JP2005174739A - 画像表示装置の製造方法および製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】基板全体を低温に維持しながら短時間で安定して封着を行うことができる画像表示装置の製造方法および製造装置を提供する。
【解決手段】前面基板11および背面基板12の少なくとも一方の内面周縁部に沿って、導電性を有した封着材を配置して封着層21a、21bを形成した後、これらの基板を対向配置する。前面基板および背面基板を対向配置した状態で封着層に通電し、封着材を加熱溶融させ、前面基板および背面基板の周辺部同士を接合する。封着材を通電加熱する際、封着材の温度変化に基づいて、封着材への通電を制御する。
【選択図】 図8
【解決手段】前面基板11および背面基板12の少なくとも一方の内面周縁部に沿って、導電性を有した封着材を配置して封着層21a、21bを形成した後、これらの基板を対向配置する。前面基板および背面基板を対向配置した状態で封着層に通電し、封着材を加熱溶融させ、前面基板および背面基板の周辺部同士を接合する。封着材を通電加熱する際、封着材の温度変化に基づいて、封着材への通電を制御する。
【選択図】 図8
Description
この発明は、対向配置された基板と複数の画素とを有した画像表示装置の製造方法および製造装置に関する。
近年、陰極線管(以下、CRTと称する)に代わる次世代の軽量、薄型の表示装置として様々な画像表示装置が開発されている。このような画像表示装置には、液晶の配向を利用して光の強弱を制御する液晶ディスプレイ(以下、LCDと称する)、プラズマ放電の紫外線により蛍光体を発光させるプラズマディスプレイパネル(以下、PDPと称する)、電界放出型電子放出素子の電子ビームにより蛍光体を発光させるフィールドエミッションディスプレイ(以下、FEDと称する)、表面伝導型電子放出素子の電子ビームにより蛍光体を発光させる表面伝導電子放出ディスプレイ(以下、SEDと称する)などがある。
例えばFEDやSEDでは、一般に、所定の隙間を置いて対向配置された前面基板および背面基板を有し、これらの基板は、矩形枠状の側壁を介して周辺部同士を互いに接合することにより真空の外囲器を構成している。前面基板の内面には蛍光体スクリーンが形成され、背面基板の内面には蛍光体を励起して発光させる電子放出源として多数の電子放出素子が設けられている。
また、背面基板および前面基板に加わる大気圧荷重を支えるために、これら基板の間には複数の支持部材が配設されている。背面基板側の電位はほぼアース電位であり、蛍光面にはアノード電圧が印加される。そして、蛍光体スクリーンを構成する赤、緑、青の蛍光体に電子放出素子から放出された電子ビームを照射し、蛍光体を発光させることによって画像を表示する。
このようなFEDやSEDでは、表示装置の厚さを数mm程度にまで薄くすることができ、現在のテレビやコンピュータのディスプレイとして使用されているCRTと比較して、軽量化、薄型化を達成することができる。
例えば、前記のようなFEDにおいて、外囲器を構成する前面基板および背面基板を矩形枠状の側壁を介して接合するために様々な製造方法が検討されている。例えば、真空装置内において、前面基板と背面基板を十分に離した状態で両基板をべーキングしながら真空装置全体を高真空になるまで排気し、所定の温度および真空度に到達したときに前面基板と背面基板を、側壁を介して接合する方法が挙げられる。この方法では、通常、ゲッターの吸着能力を低下させないように、シール材として比較的低温で封着が可能なインジウムが用いられる。
しかしながら、インジウムは低融点金属とはいえ、その溶融温度は約160℃であり、この温度でもゲッターの吸着能力は低下することが確かめられている。また、この温度で封着した画像表示装置を動作させると、ライフ特性が劣化することが実験で確認された。
これらの問題を解決する方法として、基板間にインジウム等の低融点封着材を充填し、この封着材に通電しそのジュール熱により封着材自身を発熱、溶解させ、基板同志を結合する方法(以下、通電加熱と称する)が検討されている(例えば、特許文献1参照)。この方法によれば、ゲッター形成領域を100〜140℃程度に保ちながら、封着材のみを高温にして溶融することができるため、ゲッターの吸着能力低下を防止することができる。また、基板の加熱、冷却に膨大な時間を費やす必要がなく、短時間で基板を接合し外囲器を形成する事が可能となる。
