JP2005319882A - タイヤとクローラ装置とを交換可能な作業車両 - Google Patents
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Abstract
【課題】 タイヤ19とクローラ装置25とを交換可能な作業車両10は、タイヤからクローラ装置に交換した際には、車両部11の走行装置への設定変更をそれぞれの装置ごとに個別に切替えを行っていた。そのため、その切替え作業が煩雑なだけでなく、切替えを忘れることによって車両部11の装置に損傷が発生する等の恐れもあった。
【解決手段】 タイヤ装着モードとクローラ装着モードとを切替え可能な走行モード手動切替スイッチ32あるいは、車両部11にタイヤ装着しているかクローラ装置装着しているかを検出可能なタイヤ・クローラ装置検出手段40を備えるようにし、さらに当該走行モード切替スイッチ32あるいはタイヤ・クローラ装置検出手段40から出力される走行モード信号により車両部の走行装置の設定を一括して切替えるようにした。
【選択図】 図6
【解決手段】 タイヤ装着モードとクローラ装着モードとを切替え可能な走行モード手動切替スイッチ32あるいは、車両部11にタイヤ装着しているかクローラ装置装着しているかを検出可能なタイヤ・クローラ装置検出手段40を備えるようにし、さらに当該走行モード切替スイッチ32あるいはタイヤ・クローラ装置検出手段40から出力される走行モード信号により車両部の走行装置の設定を一括して切替えるようにした。
【選択図】 図6
Description
本発明は、タイヤとクローラ装置とを交換可能な作業車両において、車両部の走行装置の設定を切替える技術に関するものである。
ホイールクレーン等の作業車両のタイヤに代わってクローラ装置を装着することにより、不整地での走破性及び走行安定性を向上させる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1に記載された作業車両は、通常の作業車両ではタイヤが装着される個所に1個のそれぞれ独立したクローラ装置が装着されている。図11に示した特許文献1記載のクローラ装置1は、駆動装置により回転駆動されるスプロケット2と、トラックフレーム3に回転自在に配列されたアイドラ4、5と、前記スプロケット2及びアイドラ4,5に巻装されたクローラ6とを有している。
タイヤからクローラ装置1への交換作業にあたっては、まず、作業車両の車軸のホイールナットを外してタイヤのホイールと車軸のハブとの固定を解除し、タイヤを車両部から取り外す。次に、上記クローラ装置1を車軸の所定位置に配置した上で、クローラ装置1の前記スプロケットを車軸のハブに対してホイールナットを締め付けることにより固定する。クローラ装置1からタイヤへの交換は上記作業を逆に行えばよく、以上の作業によって、比較的簡単にタイヤからクローラ装置1への交換が可能である。
そのため、例えば作業現場までの一般道路の走行はタイヤを用いて高速走行し、作業現場ではタイヤからクローラ装置1に交換することにより作業車両の走破性及び走行安定性を高めるといったように、タイヤとクローラ装置1の特性に応じた使い分けが可能である。
特開平11−291960号公報(第8頁、第18図)
タイヤからクローラ装置に交換した場合、あるいは逆にクローラ装置からタイヤに交換した場合には、車両部の走行装置に以下のような影響を与えるため車両部の設定を切替える必要があった。
クローラ装置は、不整地での走行のための装置であって低速走行用に設計されているため、作業車両に取付けた際には所定の速度以上とならないよう速度規制が必要である。また、タイヤとクローラ装置とでは、車両部に装着した時の走行抵抗、駆動力等が異なるため、それに応じた変速操作が必要になる。そのため、車両部の走行駆動装置がトルクコンバータを内蔵する自動変速装置の場合は、その変速シフトパターン又はロックアップポイントを切替えることが必要になる。
タイヤとクローラ装置とでは、車軸のハブが1回転すると車両部が進む距離が異なっている。そのため、車両部の運転室の速度メータが、走行駆動装置のトランスミッションの出力軸回転数を検出し速度に変換してメータ表示するものである場合には、前記出力軸回転数に対するメータ表示速度の変換率を切替えることが必要となる。
