JP2006004810A - 平面型表示装置の製造方法および製造装置 - Google Patents

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昌広 横田
Takashi Enomoto
貴志 榎本
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竜一 寺本
Masaaki Furuya
正明 古矢
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Abstract

【課題】短時間で基板の温度差を解消し、生産性の向上した平面型表示装置の製造方法および製造装置を提供する。
【解決手段】 対向配置されているとともに周辺部同士が接合された2枚の基板を備えた平面型表示装置の製造方法において、2枚の基板11、12のサイズを検知し、検知した基板サイズと所定サイズとのずれ量を検出する。検出されたずれ量に相当する熱量を基板に供給あるいは基板から除去し、この熱量に応じた基板の熱膨張変化によりずれ量を補正し基板を所定サイズとする。ずれ量を補正した後、基板同士を接合する。
【選択図】 図7

Description

この発明は、対向配置された少なくとも2枚の基板を備えた平面型表示装置の製造方法および製造装置に関する。
近年、陰極線管(以下、CRTと称する)に代わる次世代の軽量、薄型の表示装置として様々な平面型の表示装置が開発されている。このような表示装置には、液晶の配向を利用して光の強弱を制御する液晶ディスプレイ(以下、LCDと称する)、プラズマ放電の紫外線により蛍光体を発光させるプラズマディスプレイパネル(以下、PDPと称する)、電界放出型電子放出素子の電子ビームにより蛍光体を発光させるフィールドエミッションディスプレイ(以下、FEDと称する)、表面伝導型電子放出素子の電子ビームにより蛍光体を発光させる表面伝導電子放出ディスプレイ(以下、SEDと称する)などがある。
これらの表示装置は、一般に、隙間を置いて対向配置された2枚の基板を備え、これらの基板は周縁部同士を互い接合することにより外囲器を構成している。例えば、SEDでは、一方の基板の内面に蛍光体層が形成され、他方の基板の内面に電子放出素子が配列されている。(例えば、特許文献1)。
上記のような表示装置の製造工程において、2枚の基板を貼り合わせる封着工程では、2枚の基板を所望の位置関係に正しく合わせてから貼り合わせる必要がある。2枚の基板の相対位置関係がずれている場合、表示画面と表示素子との位置関係がずれ、画像品位の低下を生じる。しかしながら、封着工程およびその前工程においては基板を熱処理することが一般的であり、この際、2枚の基板温度が異なると熱膨張差により位置がずれる問題がある。この問題は、近年の平面型表示装置の大型化にともない顕著なものとなっている。
特開2002−319346号
前述の通り、封着工程においては2枚の基板の温度差に起因した位置ずれを生じる。基板間の温度差を緩和しようとする場合、2枚の基板温度が同じ温度になるよう時間をかけて熱処理を加える必要がある。このため、封着工程の時間が長くなり、生産性を低下させる要因となる。
この発明は、以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、短時間で基板の温度差を解消し、生産性の向上した平面型表示装置の製造方法および製造装置を提供することにある。
上記課題を達成するため、この発明の態様に係る平面型表示装置の製造方法は、対向配置されているとともに周辺部同士が接合された2枚の基板を備えた平面型表示装置の製造方法において、前記2枚の基板のサイズを検知し、前記検知した基板サイズと所定サイズとのずれ量を検出し、前記検出されたずれ量に相当する熱量を前記基板に供給あるいは前記基板から除去し、この熱量に応じた基板の熱膨張変化により前記ずれ量を補正し前記基板を前記所定サイズとし、前記ずれ量を補正した後、前記基板同士を接合することを特徴としている。
