発明によって得られた熱交換器用チューブを用いて、パラレルフロー型やマルチフロー型等のヘッダータイプの熱交換器を製造するものであるため、上記と同様に同様の作用効果を得ることができる。
[31] 圧縮機により圧縮された冷媒を凝縮器により凝縮し、その凝縮冷媒を減圧器に通過させて減圧し、その減圧冷媒を蒸発器により蒸発させて前記圧縮機に戻すようにした冷凍サイクルであって、
前記凝縮器が、前項28に記載のアルミニウム製熱交換器によって構成されることを特徴とする冷凍サイクル。
この発明の冷凍サイクルにおいては、上記と同様に、同様の効果を奏する。
以上のように、本発明によれば、フィン列剥がれやろう材のチューブへの侵食等によるろう付け不良の発生を防止できて、良好なろう付け性を得ることができる。
図1はこの発明の実施形態であるアルミニウム製熱交換器(1)を示す正面図である。同図に示すように、この熱交換器(1)は、自動車用エアコンにおける冷凍サイクルのコンデンサとして用いられるものであって、マルチフロータイプの熱交換器を構成するものである。
この熱交換器(1)は、平行に配置された垂直方向に沿う一対の中空ヘッダー(4)(4)間に、熱交換管路として、水平方向に沿う多数本の扁平な熱交換器用チューブ(2)が、各両端を両中空ヘッダー(4)(4)に連通接続した状態で上下方向に並列に配置されるとともに、これらのチューブ(2)の各間及び最外側のチューブ(2)の外側にコルゲートフィン(3)が配置され、更に最外側のコルゲートフィン(3)の外側にサイドプレート(10)が配置されている。
この熱交換器(1)は、チューブ(2)として、アルミニウム(その合金を含む、以下同じ)製のものが用いられるとともに、各構成部材の所要部分にろう材が設けられたものが用いられている。そして、チューブ(2)、フィン(3)、ヘッダー(4)及びサイドプレート(10)を、熱交換器形状に仮組した後、その仮組製品を炉中にて一括ろう付けされることにより、全体が接合一体化されるものである。
図2に示すように、チューブ(2)は、アルミニウム材の押出成形品をチューブ芯材(2a)とし、その芯材(2a)の少なくとも片面に、ろう合金としてのAl−Si系合金からなるろう付け層(20)が形成されている。
チューブ(2)の芯材(2a)としては、高耐圧性(高強度)及び高耐熱性を有するAl−Mn合金からなるもの、例えばJIS3003合金からなるものを好適に用いることができる。
本実施形態においては、この合金材を押出成形することによって、チューブ芯材(2a)として形成されるものである。
ここで、チューブ芯材(2a)はその表面粗さ(Ry)を10μm未満に調整するのが好ましい。すなわち表面粗さ(Ry)が10μmを超える場合には、チューブ芯材(2a)の表面に毛細管力が発生して、ろう材が流れ易くなり、ろう材によるチューブへの侵食が発生して、ろう付け不良が生じる恐れがある。
本実施形態において、チューブ芯材(2a)に形成されるろう付け層(20)は、図3(a)に示すように溶射処理によってAl−Si系合金を付着させて溶射層(21)を形成してから、同図(b)に示すように溶射層(21)をその表面を圧縮して平滑化することによって形成されるものである。
本実施形態において、チューブ芯材(2a)の表面にろう合金としてのAl−Si系合金を溶射する方法は、特に限定されるものではないが、溶射するに際して、ろう合金の溶射粒を溶融状態でチューブ芯材(2a)に吹き付けて急冷させるものである。換言すればこのような急冷を行えるような溶射処理であれば、本発明の溶射方法は特に限定されるものではない。
本実施形態において、溶射粒を溶融させるには、溶射温度を3000℃以上に設定したり、あるいはアーク溶射を用いる等の手段を採用することができる。
また、溶射粒を急冷させる手段としては、例えば溶射時におけるろう合金の溶射温度を高く調整して、高温の溶射粒をチューブ芯材(2a)に吹き付けて、溶射粒が芯材(2a)に到達した直後に、溶射粒の熱をチューブ芯材(2a)に放出させることにより、溶射粒をチューブ芯材(2a)の温度付近にまで急速に冷却する方法を好適に採用することができる。例えば溶射温度が3000℃以上の溶射粒を、チューブ芯材(2a)に付着させることによって800℃以下まで冷却する手段を採用することができる。
