JP2005310501A - 固体酸化物形燃料電池及び及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 電池の配線設計が容易で、しかも電池の集積度を向上することが可能な固体酸化物形燃料電池を提供する。
【解決手段】 本発明に係る固体酸化物形燃料電池は、電解質1と、この電解質1上に形成され燃料極3及び空気極5からなる複数の電極体Eと、電極体E間を接続するインターコネクタ7とを備え、複数の電極体Eは、電解質1の一方面及び他方面に少なくとも1個ずつ配置され、電解質1には、その一方面及び他方面に開口しインターコネクタ7が配置される貫通孔11a,11bが形成され、インターコネクタ7によって電解質1の一方面及び他方面に配置された電極体Eが接続されており、各貫通孔11a,11bの両開口の少なくとも一部は、電極体Eの電極によって塞がれている。
【選択図】 図1
【解決手段】 本発明に係る固体酸化物形燃料電池は、電解質1と、この電解質1上に形成され燃料極3及び空気極5からなる複数の電極体Eと、電極体E間を接続するインターコネクタ7とを備え、複数の電極体Eは、電解質1の一方面及び他方面に少なくとも1個ずつ配置され、電解質1には、その一方面及び他方面に開口しインターコネクタ7が配置される貫通孔11a,11bが形成され、インターコネクタ7によって電解質1の一方面及び他方面に配置された電極体Eが接続されており、各貫通孔11a,11bの両開口の少なくとも一部は、電極体Eの電極によって塞がれている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、固体電解質を用いた固体酸化物形燃料電池(SOFC)及びその製造方法に関する。
従来より、固体酸化物形燃料電池のセルデザインとして、平板型(スタック型)、円筒型(チューブ型)などが提案されている。
平板型セルは、板状の電解質の表面及び裏面に燃料極及び空気極をそれぞれ配置したものであり、こうして形成されたセルはセパレーターを介して複数個積層された状態で使用される。セパレーターは各セルに供給される燃料ガスと酸化剤ガスとを完全に分離する役割を果たしており、各セルとセパレーターとの間にはガスシールが施されている(例えば、特許文献1)。しかしながら、この平板型セルでは、セルに対して圧力をかけてガスシールを施すため、セルが振動や熱サイクルなどに対して脆弱であるなどの欠点があり、実用化に大きな課題を有している。
一方、円筒型セルは、円筒形の電解質の外周面及び内周面に燃料極及び空気極をそれぞれ配置したものであり、円筒縦縞型、円筒横縞型などが提案されている(例えば、特許文献2)。ところが、円筒型セルは、ガスシール性に優れるという利点を有する一方、平板型セルに比べて構造が複雑であるため、製造プロセスが複雑になり、製造コストが高くなるという欠点がある。
さらに、次の問題もある。平板型セル及び円筒型セルのいずれも、性能を向上させるためには電解質を薄膜化することによる内部抵抗の低減が必要となるが、電解質が薄すぎると振動や熱サイクルなどに対して脆弱化してしまい、耐振性や耐久性が低下するという問題があった。
このため、上述した平板型、円筒型に代わる燃料電池として、燃料極及び空気極を固体電解質からなる基板の同一面上に配置し、燃料ガスおよび酸化剤ガスの混合ガスを供給することにより発電が可能な非隔膜式固体酸化物形燃料電池が提案されている(例えば、特許文献3)。この燃料電池によれば、燃料ガスと酸化剤ガスとを分離する必要がないため、セパレーター及びガスシールが不要となり、構造及び製造工程の大幅な簡略化を図ることができる。
また、この非隔膜式固体酸化物形燃料電池では、酸素イオンの伝導が主に固体電解質の表層付近で起こると考えられており、燃料極と空気極とを固体電解質の同一面上で近接させると、電池性能が向上する。したがって、電解質の厚みを必要以上に薄膜化する必要がなく、電池性能を維持したまま電解質の脆弱性を改善することが可能となる。
特開平5−3045号公報(第1頁、第6図)
特開平5−94830号公報(第1頁、第1図)
特開平8−264195号公報(第2−3頁、第1図)
ところで、上記のような燃料電池において高出力を得るためには、燃料極と空気極とからなる電極体を電解質上に複数配置する必要があるが、この場合、複数の電極体はインターコネクタによって接続される。このとき、インターコネクタは、短絡防止の観点から交差することができないという設計上の制約がある。そのため、電極体の数が多くなると、インターコネクタの交差を避けるために、その配線が複雑になり、これに起因して、電解質上のインターコネクタの占める割合が多くなると、電池の集積度が低下するという問題が生じていた。さらに、交差を避けるためにインターコネクタを長くすると、インターコネクタ自身の電気抵抗が発電に影響を与えたり、断線が生じる可能性が高くなるという問題もある。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、電池の配線設計が容易で、しかも電池の集積度を向上することが可能な固体酸化物形燃料電池を提供することを目的とする。
