JP2005307332A - 分子線エピタキシャル装置および分子線エピタキシャル装置を用いたiii族グループ窒化物の立方晶単結晶薄膜の製造方法 - Google Patents

分子線エピタキシャル装置および分子線エピタキシャル装置を用いたiii族グループ窒化物の立方晶単結晶薄膜の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】装置の小型化が図れるとともに、効率よく所望の単結晶薄膜を基板上にエピタキシャル成長させることができる分子線エピタキシャル成長装置および安価にかつ精度よく窒化ガリウム等のIII族グループ窒化物の単結晶薄膜が得られる分子線エピタキシャル成長装置を用いた窒化ガリウム等のIII族グループ窒化物単結晶薄膜の製造方法を提供することを目的としている。
【解決手段】高周波放電励起原子セルを備える分子線エピタキシャル成長装置において、前記高周波放電励起原子セルが、その放電室内で励起された励起原子に放電室外から磁界を作用させる磁束密度可変の磁界付与手段を備えていることを特徴としている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、分子線エピタキシャル成長装置および分子線エピタキシャル成長装置を用いた窒化ガリウム等のIII族グループ窒化物の立方晶単結晶薄膜の製造方法に関する。
薄膜形成においては基板の結晶構造とその上に成長する結晶構造が一致していることが必要であり、理想は同一単結晶上に成長させるホモエピタキシャル成長である。化合物の多くはそのホモエピタキシャル成長用基板結晶が得られず、異種単結晶上へ成長させるヘテロエピタキシャル成長によって得られるようになっている。現在窒化ガリウム、砒化ガリウムなどの化合物半導体は、サファイヤや炭化珪素などの高価な基板上に作製されている。しかし、これらは大面積化が困難で、工業的生産観点からも安価で大面積化が可能な基板が望まれている。
そこで、本発明の発明者は、分子線エピタキシャル成長装置(以下、「MBE装置」とも記す)を用い、まず、シリコン基板上にアセチレン等の炭素原子を含む気体を照射して立方晶炭化珪素層を形成させた後、立方晶炭化珪素層上に分子線セルから供給されるガリウムとともに励起させた原子状窒素流束を照射して窒化ガリウムの単結晶薄膜を形成する方法を既に提案している(たとえば、非特許文献1参照)。
すなわち、上記方法によれば、高価な炭化珪素などの基板を用いず、まず、MBE装置の超高真空の成長室内に、安価でダイヤモンド型立方晶構造の単一半導体として安定であると同時に大面積の良質の単結晶基板が利用できるシリコン基板をセットし、このシリコン基板上に立方晶炭化珪素層を形成させた後、立方晶炭化珪素層上に窒化ガリウムの単結晶薄膜を形成するようにしているので、安価に窒化ガリウムの単結晶薄膜を得ることができる。
また、上記のようなMBE装置を用いた方法によれば、現在、一般に使用されている有機金属気相化学反応堆積法(MOCVD)窒化ガリウムの製造方法(たとえば、特許文献1参照)に比べ、原材料の消費が100分の1と、材料コストの面でもメリットがある。
しかし、MBE装置において、立方晶単結晶薄膜の成長速度を速めるには、炭素源であるアセチレンガスの供給量、あるいは、窒素源である励起窒素の供給量を増やす必要があるが、アセチレンガスの供給量や励起窒素原子の供給量を増やすと、成長室内を高真空に保てなくなり、アセチレン等の反応ガスが成長室の内壁やシュラウドに付着する。そして、液体窒素で冷却されたシュラウドに吸着した反応ガスが、そこから再蒸発をするため、反応後に真空度が回復せず、継続して行うべき窒化ガリウム薄膜低温バッファ層作製を行うことに支障が生じる。
また、上記のようなMBE装置を用いた方法によれば、窒素源としてガスを利用することから、従来の固体原料のみを利用するMBE装置と比べ、排気系の排気量を大きくする必要があり、イオンポンプに変わり分子ターボポンプを利用する必要がある。
