JP2005319723A - 離型フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】従来品よりも安価で、離型成分の移行が少なく、しかも環境負荷の小さく、例えばセラミックコンデンサーやプリント基板材料を製造する際に用いる工程フィルムや粘着テープや各種粘着ラベル等の粘着面上に剥離部材として積層して用いる剥離フィルムなどとしての利用が可能な離型フィルムの提供。
【解決手段】高分子フィルム基材の少なくとも片面に剥離層が設けられている離型フィルムであって、剥離層は真空成膜法により成膜されたシリコーン系離型性薬剤および/またはフッ素系離型性薬剤と付加重合性化合物を成分に持つ剥離性材料からなる薄膜が付加重合されてなるものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、セラミックコンデンサーやプリント基板材料等を製造する際に用いられる剥離性を有する工程フィルム、或いは、粘着テープや各種粘着ラベル等の粘着面上に剥離部材として積層されて用いられる剥離フィルム、さらには、キャラメル菓子等の粘着物体を付着せずに包装でき、かつ開包時には容易に取り出しができるようにしてある剥離性を有する包装フィルム等として用いることができる、所謂離型フィルムに関する。
本明細書でいう離型フィルムとは、その表面において剥離機能を発現するフィルムの総称である。具体的には、上述した剥離フィルム、工程フィルム、包装フィルム等である。この中で剥離フィルムとは、例えば接着剤や粘着剤を塗布した紙やテープ等における接着部や粘着部を保護する目的でその上面に貼り付けてある剥離性を有するフィルムである。さらに具体的には、接着テープ、粘着テープ、両面テープ、粘着ラベル、シール等の粘着剤層上に積層され、或いは不織布等に皮膚貼付用湿布剤や消炎剤等の薬剤が塗られた医療用製品の薬剤面に積層されて用いられている剥離性を有するフィルムである。
また工程フィルムとは、例えばプリント基板やセラミックコンデンサー、熱硬化性樹脂製品、化粧板等を製造する時、金属板同志や樹脂層同志が互いに接着してしまうことを予防するために金属板や樹脂層等の間に挟み込んで使用する剥離性を有するフィルムをいう。さらに包装フィルムとは、一例を挙げれば、キャラメル菓子等の粘着物体の包装に際し、粘着物が強く付着せずに包装でき、かつ開包時には容易取り出しできるように配慮した剥離性を有するフィルムをいう。
従来、これらの離型フィルム、特に工程フィルムとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等を用いたフッ素系フィルム(例えば、特許文献1参照。)やポリ(4−メチルペンテン−1)フィルム(例えば、特許文献2参照。)、さらには二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムにシリコーン系材料を塗布したフィルム(例えば、特許文献3参照。)等が用いられてきた。
しかしながら、フッ素系材料を塗布した離型フィルムは高価であり、焼却の際に分解して有毒ガスを発生することがあるために廃棄しにくく、使用済のものは産業廃棄物となってしまう。またポリ(4−メチルペンテン−1)フィルムは耐熱性が不充分で、例えばプリント基板製造に際してこのフィルムを離型フィルムの基材フィルムとして使用した時には、ステンレス板との界面で熱密着が生じてしまうという問題点ある。また二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムはそれだけではぬれ指数が高いため、離型性が不十分であり、その表面にシリコーン系材料を塗布して離型フィルムとして用いられているが、高価なものになる上、離型成分であるシリコーンがプリント基板やセラミックス電子部品、熱硬化性樹脂製品、化粧板等に移行して付着するという問題がある。
さらに、離型フィルムの基材フィルム上のシリコーン系剥離層は、シリコーン系材料を溶媒にて希釈した後、その希釈液をディッピング法やグラビアコーティング法等により塗布し、その後乾燥工程にて溶媒を除去して形成することが一般的であるが、有機溶媒の使用は環境負荷を増大せしめることになり、環境問題における大きな懸念事項となっている。
特開平9−187898号公報 特開2000−218752号公報 特開平5−286084号公報
本発明は以上のような状況に鑑みなされたものであり、従来品よりも安価で、剥離層中の離型成分の移行が少なく、しかも環境負荷の小さい離型フィルムの提供を目的とする。
