JP2005315252A - 無膨張マットを巻いたセラミック触媒担体の収容外筒への圧入装着方法及び圧入装着装置 - Google Patents

Abstract

【課題】 排気通路の一部を構成する収容外筒内へのセラミック触媒担体の圧入装着時における無膨張マットのずれや破損等の不具合の発生を防止することができようにした、無膨張マットを巻いたセラミック触媒担体の収容外筒への圧入装着方法および装置の提供。
【解決手段】 外周に無膨張マット７を組み付けたセラミック触媒担体６を、圧縮成形治具２によって、無膨張マット７の外周面全体を半径方向に均一に押圧してその外形を排気通路の一部を構成する収容外筒８の内径近くまで圧縮成形した後、圧入手段３によって収容外筒８内に圧入装着するようにした。
【選択図】 図６

Description

本発明は、車両用内燃機関の排気系等に使用される触媒装置の収容外筒への無膨張マットを巻いたセラミック触媒担体の圧入装着方法及び圧入装着装置に関する。

内燃機関に用いられる排気浄化用のセラミック触媒担体は、一般的に、触媒を担体させたセラミック触媒担体の外周にセラミック繊維等から構成される緩衝部材としての無膨張マットを巻き付け、この無膨張マットを介して排気通路の一部を構成する円筒状の収容外筒内に圧入状態で収納させるようになっている。

従来、無膨張マットを巻いたセラミック触媒担体の圧入装着方法としては、特開昭５６−９６１１０号公報に記載のものが知られている。この圧入装着方法では、図１２から図１４に示すように、無膨張マット１０２を巻き付けたセラミック触媒担体１０１を、収容外筒１０３の上方開口端部に嵌合された圧入ガイド治具１０４の３°から５°の範囲で設定した先細りテーパ穴１０４ａ内を通過させることにより、無膨張マット１０２を徐々に圧縮しながら収容外筒内１０３に圧入状態で収容させるようにしている（特許文献１参照）。
特開昭５６−９６１１０号公報

しかしながら、従来圧入装着方法では、以下のような問題が発生する。すなわち、無膨張マット１０２の圧入ガイド治具１０４への圧入時に、図１３（ａ）に示すように無膨張マット１０２に多方向の圧縮力ＣＦとせん断力ＳＦとが同時に働くので図１３（ｂ）に示すように無膨張マット１０２が変形し易くなる。その結果、収容外筒１０３内に装着された状態における無膨張マット１０２を巻いたセラミック触媒担体１０１は、図１４（ａ）に示すように無膨張マット１０２の外周側部分が上方へよじれてセラミック触媒担体１０１の端面よりはみ出して腐蝕したり、あるいは、図１４（ｂ）に示すように無膨張マット１０２がセラミック触媒担体１０１に対して上方にずれた状態となり、これにより無膨張マット１０２が破損して保持力が低下してしまう。

本発明の解決しようとする課題は、排気通路の一部を構成する収容外筒内へのセラミック触媒担体の圧入装着時に生じる無膨張マットのずれや破損等の不具合の発生を防止することができるようにした、無膨張マットを巻いたセラミック触媒担体の収容外筒への圧入装着方法及び装置を提供することにある。

上記課題を解決するため本発明の無膨張マットを巻いたセラミック触媒担体の収容外筒への圧入装着方法は、外周に無膨張マットを組み付けたセラミック触媒担体を、前記無膨張マットの外周面全体を半径方向に均一に押圧して前記無膨張マットの外形を排気通路の一部を構成する収容外筒の内径近くまで圧縮成形した後に、該収容外筒内に圧入装着するようにしたことを特徴とする。

また、本発明のセラミック触媒担体の収容外筒への圧入装着装置は、外周に無膨張マットを組み付けたセラミック触媒担体を前記無膨張マットの外周面全体を半径方向に均一に押圧して前記無膨張マットの外形を排気通路の一部を構成する収容外筒の内径近くまで圧縮成形する圧縮成形治具と、該圧縮成形治具で前記無膨張マットが圧縮成形されたセラミック触媒担体を前記収容外筒内へ圧入装着する圧入手段と、を備えていることを特徴とする。

好ましくは、上記圧入装着装置において、前記圧縮成形治具が、前記無膨張マットの外周に沿って周方向に複数に分割された分割押圧片で構成される一部切欠円筒状押圧部材と、該一部切欠円筒状押圧部材の外周を覆う外筒と、該外筒と前記一部切欠円筒状押圧部材との間に圧入することにより前記無膨張マットの外周面全体を半径方向に均一に押圧して前記無膨張マットの外形を前記収容外筒の内径近くまで圧縮成形する押圧縮径部材とで構成されていることを特徴とする。

好ましくは、上記圧入装着装置において、前記各分割押圧片における内径側両側縁部が円弧状またはテーパ状に面取り加工されていることを特徴とする。

好ましくは、上記圧入装着装置において、前記圧縮成形治具による前記無膨張マットの圧縮成形が完了した時点で、隣接する分割押圧片相互間の切欠部に所定の隙間が維持されるように構成されていることを特徴とする。

