JP2005315194A - 排水ポンプ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】排水ポンプのインペラ21に水を導く取水通路を設け、その取水通路はインペラ21の回転中心位置に配置される下部開口部を有する筒状部24と、筒状部24の上部位置に配置され回転中心から離間する方向に向かって延出された一対の近接して配置された隔壁28と隔壁28の下部位置に配置される底板31によって包囲された拡開部29とから構成される。拡開部29上方は上部開口部34とされている。拡開部29は放射状に複数配置される。各拡開部29を構成する底板31は中央寄りにおいて筒状部24と一体化され各拡開部29を構成する一対の隔壁28は筒状部24内周面に連続的に移行してリブを構成し、同リブによって筒状部24内周面に内溝を形成させるようにしている。すなわち、筒状部24は上部位置において放射状に分岐された拡開部29に連通することとなっている。
【選択図】 図2
Description
このような排水ポンプで従来から普遍的な課題とされているのは騒音の抑制である。特に空調機におけるコンプレッサ等の運転音について技術改良から低騒音化が進んでいることの均衡から排水ポンプも同様に低騒音化が要求されるようになっている。騒音の発生のメカニズムは次のようなものである。インペラが高速で回転することによって吸い上げられた水(ドレン)に強い剪断力が作用しインペラが収容されたハウジング内で大小の乱流やキャビテーションが生じてしまう。同時にインペラの回転に伴ってインペラ内が負圧になるため上方から外気(空気)がインペラの羽根部分に引き込まれ、これが水中に混入し細かな気泡となって水と混在することとなる。この細かな気泡が乱流等と協働してハウジング内で各部に衝突するため騒音が発生するわけである。騒音の発生は同時にポンプ効率の低下をも招来することとなっている。そのため従来からこのような騒音を緩和するために種々の方策が講じられている。
このような騒音を緩和した排水ポンプの一例として特許文献1及び2を挙げる。
また、特許文献2では図20に示すようにインペラ115の羽根116の下部に円盤117を形成させることで、羽根116方向に向かうドレン水の量を抑制しインペラ115にかかる負荷を軽減させることで気泡の発生を抑制し、もって騒音を低減するというものである(特許文献2の公報の図2等を参照)。
しかし、これらの各技術では空気が水に混合されること自体を直接的に防止しているわけではないため、気泡の発生はある程度は抑制されるとはいえ依然として多量の気泡が水中に混在することとなっており騒音の抑制としては十分ではなかった。
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、低騒音でポンプ効率のよい排水ポンプを提供することにある。
また、請求項2の発明では請求項1に記載の発明の構成に加え、前記筒状部内周面から前記拡開部底面への変移部分を所定の曲率をもって滑らかに構成するようにしたことをその要旨とする。
また、請求項3の発明では、モータと、同モータによって駆動される駆動軸に固着され同駆動軸とともに回転可能なインペラと、同インペラが収容されるハウジングとを備え、インペラの回転によって同ハウジング下部に形成された吸水口から水を吸引し、同ハウジング上部側面に形成された吐水口から同水を吐出させるようにした排水ポンプにおいて、前記インペラは前記吸水口から吐水口へと吸引した水を導く取水構造を備え、同取水構造は前記駆動軸の軸線から離間する方向に向かって延出された所定間隔を開けて配置された一対の隔壁に挟持された拡開部と、同拡開部下部かつ同駆動軸の軸線の延長線上であって前記ハウジングの吸水口に面して配置され複数のリブによってその外周面に縦方向に延びる溝が形成された下垂部とから構成され、
同拡開部を前記駆動軸の軸心を中心として放射状に複数配置させるとともに同拡開部には前記吐水口高さ付近で開口する上部開口部を設け、同各拡開部を構成する一対の隔壁を前記溝を構成する前記リブと連続的に接続させ前記溝と拡開部が一体化した外方に開放された外溝を構成するようにしたことをその要旨とする。
また、請求項5の発明では請求項1〜4のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記各拡開部の外周にはリング体が同各拡開部の外周方向末端と一体的に連結された状態で配置されるようにしたことをその要旨とする。
また、請求項6の発明では請求項5に記載の発明の構成に加え、前記拡開部を構成する隔壁の上部は封塞されるとともに、前記駆動軸の軸線寄りが一部開口されていることをその要旨とする。
また、請求項7の発明では請求項6に記載の発明の構成に加え、前記各拡開部の外周方向末端を前記リング体によって封塞するとともに前記上部開口部は同リング体によって封塞された箇所に開口するようにしたことをその要旨とする。
