JP2005319743A - 印刷版、およびスクリーン印刷装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】この発明は、印刷版のスクリーンの歪みを容易に調節できる印刷版を提供することを課題とする。
【解決手段】スクリーン印刷に利用される印刷版のスクリーンの歪みが検出された場合、スクリーンを一定のテンションで保持する枠体に複数形成される枠体部の内部に充填される媒体の温度を調節して、熱膨張により膨張する枠体部に従って、伸び縮みするスクリーンのテンションを調節する。
【選択図】 図6
【解決手段】スクリーン印刷に利用される印刷版のスクリーンの歪みが検出された場合、スクリーンを一定のテンションで保持する枠体に複数形成される枠体部の内部に充填される媒体の温度を調節して、熱膨張により膨張する枠体部に従って、伸び縮みするスクリーンのテンションを調節する。
【選択図】 図6
Description
この発明は、スクリーン印刷方法に用いられる印刷版およびスクリーン印刷装置に関する。
近年、陰極線管(以下、CRTと称する)に代わる次世代の軽量、薄型の表示装置として様々な平面型の画像表示装置が注目されている。例えば、平面表示装置として用いられるフィールド・エミッション・ディスプレイ(以下、FEDと称する)の一種として、表面伝導型電子放出素子を電子源として備えた表示装置(以下、SEDと称する)の開発が進められている。
このSEDは、所定の間隔をおいて対向配置された前面基板および背面基板を備え、これらの基板は矩形枠状の側壁を介して周辺部を互いに接合することにより真空外囲器を構成している。前面基板の内面には3色の蛍光体層が形成され、背面基板の内面には、蛍光体を励起発光させるための電子源として、各画素に対応する多数の電子放出素子が配列されている。各電子放出素子は、電子放出部、この電子放出部に電圧を印加する一対の電極等で構成されている。
上記SEDにおいて、例えば、蛍光層を含む蛍光体スクリーンを前面基板に印刷する場合、或いは電子放出素子の配線パターンを背面基板に印刷する場合、周知のスクリーン印刷方法を用いる。このスクリーン印刷方法では、金属線をメッシュ状に編んだスクリーンを枠体で保持した印刷版を使用する。スクリーンには、印刷パターンに応じたマスクパターンが樹脂材料等により形成されている。
この印刷版を用いて前面基板や背面基板などの被印刷体に印刷する場合、まず、被印刷体に印刷版が位置合わせされて対向され、所定位置に固定される。この後、スクリーン上にインクが供給されてスキージが押し当てられて移動され、インクがマスクパターンを介して被印刷体に塗布されて所望の印刷パターンが形成される。
このようなスクリーン印刷に利用される印刷版として、例えば、スクリーンを保持している枠体に、ねじ構造を搭載し、このねじの締め付け具合を調整することで、枠体を外方に弾性変形させ、張り付けられているスクリーンのテンションを調節する技術が知られている(特許文献1参照)。
特開特開2003−39633号公報、要約、請求項1。
しかし、上述したスクリーン印刷方法では、スキージによりスクリーンを被印刷体に向かって押し当てながら印刷するため、スクリーンが疲労により劣化し、スクリーン上に形成されているマスクパターンが経時的に変形する問題がある。疲労によりマスクパターンが変形する度にスクリーンを交換すれば、生産コストが増加する問題がある。
また、スクリーン印刷方法を用いてSEDのような表示装置を製造する場合、この表示装置の画面が大きくなることに起因して印刷版も大きくなる。これにより、スクリーンの変形による印刷位置のずれも大きくなる問題がある。
また、スクリーンは、スキージからの面方向に不均等な応力により、面方向に不均一に変形されており、従来のような枠体を全体的に外方に変形させる印刷版では、部分的なスクリーンのテンションの調節ができない。このため、従来の印刷版では、スクリーンの不均一な変形を矯正することはできなかった。
この発明は、以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、スクリーンの歪みを容易に矯正できる印刷版、およびこの印刷版を用いたスクリーン印刷装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の印刷版は、熱膨張または熱収縮により変形する枠体と、前記枠体に張設されたスクリーンと、スクリーンの歪みを矯正するように、前記枠体の温度を調節する歪み矯正手段とを備えている。