好ましくは、上記圧入装着装置において、前記隣接する分割押圧片相互間の切欠部に維持される所定の隙間が、前記圧縮成形後における無膨張マットの厚みと同一から１／２の範囲に設定されていることを特徴とする。

好ましくは、上記圧入装着装置において、前記押圧縮径部材の出口側に前記圧縮成形治具で前記無膨張マットが圧縮成形されたセラミック触媒担体を前記収容外筒まで案内する円筒状ガイド部が一体に設けられ、前記圧入手段が、前記圧縮成形治具で前記無膨張マットが圧縮成形されたセラミック触媒担体を前記円筒状ガイド部内を経由して該円筒状ガイド部の出口側に配置された前記収容外筒内に圧入装着するように構成されていることを特徴とする。

好ましくは、上記圧入装着装置において、前記円筒状ガイド部の内径が圧縮成形完了時点における前記一部切欠円筒状押圧部材の内径よりは大径に形成されていることを特徴とする。

好ましくは、上記圧入装置において、前記一部切欠円筒状押圧部材の出口開口縁部が円弧状又はテーパ状に面取り加工されていることを特徴とする。

好ましくは、上記圧入装着装置において、前記一部切欠円筒状押圧部材の出口開口縁部と前記円筒状ガイド部の入口開口縁部との少なくとも一方が円弧状又はテーパ状に面取り加工されていることを特徴とする。

好ましくは、上記圧入装着装置において、前記無膨張マットを巻いたセラミック触媒担体の外径ばらつきに応じ、セラミック触媒担体の外径数値をフィードバックして前記圧縮成形治具における前記一部切欠円筒状押圧部材の半径方向押圧ストローク量を制御するようにしたことを特徴とする。

上記無膨張マットを巻いたセラミック触媒担体の収容外筒への圧入装着方法では、外周に無膨張マットを組み付けたセラミック触媒担体を、まず、無膨張マットの外周面全体を半径方向に均一に押圧してその外形を排気通路の一部を構成する収容外筒の内径近くまで圧縮成形した後、該収容外筒内に圧入装着するようにしたので、無膨張マットの圧縮時に多方向の圧縮力とせん断力が同時に働くことがない。従って、収容外筒内へのセラミック触媒担体の圧入装着時における無膨張マットのずれや破損等の不具合の発生を防止することができるようになるという効果が得られる。

上記無膨張マットを巻いたセラミック触媒担体の収容外筒への圧入装着装置では、外周に無膨張マットを組み付けたセラミック触媒担体を無膨張マットの外周面全体を半径方向に均一に押圧してその外形を排気通路の一部を構成する収容外筒の内径近くまで圧縮成形する圧縮成形治具と、該圧縮成形治具で無膨張マットが圧縮成形されたセラミック触媒担体を収容外筒内へ圧入装着する圧入手段と、を備えている構成としたので、無膨張マットの圧縮時に多方向の圧縮力とせん断力が同時に働くことがない。従って、収容外筒内へのセラミック触媒担体の圧入装着時における無膨張マットのずれや破損等の不具合の発生を防止することができるようになるという効果が得られる。

上記圧入装着装置では、前記圧縮成形治具が、無膨張マットの外周に沿って周方向に複数に分割された分割押圧片で構成される一部切欠円筒状押圧部材と、該一部切欠円筒状押圧部材の外周を覆う外筒と、該外筒と一部切欠円筒状押圧部材との間に圧入することにより無膨張マットの外周面全体を半径方向に均一に押圧してその外径を前記収容外筒の内径近くまで圧縮成形する押圧縮径部材とを備えた構成としたので、外筒と押圧縮径部材を相互に軸方向に近付ける方向に駆動させる操作のみで、無膨張マットの外周面全体を半径方向に均一に押圧してその外形を収容外筒の内径近くまで容易に圧縮成形することができるようになる。

上記圧入装着装置では、前記各分割押圧片における内径側両側縁部を、円弧状またはテーパ状に面取り加工したので、圧縮成形時に隣接する分割押圧片相互間の切欠部に無膨張マットを挟み込むことを抑制することができるようになる。

上記圧入装着装置では、前記圧縮成形治具による無膨張マットの圧縮成形が完了した時点で、隣接する分割押圧片相互間の切欠部に所定の隙間が維持されるように構成したので、圧縮成形時に隣接する分割押圧片相互間の切欠部に無膨張マットを挟み込むことを防止することができるようになる。

上記圧入装着装置では、前記隣接する分割押圧片相互間の切欠部に維持される所定の隙間が、圧縮成形後における無膨張マットの厚みと同一から１／２の範囲になるように設定したので、圧縮成形時に隣接する分割押圧片相互間の切欠部に無膨張マットを挟み込むことをより確実に防止することができるようになる。