特開2002−319346号
しかしながら、上述した製造方法において、インジウムの充填工程では、温度、超音波のエネルギー、充填ジグの経時変化などにより、インジウムの充填幅、厚さにばらつきが発生する。また、通電時のインジウムには表面張力の変化などにより凹凸や粗密が発生する。更に、通電時の基板温度も、製造装置の経時変化や基板の反りなどによって若干のばらつきが生じる場合がある。
従来のように約160℃で加熱封着を行う場合、上記のような充填インジウムのばらつきは封着に大きな影響を与えないため、問題にはならなかった。しかし、通電封着の場合、充填インジウムのばらつきによってインジウムの発熱が異なるため、温度が高くなりすぎて基板が割れる、冷却時間が延びる、などの問題が発生する。逆に、温度が低くインジウムが完全に溶融する前に通電が停止され、封着ができないといった問題が発生していた。このため、インジウムや基板温度のばらつきに影響されない製造方法が望まれている。
この発明はこれらの課題に鑑みなされたもので、その目的は、基板全体を低温に維持しながら短時間で安定して封着を行うことができる画像表示装置の製造方法および製造装置を提供するものである。
この発明の態様に係る画像表示装置の製造方法は、隙間を置いて対向配置されているとともに周辺部同士が接合された前面基板および背面基板を有する外囲器と、上記外囲器内に設けられた複数の画素とを備えた画像表示装置の製造方法において、
前記前面基板および背面基板の少なくとも一方の内面周縁部に沿って、導電性を有した封着材を配置して封着層を形成し、前記前面基板および背面基板を対向配置した状態で前記封着層に通電し、前記封着材を加熱溶融させ、前記前面基板および背面基板の周辺部同士を接合し、前記封着材を通電加熱する際、前記封着材の温度変化に基づいて、前記封着材への通電を制御することを特徴としている。
前記前面基板および背面基板の少なくとも一方の内面周縁部に沿って、導電性を有した封着材を配置して封着層を形成し、前記前面基板および背面基板を対向配置した状態で前記封着層に通電し、前記封着材を加熱溶融させ、前記前面基板および背面基板の周辺部同士を接合し、前記封着材を通電加熱する際、前記封着材の温度変化に基づいて、前記封着材への通電を制御することを特徴としている。
この発明の形態に係る画像表示装置の製造装置は、隙間を置いて対向配置されているとともに周辺部同士が接合された前面基板および背面基板を有した外囲器と、前記前面基板および背面基板の少なくとも一方の内面周縁部に沿って配置された導電性を有する材料を含む封着層と、前記外囲器内に設けられた複数の画素とを備えた画像表示装置の製造装置において、
前記封着層に電流を流す電源と、前記前面基板および背面基板を互いに対向して支持する支持機構と、前面基板および背面基板の少なくとも一方の基板を他方の基板に向かって押圧する駆動機構と、前記封着層に通電している間、前記封着層の温度を計測する温度計測手段と、前記温度測定手段により測定された温度の変化に応じて前記封着層への通電を制御する電源制御部と、を備えていることを特徴としている。
前記封着層に電流を流す電源と、前記前面基板および背面基板を互いに対向して支持する支持機構と、前面基板および背面基板の少なくとも一方の基板を他方の基板に向かって押圧する駆動機構と、前記封着層に通電している間、前記封着層の温度を計測する温度計測手段と、前記温度測定手段により測定された温度の変化に応じて前記封着層への通電を制御する電源制御部と、を備えていることを特徴としている。
本発明によれば、基板全体を低温に維持しながら短時間で安定した封着が可能な画像表示装置の製造方法および製造装置を提供することができる。
以下図面を参照しながら、この発明に係る画像表示装置をFEDに適用した実施形態について詳細に説明する。
図1ないし図4に示すように、FEDは、それぞれ矩形状のガラス板からなる前面基板11、および背面基板12を備え、これらの基板は所定の間隔で対向配置されている。背面基板12は前面基板11よりも大きな寸法に形成されている。そして、前面基板11および背面基板12は、矩形枠状の側壁18を介して周縁部同士が接合され、内部が高真空に維持された偏平な矩形状の真空外囲器10を構成している。