本発明に係る固体酸化物形燃料電池は、上記問題を解決するためになされたものであり、電解質と、当該電解質上に形成され燃料極及び空気極からなる複数の電極体と、前記電極体間を接続するインターコネクタとを備え、前記複数の電極体は、前記電解質の一方面及び他方面に少なくとも1個ずつ配置され、前記電解質には、その一方面及び他方面に開口し前記インターコネクタが配置される貫通孔が形成され、当該インターコネクタによって前記電解質の一方面及び他方面に配置された電極体が接続されており、前記各貫通孔の両開口の少なくとも一部は、前記電極体の電極によって塞がれている。
この構成によれば、電解質に形成した貫通孔内にインターコネクタを配置するとともに、電極体を電解質の一方面及び他方面それぞれに配置し、電解質内のインターコネクタによって電解質の両面に配置された電極体を接続している。これにより、電解質上にインターコネクタが配置されないため、電極体の数が多くなっても、複雑な配線設計が不要となり、電池の設計が容易になる。これに起因して電極体の集積度を向上することができ、電池の出力を増大することが可能となる。また、電極間を接続するインターコネクタの長さは、電解質の厚さと同じであり、短くすることができるため、インターコネクタによる電気抵抗を低減することができ、その結果、発電出力の低下を防止することができる。さらに、電解質の両面に電極体を配置しているため、電池のサイズをコンパクトにしたままで、高い出力を得ることができる。
このとき、各貫通孔の各開口全体が、電極体の電極によって塞がれるようにすると、電解質上にはインターコネクタが露出せず、電極体のみを配置することが可能となる。これにより、電極体の集積度をさらに向上することができる。
上記燃料電池では、貫通孔の各開口が異なる電極、つまり燃料極及び空気極によってそれぞれ塞がれるようにすると、複数の電極体を直列に接続することができる。
本発明に係る固形酸化物形燃料電池によれば、電池の配線設計が容易で、しかも電池の集積度を向上することができる。
以下、本発明に係る固体酸化物形燃料電池の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は本実施形態に係る燃料電池の平面図(a)及びそのA−A線断面図(b)である。
図1に示すように、この燃料電池は、板状の電解質1と、この電解質1の一方面及び他方面に配置された計3個の電極体E1〜E3とを備えている。電極体は、電解質の一方面(図1(b)の上面)に2個、つまり第1及び第2電極体E1,E2が配置され、他方面(図1(b)の下面)に1個、つまり第3電極体E3が配置されている。各電極体E1〜E3は、帯状に形成された燃料極3及び空気極5を有しており、これらの電極3,5は所定間隔をおいて平行に配置されている。
また、上記電極体E1〜E3は、インターコネクタ7によって直列に接続されている。より詳細に説明すると、電解質1において第1電極体E1の空気極5、及び第2電極体E2の燃料極3の直下には第1及び第2貫通孔11a,11bがそれぞれ形成されており、各貫通孔11a,11b内にインターコネクタ7が配置されている。そして、電解質1の他方面では、第1貫通孔11aに対応する位置に第3電極体E3の燃料極3が配置されるとともに、第2貫通孔11bに対応する位置に空気極5が配置されている。これにより、第1電極体E1の空気極5と第3電極体E3の燃料極3とが接続されるとともに、第3電極体E3の空気極5と第2電極体E2の燃料極3とが接続され、その結果、3つの電極体E1〜E3が直列に接続される。なお、各貫通孔11a,11bの開口は、上述した燃料極3及び空気極5によって完全に塞がれており、インターコネクタ7は外部に露出していない。
また、図示を省略するが、直列に接続された電極体E1〜E3の両端、つまり第1電極体E1の燃料極3及び第2電極体E2の空気極5には、電流を取り出すための集電体を設けることができる。この場合、集電体は電極の端部に設けることもできるし、電極の上面全体に設けることもできる。