タイヤとクローラ装置とでは、固有の特性としてのバネ特性と減衰特性が異なっているため、車両部のサスペンション装置と組み合わされたときの全体としてのサスペンション特性が異なってしまう。そのため、車両部のサスペンション装置が、そのサスペンション特性(バネ特性、減衰特性)を切替え可能なものである場合は、タイヤが装着されているかクローラ装置が装着されているかでそのサスペンション特性を切替えることにより全体としてのサスペンション特性を作業車両に適したものとすることが可能となる。
タイヤとクローラ装置とでは、車両部に取付けた際の車軸のハブ中心から地面までの距離が異なるため、そのままでは作業車両の車高が異なってしまう。また、タイヤによる高速走行時とクローラ装置による低速走行時とは、その車高を切替えることが必要となる場合もある。そこで、車両部のサスペンション装置が走行時車高変更機能を備えたものである場合は、走行時車高を切替えることが必要となる。
タイヤとクローラ装置とでは、その外形寸法が異なると共に、車両部に取付けた際のトレッド寸法も異なるため、操舵した際の車両部の各部との所定の隙間を確保するためにその最大操舵角度を切替える必要が生じる。そこで、車両部のステアリング装置が、最大操舵角度変更機能を備えたものである場合は、最大操舵角度を切替えることが必要となる。
運転室からは装着状態のタイヤ又はクローラ装置を視認できないため、運転室内でその時装着されているのが、タイヤであるかクローラ装置であるのかが表示されると運転に便利である。また、上述した車両部の走行装置の設定がどうなっているのかについても運転室内で表示されると便利である。そこで、車両部の運転室に走行モード表示インジケータを備え、タイヤ走行モードであるかクローラ装置走行モードであるかを表示することが望まれる。
ところが、従来のタイヤとクローラ装置とを交換可能な作業車両は、タイヤからクローラ装置に交換した際には、上記車両部の走行装置への設定変更をそれぞれの装置ごとに個別に切替えを行っていた。そのため、その切替え作業が煩雑なだけでなく、切替えを忘れることによって車両部の関係装置に損傷が発生する等の恐れもあった。
そこで、本発明は、タイヤ走行モードとクローラ走行モードとを切替え可能な走行モード手動切替えスイッチあるいは、車両部にタイヤ装着しているかクローラ装置装着しているかを検出可能なタイヤ・クローラ装置検出手段を備えるようにし、さらに当該走行モード切替えスイッチあるいはタイヤ・クローラ装置検出手段から出力される走行モード信号により車両部の走行装置の設定を切替えるようにした。すなわち、上記車両部の走行装置への設定変更を1つの走行モード手動切替えスイッチあるいはタイヤ・クローラ装置検出手段から出力される走行モード信号により一括して行えるようにしたものである。
本願の請求項1に記載されたタイヤとクローラ装置とを交換可能な作業車両は、タイヤ装着モードとクローラ装置装着モードとを切替え可能な走行モード手動切替えスイッチを備え、当該走行モード手動切替えスイッチの操作により出力される走行モード信号により車両部の走行装置の設定を切替えるようにしたことを特徴とする。
本願の請求項2に記載されたタイヤとクローラ装置とを交換可能な作業車両は、車両部にタイヤ装着しているかクローラ装置装着しているかを検出可能なタイヤ・クローラ装置検出手段を備え、当該タイヤ・クローラ装置検出手段から出力される走行モード信号により車両部の走行装置の設定を切替えるようにしたことを特徴とする。
本願の請求項3に記載されたタイヤとクローラ装置とを交換可能な作業車両は、請求項1又は2の作業車両において、車両部の走行駆動装置は、トルクコンバータを内蔵する自動変速装置を備えており、前記走行モード信号により変速シフトパターン又はロックアップポイントを切替えることを特徴とする。
本願の請求項4に記載されたタイヤとクローラ装置とを交換可能な作業車両は、請求項1又は2の作業車両において、車両部の運転室の速度メータは、走行駆動装置のトランスミッションの出力軸回転数を検出し速度に変換して表示するものであり、前記走行モード信号により出力軸回転数に対する速度の変換率を切替えるようにしたことを特徴とする。
本願の請求項5に記載されたタイヤとクローラ装置とを交換可能な作業車両は、請求項1又は2の作業車両において、車両部のサスペンション装置は、サスペンション特性を切替え可能なものであり、前記走行モード信号によりサスペンション特性を切替えることを特徴とする。