また、請求項8の発明では請求項1〜5のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記拡開部を構成する隔壁の上部は開放されていることをその要旨とする。
ここに拡開部は駆動軸の軸心を中心として放射状に複数配置されるがこれは2つ以上であれば常識範囲で多数配置することは構わないとする意である。また、均等に放射状であることが好ましいが、均等という場合、個々の拡開部とそれと隣接する拡開部との間隔が均等である場合だけをいうのではない。例えば、複数の拡開部を1群として複数の群が均等かつ放射状に複数配置される場合等も含む。また、拡開部は駆動軸の軸心を中心として放射状に配設されるものの必ずしも径方向に沿って延出される必要はない。
また筒状部内周面にリブによって形成される内溝は必ずしも筒状部の上下方向全域に形成する必要はない。
ここに拡開部は駆動軸の軸心を中心として放射状に複数配置されるがこれは2つ以上であれば常識範囲で多数配置することは構わないとする意である。また、均等に放射状であることが好ましいが、均等という場合、個々の拡開部とそれと隣接する拡開部との間隔が均等である場合だけをいうのではない。例えば、複数の拡開部を1群として複数の群が均等かつ放射状に複数配置される場合等も含む。また、拡開部は駆動軸の軸心を中心として放射状に配設されるものの必ずしも径方向に沿って延出される必要はない。
また、下垂部外周面に縦方向に延びる溝とは必ずしも直線状の溝のみに限定されるものではない。また必ずしも下垂部外周面の上下方向全域に形成する必要はない。
また各拡開部を構成する隔壁の上部を封塞する場合にはインペラに向かって流入する外気(空気)の導入口として駆動軸の軸線寄りを一部開口させることが好ましい。各拡開部の外周方向末端をリング体によって封塞する場合には上部開口部をリング体によって封塞された箇所に開口させることが好ましい。もちろん前記拡開部を構成する隔壁の上部を開放させてもよい。
(実施の形態1)
図1に示すように、本実施の形態1の排水ポンプ1は空調機に装着されドレンタンク内のドレン水を排出するために使用されるものである。排水ポンプ1は上部取り付け金具2を備え、同上部取り付け金具2に対してモータユニット3が固着されている。モータユニット3はユニットベース4に支持されたモータ5によって構成されている。ユニットベース4から下方に向かって吊り下げアーム7が延出されており、同吊り下げアーム6の下端には円盤形状のプラスチック製の蓋部材8が固着されている。モータ5から下垂された駆動軸9の下端側は蓋部材8の中央に形成された透孔10から下方に突出されている。透孔10に面した駆動軸9下端寄り位置にはゴムワッシャ11が固着されている。駆動軸9の外部に露出された部位の中程位置には水切り板12が固着されている。
蓋部材8に対して下方からプラスチック製のハウジング本体13が嵌合されている。ハウジング本体13は上半身が円筒形状部13aとされ下半身が漏斗状の円錐形状部13bとされている。円錐形状部13bの下端位置には吸水口15が開口されている。円筒形状部13aの側方には略水平方向に延出された吐水パイプ16が形成されている。吐水パイプ16の先端には吐水口17が開口されている。蓋部材7下端縁に対してハウジング本体13上端縁はOリング18を介して嵌合され図示しないスナップフィットによって固定されている。蓋部材8とハウジング本体13とによってハウジング19が構成されている。
軸受け部23の下方には筒状部24が形成されている。筒状部24は軸受け部23と同一軸心上に配置された同軸受け部23よりも大径の筒体とされている。図4、図6及び図7に示すように、筒状部24の内周面には等間隔に配置された4本のリブ25が上下方向に延設されている。隣接するリブ25間には内溝26が形成されることとなる。つまり、筒状部24の内周面には90度ずつ変位した位置に縦方向に延びる相互に平行な内溝26が形成されることとなる。筒状部24の最下部には下部開口部27が開口されている。
これら軸受け部23、各拡開部29、リング部30及び後述する内部スペース部35によって頭部32が構成されている。頭部32は主としてインペラ21の上部位置においてインペラ21の回転によって導入されたドレン水に回転エネルギーを付与する役割を担う。すなわち、各拡開部29を構成する隔壁28はドレン水に直接回転エネルギーを付与する羽根の作用を兼ねる。
これら、筒状部24と各拡開部29とによって取水通路が構成されている。
このように構成されたインペラ21は駆動軸9に固定された状態で図1に示すようにハウジング19内周面との間に若干の隙間が形成される。
