本発明においては、溶液重合によりレジスト用重合体を製造する。特に、組成分布および/または分子量分布の狭い重合体が簡便に得られる点から、反応器内の重合温度に加熱された溶剤(通常、有機溶剤)中に、重合することにより目的とする重合体の構成単位となる単量体および重合開始剤を含有する溶液を滴下しながら重合を行う、いわゆる滴下重合法によりレジスト用重合体を製造することが好ましい。
また、本発明においては、反応器内の溶剤中に、重合することにより目的とする重合体の構成単位となる単量体を含有する溶液と、重合開始剤を含有する溶液とを別々に滴下することもできる。単量体および重合開始剤を含有する溶液を高温で保存した場合、重合が進行してしまうことがある。単量体を含有する溶液と、重合開始剤を含有する溶液とを別々に反応器内の溶剤中に滴下して重合を行うことにより、単量体溶液保存時の重合の進行を防止することができる。
本発明のレジスト用重合体の製造方法において、重合開始剤は公知のものいずれをも用いることができる。本発明において用いられる重合開始剤としては、熱により効率的にラジカルを発生するものが好ましい。
このような重合開始剤としては、例えば、N,N’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル 2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等のアゾ化合物類などが挙げられる。重合開始剤としては、その他に、過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン等のハイドロパーオキサイド類またはジアルキルパーオキサイド類等の有機過酸化物などが挙げられる。
また、ArFエキシマレーザー(波長:193nm)リソグラフィーにおいて使用されるレジスト用重合体を製造する場合、得られるレジスト用重合体の光線透過率(波長193nmの光に対する透過率)をできるだけ低下させない点から、用いる重合開始剤としては、分子構造中に芳香環を有しないものが好ましい。
さらに、重合時の安全性等を考慮すると、用いる重合開始剤としては、10時間半減期温度が60℃以上のものが好ましい。
重合開始剤の使用量は特に限定されないが、重合体の収率を高くする点から、重合に使用する単量体全量に対して0.1モル%以上が好ましく、0.3モル%以上がより好ましく、1モル%以上が特に好ましい。また、重合開始剤の使用量は、重合体の分子量分布を狭くする点から、重合に使用する単量体全量に対して30モル%以下が好ましい。
本発明では、レジスト用重合体を製造する際に連鎖移動剤を使用してもよい。連鎖移動剤を使用することにより、低分子量の重合体を製造する場合に重合開始剤の使用量を少なくすることができ、また、得られる重合体の分子量分布を狭くすることができる。分子量分布が狭くなることは、高分子量の重合体の生成が少なくなることに起因しており、レジストに用いた場合にレジスト溶媒への溶解性がさらに向上し、また、マイクロゲルやディフェクトの生成が減少するため好ましい。
好適な連鎖移動剤としては、例えば、チオール類、具体的には、1−ブタンチオール、2−ブタンチオール、1−オクタンチオール、1−デカンチオール、1−テトラデカンチオール、シクロヘキサンチオール、2−メチル−1−プロパンチオール、2−メチル−2−プロパンチオール、2−メルカプトエタノール、1−チオグリセロールなどが挙げられる。
重合反応においては成長末端にラジカルを持つ重合体が生じるが、連鎖移動剤を使用すると、この成長末端のラジカルが連鎖移動剤の水素を引き抜き、成長末端が失活した重合体になる。一方、水素を引き抜かれた連鎖移動剤はラジカルを持った構造、すなわちラジカル体になり、このラジカル体が起点となって再び単量体が連鎖重合していく。そのため、得られた重合体の末端には連鎖移動残基が存在する。ArFエキシマレーザー(波長:193nm)リソグラフィーにおいて使用されるレジスト用重合体を製造する場合、得られるレジスト用重合体の光線透過率(波長193nmの光に対する透過率)をできるだけ低下させない点から、用いる連鎖移動剤としては、芳香環を有しないものが好ましい。
連鎖移動剤の使用量は特に限定されないが、重合体の分子量分布を狭くする点から、重合に使用する単量体全量に対して0.001モル%以上が好ましく、0.1モル%以上がより好ましい。また、連鎖移動剤の使用量は、重合体をレジスト組成物として使用する際の感度および解像度や金属表面などへの密着性などのレジスト性能を低下させない点から、重合に使用する単量体全量に対して30モル%以下が好ましく、5モル%以下がより好ましく、2モル%以下が特に好ましい。
反応器内の溶剤中に滴下する溶液(単量体溶液)は、通常、単量体および重合開始剤、必要に応じて連鎖移動剤を有機溶剤に溶解させた溶液であるが、重合開始剤と必要に応じて連鎖移動剤とを単量体に溶解させた溶液であってもよい。
本発明のレジスト用重合体の製造方法において用いられる溶剤、すなわち反応器内に仕込む溶剤および反応器内の溶剤中に滴下する単量体溶液の溶媒としては、用いる単量体、重合開始剤、および、得られる重合体、さらに連鎖移動剤を使用する場合はその連鎖移動剤のいずれをも溶解できるものが好ましい。
このような溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン(以下「MEK」とも言う。)、メチルイソブチルケトン(以下「MIBK」とも言う。)等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル、乳酸エチル等のエステル類;エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類;エチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(以下「THF」とも言う。)等のエーテル類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下「PGMEA」とも言う。)等のグリコールエーテルエステル類などが挙げられる。溶剤としては、中でも、単量体および重合体の溶解性の点から、PGMEA、THF、1,4−ジオキサンが好ましい。
反応器内の溶剤中に滴下する単量体溶液の溶媒である有機溶剤は、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。また、反応器に仕込む溶剤も、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
反応器内の溶剤中に滴下する単量体溶液の単量体濃度は特に限定されないが、5〜50質量%の範囲内であることが好ましい。
反応器に仕込む溶剤の量は特に限定されず、適宜決めればよい。通常は、重合に使用する単量体全量に対して30〜700質量%の範囲内で使用する。
なお、滴下する単量体溶液の溶媒である有機溶剤と、反応器に仕込む有機溶剤とは、異なるものであってもよい。
滴下重合法においては、溶剤をあらかじめ反応器に仕込み、所定の重合温度まで加熱した後、好ましくは反応器内の溶剤を攪拌レイノルズ数(Re)が1000〜1000000の範囲になるように攪拌しながら、単量体および重合開始剤、必要に応じて連鎖移動剤を有機溶剤に溶解させた単量体溶液を反応器内の溶剤中に滴下する。単量体は有機溶剤に溶解させずに滴下してもよく、その場合、重合開始剤と必要に応じて連鎖移動剤とを単量体に溶解させた溶液を反応器内の溶剤中に滴下する。
本発明における重合温度は特に限定されず、用いる溶剤、単量体、重合開始剤などに応じて適宜決めればよい。通常、生産性の点から、重合温度は40℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましい。また、通常、反応の制御の点から、重合温度は150℃以下が好ましく、90℃以下がより好ましい。
本発明では、通常、常圧下において重合反応を行うが、反応圧力は特に限定されず、適宜決めればよい。
本発明において、単量体および重合開始剤を含有する溶液の滴下速度は特に限定されず、適宜決めればよい。通常、単量体および重合開始剤を含有する溶液は、ゆっくりと滴下する方が好ましい。
