JP2005312429A - 浮水構造体 - Google Patents

浮水構造体 Download PDF

Info

Publication number
JP2005312429A
JP2005312429A JP2004304927A JP2004304927A JP2005312429A JP 2005312429 A JP2005312429 A JP 2005312429A JP 2004304927 A JP2004304927 A JP 2004304927A JP 2004304927 A JP2004304927 A JP 2004304927A JP 2005312429 A JP2005312429 A JP 2005312429A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
floating
mooring
floating body
fixed
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004304927A
Other languages
English (en)
Inventor
Takayuki Hara
孝幸 原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
HOYO SANGYO CO Ltd
HOYO SANGYO KK
NET BUSINESS KK
Toyo System Plants Co Ltd
Original Assignee
HOYO SANGYO CO Ltd
HOYO SANGYO KK
NET BUSINESS KK
Toyo System Plants Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by HOYO SANGYO CO Ltd, HOYO SANGYO KK, NET BUSINESS KK, Toyo System Plants Co Ltd filed Critical HOYO SANGYO CO Ltd
Priority to JP2004304927A priority Critical patent/JP2005312429A/ja
Publication of JP2005312429A publication Critical patent/JP2005312429A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A40/00Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production
    • Y02A40/80Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production in fisheries management
    • Y02A40/81Aquaculture, e.g. of fish
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P60/00Technologies relating to agriculture, livestock or agroalimentary industries
    • Y02P60/60Fishing; Aquaculture; Aquafarming

Landscapes

  • Artificial Fish Reefs (AREA)
  • Hydroponics (AREA)