しかし、MBE装置において、III族グループ窒化物単結晶薄膜の成長速度を速めるには、窒素源である励起窒素の供給量を増やす必要があるが、励起窒素原子の供給量を増やすと、成長室内を高真空に保てなくなり、高品質の結晶を得ることが難しくなる。
したがって、従来のMBE装置では、大きな基板に高速に結晶薄膜を形成しようとすると、アセチレンガスの供給量や励起窒素原子の供給量に見合う容量の大きい真空ポンプが必要となり、装置が大型化するため、装置コストおよびエネルギーコストの点で問題がある。
International School on Crystal Growth ,Characterization and Applications 9-13 December 2003 La Pedrera Uruguay Abstract集 P.42-47 特開平5−206520号公報
本発明は、上記事情に鑑みて、装置の小型化が図れるとともに、効率よく所望の単結晶薄膜を基板上にエピタキシャル成長させることができる分子線エピタキシャル成長装置および安価にかつ精度よく窒化ガリウム等のIII族グループ窒化物の単結晶薄膜が得られる分子線エピタキシャル成長装置を用いた窒化ガリウム等のIII族グループ窒化物単結晶薄膜の製造方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の分子線エピタキシャル成長装置(以下、「請求項1の成長装置」と記す)は、高周波放電励起原子セルを備える分子線エピタキシャル成長装置において、前記高周波放電励起原子セルが、その放電室内で励起された励起原子に放電室外から磁界を作用させる磁束密度可変の磁界付与手段を備えていることを特徴としている。
本発明の請求項2に記載の分子線エピタキシャル成長装置(以下、「請求項2の成長装置」と記す)は、請求項1の成長装置において、放電室の原子線出口にオリフィスが設けられていることを特徴としている。
本発明の請求項3に記載の分子線エピタキシャル成長装置(以下、「請求項3の成長装置」と記す)は、請求項1または請求項2の成長装置において、高周波放電励起原子セルの放電室の原子線出口前方にプラスの電界またはマイナスの電界を形成し、前記原子線出口から基板方向への荷電粒子の飛び出しを防止する荷電粒子除去用電界発生手段を備えていることを特徴としている。
本発明の請求項4に記載の分子線エピタキシャル成長装置(以下、「請求項4の成長装置」と記す)は、請求項3の成長装置において、放電室から飛び出す励起原子を検出する励起原子検出電極を備えていることを特徴としている。
本発明の請求項5に記載の分子線エピタキシャル成長装置(以下、「請求項4の成長装置」と記す)は、請求項4の成長装置において、励起原子検出電極が、励起された励起原子のターゲットとなる基板近傍で基板に向かう励起原子を阻害しない位置に設けられていることを特徴としている。
本発明において、磁界付与手段としては、コイル、電磁石および永久磁石等が挙げられるが、電流をコントロールすることにより磁束密度を容易にコントロールできることからコイルおよび電磁石が好ましい。磁界をかける方向は、特に限定されない。
また、放電室の高周波放電に用いる高周波コイルに電流を流し、高周波コイルによって磁界を発生させるようにしても構わない。
このように高周波コイルを用いて磁界を発生するようにすれば、従来の分子線エピタキシャル成長装置に大きな改造を加える必要がない。
磁束密度は、高周波放電の放電周波数、励起される原子の種類等によっても変化し、特に限定されないが、たとえば、放電周波数が13.56MHzで窒素原子の場合、放電状態による電子温度によるが、数十ミリテスラ(mT)以下、たとえば、0.5ミリテスラ近くのサイクロトロン共鳴が起こる程度のものが好ましい。
オリフィスの穴径と、穴の数は、成長させる薄膜の種類によって経験的に求められて適宜決定されるが、穴径と穴長さとは、穴長さ/穴径(アスペクト比)が大きい程、放電室で形成されたラジカル原子の指向性が向上する。効率のよい原子生成条件において、窒素原子の平均自由行程は、数mm程度と考えられるので、穴の長さは、数mm程度以下が好ましい。また、小さな穴径は、壁と原子との衝突の原因となり、壁との衝突によって励起原子が脱励起される恐れがあるので、アスペクト比を2〜10程度とすることが好ましい。