(1)吸い上げられたドレン水は頭部32に至る際に一対の隔壁28が近接して狭窄した水の通路(拡開部29)に導かれるため乱流やキャビテーションが生じにくくなる。更に、インペラ21上方から導入される外気(空気)は各拡開部29が狭くかつ独立していることから水との接触機会が減り乱流等が少ないことと相まって水と混ざりにくく結果として水中に細かな気泡が発生しにくくなる。そのため低騒音化に寄与する。
(2)筒状部24から吸い上げられたドレン水は内溝26に案内されながら各拡開部29に分岐させられさせられ、なおかつ内溝26と拡開部29は同一延長線上にあるため極めてスムーズにドレン水が移送されることとなるため、その結果として低騒音化に寄与するとともにポンプ効率の向上にも寄与する。
(3)拡開部29の底板31の上面と筒状部24の内周面とは段差なく滑らかに連続的に接続されるため乱流等が生じにくく結果として水中に細かな気泡が発生しにくくなる。その結果として低騒音化に寄与する。
(4)4つの拡開部29は90度の角度で均等に軸受け部23の周りに放射状に配置されているため、筒状部24から吸い上げられたドレン水が均等に分配されやすく、なおかつ頭部32の重量バランスもよくドレン水に速度エネルギーを均一に付与することができる。
次に実施の形態2について説明する。本実施の形態2の説明における排水ポンプ1は実施の形態1とインペラ51の形態が異なるだけであるためインペラ51についてのみ詳述し、実施の形態1と共通するその他の排水ポンプ1の構成については省略する。尚、以下の説明におけるインペラ51の構成要素はすべて一体成形によって形成されている。
図8〜図14に示すように、プラスチック製のインペラ51はその上部中央位置に上記駆動軸9先端が挿入される軸受け部53を備えている。軸受け部53は円筒形形状に構成されその内部には駆動軸9の外形に対応した横断面真円形状のメス孔52が穿設されている。メス孔52は駆動軸9の延長方向に延設されメス孔52の軸線方向中心と駆動軸9の軸心とは一致する。
軸受け部53の下方には下垂部54が形成されている。図8及び図11〜図14に示すように、下垂部54は90度ずつ変位した4本のリブ55が組合わさって横断面十字形状とされ、隣接するリブ55間に外溝56が形成されることとなる。つまり、下垂部54の外周面には90度ずつ変位した位置に縦方向に延びる相互に平行な外溝56が形成されることとなる。各リブ55の先端は横断面扇状に拡開された膨出部57とされている。
これら軸受け部53、各拡開部59、リング部60及び後述する内部スペース部67によって頭部65が構成されている。頭部65は主としてインペラ51の上部位置においてインペラ51の回転によって導入されたドレン水に回転エネルギーを付与する役割を担う。すなわち、各拡開部59を構成する隔壁58はドレン水に直接回転エネルギーを付与する羽根の作用を兼ねる。
これら、下垂部54と各拡開部59とによって取水構造が構成されている。
このように構成されたインペラ51は実施の形態1のインペラ21と同様駆動軸9に固定された状態でハウジング19内周面との間に若干の隙間が形成される。
(1)吸い上げられたドレン水は頭部65に至る際に一対の隔壁58が近接して狭窄した水の通路(拡開部29)に導かれるため乱流やキャビテーションが生じにくくなる。更に、インペラ51上方から導入される外気(空気)は各拡開部59が狭くかつ独立していることから水との接触機会が減り乱流等が少ないことと相まって水と混ざりにくく結果として水中に細かな気泡が発生しにくくなる。そのため低騒音化に寄与する。
(2)下垂部54を経由して吸い上げられたドレン水は外溝56に案内されながら各拡開部59に分岐させられさせられ、なおかつ外溝56と拡開部59は同一延長線上にあるため極めてスムーズにドレン水が移送されることとなるため、その結果として低騒音化に寄与するとともにポンプ効率の向上にも寄与する。
(3)4つの拡開部59は90度の角度で均等に軸受け部53の周りに放射状に配置されているため、下垂部54を経由して吸い上げられたドレン水が均等に分配されやすく、なおかつ頭部65の重量バランスもよくドレン水に速度エネルギーを均一に付与することができる。
・インペラ21,51における拡開部29,59の数や間隔は自由に設定可能である。例えば図16に示すように、拡開部29の間隔を一定ではなく外周ほど先細りにするような構成でも構わない。図16とは逆に拡開部29の間隔を外周ほど広くしてもよい。また、拡開部29を構成する隔壁28の平面形状は直線形状であったが湾曲させてもよい。
・上記各実施の形態では拡開部29,59の間を埋める内部スペース部35,67の底板36,68は封塞されており底板36,68を挟んで上部空間と下部空間は連通していなかった。しかし、上記のように完全に封塞せずに例えば図17及び図16のように底板36に透孔70を形成して上下空間をこの位置で連通させるようにしてもよい。このように透孔70を形成(ここではインペラ21の回転中心寄りに形成)することにより排出されるドレン水の流量を調節することが可能となる。