Abstract

【課題】本発明は、岸辺の定位置に安定して係留させることができるとともに、増水や渇水等によって水位の変化が生じても常に水面に浮上させることができ、人が河川等に転落した際に辿り着けば増水時でも救助具にすることができ安全性に優れ、また殺風景なコンクリート護岸や鋼矢板護岸等に浮島状の構造物を提供し水辺の景観を改善でき、また既設の堤防や護岸工等に容易に設置することができ大掛りな施工が不要で施工性に優れ、さらに微生物膜を形成させることで水中の有機物を分解することができ水質浄化を図ることができる環境保全性に優れる浮水構造体を提供することを目的とする。
【解決手段】岸辺の陸上部から水底に向かって配設され一端側が前記陸上部に固定される係留部材と、水面に浮上する浮体と、前記浮体に配設又は形成され前記係留部材が遊貫される遊貫部と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、湖沼等の閉鎖系水域、河川、用水路、ダム,調整池,貯水池、港湾等の岸辺の水面に浮揚する浮水構造体に関するものである。
従来より、湖沼等の閉鎖系水域、河川、用水路、ダム,調整池,貯水池、港湾等の護岸のため、岸辺の法面等の全面をコンクリートで一様に覆ってしまうコンクリート張工や、ブロック、石、蛇籠、矢板等を配設する方法が用いられている。
しかしながら、コンクリート張工や矢板等を用いた護岸では、壁面に凹凸が少ないので、人が河川等に転落した際に捉まる手掛かりがなく、岸に辿り着いても陸に上がることが困難で、溺れる可能性が高く安全性に欠けるという問題があった。また、生態系をほとんど考慮していないため、植物が生え難いことが多く岸辺の緑化が困難で、昆虫や水中の微生物等も住み難いため自然の生態系を損ない、これらの生態系による水質の浄化が困難であるという問題があった。
そこで、近年、河川等の岸辺に植物が生育し易い環境を作るとともに、水質の浄化を図るための技術が開発されている。
従来の技術としては、例えば(特許文献1)に「植物の種を仕込んだブロックと、レキ,石等を詰めた籠体を河川の岸辺に敷設することを特徴とする河川岸辺の緑化構造」が開示されている。
(特許文献2)に「とも綱を用いてイカダを水上に係留し、該イカダに陸生植物を植生し根下部を水中に浸漬させながら陸生植物を水上定置栽培する水上緑化兼水質浄化法」が開示されている。
特開平7−26533号公報 特開平6−178626号公報
しかしながら上記従来の技術においては、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)に開示の技術は、河川の岸辺に植物の種を仕込んだブロックと、レキ,石等を詰めた籠体を敷設するので、ブロックから生える植物の根がレキや石の間に伸び、富栄養化の原因となるリン,窒素,硫黄等の無機イオンを根から吸収することができるので、水質浄化を図るとともに植物を生育することができる。しかし、河川の岸辺に籠体を敷設するため水路を狭めることになり、河川の増水時に流量が制限され洪水を引き起こす原因となったり、籠体が下流に流されたりするおそれがあるという課題を有していた。
(2)また、増水時や洪水時に籠体が水を被り、上流から運ばれてきた土砂が堆積して植物が土砂に埋没したり、植物が流されてしまうという課題を有していた。
(3)(特許文献2)に開示の技術は、とも綱を用いてイカダを水上に係留するので、とも綱の長さだけイカダは岸辺から離れて浮遊するため、とも綱の長さをイカダを係留可能な最少の長さにする必要がある。そのため、水位の変化に対応できず、渇水時には、イカダに植生された植物の根下部が着水せずに植物が枯れてしまうことがあり、増水時には、水を被り土砂が堆積して植物が土砂に埋没することがあるという課題を有していた。
(4)河川の中央部は流速が速く、特に増水時には顕著になるため、とも綱の長さだけ岸辺から離れて浮遊するイカダは水の大きな抵抗を受け、とも綱だけで安定に岸辺に係留しておくことが困難であるという課題を有していた。
(5)(特許文献1)、(特許文献2)に開示の技術では、増水時には籠体やイカダが水を被ってしまうため、増水時に人が河川に転落した際に籠体やイカダに辿り着いても救助具とならず、流され溺れてしまう可能性が高く安全性に欠けるという課題を有していた。
本発明は上記従来の課題を解決するもので、岸辺の定位置に安定して係留させることができるとともに、増水や渇水等によって水位の変化が生じても常に水面に浮上させることができ、人が河川等に転落した際に浮体に辿り着けば救助具にすることができ安全性に優れ、また河川等の水路を狭めることがなく河川の増水時にも洪水を引き起こす原因とならず安全性に優れ、また殺風景なコンクリート護岸や鋼矢板護岸等に浮島状の構造物を提供し水辺の景観を改善でき、また既設の堤防や護岸工等に容易に設置することができ大掛りな施工が不要で施工性に優れ、さらに微生物膜を形成させることで水中の有機物を分解することができ水質浄化を図ることができる環境保全性に優れる浮水構造体を提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために本発明の浮水構造体は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の浮水構造体は、岸辺の陸上部から水底に向かって配設され一端側が前記陸上部に固定される係留部材と、水面に浮上する浮体と、前記浮体に配設又は形成され前記係留部材が遊貫される遊貫部と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)岸辺の陸上部から水底に向かって配設され一端側が陸上部に固定される係留部材と、水面に浮上する浮体と、浮体に配設又は形成され係留部材が遊貫される遊貫部と、を備えているので、浮体を岸辺の定位置に係留させることができるとともに、増水や渇水等によって水位の変化が生じても常に水面に浮上させることができる。これにより、人が河川等に転落した際に浮体に辿り着けば増水時でも水没しないので救助具にすることができ安全性に優れる。
(2)また、浮体を常に岸辺に配置できるとともに水面に常に浮上させることができるので、河川等の水路を狭めることがなく、河川の増水時にも洪水を引き起こす原因とならず、また浮体が係留されているので、下流に流されるおそれがなく定置性に優れる。
(3)係留部材は一端側が陸上部に固定され、該係留部材に浮体が係留されるので、既設の堤防や護岸工等に容易に浮体を設置することができ、大掛りな施工が不要で施工性に優れる。
(4)係留部材を備えているので、浮体が岸辺から離れず、河川の増水時でも安定に岸辺に係留しておくことができ安定性に優れる。
ここで、浮体としては、全体の比重が1未満に形成され水面に浮上するように形成されたものが用いられる。例えば、独立気泡を有する発泡スチロール,発泡ウレタン等の合成樹脂で形成された構造体、木材や竹材等で形成された構造体、浮き輪やブイ等のように合成樹脂製や金属製の薄板等で中空袋状に形成され内部に空気等のガスが封入された構造体、合成樹脂等で形成された多数の小室内に空気等のガスを封入したシート状や板状等に形成された構造体、多数の孔部が形成された合成樹脂製等の孔あきシートで形成された収容部,合成樹脂製や金属製等で形成された網状体やジオテキスタイルで袋状や籠状等に形成された収容部に軽石,膨張石,発泡スチロール,発泡ウレタン等の軽量の塊状体を収容した構造体、軽量コンクリート等の内部に軽石,膨張石,発泡スチロール,発泡ウレタン等を埋設した構造体等が用いられる。これらは、全体の比重が0.1以上1未満になるように1種又は複数種を組み合わせたものを用いることができる。
なお、浮体の比重が0.1より小さくなると、浮体が水上に露出する部分が大きく水面下の部分が少なくなり、人が河川等に転落した際に浮体を手掛かりとして這い上がるのが困難になるとともに、浮体を利用して水の浄化を行うのに水との接触面積が少なく浄化効率が低下する傾向がみられ、比重が1以上になると水没してしまうため、いずれも好ましくない。
係留部材としては、ワイヤ,ピアノ線,ステンレス鋼線等の鋼線、チェーン、ロープ、鉄筋、棒鋼、H型鋼,I型鋼,L型鋼等の鋼材製、帯鋼製、ステンレス管等の管材等で形成されたものが用いられる。これらの係留部材は断面積が小さく岸辺に沿って配設されるので、河川等の場合に流水の抵抗が小さく流され難いため、浮体を安定に係留させることができる。
係留部材の一端部側は、岸辺の陸上部の堤防等のコンクリート、ブロック、石等にアンカーボルト、アンカースクリュー等を用いて定着固定させることができる。シャックル等の係止部材やチェーン等の連繋部材等を介して固定させることもできる。また、モルタルやアスファルト等を用いて堤防等の表面に係留部材の一端部を埋設し固定したり、接着剤等を用いて接着固定することができる。また、岸辺の陸上部の蛇籠や鋼矢板等の金属部分に溶接等によって固定することができる。また、岸辺の陸上部の堤防等のコンクリート、ブロック、石、蛇籠や鋼矢板等の所定部に、必要に応じて貫通孔を形成して、ロープ等の線条体からなる係留部材を貫通孔に貫設して緊縛若しくは係止したり、線条体を用いて係留部材を緊縛等して固定することができる。また、堤防等のコンクリート、ブロック、石、蛇籠や鋼矢板等の所定部に金属製等の固定補助部材を配設し、若しくはモルタルやアスファルト等を用いて埋設し固定し、該固定補助部材に溶接等で係留部材を固定させたり、シャックル等の係止部材等を介して固定させたりすることができる。
水中若しくは水底に位置する係留部材の他端部は、コンクリートブロックや鋼製アンカー等の沈錘を連結して水底に固定させることができる。また、水底にコンクリートが張られておらず砂,泥等の場合には、水底に埋設して定着させることもできる。また、水辺に金属製の鋼矢板護岸等が配設された場合には、係留部材の他端部を鋼矢板等の壁部に直接水中溶接して固定したり、鋼矢板等に水中溶接して固定したシャックル等の固定部材に係留部材を連繋して固定したりできる。
なお、係留部材を硬質の鉄筋,棒鋼,鋼材等で形成した場合には、係留部材の他端部に沈錘を連結して定着したり埋設して定着しなくてもよい。岸辺の陸上部に係留部材の一端側を強固に定着固定しておくことで、係留部材を岸辺に配設固定できるからである。
遊貫部としては、浮体の側面等の所定部に配設され係留部材が遊貫される環状部材や筒状部材等で形成されたもの、係留部材が遊貫できるような径でロープ,ワイヤ,チェーン等を環状に形成したもの、浮体の所定部に穿設又は一体に形成され係留部材が遊貫される孔部等が用いられる。
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の浮水構造体であって、前記係留部材の他端部を水底に埋設固定する若しくは水中の壁部の所定部に固定する係留部材定着部を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)係留部材の他端部を水底に埋設固定する若しくは水中の壁部の所定部に固定する係留部材定着部を備えているので、一端側が陸上部に固定された係留部材の他端部を水底や壁部に固定させることができ、水底が砂,泥等の河川等であって水流で水底が削られることがあっても、係留部材を岸辺に安定に固定することができ、これにより浮体も定位置に浮上させておくことができる。
(2)重量の大きなコンクリートブロックや鋼製アンカー等の沈錘を用いることなく係留部材を水底や壁部に固定できるので、レッカ車等を用いて容易に浮体を設置することができ、大掛りな施工が不要で施工性に優れる。
係留部材の他端部を水底に埋設固定する係留部材定着部としては、板状,棒状,螺旋状等に形成され係留部材の他端部に連結された杭、アンカー等を用いることができる。
なお、係留部材が硬質の鉄筋,棒鋼等で形成されている場合には、係留部材の他端部を水底に打ち込んで係留部材定着部として用いることもできる。
係留部材の他端部を水中の壁部の所定部に固定する係留部材定着部としては、係留部材の他端部を水中溶接等で金属製の鋼矢板等で形成された壁部に直接固定するもの、金属製の鋼矢板等で形成された壁部にシャクル等の係留部材定着部を水中溶接等で固定してチェーン等で形成された係留部材を連結するもの等が用いられる。