上記圧入装着装置では、前記押圧縮径部材の下部に圧縮成形治具で無膨張マットが圧縮成形されたセラミック触媒担体を収容外筒まで案内する円筒状ガイド部が一体に設けられ、圧入手段が、圧縮成形治具で無膨張マットが圧縮成形されたセラミック触媒担体を円筒状ガイド部内を経由してその下部に配置された収容外筒内に圧入装着されるように構成したので、無膨張マットが圧縮成形されたセラミック触媒担体を、収容外筒の開口部へ正確に案内し、収容外筒内へスムーズに圧入装着することができ、これにより、作業効率を高めることができるようになる。

上記圧入装着装置では、前記円筒状ガイド部の内径が圧縮成形完了時点における一部切欠円筒状押圧部材の内径よりは僅かに大径に形成されるように構成したので、無膨張マットが圧縮成形されたセラミック触媒担体を円筒状ガイド部内に送り込む時に該円筒状ガイド部の上端開口縁部が無膨張マットに干渉することを抑制することができる。従って、これにより、無膨張マットを変形させることなしに、セラミック触媒担体を円筒状ガイド部内にスムーズに送り込むことができるようになる。

上記圧入装着装置では、前記一部切欠円筒状押圧部材の出口開口縁部が円弧状又はテーパ状に面取り加工されるように構成したので、触媒担体を円筒ガイド部内へスムーズに送り込むことができるようになる。

上記圧入装着装置では、前記一部切欠円筒状押圧部材の下端開口縁部と円筒状ガイド部の上端開口縁部との少なくとも一方が円弧状又はテーパ状に面取り加工されるように構成したので、セラミック触媒担体を円筒状ガイド部内にさらにスムーズに送り込むことができるようになる。

上記圧入装着装置では、前記無膨張マットを巻いたセラミック触媒担体の外径ばらつきに応じ、その外径数値をフィードバックして圧縮成形治具における一部切欠円筒状押圧部材の半径方向押圧ストローク量を制御するように構成したので、セラミック触媒担体の外径のバラツキが大きい場合でも、無膨張マットの圧縮量を一定に制御することができるようになる。

以下にこの発明の実施例を図面に基づいて説明する。

まず、本発明の実施例１の無膨張マットを巻いたセラミック触媒担体の収容外筒への圧入装着方法及び装置を図面に基づいて説明する。

図１はこの実施例１の無膨張マットを巻いたセラミック触媒担体の収容外筒への圧入装着装置（以後、圧入装着装置と略称する）を示す正面図、図２は図１の圧入装着装置の右側面図、図３は無膨張マットを巻いたセラミック触媒担体を収納した、圧縮成形前の状態の圧縮成形治具を示す平面図、図４は図３の圧縮成形前の状態の圧縮成形治具の縦断面図、図５は圧縮成形後の状態の圧縮成形治具を示す平面図、図６は図５の圧縮成形後の状態の圧縮成形治具の縦断面図である。
図７は圧縮成形治具の各分割押圧片相互間の隙間と圧縮成形後における無膨張マットの厚みとの関係を示す一部拡大図、図８は圧縮成形完了時点における圧縮成形治具の一部切欠円筒状押圧部材内径と円筒状ガイド部の内径との関係を示す図で、（ａ）は一部切欠円筒状押圧部材と円筒状ガイド部との両方の開口縁部を円弧状に加工したもの、（ｂ）は一部切欠円筒状押圧部材の開口縁部の開口縁部を円弧状、円筒状ガイド部の開口縁部をテーパ状にしたもの、（ｃ）は一部切欠円筒状押圧部材の開口縁部をテーパ状、円筒状ガイド部の開口縁部を円弧状にしたものを示す図である。
図９は実施例１の圧入装着装置を用いたセラミック触媒担体の収容外筒への圧入装着方法を示すフローチャート、図１０は実施例１の圧入装着装置を用いたセラミック触媒担体の収容外筒への圧入装着方法及び装置の作用効果を示す説明図で、（ａ）は分割押圧片内への無膨張マットを巻いたセラミック触媒担体の圧入状態図、(ｂ)は収容外筒内への無膨張マットを巻いたセラミック触媒担体の圧入装着状態図である。

この実施例の圧入装着装置は、基台部１と、圧縮成形治具２と、圧入手段３と、収容外筒保持・移送手段４と、収容外筒位置決め保持手段５と、を備えている。

さらに詳述すると、前記圧縮成形治具２は、図３乃至図６に示すように、セラミック触媒担体６の外周に組み付けた無膨張マット７の外周面全体を半径方向に均一に押圧して、その外径を排気通路の一部を構成する収容外筒８の内径近くまで圧縮成形する役目をなすものである。この圧縮成形治具２は、図１及び図２に示すように、前記基台部１上に立設された４本の外枠体１１の中途部に支持された中間支持台１２の上面側に組み付けられている。