具体的に本実施形態においては、上記したように溶射温度が高温(4500〜5500℃程度)のアーク溶射を用いて、押出後のチューブ芯材温度(400〜500℃)まで急冷させる手段を採用するのが好ましい。なおフレーム溶射や高速フレーム溶射では、アーク溶射と比較して、溶射温度が低温(2000〜3000℃)であるため、溶射粒の溶融を十分に行えない恐れがある上、冷却速度を速めることも難しく急冷を十分に行えない恐れがある。更にろう合金粉末を用いるものであるため、充填率が低下する恐れがあり、必ずしも好適とは言えない。
もっとも本発明においては、溶射温度やチューブ芯材温度にかかわらず、急冷を行うことができるのであれば、どのような溶射方法を用いても良く、溶射粒の急冷を、例えば以下に説明するように溶射距離をコントロールすることによって行うことも可能である。
本実施形態において、溶射を行うに際して、溶射ガンの吹き出し口(吹き出し位置)からチューブ芯材表面(付着位置)までの溶射距離を30〜150mmに調整するのが好ましい。すなわち溶射距離が上記の規定範囲内の場合には、溶射粒の速度が速いため、溶射粒のもつ運動エネルギーも高くなる。このため溶射粒がチューブ芯材表面に吹き付けられた際に溶射粒が扁平形状に変形して付着するため、充填率が高くなるとともに、溶射粒のチューブ芯材(2a)への放熱性も高くなって冷却性も向上して、十分な急冷を行うことができる。更に溶射距離が30〜150mmと比較的短いため、溶射粒のチューブ芯材(2a)への到達時間が短くなり、溶射粒の溶融後から冷却開始までの時間が短くなって、急冷をより確実に行うことができる。換言すれば、溶射距離が30mm未満の場合や、150mm超過の場合には、溶射粒の速度が遅くなり、十分な運動エネルギーを確保することができず、溶射粒がチューブ芯材に付着した際の変形量が小さくなるため、充填率が低くなるとともに、溶射粒のチューブ芯材への放熱性が低下して、急冷が行えなくなってしまう。特に溶射距離が150mmを超過する場合には、溶射粒が飛行中に、速度の異なる溶射粒同士が凝集し、例えば大きい粒子と小さい粒子とが凝集して、大きな粒子となって堆積するため、溶射層(21)が硬くなり適度な脆弱性を得ることができず、後に詳述するように溶射層(21)の平滑化を有効に行えなくなる恐れがあるので、好ましくない。
ろう合金をアーク溶射によって放射する場合、例えばアーク溶射機の溶射ガンをチューブ芯材(2a)に対し走査する方法や、コイル状に巻き取られた芯材(2a)を巻き戻しながら溶射する方法が採用される。更にチューブ芯材(2a)が押出材の場合には、押出ダイスの直後に溶射ガンを配置しておき、押出と溶射とを連続的に行う方法等を採用することができる。特に押出と溶射とを連続して行う場合には、生産効率を向上させることができる。
また溶射処理時において、溶射粒に酸化膜が形成されると、溶射粒の表面が硬くなり、溶射粒がチューブ芯材(2a)に衝突した際の変形が小さくなり、充填率が低下する恐れがある。このため、溶射粒に酸化膜が形成されないように、溶射処理は、窒素やアルゴンなどの非酸化性雰囲気で行うのが望ましく、特に経済性の面から窒素雰囲気で行うのが良い。
また溶射層(21)は、チューブ芯材(2a)の片面のみに形成しても良く、上下両面に形成するようにしても良い。言うまでもなく、チューブ両面に溶射層(21)を形成する場合には、チューブ芯材(2a)の上下両側に溶射ガンを配置するのが良い。
本実施形態において、溶射層(21)におけるSiの含有量は、特に限定されるものではないが、良好なろう付け性を得るために、6〜15質量%に調整するのが好ましい。
溶射層(21)には、チューブ表面に犠牲防食層を形成するために、Znを含有させるのが好ましい。溶射層(21)中におけるZnの含有量は、1〜30質量%に調整するのが好ましい。
更に溶射層(21)には、電位調整等を目的として、0.1〜1質量%の範囲内でCuを含有させるのが好ましい。
また本実施形態においては、溶射層(21)中には、ろう付け性や耐食性等に影響を及ぼさない範囲内であれば、Fe、Mn、In、Sn、Ni、Ti、Cr等の他の元素も含有されていても良い。
一方、本実施形態においては、図3(a)に示すようにチューブ芯材(2a)に溶射層(21)を形成した後、図3(b)に示すようにその溶射層(21)の表面を平滑化してろう付け層(20)を形成して、熱交換器用チューブ(2)を得るものである。