これらのうち、係留部材の他端部を水底に埋設固定する係留部材定着部が好適に用いられる。水中溶接等の大掛りな設備や水中作業等を要さず、地上で行う作業だけで係留部材定着部を埋設固定でき作業性に優れるからである。
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の浮水構造体であって、前記浮体より下方の水中の前記係留部材に配設される水中部材を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1又は2で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)河川等に転落した人が浮体に辿り着いて浮体の上に乗った時に、人の重量で浮体が水中に一旦沈むことがある。渇水時等であって係留部材の他端部が定着されておらず開放されている場合には、浮体が深く沈んだときに浮体が係留部材の他端部から抜け、岸辺から離れてしまうことがあるが、浮体より下方の水中の係留部材に配設される水中部材を備えているので、水中部材が、浮体が係留部材の他端部まで沈んで抜けるのを防止し、安全な救助具として用いることができ安全性に優れる。
(2)水中部材の表面に微生物膜が形成されるので、水中の有機物を分解することができ水質浄化を図ることができる。
ここで、水中部材としては、発泡スチロール,発泡ウレタン等の合成樹脂で形成された構造体、木材や竹材等で形成された構造体、浮き輪やブイ等のように合成樹脂製や金属製の薄板等で中空袋状に形成され内部に空気等のガスが封入された構造体、合成樹脂等で形成された多数の小室内に空気等のガスを封入したシート状や板状等に形成された構造体、多数の孔部が形成された合成樹脂製等の孔あきシートで形成された収容部,合成樹脂製や金属製等で形成された網状体やジオテキスタイルで袋状や籠状等に形成された収容部に軽石,膨張石,発泡スチロール,発泡ウレタン等の軽量の塊状体を収容した構造体、軽量コンクリート等の内部に軽石,膨張石,発泡スチロール,発泡ウレタン等を埋設した構造体等が用いられる。
水中部材は、水中の係留部材の所定箇所に配設固定したり、全体の比重を1付近に調整して係留部材に沿って水中を移動自在に配設することができる。
係留部材に沿って水中を移動自在に配設する場合は、請求項1で説明したのと同様の遊貫部を水中部材に配設又は形成し、係留部材が遊貫部に遊貫される。水中部材の遊貫部は、水中部材の側面等の所定部に配設され係留部材が遊貫される環状部材や筒状部材等で形成されたもの、係留部材が遊貫できるような径でロープ,ワイヤ,チェーン等を環状に形成したもの、水中部材の所定部に穿設又は一体に形成され係留部材が遊貫される孔部等が用いられる。
水中部材を係留部材の所定箇所に配設固定する場合は、渇水時等の最低水位より下方位置に固定するのが好ましい。浮体は水面に浮いて水位の変化につれて変位するので、水中部材が渇水時等の最低水位より下方位置に固定されていれば、渇水時でも浮体を着水させることができるからである。また、水中部材は渇水時等の最低水位より下方位置であって、水底から所定距離だけ離れた位置に配設固定するのが好ましい。水底近くは泥やヘドロ等で水中部材が埋もれてしまう可能性が高いからである。そのため、水中部材は、全体の比重を1付近に調整して係留部材に沿って水中を移動自在に配設するようにするのが好ましい。なお、水中部材を係留部材の所定箇所に配設固定する場合は、水中部材はどのような比重のものでも用いることができる。
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の内いずれか1に記載の浮水構造体であって、前記浮体及び/又は前記水中部材が、(a)通水性を有する通水部材で形成された収容部と、前記収容部に収容された多孔質体及び/又は繊維状体と、を備えている、又は、(b)通水性を有する通水部材でロール状に形成されたロール部を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1乃至3の内いずれか1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)浮体や水中部材が、通水性を有する収容部と、収容部に収容された多孔質体や繊維状体と、を備えているので、水に浸漬された多孔質体の表面に形成された無数の細孔や繊維状体の隙間に微生物が付着し、多孔質体や繊維状体の表面に微生物膜が形成されるので、微生物膜で水中の有機物を分解することができ水質浄化を図ることができる。
(2)多孔質体や繊維状体を備えた浮体及びロール部を備えた浮体が、水面下で微生物,原生動物,小魚類,貝類等の棲家となり、水上部ではそれらを餌にする鳥類等の棲家ともなるので、食物連鎖が形成され水質浄化を図ることができる。
通水部材としては、合成樹脂製や金属製等の網状体、孔部が1以上形成された合成樹脂製のシート、合成樹脂製等の繊維で形成された織布,不織布等のジオテキスタイルや布状体等の通水性を有するものが用いられる。
収容部としては、上記の通水部材を用いて袋状や籠状等に形成したものが用いられる。また、内部に収容される繊維状体の外側から繊維状体の外形を保持するように巻装するロープやワイヤ等を用いることもできる。
ロール部としては、上記の通水部材をロール状に巻いて略円筒状に形成されたものが用いられる。
多孔質体としては、木炭,竹炭,活性炭等の炭材、牡蠣殻等の貝殻,サンゴ等の天然物、軽石、鉱滓スラグ、ガラス粉体を加熱して発泡させたガラス発泡体等の無機発泡体、発泡ウレタン等の合成樹脂製発泡体等が用いられる。粒径が小さい多孔質体を用いる場合は、通水部材で形成した袋状体等に充填し所定の大きさの小袋を作成し、これを収容部に収容してもよい。
多孔質体や、多孔質体を充填した小袋は、収容部材の網目や孔部から流出しないように、網目や孔部の大きさよりも大きなものが用いられる。
ガラス発泡体等の無機発泡体や発泡ウレタン等の合成樹脂製発泡体は、縦横の長さが2〜15cm、厚さが2〜10cm程度の大きさの塊状体に形成できるので、好適に用いられる。このような塊状体は、収容部内に収容された塊状体間に大きな間隙が形成されるので、この間隙が毛管現象による水の浸入を阻止する。即ち、収容部内の下部の多孔質体が水に浸漬していても、収容部内の上部の多孔質体にまで毛管現象によって水が浸入する量は僅かであるため、収容部内の上部の多孔質体の間隙に陸生植物を植栽した場合にも、陸生植物の根部に十分な通気性を保つことができ枯れ難いため、微生物が有機物を分解して生成された窒素,リン等の栄養塩類を陸生植物が吸収するので、水中からアオコ等の発生原因となる栄養塩類を除去することができる。
なお、合成発泡体の粒径が2cmより小さくなるにつれ毛管現象による水の浸入が顕著になる傾向がみられ、15cmより大きくなると表面積が小さくなり浄化作用が低下する傾向がみられるため、好ましくない。
繊維状体としては、ヤシ繊維等の植物繊維,ガラス長繊維等の無機繊維,合成樹脂繊維等でマット状やシート状等に形成されたものが用いられる。
なお、浮体として用いる場合、多孔質体や繊維状体が収容された収容部の比重が1以上になるときは、独立気泡を有する発泡スチロール,発泡ウレタン等の合成樹脂で形成された構造体、浮き輪等のように合成樹脂製や金属製の薄板等で中空袋状に形成され内部に空気等のガスが封入された構造体、合成樹脂等で形成された多数の小室内に空気等のガスを封入したシート状や板状等に形成された構造体等を用いて、浮体の全体で比重が1未満になるように調整する。
水中部材として用いる場合、係留部材に沿って水中を移動自在に配設するときは、上述と同様にして全体の比重を1付近に調整する。
本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の内いずれか1に記載の浮水構造体であって、前記多孔質体が、ガラス粉体を加熱して発泡させたガラス発泡体である構成を有している。
この構成により、請求項1乃至4の内いずれか1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)多孔質体がガラス粉体を加熱して発泡させたガラス発泡体なので、機械的強度が高く壊れ難いため耐久性に優れるとともに耐候性に優れる。
(2)工業的に生産できるため表面に形成される気泡径や比重、平均粒径等を最適の範囲に調整することができ自在性に優れる。
(3)ガラス発泡体はコンクリート材と比べて機械的強度が低いので、河口等に設置された場合に、藻類が着生したガラス発泡体の表面が波や水流等の外力によって長い間に少しずつ崩れ藻類が未着生の新たな表面を形成することができ、浮体や水中部材が長期間に亘って藻場育成資材としての役割を果たすことができる。コンクリート材は機械的強度が高く新たな表面を形成することがないので、コンクリート材の全面に藻類が着生した後、下面側の藻類が死滅してしまうことがあり長期間に亘って藻場育成資材として機能しないことがあるからである。
ここで、ガラス発泡体としては、所定の形状に成形したガラス粉体を加熱して発泡させることにより製造されるものが用いられる。ガラス粉体として、薬品用びん,化粧品用びん,食料調味料用びん,飲料用びん等のガラスびん、板ガラス、窓ガラス、テレビやディスプレイのガラスパネル等の廃棄物、ガラス製品工場から発生するスクラップ等の廃ガラスを粉砕したものを用いると、廃棄物の再資源化を図ることができ省資源性に優れ好ましい。また、薬品用びん,化粧品用びん,食料調味料用びん,飲料用びん等のガラスびんを用いたガラス発泡体は、有害物質の溶出がなく環境保全性にも優れるため好ましい。また、所定の温度に達すると分解して気体を発生する発泡剤を混合したガラス粉体を用いると、発泡剤が分解することによって容易にガラス発泡体が得られるため好ましい。
発泡剤としては、炭酸カルシウム,ドロマイト等の金属炭酸塩、窒化珪素等の金属窒化物、炭化珪素等の金属炭化物等を用いることができる。なかでも、発泡剤として、牡蠣,帆立貝,赤貝,ハマグリ,アサリ,アワビ,サザエ,シジミ,カラスガイ,ドブガイ等の貝殻を粉砕した貝殻粉体を用いると、廃棄物の再資源化を図ることができ省資源性に優れ好ましい。また、以下のような作用が得られる。
(1)貝殻粉体の主成分は炭酸カルシウムであるが、マグネシウムやそれ以外の成分も含有しており全てが熱分解しないので、基体内に貝殻残渣が分散して存在する。このため、加熱されて形成されたガラス発泡体を用いると、貝殻残渣等からカルシウム、マグネシウム等が水中に溶出する。これにより、水に溶解しているリン酸が、溶出したカルシウムとの反応やガラス発泡体内のカルシウム分に吸着されてリン酸カルシウム(不溶性)になり水質の改善を行うことができる。また、表面の細孔に藻類の生殖胞子や幼胚が付着し易く藻類が着生し易いとともに、貝殻残渣から溶出したカルシウム、マグネシウム等によって貝類や藻類等の成育を促進することができ、藻場や漁礁として最適である。
(2)貝殻粉体を発泡剤として用いたガラス発泡体は、アンモニア性窒素及びリン酸態リンの吸着効果に優れるため、表面に形成される微生物膜が有機物を窒素,リン等の栄養塩類に分解し、ガラス発泡体にこれらの栄養塩類を吸着させることができ水質の浄化効果に優れる。
(3)貝殻粉体とガラス粉体の粒径を調整することで、ガラス発泡体の比重を0.3程度から1以上にすることができるため、浮体の比重を容易に1未満に調整することができ、水面に浮上させることができる。また、水中部材の比重を1付近に調整することができ、水中の係留部材に沿って移動自在にすることができる。
なお、水中部材として用いる場合、炭素鋼、鋳鉄等の鉄製で形成された1乃至複数個の鉄製小片を、収容部にガラス発泡体とともに収容させたり、水中部材の1乃至複数箇所に配設固定しておくのが好ましい。藻類の育成に有用とされる鉄イオンが鉄製小片から溶出するので、ガラス発泡体等に着生した藻類の育成を促進させることができるからである。なお、鉄製小片としては廃材を用いることもできる。これにより、廃材の有効利用を図ることができる。
また、間伐材等の木材を収容部内に収容させたり、水中部材の所定箇所に配設することもできる。これにより、ガラス発泡体と同様に藻類を着生させることができる。なかでも、間伐材を用いると廃材を資源として有効利用でき省資源性に優れる。
本発明の請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5の内いずれか1に記載の浮水構造体であって、前記浮体の上部に植物用培地が配設若しくは形成された構成を有している。
