JP2005320596A - 高靭性・高強度鋼材の製造方法 - Google Patents

高靭性・高強度鋼材の製造方法 Download PDF

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正道 河野
Masakatsu Yamakawa
正克 山川
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Abstract

【課題】 オースフォーミング時に発生する曲がり変形を矯正し、同時に強度を高めることができる高靱性・高強度鋼材の製造方法を提供する。
【解決手段】 この製造方法は、時効硬化型ステンレス鋼に、950〜1200℃の温度域で加熱処理を行って鋼組織を実質的にオーステナイト単相組織にする工程;処理材に、850〜1200℃の温度域で累積加工率30〜90%の変形加工を行ってオーステナイト単相組織を微細化し、ついで、マルテンサイト変態点およびベイナイト変態点より高くかつ850℃未満の温度域において少なくとも10%以上の加工率で熱間加工して加工硬化処理を行う工程;処理材を焼入れして、鋼組織をマルテンサイト組織とベイナイト組織の混合相組織にする工程;焼入れ処理材に、300℃以下の温度域で加工率0.5〜10%の冷間加工を施す工程;および、得られた冷間加工材に、オーステナイト変態点より低い温度域で時効処理を行う工程;を備えている。
【選択図】 なし

Description

本発明は高靭性・高強度鋼材の製造方法に関し、更に詳しくは、靭性と強度特性がバランスよく高位水準にある鋼材を、オースフォーミング(Ausforming)を利用して高い生産性の下で製造する方法に関する。
オースフォーミングは、靭性を損なうことなく高強度の鋼材を更に高強度化できる方法として有効である。
このオースフォーミングは、鋼材を準安定オーステナイト域で加工して加工硬化を誘発させ、ついで焼入れを行って組織をマルテンサイト変態させて焼入れ硬化を実現する方法である。
具体的な工程としては、鋼材に加熱処理を行って鋼組織をオーステナイト(γ)の単相組織にする工程と、それを通常は800℃以下Ms点以上の温度域で塑性加工することにより加工硬化させる工程と、焼入れして鋼組織をマルテンサイト単相組織やベイナイト単相組織、またはそれらの混合組織にする工程と、更に必要に応じては、オーステナイト変態点以下の温度域で時効硬化させる工程とで構成されている。
例えばマルテンサイト系析出硬化型ステンレス鋼を温度750℃で加熱し、それを冷却する際に200〜700℃の温度域で塑性加工したのち室温まで冷却して鋼組織をマルテンサイト変態させるオースフォーミングを行い、ついで冷間加工したのち時効硬化処理を行う方法が提案されている(特許文献1を参照)
特開平8−218122号公報
しかしながら、上記した従来のオースフォーミングには次のような問題がある。
まず、オーステナイト域で加熱したのち、200〜700℃という塑性加工を行う温度域にまで冷却するために要する時間が長く、そのため、高い生産性が期待できないという問題がある。
また塑性加工は、通常は600℃程度という低温域で行われるため、鋼材には非常に大きな加工力を印加することが必要になるという問題がある。
更に焼入工程では、オーステナイト単相組織の全てがマルテンサイト変態するわけではなく残留オーステナイトももちきたらされるが、この残留オーステナイトの量が多くなると、鋼材の強度低下が引き起こされるという問題もある。
本発明は従来のオースフォーミングにおける上記した問題を解決し、高靭性であることはもちろんのこと、残留オーステナイトの存在を有効利用することにより強度が向上しており、また圧延加工時における幅方向の変形が矯正されている高靭性・高強度鋼材を高い生産性の下で製造する方法の提供を目的とする。
上記した目的を達成するために、本発明においては、時効硬化型ステンレス鋼に、950〜1200℃の温度域で加熱処理を行って鋼組織を実質的にオーステナイト単相組織にする工程(以下、工程1という);
処理材に、850〜1200℃の温度域で累積加工率30〜90%の塑性加工を行ってオーステナイト単相組織を微細化し、ついで、マルテンサイト変態点およびベイナイト変態点より高くかつ850℃未満の温度域において少なくとも10%以上の加工率で塑性加工して加工硬化処理を行う工程(以下、工程2という);
処理材を焼入れして、鋼組織を焼入れ相組織にする工程(以下、工程3という);
