JP2005308054A - クランプ - Google Patents

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誠 加藤
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Abstract

【課題】クランプの振幅運動を抑えることで、係止爪の摩耗・破壊を防止又は低減しクランプの耐久性を向上させることにある。更に挿入荷重をできる限り抑えつつ、上述の課題を解決することにある。
【解決手段】ワイヤ類を取付ける取付部位に貫通して形成された取付孔に脚部を挿入することで、該取付部位にワイヤ類を取付けるクランプ1において、前記取付孔に挿入される脚部20は、該取付孔に挿入された状態で前記取付部位の裏面側で該取付孔の縁に係合して抜け方向への該脚部の移動を抑える係合爪40と、同状態で該取付孔に係合して振幅方向への該脚部の移動を抑える係止片50とを備えることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明はクランプに関する。例えば、自動車車両の振動を生ずる部位にワイヤ類を取付ける際に使用するクランプに関する。
チェーンケースなど振動を生ずる部位は、その振動に耐えうる強度を確保するため、通常の車体パネルよりも厚い板厚のパネルが用いられるのが一般的である。このような厚い板厚のチェーンケースにケーブルワイヤを取付ける場合、その作業効率を考えてワンタッチで嵌め込み可能なクランプが用いられる。
ワンタッチで嵌め込み可能クランプとして、例えばケーブルワイヤを固定する基部と,基部から立設された平板状の脚部と,脚部先端から基部に向けて折り返し状に形成された可撓性を有する一対の係止爪とから構成されたものがある(特許文献1参照)。
このクランプを厚い板厚のチェーンケースに形成された取付孔を利用して取付ける場合、クランプの脚部を延長して所定の長さとする。平板状形状の脚部と取付孔との接触面が少ないため、クランプを取付孔へ挿入する際の挿入荷重をおさえることができる。
特開平08−178131号公報
しかし上述のクランプでは、チェーンケースの振動により係止爪が摩耗・破壊され、クランプ自体の耐久性が若干劣るという問題があった。つまり上述のクランプはその脚部と取付孔との接触面が少なく、専ら係止爪のみで取付孔の縁と係合している。このためチェーンケースの振動により、ケーブルワイヤと脚部とが係止爪を支点として振幅運動してしまう。これにより係止爪が摩耗・破壊されてしまうのである。
本発明は上述した点に鑑みて創案されたものである。つまり本発明が解決しようとする課題は、クランプの振幅運動を抑えることで、係止爪の摩耗・破壊を防止又は低減しクランプの耐久性を向上させることにある。更に挿入荷重をできる限り抑えつつ、上述の課題を解決することにある。
上記課題を解決するために、本発明の各発明は次の手段をとる。
先ず第1の発明に係るクランプは、ワイヤ類を取付ける取付部位に貫通して形成された取付孔に脚部を挿入することで取付部位にワイヤ類を取付けるクランプにおいて、取付孔に挿入される脚部は、取付孔に挿入された状態で取付部位の裏面側で取付孔の縁に係合して抜け方向への脚部の移動を抑える係合爪と、同状態で取付孔に係合して振幅方向への脚部の移動を抑える係止片とを備えることを特徴とする。
この第1の発明では、取付孔に脚部が挿入された状態で、取付部位の裏面側で取付孔の縁に係合爪が係合して抜け方向への脚部の移動を抑える。更に同状態(取付孔に脚部が挿入された状態)で、取付孔に係止片が係合して振幅方向への脚部の移動を抑える。
なお方向への移動を脚部に生じさせる「取付部位」としては、本発明のクランプを自動車車両に適用した場合におけるエンジンルームやその周辺部位,チェーンケース,ラジエータなどがある。
次に第2の発明に係るクランプは、第1の発明に係るクランプであって、係止片は、脚部の軸線を挟んで対称に設けられた一対の係止片であり、一対の係止片が脚部の挿入方向に複数組形成されており、各係止片は、脚部の挿入方向に傾斜して形成されていることを特徴とする。