この構成により、請求項1乃至5の内いずれか1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)浮体に植物用培地が配設若しくは形成されているので、植物用培地に植物が生えると、微生物が有機物を分解して生成された窒素,リン等の栄養塩類を植物が根から吸収するので、水中からアオコ等の発生原因となる栄養塩類を除去することができ水質を浄化することができる。
(2)浮体に定着した微生物が有機物を分解して生成された窒素,リン等の栄養塩類を植物が吸収して成長が促進され、また植物によって岸辺の景観を整えることができる。
(3)植物用培地に生えた植物は、浮体が水面に常に浮上しているため、土砂を被ったり土砂に埋没することなく成長できる。
(4)浮体の外側に成長した植物の根部の周囲が微生物、原生動物、小動物、貝類等の棲家となり、これらの微生物、原生動物等によって水質浄化を図ることができる。
ここで、植物用培地としては、ピートモス,バーミキュライト,ガラス発泡体等の粒状や塊状等の培地、ロックウール成形品,ポリエステルブロック,発泡尿素樹脂,植物繊維,無機繊維等のブロック状やマット状等に形成された培地を用いることができる。粒状や塊状の培地を用いる場合は、多数の孔部が形成された合成樹脂製等の孔あきシートやジオテキスタイル等で形成された袋状体に収容し、この袋状体を浮体の上部に配設固定させることができる。ブロック状やマット状等の培地を用いる場合は、浮体の上部に直接配設固定できる。
なお、浮体が、請求項4に記載したように、収容部に収容された多孔質体及び/又は繊維状体を備えている場合には、浮体の上部に位置する多孔質体や繊維状体を植物用培地として用いて、浮体の上部に植物用培地を形成することができる。
植物としては、ジュズダマ,シュロガヤック,イグサ,カラー,ケナフ,ハナカンナ等の種々の陸生植物、アシ,コウホネ,ガマ等の水生植物を用いることができ、植物用培地に自然に生えたものを利用することができる。また、ある程度成長させた植物を植物用培地に直接植栽したり、植物用培地に植物の種子を蒔いたり地下茎を植え付けたりすることもできる。
以上のように、本発明の浮水構造体によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、
(1)浮体を岸辺の定位置に係留させることができるとともに、増水や渇水等によって水位の変化が生じても常に水面に浮上させることができるため、人が河川等に転落した際に浮体に辿り着けば救助具にすることができ安全性に優れた浮水構造体を提供することができる。
(2)浮体を常に水面に浮上させることができるので、河川等の水路を狭めることがなく、河川の増水時にも洪水を引き起こす原因とならず、また浮体が係留されているので、下流に流されるおそれがなく定置性に優れた浮水構造体を提供することができる。
(3)係留部材は一端側が陸上部に固定され、該係留部材に浮体が係留されるので、既設の堤防や護岸工等に容易に浮体を設置することができ、大掛りな施工が不要で施工性に優れた浮水構造体を提供することができる。
(4)係留部材を備えているので、浮体が岸辺から離れず、河川の増水時でも安定に岸辺に係留しておくことができ安定性に優れた浮水構造体を提供することができる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、
(1)一端側が陸上部に固定された係留部材の他端部を水底や壁部に固定させることができ、水底が砂,泥等の河川等であって水流で水底が削られることがあっても、係留部材を岸辺に安定に固定することができ、これにより浮体も定位置に浮上させておくことができ定置性に優れた浮水構造体を提供することができる。
(2)重量の大きなコンクリートブロックや鋼製アンカー等の沈錘を用いることなく係留部材を水底や壁部に固定できるので、レッカ車等を用いて容易に浮体を設置することができ、大掛りな施工が不要で施工性に優れた浮水構造体を提供することができる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加え、
(1)水中部材が、浮体が係留部材の他端部まで沈んで抜けるのを防止し、安全な救助具として用いることができ安全性に優れた浮体構造物を提供することができる。
(2)水中部材の表面に微生物膜が形成されるので、水中の有機物を分解することができ水質浄化を図ることができ水質浄化性に優れた浮水構造体を提供することができる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3の内いずれか1の効果に加え、
(1)水に浸漬された多孔質体の表面に形成された無数の細孔や繊維状体の隙間に微生物が付着し、多孔質体や繊維状体の表面に微生物膜が形成されるので、微生物膜で水中の有機物を分解することができ水質浄化性に優れた浮水構造体を提供することができる。
(2)多孔質体や繊維状体を備えた浮体及びロール部を備えた浮体が、水面下で微生物,原生動物,小魚類,貝類等の棲家となり、水上部ではそれらを餌にする鳥類等の棲家ともなるので、食物連鎖が形成され水質浄化性に優れた浮水構造体を提供することができる。
請求項5に記載の発明によれば、請求項4の効果に加え、
(1)多孔質体がガラス粉体を加熱して発泡させたガラス発泡体なので、機械的強度が高く壊れ難いため耐久性に優れるとともに耐候性に優れた浮水構造体を提供することができる。
(2)工業的に生産できるため表面に形成される気泡径や比重、平均粒径等を最適の範囲に調整することができ自在性に優れた浮水構造体を提供することができる。
(3)河口等に設置された場合に、藻類が着生したガラス発泡体の表面が波や水流等の外力によって長い間に少しずつ崩れ藻類が未着生の新たな表面を形成することができ、浮体や水中部材が長期間に亘って藻場育成資材としての役割を果たすことができる浮水構造体を提供することができる。
請求項6に記載の発明によれば、請求項1乃至5の内いずれか1の効果に加え、
(1)浮体に植物用培地が配設若しくは形成されているので、植物用培地に植物が生えると、微生物が有機物を分解して生成された窒素,リン等の栄養塩類を植物が根から吸収するので、水中からアオコ等の発生原因となる栄養塩類を除去することができ水質を浄化することができ水質浄化性に優れた浮水構造体を提供することができる。
(2)浮体に定着した微生物が有機物を分解して生成された窒素,リン等の栄養塩類を植物が吸収して成長が促進され、また植物によって岸辺の景観を整えることができ景観性に優れた浮水構造体を提供することができる。
(3)植物用培地に生えた植物は、浮体が水面に常に浮上しているため、土砂を被ったり土砂に埋没することなく成長できる水質浄化性に優れた浮水構造体を提供することができる。
(4)浮体の外側に成長した植物の根部の周囲が微生物、原生動物、小動物、貝類等の棲家となり、これらの微生物、原生動物等によって水質浄化性に優れた浮水構造体を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における浮水構造体を設置した岸辺の状態を示す一部断面斜視図であり、図2は実施の形態1における浮水構造体を設置した岸辺の模式断面図であり、図3(a)は実施の形態1における浮水構造体の係留部材定着部の側面図であり、図3(b)は係留部材定着部の底面図である。
図1、図2において、1は実施の形態1における浮水構造体、100は湖沼等の閉鎖系水域、河川、用水路、ダム,調整池,貯水池等の岸辺に構築された堤防、101は堤防100の表法に施工されたコンクリート製のブロック、102は河川等の水底、103は河川等の水面、104は岸辺の水面103の上方の陸上部、2は堤防100の天端近傍の陸上部104のブロック101に定着されたアンカー、3はアンカー2の先端にナット等で固着されたアイボルト等の連結部、4は連結部3にシャックル等で一端部が連結され水底に向かって配設されたチェーンからなる係留部材、5は係留部材4の他端部に連結され水底102に埋設固定された係留部材定着部、6は浮体、7は合成樹脂製や金属製等の網状体からなる通水部材で円筒状の籠状に形成された浮体6の収容部、8は収容部7に収容された塊状のガラス発泡体等の多孔質体、9は収容部7の外周に環装された帯状体、10は帯状体9の両端部に貫装された締結具、11は締結具10及び係留部材4が遊貫されたシャックル等の遊貫部、12は浮体6の上部に形成された植物用培地であり、収容部7に収容された多孔質体8の上部の多孔質体8の間隙に植物の根部が装着され植栽されている。
図3において、5は係留部材定着部、20は埋設される深さよりも長い鉄筋等で形成された係留部材定着部5の軸部、21は軸部20の一端部に形成され係留部材4が連結される定着部連結部、22は軸部21の他端部寄りに固着された螺旋羽根であり、金属製の円板23の中心に軸部20を挿通可能な孔部24を形成し円板23の外周から孔部24に渡って形成された切れ目部25で捻じって形成したものである。螺旋羽根22の切れ目部25で形成されたリード角αは15〜25°に形成されている。
ここで、本実施の形態においては、多孔質体8は、貝殻粉体を発泡剤として用いたトヨシステムプラント社製のガラス発泡体を使用している。このガラス発泡体は、比重が0.3〜0.8に調整されており、浮体6の全体の比重は1未満になるように調整されている。
以上のように構成された本発明の実施の形態1における浮水構造体について、以下その施工方法を説明する。
円筒状の籠状に形成された収容体7に多孔質体8を収容した浮体6を、堤防100に運搬する。浮体6の収容体7の外周には帯状体9を環装し、帯状体9の両端部に締結具10を貫装し、締結具10に遊貫部11を装着する。浮体6の収容部7に収容された多孔質体8からなる植物用培地12には植物の根部を装着して植栽する。
次に、堤防100の陸上部104の天端近傍のブロック101に削孔した後、削孔したブロック101にアンカー2を打ち込み定着させる。必要に応じてアンカー2の周囲にモルタルを充填することもできる。次に、アンカー2の先端に連結部3をナット等によって固着する。
次に、係留部材4の端部に係留部材定着部5の定着部連結部21をシャックル等を用いて連結した後、係留部材定着部5の定着部連結部21を図示しない棒状部材の一端で挟持するか係止し、該棒状部材の他端を掴んで堤防100の上から所定の方向へ回転させることにより、螺旋羽根22をリード角αを利用して水底102に約1m以上の深さまで捻じ込んでいく。これにより、係留部材4の端部に連結された係留部材定着部5を水底102に定着する(以下、係留部材定着工程という)。
次に、係留部材4を端部から遊貫部11に挿通した後、レッカ車等を用いて浮体6を水面103に降ろして設置する。このとき、浮体6に形成された植物用培地12が水面102上に見えるようにする(以下、浮体設置工程という)。
最後に、連結部3に係留部材4の端部をシャックル等を用いて連結して、浮水構造体1の設置が完了する(以下、係留部材陸上定着工程という)。
以上のように、本発明の実施の形態1における浮水構造体は構成されているので、以下のような作用が得られる。
(1)岸辺の陸上部104から水底102に向かって配設され一端側が陸上部104に固定される係留部材4と、水面103に浮上する浮体6と、浮体6に配設され係留部材4が遊貫される遊貫部11と、を備えているので、浮体6を岸辺の定位置に係留させることができるとともに、増水や渇水等によって水位の変化が生じても常に水面103に浮上させることができるとともに、浮体が岸辺から離れず、河川の増水時でも安定に岸辺に係留しておくことができ安定性に優れる。これにより、増水時に人が河川等に転落した際に浮体に辿り着けば救助具にすることができ安全性に優れる。
(2)浮体6を常に岸辺に配置できるとともに水面103に常に浮上させることができるので、河川等の水路を狭めることがなく、河川の増水時にも洪水を引き起こす原因とならず、また浮体6が係留されているので、下流に流されるおそれがなく定置性に優れる。
(3)係留部材4は一端側が陸上部104に固定され、係留部材4に浮体6が係留されるので、既設の堤防100に容易に浮体6を設置することができ、大掛りな施工が不要で施工性に優れる。