この発明の他の態様に係る平面型表示装置の製造装置は、対向配置されているとともに周辺部同士が接合された2枚の基板を備えた平面型表示装置の製造装置において、前記2枚の基板のサイズを検知するサイズ検知手段と、前記検知した基板サイズと所定サイズとのずれ量に相当する熱量を前記基板に供給あるいは前記基板から除去し、この熱量に応じた基板の熱膨張変化により前記ずれ量を補正し前記基板を前記所定サイズとする熱量制御手段と、を備えたことを特徴としている。
上記製造方法および製造装置によれば、2枚の基板の温度差が無くなるまで時間をかけるのではなく、積極的に基板温度差を基板サイズから検知し、補正熱量を基板に供給あるいは除去することで、時間をかけることなく基板温度差を解消するものである。これにより、極めて短時間のうちに2枚の基板サイズを熱的に補正し、生産性を高めることができる。
この発明によれば、短時間で基板の温度差を解消し、生産性の向上した平面型表示装置の製造方法および製造装置を提供するができる。
以下図面を参照しながら、この発明を、平面型表示装置として、SEDに適用した第1の実施形態について詳細に説明する。
図1および図2に示すように、SEDは、平面基板として、それぞれ矩形状のガラス板からなる第1基板11および第2基板12を備え、これらの基板は約1.0〜2.0mmの隙間をおいて対向配置されている。第1基板11および第2基板12は、ガラスからなる矩形枠状の側壁13を介して周縁部同士が接合され、内部が真空に維持された扁平な真空外囲器10を構成している。
接合部材として機能する側壁13は、例えば、低融点ガラス、低融点金属等の封着材23により、第1基板11の周縁部および第2基板12の周縁部に封着され、これらの基板同士を接合している。
真空外囲器10の内部には、第1基板11および第2基板12に加わる大気圧荷重を支えるため、例えば、ガラスからなる複数の板状の支持部材14が設けられている。これらの支持部材14は、真空外囲器10の長辺と平行な方向に延在しているとともに、短辺と平行な方向に沿って所定の間隔を置いて配置されている。なお、支持部材14の形状については特にこれに限定されるものではなく、柱状の支持部材を用いてもよい。
第1基板11の内面には蛍光面として機能する蛍光体スクリーン15が形成されている。図3に示すように、蛍光体スクリーン15は、赤、青、緑に発光する矩形状の蛍光体層16、および蛍光体層間に位置した遮光層17を並べて構成されている。蛍光体層はストライプ状あるいはドット状に形成してもよい。蛍光体スクリーン15上には、アルミニウム等からなるメタルバック20およびゲッター膜22が順に形成されている。
第2基板12の内面には、蛍光体スクリーン15の蛍光体層16を励起する電子放出源として、それぞれ電子ビームを放出する多数の表面伝導型の電子放出素子18が設けられている。これらの電子放出素子18は、画素毎に対応して複数列および複数行に配列されている。各電子放出素子18は、図示しない電子放出部、この電子放出部に電圧を印加する一対の素子電極等で構成されている。第2基板12の内面上には、電子放出素子18に電位を供給する多数本の配線21がマトリック状に設けられ、その端部は真空外囲器10の外部に引出されている。
上記のように構成されたSEDは、第1基板11のメタルバック20に電圧を印加する図示しない電圧供給部を備えている。電圧供給部は、例えば、メタルバック20に10kVの電圧を印加する。SEDにおいて、画像を表示する場合、蛍光体スクリーン15およびメタルバック20にアノード電圧が印加され、電子放出素子18から放出された電子ビームをアノード電圧により加速して蛍光体スクリーン15の各蛍光体層へ衝突させる。これにより、所望の蛍光体層が励起されて発光し、画像を表示する。
上記構成の場合、第1基板11および第2基板12の位置関係のずれは、画像特性の劣化を引き起こす。本実施形態は、50インチクラスの大型高精細SEDに適用した。基板サイズは1200mm×800mm、厚さは3mmである。第1基板11と第2基板12との位置ずれは、画像表示領域内の全素子を対象として最大50μmである。
次に、以上のように構成されたSEDの製造方法について説明する。
まず、蛍光体スクリーン15およびメタルバック20が設けられた第1基板11と、電子放出素子18および配線21が設けられているとともに側壁13および支持部材14が接合された第2基板12と、を用意する。