この圧縮成形治具２は、図３〜６にその詳細を示すように、無膨張マット７の外周に沿って周方向に８個に分割された分割押圧片２１ａで構成される一部切欠円筒状押圧部材２１と、該一部切欠円筒状押圧部材２１の外周を覆う外筒２２と、該外筒２２と一部切欠円筒状押圧部材２１との間に圧入することにより無膨張マット７の外周面全体を半径方向に均一に押圧してその外形を収容外筒８の内径近くまで圧縮成形する押圧縮径部材２３とで構成されている。

即ち、前記外筒２２はその上端開口縁部に内向き係止フランジ部２２ａが突出形成されることにより、各分割押圧片２１ａの上端面外周部が当接係止され、これらが上方への離脱するのを防止するようにしている。

そして、前記８個の分割押圧片２１ａで構成される一部切欠円筒状押圧部材２１の出口側部分の外周が入口側外周部分より小径に形成されることにより、該出口側部分外周と外筒２２内周側部分との間に環状隙間Ｗが形成可能とされる。この環状隙間Ｗ内には、上方の内面側部分がテーパの断面楔状円筒に形成された前記押圧縮径部材２３を圧入させることにより、図５及び図６に示すように、それら間の楔作用により、一部切欠円筒状押圧部材２１を縮径させるようになっている。また、スプリング等で押圧縮径部材２３が環状隙間Ｗから離脱すると、一部切欠円筒状押圧部材２は拡径するようになっている。

また、前記圧縮成形治具２による無膨張マット７の圧縮成形が完了した時点で、図５に示されるように、隣接する分割押圧片２１ａ、２１ａの切欠部同士間に所定の周方向隙間αが維持されるように構成されている。そして、図７に示すように、この周方向隙間αが圧縮成形後における無膨張マット７の厚みｔと同一からその１／２の範囲（ｔ／２≦α≦ｔ）になるように設定されている。なお、前記各分割押圧片２１ａにおける内径側両側縁部が円弧状に面取り加工されている。

図１及び図２に戻り、前記押圧縮径部材２３の圧入駆動操作は、該押圧縮径部材２３と外筒２２との間に介装された一対の第１油圧シリンダ２４、２４で行われるようになっている。

また、前記圧縮成形治具２は、一対の第２油圧シリンダ２５、２５により、前記中間支持台１２に対し昇降駆動可能な状態に支持されている。

また、前記押圧縮径部材２３の出口側には、圧縮成形治具２で無膨張マット７が圧縮成形されたセラミック触媒担体６を収容外筒８まで案内する円筒状ガイド部２６が一体に設けられている。そして、この円筒状ガイド部２６の内径が図５及び図６に示す圧縮成形完了時点における一部切欠円筒状押圧部材２１の内径よりは僅か（例えば０<β≦０．５mm）に大径に形成される（図８（ａ）参照）と共に、一部切欠円筒状押圧部材２１の下端開口縁部２１ｒ及び円筒状ガイド部２６の上端開口縁部２６ｒが共に円弧状に面取り加工されている（例えば、Ｒ＝１mm〜１０mm）。

あるいは、図８（ｂ）に示すように、一部切欠円筒状押圧部材２１の下端開口縁部２１ｒを円弧状に、また円筒状ガイド部２６の上端開口縁部２６ｔをテーパ状にしても良いし、図８（ｃ）に示すように、一部切欠円筒状押圧部材２１の下端開口縁部２１ｔをテーパ状に、また円筒状ガイド部２６の上端開口縁部２６ｒを円弧状にしても良い。

前記圧入手段３は、圧縮成形治具２で無膨張マット７が圧縮成形されたセラミック触媒担体６を、円筒状ガイド部２６内を経由して収容外筒８内へ圧入装着する役目をなすもので、前記４本の外枠体１１の上端部に支持された上部支持台１３に設けられている。この圧入手段３は、第３油圧シリンダ３１により押圧片３ａを昇降駆動させることにより、セラミック触媒担体６を押圧するようになっている。

前記収容外筒保持・移送手段４は、基台部１の上面中央部に前後方向に設けられたレール４１に沿って移送可能な状態に設けられた保持部４２上に、収容外筒８の下端開口縁部を装着可能な凹部４２ａが形成されていて、収容外筒８を垂直に立てた状態で保持できるようになっている。

前記収容外筒位置決め保持手段５は、収容外筒保持・移送手段４により円筒状ガイド部２６の直下まで移送された収容外筒８の上端部を挟持することにより、定位置に位置決め固定する役目をなすもので、中間支持台１２の下面側に備えた一対の第４油圧シリンダ５１、５１により挟持片５２、５２が水平方向に進退駆動されるようになっている。