本願の請求項6に記載されたタイヤとクローラ装置とを交換可能な作業車両は、請求項1又は2の作業車両において、車両部のサスペンション装置は、走行時車高変更機能を備え、前記走行モード信号により走行時車高を切替えることを特徴とする。
本願の請求項7に記載されたタイヤとクローラ装置とを交換可能な作業車両は、請求項1又は2の作業車両において、車両部のステアリング装置は、最大操舵角度変更機能を備え、前記走行モード信号により最大操舵角度を切替えることを特徴とする。
本願の請求項8に記載されたタイヤとクローラ装置とを交換可能な作業車両は、請求項1又は2の作業車両において、車両部の運転室には走行モード表示インジケータを備え、前記走行モード信号によりその時の走行モードを表示することを特徴とする。
請求項1に記載されたタイヤとクローラ装置とを交換可能な作業車両は、走行モード手動切替えスイッチの操作により出力される走行モード信号により車両部の走行装置の設定を切替えるようにしたので、1つのスイッチ操作で一括して車両部の走行装置をタイヤあるいはクローラ装置の特性に応じた設定に切替えることができる。
請求項2に記載されたタイヤとクローラ装置とを交換可能な作業車両は、タイヤ・クローラ装置検出手段から出力される走行モード信号により車両部の走行装置の設定を切替えるようにしたので、タイヤとクローラ装置とを交換した際には自動的に車両部の走行装置の設定が一括して切替わることとなり、設定を切替えることを忘れる恐れがなくなる。
請求項3に記載されたタイヤとクローラ装置とを交換可能な作業車両は、走行モード信号により変速シフトパターン又はロックアップポイントを切替えるようにしたので、クローラ装置を装着した際には、所定の速度以上とならないよう速度規制することができる。また、タイヤとクローラ装置とを車両部に装着した時の異なる走行抵抗、駆動力に応じた自動変速及びトルクコンバータのロックアップがなされる。
請求項4に記載されたタイヤとクローラ装置とを交換可能な作業車両は、走行モード信号によりトランスミッションの出力軸回転数に対するメータ表示速度の変換率を切替えるようにしたので、タイヤとクローラ装置とでは車軸のハブが1回転すると車両部が進む距離が異なることに対応した実際の速度を速度メータで表示することができる。
請求項5に記載されたタイヤとクローラ装置とを交換可能な作業車両は、走行モード信号によりサスペンション特性(バネ特性、減衰特性)を切替えるようにしたので、タイヤとクローラ装置とでは、その固有の特性が異なるにもかかわらず、車両部のサスペンション装置と組み合わされた時の全体としてのサスペンション特性を作業車両に適したものとすることができる。
請求項6に記載されたタイヤとクローラ装置とを交換可能な作業車両は、走行モード信号により走行時車高を切替えるようにしたので、タイヤとクローラ装置とでは、車両部に取付けた際の車軸のハブ中心から地面までの距離が異なるにもかかわらず、同じ車高となるようにすることができる。また必要な場合は、タイヤによる高速走行時とクローラ装置による低速走行時とでは、その車高を切替えるようにすることもできる。
請求項7に記載されたタイヤとクローラ装置とを交換可能な作業車両は、走行モード信号により車両部のステアリング装置の最大操舵角度を切替えるようにしたので、タイヤとクローラ装置とでは、その外形寸法が異なると共に車両部に取付けた際のトレッド寸法も異なるにもかかわらず、最大操舵角度まで操舵した際のタイヤ又はクローラ装置と車両部の各部とを所定の隙間とすることができる。
請求項8に記載されたタイヤとクローラ装置とを交換可能な作業車両は、走行モード信号により車両部の運転室に備えた走行モード表示インジケータでその時の走行モードを表示するようにしたので、運転室からはタイヤ又はクローラ装置を視認することができないにもかかわらず、その時に装着されているのがタイヤであるかクローラ装置であるのかが判る。また、車両部の走行装置の設定がどうなっているのかも知ることができる。
図1に本願の発明を実施するための最良の形態に係る作業車両10を示す。作業車両10は、車両部11に旋回自在に旋回台12を搭載し、当該旋回台12に起伏自在に作業用伸縮ブーム13を枢着している。走行時格納状態の伸縮ブーム13の一側となる位置であって、前記旋回台12の上部には作業用及び走行用兼用の運転室14が載置されている。