上記目的を達成するため、本発明のスクリーン印刷装置は、熱膨張あるいは熱収縮により変形する枠体と、前記枠体に張設されたスクリーンと、スクリーンの歪みを矯正するように、前記枠体の温度を調節する歪み矯正手段とを有する印刷版と、前記スクリーンを被印刷体に向かって押し当てながら、スクリーンに形成されるマスクパターンを通過する印刷材を被印刷体に塗布する塗布部材とを備えている。
上記目的を達成するため、本発明のスクリーン印刷装置は、熱膨張あるいは熱収縮により変形する枠体と、前記枠体に張設されたスクリーンと、前記スクリーンの歪みを矯正するように、前記枠体の制御領域に設けられる流路を流通する温度調節が可能な媒体の温度を調節する歪み矯正手段とを有する印刷版と、前記スクリーンを被印刷体に向かって押し当てながら、スクリーンに形成されるマスクパターンを通過する印刷材を被印刷体に塗布する塗布部材と、前記スクリーンの歪みを検出する歪み検出部と、前記スクリーンの歪みの程度に応じて予め決められている前記媒体の制御温度を格納する記憶領域と、前記歪み検出部により検出されたスクリーンの歪み、および前記記憶領域に格納されている前記制御温度を参照して、前記歪み検出部により検出されたスクリーンの歪みに応じた前記制御温度を、前記歪み矯正手段に指示する主制御部とを有し、前記歪み矯正手段は、前記制御領域を流通する媒体の温度を、前記主制御部により指示された前記制御温度に制御する。
この発明によると、印刷版の枠体の温度を調節することにより、スクリーンの歪みを矯正できる。このため、印刷版の使用寿命を従来に比べて延長でき、スクリーンの交換回数を低減でき、印刷コストを低減できる。
また、スクリーン印刷方法は、印刷技術の中でも比較的安価であるため、本発明のスクリーン印刷装置を用いて製造される例えば表示装置等の価格を低減できる。
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態について詳細に説明する。ここでは、本発明の実施の形態に係る表示装置の一例として、SEDについて説明する。
図1は、SEDの表示パネルの概略斜視図である。図1に示すとおり、SEDの表示パネル1は、それぞれ矩形状のガラス板からなる前面基板10および背面基板12を備え、これらの基板は一定の間隔を有する隙間をおいて対向配置されている。この基板間の距離は、約1.0〜2.0mm程度に設定されている。そして、前面基板10および背面基板12は、ガラスからなる矩形枠状の側壁14を介して周縁部どうしが接合され、内部が真空の扁平な真空外囲器を構成している。
図2に示すとおり、前面基板10の内面には画像表示面として機能する蛍光体スクリーン16が形成されている。この蛍光体スクリーン16は、赤、緑、青の蛍光体層R、G、B、および遮光層11を並べて構成され、これらの蛍光体層R、G、Bはストライプ状あるいはドット状に形成されている。また、蛍光体スクリーン16上には、アルミニウム等からなるメタルバック17が形成されている。
背面基板12の内面には、蛍光体スクリーン16の蛍光体層R、G、Bを励起発光させるための電子源として、それぞれ電子ビームを放出する多数の表面伝導型の電子放出素子18が設けられている。これらの電子放出素子18は、画素毎に対応して複数列および複数行に配列されている。各電子放出素子18は、図示しない電子放出部、この電子放出部に電圧を印加する一対の素子電極等で構成されている。また、背面基板12の内面上には、電子放出素子18に電圧を供給する多数本の配線21がマトリックス状に設けられ、その端部は表示パネル1の外部に引出されている。
接合部材として機能する側壁14は、例えば、低融点ガラス、低融点金属等の封着材20により、前面基板10の周縁部および背面基板12の周縁部に封着され、これらの基板どうしを接合している。
また、表示パネル1は、前面基板10および背面基板12の間に配設された矩形板状のスペーサ22を備えている。スペーサ22は、ストライプ状に配置され、各電子放出素子18および蛍光体層R、G、Bに干渉しないように前面基板10および背面基板12の内面に当接して、これらの基板に作用する大気圧荷重を支持し、基板間の間隔を所定値に維持している。なお、スペーサの形状はこれに限らず、たとえば、多数の柱状のスペーサであってもよい。