また、単量体および重合開始剤を含有する溶液の滴下時間も特に限定されないが、通常、30分以上が好ましく、6時間以上がより好ましい。
そして、本発明のレジスト用重合体の製造方法においては、重合時に、反応器内の溶剤(単量体および重合開始剤を含有する溶液の滴下開始後は、単量体、重合開始剤、製造される重合体などを含む溶液)を攪拌レイノルズ数(Re)が1000〜1000000の範囲になるように攪拌することが好ましい。この攪拌レイノルズ数の範囲は、通常、溶剤が乱流状態になる範囲である。反応器内の溶剤の攪拌レイノルズ数(Re)は3000以上であることがより好ましく、5000以上であることが特に好ましい。反応器内の溶剤の攪拌レイノルズ数を上記の範囲にすることにより、さらに優れた性能を有するレジスト用重合体、特に有機溶媒に対する溶解性に優れたレジスト用重合体を得ることができる。
なお、反応器内の溶剤の攪拌レイノルズ数(Re)の上限は、レジスト用重合体の性能の点からは特に限定されないが、装置上の制約から、通常、1000000以下である。また、製造コストの点からは、反応器内の溶剤の攪拌レイノルズ数(Re)は200000以下であることがより好ましい。
反応器内の溶剤の攪拌レイノルズ数(Re)の値は、重合時、常に上記の範囲内であることが好ましい。
また、通常、重合開始時と重合終了時とでは反応器内の溶剤(溶液)の粘度が大幅に変わるため、重合中、攪拌翼の回転数が常に同じである場合は、反応器内の溶剤の攪拌レイノルズ数(Re)の値は、重合開始時が最大で、重合反応の進行に伴い単純に減少していく傾向がある。本発明においては、この点も考慮して反応器内の溶剤の攪拌条件を決定する必要がある。
本発明のレジスト用重合体の製造方法においては、単量体および重合開始剤を含有する溶液の滴下終了後、反応器内の溶液を攪拌しながら、さらに所定時間、例えば、0.5時間以上、より好ましくは1〜4時間程度、反応器内の溶液の温度を重合温度に保持し、重合反応を進行させてから重合を完結させることが好ましい。
このようにして製造された重合体溶液は、必要に応じて、1,4−ジオキサン、アセトン、THF、MEK、MIBK、γ−ブチロラクトン、PGMEA、乳酸エチル等の良溶媒で適当な溶液粘度に希釈した後、メタノール、水等の多量の貧溶媒中に滴下、あるいは、滴下以外の方法で貧溶媒に混合して重合体を析出させる。その後、その析出物を濾別、遠心分離、デカンテーションなどにより分離し、十分に乾燥してレジスト用重合体を得る。また、濾別等により析出物を分離した後、乾燥せずに湿粉のまま使用することもできる。
本発明の再沈殿工程においては、再沈殿溶媒と、製造した重合体溶液あるいは良溶媒で適当な溶液粘度に希釈した重合体溶液とを混合して重合体を析出させる。好ましくは、反応器内の溶剤(再沈殿溶媒)中に、製造した重合体溶液あるいは良溶媒で適当な溶液粘度に希釈した重合体溶液を滴下して重合体を析出させる。
再沈殿溶媒と混合する重合体溶液の溶液粘度は特に限定されないが、重合体に残存する単量体の量をより低減できる点から、0.01Pa・s以下が好ましい。
重合体溶液を希釈するのに用いられる良溶媒としては、例えば、上記のレジスト用重合体の製造方法において用いられる有機溶剤と同様のものが挙げられる。重合体溶液を希釈するのに用いられる良溶媒は、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
なお、重合体溶液を希釈するのに用いられる良溶媒と、レジスト用重合体の製造方法において用いられる有機溶剤とは、異なるものであってもよい。
再沈殿工程において用いられる再沈殿溶媒としては、製造する重合体の貧溶媒であることが必要であり、重合体溶液を再沈殿溶媒に混合した後の全溶媒のSP値を容易に30〜35[MPa1/2]にできる溶剤が好ましい。
再沈殿溶媒は、重合体溶液のSP値、混合する重合体溶液と再沈殿溶媒との割合などに応じて適宜選択することができる。
多くの場合、再沈殿溶媒としては、SP値が30〜50[MPa1/2]の溶剤が好ましく、31〜42がより好ましい。このような再沈殿溶媒としては、例えば、水、あるいは、水を含む溶液、具体的には、水とメタノールとの混合溶液、水とアセトニトリルとの混合溶液などが挙げられる。再沈殿溶媒としては、中でも、水:メタノール=5:95〜50:50、より好ましくは5:95〜30:70(体積比)である水とメタノールとの混合溶液が好ましい。
再沈殿溶媒は、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
反応器に仕込む再沈殿溶媒の量は特に限定されず、適宜決めればよい。通常は、再沈殿溶媒に混合する重合体溶液に対して体積比で3〜20倍の範囲内で使用する。
再沈殿工程においては、例えば、溶剤(再沈殿溶媒)をあらかじめ反応器に仕込み、好ましくは反応器内の再沈殿溶媒を攪拌しながら、製造した重合体溶液あるいは良溶媒で適当な溶液粘度に希釈した重合体溶液を再沈殿溶媒中に滴下する。重合体溶液は再沈殿溶媒に滴下せずに一時に混合してもよい。
再沈殿時における再沈殿溶媒の温度は、通常、常温程度、具体的には0〜30℃であるが、特に限定されず、適宜決めればよい。
また、通常、常圧下において再沈殿を行うが、再沈殿時の圧力は特に限定されず、適宜決めればよい。
再沈殿工程において、重合体溶液の滴下速度は特に限定されず、適宜決めればよい。通常、重合体溶液は、ゆっくりと滴下する方が好ましい。
再沈殿工程においては、重合体溶液の滴下開始時に、反応器内の再沈殿溶媒を攪拌レイノルズ数(Re)が1000〜1000000の範囲になるように攪拌することが好ましい。この攪拌レイノルズ数の範囲は、通常、液体が乱流状態になる範囲である。再沈殿溶媒の攪拌レイノルズ数(Re)は3000以上であることがより好ましく、10000以上であることが特に好ましい。再沈殿溶媒の攪拌レイノルズ数を上記の範囲にすることにより、滴下した重合体溶液を適切な粒子径(0.1〜5mm程度)に分散させて重合体中に残存する単量体および溶媒を効率よく取り除くことができ、さらに優れた性能を有するレジスト用重合体を得ることができる。また、装置上、再沈殿溶媒の攪拌レイノルズ数(Re)は200000以下であることがより好ましい。
反応器内の再沈殿溶媒の攪拌レイノルズ数(Re)の値は、重合体溶液の滴下時、常に上記の範囲内であることが好ましい。
そして、この再沈殿工程においては、重合体溶液を再沈殿溶媒中に滴下した後の全溶媒(沈殿物を除く全て)のSP値が30〜35[MPa1/2]になるようにする。
滴下以外の方法で重合体溶液を再沈殿溶媒に混合する場合も、重合体溶液を再沈殿溶媒に混合した後の全溶媒のSP値が上記の範囲内になるようにする。
重合体溶液の混合終了後(滴下終了後)、さらに所定時間、例えば、0.5〜1.5時間程度、反応器内のスラリーを攪拌しながら、反応器内のスラリーの温度を所定の温度、例えば、10〜60℃程度に保持することが好ましい。このようにすることにより、さらに優れた性能を有するレジスト用重合体を製造できることがある。
上記の再沈殿工程は、特に、親水性基を有する構成単位、例えば、水酸基、カルボキシ基などを有する構成単位を含有するレジスト用重合体の製造に適用した場合、より優れた効果を得ることができる。
再沈殿工程における析出物を濾別して得られるレジスト用重合体は、通常、再沈殿溶媒を多く含む湿粉である。そのため、前述の通り、必要に応じて、この含液率の高いレジスト用重合体を乾燥させる乾燥工程を行う。
乾燥工程は、従来の方法に従って行うこともできるが、以下のようにすることが好ましい。
まず最初、レジスト用重合体の含液率10%以上の領域では、レジスト用重合体の粉末温度が−30〜40℃となるように制御してレジスト用重合体を乾燥させる。このとき、レジスト用重合体の粉末温度は一定に保つ必要は必ずしもなく、上記の範囲内で変化させることもできる。
レジスト用重合体の含液率50%以上の領域では、レジスト用重合体の粉末温度が30℃未満となるように制御することがより好ましい。
そして、レジスト用重合体の含液率10%未満(0%も含む)の領域では、レジスト用重合体の粉末温度が30〜70℃となるように制御してレジスト用重合体を乾燥させる。このときも、レジスト用重合体の粉末温度は一定に保つ必要は必ずしもなく、上記の範囲内で変化させることもできる。