車両部11は車両フレーム16にサスペンション装置を介して前軸17と後軸18が懸架されており、当該前後軸17と18には4個のタイヤ19が装着されている。車両フレーム16の前後端にはアウトリガ装置20が設けられている。また、車両フレーム16の後部にはエンジンルーム21が設けられており、エンジンルーム21の内部には走行用と作業用兼用のエンジンが搭載されている。
図2は図1のA矢視断面図であって、前軸17にタイヤ19が取付けられた状態を示している。前軸17はタイヤ19の駆動と操舵が可能なものであり、そのハブ22にタイヤ19のホイール23が複数のホイールナット24によって締め付けられている。なお、車両フレーム16及び前軸17と車両フレーム16とを連結するサスペンション装置の図示は省略している。また、後軸18も前軸17と同一構成であるため、その説明を省略する。以下、作業車両10に本願発明を適用した実施例を説明する。
図3に、前後軸17、18のタイヤ19をクローラ装置25に交換した作業車両10を示す。また、図4は図3のB矢視断面図であって、クローラ装置25を前軸17に取付けた状態を示している。
前軸17のハブ22にはクローラ装置25のスプロケット26がホイールナット24によってしっかり取付けられている。トラックフレーム27には回転自在にアイドラ28が配列されており、前記スプロケット26とアイドラ28にはクローラ29が巻装されている。クローラ29は、その設置面を構成する部分はゴムが使用されており、スプロケットと噛みあう部分等には金属が用いられ、その全体がゴムと金属とが複合して構成されている。
図2に示した前軸17にタイヤ19を装着した状態を比較すると判るように、タイヤ19とクローラ装置25とはその外形寸法が相違している。なお、クローラ装置25を後軸18に取付けた状態は、前軸17の場合と同じであるので説明を省略する。
図5(a)は運転室14内部の操作パネル30を示している。ハンドル31の右側の操作パネル30には走行装置に関する各種操作スイッチが配列されており、その中に本願発明に係る走行モード手動切替えスイッチ32が配置されている。
図5(b)は走行モード手動切替えスイッチ32の詳細図である。走行モード手動切替えスイッチ32はシーソー式のディテントタイプの切替えスイッチとなっており、上側を押すとタイヤモードとなり下側を押すとクローラモードとなってその選択状態を保持するようになっている。
図6は車両部11の走行モード切替に関するブロック図である。前記走行モード手動切替えスイッチ32から出力された走行モード信号はコントローラ33に入力され、コントローラ33からは車両部の各種の走行装置に操作信号が出力されるようになっている。
このように、走行モード手動切替えスイッチが運転室14の操作パネル30に配置され、走行モード信号が出力されるようになっているので、容易にその操作により車両部の設定を一括して切替えることができるようになっている。なお、以上の実施例1は請求項1に記載された発明に対応するものである。
図4に本願発明の実施例に係るタイヤ・クローラ装置検出手段40を示す。タイヤ・クローラ装置検出手段40は前軸17のキングピン43上に取付けられたサポート42と当該サポート42先端に取付けられた近接スイッチ41とから構成されている。近接スイッチ41の検出面が前軸17に取付けられたクローラ装置25のクローラ29からわずかに離れた位置になるように配置されており、前軸17にクローラ装置25が取付けられると、前記近接スイッチ41はクローラ29に含まれる金属を検出するようになっている。
そして、前軸17にタイヤ19が取付けられたときは、前記近接スイッチ41の検出面にはタイヤ19のホイール23は検出距離内に位置しないようになっている。このように、検出スイッチ41の検出信号の有無により、前軸17にタイヤ19が装着されているのか、クローラ装置25が装着されているのかが判別できるようになっている。
なお、タイヤ・クローラ装置検出手段40は、クローラ29以外のクローラ装置1の構成部分を検出するようにしてもよい。また、タイヤ19装着時に、ホイール23を検出するようにしてもよい。
