JP5892640B2 - 多翼ファンの吸込口に取り付けるチェンバー構造 - Google Patents

Description

この発明は、遠心型多翼ファンの吸込口に取り付け、吸込空気を収集するチェンバー構造に関するものである。

各種の換気装置や送風装置として、渦巻状のケーシング内に環状の羽根車を収納した遠心型多翼ファン（シロッコファン）が用いられている。この多翼ファンの構造として、片吸込型多翼ファンの空気の吸込口に、吸込空気を収集するチェンバー（集合管）を取り付けたものがあり、その構成を図８、９に示す。

図において、多翼ファン１０は、多数の羽根を環状に配設した羽根車１２を、渦巻状のケーシング１１内に収納して形成され、この多翼ファン１０の一方の側面に空気の吸込口が開口している。吸込空気を収集するチェンバー２０は、板金にて中空円盤状に形成され、放射方向に延びる短管で形成した複数本の枝管２１が、適宜のラジアル間隔で周壁に設けられている。そして、吸込口にチェンバー２０を連通して取り付け、多翼ファン１０とチェンバー２０とが連通した状態で一体に組み立てられている。この多翼ファン１０は、運転スイッチの投入でモーター１３が羽根車１２を駆動して回転させ、各枝管２１からチェンバー２０内に空気が流入し、さらに吸込口からケーシング１１内に流入して吐出口１４から吐出し、換気運転や送風運転が行われる。図９中、空気の吸込、吐出を黒塗り矢印で示している。

このように多翼ファンの吸込口に、吸込空気を収集するチェンバーを取り付けた構造において、水平方向からチェンバー２０内に流入した吸込空気が、９０度方向を変えてケーシング１１内に流入し、さらに９０度方向を変えて吐出口１４から吐出する流れとなるため、空気の流れの圧力損失が大きく、性能が損なわれていた。さらに、各枝管２１からチェンバー２０の中央に向かって空気が流入するため、吸込空気は衝突し、さらなる圧力損失の増大、流速の減速、騒音の発生等を招き、多翼ファンの吸込口に取り付けるチェンバー構造の改善が求められていた。

この発明は、これらの課題を解決することを目的とするもので、多翼ファンの吸込口に取り付ける新規なチェンバー構造を提案し、空気の流れの圧力損失を低減し、風量の増大、消費電力の削減、運転の低騒音化等、諸性能の向上を可能としたチェンバー構造を提案することを目的とするものである。

上記の目的を達成するため、請求項１に記載の構成は、渦巻状のケーシング１１内に環状の羽根車１２を収納した多翼ファン１０の吸込口に、放射方向Ａに延びる複数本の枝管２１を、適宜のラジアル間隔で周壁に設けた中空円盤状のチェンバー２０を取り付けるチェンバー構造であって、吸気チェンバー２０の径＞羽根車ケーシング１１の径であり、枝管２１からチェンバー２０内に流入した空気が、羽根車１２と同じ回転方向の渦流を生じるように、放射方向Ａに対して傾斜した水平角度で枝管２１を設けたことを特徴とするものである。

請求項２に記載の構成は、請求項１に記載のチェンバー構造において、チェンバー２０の底面から隆起し、漸次径を狭める錐状の整流体２５を、チェンバー２０の中央に設けるものである。

請求項１に記載の構成によれば、放射方向Ａに対して傾斜した水平角度で、枝管２１をチェンバー２０の周壁に設けたので、各枝管２１からチェンバー２０内に流入した空気が衝突することがなく、吸込空気は渦流を生じ、且つその渦流の回転方向が羽根車１２の回転方向と同じであるので、空気の流れの圧力損失が低減され、羽根車１２の回転負荷の減少により風量の増大を図ることができる。

請求項２に記載の構成によれば、各枝管２１からチェンバー２０内に流入した空気は、同じく羽根車の回転方向と同じ回転方向の渦流を生じ、これが整流体２５の錐面に沿った上昇流となり、螺旋流となって勢いよく上昇し、空気の流れのさらなる圧力損失の低減により、大幅な風量増大が図られる。