レジスト用重合体の含液率10%未満の領域では、レジスト用重合体の粉末温度が40℃以上となるように制御することがより好ましい。また、レジスト用重合体の含液率10%未満の領域では、レジスト用重合体の粉末温度が60℃以下となるように制御することがより好ましい。
ただし、この乾燥工程においては、レジスト用重合体の含液率10%以上の領域では、レジスト用重合体の含液率10%未満(0%も含む)の領域よりも低いレジスト用重合体の粉末温度でレジスト用重合体を乾燥させる。
ここで「レジスト用重合体の粉末温度」とは、レジスト用重合体そのものの温度であり、乾燥させるレジスト用重合体の温度にバラツキがある場合は、その中の最高温度のことをいう。通常、熱源に最も近い部分のレジスト用重合体の温度を「レジスト用重合体の粉末温度」という。
また、「レジスト用重合体の含液率」は、以下のようにして求める。
含液率=(レジスト用重合体の実際の質量−乾燥後の質量)×100/乾燥後の質量
ここで、乾燥後の質量とは、溶剤を含んでいる当該レジスト用重合体を0.1torrの減圧下、80℃で36時間以上真空乾燥した後の質量をいう。
乾燥工程において、レジスト用重合体は、空気中など、酸素含有ガス雰囲気中で乾燥させることもできるし、不活性ガス雰囲気中で乾燥させることもできる。また、レジスト用重合体は、常圧で乾燥させることもできるし、減圧下で乾燥させることもできる。
使用する乾燥装置としては特に限定されず、公知のものいずれをも用いることができる。
この方法において重要なのは、レジスト用重合体の含液率10%以上の領域では、レジスト用重合体の粉末温度が−30〜40℃となるように制御し、レジスト用重合体の含液率10%未満の領域では、レジスト用重合体の粉末温度が、レジスト用重合体の含液率10%以上の領域におけるレジスト用重合体の粉末温度よりも高温で、かつ、30〜70℃となるように制御してレジスト用重合体を乾燥させることである。このようにレジスト用重合体の粉末温度を制御してレジスト用重合体を乾燥させることにより、特に有機溶媒に対する溶解性、マイクロゲル(パーティクル)生成抑制の点で、さらに優れた性能を有するレジスト用重合体を製造することができる。また、レジスト用重合体の含液率が高い状態で高温にすることがないので、乾燥中に、レジスト用重合体が固結することも抑制される。固結とは、レジスト用重合体の一部が含まれる溶剤に溶解し、その後、レジスト用重合体の粉末同士が融着した状態で固化することをいう。
なお、乾燥時間は適宜決めればよい。
また、製造された重合体溶液はそのまま、または適当な溶剤で希釈してレジスト組成物として使うこともできる。その際、保存安定剤などの添加剤を適宜添加してもよい。
次に、本発明のレジスト用重合体の製造方法を適用可能なレジスト用重合体について説明する。
本発明は、レジスト用重合体として用いられる重合体すべてについて適用可能であるが、中でも、化学増幅型レジスト用重合体の製造に適用した場合に、より高い本発明の効果が得られる。
好適な化学増幅型レジスト用重合体は、通常、酸脱離性基を有する構成単位と、ラクトン骨格を有する構成単位とを含有する。ここで「酸脱離性基」とは、酸の作用により分解または脱離する基のことをいう。
なお、この化学増幅型レジスト用重合体において、酸脱離性基を有する構成単位、および、ラクトン骨格を有する構成単位は、それぞれ、全て同じである必要はなく、2種以上が混在するものであってもよい。また、この化学増幅型レジスト用重合体において、各構成単位は任意のシーケンスを取り得る。したがって、この化学増幅型レジスト用重合体は、ランダム共重合体であっても、交互共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。
また、この化学増幅型レジスト用重合体は、酸脱離性基を有する構成単位、および、ラクトン骨格を有する構成単位以外の構成単位を含有していてもよい。
上記の化学増幅型レジスト用重合体中の酸脱離性基を有する構成単位の比率は、感度および解像度の点から、合計で、30モル%以上が好ましい。また、上記の化学増幅型レジスト用重合体中の酸脱離性基を有する構成単位の比率は、基板表面との密着性の点から、合計で、60モル%以下が好ましい。
上記の化学増幅型レジスト用重合体中のラクトン骨格を有する構成単位の比率は、基板表面との密着性の点から、合計で、30モル%以上が好ましい。また、上記の化学増幅型レジスト用重合体中のラクトン骨格を有する構成単位の比率は、感度および解像度の点から、合計で、60モル%以下が好ましい。
酸脱離性基を有する構成単位について説明する。
酸脱離性基は、酸の作用により分解または脱離する基であれば特に限定されないが、レジストに必要とされるドライエッチング耐性が高い点から、脂環式骨格を有することが好ましい。
酸脱離性基を有する構成単位としては、レジストに必要とされるドライエッチング耐性が高い点から、脂環式骨格を有する構成単位であることが好ましい。脂環式骨格を有する構成単位とは、環状の炭化水素基を1個以上有する構造を有する構成単位である。このような構成単位は、通常、環状の炭化水素基が酸の作用により脱離する基である。
酸脱離性基を有する構成単位としては、レジストに必要とされるドライエッチング耐性が高い点から、下記式(3−1−1)で表される構成単位、下記式(3−2−1)で表される構成単位、下記式(3−3−1)で表される構成単位が特に好ましい。
(式(3−1−1)中、R31は水素原子またはメチル基を表し、R1は炭素数1〜3のアルキル基を表し、X1は、置換基としてヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基およびアミノ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基またはアミノ基を表し、n1は0〜4の整数を表す。なお、n1が2以上の場合にはX1として複数の異なる基を有することも含む。
式(3−2−1)中、R32は水素原子またはメチル基を表し、R2、R3はそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基を表し、X2は、置換基としてヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基およびアミノ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基またはアミノ基を表し、n2は0〜4の整数を表す。なお、n2が2以上の場合にはX2として複数の異なる基を有することも含む。
式(3−3−1)中、R33は水素原子またはメチル基を表し、R4は炭素数1〜3のアルキル基を表し、X3は、置換基としてヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基およびアミノ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基またはアミノ基を表し、n3は0〜4の整数を表し、qは0または1を表す。なお、n3が2以上の場合にはX3として複数の異なる基を有することも含む。)
なお、式(3−1−1)、式(3−2−1)および式(3−3−1)において、X1、X2およびX3で置換される位置は、環状構造のどの位置であってもよい。
式(3−1−1)中のR1としては、感度および解像度の点から、メチル基、エチル基、イソプロピル基が好ましい。
式(3−1−1)中のn1は、ドライエッチング耐性が高い点から、0であることが好ましい。
式(3−2−1)中のR2、R3としては、感度および解像度の点から、メチル基、エチル基、イソプロピル基が好ましい。
式(3−2−1)中のn2は、ドライエッチング耐性が高い点から、0であることが好ましい。
式(3−3−1)中のR4としては、感度および解像度の点から、メチル基、エチル基、イソプロピル基が好ましい。
式(3−3−1)中のn3は、ドライエッチング耐性が高い点から、0であることが好ましい。
式(3−3−1)中のqは、ドライエッチング耐性が高い点から、1であることが好ましい。
また、酸脱離性基を有する構成単位としては、高い感度および解像度が得られる点から、下記式(3−5)で表される構成単位も特に好ましい。
(式(3−5)中、R35は水素原子またはメチル基を表す。)