次に、この実施例１の圧入装着装置を用いたセラミック触媒担体６の収容外筒８への圧入装着方法を、図９のフローチャートに基づいて説明する。

この実施例１の圧入装着装置では上述のように構成されるため、以下の順序でセラミック触媒担体６の収容外筒８への圧入装着が行われる。

まず、図３及び図４に示すように、外周に無膨張マット７を組み付けたセラミック触媒担体６を、８個に分割された分割押圧片２１ａで構成される一部切欠円筒状押圧部材２１の中空部内にセットする（ステップＳ１０１）一方、収容外筒８の下端開口縁部を、収容外筒保持・移送手段４における保持部４２の上面に形成された凹部４２ａに差し込むことにより、垂直に立てた状態にセットする（ステップＳ１０２）。

次に、起動スイッチがオンにされる（ステップＳ１０３）と、収容外筒保持・移送手段４が駆動され、収容外筒８がセットされた保持部４２がレール４１に沿って前進移動され、円筒状ガイド部２６の直下まで移送される（ステップＳ１０４）。続いて、収容外筒位置決め保持手段５が駆動され、一対の第４油圧シリンダ５１、５１により挟持片５２、５２が水平方向内側方向へ駆動され、収容外筒８のセラミック触媒担体入口部を挟持することにより、収容外筒８が定位置に位置決め固定される（ステップＳ１０５）。

次に、押圧縮径部材２３と外筒２２との間に介装された一対の第１油圧シリンダ２４、２４を収縮する方向に駆動することにより、外筒２２を一部切欠円筒状押圧部材２１及びセラミック触媒担体６と共に下降させる（ステップＳ１０６）。そうすると、図５及び図６に示すように、一部切欠円筒状押圧部材２１の小径部分に形成された下側外周面と外筒２２の内周側面との間に形成されている環状隙間Ｗ（図４参照）内に、前方内面がテーパ状に形成された断面楔状円筒からなる押圧縮径部材２３が圧入される。この結果、テーパによる楔作用により、一部切欠円筒状押圧部材２１が縮径する方向に押圧されて移動し、これにより、無膨張マット７の外周面全体が半径方向へ均一に押圧され、その外径が収容外筒８の内径近くまで圧縮成形された状態となる。

次に、一対の第２油圧シリンダ２５、２５を収縮する方向に駆動して、圧縮成形治具２全体を収容外筒８の方向に移動させる（ステップＳ１０７）と、押圧縮径部材２３の出口側に一体に設けられた円筒状ガイド部２６における出口側開口縁部に形成された大径部２６ａ内に収容外筒８の入口側開口縁部が嵌り込んで連結状態となる。

次に、圧入手段３を駆動させる。すなわち、第３油圧シリンダ３１を伸長する方向に駆動して押圧片３ａを収容外筒８の方向へ移動せる（ステップＳ１０８）と、押圧片３ａが、圧縮成形治具２により無膨張マット７が圧縮成形されたセラミック触媒担体６を円筒状ガイド部２６内を経由して収容外筒８内へ移動させ、収容外筒８内に圧入装着する。

次に、第３油圧シリンダ３１を収縮する方向に駆動して押圧片３ａを上昇させる（ステップＳ１０９）とともに第２油圧シリンダ２５、２５を伸張する方向に駆動すると、円筒状ガイド部２６に対する収容外筒８の連結状態が解除される。

次に、収容外筒保持・移送手段４により、保持部４２をレール４１に沿って元の位置まで後退させ（ステップＳ１１０）、セラミック触媒担体７が圧入装着された収容外筒８を保持部４２から取り外す。一方、押圧縮径部材２３と外筒２２との間に介装された一対の第１油圧シリンダ２４、２４を伸長する方向に駆動して、外筒２２を一部切欠円筒状押圧部材２１と共に上昇させる（ステップＳ１１１）。そうすると、図３及び図４に示すように、一部切欠円筒状押圧部材２１の小径部分に形成された下側外周面と外筒２２の内周面との間に形成された環状隙間Ｗ内に対する押圧縮径部材２３の圧入状態が解除されるため、一部切欠円筒状押圧部材２１が元の拡径された状態に復帰し、これにより、次の作業が可能な状態となる。

次に、この実施例１の作用・効果を説明する。

この実施例１の膨張マットを巻いたセラミック触媒担体の収容外筒への圧入装着方法及び装置では、上述のように、外周に無膨張マット７を組み付けたセラミック触媒担体６を、まず、圧縮成形治具２によって、無膨張マット７の外周面全体を半径方向に均一に押圧してその外形を排気通路の一部を構成する収容外筒８の内径近くまで圧縮成形した後、圧入手段３によって収容外筒８内に圧入装着するようにしたので、無膨張マット７の圧縮時に多方向の圧縮力とせん断力が同時に働くことがない。従って、本圧入装着方法及び装置では、無膨張マット７が図１０に示す状態となり、収容外筒８内へのセラミック触媒担体６の圧入装着時における無膨張マット７のずれや破損等の不具合の発生を防止することができるようになるという効果が得られる。