本発明は上記課題を達成するために鋭意研究の結果なされたものであり、請求項1に記載の発明は、高分子フィルム基材の少なくとも片面に剥離層が設けられている離型フィルムであって、剥離層は真空成膜法により成膜されたシリコーン系離型性薬剤および/またはフッ素系離型性薬剤と付加重合性化合物とを成分に持つ剥離性材料からなる薄膜が付加重合されてなるものであることを特徴とする離型フィルムである。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の離型フィルムにおいて、前記高分子フィルム基材がポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、セルロース、アクリル樹脂、ポリエーテルスルホン、ポリ乳酸、ポリビニルアルコールの少なくとも一つ以上を成分に持つ高分子材料からなるものであることを特徴とする。
さらにまた、請求項3に記載した発明は、請求項2に記載の離型フィルムにおいて、前記ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンテレフタレートのいずれかであることを特徴とする。
さらにまた、請求項4に記載した発明は、請求項1に記載の離型フィルムにおいて、前記付加重合性化合物が、ビニル基、アクリル基、メタクリル基のいずれかを有することを特徴とする。
さらにまた、請求項5に記載した発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の離型フィルムにおいて、前記剥離層が、発熱手段から放出された熱エネルギーをエネルギー源とする付加重合反応により形成されたものであることを特徴とする。
さらにまた、請求項6に記載した発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の離型フィルムにおいて、前記フッ素系剥離層が、放射線からの輻射エネルギーをエネルギー源とする付加重合反応により形成されたものであることを特徴とする。
さらにまた、請求項7に記載した発明は、請求項6に記載の離型フィルムにおいて、前記放射線が紫外線及び/または電子線であることを特徴とする。
本発明の離型フィルムは、従来の離型フィルムと同等の剥離性を有し、しかも剥離層中の離型成分のブリーディングが少なく、かつ製造時の環境負荷が小さく、しかも低コストで製造できる。
以下、本発明の離型フィルムについて詳しく説明する。
本発明の離型フィルムは、図1にその概略の断面構成が示してあるように、高分子フィルム基材1の少なくとも片面に剥離層2が設けられてなるものである。そして、この剥離層2は、シリコーン系離型性薬剤および/またはフッ素系離型性薬剤と付加重合性化合物とを少なくとも成分に持つ剥離性材料を高分子フィルム基材1の表面に真空成膜法により層状に設けてから付加重合させて硬化させてなる、剥離性を有する硬化層である。
高分子フィルム基材1は、例えばポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、セルロース、アクリル樹脂、ポリエーテルスルホン、ポリ乳酸、ポリビニルアルコール等の高分子材料、あるいはこれらを共重合成分に持つ高分子材料等からなるフィルム状の基材である。この中では、取り分けポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレンからなるフィルム基材が好適に用いられるが、必ずしもこれらのものに限定されるものではなく、用途や要求物性等を考慮して種々の構成材料から適宜のものを選定して用いればよい。一例を挙げれば、医療用品、薬品、食品等の包装の際に用いられる包装フィルムを用途とする場合には、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ナイロン等からなるフィルム基材がコストも考慮すると好ましく用いられる。また、セラミックコンデンサーやプリント基板作成の際に用いる工程フィルムを用途とする場合には、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド類、ポリエーテルスルホン等からなり、それ自体が高い耐熱性を有するフィルム基材を用いることが望ましい。
また、高分子フィルム基材1の厚みも限定するものではないが、9μmから200μm程度の範囲のものを用途に応じて適宜選択すればよい。例えば、キャラメルの包装用に用いる離型フィルム(包装フィルム)を構成するフィルム基材としては12μ程度の厚みのものが、セラミックコンデンサーの製造時に用いられる離型フィルム(工程フィルム)を構成するフィルム基材としては38μ程度の厚みのものが好ましく用いられる。
一方、このような高分子フィルム基材1の少なくとも片面に設けられる剥離層2は、上述したように、シリコーン系離型性薬剤および/またはフッ素系離型性薬剤と付加重合性化合物とを成分に持つ剥離性材料を真空成膜法により層状に設けてから付加重合させ、硬化させてなる硬化層である。