(4)係留部材4の他端部を水底に埋設固定する係留部材定着部5を備えているので、一端側が陸上部104に固定された係留部材4の他端部を水底102に埋設して定着させることができ、水底104が砂,泥等の河川等であって水流で水底が削られることがあっても、係留部材4を岸辺に安定に固定することができ、これにより浮体6も定位置に浮上させておくことができる。
(5)重量の大きなコンクリートブロックや鋼製アンカー等の沈錘を用いることなく係留部材4を水底102に固定できるので、レッカ車等を用いて容易に浮体6を設置することができ、大掛りな施工が不要で施工性に優れる。
(6)通水性を有する収容部7と、収容部7に収容された多孔質体8と、を備えているので、水に浸漬された多孔質体8の表面に形成された無数の細孔や凹凸に微生物が付着し微生物膜が形成されるので、微生物膜で水中の有機物を分解することができ水質浄化を図ることができる。
(7)多孔質体8が塊状に形成されているので、塊状間の間隙に微生物が定着するとともに藻を繁茂させることができ、さらに小魚類、エビ等の小生物類を定着させることができ、水質浄化性を高めることができる。
(8)多孔質体8がガラス粉体を加熱して発泡させたガラス発泡体なので、機械的強度が高く壊れ難いため耐久性に優れるとともに耐候性に優れる。
(9)ガラス発泡体からなる多孔質体8は、工業的に生産できるため表面に形成される気泡径や比重、平均粒径等を最適の範囲に調整することができ自在性に優れる。
(10)植物用培地12が浮体6の上部に形成されているので、微生物が有機物を分解して生成された窒素,リン等の栄養塩類を植物用培地12に植生した植物が根から吸収するので、水中からアオコ等の発生原因となる栄養塩類を除去することができ水質を浄化することができる。
(11)浮体に定着した微生物が有機物を分解して生成された窒素,リン等の栄養塩類を植物が吸収して成長が促進され、また植物によって岸辺の景観を整えることができる。
(12)浮体6の上部の植物用培地12に植栽された植物は、浮体が水面に常に浮上しているため、土砂を被ったり土砂に埋没することなく成長できる。
(13)多孔質体8が塊状に形成されたガラス発泡体なので、収容部7内に収容された多孔質体8間に大きな間隙が形成されるため、この間隙が毛管現象による水面103からの水の浸入を阻止する。このため、収容部7内の多孔質体8の上部にまで水が浸入する量は僅かであるため、陸生植物を植栽した場合にも、陸生植物の根部に十分な通気性を保つことができ枯れ難いため、微生物が有機物を分解して生成された窒素,リン等の栄養塩類を陸生植物が吸収するので、水中からアオコ等の発生原因となる栄養塩類を除去することができる。
(14)ガラス発泡体からなる多孔質体8の貝殻残渣等からカルシウム、マグネシウム等が水中に溶出するので、水に溶解しているリン酸が、溶出したカルシウムとの反応やガラス発泡体内のカルシウム分に吸着されてリン酸カルシウム(不溶性)になり水質の改善を行うことができる。
(15)貝殻粉体を発泡剤として用いたガラス発泡体は、アンモニア性窒素及びリン酸態リンの吸着効果に優れるため、表面に形成される微生物膜が有機物を窒素,リン等の栄養塩類に分解し、ガラス発泡体にこれらの栄養塩類を吸着させることができ水質の浄化効果に優れる。
(16)係留部材定着部5は、円板23の切れ目部25でリード角αが15〜25°に形成された螺旋羽根22が軸部20の先端寄りに固着されているので、所定の方向に回転させることにより、水底102に捻じ込んで埋設させることができる。一度埋設すると、水底102に埋設された円板23にかかる土圧及び土圧によって生じる円板23の摩擦力によって水底102内に完全に定着される。
(17)リード角αが15〜25°に形成されているので、水底102に捻じ込み易く、かつ、抜け難くすることができる。なお、リード角αが15°より小さくなるにつれ1回転当りの螺旋羽根22の進み量が少なく係留部材定着部5の埋設作業に要する時間が長くなり施工作業性が低下する傾向がみられ、リード角αが25°より大きくなるにつれ土圧によって生じる円板23の摩擦力が小さくなり、水底102から抜け易くなる傾向がみられることがわかった。
また、本発明の実施の形態1における浮水構造体の施工方法によれば、以下のような作用が得られる。
(1)係留部材4の端部に連結された係留部材定着部5を水底102に定着する係留部材定着工程と、係留部材4を端部から遊貫部11に挿通した後、レッカ車等を用いて浮体6を水面103に降ろして設置する浮体設置工程と、係留部材4の端部をシャックル等を用いて陸上部104に定着させたアンカー2に連結する係留部材陸上定着工程と、を備えているので、浮体6を確実に岸辺の水面103に設置することができ施工安定性に優れるとともに、既設の堤防100に容易に浮体6を設置することができ大掛りな施工が不要で施工性に優れる。
(2)係留部材定着工程において、地上からの作業で係留部材定着部5を水底102に定着するので、水中溶接等の大掛りな設備や水中作業等を要さず、地上で行う作業だけで係留部材定着部を埋設固定でき作業性に優れる。
なお、本実施の形態においては、浮体6の収納部7にガラス発泡体からなる多孔質体8が収容された場合について説明したが、ヤシ繊維等の繊維状体を収容する場合もある。この場合は、浮体6の全体の比重が1未満になるように、独立気泡を有する発泡スチロール,発泡ウレタン等の合成樹脂で形成された構造体、浮き輪等のように合成樹脂製や金属製の薄板等で中空袋状に形成され内部に空気等のガスが封入された構造体、合成樹脂等で形成された多数の小室内に空気等のガスを封入したシート状や板状等に形成された構造体、軽量コンクリート等の内部に軽石,膨張石,発泡スチロール,発泡ウレタン等を埋設した構造体等を用いて比重の調整を行うことができる。
次に、係留部材定着部の変形例について説明する。
図4は係留部材定着部の変形例の要部斜視図である。
図4において、30は変形例の係留部材定着部、31は金属製や合成樹脂製等で形成された係留部材定着部30の底部、32は所定の厚さの円板や方形板等で形成された底部31の沈錘部、33,33は沈錘部32の上面の中央に湾出した2枚の略平行の湾出板、34は湾出板33,33の中央に湾出板33,33に渡って配設された係止部、35は端部が係止部34に連結されたロープ等の係留部材、36は内径の長さが沈錘部32の直径の長さより短く湾出板33の長手方向の長さより長く形成され所定の肉厚で形成されて係留部材35が挿通され外形が環状や方形状等で所定の高さの枠状に形成された枠状部である。
以上のように構成された係留部材定着部について、水底に埋設する方法を、以下図面を参照しながら説明する。
図5(a)は係留部材定着部を水底に埋設する状態を示す模式図であり、図5(b)は係留部材定着部の埋設状態を示す模式図である。
図5において、40は係留部材定着部30を水底102に打ち込み埋設する打込補助具、41は係留部材定着部30が埋設される深さよりも長い鉄筋等で形成された打込補助具40の軸部、42は軸部41の一端部に形成された挟着部であり、沈錘部32を挟着可能なように沈錘部32の厚さよりわずかに広い間隔に形成されている。43は軸部41に固着された中心部から枠状部36の直径の幅で二股に分かれて形成された二股部、44,44は二股部43の両端部に形成された挟着部である。挟着部44は枠状部36の肉厚よりわずかに広い間隔に形成され枠状部36を挟着可能にしている。また、挟着部42,44は略同一の水平面内に配置されている。45は打込補助具40の軸部41を陸上から打ち込むハンマーである。
係留部材定着部30を水底102に埋設し定着させる際には、まず、打込補助具40の挟着部44で枠状部36を挟着するとともに挟着部42で沈錘部32を挟着する。挟着部42で沈錘部32を挟着する際、湾出板33の長手方向と軸部41とが同一軸状になるようにするのが好ましい。土の抵抗を軽減するためである。
次に、打込補助具40の軸部41を陸上からハンマー45で打ち込み、係留部材定着部30を打込補助具40とともに水底102内に埋設していく。約1m以上の所定の深さまで打ち込んだ後、打込補助具40の軸部41を上方に引き上げるとともに係留部材35を上方に少し引き上げる。これにより、挟着部44,42から枠状部36と沈錘部32が離れるとともに、係留部材35を上方に引き上げると土圧によって沈錘部32が引き上げ方向に対し略直交方向に回転する。さらに係留部材35を引き上げると、枠状部36の内径の長さが沈錘部32の直径の長さより短く湾出板33の長手方向の長さより長く形成されているので、枠状部36の内径の内側に湾出部33が入り込み係留部材定着部30が水底102内に定着される。
以上のように、本実施の形態における浮水構造体の係留部材定着部は構成されているので、以下のような作用が得られる。
(1)係留部材定着部30が底部31と枠状部36とを備えていて、それらが分離されているので、水底102に打ち込む際には底部31の沈錘部32を打ち込み方向と略平行方向にして土の抵抗を受け難くすることができる。また、水底102に埋設した後は、底部31の沈錘部32を引き抜き方向と略直交方向にして土の抵抗を大きく引抜き難くできる。
(2)枠状部36を備えているので、係留部材定着部30に引き抜き方向の外力が作用した場合に、沈錘部32が土の抵抗を受けないように引き抜き方向と略平行方向に反転しようとするのを防止し、沈錘部32を引き抜き方向と略直交方向に保つことができ引抜き難くできる。また、係留部材定着部30に引き抜き方向の外力が作用した場合に、沈錘部32上の土が水平方向に逃げようとするのを枠状部36が抑制するので、土の抵抗が大きくなり引抜き難くできる。なお、引き抜き方向の外力が大きいほど枠状部36と沈錘部32とが密着されるので、土の抵抗が大きくなり、引き抜き難くなる。また、所定の高さに形成された枠状部36を備えているので、水の流れ方向に対し抵抗を大きくすることができ定置性を高めることができる。
また、以上のように、本実施の形態における浮水構造体の係留部材定着部を打ち込み埋設する際に用いる打込補助具は構成されているので、以下のような作用が得られる。
(1)打込補助具40は埋設される深さよりも長い鉄筋等で形成された軸部41を備えているので、陸上から作業を行うことができ作業性に優れる。
(2)軸部41の端部に形成された挟着部42と二股部の両端に形成された挟着部44,44とを備えているので、係留部材定着部30の沈錘部32と枠状部36の土の抵抗が小さくなるように固定した状態で埋設することができ、係留部材定着部30を比較的軽微な力で打ち込み埋設することができる。
(3)挟着部44,42が略同一の水平面内に配置されているので、打込補助具40を引き上げると挟着部44,42から枠状部36と沈錘部32が離れるとともに、係留部材35を上方に引き上げると土圧によって沈錘部32が引き上げ方向に対し略直交方向に回転し、枠状部36の内径の内側に湾出部33が入り込むため、係留部材定着部30を水底102内に安定に定着させることができる。
次に、陸上部において係留部材を固定する場合の変形例について説明する。
図6は係留部材を固定した水辺の陸上部の要部模式断面図である。
図中、50は堤防100の天端に穿設された孔部、51は孔部50にモルタルとともに定着されたアンカー、52は天端の角部の角度に合わせて折曲された帯板等で形成され一端部側にアンカー51が貫設された固定補助部材、53は固定補助部材52の他端部に溶接等で固着されたシャックル等の係止部材であり、係留部材4を連結している。
このような構成にすることにより、アンカーを定着するための孔部を穿設する面が、堤防の側面のブロック101ではなく堤防100の天端になるので、作業性と施工性に優れる。
(実施の形態2)
図7は本発明の実施の形態2における浮水構造体を設置した岸辺の状態を示す一部断面斜視図であり、図8は実施の形態2における浮水構造体の係留部材の陸上部における固定状態を示す模式断面図である。なお、実施の形態1と同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図7、図8において、1aは実施の形態2における浮水構造体、200は湖沼等の閉鎖系水域、河川、用水路、ダム,調整池,貯水池等の岸辺に配設された鋼矢板、201は鋼矢板200の頂部に配設された天端コンクリート、202は岸辺の陸上部、203は水底、2aは天端コンクリート201の下面に定着されたアンカー、3aはアンカー2aの先端にナット等で固着されたアイボルト等の連結部、3bは連結部3aに一端が繋止されたチェーン等の連繋部材、3cは連繋部材3bの他端に連結されたシャックル等の係止部材、4aは一端側に係止部材3cが溶接固定された鉄筋からなる係留部材、5aは水底203に埋設固定された係留部材4aの端部の係留部材定着部である。