また、前記圧縮成形治具２を、無膨張マット７の外周に沿って周方向に複数に分割された分割押圧片２１ａで構成される一部切欠円筒状押圧部材２１と、該一部切欠円筒状押圧部材２１の外周を覆う外筒２２と、該外筒２２と一部切欠円筒状押圧部材２１との間に圧入することにより無膨張マット７の外周面全体を半径方向に均一に押圧してその外形を収容外筒８の内径近くまで圧縮成形する押圧縮径部材２３とで構成するようにしたので、外筒２２と押圧縮径部材２３を第１油圧シリンダ２４、２４で相互に軸方向に近付ける方向に駆動させる操作のみで、無膨張マット７の外周面全体を半径方向に均一に押圧してその外形を収容外筒８の内径近くまで容易に圧縮成形することができるようになる。

また、前記各分割押圧片２１ａにおける内径側両側縁部を、図７に示すように円弧状またはテーパ状に面取り加工するようにしたので、圧縮成形時に隣接する分割押圧片２１ａ、２１ａ相互間の切欠部に無膨張マット７を挟み込むことを抑制することができるようになる。

また、前記圧縮成形治具２による無膨張マット７の圧縮成形が完了した時点で、図７に示すように隣接する分割押圧片２１ａ、２１ａ相互間の切欠部に所定の周方向隙間αが維持され、この周方向隙間αが、圧縮成形後における無膨張マット７の厚みｔと同一から１／２の範囲に設定されるようにしたので、圧縮成形時に隣接する分割押圧片２１ａ、２１ａ相互間の切欠部に無膨張マット７を挟み込むことを確実に防止することができるようになる。

また、前記押圧縮径部材２３の下部に圧縮成形治具２で無膨張マット７が圧縮成形されたセラミック触媒担体を収容外筒８まで案内する円筒状ガイド部２６が一体に設けられ、圧入手段３が、圧縮成形治具２で無膨張マット７が圧縮成形されたセラミック触媒担体６を円筒状ガイド部２６内を経由してその下部に配置された収容外筒８内に圧入装着するように構成されるようにしたので、無膨張マット７が圧縮成形されたセラミック触媒担体６を、収容外筒８の開口部へ正確に案内し、収容外筒８内へスムーズに圧入装着することができ、これにより、作業効率を高めることができるようになる。

また、前記円筒状ガイド部２６の内径を、図８に示すように、圧縮成形完了時点における一部切欠円筒状押圧部材２１の内径よりは僅かに大径に形成したので、無膨張マット７が圧縮成形されたセラミック触媒担体６を円筒状ガイド部２６内に送り込む時に該円筒状ガイド部２６の上端開口縁部が無膨張マット７に干渉することを抑制することができ、これにより、無膨張マット７を変形させることなしに、セラミック触媒担体６を円筒状ガイド部２６内にスムーズに送り込むことができるようになる。

また、前記一部切欠円筒状押圧部材２１の下端開口縁部及び円筒状ガイド部２６の上端開口縁部を、図８に示すように、円弧状に面取り加工したので、セラミック触媒担体６を円筒状ガイド部２６内にさらにスムーズに送り込むことができるようになる。

次に、他の実施例について説明する。この他の実施例の説明にあたっては、前記実施例１と同様の構成部分については図示を省略し、もしくは同一の符号を付けてそれらの説明を省略し、相違点についてのみ説明する。

図１１は、実施例２の膨張マットを巻いたセラミック触媒担体の収容外筒への圧入装着方法及び装置を用いた場合の、圧縮成形完了時点における一部切欠円筒状押圧部材内径と円筒状ガイド部の内径との関係を示す説明図である。

図１１に示すように、この実施例２は、円筒状ガイド部２６の入口側開口縁部２６ｔをテーパ状に面取り加工する一方、該テーパ面に沿うように一部切欠円筒状押圧部材２１の分割押圧片２１ａの出口側開口縁部２１ｕを下方へ突出させると共に、出口側開口縁部２１ｕをテーパ状に面取り加工して円筒状ガイド部２６の内径と一致させる。また、分割押圧片２１ａの内周面は、円筒状ガイド部２６の内周面より半径方向に寸法βだけ小さくするとともに、分割押圧片２１ａの出口側開口縁部２１ｕをテーパ状に面取り加工してその先端が円筒状ガイド部２６の内周面につながるように形成する。これらにより、一部切欠円筒状押圧部材２１の出口側開口縁部２１ｕと円筒状ガイド部２６の入口側開口縁部２６ｔとの間に隙間ができないようにし、かつ無膨張マット７が一部切欠円筒状押圧部材から円筒状ガイド部２６内を若干拡径しながら経由して収容外筒へ移動できるようにした点が、実施例２が前記実施例１と相違する点である。従って、この実施例２では、セラミック触媒担体６を円筒状ガイド部２６内にさらにスムーズに送り込むことができるようになる。