酸脱離性基を有する構成単位を重合体に導入するためには、酸脱離性基を有する単量体を重合(共重合も含む)すればよい。酸脱離性基を有する単量体は、1種、あるいは、必要に応じて2種以上を組み合わせて使用することができる。
酸脱離性基を有する単量体として、具体的には、下記式(9−1)〜(9−18)、(9−23)で表される単量体が挙げられる。式(9−1)〜(9−18)、(9−23)中、Rは水素原子またはメチル基を表す。
酸脱離性基を有する単量体としては、中でも、感度および解像度の点から、上記式(9−1)で表される単量体、上記式(9−2)で表される単量体、上記式(9−5)で表される単量体、上記式(9−16)で表される単量体、上記式(9−23)で表される単量体あるいはこの幾何異性体、および、これらの光学異性体がより好ましく、上記式(9−1)で表される単量体、上記式(9−2)で表される単量体が特に好ましい。
ラクトン骨格を有する構成単位について説明する。
ラクトン骨格を有する構成単位が酸により脱離する保護基を有している場合、より優れた感度を有する。また、ラクトン骨格を有する構成単位が高い炭素密度、つまり構成単位中の全原子数に対する炭素原子数の割合が高い場合、より優れたドライエッチング耐性を有する。
ラクトン骨格を有する構成単位としては、感度あるいはドライエッチング耐性の点から、下記式(4−1)で表される構成単位、下記式(4−2)で表される構成単位、下記式(4−3)で表される構成単位、下記式(4−4)で表される構成単位、下記式(4−5)で表される構成単位、下記式(4−6)で表される構成単位、下記式(4−10)で表される構成単位が好ましい。
(式(4−1)中、R41は水素原子またはメチル基を表し、R401、R402はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基または炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基を表すか、あるいは、R401とR402とが一緒になって−O−、−S−、−NH−または炭素数1〜6のメチレン鎖[−(CH2)j−(jは1〜6の整数を表す)]を表し、iは0または1を表し、X5は、置換基としてヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基、シアノ基およびアミノ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基またはアミノ基を表し、n5は0〜4の整数を表し、mは1または2を表す。なお、n5が2以上の場合にはX5として複数の異なる基を有することも含む。
式(4−2)中、R42は水素原子またはメチル基を表し、R201、R202はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基または炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基を表し、A1とA2とが一緒になって−O−、−S−、−NH−または炭素数1〜6のメチレン鎖[−(CH2)k−(kは1〜6の整数を表す)]を表す。X6は、置換基としてヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基、シアノ基およびアミノ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基またはアミノ基を表し、n6は0〜4の整数を表す。なお、n6が2以上の場合にはX6として複数の異なる基を有することも含む。
式(4−3)中、R43は水素原子またはメチル基を表し、R203、R204はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基または炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基を表し、A3、A4はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基または炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基を表すか、あるいは、A3とA4とが一緒になって−O−、−S−、−NH−または炭素数1〜6のメチレン鎖[−(CH2)l−(lは1〜6の整数を表す)]を表す。X7は、置換基としてヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基、シアノ基およびアミノ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基またはアミノ基を表し、n7は0〜4の整数を表す。なお、n7が2以上の場合にはX7として複数の異なる基を有することも含む。
式(4−4)中、R44は水素原子またはメチル基を表し、R51、R61、R71はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表す。Y11、Y21、Y31はそれぞれ独立に−CH2−または−CO−O−を表し、そのうち少なくとも一つは−CO−O−を表す。X8は、置換基としてヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基、シアノ基およびアミノ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基またはアミノ基を表し、n8は0〜4の整数を表す。なお、n8が2以上の場合にはX8として複数の異なる基を有することも含む。
式(4−5)中、R45は水素原子またはメチル基を表し、R8、R9はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜8の直鎖もしくは分岐アルキル基を表し、R52、R62、R72はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表す。Y12、Y22、Y32はそれぞれ独立に−CH2−または−CO−O−を表し、そのうち少なくとも一つは−CO−O−を表す。X9は、置換基としてヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基、シアノ基およびアミノ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基またはアミノ基を表し、n9は0〜4の整数を表す。なお、n9が2以上の場合にはX9として複数の異なる基を有することも含む。
式(4−6)中、R46は水素原子またはメチル基を表し、R10は水素原子または炭素数1〜8の直鎖もしくは分岐アルキル基を表し、R53、R63、R73はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表す。Y13、Y23、Y33はそれぞれ独立に−CH2−または−CO−O−を表し、そのうち少なくとも一つは−CO−O−を表す。X10は、置換基としてヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基、シアノ基およびアミノ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基またはアミノ基を表し、n10は0〜4の整数を表す。なお、n10が2以上の場合にはX10として複数の異なる基を有することも含む。
式(4−10)中、R91、R92、R93、R94はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基または炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基を表すか、あるいは、R91とR92とが一緒になって−O−、−S−、−NH−または炭素数1〜6のメチレン鎖[−(CH2)t−(tは1〜6の整数を表す)]を表し、m1は1または2を表す。)
なお、式(4−1)、式(4−2)、式(4−3)、式(4−4)、式(4−5)および式(4−6)において、X5、X6、X7、X8、X9およびX10で置換される位置は、環状構造のどの位置であってもよい。