図1ないし図4に示すように、FEDは、それぞれ矩形状のガラス板からなる前面基板11、および背面基板12を備え、これらの基板は所定の間隔で対向配置されている。背面基板12は前面基板11よりも大きな寸法に形成されている。そして、前面基板11および背面基板12は、矩形枠状の側壁18を介して周縁部同士が接合され、内部が高真空に維持された偏平な矩形状の真空外囲器10を構成している。
真空外囲器10の内部には、前面基板11および背面基板12に加わる大気圧荷重を支えるため、複数の板状の支持部材14が設けられている。これらの支持部材14は、真空外囲器10の一辺と平行な方向にそれぞれ延在しているとともに、前記一辺と直交する方向に沿って所定の間隔を置いて配置されている。なお、支持部材は板状に限らず、柱状のものを用いてもよい。
前面基板11の内面には、画像表示面として機能する蛍光体スクリーン16が形成されている。この蛍光体スクリーン16は、赤、緑、青の蛍光体層R、G、B、およびこれらの蛍光体層間に位置した遮光層20を並べて構成されている。蛍光体層R、G、Bは、真空外囲器10の前記一辺と平行な方向に延在しているとともに、この一辺と直交する方向に沿って所定の間隔を置いて配置されている。蛍光体スクリーン16上には、たとえばアルミニウムからなるメタルバック層17およびバリウムからなるゲッター膜27が順に重ねて形成されている。
図3に示すように、背面基板12の内面上には、蛍光体スクリーン16の蛍光体層を励起する電子放出源として、それぞれ電子ビームを放出する多数の電子放出素子22が設けられている。これらの電子放出素子22は、画素毎に対応して複数列および複数行に配列されている。詳細に述べると、背面基板12の内面上には、導電性カソード層24が形成され、この導電性カソード層上には多数のキャビティ25を有した二酸化シリコン膜26が形成されている。二酸化シリコン膜26上には、モリブデンやニオブ等からなるゲート電極28が形成されている。そして、背面基板12の内面上において各キャビティ25内にはモリブデンなどからなるコーン状の電子放出素子22が設けられている。導電性カソード層とゲート電極は、それぞれ直交する方向にストライプ状に形成されており、背面基板12の周縁部には、これら導電性カソード層およびゲート電極に電位を供給する多数本の配線23が形成されている。
前記のように構成されたFEDにおいて、映像信号は、単純マトリックス方式に形成された電子放出素子22とゲート電極28に入力される。電子放出素子を基準とした場合、最も輝度の高い状態の時、+100Vのゲート電圧が印加される。また、蛍光体スクリーン16には+10kVが印加される。これにより、電子放出素子22から電子ビームが放出される。電子放出素子から放出される電子ビームの大きさは、ゲート電極28の電圧によって変調され、この電子ビームが蛍光体スクリーン16の蛍光体層を励起して発光させることにより画像を表示する。
このように蛍光体スクリーン16には高電圧が印加されるため、前面基板11、背面基板12、側壁18、および支持部材14用の板ガラスには、高歪点ガラスが使用されている。背面基板12と側壁18との間は、低融点ガラス19によって封着されている。また、前面基板11と側壁18との間は、導電性を有する低融点封着材としてインジウム(In)を含んだ封着層21によって封着されている。
次に、前記構成を有するFEDの製造方法について詳細に説明する。
まず、前面基板11となる板ガラスに蛍光体スクリーン16を形成する。これは、前面基板11と同じ大きさの板ガラスを準備し、この板ガラスにプロッターマシンで蛍光体ストライプパターンを形成する。この蛍光体ストライプパターンを形成した板ガラスと前面基板用の板ガラスとを位置決め治具に載せて露光台にセットする。この状態で、露光、現像することにより、前面基板11となるガラス板上に蛍光体スクリーンを形成する。その後、蛍光体スクリーン16に重ねてメタルバック層17を形成する。
まず、前面基板11となる板ガラスに蛍光体スクリーン16を形成する。これは、前面基板11と同じ大きさの板ガラスを準備し、この板ガラスにプロッターマシンで蛍光体ストライプパターンを形成する。この蛍光体ストライプパターンを形成した板ガラスと前面基板用の板ガラスとを位置決め治具に載せて露光台にセットする。この状態で、露光、現像することにより、前面基板11となるガラス板上に蛍光体スクリーンを形成する。その後、蛍光体スクリーン16に重ねてメタルバック層17を形成する。