以上本実施例を説明してきたが、本発明は上述の実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。

例えば、実施例では、アクチュエータとして油圧シリンダを用いたがエアシリンダや電動モータ等を用いることができる。

また、前記無膨張マット７を巻いたセラミック触媒担体６の外径ばらつきに応じ、その外径数値をフィードバックして圧縮成形治具２における一部切欠円筒状押圧部材２１の半径方向押圧ストローク量を制御するようにすれば、セラミック触媒担体６の外径のバラツキが大きい場合でも、無膨張マット７の圧縮量を一定に制御することができるようになる。

本発明の無膨張マットを巻いたセラミック触媒担体の収容外筒への圧入装着方法及び圧入装着装置は、車両用内燃機関の排気系等に使用される触媒装置の収容外筒へ、外面に無膨張マットを巻いたセラミック触媒担体を圧入装着するようにした触媒担体の収容外筒への圧入方法及び圧入装着装置等に適している。

実施例１の、無膨張マットを巻いたセラミック触媒担体の収容外筒への圧入装着装置を示す正面図である。 実施例１の圧入装着装置を示す右側面図である。 実施例１の圧縮成形前の状態にある圧入装着装置において、無膨張マットを巻いたセラミック触媒担体と、これを収納した圧縮成形治具とを示す平面図である。 図３の圧縮成形前の状態における、無膨張マットを巻いたセラミック触媒担体と圧縮成形治具とを示す縦断面図である。 実施例１の圧縮成形後の状態にある圧入装着装置において、無膨張マットを巻いたセラミック触媒担体と、これを収納した圧縮成形治具を示す平面図である。 図５の圧縮成形後の状態における、圧縮成形治具と無膨張マットを巻いたセラミック触媒担体とを示す縦断面図である。 圧縮成形治具の各分割押圧片相互間の隙間と圧縮成形後における無膨張マットの厚みとの関係を示す一部拡大図である。 圧縮成形完了時点における圧縮成形治具の一部切欠円筒状押圧部材内径と円筒状ガイド部の内径との関係を示す図で、（ａ）は一部切欠円筒状押圧部材と円筒状ガイド部との両方の開口縁部を円弧状に加工したもの、（ｂ）は一部切欠円筒状押圧部材の開口縁部の開口縁部を円弧状、円筒状ガイド部の開口縁部をテーパ状にしたもの、（ｃ）は一部切欠円筒状押圧部材の開口縁部をテーパ状、円筒状ガイド部の開口縁部を円弧状にしたものを示す図である。 実施例１の圧入装着装置を用いたセラミック触媒担体の収容外筒への圧入装着方法を示すフローチャートである。 実施例１の圧入装着装置を用いたセラミック触媒担体の収容外筒への圧入装着方法及び装置の作用効果を示す説明図で、（ａ）は分割押圧片内への無膨張マットを巻いたセラミック触媒担体の圧入状態図、(ｂ)は収容外筒内への無膨張マットを巻いたセラミック触媒担体の圧入装着状態図である。 実施例２の無膨張マットを巻いたセラミック触媒担体の収容外筒への圧入装着装置における圧縮成形完了時点における一部切欠円筒状押圧部材内径と円筒状ガイド部の内径との関係を示す説明図である。 従来例の無膨張マットを巻いたセラミック触媒担体の収容外筒への圧入装着方法及び装置を示す説明図である。 従来例の問題点を示す説明図であり、（ａ）は無膨張マットを巻いたセラミック触媒担体の圧入ガイド部材への挿入時に無膨張マットに作用する外力状態図、（ｂ）は無膨張マットを巻いたセラミック触媒担体の圧入ガイド部材への挿入時における無膨張マットの変形状態図である。 従来例の問題点を示す説明図であり、（ａ）は収容外筒へ圧入装着したときのセラミック触媒担体の無膨張マットの変形状態を示す図、（ｂ）は収容外筒へ圧入装着したときのセラミック触媒担体の無膨張マットの別の変形状態を示す図である。

符号の説明

Ｗ 環状隙間
ｔ 無膨張マットの厚み
α 隙間
１ 基台部
１１ 外枠体
１２ 中間支持台
１３ 上部支持台
２ 圧縮成形治具
２１ 一部切欠円筒状押圧部材
２１ａ 分割押圧片
２２ 外筒
２２ａ 内向き係止フランジ部
２３ 押圧伸縮部材
２４ 第１油圧シリンダ
２５ 第２油圧シリンダ
２６ 円筒状ガイド部
２６ａ 大径部
３ 圧入手段
３ａ 押圧片
３１ 第３油圧シリンダ
４ 収容外筒保持・移送手段
４１ レール
４２ 保持部
４２ａ 凹部
５ 収容外筒位置決め保持手段
５１ 第４油圧シリンダ
５２ 挟持片
６ セラミック触媒担体
７ 無膨張マット
８ 収容外筒

Claims (11)