式(4−1)中のn5は、ドライエッチング耐性が高い点から、0であることが好ましい。
式(4−1)中のmは、感度および解像度の点から、1であることが好ましい。
式(4−2)中のA1、A2としては、ドライエッチング耐性が高い点から、−CH2−が好ましく、有機溶媒への溶解性が高い点から、−O−が好ましい。
式(4−2)中のR201、R202としては、有機溶媒への溶解性が高い点から、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基が好ましい。
式(4−2)中のn6は、ドライエッチング耐性が高い点から、0であることが好ましい。
式(4−3)中のA3、A4としては、ドライエッチング耐性が高い点から、−CH2−が好ましく、有機溶媒への溶解性が高い点から、−O−が好ましい。
式(4−3)中のR203、R204としては、有機溶媒への溶解性が高い点から、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基が好ましい。
式(4−3)中のn7は、ドライエッチング耐性が高い点から、0であることが好ましい。
式(4−4)中のR51、R61、R71としては、有機溶媒への溶解性が高い点から、水素原子が好ましい。
式(4−4)中のY11、Y21、Y31としては、金属表面等への密着性が高い点から、一つが−CO−O−であり、残りの二つが−CH2−であることが好ましい。
式(4−4)中のn8は、ドライエッチング耐性が高い点から、0であることが好ましい。
式(4−5)中のR8、R9としては、感度および解像度の点から、メチル基、エチル基、イソプロピル基が好ましい。
式(4−5)中のR52、R62、R72としては、有機溶媒への溶解性が高い点から、水素原子が好ましい。
式(4−5)中のY12、Y22、Y32としては、金属表面等への密着性が高い点から、一つが−CO−O−であり、残りの二つが−CH2−であることが好ましい。
式(4−5)中のn9は、ドライエッチング耐性が高い点から、0であることが好ましい。
式(4−6)中のR10としては、感度および解像度の点から、メチル基、エチル基、イソプロピル基が好ましい。
式(4−6)中のR53、R63、R73としては、有機溶媒への溶解性が高い点から、水素原子が好ましい。
式(4−6)中のY13、Y23、Y33としては、金属表面等への密着性が高い点から、一つが−CO−O−であり、残りの二つが−CH2−であることが好ましい。
式(4−6)中のn10は、ドライエッチング耐性が高い点から、0であることが好ましい。
式(4−10)中、R91、R92、R93、R94としては、有機溶媒への溶解性が高い点から、水素原子、メチル基が好ましい。
式(4−10)中のm1は、感度および解像度の点から、1であることが好ましい。
ラクトン骨格を有する構成単位を重合体に導入するためには、ラクトン骨格を有する単量体を共重合すればよい。ラクトン骨格を有する単量体は、1種、あるいは、必要に応じて2種以上を組み合わせて使用することができる。
ラクトン骨格を有する単量体としては、例えば、δ−バレロラクトン環を有する(メタ)アクリル酸誘導体、γ−ブチロラクトン環を有する(メタ)アクリル酸誘導体、多環式ラクトンを有する(メタ)アクリル酸誘導体、および、これらの化合物のラクトン環上に置換基を有する誘導体が挙げられる。
ラクトン骨格を有する単量体として、具体的には、下記式(10−1)〜(10−24)、(10−41)で表される単量体が挙げられる。式(10−1)〜(10−24)、(10−41)中、Rは水素原子またはメチル基を表す。
ラクトン骨格を有する単量体としては、中でも、感度の点から、上記式(10−1)で表される単量体、上記式(10−2)で表される単量体、上記式(10−41)で表される単量体、および、その光学異性体がより好ましく、ドライエッチング耐性の点から、上記式(10−6)で表される単量体、上記式(10−10)で表される単量体、上記式(10−14)で表される単量体、上記式(10−18)で表される単量体、上記式(10−21)で表される単量体、および、これらの幾何異性体、光学異性体がより好ましく、レジスト溶媒への溶解性の点から、上記式(10−7)で表される単量体、上記式(10−11)で表される単量体、上記式(10−15)で表される単量体、上記式(10−19)で表される単量体、および、これらの幾何異性体、光学異性体がより好ましい。
本発明により製造される化学増幅型レジスト用重合体は、さらに、上記以外の構成単位を含有していてもよい。すなわち、本発明においては、酸脱離性基を有する単量体およびラクトン骨格を有する単量体以外の共重合可能な他の単量体を共重合して化学増幅型レジスト用重合体を製造してもよい。
本発明により製造される化学増幅型レジスト用重合体は、例えば、酸脱離性基を有しない、脂環式骨格を有する構成単位1種以上を含有することができる。
脂環式骨格を有する構成単位を含有する化学増幅型レジスト用重合体は、ドライエッチング耐性に優れている。さらには、これらの構成単位が水酸基を有している場合、より優れたレジストパターン形状が得られる。
また、本発明により製造される化学増幅型レジスト用重合体は、親水性基を有する構成単位1種以上を含有することもできる。なお、上記の脂環式骨格を有する構成単位が水酸基を有している場合、この構成単位は親水性基を有する構成単位である。
親水性基を有する構成単位を含有する化学増幅型レジスト用重合体は、現像液への溶解性に優れており、得られるレジストパターン形状が良好である。
親水性基を有する構成単位を重合体に導入するためには、親水性基を有する単量体を含むモノマー組成物を共重合すればよい。親水性基を有する単量体は、1種、あるいは、必要に応じて2種以上を組み合わせて使用することができる。
親水性基を有する単量体としては、例えば、末端ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレート、および、これらの単量体の親水性基上にアルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基等の置換基を有する誘導体や、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、1−イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−メチルアダマンタン、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−エチルアダマンタン等の環式炭化水素基が置換基としてヒドロキシ基、カルボキシ基等の親水性基を有する単量体が挙げられる。
このような親水性基を有する単量体として、具体的には、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ−n−プロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、1−メタクリロイルオキシ−3−ヒドロキシアダマンタン等が挙げられる。
親水性基を有する単量体としては、中でも、レジスト組成物材料に使用したときの重合体の基板に対する密着性の点から、1−メタクリロイルオキシ−3−ヒドロキシアダマンタン等が好ましい。
親水性基を有する構成単位1種以上を含有する場合、通常、レジスト用重合体中の親水性基を有する構成単位の比率は、合計で、30モル%以下が好ましい。
また、本発明により製造される化学増幅型レジスト用重合体は、シアノ基を有する構成単位1種以上を含有することもできる。
シアノ基を有する構成単位を含有する化学増幅型レジスト用重合体は、レジストパターンの形状が良好になり、基板との密着性が向上し、ラインエッジラフネスの発生およびマイクロゲルの生成も抑制される。
シアノ基を有する構成単位としては、エッチング耐性の点から、下記式(1)で表される構成単位が好ましい。
(式(1)中、R01は水素原子またはメチル基を表し、R02は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、Zは、エステル結合している炭素原子およびシアノ基の結合した炭素原子とともに、環式炭化水素基を構成する原子団を表し、pは1〜4の整数を表す。