画像を表示する場合、配線21を介して電子放出素子18を駆動し、任意の電子放出素子から電子ビームを放出するとともに、蛍光体層16およびメタルバック17にアノード電圧を印加する。電子放出素子18から放出された電子ビームは、アノード電圧により加速され、蛍光体層16に衝突する。これにより、蛍光体スクリーン16の蛍光体層R、G、Bが励起されて発光し、画像を表示する。
次に、図3および図4を用いて、被印刷体である前面基板10と、蛍光体層Rを印刷するための印刷版30について説明する。図3は、前面基板10の概略図であり、図4は、印刷版30の概略図である。
図3に示すとおり、前面基板10は、実際の画像を表示する画像領域101と、この画像領域101から外れた領域(以下、この領域を位置合わせ領域102と称する)とを有する。
画像領域101には、遮光層11が例えばストライプ状に予め形成されているものとし、この遮光層11に重ねて蛍光体層Rを印刷するものとする。
位置合わせ領域102には、印刷版30を位置合わせするための第1のマーク10Aと、後述する第2のマーク10Bを印刷する基準として、仮想矩形103とが予め形成されている。第1のマーク10Aは、矩形状である前面基板10の4角に1つずつ形成され、第2のマーク10Bは、後に説明する印刷版30のスクリーンの歪みを検出するため、印刷版30によって、理想的には、前面基板10の仮想矩形103上に複数個(例えば8つ)印刷される。なお、詳細は図4を用いて説明する。
図4に示すとおり、蛍光体層R用の印刷版30は、前面基板10より一回り大きいサイズの内周を有し、熱膨張あるいは熱収縮により変形する矩形状の枠体31と、この枠体31に張設されて保持されスクリーン32を有する。
スクリーン32は、ステンレス鋼などの金属線をメッシュ状に編んで形成され、一定のテンションで枠体31に張設されている。この矩形のスクリーン32も、前面基板10の上述した画像領域101に重なる有効領域321、およびそれ以外の領域である位置合わせ領域322を有する。
スクリーン32の有効領域321には、蛍光体層Rのパターンを印刷するための図示しないマスクパターンが形成されている。また、位置合わせ領域322には、上述した仮想線103の上に第2のマーク10Bを印刷するための8つのマスクパターン30B(以下、マーク形成部30Bと称する)が形成されている。これらマスクパターンは、上記のスクリーン32の全面に固着される感光性樹脂を、所望するパターンで除去することにより形成されている。
また、位置合わせ領域322には、前面基板10の複数の第1のマーク10Aに対応する4つの位置合わせマーク30Aが形成されている。複数の位置合わせマーク30Aは、前面基板10と印刷版30とが正確に位置合わせされた状態で、複数の第1のマーク10Aのそれぞれと重なる位置に形成されている。言い換えると、これら第1のマーク10Aと位置合わせマーク30Aとが重なったことをもって、前面基板10と印刷版30が正確に位置合わせされたことになる。
なお、上述したマーク形成部30Bは、前面基板10の仮想線103と重なる仮想線34上に形成され、第2のマーク10Bを前面基板10に印刷するためのマスクパターンとして機能する。
スクリーン32に歪みがない初期状態の印刷版30を用いて印刷が実行された場合、第2のマーク10Bは、前面基板10の仮想矩形103上に印刷される。一方、歪んだスクリーン32を有する印刷版30を用いて印刷が実行された場合、第2のマーク10Bは、仮想矩形103からズレた位置に印刷される。すなわち、第2のマーク10Bの仮想矩形103に対するズレを検査することにより、スクリーン32の歪みを検出できる。
次に、図4、図5、図6、図7を参照して、印刷版30の枠体31、および本発明の実施の形態に係るスクリーン印刷装置について詳細に説明する。図5は、印刷版30を図4に示す線分Z−Zで切断した断面図であり、図6は、本発明の実施の形態に係るスクリーン印刷装置の一例を示す概略図であり、図7は、図6に示すスクリーン印刷装置の制御系の一例を示すブロック図である。
図4に示すとおり、本実施の形態の枠体31は、8つの枠体部31A〜31H(制御領域)に分割されている。枠体部31A〜31Hは、熱膨張係数の大きい材質、例えばアルミニウム、アルミニウム合金等の金属で構成されており、枠体部31A〜31Hの内部には、枠体部31A〜31Hに熱を伝えるための流路が形成されている。この流路には、例えば水等の温度調節が可能な媒体が流れる。各枠体部31A〜31Hには、流通する媒体の温度を調節するための温度調節機構35A〜35Hが備えられている。なお、温度調節機構35A〜35Hは、特許請求の範囲に示される「歪み矯正手段」に対応している。