1. 外周に無膨張マットを組み付けたセラミック触媒担体を、前記無膨張マットの外周面全体を半径方向に均一に押圧して前記無膨張マットの外形を排気通路の一部を構成する収容外筒の内径近くまで圧縮成形した後に、該収容外筒内に圧入装着するようにしたことを特徴とする無膨張マットを巻いたセラミック触媒担体の収容外筒への圧入装着方法。
2. 外周に無膨張マットを組み付けたセラミック触媒担体を前記無膨張マットの外周面全体を半径方向に均一に押圧して前記無膨張マットの外形を排気通路の一部を構成する収容外筒の内径近くまで圧縮成形する圧縮成形治具と、
   該圧縮成形治具で前記無膨張マットが圧縮成形されたセラミック触媒担体を前記収容外筒内へ圧入装着する圧入手段と、
   を備えていることを特徴とする無膨張マットを巻いたセラミック触媒担体の収容外筒への圧入装着装置。
3. 請求項２に記載の無膨張マットを巻いたセラミック触媒担体の収容外筒への圧入装着装置において、前記圧縮成形治具が、前記無膨張マットの外周に沿って周方向に複数に分割された分割押圧片で構成される一部切欠円筒状押圧部材と、該一部切欠円筒状押圧部材の外周を覆う外筒と、該外筒と前記一部切欠円筒状押圧部材との間に圧入することにより前記無膨張マットの外周面全体を半径方向に均一に押圧して前記無膨張マットの外形を前記収容外筒の内径近くまで圧縮成形する押圧縮径部材と、で構成されていることを特徴とする無膨張マットを巻いたセラミック触媒担体の収容外筒への圧入装着装置。
4. 請求項３に記載の無膨張マットを巻いたセラミック触媒担体の収容外筒への圧入装着装置において、前記各分割押圧片における内径側両側縁部が、円弧状またはテーパ状に面取り加工されていることを特徴とする無膨張マットを巻いたセラミック触媒担体の収容外筒への圧入装着装置。
5. 請求項３又は４に記載の無膨張マットを巻いたセラミック触媒担体の収容外筒への圧入装着装置において、前記圧縮成形治具による前記無膨張マットの圧縮成形が完了した時点で、隣接する分割押圧片相互間の切欠部に所定の隙間が維持されるように構成されていることを特徴とする無膨張マットを巻いたセラミック触媒担体の収容外筒への圧入装着装置。
6. 請求項５に記載の無膨張マットを巻いたセラミック触媒担体の収容外筒への圧入装着装置において、前記隣接する分割押圧片相互間の切欠部に維持される所定の隙間が、前記圧縮成形後における無膨張マットの厚みと同一から１／２の範囲に設定されていることを特徴とする無膨張マットを巻いたセラミック触媒担体の収容外筒への圧入装着装置。
7. 請求項２乃至６項のいずれかに記載の無膨張マットを巻いたセラミック触媒担体の収容外筒への圧入装着装置において、前記押圧縮径部材の出口側に前記圧縮成形治具で前記無膨張マットが圧縮成形されたセラミック触媒担体を前記収容外筒まで案内する円筒状ガイド部が一体に設けられ、
   前記圧入手段が、前記圧縮成形治具により前記無膨張マットが圧縮成形されたセラミック触媒担体を前記円筒状ガイド部内を経由して該円筒状ガイド部材の出口側に配置された前記収容外筒内に圧入装着するように構成されていることを特徴とする無膨張マットを巻いたセラミック触媒担体の収容外筒への圧入装着装置。
8. 請求項７に記載の無膨張マットを巻いたセラミック触媒担体の収容外筒への圧入装着装置において、前記円筒状ガイド部の内径が圧縮成形完了時点における前記一部切欠円筒状押圧部材の内径よりは大径に形成されていることを特徴とする無膨張マットを巻いたセラミック触媒担体の収容外筒への圧入装着装置。
9. 請求項７又は８に記載の無膨張マットを巻いたセラミック触媒担体の収容外筒への圧入装着装置において、前記一部切欠円筒状押圧部材の出口側開口縁部が円弧状又はテーパ状に面取り加工されていることを特徴とする無膨張マットを巻いたセラミック触媒担体の収容外筒への圧入装着装置。
10. 請求項７または８に記載の無膨張マットを巻いたセラミック触媒担体の収容外筒への圧入装着装置において、前記一部切欠円筒状押圧部材の出口側開口縁部と前記円筒状ガイド部の入口側開口縁部との少なくとも一方が円弧状又はテーパ状に面取り加工されていることを特徴とする無膨張マットを巻いたセラミック触媒担体の収容外筒への圧入装着装置。
11. 請求項３乃至１０のいずれかに記載の無膨張マットを巻いたセラミック触媒担体の収容外筒への圧入装着装置において、前記無膨張マットを巻いたセラミック触媒担体の外径ばらつきに応じ、セラミック触媒担持体の外径数値をフィードバックして前記圧縮成形治具における前記一部切欠円筒状押圧部材の半径方向押圧ストローク量を制御するようにしたことを特徴とする無膨張マットを巻いたセラミック触媒担体の収容外筒への圧入装着装置。

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