続いて、背面基板12用の板ガラスに電子放出素子22を形成する。これはまず、導電性カソード層24を板ガラス上に形成し、このカソード層上に例えば熱酸化法やCVD法あるいはスパッタリング法により2酸化シリコン膜の絶縁膜を形成する。この後、この絶縁膜上に、例えばスパッタリング法や電子ビーム蒸着法によりモリブデンやニオブなどのゲート電極形成用の金属膜を形成する。次に、この金属膜上に、形成すべきゲート電極に対応した形状のレジストパターンをリソグラフィーにより形成する。このレジストパターンをマスクとして金属膜をウェットエッチング法またはドライエッチング法によりエッチングし、ゲート電極28を形成する。
この後、レジストパターン及びゲート電極28をマスクとして絶縁膜をウェットエッチングまたはドライエッチング法によりエッチングして、キャビティ25を形成する。そして、レジストパターンを除去した後、背面基板表面に対して所定角度傾斜した方向から電子ビーム蒸着を行うことにより、ゲート電極28上に例えばアルミニウムやニッケルからなる剥離層を形成する。その後、背面基板表面に対して垂直な方向からカソード形成用の材料として例えばモリブデンを電子ビーム蒸着法により蒸着する。これによって、キャビティ25の内部に電子放出素子22が形成される。次に、剥離層をその上に形成された金属膜とともにリフトオフ法により除去する。
続いて、大気中で低融点ガラス19により側壁18および支持部材14を背面基板12の内面上に封着する。その後、図5および図6に示すように、側壁18の封着面の全周に渡ってインジウムを所定の幅および厚さに充填し封着層21aを形成する。同様に、前面基板11の側壁と対向する封着面にインジウムを所定の幅および厚さで矩形枠状に充填し封着層21bを形成する。なお、側壁18および前面基板11の封着面に対する封着層21a、21bの充填は、溶融したインジウムを封着面に塗布する方法、あるいは、固体状態のインジウムを封着面に載置する方法等によって行う。
次いで、図6に示すように、側壁18が接合されている背面基板12に、通電用の一対の電極30a、30bを装着する。ここで、各電極は、導電部材として例えば0.2mm厚の銅板を折り曲げ加工して形成され、背面基板12の周縁部を挟持して取り付け可能な装着部32、後述するコンタクト電極に接触する舌片部35、封着層21に接触可能な接触部36を一体に備えている。そして、電極30a、30bは、装着部32により背面基板12の周縁部を弾性的に挟持した状態で背面基板に取り付けられる。この際、各電極30a、30bの接触部36を、側壁18に形成されたインジウムに接触させ、電極を封着層21aに対して電気的に接続する。
電極30a、30bは、封着層21a、21bに通電する際の電極として用いられ、基板上で+極と−極の一対を必要とし、一対の電極間で並列に通電される封着層の各々の通電経路はその長さを等しくすることが望ましい。そこで、一対の電極30a、30bは、背面基板12の対角方向に対向する2つの角部近傍に装着され、電極間に位置した封着層の長さは、各電極の両側でほぼ等しく設定されている。
電極30a、30bを装着した後、背面基板12および前面基板11を所定間隔離して対向配置し、この状態で、真空処理装置内に投入する。ここでは、例えば図7に示すような真空処理装置100を用いる。真空処理装置100は、並んで配設されたロード室101、ベーキング、電子線洗浄室102、冷却室103、ゲッター膜の蒸着室104、組立室105、冷却室106、およびアンロード室107を備えている。真空処理装置100の各室は、真空処理が可能な処理室として構成され、FEDの製造時には全室が真空排気されている。これら各処理室間は図示しないゲートバルブ等により接続されている。
所定間隔離して配置された上述の前面基板11および背面基板12は、まず、ロード室101に投入される。そして、ロード室101内の雰囲気を真空雰囲気とした後、ベーキング、電子線洗浄室102へ送られる。ベーキング、電子線洗浄室102では、各種部材を300℃の温度に加熱し、各基板の表面吸着ガスを放出させる。同時にベーキング、電子線洗浄室102に取り付けられた図示しない電子線発生装置から電子線を、前面基板11の蛍光体スクリーン面、および背面基板12の電子放出素子面に照射する。その際、電子線発生装置外部に装着された偏向装置によって電子線を偏向走査することにより、蛍光体スクリーン面および電子放出素子面の全面をそれぞれ電子線洗浄する。