次に各電極の寸法について説明する。燃料極3の膜厚は、1〜300μmであることが好ましく、5〜100μmであることがさらに好ましい。これは、膜厚が小さすぎると三相界面長の低下により出力が低くなるからであり、膜厚が大きすぎると反応ガスの拡散不足による過電圧が増大しやすくなるため、膜厚が大きくなっても、それに応じた出力が得られないからである。つまり、コストパフォーマンスが低くなるからである。また、電極のオーム損も一因である。一方、空気極5の膜厚も、同様に、1〜300μmであることが好ましく、5〜100μmであることがさらに好ましい。その理由は、燃料極の場合と同様である。
また、後述するように、燃料極3を酸化ニッケル(NiO)とサマリウム(Sm)とをドープしたセリア系酸化物を有する材料、空気極5をサマリウム(Sm)、ストロンチウム(Sr)、及びコバルト(Co)を含有した酸化物材料、そして電解質1をガドリニウムをドープしたセリア系酸化物(GDC)からなる材料で形成した場合には、両電極3,5の膜厚は10〜50μmとすることが好ましい。
また、両電極3,5について、電極3,5が並ぶ方向の長さ、つまり電極幅Bについては、次のように設定することが好ましい。すなわち、空気極5については、5〜1000μmであることが好ましく、10〜500μmであることがさらに好ましい。
さらに、各電極3,5について、電極の端部に集電体を配置する場合には、上記電極幅と垂直な方向の長さは、次のように設定することが好ましい。すなわち、両電極3,5において集電体31,51と、そこから最も離れた電極上の端部との間の長さL(以下、「電極長さ」という)は、10000μm以下であることが好ましく、4000μm以下であることがさらに好ましい。また、燃料極3の場合は、上記電極長さLを空気極5と同じかそれよりも長くすることが可能である。
次に、上記のように構成された燃料電池の材質について説明する。電解質1の材料としては、固体酸化物形燃料電池の電解質として公知のものを使用することができ、例えば(Ce,Sm)O3,(Ce,Gd)O3等のセリア系酸化物,(La,Sr)(Ga,Mg)O3等のランタン・ガレード系酸化物,スカンジア安定化ジルコニア(ScSZ),イットリア安定化ジルコニア(YSZ)等のジルコニア系酸化物などの酸素イオン伝導性セラミックス系材料を用いることができる。電解質1は、基板として用いられるため、ある程度の強度が必要であることから、その厚みは、例えば200〜1000μmであることが好ましい。
燃料極3及び空気極5は、セラミックス粉末材料により形成することができる。このとき用いられる粉末の平均粒径は、好ましくは10nm〜100μmであり、さらに好ましくは50nm〜50μmであり、特に好ましくは100nm〜10μmである。なお、平均粒径は、例えば、JISZ8901にしたがって計測することができる。
燃料極3は、例えば、金属触媒と酸化物イオン導電体からなるセラミックス粉末材料との混合物を用いることができる。このとき用いられる金属触媒としては、ニッケル、鉄、コバルトや、貴金属(白金、ルテニウム、パラジウム等)等の還元性雰囲気中で安定で、水素酸化活性を有する材料を用いることができる。また、酸化物イオン導電体としては、蛍石型構造又はペロブスカイト型構造を有するものを好ましく用いることができる。蛍石型構造を有するものとしては、例えば(Ce,Sm)O3,(Ce,Gd)O3などのセリア系酸化物、スカンジア安定化ジルコニア(ScSZ)やイットリア安定化ジルコニア(YSZ)などのジルコニア系酸化物を挙げることができる。また、ペロブスカイト型構造を有するものとしては(La,Sr)(Ga,Mg)O3などのランタンガレード系酸化物を挙げることができる。上記材料の中では、酸化物イオン導電体とニッケルとの混合物で、燃料極5を形成することが好ましい。なお、酸化物イオン導電体からなるセラミックス材料とニッケルとの混合形態は、物理的な混合形態であってもよいし、ニッケルへの粉末修飾などの形態であってもよい。また、上述したセラミックス材料は、1種を単独で、或いは2種以上を混合して使用することができる。また、燃料極5は、金属触媒を単体で用いて構成することもできる。
空気極5を形成するセラミックス粉末材料としては、例えば、ペロブスカイト型構造を有する金属酸化物で形成することができる。具体的には(Sm,Sr)CoO3,(La,Sr)MnO3,(La,Sr)CoO3,(La,Sr)(Fe,Co)O3,(La,Sr)(Fe,Co,Ni)O3などを挙げることができる。これらセラミックス粉末は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を混合して使用することもできる。なお、コバルトを含有するペロブスカイト型金属酸化物で空気極5を形成すると、電子伝導性及びイオン伝導性がともに向上されるため、好ましい。