以上のように構成された本発明の実施の形態2における浮水構造体について、以下その施工方法を説明する。
実施の形態1と同様にして、植物用培地12に植物が植栽された浮体6を岸辺に準備する。
次に、天端コンクリート201に削孔した後、削孔した天端コンクリート201にアンカー2aを打ち込み定着させる。次に、アンカー2aの先端に連結部3aをナット等によって固着する。
次に、一端側にシャックル等の係止部材3cを溶接した係留部材4aの他端部を水底203に突き刺した後、ハンマー等で打ち込み水底203に2m程度の深さまで埋設する。根入れ2m程度の埋設された部分が係留部材定着部5aである(係留部材定着工程)。
次に、係留部材4aを端部から浮体6の遊貫部11に挿通した後、レッカ車等を用いて浮体6を水面に降ろして設置する(浮体設置工程)。
最後に、連繋部材3bを用いて連結部3aと係止部材3cとの間を連繋して、浮水構造体1aの設置が完了する(係留部材陸上定着工程)。
本実施の形態においては、浮水構造体の係留部材4aを天端コンクリート201に固定した場合について説明したが、係留部材4aを天端コンクリート201以外の箇所に固定することもできる。
図9は実施の形態2における浮水構造体の係留部材の陸上部における他の固定状態を示す模式断面図である。
3dは係留部材4aの一端側に溶接された固着部材である。ここでは、実施の形態2で説明した係止部材3c(シャックル)のボルトを外したものを用いている。
この場合は、実施の形態2で説明した係留部材陸上定着工程において、固着部材3dを鋼矢板200の頂部近傍に溶接固定することで浮水構造体1aの設置が完了する。
また、天端コンクリート201の上面に加工を施すことによって、浮水構造体の係留部材4aを天端コンクリート201に固定することもできる。
図10、図11は実施の形態2における浮水構造体の係留部材の陸上部における他の固定状態を示す模式断面図である。
図10において、54は天端コンクリート201の上面に穿設された孔部、55は孔部54にモルタルとともに定着されたアンカー、56は天端コンクリート201の角部の角度に合わせて略コ字状に折曲された帯板等で形成され一端部側にアンカー55が貫設され他端部に連結部3aが溶接等によって固着された固定補助部材である。
図11において、57は固定補助部材56の一端部側に溶接等で固着されたナット、58はナット57に螺着されたボルトであり、ボルト58を締結方向に回転させることによってボルト58の先端が天端コンクリート201を押圧し、天端コンクリート201が固定補助部材56及びボルト58に挟装される。
このような構成にすることにより、天端コンクリート201の下面に削孔する作業や、天端コンクリート201の下方の鋼矢板200に溶接する作業を行うことなく、係留部材4aを陸上部202に固定できるので、作業性と施工性に優れる。
以上のように、本発明の実施の形態2における浮水構造体は構成されているので、実施の形態1の作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)鉄筋からなる係留部材4aを水底203に打ち込み埋設するだけで、係留部材4aの端部を係留部材定着部5aとして水底203に定着させることができるので、簡便で施工性に優れる。
(2)鉄筋からなる係留部材4aは、それ自体10kg程度の重量があるので、水底203に端部が埋設されると抜け難く安定性に著しく優れる。
なお、鋼矢板200としてU型鋼矢板が用いられている場合には、U型鋼矢板の凹部に沿って係留部材4aを配設すると、左右方向が拘束されぶれずに安定に定着させることができるとともに流水を妨げることなく、さらに目立たなくなるので景観的にも優れる。
(実施の形態3)
図12は本発明の実施の形態3における浮水構造体を設置した岸辺の状態を示す一部断面斜視図であり、図13は実施の形態3における浮水構造体の係留部材の陸上部における固定状態を示す模式断面図である。
図12、図13において、200は鋼矢板、201は天端コンクリート、202は岸辺の陸上部、203は水底、3aは連結部、3bは連繋部材、3cは係止部材、4aは係留部材、5aは係留部材定着部、6は浮体、7は収容部、8は多孔質体、9は帯状体、11は遊貫部であり、これらは実施の形態1又は2で説明したものと同様なので、同じ符号を付して説明を省略する。
1bは実施の形態3における浮水構造体、60は天端コンクリート201の角部の角度に合わせて略L字状に折曲された帯板等で形成され端部に連結部3aが溶接等によって固着された固定補助部材、61は天端コンクリート201の表面に配設された固定補助部材60と天端コンクリート201の上面に打設され固定補助部材60を埋設固定するコンクリートやアスファルト等の埋設固定部材、62は浮体6の下方の水中に配設された水中部材、63は合成樹脂製や金属製等の網状体からなる通水部材で円筒状の籠状に形成され内部に塊状のガラス発泡体等の多孔質体が収容された水中部材62の収容部、64は収容部63の外周に環装された帯状体、65は帯状体64に固着され係留部材4aが遊貫されたシャックル等の遊貫部である。
ここで、本実施の形態においては、収容部63に収容された多孔質体は、貝殻粉体を発泡剤として用いたトヨシステムプラント社製のガラス発泡体を使用している。このガラス発泡体は、比重が0.8〜0.9に調整されており、水中部材62の全体の比重は0.9〜1になるように調整されている。これにより、浮体6の下方の水中に配設された水中部材62は、係留部材4aに沿って波や水流等によって水中を自在に移動できる。
以上のように構成された本発明の実施の形態3における浮水構造体について、以下その施工方法を説明する。
円筒状の籠状に形成された収容体63に多孔質体を収容した水中部材62を、岸辺に運搬する。水中部材62の収容体63の外周には帯状体64を環装し、帯状体64に遊貫部11を固着する。また、実施の形態1と同様にして、植物用培地12に植物が植栽された浮体6を岸辺に準備する。
次に、天端コンクリート201の複数箇所に、連結部3aが固着された固定補助部材60を配置し、アスファルトやモルタル等の埋設固定部材61を打設して硬化させ、天端コンクリート201に固定補助部材60を固定する。
次に、一端側にシャックル等の係止部材3cを溶接した係留部材4aの他端部を水底203に突き刺した後、ハンマー等で打ち込み水底203に2m程度の深さまで埋設する。根入れ2m程度の埋設された部分が係留部材定着部5aである(係留部材定着工程)。
次に、係留部材4aを端部から水中部材62の遊貫部65に挿通した後、レッカ車等を用いて水中部材62を水面に降ろし、水中部材62の自重で水面下に沈める(水中部材設置工程)。
次に、係留部材4aを端部から浮体6の遊貫部11に挿通した後、レッカ車等を用いて浮体6を水面に降ろして設置する(浮体設置工程)。
最後に、連繋部材3bを用いて連結部3aと係止部材3cとの間を連繋して、浮水構造体1bの設置が完了する(係留部材陸上定着工程)。
以上のように、本発明の実施の形態3における浮水構造体は構成されているので、実施の形態1又は2の作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)水中部材62の表面に微生物膜が形成されるので、水中の有機物を分解することができ水質浄化を図ることができる。
(2)水中部材62の多孔質体として貝殻粉体を発泡剤として用いたガラス発泡体を用いているので、ガラス発泡体の表面の細孔に藻類の生殖胞子や幼胚が付着し易く藻類が着生し易いとともに、貝殻残渣から溶出したカルシウム、マグネシウム等によって貝類や藻類等の成育を促進することができ、藻場や漁礁として最適である。
(3)渇水時に水位が低くなって浮体6が係留部材4aの下端付近にきても、水中部材62は係留部材4aに沿って水中を移動自在に配設されており浮体6につれて移動できるので、浮体6が水位の変化につれて変位するのを妨害せず、渇水時でも浮体6を着水させることができる。また、水中部材62は水中を移動自在に配設されているので、泥やヘドロ等で埋もれ難く、藻場や漁礁として長期間使用することができる。
(4)アスファルトやモルタル等の埋設固定部材61を用いて天端コンクリート201に固定補助部材60を固定しているので、天端コンクリート201の下面に削孔する作業や、天端コンクリート201の下方の鋼矢板200に溶接する作業を行うことなく、係留部材4aを陸上部202に固定できるので、作業性と施工性に優れる。
本実施の形態においては、水中部材62の比重を1付近に調整して係留部材4aに沿って水中を移動自在に配設した場合について説明したが、渇水時等の最低水位より下方位置の係留部材4aに水中部材62を固定することもできる。これにより、渇水時でも浮体6を着水させることができる。この場合は、水中部材はどのような比重のものでも用いることができる。水中部材が係留部材4aに固定されてしまうからである。
本発明は、湖沼等の閉鎖系水域、河川、用水路、ダム,調整池,貯水池等の岸辺の水面に浮揚する浮水構造体に関し、岸辺の定位置に安定に係留させることができるとともに、増水や渇水等によって水位の変化が生じても常に水面に浮上させることができ、人が河川等に転落した際に浮体に辿り着けば救助具にすることができ安全性に優れ、また河川等の水路を狭めることがなく河川の増水時にも洪水を引き起こす原因とならず安全性に優れ、また殺風景なコンクリート護岸や鋼矢板護岸等に浮島状の構造物を提供し水辺の景観を改善でき、また既設の堤防や護岸工等に容易に設置することができ大掛りな施工が不要で施工性に優れ、さらに微生物膜を形成させることで水中の有機物を分解することができ水質浄化を図ることができる環境保全性に優れた浮水構造体を提供できる。
実施の形態1における浮水構造体を設置した岸辺の状態を示す一部断面斜視図 実施の形態1における浮水構造体を設置した岸辺の模式断面図 (a)実施の形態1における浮水構造体の係留部材定着部の側面図 (b)係留部材定着部の底面図 係留部材定着部の変形例の要部斜視図 (a)係留部材定着部を水底に埋設する状態を示す模式図 (b)埋設された係留部材定着部の状態を示す模式図 係留部材を固定した水辺の陸上部の要部模式断面図 実施の形態2における浮水構造体を設置した岸辺の状態を示す一部断面斜視図 実施の形態2における浮水構造体の係留部材の陸上部における固定状態を示す模式断面図 実施の形態2における浮水構造体の係留部材の陸上部における他の固定状態を示す模式断面図 実施の形態2における浮水構造体の係留部材の陸上部における他の固定状態を示す模式断面図 実施の形態2における浮水構造体の係留部材の陸上部における他の固定状態を示す模式断面図 実施の形態3における浮水構造体を設置した岸辺の状態を示す一部断面斜視図 実施の形態3における浮水構造体の係留部材の陸上部における固定状態を示す模式断面図
符号の説明
1,1a,1b 浮水構造体
2,2a アンカー
3,3a 連結部
3b 連繋部材
3c 係止部材
3d 固着部材
4,4a 係留部材
5,5a 係留部材定着部
6 浮体
7 収容部
8 多孔質体
9 帯状体
10 締結具
11 遊貫部
12 植物用培地
20 軸部
21 定着部連結部
22 螺旋羽根
23 円板
24 孔部
25 切れ目部
30 係留部材定着部
31 底部
32 沈錘部
33 湾出板
34 係止部
35 係留部材
36 枠状部
40 打込補助具
41 軸部
42 挟着部
43 二股部
44 挟着部
45 ハンマー
50 孔部
51 アンカー
52 固定補助部材
53 係止部材
54 孔部
55 アンカー
56 固定補助部材
57 ナット
58 ボルト
60 固定補助部材
61 埋設固定部材
62 水中部材
63 収容部
64 帯状体
65 遊貫部
100 堤防
101 ブロック
102 水底
103 水面
104 陸上部
200 鋼矢板
201 天端コンクリート
202 陸上部
203 水底