続いて、第1および第2基板11、12を所定間隔離して対向配置し、この状態で、真空処理装置内に投入する。ここでは、例えば図4に示すような真空処理装置100を用いる。真空処理装置100は、並んで配設されたロード室101、ベーキング室102、冷却室103、ゲッター膜の蒸着室104、組立室105、冷却室106、およびアンロード室107を備えている。組立室105には、後述するヒーターおよび補助ヒーターに通電する電源120と、この電源を制御する電源制御部122とが接続されている。真空処理装置100の各室は、真空処理が可能な処理室として構成され、SEDの製造時には全室が真空排気されている。これら各処理室間は図示しないゲートバルブ等により接続されている。
まず、第1および第2基板11、12は、ロード室101に投入する。ロード室101内を真空排気して真空雰囲気とした後、第1および第2基板11、12をベーキング室102へ送り、ここで350℃程度に昇温する。これにより、各種部材に吸着した分子を脱離させる。同時にベーキング室102に設けられた図示しない電子線発生装置から電子線を、第1基板11の蛍光体スクリーン面、および第2基板12の電子放出素子面に照射する。その際、電子線発生装置外部に装着された偏向装置によって電子線を偏向走査することにより、蛍光体スクリーン面および電子放出素子面の全面をそれぞれ電子線洗浄する。
続いて、第1および第2基板11、12を冷却室103に送り、約100℃まで冷却した後、蒸着室104へ投入する。蒸着室104では、メタルバック20の外側にゲッター膜22として例えば、バリウム膜が蒸着形成される。次に、第1および第2基板10、12を組立室105に送り、2枚の基板を位置合わせした後に封着材により貼り合わせる。こうして完成した真空外囲器10は冷却室106に送られ、常温まで冷却されて、アンロード室107から取り出される。
なお、組立室105では、封着材として導電性を有したインジウムを使用し、これに電流を流すことで生じるジュール熱で2枚の基板を封着している。この方法によれば、封着材のみを局所的に加熱し、ほとんど基板の熱膨張を生じなくなる。また、加熱された封着材の熱は速やかに基板に伝導し、加熱冷却にかかる時間を大幅に短縮することができる。
上記製造方法において、電子放出素子18と蛍光体層16との位置関係は、上述した封着工程により決定される。封着工程の前処理において、第1および第2基板11、12は加熱された後、両基板とも100℃に冷却されるが、実際の製造工程では基板温度や温度分布のばらつきから第1および第2基板に熱膨張差が生じ、様々なパターンで基板間の位置ずれが生じる。
図5に、基板の位置ずれの例を示している。図5では、第1基板11上の蛍光体層16の内、画像表示領域のコーナー端に位置した蛍光体層16を破線26でつないで示し、同じく第2基板12上の電子放出素子18の内、画像表示領域のコーナー端に位置した電子放出素子を実線24でつないで示している。この場合、第1基板11に対して第2基板12が全体的に小さい状態、すなわち第2基板の温度が低い状態にある。また、上辺より下辺、右辺より左辺でより第2基板のサイズが小さい非対称の歪みも生じている。
図6は、ある温度差を持った2枚の基板を封着工程に送り、時間経過にともなう基板温度変化を評価した結果を示している。一点鎖線T1は第1基板温度、点線T2は第2基板温度、実線T3は両者の温度差である。
封着工程を行う組立室105では、2枚の基板11、12を外側から包むように上下にヒーターが設置され、これらのヒーターの温度は2枚の基板が平衡状態で100℃になるように設定されている。このため、両基板の温度は時間経過とともに100℃に近づき、両者の温度差は0℃に近づく。しかしながら、平衡に向かうための熱量の移動は温度差に起因するため、基板間の温度差が小さくなるほど移動する熱量が少なくなり、結果的に温度変化が鈍くなる。
50インチの基板を用いた場合、相対温度差1℃により10μm近くの位置ずれを生じる。このため、第1基板と第2基板との温度差は5℃以内、望ましくは3℃以内に抑制する必要がある。ところが、通常の製造装置では、受入の基板温度のばらつきが10℃程度あるため、2枚の基板間の温度差を5℃以内とするのに14分、3℃以内とするのに23分程度掛かってしまう。
