JP2005314930A - 回転貫入杭 - Google Patents

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Abstract

【課題】 杭先端の翼部分が効率的に補強され、地盤中への貫入性が高く、支持性能や経済性にも優れた回転貫入杭を提供する。
【解決手段】 回転貫入杭1は、螺旋状に切り欠いた鋼管2の先端に、翼4を溶接したものであり、鋼管2の先端切欠き形状において、翼4の始端部と終端部との間に段差が生じている。この翼4の始端部から終端部の下面にかけて略三角形の補強板5を溶接して段差部分を塞ぐことで、杭1の回転貫入時に段差部分から亀裂等が発生するのを防止する。また、供用時において、この段差部分から土砂が流入するなどして、先端支持力が低下するのを防止する。
【選択図】 図1








Description

本発明は、鋼管の先端部に翼を有し、地盤中に回転させながら貫入することができる翼付き回転貫入杭に関するものである。
従来、回転貫入可能な鋼管杭として、杭の先端または先端部外周に平板状または螺旋状の翼を設けたものが種々開発されている。
例えば、特許文献1には、図5に示すように、鋼管12の先端を螺旋状に切り欠き、鋼管12の外径より大きい径を有するほぼ円形の鋼板からなる螺旋状の翼14を溶接したものが記載されている。
また、特許文献2には、鋼管の先端を螺旋状に切り欠いて、2枚または3枚の扇形状平板からなる翼を取り付けたものが記載されている。
ところで、このような鋼管の先端に翼を取り付けた構造においては、翼の始端部と終端部との間に段差ができ、先端を切り欠いた鋼管のこの段差部分が構造上の弱点となっている。
特に、回転貫入により施工する開端杭では、土を鋼管内に取り込むために翼の不連続部が必要であるが、段差部分で切欠き部が鋭角になっていると、この部分に作用する引裂き力によって鋼管先端が変形したり、亀裂を生ずる恐れがある。
これに対し、特許文献3には、先端の螺旋翼を取り付ける部分を鋼管本体より肉厚の厚い別部材とし、鋼管と嵌合させる構造のものが記載されている。
また、特許文献4には、螺旋翼の始端位置と終端位置を少し離して、その間の切欠き形状を滑らかな円弧状の曲線としたものが記載されている。
特開平09−324420号公報 特開平10−102489号公報 特開平11−241337号公報 特開2001−193063号公報
特許文献3記載の発明の場合、部材数が多くなる他、部材の加工にも手間がかかるという問題がある。
特許文献4記載の発明の場合、鋼管先端の切欠き部の加工や、その切欠き部への螺旋翼の取り付けが面倒である。また、螺旋翼の投影平面において始端位置と終端位置の間に隙間が生ずることから、先端支持力の不足や偏りの問題がある。
本発明は、上述のような背景のもとになされたものであり、杭先端の翼部分が効率的に補強され、地盤中への貫入性が高く、支持性能や経済性にも優れた回転貫入杭を提供することを目的としている。
本願の請求項1に係る回転貫入杭は、鋼管の先端に形成された切欠き部に、外径が前記鋼管の外径より大きい翼が取り付けられている回転貫入杭において、前記切欠き部の前記翼の始端部と前記翼の終端部との間に生ずる段差部分に、前記翼の始端部と前記翼の終端部の下面とをつなぐ連結部が設けられていることを特徴とするものである。
連結部は、段差部分の切欠き形状に合わせた形状のものを補強板として溶接等で、その段差部分を塞ぐように取り付けることで、段差部分における応力集中が回避でき、回転貫入時の地盤から受ける抵抗等によって、段差部分から亀裂が生じたり、鋼管の先端部が変形し、さらに翼が変形したり外れるのを防止することができる。また、あらかじめ連結部が設けられた形状に切り欠き部の形成し、連結部や翼に溝部を形成して鋼管と翼とを取り付けるようにしても良い。