また、枠体31の図中上面および下面には、図5に示すように、図中矢印P方向に沿った枠体31の熱膨張を抑えるため、例えばステンレスやステンレス合金等の熱膨張係数の極めて低く、剛性を有する材料からなる熱膨張抑制板31X、31Yが設けられている。
図6に示すとおり、本発明の実施の形態に係るスクリーン印刷装置は、印刷版30と、スクリーン32を前面基板10に向かって押し当てながら、スクリーン32に形成されるマスクパターンを通過する印刷材を前面基板10に塗布する塗布部材(スキージ)Sを有する。また、スクリーン印刷装置は、図6に示すとおり、被印刷体である前面基板10を載置する載置台D1、載置された前面基板10と向かい合って配置される印刷版30を支持する支持体D2、および載置された前面基板10を印刷版30側から観察する歪み検出部(カメラ)D3を有する。
カメラD3は、複数の第2のマーク10Bの仮想矩形103に対するズレを検査して、スクリーン32の歪みを検出する。
カメラD3やスキージS等は、図7で説明するCPU41と接続され、以下に説明するとおり制御される。
図7に示すとおり、CPU(主制御部)41は、カメラD3、メモリ41a、スキージSを制御する駆動回路42および温度調節機構35A〜35Hと接続されている。なお、温度調節機構35A〜35Hは同じ構成および機能を有するため、図7には、代表して枠体部31Aおよび温度調節機構35Aについて詳細に示し、他の枠体31B〜31Hおよび温度調節機構35B〜35Hについての詳細な図および説明は省略する。
温度調節機構35Aは、枠体31Aの温度を調節する歪み矯正手段である。
温度検出部36Aは、枠体部31A内の流路を流れる媒体の温度TAを検出する。本実施の形態では、媒体が枠体部31A内に流入する流入口で、媒体の温度を検出するようにした。
温度制御部37Aは、温度検出部36Aで検出された温度TAに基づき、枠体部31A内の流路を流れる媒体の温度を昇温あるいは降温させる。そして、媒体の温度は、後で説明するCPU41によって指示される制御温度STAに調節される。本実施の形態では、例えば、熱電対、発電素子、ヒーター等を利用して流路を流れる媒体の加熱し、冷媒、冷却水路等を利用して、流路を流れる媒体を冷却できる。なお、本発明の温度制御部37Aに含まれる温度調節手段は、これに限られず、枠体31の分割されている各制御領域の温度を変更できる手段であればよい。従って、各制御領域は、枠体31の内側に配置されるだけでなく、外側であってもよい。
循環機構38Aは、枠体部31A内を通って延びた流路を通して媒体を流通させ、枠体部31Aに媒体の温度が迅速に伝達されるように、媒体を循環させる。
また、図示しないが、温度調節機構35B〜35Hも同様に、CPU41、温度検出部36B〜36H、温度制御部37B〜37Hおよび循環機構38B〜38Hとそれぞれ接続され、温度検出部36B〜36Hは、各枠体部31B〜31H内の流路を流れる媒体の温度TB〜THを検出し、温度制御部37B〜37Hは、検出された温度TB〜THに基づき、各枠体部31B〜31Hを流れる媒体の温度を昇温あるいは降温させる。そして、媒体の温度は、それぞれCPU41によって指示される制御温度STB〜STHに調節される。
CPU41は、スクリーン印刷装置の全体的な動作を制御する。
例えば、CPU41は、メモリ41aに格納されている情報を参照し、カメラD3により検出されたスクリーン32の歪みに応じた制御温度STA〜STHを、各温度調節機構35A〜35Hにそれぞれ指示する。これに際し、本実施の形態のCPU41は、カメラD3により検出された第2のマーク10Bの仮想矩形103に対するズレを、枠体部31A〜31Hの調節される温度と対応する制御上の変換値に変換する。これは、本実施の形態で利用するカメラD3から検出されるスクリーン32の歪みが、枠体部31A〜31Hの調節される温度と、それぞれ一対一対応するものではないからである。よって、カメラD3から検出されるスクリーン32の歪みが、枠体部31A〜31Hの調節される温度と対応する場合は、制御上の変換値に変換する工程は省略できる。