これを解決するため、本実施形態では、組立室105にサイズ検知手段と熱量制御手段とを設けている。すなわち、図7に示すように、組立室105は真空処理槽30を備えている。真空処理槽30内には、第1基板11および第2基板12を保温するパネル状のヒーター31、32がそれぞれ基板の外側に対向して配置されている。ヒーター31、32は、第1および第2基板11、12を平衡状態で100℃に保つように温度制御されている。
図7および図8に示すように、基板と対向したヒーター31、32の内面には、補助ヒーター33、34がそれぞれ設置されている。通常、補助ヒーター33、34は基板を平衡状態で100℃に保つように温度制御されている。補助ヒーター33、34は瞬時に昇温できるように熱容量の小さいランプヒーターもしくはシースヒーターで構成されている。また、補助ヒーター33、34は、基板のほぼ全面と対向するように複数ずつ設けられている。補助ヒーター33、34は熱量制御手段を構成している。
真空処理槽30の上壁には窓37a、37bが設けられ、これらの窓に対向して2つのカメラ35a、35bが設けられている。上側のヒーター31には2つの透孔38a、38bが形成され、それぞれ窓37a、37bと対向している。そして、カメラ35a、35bにより、窓37a、37bおよび透孔38a、38bを介して、第1基板11の短辺中央に位置した画像表示領域端部を見ることができる。同様に、真空処理槽30の下壁には窓40a、40bが設けられ、これらの窓に対向して2つのカメラ36a、36bが設けられている。下側のヒーター32には2つの透孔42a、42bが形成され、それぞれ窓40a、40bと対向している。そして、カメラ36a、36bにより、窓40a、40bおよび透孔42a、42bを介して、第2基板12の短辺中央に位置した画像表示領域端部を見ることができる。これらのカメラ、窓部、および透孔は、サイズ検知手段を構成している。
組立室105に送られてきた第1基板11の基板サイズは、カメラ35a、35bによって基板短辺中央部の位置をそれぞれ測定し、これらの測定位置間の距離により、画像表示領域長辺サイズとして検知する。同様に、第2基板12の基板サイズは、カメラ36a、36bによって基板短辺中央部をそれぞれ検知することにより、画像表示領域長辺サイズとして検知する。サイズ検知に要する時間は30秒程度である。
検知された第1基板11の画像表示領域長辺サイズと、第2基板12の画像表示領域長辺サイズとを比較し差がある場合、この差から第1基板11と第2基板12との温度差を検出することができる。続いて、この温度差を補正するのに必要な熱量を補助ヒーター33、34から第1および第2基板11、12の少なとも一方に供給する。ここでは、温度の低い方の基板に、対応する補助ヒーター33あるいは34から熱量を供給して加熱し、温度差を補正する。補助ヒーター33、34は熱容量の小さいランプヒーターもしくはシースヒーターで構成されているため、温度差を補正するのに要する熱量を極めて短時間のうち供給することができる。10℃以内の温度上昇であれば30秒程度で所望の基板温度とすることができ、その後の基板温度変化もほとんど生じない。そして、この熱量に応じた基板の熱膨張変化により長辺サイズの差を補正し、第1および第2基板11、12間の位置ずれを補正する。
例えば、図5に示したように、第2基板12の画像表示領域長辺サイズが第1基板11の画像表示領域長辺サイズよりも小さい場合、カメラ35a、35b、36a、36bにより検知し、第2基板12の温度が第1基板11よりも低いことを検知する。この場合、図9に示すように、補助ヒーター34により第2基板12を加熱し、第1基板との温度差を補正する。加熱により第2基板を熱膨張させ、長辺サイズを第1基板の長辺サイズと一致させることにより、基板間の位置ずれを補正する。位置ずれを補正した結果を図10に示す。図に示すように、第1および第2基板11、12の画像表示領域短辺中央部の長辺サイズは、ほぼ一致し、第1基板11の画像表示領域24と第2基板12の画像表示領域26との位置ずれが軽減されている。
以上のように構成された製造方法および製造装置によれば、1分程度の短時間で2枚の基板間の温度差を3℃以内とし、基板間の位置ずれを補正することができる。従って、製造効率向上の上で問題となる封着工程の処理時間を大幅に短縮することができ、生産性の向上した平面型表示装置の製造方法および製造装置が得られる。同時に、表示品位の向上した画像表示装置を得ることができる。