連結部は段差部分と翼の終端部分との接合部分から引き裂かれるのを防止できればよいので、その形状や大きさは特に限定されないが、貫入時の抵抗が小さくなるようにその下縁が翼に向かって傾斜するような形状とするのが好ましい。段差(翼の始端と隣接する翼の終端との距離)の大きさとしては、主に杭の径によって30mm〜200mmなど様々なものが用いられるが、連結部先端の前記段差と平行な部分の長さが前記段差の半分以下となるようにすれば、貫入時に鋼管が受ける土圧の影響が非常に小さくなる。この連結部は、段差部分の切欠き形状に沿うように略三角形にカットした鋼板などを補強板として用いてもよい。また、この連結部は翼の終端部の下面に取り付くので、翼に対する補強効果も得られる。
補強板は小さ過ぎると段差部分における補強効果が十分でない場合もあるが、大き過ぎると回転貫入における抵抗となる。また、開端杭においては、地盤中への回転貫入の際に杭内に土砂が取り込まれるが、大きめの補強板を用いれば、供用時において翼の始端部と翼の終端部との間の段差部分から土砂が流入するを防ぐことができる。
なお、翼はほぼ杭周一周分に相当する一枚の翼を用いる場合に限らず、鋼管の先端に2枚以上の翼が取り付けられる場合もある。その場合、翼の始端部と翼の終端部との間の段差部分も2箇所以上となる。鋼管に取り付けられる翼は、螺旋状、平板状などどのようなものでもよい。
請求項2は、請求項1に係る回転貫入杭において、前記連結部の上部に溝部が形成されており、前記翼の終端部が前記溝部内に差し込まれていることを特徴とするものである。
この請求項2は、先端の切欠き形状において、翼の終端部を差し込むことができる溝を形成し、その下部を連結部として杭の補強に用いる場合を限定したものである。
この場合、溝部分で翼の終端部を仮固定できるなど、溶接等による鋼管先端の切欠き部への翼の取り付け作業が容易となる他、組立ての部品数を減らすことができるというメリットがある。
請求項3は、請求項1または2に係る回転貫入杭において、前記連結部の下縁が、前記鋼管の先端の切欠き部下縁に対し鈍角をなしていることを特徴とするものである。
本発明における連結部の主目的は、翼の始端部と終端部との間にできる段差部分に作用する引裂き力に対処することであり、連結部の下縁と鋼管の先端の切欠き部下縁が鈍角あるいはアール形状をなすようにすることで、亀裂の発生や大きな変形をなくすことができる。
請求項4は、請求項1、2または3に係る回転貫入杭において、前記連結部が、前記鋼管の軸方向について、前記鋼管の外面側または内面側に傾斜していることを特徴とするものである。
請求項5は、請求項1、2、3または4に係る回転貫入杭において、前記連結部が、前記鋼管の周方向について、前記鋼管の外面側または内面側に傾斜していることを特徴とするものである。
連結部は、その面内方向が鋼管の軸方向あるいは鋼管の管壁と平行な場合に限らず、例えば、鋼管の軸方向や周方向に対して−30°〜+30°の範囲で傾斜させることで、土質や地盤条件に応じて、鋼管先端から杭端内部に入る土量を制御することができる。
例えば、連結部を鋼管の管壁より外側に向けた場合、施工時に鋼管内に土を取り込む作用が働き、特に固い地盤の回転貫入性が向上する。
本発明によれば、先端に翼を有する回転貫入杭において、構造上弱点となっていた翼始端と翼終端との間の段差部分が補強板などの連結部によって塞がれていることで、この部分からの亀裂の発生や変形を効果的に抑制することができ、高い構造耐力を得ることができる。また、上記構造により翼取付部の曲げ耐力も向上する。
連結部を翼終端部の下面側に取り付ける構造であるため、翼投影平面での不連続部分をなくすことで、安定した先端支持力が得られる。また、供用時に翼下面の土が鋼管内に移動し難くなり支持力の向上に寄与する。
また、上記補強部分を適当な角度で杭外周に配置すれば回転貫入時に鋼管外周部の土が鋼管内に取り込まれ、硬い地盤へも容易に貫入させることができる。
図1は、本願の請求項1に係る回転貫入杭の一実施形態を示したもので、この例で、回転貫入杭1は、鋼管2の先端を螺旋状に切り欠き、ドーナツ状の鋼板に切れ目を設けてなる翼4を溶接で取り付けたものであり、始端部と終端部との間に切欠き形状がほぼ直角となる段差が生じている。
本発明では、図1(a)、(b)に示すように、この段差部分に、翼4の始端部から終端部の下面にかけて略三角形にカットした鋼板からなる補強板5を溶接で取り付けて、段差部分を塞いでいることで、回転貫入時の杭に作用する力によって段差位置に応力集中が生じ、その部分から亀裂等が発生するのを防ぐことができる。