制御上の変換値は、スクリーン印刷が繰り返されることにより発生するスクリーン32の歪みを観察することにより求められる。例えば、枠体部31と対応するスクリーン32の歪みを算出する場合、仮想矩形103上の8つの第2のマーク10Bのうち、隣り合う枠体部31Bとの境界部分に印刷される第2のマーク10Bと仮想矩形103とのズレ、および隣り合う枠体部31Hとの境界部分に印刷される第2のマーク10Bと仮想矩形103とのズレを検出する。この2つの検出結果を相対的に評価し、枠体部31A〜31Hの調節される温度と対応する制御上の変換値を決定する。この制御上の変換値に基づいて、枠体部31A〜31Hの温度を調節することにより、スクリーン32の歪みを矯正できる。なお、この制御上の変換値を、各枠体部31A〜31Hのズレ量GA〜GHとして以下説明する。
また、本発明の歪み矯正手段が利用するズレ量を検出する方法はこれに限られず、例えば、スクリーン32の歪みを検出する際、カメラを用いずに、人出により観察されてもよい。また、スクリーンの使用回数に比例して、予想されるスクリーンの歪みに応じて算出されるズレ量であってもよい。この予想されるスクリーンの歪みは、実際に、スクリーンの印刷回数と、スクリーンの歪みの程度を観察することにより、求められる。
メモリ41aは、CPU41により算出されるズレ量GA〜GH応じて予め決められている媒体の制御温度STA〜STHを格納する制御温度テーブルを格納する。制御温度STA〜STHは、枠体部31A〜31Hを構成する材質の熱膨張係数、および印刷版30を用いたスクリーン印刷が実行される雰囲気温度に基づき決定される。なお、この制御温度テーブルは、枠体31A〜31Dと枠体31E〜31Hとのサイズが異なり、スクリーン32の引っ張る方向が異なることに起因して、お互い固有の設定値を有する。また、この雰囲気温度は、使用環境に応じて、任意に選択可能である。
すなわち、例えば枠体31Aの温度を調節する場合、CPU41は、カメラD3により検出される第2のマーク10Bと仮想矩形103とのズレを、ズレ量GAに変換する演算をする。ズレ量GAが算出されると、CPU41は、メモリ41aに格納されている制御温度テーブルを参照し、ズレ量GAに対応する制御温度STAを選択し、温度調節機構35Aに指示する。温度調整機構35Aは、温度検知部36Aにより検出される温度TAを参照し、流路を流れる媒体の温度を制御温度STAに昇温あるいは降温するため、温度制御部37Aを制御する。温度制御部37Aは、温度調整機構35Aからの指示に従い、媒体を加熱あるいは冷却する。そして、加熱された場合、枠体部31Aは熱膨張し、冷却された場合、枠体部31Aは、熱収縮する。
次に、上述した印刷版30を用いて蛍光体層Rを印刷するスクリーン印刷方法、および歪んでしまったスクリーン32の歪み矯正手段の一例について説明する。なお、本実施の形態においては、メモリ41aに格納されている制御温度テーブルは、雰囲気温度TXの環境で適当に利用可能なデータである。このため、本実施の形態で、スクリーン印刷が実行される雰囲気温度は、温度TXに一定に保たれている。
図7に示すように、カメラD3を用いて、第1のマーク10Aと位置合わせマーク30Aとがそれぞれ一致するように、前面基板10と印刷版30とを位置合わせする(位置合わせ工程)。そして、所定の間隔(例えば5mm程度)を空けて印刷版30が前面基板10と向かい合うように、印刷版30を固定する。スクリーン32は、図中矢印X1方向に移動されるスキージSにより、前面基板10に向かって押し当てられる。印刷材としての蛍光インクは、スクリーン32の有効領域321に形成されているマスクパターンおよび仮想線35上に形成されているマーク形成部30Bを通過し、前面基板10に印刷される。
印刷版30のスクリーン32に歪みを生じていない場合、蛍光体層Rの印刷パターンが、画像領域101内の遮光層11に重ねて正常に印刷されると同時に、複数の第2のマーク10Bが仮想矩形103上に印刷される(図3参照)。これに対して、印刷版30のスクリーン32に歪みを生じていると、複数の第2のマーク10Bは、仮想矩形103からズレた位置に印刷される。
スクリーン32の歪みを検出する場合、前面基板10に印刷された複数の第2のマーク10BがカメラCMにより読み取られる。これにより、印刷版30の歪みを示す仮想矩形103と複数の第2のマーク10Bとのずれ、すなわち前面基板10と印刷版30との印刷ずれが検出される(歪み検出工程)。