図6に示したようにタイヤ・クローラ装置検出手段40から出力された走行モード信号は、コントローラ33に入力され、車両部の各種の走行装置に操作信号が出力されるようになっている。このように、タイヤ19とクローラ装置25とを交換した際には自動的に車両部の走行装置の設定が一括して切り替わるので、設定の切替を忘れる恐れがなくなるのである。なお、以上の実施例2は請求項2に記載された発明に対応するものである。
図7は車両部11の自動変速装置を備えた走行駆動装置45を示したものである。車両フレーム16の後部にはエンジン46がマウントされている。エンジン46にはロックアップ機能を備えたトルクコンバータ47が連結されている。
車両フレーム16のほぼ中央部にはトランスミッション48がマウントされており、前記トルクコンバータ47と第1プロペラシャフト49によって回転動力が伝達されている。トランスミッション48の内部には減速比のことなる歯車列が複数設けられており、動力伝達する歯車列の湿式多板クラッチを接続状態にして選択することにより、出力軸の回転数を変速できるようになっている。また、トランスミッション48には出力軸の回転数を検出する回転数検出器50が内蔵されている。
トランスミッション48の前側出力軸は、センターベアリング54に回転支持された第2プロペラシャフト51に連結され、さらに第3プロペラシャフト52を経て前軸17に連結されている。また、トランスミッション48の後側出力軸は第4プロペラシャフト53を介して後軸18に連結されている。
図6に示したように、前記トランスミッション48の出力軸の回転数検出器50の検出信号はコントローラ33に入力される。コントローラ33では、記憶している出力軸回転数に対する速度の変換率に基づき走行速度を算出する。そして、記憶している変速シフトパターン及びロックアップポイントに基づき、前記トランスミッション48に変速信号を出力し、トルクコンバータ47にロックアップ信号を出力する。
図8(a)は、タイヤ走行モード時の変速シフトパターン及びロックアップポイントを示したものである。加速時においては、トランスミッション48が1速でスタートし、加速していくと16km/hの時にトルクコンバータ47がロックアップする。そしてさらに加速していくと、23km/hになると2速にシフトアップする。変速した時には、トルクコンバータ47ではロックアップ解除されている。さらに2速で加速していくと、26km/hでロックアップし、35km/hで3速にシフトアップする。3速で加速していくと、37km/hでロックアップし、そのまま最高速まで加速される。
減速時においては、ロックアップ解除ポイント及びシフトポイントが共に、同じ速度段における加速時のロックアップポイント及びシフトポイントよりも低い速度に設定されている。すなわち、3速での減速において、31km/hでロックアップ解除され、29km/hで2速にシフトダウンされ、さらに20km/hでロックアップ解除され、4km/hで1速にシフトダウンされる。
以上のように、タイヤ走行モードにおいては、作業車両としての高速走行が可能であるので、迅速な作業現場への移動が可能となっている。
図8(b)は、クローラ走行モード時の変速シフトパターン及びロックアップポイントを示したものである。加速時においては、トランスミッション48が1速でスタートし、加速していくと9km/hの時にトルクコンバータ47がロックアップし、そのまま1速が保持され2速にはシフトアップされない。減速時においては、7km/hでロックアップ解除のみされる。
以上のように、クローラ走行モードにおいては、トランスミッション48が1速にホールドされるので、最高速度は10数km/h程度に抑えられる。したがって、クローラ装置25に設定されている許容最高速度を越えることがなく、損傷等の発生を防止することができる。また、タイヤ19とクローラ装置25とを車両部11に装着した時の異なる走行抵抗、駆動力に応じた自動変速及びロックアップを行うことができる。
図6に示したように、走行モード手動切替えスイッチ32あるいはタイヤ・クローラ装置検出手段40からコントローラ33へ走行モード信号が入力されると、コントローラ33は入力された走行モードに応じた変速シフトパターン及びロックアップポイントを読み出す。そして、トランスミッション出力軸の回転数検出器50からの出力軸回転数信号に走行モードに応じた変換率を掛け合わせて走行速度を算出し、前記変速シフトパターン及びロックアップポイントに定められた速度になると前記トランスミッション48へは変速信号を出力し、トルクコンバータ47へはロックアップ信号を出力する。なお、以上の実施例3は請求項3に記載された発明に対応するものである。