荷電粒子除去用電界発生手段としては、プラスの電界またはマイナスの電界を形成し、前記原子線出口からの荷電粒子の飛び出しを防止することができれば特に限定されないが、たとえば、ステンレス鋼等の金属製筒状体を荷電粒子の原子線出口からの飛び出し方向とその中心軸が平行となるように配置し、この金属製筒状体にプラスまたはマイナスの電荷を印加する方法が挙げられる。
筒状体の形状は、特に限定されないが、円筒が好ましい。
本発明の請求項6に記載の分子線エピタキシャル成長装置(以下、「請求項6の成長装置」と記す)は、反応ガスを基板表面に供給するガス供給ノズルを備える分子線エピタキシャル成長装置において、前記ガス供給ノズルの先端部に反応ガスをジェット流にして噴射するオリフィスと、このオリフィスより基板側に延出し、オリフィスによってジェット流となった反応ガスの発散を防止して反応ガスを基板方向にガイドするガイド筒部(ノズルジェットとも言う)とを備えていることを特徴としている。
オリフィスの穴径と、穴の数は、成長される薄膜の種類によって経験的に求められて適宜決定されるが、穴径と穴長さとは、穴長さ/穴径(アスペクト比)が大きい程反応ガスの基板への指向性が向上する。反応ガスの平均自由行程は、数mm程度と考えられるので、穴の長さは数mm程度以下が好ましい。また、小さな穴径はジェット流形成に必要となり、アスペクト比を2〜10程度とすることが好ましい。
また、ガイド筒部の長さは、長い程、発散が防止でき指向性が向上する。ガイド筒部長は、その半径との兼ね合いにより、反応ガス放射分布を決定づけるが、あまり長いとジェット流の特性が失われるため、アスペクト比は5〜20程度、ガイド筒部の半径は照射試料基板の半径の1/100〜1/10程度でよい。
本発明の請求項7に記載の分子線エピタキシャル成長装置を用いたIII族グループ窒化物単結晶薄膜の製造方法(以下、「請求項7の製造方法」と記す)は、分子線エピタキシャル成長装置の成長室内に設置されたシリコン基板表面にガス供給ノズルを介して炭素原子を含む反応ガスを供給し、昇温中のシリコン基板表面を反応ガス雰囲気に曝してシリコン基板表面を炭化して立方晶炭化珪素層を形成する立方晶炭化珪素層形成工程と、前記立方晶炭化珪素層形成工程を経て得られたシリコン基板上の立方晶炭化珪素層に向かって、分子線セルからIII族原子を供給し、同時またはある間隔を置いて高周波放電励起原子セルから励起N原子を供給し、立方晶炭化珪素層表面にIII族グループ窒化物単結晶薄膜を形成するIII族グループ窒化物単結晶薄膜形成工程とを備えるIII族グループ窒化物の立方晶単結晶薄膜の製造方法であって、先端部に反応ガスをジェット流にして噴射するオリフィスと、このオリフィスより基板側に延出し、オリフィスでジェット流となった反応ガスの発散を防止するガイド筒部とを備えるノズルを介して反応ガスをシリコン基板表面に供給することを特徴としている。
請求項7の製造方法においては、昇温中のシリコン基板表面が炭素原子を含む反応ガス雰囲気に曝されるようになっているが、そのタイミングは、特に限定されないが、比較的低温たとえば300℃程度まで昇温されると開始すればよい。また、立方晶炭化珪素層形成工程において形成された炭化膜内をシリコン原子が拡散してくる時間を考慮して、反応ガスを断続的に照射することが高品質の炭化膜を作製するのに有効である。
なお、炭素原子を含む反応ガスとしては、特に限定されないが、たとえば、アセチレンガスが挙げられる。
本発明の請求項8に記載の分子線エピタキシャル成長装置を用いたIII族グループ窒化物の立方晶単結晶薄膜の製造方法(以下、「請求項8の製造方法」と記す)は、請求項7の製造方法において、III族グループ窒化物単結晶薄膜形成工程において、高周波放電励起ラジカルセルの放電室外部から磁界をかけるともに、放電室の原子線出口にオリフィスを設け、このオリフィスを介して励起窒素原子を立方晶炭化珪素層に向けて供給することを特徴としている。