また、供用時において、この部分から土砂が流入するなどして、先端支持力が低下するのを防止することができる。
本実施形態の場合、翼4を挟んで、補強板5の下縁と鋼管2の先端切欠き部の下縁が大きな鈍角θで交差するため、構造耐力的にも非常に有利な形態となっている。
連結部の形態は略三角形に限らず、例えば図1(c)に示すような台形状の補強板5’を用いることもできる。
図2は、本願の請求項2に係る回転貫入杭の一実施形態を示したものである。図1に示した実施形態では、連結部(補強板5)が単体の部品であるのに対し、この例では、図2(a)、(b)に示すように、鋼管2の先端を切り欠く際に、補強板5に相当する部分5aを残して切り欠き、その上部に切り込んだ溝6部分に、螺旋状の翼4の終端部を差し込んで溶接している。
この場合、溝6部分で翼4の終端部を仮固定でき、翼4の取り付けが容易となり、また、補強板を別途、別部品として製作する必要もなく、その溶接手間も省けるので経済的である。この場合も、補強板に相当する連結部5a’を、図2(c)に示すような台形状としてもよい。
図3は、請求項4に対応する実施形態を示したものである。(a) は補強板5が鋼管2の軸方向について、鋼管2の外面側に角度δ1 で傾斜している場合、(b) は補強板5が鋼管2の軸方向について、鋼管2の内面側に角度δ2 で傾斜している場合である。
これらは、土質や地盤条件に応じて、回転貫入時における鋼管2内への土砂の取り込みやすさあるいは取り込み難さに応じて選択することができる。
なお、傾斜角が大き過ぎると、切欠き部に対する溶接等による固定との関係で、構造的な安定性が損なわれやすくなるので、傾斜角は−30°〜+30°の範囲が望ましい。
図4は、請求項5に対応する実施形態を示したものである。(a) は補強板5が鋼管2の周方向について内面側に傾斜している場合、(b) は補強板5が鋼管2の周方向について外面側に傾斜している場合である。
図4(a)のように補強板5が鋼管2の内面側に傾斜している場合は鋼管2内へ土砂が入り難く、図4(b)のように補強板5が鋼管2の外面側に傾斜している場合は鋼管2内へ土砂が入りやすくなる。
(a) は本願の請求項1に係る回転貫入杭の一実施形態を示す杭先端部の斜視図、(b) は同じく正面図、(c)はその変形例を示す正面図である。 (a) は本願の請求項2に係る回転貫入杭の一実施形態を示す杭先端部の斜視図、(b) は同じく正面図、(c)はその変形例を示す正面図である。 (a) 、(b) は、それぞれ本願の請求項4に係る回転貫入杭の一実施形態を示す杭先端部の縦断面図である。 (a) 、(b) は、それぞれ本願の請求項5に係る回転貫入杭の一実施形態を示す杭先端部の縦断面図である。 従来例(特許文献1)を示す杭先端部の斜視図である。
符号の説明
1…回転貫入杭、2…鋼管、3…切欠き部、4…翼、5,5a…補強板、6…溝

Claims (5)

  1. 鋼管の先端に形成された切欠き部に、外径が前記鋼管の外径より大きい翼が取り付けられている回転貫入杭において、前記切欠き部の前記翼の始端部と前記翼の終端部との間に生ずる段差部分に、前記翼の始端部と前記翼の終端部の下面とをつなぐ連結部が設けられていることを特徴とする回転貫入杭。
  2. 前記連結部の上部に溝部が形成されており、前記翼の終端部が前記溝部内に差し込まれていることを特徴とする請求項1記載の回転貫入杭。
  3. 前記連結部の下縁が、前記鋼管の先端の切欠き部下縁に対し鈍角をなしていることを特徴とする請求項1または2記載の回転貫入杭。
  4. 前記連結部が、前記鋼管の軸方向について、前記鋼管の外面側または内面側に傾斜していることを特徴とする請求項1、2または3記載の回転貫入杭。
  5. 前記連結部が、前記鋼管の周方向について、前記鋼管の外面側または内面側に傾斜していることを特徴とする請求項1、2、3または4記載の回転貫入杭。
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