最高速度を規制する方法としては、エンジンリミッタ制御を採用してもよい。その場合は、図6に示したコントローラ33にアクセル操作信号を入力して、当該信号に基づいてコントローラ33からエンジン46にアクセル信号を出力するようにする。
上述したように、コントローラ33はトランスミッション出力軸の回転数検出器50からの出力軸回転数信号に走行モードに応じた変換率を掛け合わせて算出した走行速度を常時監視していることから、所定の走行速度に達した時には上記エンジン46に出力するアクセル信号を規制するようにすればよい。このようなエンジンリミッタ制御によっても、クローラ装置1を装着した時の最高速度を低速に規制することができる。
図5に示すように、車両部の運転室14には速度メータ60が設けられており、図6に示すように速度メータ60にはコントローラ33から速度信号が出力されるようになっている。そして、コントローラ33にはトランスミッション48の出力軸の回転数検出器50からの信号が入力され所定の変換率を掛け合わせて算出するようになっている。
ところが、図2に示したようにタイヤが装着されている時は、ハブ22の1回に対する走行距離はタイヤ半径との関係で決まるのに対し、図4に示したようにクローラ装置25が装着されている時は、ハブ22の1回転に対する走行距離はスプロケット26が1回転して送るクローラ29の長さとなるため、ハブ1回転当たりの走行距離が相違するものとなる。
そのため、図6に示したコントローラ33は、タイヤ走行モードとクローラ走行モードとで異なる変換率を記憶している。そして、走行モード手動切替えスイッチ32あるいはタイヤ・クローラ装置検出手段40からの走行モード信号によりトランスミッション48の出力軸回転数に対する速度の変換率が切替わるようになっている。
以上のように、走行モード信号によってタイヤとクローラ装置とでは車軸のハブが1回転すると車両部が進む距離が異なることに対応した実際の速度を速度メータ60で表示することができる。なお、以上の実施例4は請求項4に記載された発明に対応するものである。
図9はサスペンション特性(バネ特性、減衰特性)を切替え可能な車両部のサスペンション装置の例として、油圧サスペンションの油圧回路の一部を示している。
65はサスペンションシリンダであって、図2又は図4に示した車軸17と車両フレーム16との間に左右一対配置されるもののうちの一方を示したものである。サスペンションシリンダ65のピストン側油室66はピストン側油路67を介して第1アキュムレータ68に接続されている。ピストン側油路67にはバネ特性切替え弁69を介して第2アキュムレータ70が接続されている。バネ特性切替え弁69を連通側に切替えると第2アキュムレータ70もピストン側油路67に接続されるようになり、サスペンションシリンダ65のバネ特性を柔らかい側に切替えることができる。バネ特性切替え弁69はコントローラ33からのサスペンション特性切替え信号により切替えられるようになっている。
サスペンションシリンダ65のロッド側油室71のロッド側72油路には減衰弁73が介装されている。減衰弁73は、チェック弁74、絞り75及びリリーフ弁76が並列に接続して構成されている。さらに、減衰弁73を迂回して追加絞り77と減衰特性切替え弁78が直列に接続されている。減衰特性切替え弁78を連通側に切替えると追加絞り77もロッド側油路72に並列に接続されるようになり、サスペンションシリンダ65のロッドが伸長する際に発生する減衰特性を柔らかい側に切替えることができる。減衰特性切替え弁78はコントローラ33からのサスペンション特性切替え信号により切替えられるようになっている。
図9に示した油圧回路の状態は、サスペンションシリンダ65のピストン側油路67が第1アキュムレータ68のみに接続されており、ロッド側油路72が減衰弁73にのみ接続されたタイヤ走行モードを示している。そして、走行モード手動切替えスイッチ32あるいはタイヤ・クローラ装置検出手段40からクローラ走行モード信号がコントローラ33に出力されると、コントローラ33からはバネ特性切替え弁69と減衰特性切替え弁78に切替え信号が出力される。すると、サスペンションシリンダ65のバネ特性と減衰特性はクローラ装置25装着に適した柔らかい特性に切替えられる。