上述した第1の実施形態では、封着工程において、2枚の基板のうち低温の基板のみに熱量を供給し、高温の基板に合わせる処理としたが、2枚の基板に熱量を供給し、さらに高温の所望の温度に合わせる構成としてもよい。特にPDPのようにフリットガラスで基板を封着する構成では、封着処理自体が熱処理工程となる。この場合、封着熱処理ピークもしくは封着材が固着する温度を目標温度と定め、2枚の基板の温度を封着熱処理前の温度から目標温度に昇温する過程で、各々の基板に供給する熱量を制御し、目標温度での2枚の基板温度差を解消する構成としてもよい。
もちろん、目標温度が冷却途上にある場合でも、一方の基板に熱量を供給することで冷却速度を鈍らせ、加熱昇温時と同様に2枚の基板の温度差を補正することが可能である。
第1の実施形態において、熱量制御手段として熱量を供給する補助ヒーターを用いたが、基板から熱量を除去する手段、例えば、クーラー、冷却板等を用いてもよい。図11に示すように、この発明の第2の実施形態によれば、補助ヒーターに代えて、ヒーター31と第1基板1との間、およびヒーター32と第2基板12との間には、それぞれ冷却板46、47が設けられている。冷却板46、47は、基板とほぼ等しい大きさに形成されているとともに、ヒーター31、32と基板との間に出し入れ自在に設けられている。第2の実施形態において、他の構成は第1の実施形態と同一であり、同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
第2の実施形態によれば、カメラによって検知された第1基板11の画像表示領域長辺サイズと、第2基板12の画像表示領域長辺サイズとに差がある場合、この差に基づいて第1基板11と第2基板12との温度差を検出する。続いて、この温度差を補正するのに必要な熱量を冷却板46、47により第1および第2基板11、12の少なとも一方から除去する。ここでは、温度の高い方の基板、例えば、第1基板11と対応するヒーター31との間に冷却板46を挿入し数秒間保持する。これにより、冷却板46によって第1基板11から温度差に相当する熱量を吸収する。その結果、熱量に応じた第1基板11の熱膨張変化により長辺サイズを第2基板の長辺サイズと一致させ、第1および第2基板11、12間の位置ずれを補正する。なお、他方の冷却板47は、第1および第2基板11、12から離れた位置に移動させておく。
以上のように構成された製造方法および製造装置においても、短時間で2枚の基板間の温度差を無くし、基板間の位置ずれを補正することができる。従って、封着工程の処理時間を大幅に短縮することができ、生産性の向上した平面型表示装置の製造方法および製造装置が得られる。
図12に示す第3の実施形態のように、サイズ検知手段および熱量制御手段は、例えば、ゲッター膜の蒸着室104のような封着工程よりも前の処理位置に設置してもよい。補助ヒーター33はヒーター31に組み込まれている必然性はなく、ヒーター31と別の位置で基板11と対向して配置されていてもよい。なお、第3の実施形態において、他の構成は第1の実施形態と同一であり、同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
上記構成によれば、封着工程の前に、第1および第2基板間の温度差ばらつきを補正しておくことができる。封着工程よりも前の処理位置で基板サイズのばらつきを補正する場合、第1基板および第2基板を向かい合わせに配置しておく必要が無く、第1基板のみ、もしくは第2基板のみに対して独立にサイズ検知と熱量供給を行うことができる。また、2枚の基板が隣接対向した状態で補助ヒーターから一方の基板に補正熱量を供給した場合、この補正熱量は他方の基板へも伝搬されるが、第2の実施形態によれば、このような補正熱量の伝搬がなく、安定した温度制御ができる。
次に、この発明の第4の実施形態に係る製造方法および製造装置について説明する。図13に示すように、第4の実施形態によれば、サイズ検知手段として、基板の画像表示領域端の4コーナーをそれぞれ撮像する4つのカメラ52が設けられている。基板と対向して設けられるパネル状のヒーター31、32には、それぞれカメラ52に対向した透孔が形成されている。そして、各カメラ52により基板の4辺毎のサイズを検知する。補助ヒーター51は、基板の4辺とそれぞれ対向して4つ設けられている。