上記剥離性材料の一構成成分であるシリコーン系離型性薬剤としては、珪素に結合したメチル基に代表されるアルキル基の低極性により離型性が実現されるシリコーンオイルや、シリコーンコンパウンド等の、離型剤として一般的に用いられているものが挙げられる。
一方、フッ素系離型性薬剤としては、ポリパーフルオロアルカン、ポリパーフルオロアルキルエーテル等の、離型剤として一般的に用いられているものが挙げられる。
他方、付加重合性化合物は、主として上記したシリコーン系離型性薬剤および/またはフッ素系離型性薬剤を高分子フィルム基材1の上に固着させるための成分であり、例えばビニル基、アクリル基、メタクリル基等を有する高分子化合物が具体例として挙げられる。特にアクリル基やメタクリル基を有する付加重合性化合物は取り扱いも簡便で、また重合性にも優れている上、成膜された薄膜の硬度なども充分である。特に剥離層形成中の皮膚刺激性を抑制したい時、あるいは硬い硬化膜(剥離層)を得たい時にはメタクリル基を有する付加重合性化合物を用いるとよく、逆に柔らかい硬化膜(剥離層)を得たい時、あるいは低エネルギー量で効率よく重合させたい時にはアクリル基を有する付加重合性化合物を用いることが好ましい。
このような構成になる剥離層2は、例えば縮重合などによって得られた層に較べて重合前後での体積変化、特に収縮が小さく、平滑で均一な層となる。しかも、それを構成する剥離性材料が上述のようになっているため、従来の離型フィルムの剥離層と較べ、内部応力が小さいためにカール(歪み)が小さく、平滑であるために上に設ける層への物理的影響が少なく、さらには剥離性材料による汚染が少ない、等の点で優れる。
そして、このような剥離性材料からなる剥離層2は、例えば以下のような手順でを前記
した構成の高分子フィルム基材1上に設ける。
まず剥離性材料を減圧下で加熱することで気化若しくは霧化させる。具体的には、熱樽内壁にスプレー式ノズルで離型性材料を噴霧すれば、簡便にしかも効率よく剥離性材料を気化若しくは霧化させることができる。そして気化若しくは霧化した離型性材料を真空チャンバー内の高分子フィルム基材上へ送ることでその上に薄膜が形成される。
薄膜の層がフィルム基材上に形成できたら、さらに熱板/ロール及び/またはランプ等の熱発性手段により加熱することで付加重合反応を起こさせ、層を硬化させることにより剥離層が得られる。
一般に真空中は熱伝導性が著しく優れないものであるため、薄膜を硬化させるために加熱する際には、フィルム基材の裏面より熱板若しくは熱ロールで直接熱するか、ランプ光源からの輻射熱により加熱する方法が望ましい。
減圧下で加熱により硬化を行う際は、フィルム基材からの構成成分の再蒸発は最も懸念される事柄である。よって、重合反応させる際には紫外線や電子線を照射することで重合反応を開始させる方法がより好ましい。この場合、発生する重合熱はあるものの、一般的な加熱方式よりも遥かに低温で重合反応が進行する。電子線を用いた場合、多くの付加重合反応が容易に進行するが、フィルム基材が大きく帯電したり、フィルム基材への負荷が大きいことなどが問題となる。一方、紫外線を用いる場合には、開始剤が必要であり、成膜後の残留開始剤のブリードが懸念されるものの、帯電の問題は大きく解消される。しかしながら、これら放射線硬化法はそれぞれの欠点を補うに値する魅力がある重合法であり、離型フィルムの用途やフッ素化合物の反応性を考慮して用いればよい。
また、放射線を用いることによる低温域での重合反応実現には、さらに副次的に利点がある。すなわち重合反応を低温で進行させることは、ラジカル重合等における素反応の一つである連鎖移動反応の起こる割合を低減させ、分子量分布が全体的に高い方へシフトするため、低分子量成分が減少し、離型成分のブリーディングの防止に寄与するようになる。
またこの方法によれば、粘度や分子量にはよるものの、一般に無溶媒での成膜が可能であり、かつ高速化が図れるため、製造コストが安くなり、且つ環境付加の小さい離型フィルムを得ることができる。また得られる剥離層は薄いため、テフロン(R)フィルム等と比較して燃焼時の有毒ガス発生量が格段に少なくなる。以下、本発明の実施例について述べる。
厚さが38μのポリエチレンテレフタレートフィルムの一方の面に、アクリル基含有シランカップリング剤(信越ポリマー社製、KBM−5103)90%とシリコーンオイル(信越シリコーン社製、KF−96L−5CS)10%からなる剥離性材料1を真空成膜法にて塗工して薄膜を設けた後、10Mradの電子線を照射して薄膜を硬化させ、実施例1に係る離型フィルムを得た。剥離層の層厚は約0.1μmであった。
ベンゾフェノン系UV硬化開始剤を上記剥離性材料1に0.5%添加してなる剥離性材料2を使用し、電子線の代わりに120KWの高圧水銀ランプからの紫外線を照射して硬化処理を行ったこと以外は実施例1と同様の条件により、実施例2に係る離型フィルムを得た。