以上のように、走行モード信号によってタイヤとクローラ装置とでは、その固有の特性が異なるにもかかわらず、車両部のサスペンション装置と組み合わされた時の全体としてのサスペンション特性を作業車両に適したものとすることができる。なお、以上の実施例5は請求項5に記載された発明に対応するものである。
図9は走行時車高変更機能を備えるサスペンション装置の例として、油圧サスペンションの油圧回路の一部を示している。
80は車高アップ弁であって、前記ピストン側油路67と油圧源81との間に介装されている。車高アップ弁80は通常時には図示した遮断位置側になっており、コントローラ33からの車高アップ信号により切替わり、油圧源81からの油をピストン側油路67に供給するようになっている。ピストン側油路67に供給された油はサスペンションシリンダ65のピストン側油室66に送りこまれ、サスペンションシリンダ65のロッドを伸長させ、車両部11の車高を上げるようになる。
82は車高ダウン弁であって、前記ピストン側油路67とタンク83との間に介装されている。車高ダウン弁82は通常時には図示した遮断位置側になっており、コントローラ33からの車高ダウン信号により切替わり、ピストン側油路67からの油をタンク83に排出するようになっている。サスペンションシリンダ65のピストン側油室66の油は、タンク82に排出されることにより、サスペンションシリンダ65のロッドを縮小させ、車両部11の車高を下げるようになる。
図6に示した走行モード手動切替えスイッチ32あるいはタイヤ・クローラ装置検出手段40からクローラ走行モード信号がコントローラ33に出力されると、コントローラ33からは車高アップ弁80又は車高ダウン弁82に切替え信号が出力される。すると、サスペンションシリンダ65は伸長又は縮小し、車両部11の車高を上げあるいは下げする。
以上のように、走行モード信号によってタイヤ装着とクローラ装置装着時の車両部の車高を同じになるようすることができ、また、タイヤ装着とクローラ装着時の車両部の車高を変更することもできる。なお、以上の実施例6は請求項6に記載された発明に対応するものである。
図10は最大操舵角度変更機能を備えた車両部のステアリング装置の例を示している。車軸17に対してナックル90がキングピン43回りに回転するようになっており、通常時の最大操舵角度はナックルアーム91に取付けられた操舵角調整ボルト92と車軸側のストッパ93とによって決定される。なお、操舵角調整ボルト92とストッパ93は両方のナックルアーム91に配置されている。
さらに、一方のナックル90と車軸17間には、最大操舵角度変更手段94が配置されている。95はナックル90と一体に構成されキングピン43回りを回動可能な操舵角度規制プレート95であって、キングピン43を中心として円弧状の長穴96を備えている。
97はエアシリンダ駆動によって前記長穴97に挿脱可能なピンを備えた操舵角度規制ピン手段である。操舵角度規制ピン手段97は車軸17とサポート98により前記操舵角度規制プレート95の上部に位置して配置されている。
エアシリンダにより操舵角度規制ピン手段97からピンが前記操舵角度規制プレート95の長穴96に突入されると、ナックル90のキングピン43周りの操舵角度は、ピンと長穴96の両端部との接触により、ナックルアームに配置した操舵角調整ボルト92により決定される操舵角度よりも小さい所定の操舵角度範囲に規制される。
図6に示した走行モード手動切替えスイッチ32あるいはタイヤ・クローラ装置検出手段40からクローラ走行モード信号がコントローラ33に出力されると、コントローラ33からは最大操舵角度変更手段94に切替え信号が出力される。すると、最大操舵角度は操舵角度規制ピン手段97のピンと操舵角度規制プレート95とによってタイヤ走行モードよりも小さい所定の操舵角度に規制される。
以上のように、走行モード信号によってタイヤ装着とクローラ装置装着時の最大操舵角度が切替わるので、最大操舵角度まで操舵した際のタイヤ又はクローラ装置と車両部の各部との間が所定の隙間となるようにできる。なお、以上の実施例7は請求項7に記載された発明に対応するものである。