電子線洗浄を行った前面基板11および背面基板12は冷却室103に送られ、約120℃の温度まで冷却された後、ゲッター膜の蒸着室104へと送られる。この蒸着室104では、メタルバック層17の外側にゲッター膜27としてバリウム膜が蒸着形成される。バリウム膜は表面が酸素や炭素などで汚染されることを防止することができ、活性状態を維持することができる。
続いて、前面基板11および背面基板12は組立室105に送られる。図8に示すように、組立室105の内部には、ホットプレート131、132が隙間を置いて水平に対向配置されている。ホットプレート132の下方には昇降自在なステージ134が配設され、このステージ上には複数の支持ピン133が垂直に立設されている。各支持ピン133の延出端にはバネ130が取り付けられている。支持ピン133は、ホットプレート132に形成された透孔に摺動自在に挿通され、その先端部により背面基板12を支持可能となっている。支持ピン133およびステージ134は、組立室105の外側に配設されたモーター135により昇降駆動される。ステージ134、支持ピン133およびモーター135は駆動機構を構成しているとともに、ホットプレート131、132と共に支持機構を構成している。また、組立室105の外側にはステージ148が設けられ、このステージにはエアーシリンダー146が接続されている。ホットプレート132は複数のシャフト147を介してステージ148に連結されている。そして、ホットプレート132は、エアーシリンダー146を駆動することにより、他方のホットプレート131に対して接離する方向へ昇降駆動される。
ホットプレート132の端部には、背面基板12に装着された電極30a、30bの舌片部35とそれぞれ接触する一対のコンタクト電極137が設けられている。また、各コンタクト電極137は通電配線136を介して電源120に電気的に接続されている。電源120は、この電源を制御する電源制御部として機能するコンピュータ121と接続されている。
組立室105内において、ホットプレート131の上方には昇降自在なステージ139が配置され、ホットプレート131と対向している。このステージ139には、前面基板11の温度を測定する複数、例えば16本の熱電対138が支持されている。温度測定手段として機能する熱電対138は、前面基板11の内面に形成された封着層21bと対向する位置に設けられ、この封着層に沿って等間隔離間して配置されている。熱電対138およびステージ139は、組立室105の外側に配設されたモーター140により昇降駆動される。ステージ139およびモーター140は熱電対138を駆動する駆動機構を構成している。ホットプレート131には、それぞれ熱電対138と対向する位置に複数の透孔141が形成されている。前面基板11に向かって熱電対138が下降すると、各熱電対は透孔141を通り前面基板11の外面に当接することができる。各熱電対138は補償導線144を介してデータロガー145に接続され、熱電対から出力される温度はデータロガー145に取り込まれ、そのデータはコンピュータ121に入力される。
組立室105に送られた前面基板11および背面基板12は、まず、それぞれ対応するホットプレート131、132に対して位置決め固定され、これらのホットプレートにより約120℃で温度保持される。この際、前面基板11は下向きに位置決めされた後、落下しないように公知の静電吸着技術によってホットプレート131に吸着固定される。
前面基板11および背面基板12の相互位置合わせが完了した後、モーター135を駆動してステージ134および支持ピン133を上昇させ、支持ピン133により背面基板を支持するとともに前面基板11方向へ移動させ、前面基板に対して背面基板を所定の圧力で加圧する。この際、基板毎に反りやインジウムの充填量に若干のばらつきがあるが、支持ピン133の先端に設けられたバネ130がこれらのばらつきを吸収することができる。そのため、どのような基板であっても安定して加圧をすることができる。加圧により、前面基板11側および背面基板12側の封着層21b、21a間に電極30a、30bの接触部36が挟み込まれ、各電極は、両基板の封着層21a、21bに対して同時に電気的に接触する。この後、エアーシリンダー146を動作させてホットプレート132を上方へ押し上げ、コンタクト電極137をそれぞれ電極30a、30bに接触させる。