溶射層(21)の表面を平滑化する方法は、特に限定されるものではないが、例えば圧延ロールを用いて圧下する方法や、スカルピング(トリミング)等の切削による方法等が挙げられる。中でも、連続操作による生産性の向上を図ることができるため、圧延ロールを用いて平滑化する方法を採用するのが好ましい。
またこの平滑化処理は、チューブ矯正工程で行うのが良い。すなわち上記したように、チューブ芯材(2a)を押出成形する押出工程と、押出チューブ品(チューブ芯材)にろう材を溶射する溶射工程とを連続して行う場合、ろう材溶射後の押出チューブ品はコイル状に巻き取った後、次工程のチューブ矯正工程において、溶射チューブを巻き戻しつつ所定寸法にカットして熱交換器用チューブ(2)を製作するのが通例であるが、このチューブ矯正工程において、圧延ロールによる平滑化を行うことによって、平滑化処理をチューブ矯正工程と同時に行うことができる。
本実施形態において、平滑化されたろう付け層(20)の表面粗さ(Ry)は、50μm以下、より好ましくは40μm以下に調整するのが良い。すなわち表面粗さが特定範囲内に形成される場合には、フィン(3)をろう付け層(20)にバランス良くろう付けすることができ、フィン列剥がれ等のろう付け不良の発生を防止することができる。
ここで本実施形態においては、上記の溶射処理時に、溶射粒を溶融させた状態で吹き付けて急冷するものであるため、溶射層(21)として適度な脆弱性を得ることができ、図3(b)に示すように、その脆弱な溶射層(21)の山部を、圧延ローラ等によって全域にわたって均質に圧潰することができ、溶射層(21)の表面(ろう付け層表面)を所望の平滑面として確実に形成することができる。しかも溶射層(21)のみを適切に圧縮変形することができるため、空隙部を含むろう付け層全体(見掛けのろう付け層)におけるろう材の体積割合(充填率)を向上させることができ、チューブ上にろう付けに必要なろう材量を確実に得ることができる。
本実施形態において、ろう付け層(20)におけるろう材の充填率は、40%以上、より好ましくは60%以上に調整するのが良い。すなわちこの充填率をこの範囲内に確保することにより、ろう材量を十分に確保できて、フィン列剥がれ等のろう付け不良を有効に防止することができる。
なお溶射処理時に、溶射粒の急冷が不十分であったり、溶射粒(溶射粉末)の一部が非溶融状態である場合には、図4(a)に示すように、溶射層(121)の剛性が過度に高くなり、その高剛性の溶射層(121)を有するチューブ芯材(2a)を圧延ローラによって圧下したとしても、同図(b)に示すように、溶射層(121)は変形せずにチューブ芯材(2a)が圧潰変形されて、品質が低下する恐れがある。更に溶射層(121)は圧縮されないため、その溶射層(121)におけるろう材の充填率を向上させることができず、チューブ上にろう付けに必要なろう材量を確保することが困難になる恐れがある。
本実施形態では、ろう付け層(20)におけるSi晶出物の平均相当直径を1μm以下に調整するのが好ましい。すなわち、ろう付け層(20)におけるSiの分散性が良く、ろう付け性が良好な場合、Siの晶出物が小さくなる。加えて溶射工程でろう合金が十分に溶融し、かつ急冷が十分になされて、溶射粒が適度な脆弱性を有する場合にも、Siの晶出物が小さくなる。従って本実施形態においてはSiの晶出物の粒径は小さい方が好ましく、具体的には、Si晶出物の平均相当直径を1μm以下に調整するのが好ましい。
またろう付け層(20)の厚さ(平均厚さ)は、特に限定されるものではないが、3〜50μmに調整するのが良く、より好ましくは下限値を5μm以上、上限値を30μm以下に調整するのが良い。すなわちろう付け層(20)の厚さをこの範囲内に調整する場合には、チューブ(2)及びフィン(3)間の接合を確実に行えてフィン列剥がれ等を有効に防止することができる。
本実施形態の熱交換チューブ(2)は、中空ヘッダー(4)(4)、コルゲートフィン(3)及びサイドプレート(10)等の他の熱交換器構成部品と共に用いられて、熱交換器形状に仮組される。その後、この仮組製品にフラックスを塗布して乾燥した後、その仮組製品を窒素ガス雰囲気内の加熱炉において加熱し、これにより仮組製品の構成部材間を一括ろう付けして、全体を接合一体化し、熱交換器(1)が製作されるものである。