焼入れ処理材に、300℃以下の温度域で加工率0.5〜10%の冷間加工を施す工程(以下、工程4という);および、
得られた冷間加工材に、オーステナイト変態点より低い温度域で時効処理を行う工程(以下、工程5という);
を備えていることを特徴とする高靭性・高強度鋼材の製造方法が提供される。
とくに、工程4における冷間加工は冷間の引張り加工であることを好適とする。
なお、上記した焼入れ組織とは、マルテンサイト組織単相、ベイナイト組織単相、マルテンサイト組織とベイナイト組織の混合組織、および/または、これらの組織に、更に、残留オーステナイト組織が混じる場合がある。その場合、残留オーステナイト組織の混じる割合は面積で5〜70%の範囲となる。
工程4を配置することにより、工程2で発生した鋼材の曲がり変形が矯正されるので、歩留まりが向上する。また工程4の冷間加工により、焼入れ時に生成した残留オーステナイトに対する加工硬化が進むので強度の向上も達成される。
また、工程2の前段でオーステナイト組織の微細化が実現しているので、冷間加工時の強度向上があっても、靱性はそれほど劣化しない。
本発明は、オーステナイト単相組織を微細化したのち加工硬化処理を行う工程2を配置し、焼入工程の後に、冷間加工の工程4を配置したところに特徴を有する。
この工程4を配置することにより、工程2で発生した大きな曲がり変形が矯正され、同時に、残留オーステナイトの作用効果により鋼材の加工硬化が進んで、靱性劣化が抑制された状態で鋼材の強度が向上する。
以下、各工程について説明する。
工程1
この工程1では、対象鋼材に加熱処理を行って鋼組織を実質的にオーステナイト単相組織にする。
対象鋼材としては、焼入れ性がよく、時効硬化を利用できる鋼が好ましく、例えばSUS630といった時効硬化型ステンレス鋼が用いられる。
確実にオーステナイト単相組織を得るために、加熱温度は950〜1200℃に設定される。このとき、上記温度に加熱するまでの昇温速度は0.1〜1000℃/secに設定される。
昇温速度が小さすぎると、上記加熱温度に到達した時点でγ結晶粒が粗大化してしまい、また昇温速度が大きすぎると、鋼組織のオーステナイト変態が追随できないからである。上記した昇温速度の範囲であれば、上記した加熱温度に到達した時点でγ結晶粒の粒径は10〜75μm程度の大きさになる。好ましい昇温速度は5〜50℃/secである。このとき、γ結晶粒の粒径は30μm以下の大きさになる。
また、温度950〜1200℃での保持時間が長すぎると、γ結晶粒の粒成長が進んで結晶粒は粗大化するので、前記した昇温速度の大小にもよるが、保持時間は60分を限度とする。
工程2
工程2は、連続する2つの加工工程、工程2−Aと工程2−Bで構成される。最初の工程2−Aでは、工程1で加熱処理された鋼材のオーステナイト単相組織を微細な再結晶粒組織にして鋼材の靱性を高め、次の工程2−Bでは、その鋼材を更に塑性加工して加工硬化させる。
工程2−Aの塑性加工時には、850〜1200℃の高温域における累積加工率30〜90%の加工条件が採用される。この条件のとき、組織は完全に再結晶化し、またγ再結晶粒はその平均粒径が15μm以下と微細化して鋼材の高靭性化を可能にするからである。
次の工程2−Bは、準安定オーステナイト域で行われる。具体的には850℃より低い温度域であるが、マルテンサイト変態とベイナイト変態の発生を防止するために、マルテンサイト変態点およびベイナイト変態点より高い温度域で行われる。
そのときの加工率は少なくとも10%以上に設定される。加工率が10%より小さい場合には、充分な加工硬化が進行せず、強度特性が不充分になるからである。
しかし、あまり大きな加工率を採用すると、鋼材の曲がり変形が大きくなり、また印加する加工力も増加させることが必要になるので、加工率は10〜90%程度であることが好ましい。
この程度の加工率であっても、この鋼材は工程2−Aで既に組織は15μm以下と微細化されているので、加工硬化は顕著に進み、高強度化が達成される。
工程3
工程3は、工程2を終了した鋼材を焼入れして、その鋼組織を例えばマルテンサイト組織とベイナイト組織の混合組織のような焼入れ組織にする工程である。
焼入れの条件は格別限定されるものではない。この工程では、オーステナイト組織の変態で硬いマルテンサイト組織とベイナイト組織が形成されるが、同時に未変態のオーステナイト組織が軟らかい残留オーステナイトとしてもちきたらされる。通常、鋼組織全体に対し面積率で5〜10%程度が残留オーステナイトになる。
工程4
この工程4は、工程3を終了した鋼材に冷間加工を行う工程である。