続いて、駆動機構によりステージ139および複数の熱電対138を下降させる。複数の熱電対138はそれぞれホットプレート131の対応する透孔141を通って下降し、その先端が前面基板11の外面に接触する。
この状態で、電源120から140Aの直流電流を出力し、通電配線136、コンタクト電極137、電極30a、30bを通して封着層21a、21bに定電流モードで通電する。これにより、インジウムが加熱され、10秒程度でインジウムの溶融が始まる。この際、封着層21a、21bの充填幅、厚さのばらつきや通電時の表面張力の変化などにより、封着層の断面積にばらつきが生じ、インジウムの溶融にもばらつきが生じる。そこで、通電加熱中、熱電対138により前面基板11外面の温度を測定し、最も温度の低い部分が一定温度、例えば140℃を越えたときに通電を終了する。この時、前面基板11外面の最も温度の低い部分に対応する位置における封着層の温度、つまり、インジウムの温度は160℃を超え、溶融した状態となっている。また、前面基板11外面の最も温度の高い部分が一定温度、例えば180℃を越えた場合、インジウムに印加する電流値を100Aに低下させる。これにより、インジウムの過昇温を抑えることができる。
一方、この際、大部分のインジウムが溶融している状態であり、その熱が前面基板11およびインジウムの他の部分に伝わる。そのため、比較的、低電流であっても溶融していない部分も短時間で溶融に到る。よって、温度が高くなりすぎて基板が割れる、冷却時間が延びる、などの問題を防ぐことが可能になる。
上述した通電加熱時におけるインジウムの温度変化Aおよび前面基板外面の温度変化Bは図9に示すようになる。このグラフは、両者の温度変化の関係を把握するために両方に熱電対を取り付けて温度測定したものである。基板の昇温時は両者の温度に差が発生するが、基板の厚さと電流値が決まれば温度差は一定となり、前面基板外面の温度によりインジウムの温度を判断することができる。固化後のインジウム温度および基板温度はほとんど同じとなるため、前面基板外面の温度によりインジウムの温度を判断することができる。
このように、インジウムが所定の温度に加熱され完全に溶融した時点で、コンピュータ121から電源120へ通電終了の信号を送り、封着層への通電を停止する。その後、数分間、加圧状態を保持することにより、インジウムが冷却固化され、前面基板11と側壁18とが封着層21によって封着される。これにより、真空外囲器10が形成される。このときも、熱電対138による温度測定を継続し、検出されたすべての温度が一定温度以下、例えば130℃以下になった後、基板取出動作に入るようにすると、安定して基板を冷却室に送ることができる。封着後の真空外囲器10は、冷却室206に送られ、常温まで冷却されて、アンロード室207から取り出される。以上の工程により、FEDが完成する。なお、電極30a、30bは、封着後、除去してもよい。
以上のようなFEDの製造方法および製造装置によれば、ベーキングと電子線洗浄の併用によって表面吸着ガスを十分に放出させることができ、吸着能力が優れたゲッター膜を得ることができる。また、インジウムを用いて通電封着することにより、短時間で封着を完了することができるために量産性に優れた製造方法および製造装置とすることが可能となる。
また、基板ごとに封着材の充填量や基板温度などにばらつきが生じた場合でも、通電加熱時の封着材の温度変化を計測し、その温度変化に応じて基板ごとの通電加熱条件を適切に設定することができる。従って、基板全体を低温に維持しながら、短時間で確実に接合を行うことが可能であり、ゲッターの吸着能力を維持して安定かつ良好な画像を得ることが可能なFEDを製造することができる。
本発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