こうして得られた熱交換器(1)は、フィン列剥がれ等のろう付け不良を発生を防止できて、十分な接合強度を得ることができる。
すなわち本実施形態における熱交換チューブ(2)は、ろう合金の溶射によって得られた溶射層(21)をその表面を平滑化してろう付け層(20)を得るものであるため、ろう付け層(20)の表面全域にわたってフィン(3)をバランス良く接合することができ、フィン列剥がれ等の接合不良を確実に防止することができる。
特に本実施形態において、チューブ芯材(2a)の表面粗さ(Ry)を10μm未満に調整する場合には、ろう付け層(20)がチューブ芯材(2a)の表面に広域にわたって安定状態に接合固定するため、ろう付け時に溶融ろう材がチューブ芯材表面において不用意に流れ出すのを有効に防止でき、ろう材のチューブへの侵食等の不具合が発生するのを確実に防止することができる。
また本実施形態においては、溶射層(21)を圧縮成形してろう付け層(20)を形成するものであるため、ろう付け層(20)のろう材充填率を向上させることができ、ろう付け層(20)に十分なろう材を得ることができ、ろう材不足によるろう付け不良の発生を確実に防止することができる。
また本実施形態においては、完全に溶融した溶射粒を急冷させるものであるため、溶射層(21)に適度な脆弱性を付与することができる。このため、溶射層(21)を圧延ローラ等によって平滑化する際に、溶射層(21)のみを所望の圧縮形状に成形することができ、チューブ芯材(2a)の圧潰変形等を有効に防止でき、高い品質を得ることができる。
更に本実施形態において、ろう付け層(20)の表面粗さ(Ry)を特定値以下に調整する場合には、フィン(3)をろう付け層(20)にバランス良くろう付けすることができ、フィン列剥がれ等のろう付け不良の発生を、より確実に防止することができる。
以下、本発明に関連した実施例、及びその効果を検証するための比較例について説明する。
Figure 2005321186
<実施例1>
上表1に示すように、Al合金(0.4質量%Cu−0.21質量%Mn−残部Al)からなる押出材料を用いて押出機により幅16mm、高さ3mm、肉厚0.5mmの多穴扁平な押出チューブ材(チューブ芯材)を押出成形する。こうして成形されたチューブ芯材の表面粗さ(Ry)は10μmであった。
一方、押出機出口の上下に、アーク溶射機の溶射ガンを配置し、押出チューブ材の上下両面に、Al−Si合金を溶射して溶射層を形成した。この溶射処理は、大気中において溶射距離を120mmに調整した。
またチューブ芯材に向けて吹き付けられる溶融状態の溶射粒は、チューブ芯材に到達した際にチューブ芯材に吸熱されることにより、溶射温度からチューブ芯材温度付近まで冷却されて付着するものである。
なお表1において、溶射粒の冷却度合については、溶射粒の溶射温度とチューブ芯材の温度との差が2500℃以上の場合「急冷」とし、2500℃未満の場合「非急冷」とした。本実施例1では、溶射粒の溶射温度は5000℃、チューブ芯材の温度は400℃であり、両温度差が4600℃である。従って本実施例1の冷却度合は急冷であった。
溶射処理を行った後、上記の溶射層付き押出チューブ材を、冷却用水槽に浸漬して冷却してから、コイル状に連続的に巻き取った。
その後、コイル状の溶射層付きチューブ材をリコイルしながら、圧延ロールで圧下することにより、溶射層を圧縮成形して表面を平滑化し、ろう材の正味の充填率(見掛けのろう付け層に対するろう材の充填率)50%、厚さ20μm、表面粗さ(Ry)40μmのろう付け層を形成するとともに、チューブ長さ方向を所定の寸法にカットすることにより、熱交換器用チューブを作製した。なおこのチューブにおけるSi晶出物の平均相当直径は、0.7μmであった。
続いて、上記熱交換器用チューブを用いて、マルチフロー型のアルミニウム製熱交換器(図1参照)の形状に仮組した後、その熱交換器仮組製品に、非腐食性フラックスを水に懸濁させた懸濁液をスプレーにより塗布し、乾燥させてから、窒素ガス雰囲気炉で600℃で10分間加熱して、一括ろう付けすることにより、各構成部材を接合一体化して、実施例1の熱交換器を作製した。
<実施例2>
上表1に示すように、表面粗さ(Ry)が8μmの押出チューブ材に対し、アーク溶射法によって、溶射温度5500℃、溶射距離60mmで、窒素雰囲気中において溶射を行うとともに、その溶射層付きチューブ材を圧延ローラで圧下することにより、ろう材充填率50%、厚さ15μm、表面粗さ(Ry)37μmのろう付け層を形成するようにして、上記実施例と同様に熱交換器用チューブを作製した。なおこのチューブにおけるSi晶出物の平均相当直径は、0.1μmであった。