第4の実施形態において、他の構成は第1の実施形態と同一であり、同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
このような構成によれば、2枚の基板の各辺毎にサイズの差を検知し、各辺毎の基板温度差を補正することが可能となる。これにより、図5に示したような基板間の非対称な位置ずれ成分を、基板の各辺毎に最適に補正することができる。
なお、補助ヒーター51は基板周辺部と対向する位置に配置されているが、必要に応じて、基板の封着部と対向して、あるいは封着部を避けた領域と対向して配置してもよい。また、ヒーター31、32と補助ヒーター51は本来分離する必要はなく、レスポンスの問題が無ければ両者を合体してヒーター自体をサイズ検知データに基づきダイナミックに制御してもよい。
本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
上述した実施形態では、サイズ検知手段としてカメラを用いたが、他の手段を用いてサイズを検知してもよい。たとえば、レーザー変位計を用いて基板端面の位置を測定して基板サイズを検知するシステムや、基板端面に接触式変位計の接触子を当てて基板サイズを検知するシステムを用いてもよい。
熱量制御手段は、ランプヒーターやシースヒーターに限らず、レスポンスの早いヒーターであれば特に限定するものでは無い。また、上述した実施形態のように真空を必要とする場合、熱量制御手段は輻射熱によるヒーターが主体となるが、大気圧に近い雰囲気中で基板の温度補正、サイズ補正を行う場合、温風ヒーターもしくは冷風クーラーが熱量制御手段として適している。特に、PDPのようなフリットガラスにより封着を行う場合、封着熱処理の昇降温度をサイズ検知手段で検知し、これを熱量制御手段で制御するシステムを構成してもよい。この場合、基板の貼り合わせ精度を向上できるとともに、パネルの反りを大幅に改善することが可能となる。
その他、この発明は、電子源として表面伝導型電子放出素子を用いたものに限らず、電界放出型、カーボンナノチューブ等の他の電子源を用いた画像表示装置にも適用可能である。
この発明の第1の実施形態に係る製造方法および製造装置により製造されるSEDを示す斜視図。 図1の線A−Aに沿って破断した前記SEDの斜視図。 前記SEDの蛍光体スクリーンを示す平面図。 前記SEDの製造工程に用いる真空処理装置を概略的に示す平面図。 製造工程において、SEDを構成する2枚の基板の位置ずれ状態を概略的に示す図。 製造工程において、SEDを構成する2枚の基板の温度変化を示す図。 前記製造装置を拡大して示す断面図。 前記製造装置におけるヒーターおよび補助ヒーターを示す平面図。 製造工程において、SEDを構成する2枚の基板の温度変化を示す図。 前記2枚の基板の位置ずれを補正した状態を示す平面図。 この発明の第2の実施形態に係る製造装置を概略的に示す断面図。 この発明の第3の実施形態に係る製造装置を概略的に示す断面図。 この発明の第4の実施形態に係る製造装置を概略的に示す断面図。
符号の説明
10…真空外囲器、 11…第1基板、 12…第2基板、 13…側壁、
15…蛍光体スクリーン、 17…蛍光体層、 18…電子放出素子、
30…真空処理槽、 31、32…ヒーター、 33、34、51…補助ヒーター、
35a、35b、36a、36b、52…カメラ、 46、47…冷却板

Claims (20)

  1. 対向配置されているとともに周辺部同士が接合された2枚の基板を備えた平面型表示装置の製造方法において、
    前記2枚の基板のサイズを検知し、
    前記検知した基板サイズと所定サイズとのずれ量を検出し、
    前記検出されたずれ量に相当する熱量を前記基板に供給あるいは前記基板から除去し、この熱量に応じた基板の熱膨張変化により前記ずれ量を補正し前記基板を前記所定サイズとし、
    前記ずれ量を補正した後、前記基板同士を接合することを特徴とする平面型表示装置の製造方法。