CPU41は、この歪み検出工程により検出された複数の第2のマーク10Bと仮想矩形103との間のずれに基づき、枠体部31A〜31Hのそれぞれに対応するズレ量GA〜GHを算出する。続けて、CPU41は、メモリ41aに格納されている制御温度テーブルを参照して、スクリーン32が歪んでいる場合すなわちズレ量GA〜GHが特定の規定範囲を超えてスクリーン32を矯正する必要があるとCPU41が判断した場合、CPU41は、算出されたズレ量GA〜GHに対応する制御温度STA〜STHを温度調節機構35Aに指示する。
温度調節機構35Aは、CPU41により指示された制御温度STAに基づき、枠体31A内の流路を流れる媒体の温度を調節する。すなわち、温度調節機構35Aは、温度検出部36Aにより検出された枠体31A内の流路を流れる媒体の温度TAが制御温度STAになるように、温度検出部36Aによる検出結果を参照し、制御温度STAと検出温度TAとの差分を算出する。算出された差分に応じて、温度制御部37Aは、媒体の温度を、昇温あるいは降温させる。循環機構38Aは、温度制御37Aにより温度が調節された媒体の熱が、枠体31Aに迅速に伝達されるように、枠体31Aの内側に配置される通路を流れる媒体を循環させる。これにより、枠体31A内の流路を流れる媒体は、均一かつ迅速に制御温度STAになる。同様にして、枠体部31B〜31Hの流路を流れる媒体の温度も、CPU41により決定された制御温度STB〜STHに基づき、温度調節機構35B〜35Hによって調節される。
枠体部31A〜31Hは、制御温度STA〜STHに調節された媒体からの熱が伝達されて、熱膨張あるいは熱収縮する。これにより、スクリーン32の歪みが矯正される(矯正工程)。
そして、スクリーン32の歪みが矯正された印刷版30を用いて、次の被印刷体として、遮光層11のみが形成されている前面基板10Rに蛍光体層Rが印刷される。これにより、連続して処理する複数の被印刷体に対し、ズレのないパターンを印刷できる。
なお、このような歪み矯正手段が施されても、仮想矩形103と第2のマーク10Bとの印刷ずれが改善されない場合は、スクリーン32の寿命が判断されて交換される。
このように、印刷版30の枠体31は、制御領域としては複数個に分割されている枠体部31A〜31Hを含むため、スクリーン32の歪みに応じて、所望される部分に対する部分的なテンションの調節が可能である。
なお、従来の印刷版では、スクリーンのテンションを部分的に調節するため、実際の分割された枠体を変形させてスクリーンを伸び縮みさせるため、この分割部分に発生する応力により、メッシュ状のスクリーンが切れる問題がある。しかし上述のとおり、印刷版30の枠体31は、制御領域としては複数個に分割されているが、枠体自体が分割されているものではないため、枠体部間の境界部分におけるスクリーン32へのストレスが抑えられている。
また、本発明の印刷版の枠体は、制御領域が分割され、熱膨張により変形する部分を、スクリーン32の歪みが発生している部分に応じて選択可能である。このため、スクリーン印刷される際、スキージSから受けるスクリーン32の面方向に不均一な応力により、スクリーン32のテンションが部分的に変化した場合であっても、スクリーン32の歪みを矯正できる。
次に、上に説明した印刷版30を用いたスクリーン32の歪み矯正方法の他の例について説明する。
上述の歪み検出工程において検出された複数の第2のマーク10Bと仮想矩形103との間のずれが規定範囲を超えた場合すなわちスクリーン32を矯正する必要があると判断された場合、冷却装置D4等を用いて、枠体31およびスクリーン32を冷却する(冷却工程)。また、この冷却工程は、上述した温度調節機構35A〜35Hを利用した数回の歪み矯正工程が実行された後、複数の第2のマーク10Bと仮想矩形103との間のずれが一定以上に達した場合に実行されてもよい。
このときの枠体31およびスクリーン32を冷却する温度は、冷却後の印刷工程において枠体31、スクリーン32あるいはマスクパターンを形成している感光性樹脂等に影響がなく、枠体31あるいはスクリーン32の少なくとも一方が収縮するような値であればよい。
また、この冷却工程は、スクリーン印刷装置に備えられる冷却手段により実行されてもよい。あるいは、スクリーン印刷が実行される際の雰囲気温度を下げることで、枠体31およびスクリーン32を冷却してもよい。