この第2の発明では、脚部の軸線を挟んで設けられた一対の係止片により振幅方向への脚部の移動を抑える。脚部には、脚部の挿入方向に一対の係止片が複数組形成されている。各脚部の挿入方向に対して係止片が傾斜して形成されている。
次に第3の発明に係るクランプは、第2の発明に係るクランプであって、脚部には、脚部の挿入方向に並んだ前記係止片を貫通する補強板が設けられていることを特徴とする。
この第3の発明では、脚部の挿入方向に並んだ複数の係止片のそれぞれを貫通して補強板が形成されている。
「補強板」は、脚部の挿入時に生ずる力に対して係止片よりも高い剛性を有する。
上述した本発明によれば、次の効果を得ることができる。
先ず第1の発明によれば、取付部位の裏面側で取付孔の縁に係合爪が係合して抜け方向への脚部の移動を抑える。この状態で、取付孔と係止片とが係合して振幅方向への脚部の移動を抑えるため、脚部の振幅運動による係止爪の摩耗・破損を防止又は低減することができる。この結果、係止爪の摩耗・破損を防止等するだけクランプの耐久性が向上する。
次に第2の発明によれば、脚部の軸線を挟んで対称に設けられた一対の係止片により脚部の振幅運動を抑える。更に一対の係止片が複数組設けられることで、係止片の係止力をその組数だけ向上させることができる。
脚部の挿入方向に対して係止片が傾斜して形成されているため、脚部の挿入時に生ずる力によって挿入方向とは逆の方向に係止片が撓みやすくなっている。このため、脚部の挿入荷重を係止片の撓み変形により逃すことができる。
次に第3の発明によれば、脚部の挿入方向に並んだ複数の係止片のそれぞれを貫通して補強板が形成されているため、補強板の貫通した係止片部分の撓み変形が抑えられる。このため、係止片が必要以上に撓み変形することを防止又は低減することができる。
以下に本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
図1はクランプの斜視図、図2は使用時のクランプの断面図である。図2に表されたクランプ1の断面は、図1のクランプ1のII−II線断面に該当する。
本実施例に係るクランプ1は、自動車等車両のチェーンケース3にケーブルワイヤ7を取付ける際に使用するものである。チェーンケース3は、内部のチェーン(図示しない。)の動きにより振動が生ずる箇所である。このためチェーンケース3の板厚は、振動に対する剛性を付与するため一般的な車体パネルよりも厚くなっている。通常は、9mm程の厚さのパネルがチェーンケース3に用いられる。
実施例1に係るクランプ1は、固定部10と係合部20とからなる樹脂製の一体成形品である。クランプ1は、図2のとおり、ケーブルワイヤ7を固定部10で固定した状態で取付孔5に係合部20を係合させてチェーンケース3に取付けられる。なお、取付孔5はネジ孔であってもよい。以下、各構成要素について説明する。
固定部10は平板状の板部材である。固定部10の第一面13(図1で下側の面)で、ケーブルワイヤ7を固定する。第一面13は、クランプ1取付時に外部を臨む固定部10の面である。図2のように、ケーブルワイヤ7と固定部10とを一緒にテープで巻き回すことで、固定部10にケーブルワイヤ7が固定される。
図1の係合部20は、固定部10の第二面15(図1で上側の面)に連結されており、脚部30と,係止爪40と,係止片50とを備える。後述のとおり係合部20には、一対の係止片50,50が複数組設けられている。それぞれの係止片50は補強板60によってその構造が補強されている。
係合部20断面は、図2に示すとおりクリスマスツリー形状である。幹となる脚部30から、係止爪40と係止片50との両者が取付孔5の径方向に同じ向きで張出している。
脚部30は、第一のフランジ31と,第二のフランジ32と,それらをつなぐ板状の連結部35とからなる。第一のフランジ31には、アンカー状の先端部37が連結されている。そして第二のフランジ32によって、固定部10の第二面15と連結する。