・上記実施の形態1及び2における排水ポンプ1は一例にすぎず、モータ5の位置や数、ハウジング19の形状等の変更は自由である。
・拡開部29における上部開口部の位置や形状は適宜変更可能である。例えば、図15に示すように実施の形態2のような拡開部29を覆う天板71を形成させるようにしてもよい。この際には天板71の軸受け部23寄り位置には空気取り入れ口としての開口部72(上記実施の形態2では第2の小開口部64に相当)を形成し、上記実施の形態2のように外方寄りにドレン水放出用の上部開口部73(上記実施の形態2では第1の小開口部61に相当)を形成することが好ましい。
・実施の形態2における第1の小開口部61や第2の小開口部64の位置や形状は適宜変更可能である。
・上記実施の形態1では拡開部29と内溝26とが直線状に接続されていたが、これらは連通していれば必ずしも直線状に接続される必要はない。実施の形態2も同様である。 ・インペラ21,51の材質は問わない。
・リング部30,60はなくともよい。
・排水ポンプは空調機以外に装着するようにしてもよい。
・その他、本発明の趣旨を逸脱しない態様で実施することは自由である。
Claims (8)
- モータと、同モータによって駆動される駆動軸に固着され同駆動軸とともに回転可能なインペラと、同インペラが収容されるハウジングとを備え、インペラの回転によって同ハウジング下部に形成された吸水口から水を吸引し、同ハウジング上部側面に形成された吐水口から同水を吐出させるようにした排水ポンプにおいて、
前記インペラは前記吸水口から吐水口へと吸引した水を導く取水通路を備え、同取水通路は前記駆動軸の軸線の延長線上であって前記ハウジングの吸水口に面して配置される下部開口部を有する筒状部と、同筒状部の上部位置に配置され前記駆動軸の軸線から離間する方向に向かって延出される所定間隔を開けて配置された一対の隔壁と同隔壁の下部位置に配置される底板によって包囲された拡開部とから構成され、
同拡開部を前記駆動軸の軸心を中心として放射状に複数配置させるとともに同各拡開部には前記吐水口高さ付近で開口する上部開口部を設け、同各拡開部を構成する底板を同駆動軸寄りにおいて同筒状部と一体化させる一方、同各拡開部を構成する一対の隔壁を同筒状部内周面に連続的に移行させてリブを構成し、同リブによって同筒状部内周面に内溝を形成させるようにしたことを特徴とする排水ポンプ。 - 前記前記筒状部内周面から前記拡開部底面への変移部分は所定の曲率をもって滑らかに構成されていることを特徴とする請求項1に記載の排水ポンプ。
- モータと、同モータによって駆動される駆動軸に固着され同駆動軸とともに回転可能なインペラと、同インペラが収容されるハウジングとを備え、インペラの回転によって同ハウジング下部に形成された吸水口から水を吸引し、同ハウジング上部側面に形成された吐水口から同水を吐出させるようにした排水ポンプにおいて、
前記インペラは前記吸水口から吐水口へと吸引した水を導く取水構造を備え、同取水構造は前記駆動軸の軸線から離間する方向に向かって延出された所定間隔を開けて配置された一対の隔壁に挟持された拡開部と、同拡開部下部かつ同駆動軸の軸線の延長線上であって前記ハウジングの吸水口に面して配置され複数のリブによってその外周面に縦方向に延びる溝が形成された下垂部とから構成され、
同拡開部を前記駆動軸の軸心を中心として放射状に複数配置させるとともに同拡開部には前記吐水口高さ付近で開口する上部開口部を設け、同各拡開部を構成する一対の隔壁を前記溝を構成する前記リブと連続的に接続させ前記溝と拡開部が一体化した外方に開放された外溝を構成するようにしたことを特徴とする排水ポンプ。 - 前記一対の隔壁は平板状に構成されるとともに平行に配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の排水ポンプ。
- 前記各拡開部の外周にはリング体が同各拡開部の外周方向末端と一体的に連結された状態で配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の排水ポンプ。
- 前記拡開部を構成する隔壁の上部は封塞されるとともに、前記駆動軸の軸線寄りが一部開口されていることを特徴とする請求項5に記載の排水ポンプ。
- 前記各拡開部の外周方向末端は前記リング体によって封塞されるとともに前記上部開口部は同リング体によって封塞された箇所に開口することを特徴とする請求項6に記載の排水ポンプ。
- 前記拡開部を構成する隔壁の上部は開放されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の排水ポンプ。
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