続いてこの熱交換器用チューブを用いて上記実施例と同様に熱交換器を作製した。
<実施例3>
上表1に示すように、表面粗さ(Ry)が7μmの押出チューブ材に対し、アーク溶射法によって、溶射温度4800℃、溶射距離60mmで、窒素雰囲気中において溶射を行うとともに、その溶射層付きチューブ材を圧延ローラで圧下することにより、ろう材充填率60%、厚さ20μm、表面粗さ(Ry)35μmのろう付け層を形成するようにして、上記実施例と同様に熱交換器用チューブを作製した。なおこのチューブにおけるSi晶出物の平均相当直径は、0.5μmであった。
続いてこの熱交換器用チューブを用いて上記実施例と同様に熱交換器を作製した。
<実施例4>
上表1に示すように、表面粗さ(Ry)が8μmの押出チューブ材に対し、アーク溶射法によって、溶射温度5000℃、溶射距離80mmで、大気中において溶射を行うとともに、その溶射層付きチューブ材を圧延ローラで圧下することにより、ろう材充填率50%、厚さ30μm、表面粗さ(Ry)40μmのろう付け層を形成するようにして、上記実施例と同様に熱交換器用チューブを作製した。なおこのチューブにおけるSi晶出物の平均相当直径は、0.4μmであった。
続いてこの熱交換器用チューブを用いて上記実施例と同様に熱交換器を作製した。
<実施例5>
上表1に示すように、表面粗さ(Ry)が8μmの押出チューブ材に対し、アーク溶射法によって、溶射温度4800℃、溶射距離120mmで、窒素雰囲気中において溶射を行うとともに、その溶射層付きチューブ材を圧延ローラで圧下することにより、ろう材充填率40%、厚さ20μm、表面粗さ(Ry)40μmのろう付け層を形成するようにして、上記実施例と同様に熱交換器用チューブを作製した。なおこのチューブにおけるSi晶出物の平均相当直径は、0.8μmであった。
続いてこの熱交換器用チューブを用いて上記実施例と同様に熱交換器を作製した。
<実施例6>
上表1に示すように、表面粗さ(Ry)が8μmの押出チューブ材に対し、アーク溶射法によって、溶射温度5000℃、溶射距離100mmで、窒素雰囲気中において溶射を行うとともに、その溶射層付きチューブ材を圧延ローラで圧下することにより、ろう材充填率50%、厚さ25μm、表面粗さ(Ry)42μmのろう付け層を形成するようにして、上記実施例と同様に熱交換器用チューブを作製した。なおこのチューブにおけるSi晶出物の平均相当直径は、0.6μmであった。
続いてこの熱交換器用チューブを用いて上記実施例と同様に熱交換器を作製した。
<比較例1>
上表1に示すように、表面粗さ(Ry)が8μmの押出チューブ材に対し、アーク溶射法によって、溶射温度5000℃、溶射距離150mmで、大気中において溶射を行って、その溶射層を平滑化は行わずにろう付け層(ろう材充填率30%、厚さ60μm、表面粗さ(Ry)60μm)とするようにして、上記と同様に熱交換器用チューブを作製した。なおこのチューブにおけるSi晶出物の平均相当直径は、0.9μmであった。
続いてこの熱交換器用チューブを用いて上記と同様に熱交換器を作製した。
<比較例2>
上表1に示すように、表面粗さ(Ry)が15μmの押出チューブ材に対し、フレーム溶射法によって、溶射温度2800℃、溶射距離150mmで、大気中において溶射を行うとともに、その溶射層付きチューブ材を圧延ローラで圧下することにより、ろう材充填率30%、厚さ40μm、表面粗さ(Ry)40μmのろう付け層を形成するようにして、上記と同様に熱交換器用チューブを作製した。なおこのチューブにおけるSi晶出物の平均相当直径は、1.5μmであった。
続いてこの熱交換器用チューブを用いて上記と同様に熱交換器を作製した。
<比較例3>
上表1に示すように、表面粗さ(Ry)が10μmの押出チューブ材に対し、フレーム溶射法によって、溶射温度2500℃、溶射距離200mmで、大気中において溶射を行って、その溶射層を平滑化は行わずにろう付け層(ろう材充填率20%、厚さ40μm、表面粗さ(Ry)60μm)とするようにして、上記と同様に熱交換器用チューブを作製した。なおこのチューブにおけるSi晶出物の平均相当直径は、2μmであった。