係止爪40は、先端部37の両側から脚部30基部に向けて折り返し状に張出している。一対の係止爪40,40は、互いに近づく方向に撓み変形可能に形成されている。
係止片50は、連結部35から図1で見て下向きに傾斜して張出した板部材である。また係止片50は、取付孔5からはみだす大きさとなっている。係止片50の角部分は丸みを帯びて形成されている。
係止片50は、図2のとおり脚部の軸線Aを挟んで対称に一対をなしている。
係止片50は樹脂製であるため、樹脂の有する本来の弾性により撓み変形可能である。このため後述のとおり、クランプ1挿入時にかかる挿入力により係止片50が図2で見て下向きに撓み変形する。
補強板60は、第二のフランジ32に立設するとともに連結部35に直交して連結された長方形状の板部材である。補強板60は、脚部の軸線Aを挟んで対称に一対をなす。
補強板60は挿入方向に向いて立設されているため、挿入方向に対して寝かせた状態の係止片50よりも挿入力に対する剛性が高く撓み変形しづらい。
各補強板60は、脚部30の片側に並んだ複数の係止片50を全て貫通して第二のフランジ32に連結されている。
補強板60の厚みは、連結部35の厚みよりも薄く形成されている。
次にクランプ1の取付方法を図2に基づいて説明する。
先ず脚部30をその先端部37側から取付孔5に挿入する。このとき係止爪40,40は弾性変形しつつ取付孔5を通過していく。そして一対の係止片50,50が、弾性変形して互いに近づく方向に押し撓められながら取付孔5に入っていく。
さらに脚部30を挿入することで係止爪40,40が取付孔5を通過し、図2のように、係止爪40,40がチェーンケース3の裏面において取付孔の縁6に係合する。この状態において係止片50は、取付孔5の内壁9に押し付けられて撓められている。この撓み変形によって得られた弾性力により係止片50が脚部30を固定する。
次にクランプ1の作用・効果について説明する。
先ずチェーンケース3の裏面側で取付孔の縁6に係合爪40,40が係合して抜け方向への脚部30の移動を抑える。この状態で、取付孔5と係止片50とが係合して振幅方向への脚部30の移動を抑える。特に連結部35の厚み方向への振幅を抑える。このため、脚部30の振幅運動による係止爪40,40の摩耗・破損を防止又は低減することができる。この結果、係止爪40,40の摩耗・破損を防止等するぶん、クランプ1の耐久性が向上する。
また取付孔5と係止片50とが接触するため、クランプ1のガタつきも抑えられる。
更に一対の係止片50,50が四組設けられている。係止片50と内壁9との接触箇所が増えるだけその係止力が向上する。
次に脚部30の挿入方向に対して係止片50が傾斜して形成されているため、脚部30の挿入時に生ずる力によって挿入方向とは逆の方向に係止片50が撓みやすくなっている。このため、脚部30の挿入荷重を係止片50の撓み変形により逃すことができる。
次に脚部30の挿入方向に並んだ四個の係止片50のそれぞれを貫通して補強板60が形成されているため、補強板60の貫通した係止片50部分の撓み変形が抑えられる。このため、係止片50が必要以上に撓み変形することを防止又は低減することができる。
またクランプ1は樹脂製の一体成形品であるため、その製造が容易である。
クランプ1の材質として用いられる「樹脂」としては、例えばポリビニルアルコール,ポリ塩化ビニル,ポリ塩化ビニリデン,ポリエチレン,ポリスチレン,ポリプロピレン,ポリアミド,ポリ酢酸ビニル,アクリロニトリル=スチレン共重合体(AS),アクリロニトリル=ブタジエン=スチレン共重合体(ABS)などの熱可塑性樹脂、フェノール樹脂,エポキシ樹脂,不飽和ポリエステル樹脂,ユリア樹脂,メラミン樹脂,ポリウレタン樹脂,シリコン樹脂などの熱硬化性樹脂がある。上述の樹脂は単独で使用してもよく、二種類以上使用されていてもよい。樹脂製のベルトクランプ1は、金属などの材質のものよりも軽量であるため望ましい。
[その他の実施の形態]