Claims (6)

  1. 岸辺の陸上部から水底に向かって配設され一端側が前記陸上部に固定される係留部材と、水面に浮上する浮体と、前記浮体に配設又は形成され前記係留部材が遊貫される遊貫部と、を備えていることを特徴とする浮水構造体。
  2. 前記係留部材の他端部を水底に埋設固定する若しくは水中の壁部の所定部に固定する係留部材定着部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の浮水構造体。
  3. 前記浮体より下方の水中の前記係留部材に配設される水中部材を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の浮水構造体。
  4. 前記浮体及び/又は前記水中部材が、(a)通水性を有する通水部材で形成された収容部と、前記収容部に収容された多孔質体及び/又は繊維状体と、を備えている、又は、(b)通水性を有する通水部材でロール状に形成されたロール部を備えていることを特徴とする請求項1乃至3の内いずれか1に記載の浮水構造体。
  5. 前記多孔質体が、ガラス粉体を加熱して発泡させたガラス発泡体であることを特徴とする請求項4に記載の浮水構造体。
  6. 前記浮体の上部に植物用培地が配設若しくは形成されていることを特徴とする請求項1乃至5の内いずれか1に記載の浮水構造体。
JP2004304927A 2004-03-30 2004-10-19 浮水構造体 Pending JP2005312429A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004304927A JP2005312429A (ja) 2004-03-30 2004-10-19 浮水構造体