続いてこの熱交換器用チューブを用いて上記と同様に熱交換器を作製した。
<比較例4>
上表1に示すように、表面粗さ(Ry)が40μmの押出チューブ材に対し、アーク溶射法によって、溶射温度5000℃、溶射距離120mmで、大気中において溶射を行って、その溶射層を平滑化は行わずにろう付け層(ろう材充填率20%、厚さ40μm、表面粗さ(Ry)60μm)とするようにして、上記と同様に熱交換器用チューブを作製した。なおこのチューブにおけるSi晶出物の平均相当直径は、0.7μmであった。
続いてこの熱交換器用チューブを用いて上記と同様に熱交換器を作製した。
<比較例5>
上表1に示すように、表面粗さ(Ry)が30μmの押出チューブ材に対し、フレーム溶射法によって、溶射温度3000℃、溶射距離250mmで、大気中において溶射を行うとともに、その溶射層付きチューブ材を圧延ローラで圧下することにより、ろう材充填率40%、厚さ80μm、表面粗さ(Ry)60μmのろう付け層を形成するようにして、上記と同様に熱交換器用チューブを作製した。なおこのチューブにおけるSi晶出物の平均相当直径は、1.8μmであった。
続いてこの熱交換器用チューブを用いて上記と同様に熱交換器を作製した。
<比較例6>
上表1に示すように、表面粗さ(Ry)が8μmの押出チューブ材に対し、HVOF(高速フレーム)溶射法によって、溶射温度2600℃、溶射距離100mmで、大気中において溶射を行うとともに、その溶射層付きチューブ材を圧延ローラで圧下することにより、ろう材充填率50%、厚さ80μm、表面粗さ(Ry)65μmのろう付け層を形成するようにして、上記と同様に熱交換器用チューブを作製した。なおこのチューブにおけるSi晶出物の平均相当直径は、2μmであった。
続いてこの熱交換器用チューブを用いて上記と同様に熱交換器を作製した。
<評価>
上記実施例及び比較例の各熱交換器に対し、フィン及びチューブ間の接合率を測定した。そしてフィン及びチューブ間の接合率が95%以上のものを「◎」、フィン及びチューブ間の接合率が95%未満で90%以上のものを「○」、フィン及びチューブ間の接合率が90%未満で60%以上のものを「△」、フィン及びチューブ間の接合率が60%未満のもの、又はフィン列剥がれが発生したものを「×」として評価した。その評価結果を下表1に併せて示す。
Figure 2005321186
上表2から明らかなように、本発明の要件を満たす実施例1〜6のものは、フィン列剥がれ等のろう付け不良を防止できて、良好なろう付け性を得ることができた。更に実施例1〜6のものは、平滑化によるチューブ変形も確実に防止でき、高い品質を得ることができるものであった。
これに対し比較例1〜6のように本発明の要件を逸脱するものは、良好な特性を得ることができなかった。例えば比較例1、3、4のように溶射層の平滑化を行わずに、ろう材充填率が低いものは、フィン列剥がれが生じて、良好なろう付け特性を得ることができなかった。更に比較例2、5、6のように溶射処理時における溶射粒の溶融が不十分の場合や、急冷が不十分の場合には、溶射層の平滑化によってチューブ自体が圧潰変形してしまい、品質の低下が懸念されるものであった。
この発明は、例えばカーエアコン用冷凍サイクルに用いられるアルミニウム製熱交換器、それに用いられる熱交換器用チューブ、及びそれらの製造方法に利用可能である。
この発明の実施形態であるアルミニウム製熱交換器を示す正面図である。 実施形態の熱交換器におけるチューブとフィンとの接合部周辺を拡大して示す斜視図である。 同図(a)は実施形態における熱交換器用チューブの製造過程においてチューブ芯材を溶射直後の状態で示す拡大断面図、同図(b)は平滑化直後の状態で示す拡大断面図である。 同図(a)は本発明の要旨を逸脱した場合の一例である熱交換器用チューブの製造過程においてチューブ芯材を溶射直後の状態で示す拡大断面図、同図(b)は平滑化直後の状態で示す拡大断面図である。 ろう付けによってフィン列剥がれが発生した従来の熱交換器を示す正面図である。
符号の説明
1…熱交換器
2…熱交換チューブ
2a…チューブ芯材
3…コルゲートフィン
4…ヘッダー
20…ろう付け層
21…溶射層

Claims (31)

  1. アルミニウム製熱交換器用チューブの製造方法であって、