例えば、上述した実施形態では前面基板の温度を熱電対により測定したが、これに限らず背面基板側に熱電対を配置してその温度を測定してもよく、あるいは両基板の温度測定してもよい。また、封着層の厚さを確保することができる場合には、先端を絶縁被覆した熱電対を基板側面側に配置し、インジウムに対して熱電対の先端を直接接触させて温度を測定する構成としてもよい。温度計測手段は熱電対に限らず、他の温度センサーを用いてもよい。
導電性を有した低融点封着材としては、インジウムの代わりに、In、Ga、Pb、Sn及びZnよりなる群から選択される単体金属か、もしくはIn、Ga、Pb、Sn及びZnよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素を含有する合金を用いることができる。特に、In及びGaよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素を含む合金、In金属、Ga金属を使用することが望ましい。InもしくはGaを含む低融点封着材は、SiO2を主成分とするガラス製基板との濡れ性に優れるため、低融点封着材の配置される基板がSiO2を主成分とするガラスで形成されている場合に特に適している。好ましい低融点封着材は、In金属、Inを含む合金である。Inを含む合金としては、例えば、InとAgを含む合金、InとSnを含む合金、InとZnを含む合金、InとAuを含む合金などを挙げることができる。
また、外囲器の側壁は、予め背面基板あるいは前面基板と共に一体的に成形された構成としてもよい。真空外囲器の外形状や支持部材の構成は前記実施の形態に限られるものでないことはいうまでもない。マトリックス型の遮光層と蛍光体層を形成し、断面が十字型の柱状支持部材を遮光層に対して位置決めして封着する構成としてもよい。電子放出素子は、pn型の冷陰極素子あるいは表面伝導型の電子放出素子等を用いてもよい。前記実施形態では、真空雰囲気中で基板を接合する工程について述べたが、その他の雰囲気環境において本発明を適用することも可能である。この発明は、FEDに限定されることなく、SEDやPDP等の他の画像表示装置、あるいは、外囲器内部が高真空とならない画像表示装置にも適用することができる。
10…真空外囲器、 11…前面基板、 12…背面基板、
14…支持部材、 16…蛍光体スクリーン、 18…側壁、
21、21a、21b…封着層、 22…電子放出素子、
30a、30b…電極、 100…真空処理装置、 120…電源、
131、132…ホットプレート、 134、139…ステージ、
138…熱電対
14…支持部材、 16…蛍光体スクリーン、 18…側壁、
21、21a、21b…封着層、 22…電子放出素子、
30a、30b…電極、 100…真空処理装置、 120…電源、
131、132…ホットプレート、 134、139…ステージ、
138…熱電対
Claims (10)
- 隙間を置いて対向配置されているとともに周辺部同士が接合された前面基板および背面基板を有する外囲器と、上記外囲器内に設けられた複数の画素とを備えた画像表示装置の製造方法において、
前記前面基板および背面基板の少なくとも一方の内面周縁部に沿って、導電性を有した封着材を配置して封着層を形成し、
前記前面基板および背面基板を対向配置した状態で前記封着層に通電し、前記封着材を加熱溶融させ、前記前面基板および背面基板の周辺部同士を接合し、
前記封着材を通電加熱する際、前記封着材の温度変化に基づいて、前記封着材への通電を制御することを特徴とする画像表示装置の製造方法。 - 前記前面基板または背面基板の前記封着層に対向する部分の温度を測定して前記封着材の温度を検出し、検出された温度に基づいて前記封着材への通電を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置の製造方法。
- 前記対向する部分に温度計測手段を接触させて温度を検出することを特徴とする請求項2に記載の画像表示装置の製造方法。
- 前記封着層と対向する複数部分の温度をそれぞれ検出し、最も温度の低い部分が所定の温度を越えた時点で、前記封着層への通電を停止することを特徴とする請求項2又は3に記載の画像表示装置の製造方法。
- 前記封着層と対向する複数部分の温度をそれぞれ検出し、最も温度の高い部分が所定の温度を越えた時点で、前記封着層への通電電流値を低下させることを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1項に記載の画像表示装置の製造方法。