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を上記剥離性材料1に1%添加してなる剥離性材料3を使用し、電子線の代わりに熱ロールを用いて硬化処理を行った以外は実施例1と同様の条件により、実施例3に係る離型フィルムを得た。
剥離性材料1中のシリコーンオイルの代わりにフッ素ポンプオイル(ALDRICH社製;FOMBLIN YLVAC06/6)を用いた剥離性材料4を使用したこと以外は実施例1と同様の条件により、実施例4に係る離型フィルムを得た。
剥離性材料4中にベンゾフェノン系UV硬化開始剤を1%添加した剥離性材料5を使用し、電子線の代わりに紫外線にて硬化処理を行った以外は実施例4と同様の条件により、実施例5に係る離型フィルムを得た。
剥離性材料4中に2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を1%添加してなる剥離性材料6を使用し、電子線の代わりに熱ロールを使用して塗工薄膜を硬化させた以外は実施例4と同様の条件にて、実施例6に係る離型フィルムを得た。
厚み38μmの東レ社製フィルム(実施例1と同じ基材)の一方の面にグラビアコーティングによりシリコーンオイル(信越シリコーン社製、KF−96L−5CS)の薄膜を塗工した後、乾燥させて、比較のための実施例7に係る離型フィルムを得た。剥離層の厚みは0.3μmであった。
厚み38μmの東レ社製フィルムの一方の面にグラビアコーティングによりシリコーンオイル(ALDRICH社製FOMBLIN YLVAC06/6)の薄膜を塗工した後、乾燥させて、比較のための実施例7に係る離型フィルムを得た。剥離層の厚みは0.3μmであった。
以上のようにして得られた各離型フィルムについて、剥離性と溶出・剥落量の評価を行った。その結果を表1に示す。
「評価」
剥離性と溶出・剥落量の評価は以下のようにして行った。
(剥離性の評価)
日東電工社製粘着テープ31Bと貼り合わせ、300mm/minの速度でT字剥離を行い、剥離の有無を確認した。
(溶出・剥落量の評価)
メタノールと蒸留水のそれぞれの中に一晩浸漬した後、液体を分離した後に留去した残りかすの重量を測定し、実施例7に係る離型フィルムのメタノール及び蒸留水への溶出または剥落量を100とした際の相対値をそれぞれ求め、評価した。
Figure 2005319723
表1からも分かるように、剥離性はどの離型フィルムもほぼ同等であった。また、上述したように、表中の溶出・剥落量は、実施例7に係る離型フィルムのメタノール及び蒸留水への溶出または剥落量を100とした際の相対値で記載してあるが、実施例1乃至6の離型フィルムはいずれも実施例7や実施例8の離型フィルムよりも少量であった。
本発明に係る離型フィルムの概略の断面構造を示す説明図である。
符号の説明
1・・・高分子フィルム基材
2・・・剥離層

Claims (7)

  1. 高分子フィルム基材の少なくとも片面に剥離層が設けられている離型フィルムであって、剥離層は真空成膜法により成膜されたシリコーン系離型性薬剤および/またはフッ素系離型性薬剤と付加重合性化合物とを成分に持つ剥離性材料からなる薄膜が付加重合されてなるものであることを特徴とする離型フィルム。
  2. 前記高分子フィルム基材が、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、セルロース、アクリル樹脂、ポリエーテルスルホン、ポリ乳酸、ポリビニルアルコールの少なくとも一つ以上を成分に持つ高分子材料からなるものであることを特徴とする請求項1に記載の離型フィルム。
  3. 前記ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンテレフタレートのいずれかであることを特徴とする請求項2に記載の離型フィルム。
  4. 前記付加重合性化合物が、ビニル基、アクリル基、メタクリル基のいずれかを有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の離型フィルム。
  5. 前記剥離層が、発熱手段から放出された熱エネルギーをエネルギー源とする付加重合反応により形成されたものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の離型フィルム。
  6. 前記剥離層が、放射線からの輻射エネルギーをエネルギー源とする付加重合反応により形成されたものであることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の離型フィルム。
  7. 前記放射線が紫外線及び/または電子線であることを特徴とする請求項6に記載の離型フィルム。
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