JP2005314829A - 家蚕および/又は野蚕からなるシルク糸又は生地に藍染めを施した高紫外線遮蔽品並びにその製造方法。 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 家蚕および/又は野蚕からなるシルクに藍染めを施したことより成り、殊に藍染め回数を紫外線遮蔽程度に応じて、1乃至複数回行うことによる、シルク糸又はシルク生地から成るシルク製品およびその製造方法より成る。
【選択図】 図1
Description
本発明者らは、元々家蚕のシルクに紫外線(UV)を吸収する機能があり、さらに野生のサクサンシルクなどにもこの高い機能性が認められることを発表してきた(Akai et al., 1998,1999)。これらシルクとUV吸収との関係の延長として、染色、とくに植物染料によるシルクの染色とUV吸収との関係に着目し、本発明を完成したものである。
その結果、シルクの生地に対して藍染めはUV遮蔽効果が顕著で、染色回数を重ねるほど向上することが判明した。
本発明は、このような従来の問題点を考慮してなされたものであり、充分な紫外線遮蔽力を有し、しかも天然素材を出発物質とすることにより、皮膚への親和性が良好で、人に優しい紫外線遮蔽品を提供することを目的とする。
この発明においては、家蚕や野蚕からなるシルクが本来有する紫外線遮蔽作用に加えて、藍染めによる更なる紫外線遮蔽作用がある。
この発明においては、家蚕や野蚕からなるシルクが本来有する紫外線遮蔽作用に加えて、藍染めによる更なる紫外線遮蔽作用があり、更に尚紫外線遮蔽の程度に応じて藍染めの回数を加減することにより、所望する紫外線遮蔽作用を調整することが出来る。
この発明においては、家蚕や野蚕からなるシルクが本来有する紫外線遮蔽作用に加えて、藍染めによる更なる紫外線遮蔽作用があるシルク糸又はシルク布が得られる。
この発明においては、家蚕や野蚕からなるシルクが本来有する紫外線遮蔽作用に加えて、藍染めによる更なる紫外線遮蔽作用があるスカーフ、カーテン、日傘などのシルク製品が得られる。
この発明においては、家蚕や野蚕からなるシルクが本来有する紫外線遮蔽作用に加えて、藍染めによる更なる紫外線遮蔽作用がある薄地のシルク製品が得られる。これは、本来薄地の生地には厚手のものに比し、UVカット効果が少ないものであるが、本発明においては藍染め効果により薄地の生地・製品のものにもUVカット効果が充分に得られるようにしたものである。
この発明においては、家蚕や野蚕からなるシルクが本来有する紫外線遮蔽作用に加えて、シルク糸又はシルク布への藍染め方法をより具体的にしたので、本発明における藍染め作用によりUVカット効果が充分に得られるようにしたものである。
この発明においては、家蚕や野蚕からなるシルクが本来有する紫外線遮蔽作用に加えて、シルク糸又はシルク布への藍染め方法をより具体的にしたので、本発明における紫外線遮蔽品の製造方法によりUVカット効果が充分に得られるようにしたものである。
尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
本発明の場合には、シルクの微細構造がシルクの微細な繊維で構成され、UVの吸収効果が高いものと考えられる。
yamamai)、クスサン(Caligula japonika)、サクサン(Antheraea pernyi)、エリサン(Samia cynthia ricini)、タサールサン(Antheraea mylitta)、ムガサン(Antheraea assama)、クリキュラ(Cricula trifenestrata)、アタカス(Attacus atlas)などである。これらの産生するシルクは1種であっても良く、また複数種を混合して用いたものでもよい。
以下に、本発明の試験例における材料および方法を詳述する。
試料として用いた家蚕の白生地は、以下の表1に示すように3種、試料A,B,Cを用いた。試料Aは群馬県の碓氷製糸(社)から購入した家蚕糸による普通の白生地で、厚さは0.0773g/3×4cmであった。試料Bは農業生物資源研究所で育成された細繊度品種「はくぎん」の糸で織られたスカ−フ用厚地生地で、厚さは重量で試料Aの57%であった。試料Cは試料Bと同様の「はくぎん」によるスカ−フ用薄地生地で、試料Aと比較し19%の超薄地の生地であった。図1には藍染め終了後の試料AおよびBの生地の拡大写真(倍率×7)で、糸の配列と織目に生じる空所の広さを写真で示したものである。
これらの試料を細切(3〜5cm2 )し、Hitachi,U−4000形自記分光光度計で測定した。
[結果および考察]
生地に対する紫外線遮蔽(UVカット)効果を測定する場合に、特に薄地の場合に織目の空間がUVカットに大きく影響するものと予想される。図1にはスカ−フ用生地の厚地(上図)と薄地(下図)の拡大写真を示した。薄地では空所が大きく(矢印)、厚地では小さく(矢印)、この空所がUVカット効果に大きく作用するものと考えられる。
上記の試料を測定した結果を図2〜4に示す。まず、上記3試料の対照区(無染色)を比較すると、生地の厚さ(重量/面積)の順(図2, 3, 4)にカット効果は上昇している。1例を挙げると、UV領域から離れた波長400では、図2の46.5%に対し図3の57.5%、図4の93.0%のような差が見られる。UV領域のシルクの特性が見られる波長280においても、図2の11.5%に対し図3は12.5%、図4は44.0%となり、生地の厚さは遮蔽効果に大きく影響を及ぼしていることが判る(生地が厚いほど遮蔽効果が高い)。
UVゾ−ンでは、藍染めによるUVカット効果は顕著であり、1〜2回の染色でもその効果は極めて高いといえる。染色回数が増加するにしたがって、徐々にではあるがUVカット効果は向上する。
Claims (7)
- 家蚕および/又は野蚕からなるシルクに藍染めを施したことを特徴とする、紫外線遮蔽品。
- 前記藍染め回数を紫外線遮蔽程度に応じて、1乃至複数回行うことを特徴とする、前記請求項1に記載の紫外線遮蔽品。
- 前記紫外線遮蔽品は、シルク糸又はシルク布であることを特徴とする、前記請求項1又は2に記載の紫外線遮蔽品。
- 前記紫外線遮蔽品は、スカーフ、カーテン、日傘などのシルク製品であることを特徴とする、前記請求項1又は2に記載の紫外線遮蔽品。
- 前記紫外線遮蔽品は、シルクの薄地製品であることを特徴とする、前記請求項1〜4に記載の紫外線遮蔽品。
- 前記藍染めにおける藍染め液は、インディカンを含む藍植物の葉を発酵させて成り、この染料に木灰汁、酒、石灰、ふすまなどの内1以上の成分を加え、再度発酵させ、上記藍染液にてシルク糸又シルク布を1回あたり1〜10分の染色時間をもって1回〜30回染色し、さらに1回あたり1〜10分間空気にさらして発色して成ることを特徴とする、前記請求項1〜5に記載の紫外線遮蔽品。
- 前記藍染めにおける藍染め液は、インディカンを含む藍植物の葉を発酵させて成り、この染料に木灰汁、酒、石灰、ふすまなどの内1以上の成分を加え、再度発酵させ、上記藍染液にてシルク糸又シルク布を1回あたり1〜10分の染色時間をもって1回〜30回染色し、さらに1回あたり1〜10分間空気にさらして発色して成ることを特徴とする、前記請求項1〜6に記載の紫外線遮蔽品の製造方法。
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