- 上記封着層の外側側面に温度計測手段を設け、上記封着材を通電加熱する際、上記封着層の温度を直接検出することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置の製造方法。
- 上記封着層の外側側面の複数部分で温度をそれぞれ検出し、最も温度の低い部分が所定の温度を越えた時点で、前記封着層への通電を停止することを特徴とする請求項6に記載の画像表示装置の製造方法。
- 上記封着層の外側側面の複数部分で温度をそれぞれ検出し、最も温度の高い部分が所定の温度を越えた時点で、前記封着層への通電電流値を低下させることを特徴とする請求項6又は7に記載の画像表示装置の製造方法。
- 隙間を置いて対向配置されているとともに周辺部同士が接合された前面基板および背面基板を有した外囲器と、前記前面基板および背面基板の少なくとも一方の内面周縁部に沿って配置された導電性を有する材料を含む封着層と、前記外囲器内に設けられた複数の画素とを備えた画像表示装置の製造装置において、
前記封着層に電流を流す電源と、前記前面基板および背面基板を互いに対向して支持する支持機構と、前面基板および背面基板の少なくとも一方の基板を他方の基板に向かって押圧する駆動機構と、前記封着層に通電している間、前記封着層の温度を計測する温度計測手段と、前記温度測定手段により測定された温度の変化に応じて前記封着層への通電を制御する電源制御部と、を備えていることを特徴とする画像表示装置の製造装置。 - 前記温度測定手段は、前記前面基板または背面基板の前記封着層に対向する部分に接触可能に設けられた熱電対を備えていることを特徴とする請求項9に記載の画像表示装置の製造装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003413131A JP2005174739A (ja) | 2003-12-11 | 2003-12-11 | 画像表示装置の製造方法および製造装置 |
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JP2003413131A JP2005174739A (ja) | 2003-12-11 | 2003-12-11 | 画像表示装置の製造方法および製造装置 |
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JP2005174739A true JP2005174739A (ja) | 2005-06-30 |
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ID=34733349
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JP2003413131A Pending JP2005174739A (ja) | 2003-12-11 | 2003-12-11 | 画像表示装置の製造方法および製造装置 |
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JP (1) | JP2005174739A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN113644089A (zh) * | 2020-04-27 | 2021-11-12 | Lg电子株式会社 | 显示装置 |
-
2003
- 2003-12-11 JP JP2003413131A patent/JP2005174739A/ja active Pending
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CN113644089A (zh) * | 2020-04-27 | 2021-11-12 | Lg电子株式会社 | 显示装置 |
CN113644089B (zh) * | 2020-04-27 | 2023-08-04 | Lg电子株式会社 | 显示装置 |
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