本発明に係るベルトクランプ1は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、その他各種の実施の形態を取り得る。
先ずクランプ1は、固定部10と係合部20との両者のみで構成されていてもよい。補強板60がない分、クランプ1の重量が低減される。
固定部10は、ベルト類を固定する各種構成をとり得る。例えば、ベルトと,そのベルトを挿通する挿通口を有するバックルとからなっていてもよい。ワイヤ類にベルトを巻きまわした後に、ベルトの先端を挿通口に挿通して引き締めることでワイヤ類をチェーンケース3に取付ける。テープを用いる場合と比較してその手順が簡略である。
次に連結部35の厚みは、従来のクランプよりも薄く形成されていてもよい。クランプ1の重量増加を抑えることで、従来品の有する挿入荷重を維持又は低減できる。
次に係止片50の形状は、取付孔5と係合する限り棒状,丸ピン状等いかなる形状であってもよい。
係止片50の形成位置,数も適宜変更可能である。係止片50の数が多くなるにつれてクランプ1を係止する力が強まるため、振幅運動を抑える効果が高まる。一方、係止片50の数が少なくするとクランプ1の挿入荷重が低減される。
係止片50の厚みも適宜変更できる。取付孔5と係合する先端部37分の厚みを大きくすることで係合力が向上する。先端部37分の厚みを小さくすると、クランプ1の挿入荷重が低減される。
また係止片50は、脚部30に対して垂直に連結されていてもよい。
次に補強板60の形状は、係止片50を補強できる限り円柱や多角柱などいかなる形状であってもよい。補強板60の数,配置位置も適宜変更できる。なお各フランジ部31,32と補強板60とが連結していれば、連結部35と別体であっても補強効果を奏する。連結部35のみと連結していても同様である。
補強板60の厚みは、連結部35の厚みと同じか若しくは厚く形成されていてもよい。連結部35の厚みよりも補強板60の厚みを厚く形成しその剛性を高めることで、チェーンケース3の振動に対して振幅しずらくなる。
次に第二のフランジ32を包囲するようにして皿状体が設けられていてもよい。固定部10と取付孔5との間には環状の防水パッキンが挟み込まれる。そして係合部が車体パネルの取付孔5に差し込まれることで、皿状体により防水パッキンが車体パネルに押し付けられる。
クランプ1の材質は、クランプ1としての機能を果たす限り金属,木質材料,ゴムなど各種の材質を使用できる。
クランプの斜視図である。 使用時のクランプの断面図である。
符号の説明
1 クランプ
3 チェーンケース
5 取付孔
6 取付孔の縁
7 ケーブルワイヤ
9 内壁
10 固定部
13 第一面
15 第二面
20 係合部
30 脚部
31 第一のフランジ
32 第二のフランジ
35 連結部
37 先端部
40 係止爪
50 係止片
51 角部
60 補強板
A 脚部の軸線

Claims (3)

  1. ワイヤ類を取付ける取付部位に貫通して形成された取付孔に脚部を挿入することで、該取付部位にワイヤ類を取付けるクランプにおいて、
    前記取付孔に挿入される脚部は、該取付孔に挿入された状態で前記取付部位の裏面側で該取付孔の縁に係合して抜け方向への該脚部の移動を抑える係合爪と、同状態で該取付孔に係合して振幅方向への該脚部の移動を抑える係止片とを備えることを特徴とするクランプ。
  2. 請求項1に記載のクランプであって、
    前記係止片は、前記脚部の軸線を挟んで対称に設けられた一対の係止片であり、
    該一対の係止片が該脚部の挿入方向に複数組形成されており、
    各該係止片は、前記脚部の挿入方向に傾斜して形成されていることを特徴とするクランプ。
  3. 請求項2に記載のクランプであって、
    前記脚部には、該脚部の挿入方向に並んだ前記係止片を貫通する補強板が設けられていることを特徴とするクランプ。
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