    アルミニウム製の扁平なチューブ芯材の表面に、Al−Si系合金の溶射粒を溶射して溶射層を形成するに際して、チューブ芯材に向けて吹き付けた溶融状態の溶射粒を急冷して付着させる一方、
    前記溶射層をその表面を平滑化してろう付け層を形成するものとしたことを特徴とするアルミニウム製熱交換器用チューブの製造方法。
  2. 前記チューブ芯材の表面粗さ(Ry)を10μm未満に調整するものとした請求項1記載のアルミニウム製熱交換器用チューブの製造方法。
  3. 前記ろう付け層の表面粗さ(Ry)を50μm以下に調整するものとした請求項1又は2記載のアルミニウム製熱交換器用チューブの製造方法。
  4. 溶射粒の溶射温度を3000℃以上に調整するものとした請求項1〜3のいずれか1項に記載のアルミニウム製熱交換器用チューブの製造方法。
  5. 溶射粒をチューブ芯材に到達した後に800℃以下に冷却するものとした請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルミニウム製熱交換器用チューブの製造方法。
  6. 溶射粒を溶射するに際して、溶融状態の溶射粒とチューブ芯材に到達して冷却された状態の溶射粒との間の温度差を、2500℃以上に調整するものとした請求項1〜5のいずれか1項に記載のアルミニウム製熱交換器用チューブの製造方法。
  7. 溶射粒を溶射するに際して、チューブ芯材に到達した溶射粒をチューブ芯材に放熱させることによって冷却するものとした請求項1〜6のいずれか1項に記載のアルミニウム製熱交換用チューブの製造方法。
  8. 前記溶射層におけるSiの晶出物の平均相当直径を1μm以下に調整するものとした請求項1〜7のいずれか1項に記載のアルミニウム製熱交換用チューブの製造方法。
  9. 見掛けのろう付け層中におけるろう材の体積割合(充填率)を40%以上に調整するものとした請求項1〜8のいずれか1項に記載のアルミニウム製熱交換用チューブの製造方法。
  10. 溶射粒を溶射するに際して、溶射粒の吹き出し位置からチューブ芯材への付着位置まで溶射距離を30〜150mmに調整するものとした請求項1〜9のいずれか1項に記載のアルミニウム製熱交換用チューブの製造方法。
  11. 溶射粒の溶射をアーク溶射によって行うものとした請求項1〜10のいずれか1項に記載のアルミニウム製熱交換用チューブの製造方法。
  12. 前記溶射層におけるSi含有量を6〜15質量%に調整するものとした請求項1〜11のいずれか1項に記載の熱交換用チューブの製造方法。
  13. 前記ろう付け層の平均厚さを3〜50μmに調整するものとした請求項1〜12のいずれか1項に記載のアルミニウム製熱交換器用チューブの製造方法。
  14. 前記溶射層を圧延ロールにより圧下して表面を平滑化するものとした請求項1〜13のいずれか1項に記載のアルミニウム製熱交換用チューブの製造方法。
  15. 前記溶射層中にZnを含有させるものとした請求項1〜14のいずれか1項に記載のアルミニウム製熱交換用チューブの製造方法。
  16. 前記溶射層中にZn及びCuを含有させるものとした請求項1〜15のいずれか1項に記載のアルミニウム製熱交換用チューブの製造方法。
  17. 前記チューブ芯材を押出材によって形成し、押し出された直後の前記チューブ芯材に対し、溶射粒を溶射するものとした請求項1〜16のいずれか1項に記載のアルミニウム製熱交換用チューブの製造方法。
  18. 前記チューブ芯材の表面に溶射粒が扁平状態に付着されてなる請求項1〜17のいずれか1項に記載のアルミニウム製熱交換器用チューブの製造方法。
  19. 溶射粒を溶射するに際して、非酸化性雰囲気下で行うものとした請求項1〜18のいずれか1項に記載のアルミニウム製熱交換用チューブの製造方法。
  20. アルミニウム製熱交換器用チューブの製造方法であって、
    アルミニウム製の扁平なチューブ芯材の表面に、Al−Si系合金の溶射粒を溶射して溶射層を形成するに際して、アーク溶射によって溶射粒をチューブ芯材に吹き付けて800℃以下に冷却して付着させる一方、
    前記溶射層をその表面を平滑化してろう付け層を形成するものとしたことを特徴とするアルミニウム製熱交換器用チューブの製造方法。
  21. アルミニウム製熱交換器用チューブの製造方法であって、