また、インターコネクタ7及び集電体は、Pt,Au,Ag,Ni,Cu,SUS等の導電性金属、或いは金属系材料,又はLa(Cr,Mg)O3,(La,Ca)CrO3,(La,Sr)CrO3などのランタン・クロマイト系等の導電性セラミックス材料によって形成することができ、これらのうちの1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
上記燃料極3、及び空気極5は、上述した材料を主成分として、さらにバインダー樹脂、有機溶媒などが適量加えられることにより形成される。より詳細には、上記主成分とバインダー樹脂との混合において、上記主成分が50〜95重量%となるように、バインダー樹脂等を加えることが好ましい。また、インターコネクタ7及び集電体も、上述した材料に上記添加物を加えることにより形成される。なお、集電体は導電性金属、或いは金属系材料からなるワイヤーやメッシュ状のもの等から形成されていてもよい。
次に、上述した燃料電池の製造方法の一例を図2を参照しつつ説明する。まず、上述した材料からなる板状の電解質1を準備する。図2(a)に示すように、電解質1には上述した貫通孔11a,11bを形成しておく。続いて、上述した燃料極3、及び空気極5用の粉末材料を主成分として、これらそれぞれにバインダー樹脂、有機溶媒などを適量加えて混練し、燃料極ペースト、空気極ペーストをそれぞれ作成する。各ペーストの粘度は、次に説明するスクリーン印刷法に適合するように103〜106mPa・s程度であることが好ましい。同様に、インターコネクタ用ペーストも、上述した粉末材料にバインダー樹脂等の添加物を加えて作成しておく。このペーストの粘度は上述した燃料極ペースト等と同じである。
続いて、電解質1の各貫通孔11a,11bにインターコネクタ用ペーストを充填し、所定の温度で乾燥することで、インターコネクタ7を形成する(図2(b))。次に、電解質1の一方面の2箇所に燃料極ペーストをスクリーン印刷法により帯状に塗布する(図2(c))。このとき、第2電極体E2側では、第2貫通孔11bを塞ぐように燃料極ペーストを塗布する。続いて、電解質1を反転して、その他方面が上方を向くようにし、第1貫通孔11aを塞ぐように、燃料極ペーストを帯状に塗布する(図2(d))。これに続いて、塗布した燃料極ペーストを所定の時間及び温度で乾燥・焼結し、各電極体E1〜E3の燃料極3を形成する。
次に、電解質1の他方面において、燃料極3と対向する位置に所定間隔をおいて帯状の空気極ペーストをスクリーン印刷法によって塗布する。このとき、第2貫通孔11bを塞ぐよう空気極ペーストを塗布する(図2(e))。続いて、電解質1を反転し、再び一方面が上方を向くようにする。そして、各燃料極3と対向する2つの位置に空気極ペーストをスクリーン印刷法によって塗布する。ここでも、第1電極体E1側では、第1貫通孔11aを塞ぐように空気極ペースを塗布する。最後に、塗布した各空気極ペーストを所定時間及び温度で乾燥・焼結することにより、空気極5を形成する(図2(f))。以上の工程により、図1に示す燃料電池が作成される。
上記のように構成された燃料電池は、次のように発電が行われる。まず電極体Eが配置された電解質1の一方面及び他方面に、水素、又はメタン、エタンなどの炭化水素からなる燃料ガスと空気等の酸化剤ガスとの混合ガスを高温の状態(例えば、400〜1000℃)で供給する。これにより、各電極体Eにおける燃料極3と空気極5との間で、酸素イオン伝導が起こり発電が行われる。
以上のように、本実施形態によれば、電解質1に形成した貫通孔11a,11b内にインターコネクタ7を配置するとともに、電極体E1〜E3を電解質1の一方面及び他方面それぞれに配置し、電解質1内のインターコネクタ7によって電解質1の両面に配置された電極体E1〜E3を接続している。これにより、電解質1上にインターコネクタ7が配置されないため、電極体Eの数が多くなっても、複雑な配線設計が不要となり、電池の設計が容易になる。これに起因して電極体Eの集積度を向上することができ、電池の出力を増大することが可能となる。また、電極間、つまり燃料極3と空気極5を接続するインターコネクタ7の長さは、電解質1の厚さと同じであり、短くすることができるため、インターコネクタによる電気抵抗を低減することができ、その結果、発電出力の低下を防止することができる。さらに、電解質1の両面に電極体Eを配置しているため、電池のサイズをコンパクトにしたままで、高い出力を得ることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、電解質1に形成された貫通孔11a,11bを電極によって完全に塞いでいるが、これに限定されるものではなく、貫通孔11a,11bの一部を塞ぐように電極を配置して、インターコネクタと電極とを接続することもできるし、各インターコネクタに同極の電極を接続し、全体、或いは部分的に並列に接続されるように配置してもよい。