具体的には、引張り加工を行う。この引張り加工を行うことにより、工程2で生じた曲がり変形が矯正される。また、残留オーステナイトに対しては冷間加工が行われることになるので、鋼材の加工硬化が進んで当該鋼材の強度が向上する。
この冷間加工は、鋼材への加工のしやすさの点や、残留オーステナイトに対する加工硬化を有効に進める点を考慮して、300℃以下の温度域で行われる。
また、加工率、具体的には鋼材に対する引張りの度合いは、加工後の鋼材の長さをL、加工前の鋼材の長さをL0としたときに、次式:100×(L−L0)/L0で示される値が、0.5〜10%となるように設定される。
この値が0.5%より小さくなるような冷間加工の場合は、鋼材の曲がり変形の矯正は不充分であり、同時に残留オーステナイトの作用効果である加工硬化は充分に進まず、得られた鋼材の強度は向上しない。
また、この値が10%より大きくなるような冷間加工を行うと、曲がり変形は矯正され、また鋼材の強度は不変であるとはいえ、靱性が著しく劣化してしまう。
一般に強度と靱性はトレードオフの関係にあるので、鋼材に要求される目的特性との関係で、工程4で採用する加工率は、上記した数値範囲内で適切な値が選択される。
工程5
この工程では時効処理が行われる。そのときの時効温度はオーステナイト変態点よりも低いことが必要である。具体的には、350〜600℃で0.5〜10時間の時効処理が施される。
SUS630の鋼片(直径34mm、長さ4000mm)を、昇温速度3℃/secで温度1050℃まで加熱し、その温度に1分間保持した(工程1)。
ついで、温度1000℃で累積加工率80%の熱間圧延(塑性加工)を行い(工程2−A)、ただちに、温度600℃で加工率50%の熱間圧延を行って(工程2−B)、加工硬化処理を終了し、得られた板材の幅方向における曲がり変形を測定した。
そして、得られた圧延板材を放冷して焼入れした(工程3)。
ついで、焼入れ後の板材に、温度25℃において、表1で示した加工率の引張り加工を施した(工程4)。
そして最後に、温度450℃で4時間の時効処理を行った(工程5)のち、板材の伸びと引張り強度を測定した。以上の結果を表1に示した。
比較のために、工程4を行わなかったことを除いては、実施例と同様の条件下で圧延板材を製造し、その特性を調べ、その結果も表1に併記した。
Figure 2005320596
表1の実施例1〜3で明らかなように、工程4で加工1〜10%の冷間加工を行うと、伸びの大きな低下を招くことなく引張り強さは大幅に向上する。
しかし、加工率を10%より大きくすると、引張り強さは大きくなるとはいえ、伸びは大幅に低下してしまう。
本発明方法によれば、靱性と強度が高位水準でバランスがとれている鋼材を、オースフォーミング時に発生する曲がり変形を矯正して高い生産性の下で製造することができる。
したがって、製造された鋼材は、高靱性と高強度が要求される各種部材の材料としてその工業的価値は大である。また、この鋼材は時効硬化型ステンレス鋼から成るので耐食性も優れている。

Claims (2)

  1. 時効硬化型ステンレス鋼に、950〜1200℃の温度域で加熱処理を行って鋼組織を実質的にオーステナイト単相組織にする工程;
    処理材に、850〜1200℃の温度域で累積加工率30〜90%の塑性加工を行ってオーステナイト単相組織を微細化し、ついで、マルテンサイト変態点およびベイナイト変態点より高くかつ850℃未満の温度域において少なくとも10%以上の加工率で塑性加工して加工硬化処理を行う工程;
    処理材を焼入れして、鋼組織を焼入れ組織にする工程;
    焼入れ処理材に、300℃以下の温度域で加工率0.5〜10%の冷間加工を施す工程;および、
    得られた冷間加工材に、オーステナイト変態点より低い温度域で時効処理を行う工程;
    を備えていることを特徴とする高靭性・高強度鋼材の製造方法。
  2. 前記冷間加工が冷間の引張り加工である請求項1の高靭性・高強度鋼材の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015221927A (ja) * 2014-05-23 2015-12-10 新日鐵住金株式会社 鋼材およびその製造方法
JP2015221920A (ja) * 2014-05-22 2015-12-10 新日鐵住金株式会社 鋼材およびその製造方法

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