    アルミニウム製の扁平なチューブ芯材の表面に、Al−Si系合金の溶射粒を溶射して溶射層を形成するに際して、溶射粒の吹き出し位置からチューブ芯材への付着位置まで溶射距離を30〜150mmに調整したアーク溶射によって行う一方、
    前記溶射層をその表面を平滑化してろう付け層を形成するものとしたことを特徴とするアルミニウム製熱交換器用チューブの製造方法。
  22. アルミニウム製熱交換器用チューブの製造方法であって、
    アルミニウム製の扁平なチューブ芯材の表面に、Al−Si系合金の溶射粒を溶射して溶射層を形成するに際して、溶射温度が3000℃以上の溶射粒をチューブ芯材に吹き付けて、800℃以下に冷却して付着させる一方、
    前記溶射層をその表面を平滑化してろう付け層を形成するものとしたことを特徴とするアルミニウム製熱交換器用チューブの製造方法。
  23. アルミニウム製熱交換器用チューブの製造方法であって、
    アルミニウム製の扁平なチューブ芯材の表面に、Al−Si系合金の溶射粒を溶射して溶射層を形成するに際して、溶融状態の溶射粒をチューブ芯材に吹き付けて冷却して付着するとともに、溶融状態の溶射粒と冷却後の溶射粒との間の温度差を2500℃以上に調整する一方、
    前記溶射層をその表面を平滑化してろう付け層を形成するものとしたことを特徴とするアルミニウム製熱交換器用チューブの製造方法。
  24. 請求項1〜23のいずれか1項に記載の製造方法によって製造されてなることを特徴とするアルミニウム製熱交換用チューブ。
  25. アルミニウム製熱交換器用チューブであって、
    アルミニウム製の扁平なチューブ芯材の表面に、Al−Si系合金を溶融した溶射粒が溶射されて溶射層が形成され、
    前記溶射層がその表面が平滑化されてろう付け層として形成されてなり、
    前記溶射層におけるSiの晶出物の平均相当直径が1μm以下に調整されてなることを特徴とするアルミニウム製熱交換用チューブ。
  26. 見掛けのろう付け層中におけるろう材の体積割合(充填率)が40%以上に調整されてなる請求項25記載のアルミニウム製熱交換用チューブ。
  27. アルミニウム製熱交換器用チューブがアルミニウム製フィンと組み合わされてろう付け接合されてなるアルミニウム製熱交換器であって、
    前記熱交換器用チューブが請求項1〜23のいずれか1項に記載の製造方法によって製造されてなることを特徴とするアルミニウム製熱交換器。
  28. 一対のアルミニウム製ヘッダー間に、複数の熱交換器用チューブが各間にフィンを介在させてヘッダー長さ方向に積層配置された状態で、各熱交換器用チューブの両端が両ヘッダーに連通接続されてなるアルミニウム製熱交換器であって、
    前記熱交換器用チューブが請求項1〜23のいずれか1項に記載の製造方法によって製造されてなることを特徴とするアルミニウム製熱交換器。
  29. 請求項1〜23のいずれか1項に記載の製造方法によって製造されたアルミニウム製熱交換用チューブを準備する工程と、
    アルミニウム製フィンを準備する工程と、
    前記熱交換器用チューブと前記フィンとを組み合わせてろう付け接合する工程とを含むアルミニウム製熱交換器の製造方法。
  30. 請求項1〜23のいずれか1項に記載の製造方法によって製造されたアルミニウム製熱交換用チューブを複数準備する工程と、
    アルミニウム製フィンを複数準備する工程と、
    一対のアルミニウム製ヘッダーを準備する工程と、
    前記一対のヘッダー間に、複数の熱交換器用チューブを各間にフィンを介在させてヘッダー長さ方向に積層配置した状態で、各熱交換器用チューブの両端を両ヘッダーに連通接続した状態に仮組した仮組製品を得る工程と、
    前記仮組製品を一括ろう付けすることにより、隣接する前記熱交換器用チューブ及び前記フィンを接合一体化する工程とを含むアルミニウム製熱交換器の製造方法。
  31. 圧縮機により圧縮された冷媒を凝縮器により凝縮し、その凝縮冷媒を減圧器に通過させて減圧し、その減圧冷媒を蒸発器により蒸発させて前記圧縮機に戻すようにした冷凍サイクルであって、
    前記凝縮器が、請求項28に記載のアルミニウム製熱交換器によって構成されることを特徴とする冷凍サイクル。
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