ただし、pが2以上の場合には、シアノ基が同一の炭素原子に結合していることも、異なる炭素原子に結合していることも含む。)
前記式(1)で表される構成単位を重合体に導入するためには、下記式(5)で表されるシアノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体を含むモノマー組成物を共重合すればよい。下記式(5)で表される(メタ)アクリル酸エステル誘導体は、1種、あるいは、必要に応じて2種以上を組み合わせて使用することができる。
(式(5)中、R01は水素原子またはメチル基を表し、R02は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、Zは、エステル結合している炭素原子およびシアノ基の結合した炭素原子とともに、環式炭化水素基を構成する原子団を表し、pは1〜4の整数を表す。
ただし、pが2以上の場合には、シアノ基が同一の炭素原子に結合していることも、異なる炭素原子に結合していることも含む。)
なお、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸とメタクリル酸の総称である。
式(5)中、R02は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。アルキル基は、直鎖状であっても、分岐していてもよい。このようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などが挙げられる。R02としては、中でも、有機溶媒への溶解性の点から、水素原子またはメチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。また、重合体の安定性、取扱いの容易さの点からも、水素原子が特に好ましい。
式(5)中、Zは、エステル結合している炭素原子およびシアノ基の結合した炭素原子とともに、環式炭化水素基、好ましくは橋かけ環式炭化水素基を構成する原子団を表す。環式炭化水素基の炭素数は特に限定されないが、7〜20が好ましい。この環式炭化水素基は、シアノ基以外に、置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基およびアミノ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルコールでエステル化されたカルボキシ基、アミノ基などが挙げられる。
式(5)中のZとしては、レジストに必要とされるドライエッチング耐性が高い点から、エステル結合している炭素原子およびシアノ基の結合した炭素原子とともに、橋かけ環式炭化水素基を構成する原子団であることが好ましい。
式(5)中のZとしては、例えば、ノルボルナン環などの環式テルペン炭化水素、アダマンタン環、テトラシクロドデカン環、ジシクロペンタン環、トリシクロデカン環、デカヒドロナフタレン環、ポリヒドロアントラセン環、ショウノウ環、コレステリック環等を有する原子団が挙げられる。Zとしては、レジストに必要とされるドライエッチング耐性が高い点から、ノルボルナン環などの環式テルペン炭化水素、アダマンタン環、テトラシクロドデカン環、ジシクロペンタン環またはトリシクロデカン環を有する原子団が好ましく、下記式(11−1)で表されるノルボルナン環、下記式(11−2)で表されるテトラシクロドデカン環または下記式(11−3)で表されるアダマンタン環を有する原子団がより好ましい。中でも、他の単量体との共重合性に優れる点から、ノルボルナン環を有する原子団が特に好ましい。
式(5)中、pは環式炭化水素基が有するシアノ基の数を表し、1〜4の整数である。pは、感度および解像度の点から、1または2であることが好ましく、1であることがより好ましい。
pが2以上の場合、シアノ基は同一の炭素原子に結合していてもよく、異なる炭素原子に結合していてもよいが、金属表面等への密着性の点から、異なる炭素原子に結合していることが好ましい。
シアノ基の置換位置は特に限定されないが、例えば、Zがノルボルニル環の場合、5位が(メタ)アクリロイル基で置換されていれば、シアノ基の置換位置は2位および/または3位であることが好ましい。
上記式(5)で表される単量体として、具体的には、下記式(6−1)〜(6−6)で表される単量体が挙げられる。式(6−1)〜(6−6)中、Rは水素原子またはメチル基を表す。
上記式(5)で表される単量体としては、中でも、ドライエッチング耐性の点から、上記式(6−1)で表される単量体、上記式(6−3)で表される単量体、上記式(6−4)で表される単量体、上記式(6−6)で表される単量体が好ましく、上記式(6−1)で表される単量体、上記式(6−4)で表される単量体、上記式(6−6)で表される単量体がより好ましく、他の単量体との共重合性に優れる点から、上記式(6−1)で表される単量体が特に好ましい。
また、前記式(1)で表される構成単位として、下記式(1−1)で表される構成単位が挙げられる。
(式(1−1)中、R01は水素原子またはメチル基を表し、R03は水素原子または炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基を表す。A01、A02はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐アルキル基を表すか、あるいは、A01とA02とが一緒になって−O−、−S−、−NH−または炭素数1〜6のアルキレン鎖を表す。)
前記式(1−1)で表される構成単位を重合体に導入するためには、下記式(5−1)で表されるシアノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体を含むモノマー組成物を共重合すればよい。下記式(5−1)で表される(メタ)アクリル酸エステル誘導体は、1種、あるいは、必要に応じて2種以上を組み合わせて使用することができる。
(式(5−1)中、R01は水素原子またはメチル基を表し、R03は水素原子または炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基を表す。A01、A02はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐アルキル基を表すか、あるいは、A01とA02とが一緒になって−O−、−S−、−NH−または炭素数1〜6のアルキレン鎖を表す。)
式(5−1)中、R03は水素原子または炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐アルキル基を表す。R03としては、他の単量体との共重合性に優れる点から、エチル基、メチル基、水素原子が好ましく、メチル基がより好ましい。
式(5−1)中、A01、A02はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐アルキル基を表すか、あるいは、A01とA02とが一緒になって−O−、−S−、−NH−または炭素数1〜6のアルキレン鎖を表す。A01とA02としては、溶剤への溶解性に優れる点から、A01とA02とがともに水素原子であることが好ましく、ドライエッチング耐性に優れる点から、A01とA02とが一緒になって−CH2−または−CH2−CH2−を形成していることが好ましい。
上記式(5−1)で表される単量体として、具体的には、下記式(6−17)〜(6−18)で表される単量体が挙げられる。式(6−17)〜(6−18)中、Rは水素原子またはメチル基を表す。
このような上記式(5)で表されるシアノ基含有(メタ)アクリル酸エステル誘導体は、例えば、下記の工程(I)あるいは(II)にて製造することができる。下記の工程(I)は、上記式(6−1)で表される単量体の製造工程を、下記の工程(II)は、上記式(6−17)で表される単量体の製造工程を示しているが、その他の上記式(5)で表される単量体も同様にして製造することができる。
原料である(メタ)アクリロニトリル、シクロペンタジエン、2−メトキシブタジエン、(メタ)アクリル酸およびその誘導体などは公知の方法で製造することができ、また、市販品を使用することもできる。