図5に示した100は、運転室14の操作パネル30に配置された走行モード表示インジケータであって、他の走行関係のインジケータと並んで配置されている。
図6に示すように、走行モード手動切替えスイッチ32あるいはタイヤ・クローラ装置検出手段40からクローラ走行モード信号がコントローラ33に出力されると、コントローラ33からは走行モード表示インジケータ100に点灯信号が出力され、走行モード表示インジケータ100が点灯する。
以上のように、走行モード信号により車両部の運転室に備えた走行モード表示インジケータ100でその時の走行モードを表示するようにしたので、運転室14からはタイヤ19又はクローラ装置25を視認することができないにもかかわらず、その時に装着されているのがタイヤであるかクローラ装置であるのかが判る。また、車両部の走行装置の設定がどうなっているのかも知ることができる。なお、以上の実施例8は請求項8に記載された発明に対応するものである。
10:作業車両
19:タイヤ
25:クローラ装置
32:走行モード切替えスイッチ
40:タイヤ・クローラ装置検出手段
47:トルクコンバータ
48:トランスミッション
60:速度メータ
94:最大操舵角度変更手段
100:走行モード表示インジケータ
19:タイヤ
25:クローラ装置
32:走行モード切替えスイッチ
40:タイヤ・クローラ装置検出手段
47:トルクコンバータ
48:トランスミッション
60:速度メータ
94:最大操舵角度変更手段
100:走行モード表示インジケータ
Claims (8)
- タイヤとクローラ装置とを交換可能な作業車両であって、
タイヤ装着モードとクローラ装置装着モードとを切替え可能な走行モード手動切替えスイッチを備え、当該走行モード手動切替えスイッチの操作により出力される走行モード信号により車両部の走行装置の設定を切替えるようにしたことを特徴とするタイヤとクローラ装置とを交換可能な作業車両。 - タイヤとクローラ装置とを交換可能な作業車両であって、
車両部にタイヤ装着しているかクローラ装置装着しているかを検出可能なタイヤ・クローラ装置装着検出手段を備え、当該タイヤ・クローラ装置検出手段から出力される走行モード信号により車両部の走行装置の設定を切替えるようにしたことを特徴とするタイヤとクローラ装置とを交換可能な作業車両。 - 請求項1又は2の作業車両において、車両部の走行駆動装置は、トルクコンバータを内蔵する自動変速装置を備えており、前記走行モード信号により変速シフトパターン又はロックアップポイントを切替えることを特徴とするタイヤとクローラ装置とを交換可能な作業車両。
- 請求項1又は2の作業車両において、車両部の運転室の速度メータは、走行駆動装置のトランスミッションの出力軸回転数を検出し速度に変換して表示するものであり、前記走行モード信号により出力軸回転数に対する速度の変換率を切替えるようにしたことを特徴とするタイヤとクローラ装置とを交換可能な作業車両。
- 請求項1又は2の作業車両において、車両部のサスペンション装置は、サスペンション特性を切替え可能なものであり、前記走行モード信号によりサスペンション特性を切替えることを特徴とするタイヤとクローラ装置とを交換可能な作業車両。
- 請求項1又は2の作業車両において、車両部のサスペンション装置は、走行時車高変更機能を備え、前記走行モード信号により走行時車高を切替えることを特徴とするタイヤとクローラ装置とを交換可能な作業車両。
- 請求項1又は2の作業車両において、車両部のステアリング装置は、最大操舵角度変更機能を備え、前記走行モード信号により最大操舵角度を切替えることを特徴とするタイヤとクローラ装置とを交換可能な作業車両。
- 請求項1又は2の作業車両において、車両部の運転室には走行モード表示インジケータを備え、前記走行モード信号によりその時の走行モードを表示することを特徴とするタイヤとクローラ装置とを交換可能な作業車両。
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- 2004-05-10 JP JP2004139337A patent/JP2005319882A/ja active Pending
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