  2. 前記2枚の基板の各々について、基板サイズを検知して各基板に対応する所定サイズとのずれ量を検出し、前記検出されたずれ量に相当する熱量を各基板に供給あるいは除去し、この熱量に応じた基板の熱膨張変化により前記ずれ量を補正し各基板を前記所定サイズとすることを特徴とする請求項1に記載の平面型表示装置の製造方法。
  3. 前記検知された2枚の基板の一方の基板サイズを上記所定サイズとし、他方の基板の基板サイズと所定サイズとのずれ量に相当する熱量を前記他方の基板に供給あるいは前記他方の基板から除去することを特徴とする請求項1に記載の平面型表示装置の製造方法。
  4. 前記所定サイズを、前記2枚の基板を貼り合わせる際の封着材の溶融温度もしくは固着温度に基づいて決定することを特徴とする請求項1に記載の平面型表示装置の製造方法
  5. 前記基板の少なくとも2点の位置を測定し、測定した2点間の距離により前記基板サイズを検知することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の平面型表示装置の製造方法。
  6. 前記基板の少なくとも4コーナーの位置を測定し、各測定点間の距離により前記基板の各辺毎のサイズを検知することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の平面型表示装置の製造方法。
  7. 真空雰囲気中で前記2枚の基板を貼り合わせることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の平面型表示装置の製造方法。
  8. 大気圧近傍の雰囲気中で前記2枚の基板を貼り合わせることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の平面型表示装置の製造方法。
  9. 対向配置されているとともに周辺部同士が接合された2枚の基板を備えた平面型表示装置の製造装置において、
    前記2枚の基板のサイズを検知するサイズ検知手段と、
    前記検知した基板サイズと所定サイズとのずれ量に相当する熱量を前記基板に供給あるいは前記基板から除去し、この熱量に応じた基板の熱膨張変化により前記ずれ量を補正し前記基板を前記所定サイズとする熱量制御手段と、
    を備えた平面型表示装置の製造装置。
  10. 前記サイズ検知手段は、前記基板の複数位置を測定するカメラを備えていることを特徴とする請求項9に記載の平面型表示装置の製造装置。
  11. 前記サイズ検知手段は、レーザーにより基板の一部を測定するシステムを備えていることを特徴とする請求項9に記載の平面型表示装置の製造装置。
  12. 前記サイズ検知手段は、接触子で基板の一部を測定するシステムを備えていることを特徴とする請求項9に記載の平面型表示装置の製造装置。
  13. 前記熱量制御手段は、前記基板に対して輻射熱を発生するヒーターを備えていることを特徴とする請求項9に記載の平面型表示装置の製造装置。
  14. 前記熱量制御手段は、前記基板から輻射熱を吸収するクーラーを備えていることを特徴とする請求項9に記載の平面型表示装置の製造装置。
  15. 前記熱量制御手段は、伝熱により基板と熱量を交換するヒーターあるいはクーラーを備えていることを特徴とする請求項9に記載の平面型表示装置の製造装置。
  16. 前記熱量制御手段は、温風ヒーターあるいは冷風クーラーを備えていることを特徴とする請求項9に記載の平面型表示装置の製造装置。
  17. 前記熱量供給手段は、ランプヒーターを備えていることを特徴とする請求項9に記載の平面型表示装置の製造装置。
  18. 前記熱量供給手段は、シースヒーターを備えていることを特徴とする請求項9に記載の平面型表示装置の製造装置。
  19. 前記熱量供給手段は、それぞれ供給する熱量を制御可能な複数のヒーターを備えていることを特徴とする請求項9に記載の平面型表示装置の製造装置。
  20. 前記熱量供給手段は、前記基板の4つの辺近傍にそれぞれ設置され、基板の辺毎に供給する熱量を制御可能なヒーターを備えていることを特徴とする請求項9に記載の平面型表示装置の製造装置。
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