(メタ)アクリロニトリルとシクロペンタジエンあるいは2−メトキシブタジエンとの環化付加反応は、公知の方法にて容易に進行するが、必要に応じてルイス酸などの触媒を使用し、無溶媒またはメタノールなどの溶媒中で行うことが好ましい。
アクリル酸あるいはメタクリル酸の不飽和結合への付加反応は、好ましくは酸触媒を使用し、無溶媒またはトルエンなどの溶媒中で、過剰のアクリル酸あるいはメタクリル酸を使用して行うことが好ましい。この付加反応において使用される酸触媒は特に限定されないが、塩酸、硫酸、硝酸、p−トルエンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸などが挙げられる。酸触媒としては、中でも、反応速度の点から、硫酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸が好ましく、トリフルオロメタンスルホン酸がより好ましい。
上記反応の生成物は、いくつかの幾何異性体、光学異性体を含む場合があるが、本発明においては、2種以上の異性体の混合物を用いてもよいし、精製していずれかの異性体を単独で用いてもよい。本発明においては、異性体の混合物のまま重合反応に使用することができる。また、反応中間体を含んでいてもそのまま重合反応に使用することができる。
上記式(1)で表される構成単位1種以上を含有する場合、レジスト用重合体中の上記式(1)で表される構成単位の比率は、レジストパターン形状が良好である点から、合計で、5モル%以上が好ましく、10モル%以上がより好ましい。また、この場合、レジスト用重合体中の上記式(1)で表される構成単位の比率は、感度および解像度の点から、合計で、30モル%以下が好ましく、25モル%以下がより好ましい。
上記式(1)で表される構成単位1種以上を含有する場合、レジスト用重合体中の酸脱離性基を有する構成単位の比率は、感度および解像度の点から、合計で、30モル%以上が好ましく、35モル%以上がより好ましい。また、この場合、レジスト用重合体中の酸脱離性基を有する構成単位の比率は、金属表面等への密着性の点から、合計で、60モル%以下が好ましく、50モル%以下がより好ましい。
上記式(1)で表される構成単位1種以上を含有する場合、レジスト用重合体中のラクトン骨格を有する構成単位の比率は、金属表面等への密着性の点から、合計で、30モル%以上が好ましく、35モル%以上がより好ましい。また、この場合、レジスト用重合体中のラクトン骨格を有する構成単位の比率は、感度および解像度の点から、合計で、60モル%以下が好ましく、50モル%以下がより好ましい。
また、それ以外の共重合可能な他の単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル等の直鎖または分岐構造を持つ(メタ)アクリル酸エステル;
マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸およびカルボン酸無水物;
エチレン、プロピレン、ノルボルネン、テトラフルオロエチレン、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、塩化ビニル、エチレン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ビニルピロリドン等
が挙げられる。これらの単量体は、必要に応じて1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
通常、これらの他の単量体は、単量体成分全体に対して20モル%以下の範囲で用いることが好ましい。
本発明は、特に、以下のような化学増幅型レジスト用重合体の製造に適用した場合、より優れた本発明の効果を得ることができる。
酸脱離性基を有する構成単位が2−メタクリロイルオキシ−2−メチルアダマンタン(MAdMA)に由来する構成単位である重合体としては、β−メタクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン(HGBMA)に由来する構成単位とMAdMAに由来する構成単位とから成る重合体[p(HGBMA/MAdMA)]、HGBMAに由来する構成単位とMAdMAに由来する構成単位と1−メタクリロイルオキシ−3−ヒドロキシアダマンタン(HAdMA)に由来する構成単位とから成る重合体[p(HGBMA/MAdMA/HAdMA)]、8−または9−メタクリロイルオキシ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.0.2,6]デカン−3−オン(OTDMA)に由来する構成単位とMAdMAに由来する構成単位とHAdMAに由来する構成単位とから成る重合体[p(OTDMA/MAdMA/HAdMA)]、HGBMAに由来する構成単位とMAdMAに由来する構成単位と2−または3−シアノ−5−ノルボルニルメタクリレート(CNNMA)に由来する構成単位とから成る重合体[p(HGBMA/MAdMA/CNNMA)]、OTDMAに由来する構成単位とMAdMAに由来する構成単位とCNNMAに由来する構成単位とから成る重合体[p(OTDMA/MAdMA/CNNMA)]、2−exo−メタクリロイルオキシ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−5−オン(OTNMA)に由来する構成単位とMAdMAに由来する構成単位とHGBMAに由来する構成単位とから成る重合体[p(OTNMA/MAdMA/HGBMA)]等の共重合体が挙げられる。
酸脱離性基を有する構成単位がtert−ブチルメタクリレート(TBMA)に由来する構成単位である重合体としては、HGBMAに由来する構成単位とTBMAに由来する構成単位とから成る重合体[p(HGBMA/TBMA)]、HGBMAに由来する構成単位とTBMAに由来する構成単位とHAdMAに由来する構成単位とから成る重合体[p(HGBMA/TBMA/HAdMA)]、OTDMAに由来する構成単位とTBMAに由来する構成単位とHAdMAに由来する構成単位とから成る重合体[p(OTDMA/TBMA/HAdMA)]、HGBMAに由来する構成単位とTBMAに由来する構成単位とCNNMAに由来する構成単位とから成る重合体[p(HGBMA/TBMA/CNNMA)]、OTDMAに由来する構成単位とTBMAに由来する構成単位とCNNMAに由来する構成単位とから成る重合体[p(OTDMA/TBMA/CNNMA)]、OTNMAに由来する構成単位とTBMAに由来する構成単位とHGBMAに由来する構成単位とから成る重合体[p(OTNMA/TBMA/HGBMA)]等の共重合体が挙げられる。
酸脱離性基を有する構成単位が4−メタクリロイルオキシ−4−エチル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカン(EDMA)に由来する構成単位である重合体としては、HGBMAに由来する構成単位とEDMAに由来する構成単位とから成る重合体[p(HGBMA/EDMA)]、HGBMAに由来する構成単位とEDMAに由来する構成単位とHAdMAに由来する構成単位とから成る重合体[p(HGBMA/EDMA/HAdMA)]、OTDMAに由来する構成単位とEDMAに由来する構成単位とHAdMAに由来する構成単位とから成る重合体[p(OTDMA/EDMA/HAdMA)]、HGBMAに由来する構成単位とEDMAに由来する構成単位とCNNMAに由来する構成単位とから成る重合体[p(HGBMA/EDMA/CNNMA)]、OTDMAに由来する構成単位とEDMAに由来する構成単位とCNNMAに由来する構成単位とから成る重合体[p(OTDMA/EDMA/CNNMA)]、OTNMAに由来する構成単位とEDMAに由来する構成単位とHGBMAに由来する構成単位とから成る重合体[p(OTNMA/EDMA/HGBMA)]等の共重合体が挙げられる。
p(HGBMA/MAdMA)、p(HGBMA/TBMA)およびp(HGBMA/EDMA)において、共重合組成比は、ラクトン骨格を有する構成単位(HGBMA):酸脱離性基を有する構成単位(MAdMA、TBMAまたはEDMA)=40〜60:60〜40(モル比)が好ましい。