また、上記実施形態では、各ペーストの塗布にスクリーン印刷法を用いているが、これに限定されるものではなく、ドクターブレード法、スプレーコート法、リソグラフィー法、泳動電着法、ロールコート法、ディスペンサーコート法、CVD,EVD,スパッタリング法、転写法等の印刷方法等、その他一般的な印刷法を用いることができる。また、印刷後の後工程として、静水圧プレス、油圧プレス、その他の一般的なプレス工程を用いることができる。
また、上記燃料電池では、集電体を必ずしも電解質上に配置する必要はなく、この燃料電池をセットする装置側に集電体等を形成しておき、燃料電池を装置にセットしたときに、各電極に対応する部分に集電体やインターコネクタが配置されるように構成することもできる。
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
ここでは、図1に示す構造を有する燃料電池を作成した。電解質材料としてはGDC(Ce0.9Gd0.1O1.9)からなる厚さ1mmの板体を使用した。また、燃料極材料としてNiO粉末(0.01〜10μm、平均1μm)、SDC(Ce0.8Sm0.2O1.9)粉末(粒径1〜10μm、平均0.1μm)を重量比で7:3となるように混合して混合物を作成した後、セルロース系バインダー樹脂を添加して、上記混合物の割合が80重量%となるように燃料極ペーストを作製した。つまり、上記混合物と、バインダー樹脂との重量比が80:20となるようにした。燃料極ペーストの粘度はスクリーン印刷に適した5×105mPa・sとした。続いて、空気極材料としてSSC(Sm0.5Sr0.5CoO3)粉末(0.1〜10μm、平均3μm)を使用し、セルロース系バインダー樹脂を添加して、上記粉末の割合が80重量%となるように空気極ペーストを作製した。つまり、SSC粉末と、バインダー樹脂との重量比が80:20となるようにした。空気極ペーストの粘度は、燃料極と同様にスクリーン印刷に適した5×105mPa・sとした。また、インターコネクタ用の材料として、Pt粉末(粒径0.1〜5μm、平均2.5μm)を使用し、これにセルロース系バインダーを混合した。その粘度は、スクリーン印刷に適した5×105mPa・sとした。
続いて、電解質基板に、300μm角の貫通孔を二つ形成し、ここにインターコネクタ用ペーストを充填した。そして、1500℃、1時間で焼き付けを行ってインターコネクタを形成した。続いて、第1及び第2電極体の燃料極を形成した。すなわち、電解質の一方面における図1の位置に、燃料極ペーストを幅500μm,長さ7000μm,塗布厚み50μmとなるように塗布した。続いて、電解質を反転し、その他方面に同様の寸法の燃料極ペースを塗布した。その後、130℃で15分間乾燥した後、1450℃で1時間焼結し、各電極体の燃料極を形成した。
これに続いて、電解質の他方面の図1に示す位置に、空気極ペーストを幅500μm,長さ7000μm,塗布厚み50μmとなるように塗布した。続いて、電解質を反転し、その一方面の2箇所に同様の寸法の空気極ペーストを塗布した。そして、130℃で15分間乾燥した後、1200℃で1時間焼結することで、空気極を形成した。こうして、3個の電極体が直列に接続された燃料電池が作製された。
1 電解質
11a,11b 貫通孔
3 燃料極
5 空気極
7 インターコネクタ
11a,11b 貫通孔
3 燃料極
5 空気極
7 インターコネクタ
Claims (3)
- 電解質と、
当該電解質上に形成され燃料極及び空気極からなる複数の電極体と、
前記電極体間を接続するインターコネクタとを備え、
前記複数の電極体は、前記電解質の一方面及び他方面に少なくとも1個ずつ配置され、
前記電解質には、その一方面及び他方面に開口し前記インターコネクタが配置される貫通孔が形成され、当該インターコネクタによって前記電解質の一方面及び他方面に配置された電極体が接続されており、
前記各貫通孔の両開口の少なくとも一部は、前記電極体の電極によって塞がれている、固体酸化物形燃料電池。 - 前記貫通孔の各開口全体が、前記電極体の電極によって塞がれている、請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池。
- 前記貫通孔の各開口は、異なる電極によってそれぞれ塞がれており、前記複数の電極体が直列に接続されている、請求項1または2に記載の固体酸化物形燃料電池。
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