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004101241 2004-03-30
JP2004304927A JP2005312429A (ja) 2004-03-30 2004-10-19 浮水構造体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005312429A true JP2005312429A (ja) 2005-11-10

Family

ID=35440533

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004304927A Pending JP2005312429A (ja) 2004-03-30 2004-10-19 浮水構造体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005312429A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101239060B1 (ko) 2012-12-03 2013-03-05 (주)에코원 식물재배용 부유체
CN106614148A (zh) * 2017-01-24 2017-05-10 河南师范大学 鱼菜共生型生态浮床及其饲养方法
CN106818558A (zh) * 2017-01-24 2017-06-13 河南师范大学 鱼草共生型生态浮床及其饲养方法
CN114403066A (zh) * 2015-12-08 2022-04-29 诺尔曼·波义耳 牡蛎养殖设备和方法

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101239060B1 (ko) 2012-12-03 2013-03-05 (주)에코원 식물재배용 부유체
CN114403066A (zh) * 2015-12-08 2022-04-29 诺尔曼·波义耳 牡蛎养殖设备和方法
CN114403066B (zh) * 2015-12-08 2024-04-26 诺尔曼·波义耳 牡蛎养殖设备和方法
CN106614148A (zh) * 2017-01-24 2017-05-10 河南师范大学 鱼菜共生型生态浮床及其饲养方法
CN106818558A (zh) * 2017-01-24 2017-06-13 河南师范大学 鱼草共生型生态浮床及其饲养方法
CN106614148B (zh) * 2017-01-24 2022-09-13 河南师范大学 鱼菜共生型生态浮床及其饲养方法
CN106818558B (zh) * 2017-01-24 2022-09-13 河南师范大学 鱼草共生型生态浮床及其饲养方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2008061509A (ja) 藻場造成装置およびこれを用いた藻場造成方法
JP3907044B2 (ja) 自然分解性植物材料利用の沿岸湿地育成方法及び沿岸湿地
CN111636373A (zh) 牡蛎礁排、海堤堤脚防护装置及堤脚防护方法
JP2007135429A (ja) 水中植生工法及び水中植生施設
JP4247285B2 (ja) 沈水植物群落の再生方法及びそれによる水質浄化方法
JP2002330651A (ja) 藻場造成方法と藻草育成ネット
KR200433035Y1 (ko) 하천 제방의 생태복원용 방틀 구조
JPH081188A (ja) ヨシを利用する汚染水浄化ユニット及びそれを用いた汚水又はヘドロ処理装置
KR100289084B1 (ko) 수변 식물을 이용한 하천의 수질 정화 시스템
JP2005312429A (ja) 浮水構造体
CN104652358A (zh) 一种生态护坡系统
JP4423511B1 (ja) 有機物漁礁
KR101742191B1 (ko) 인공 생태섬
KR100903742B1 (ko) 다층 구조의 인공식물섬
JP4599628B1 (ja) 餌箱漁礁
JPH10219653A (ja) 可撓性護岸材および可撓性植生浮体と緑化施工方法
KR200202650Y1 (ko) 하천의 수질 정화용 인공 부도
JP2010046054A (ja) 竹材漁礁
JPH11323882A (ja) ポーラスコンクリート部体
CN211322443U (zh) 海草移植固定装置
JP2004236560A (ja) 藻場造成に使用する藻草育成エンチョーネット
CN204780773U (zh) 一种生态护坡系统
JP2005105718A (ja) 汽水域の水生植物帯およびその造成方法
KR20050010402A (ko) 식재용 인공매트
KR100764798B1 (ko) 해중림 조성 시스템 및 방법

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20071114

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20071121

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080121

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080428

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20080905