p(OTNMA/MAdMA/HGBMA)、p(OTNMA/TBMA/HGBMA)およびp(OTNMA/EDMA/HGBMA)において、共重合組成比は、OTNMA:酸脱離性基を有する構成単位(MAdMA、TBMAまたはEDMA):HGBMA=30〜60:30〜60:5〜30(モル比)が好ましい。
p(HGBMA/MAdMA/HAdMA)、p(OTDMA/MAdMA/HAdMA)、p(HGBMA/MAdMA/CNNMA)、p(OTDMA/MAdMA/CNNMA)、p(HGBMA/TBMA/HAdMA)、p(OTDMA/TBMA/HAdMA)、p(HGBMA/TBMA/CNNMA)、p(OTDMA/TBMA/CNNMA)、p(HGBMA/EDMA/HAdMA)、p(OTDMA/EDMA/HAdMA)、p(HGBMA/EDMA/CNNMA)およびp(OTDMA/EDMA/CNNMA)において、共重合組成比は、ラクトン骨格を有する構成単位(HGBMAまたはOTDMA):酸脱離性基を有する構成単位(MAdMA、TBMAまたはEDMA):親水性基を有する構成単位(HAdMA)またはシアノ基を有する構成単位(CNNMA)=30〜60:30〜60:5〜30(モル比)が好ましい。
本発明により製造されるレジスト用重合体の質量平均分子量は特に限定されないが、ドライエッチング耐性およびレジスト形状の点から、1,000以上であることが好ましく、2,000以上であることがより好ましく、4,000以上であることが特に好ましい。また、本発明により製造されるレジスト用重合体の質量平均分子量は、レジスト溶液に対する溶解性および解像度の点から、100,000以下であることが好ましく、50,000以下であることがより好ましく、30,000以下であることが特に好ましい。また、含有するラクトン骨格を有する構成単位の種類によっては、例えば、OTNMAに由来する構成単位である場合は、レジスト用重合体の質量平均分子量は、レジスト溶液に対する溶解性の点から、8,000以下であることがさらに好ましい。
なお、本発明により製造されるレジスト用重合体において、各構成単位は任意のシーケンスを取り得る。したがって、この重合体は、共重合体の場合、ランダム共重合体であっても、交互共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。
上記のような本発明の製造方法により得られるレジスト用重合体を溶剤に溶解させることにより、レジスト組成物を得ることができる。また、上記のような本発明の製造方法により得られるレジスト用重合体および光酸発生剤を溶剤に溶解させることにより、化学増幅型レジスト組成物を得ることができる。レジスト用重合体は、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
レジスト組成物において、レジスト用重合体を溶解させる溶剤は目的に応じて任意に選択される。
溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ペンタノン、2−ヘキサノン等の直鎖もしくは分岐鎖ケトン類;シクロペンタノン、シクロヘキサノン等の環状ケトン類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルアセテート類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等のジエチレングリコールアルキルエーテル類;酢酸エチル、乳酸エチル等のエステル類;n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、シクロヘキサノール、1−オクタノール等のアルコール類;1,4−ジオキサン、炭酸エチレン、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。これらの溶剤は、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
溶剤の含有量は、通常、レジスト用重合体100質量部に対して200質量部以上であり、300質量部以上であることがより好ましい。また、溶剤の含有量は、通常、レジスト用重合体100質量部に対して5000質量部以下であり、2000質量部以下であることがより好ましい。
レジスト用重合体を化学増幅型レジストに使用する場合は、光酸発生剤を用いることが必要である。
化学増幅型レジスト組成物に含有される光酸発生剤は、化学増幅型レジスト組成物の酸発生剤として使用可能なものの中から任意に選択することができる。光酸発生剤は、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
このような光酸発生剤としては、例えば、オニウム塩化合物、スルホンイミド化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、キノンジアジド化合物、ジアゾメタン化合物等が挙げられる。光酸発生剤としては、中でも、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ピリジニウム塩等のオニウム塩化合物が好ましく、具体的には、トリフェニルスルホニウムトリフレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムナフタレンスルホネート、(ヒドロキシフェニル)ベンジルメチルスルホニウムトルエンスルホネート、ジフェニルヨードニウムトリフレート、ジフェニルヨードニウムピレンスルホネート、ジフェニルヨードニウムドデシルベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、p−メチルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート、トリ(tert−ブチルフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート等が挙げられる。
光酸発生剤の含有量は、選択された光酸発生剤の種類により適宜決められるが、通常、レジスト用重合体100質量部に対して0.1質量部以上であり、0.5質量部以上であることがより好ましい。光酸発生剤の含有量をこの範囲にすることにより、露光により発生した酸の触媒作用による化学反応を十分に生起させることができる。また、光酸発生剤の含有量は、通常、レジスト用重合体100質量部に対して20質量部以下であり、10質量部以下であることがより好ましい。光酸発生剤の含有量をこの範囲にすることにより、レジスト組成物の安定性が向上し、組成物を塗布する際の塗布むらや現像時のスカム等の発生が十分に少なくなる。
さらに、レジスト組成物には、必要に応じて、界面活性剤、その他のクエンチャー、増感剤、ハレーション防止剤、保存安定剤、消泡剤等の各種添加剤を配合することもできる。これらの添加剤は、当該分野で公知のものであればいずれも使用可能である。また、これらの添加剤の配合量は特に限定されず、適宜決めればよい。
次に、このレジスト組成物を用いたパターン形成方法の一例について説明する。
最初に、パターンを形成するシリコンウエハー等の被加工基板の表面に、レジスト組成物をスピンコート等により塗布する。そして、このレジスト組成物が塗布された被加工基板は、ベーキング処理(プリベーク)等で乾燥し、基板上にレジスト膜を形成する。
次いで、このようにして得られたレジスト膜に、フォトマスクを介して、250nm以下の波長の光を照射する(露光)。露光に用いる光は、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザーまたはF2エキシマレーザーであることが好ましく、特にArFエキシマレーザーであることが好ましい。また、電子線で露光することも好ましい。
露光後、適宜熱処理(露光後ベーク、PEB)し、基板をアルカリ現像液に浸漬して、露光部分を現像液に溶解除去する(現像)。アルカリ現像液は公知のものいずれを用いてもよい。そして、現像後、基板を純水等で適宜リンス処理する。このようにして被加工基板上にレジストパターンが形成される。
通常、レジストパターンが形成された被加工基板は、適宜熱処理(ポストベーク)してレジストを強化し、レジストのない部分を選択的にエッチングする。エッチングを行った後、レジストは、通常、剥離剤を用いて除去される。