このように、スクリーン32の全体を一度冷却することにより、スクリーン32および枠体31は、全体的に熱収縮する。
ここで、熱収縮により、部分的に正常なサイズより縮んでいるスクリーン32の所定の箇所は、上述の歪み矯正手段を利用して、正常なサイズに戻される。
なお、本実施の形態においては、8つの枠体部31A〜31Hに対応する8つの制御領域を用いて説明したが、本発明はこれに限られず、制御領域は、少なくとも枠体31の各辺に1つ以上あれば数は自由に設定できる。
また、枠体31は、他の色の蛍光体層G、Bを印刷するためのマスクパターンが形成されるスクリーンが張設されることで、蛍光体層G、Bを印刷するための印刷版として利用できる。
1…表示パネル、
10…前面基板、
11…遮光層、
R、G,B…蛍光体層、
30…印刷版、
10A…第1のマーク、
10B…第2のマーク、
35A…温度調節機構(歪み矯正手段)、
36A…温度検出部、
37A…温度制御部、
38A…循環機構、
41…CPU(主制御部)、
41a…メモリ(記憶領域)、
CM…カメラ(歪み検出部)、
S…スキージ(塗布部材)。
10…前面基板、
11…遮光層、
R、G,B…蛍光体層、
30…印刷版、
10A…第1のマーク、
10B…第2のマーク、
35A…温度調節機構(歪み矯正手段)、
36A…温度検出部、
37A…温度制御部、
38A…循環機構、
41…CPU(主制御部)、
41a…メモリ(記憶領域)、
CM…カメラ(歪み検出部)、
S…スキージ(塗布部材)。
Claims (7)
- 熱膨張または熱収縮により変形する枠体と、
前記枠体に張設されたスクリーンと、
スクリーンの歪みを矯正するように、前記枠体の温度を調節する歪み矯正手段と
を有することを特徴とする印刷版。 - 前記枠体は、温度調節が可能な媒体が流通する流路をそれぞれ独立して有する複数の制御領域を有し、
前記歪み矯正手段は、前記複数の制御領域ごとに、流通する前記媒体の温度を調節する複数の温度制御部を有することを特徴とする請求項1に記載の印刷版。 - 熱膨張あるいは熱収縮により変形する枠体と、前記枠体に張設されたスクリーンと、スクリーンの歪みを矯正するように、前記枠体の温度を調節する歪み矯正手段とを有する印刷版と、
前記スクリーンを被印刷体に向かって押し当てながら、スクリーンに形成されるマスクパターンを通過する印刷材を被印刷体に塗布する塗布部材と、
を有するスクリーン印刷装置。 - 前記枠体は、温度調節が可能な媒体が流通する流路をそれぞれ独立して有する複数の制御領域を有し、
前記歪み矯正手段は、前記複数の制御領域ごとに、流通する前記媒体の温度を調節する複数の温度制御部を有することを特徴とする請求項3に記載のスクリーン印刷装置。 - 熱膨張あるいは熱収縮により変形する枠体と、前記枠体に張設されたスクリーンと、前記スクリーンの歪みを矯正するように、前記枠体の制御領域に設けられる流路を流通する温度調節が可能な媒体の温度を調節する歪み矯正手段とを有する印刷版と、
前記スクリーンを被印刷体に向かって押し当てながら、スクリーンに形成されるマスクパターンを通過する印刷材を被印刷体に塗布する塗布部材と、
前記スクリーンの歪みを検出する歪み検出部と、
前記スクリーンの歪みの程度に応じて予め決められている前記媒体の制御温度を格納する記憶領域と
前記歪み検出部により検出されたスクリーンの歪み、および前記記憶領域に格納されている前記制御温度を参照して、前記歪み検出部により検出されたスクリーンの歪みに応じた前記制御温度を、前記歪み矯正手段に指示する主制御部とを有し、
前記歪み矯正手段は、前記制御領域を流通する媒体の温度を、前記主制御部により指示された前記制御温度に制御することを特徴とするスクリーン印刷装置。 - 前記枠体は、前記媒体が流通する流路をそれぞれ独立して有する複数の制御領域を有し、
前記歪み矯正手段は、前記複数の制御領域ごとに、流通する媒体の温度を調節する複数の温度制御部を有することを特徴とする請求項5に記載のスクリーン印刷装置。 - 前記印刷版は、前記歪み検出部により一定範囲以上のスクリーン歪みが検出された場合、前記印刷版を冷却する冷却手段を有することを特徴とする請求項6に記載のスクリーン印刷装置。
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2004
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