以上のように、この発明の多翼ファンの吸込口に取り付けるチェンバー構造は、従来の課題であった空気の流れの圧力損失を低減し、羽根車１２の回転負荷の減少による風量の増大、換言すれば、求められる風量に対して消費電力の削減が可能となり、諸性能の著しい向上が図られる。また、吸込空気の衝突を回避して運転が低騒音化され、各種の換気装置や送風装置に適用して有益である。

この発明の第１実施例で、チェンバーの正面図。 同じく平面図。 この発明の第２実施例で、チェンバーの正面図。 同じく平面図。 整流体の正面図。 同じく平面図。 チェンバーの底面図。 従来例の正面図。 同じく平面図。

以下にこの発明の実施形態について、図面の実施例に基づいて具体的に説明する。

図１、２は、この発明の第１実施例のチェンバー２０を示し、従来例の符号と同一の符号は同じ構成要素である。このチェンバー２０は、板金にて中空円盤状に形成され、短管で形成した複数本の枝管２１が、適宜のラジアル間隔で周壁に設けられている。図２に示すように、各枝管２１は、その軸芯が放射方向Ａに対して角度α傾斜した水平角度で、チェンバー２０の周壁に設けられている。チェンバー２０の上板にダクト２３が形成され、このダクト２３を多翼ファン１０の吸込口に挿通し、多翼ファン１０とチェンバー２０とが連通した状態で一体に組み立てられている。

このチェンバー２０において、運転スイッチの投入で、各枝管２１からチェンバー２０内に流入した空気は、枝管２１が放射方向Ａに対して傾斜した水平角度で設けられているので、図２中の破線矢印で示す回転方向の渦流を生じる。この渦流の回転方向は、図２中の白抜き矢印で示す羽根車の回転方向と同じであり、回転方向の同調により、従来型のチェンバーに対して、空気の流れの圧力損失が大きく低減されている。

図３〜７は、この発明の第２実施例のチェンバー２０を示し、各枝管２１は、前例と同じく放射方向Ａに対して角度α傾斜した水平角度で周壁に設けられ、多翼ファン１０とチェンバー２０とが連通した状態で一体に組み立てられている。

チェンバー２０の中央には、チェンバー２０の底面から隆起し、漸次径を狭める錐状の整流体２５が設けられている。図５、６に示すように、整流体２５は樹脂成形で薄肉に形成され、図７に示すように、チェンバー２０の底板に形成した開口２６の下方から挿通し、裾部２５ａを底板に接合し、頭部はダクト２３内に突出している。

このチェンバー２０において、運転スイッチの投入で、各枝管２１からチェンバー２０内に流入した空気は、前例と同じく羽根車の回転方向と同じ回転方向の渦流を生じ、これが整流体２５の錐面に沿った上昇流となり、図５中の破線矢印に示す螺旋流となって上昇する。この螺旋流は極めて力強い上昇流であり、実験の結果、従来型のチェンバーに対して、４割以上の大幅な風量増大を達成することができた。

１０ 多翼ファン
１１ ケーシング
１２ 羽根車
２０ チェンバー
２１ 枝管
２５ 整流体

Claims (2)

1. 渦巻状のケーシング１１内に環状の羽根車１２を収納した多翼ファン１０の吸込口に、放射方向Ａに延びる複数本の枝管２１を、適宜のラジアル間隔で周壁に設けた中空円盤状のチェンバー２０を取り付けるチェンバー構造であって、
   吸気チェンバー２０の径＞羽根車ケーシング１１の径であり、
   枝管２１からチェンバー２０内に流入した空気が、羽根車１２と同じ回転方向の渦流を生じるように、放射方向Ａに対して傾斜した水平角度で枝管２１を設けたことを特徴とする多翼ファンの吸込口に取り付けるチェンバー構造。
2. チェンバー２０の底面から隆起し、漸次径を狭める錐状の整流体２５を、チェンバー２０の中央に設けた請求項１に記載の多翼ファンの吸込口に取り付けるチェンバー構造。
   

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