本発明の請求項9に記載の分子線エピタキシャル成長装置を用いたIII族グループ窒化物の立方晶単結晶薄膜の製造方法(以下、「請求項9の製造方法」と記す)は、請求項8の製造方法において、高周波放電励起ラジカルセルの放電室の原子線出口前方に、プラスの電界を形成し、原子線出口からの窒素イオンの飛び出しを防止することを特徴としている。
本発明の請求項10に記載の分子線エピタキシャル成長装置を用いたIII族グループ窒化物の立方晶単結晶薄膜の製造方法(以下、「請求項10の製造方法」と記す)は、請求項9の製造方法において、放電室から飛び出す励起原子を検出する励起原子検出電極を基板近傍で基板に向かう励起原子を阻害しない位置に設け、励起窒素原子量をモニタリングしながら単結晶薄膜を成長させることを特徴としている。
本発明の請求項11に記載の分子線エピタキシャル成長装置を用いたIII族グループ窒化物の立方晶単結晶薄膜の製造方法(以下、「請求項11の製造方法」と記す)は、請求項7〜請求項10のいずれかの製造方法において、III族グループ窒化物単結晶薄膜形成工程において、III族原子と励起窒素原子とともに、シリコン原子を立方晶炭化珪素層に向けて供給することを特徴としている。
本発明の請求項12に記載の分子線エピタキシャル成長装置を用いたIII族グループ窒化物の立方晶単結晶薄膜の製造方法(以下、「請求項12の製造方法」と記す)は、請求項7〜請求項11のいずれかの製造方法において、立方晶炭化珪素層形成工程において、反応ガスとともに、シリコン原子をシリコン基板に向けて供給することを特徴としている。
本発明において、III族原子とは、特に限定されないが、Al(アルミニウム)、Ga(ガリウム)、In(インジウム)が挙げられ、本発明の製造方法で得られる立方晶単結晶薄膜は、これらIII族原子の混晶となっていても構わない。
請求項1の成長装置は、以上のように、放電室外部から磁界を与えるようになっているので、磁界によって放電室内の励起原子がサイクロトロン運動し、基板に向かって集中して供給されるようになる。したがって、窒素ガス濃度を少なくすることができ、大きな真空ポンプを用いなくても系内を高真空に保つことができる。すなわち、装置の小型化とともに省エネルギー化、省資源化が図れる。また、磁界付与手段が磁束密度を変化させることが可能となっているので、磁束密度を変化させながら、放電スペクトルを調べれば、最適な磁束密度がわかる。そして、求めた最適な磁束密度の磁界を放電室にかけることによって、より効率のよい分子線エピタキシャル成長を行わせることができる。
請求項2の成長装置は、放電室の原子線出口にオリフィスが設けられているので、オリフィスによって励起原子の照射範囲を制御できることから、発生ラジカルを有効に利用できることができる。すなわち、放電室内で発生した励起原子が、基板に向かって発散することなく有効に供給される。したがって、さらに効率よく分子線エピタキシャル成長を行わせることができる。
請求項3の成長装置は、高周波放電励起原子セルの放電室の原子線出口前方にプラスの電界またはマイナスの電界を形成し、前記原子線出口から基板方向への荷電粒子の飛び出しを防止する荷電粒子除去用電界発生手段を備えているので、荷電粒子除去用電界発生手段によってプラスの電界を原子線出口に発生させれば、放電室内で発生した荷電粒子であるプラスイオンの原子線出口からの飛び出しを防止し、マイナスの電界を原子線出口に発生させれば、放電室内で発生した荷電粒子である電子やマイナスイオンの原子線出口からの飛び出しを防止することができる。すなわち、結晶成長を阻害する荷電粒子が基板表面に到達しないようにすることができる。
請求項4の成長装置は、放電室から飛び出す励起原子を検出する励起原子検出電極を備えているので、結晶成長速度や結晶膜厚を容易にコントロールすることができる。
請求項5の成長装置は、励起原子検出電極が、励起された励起原子のターゲットとなる基板近傍で基板に向かう励起原子を阻害しない位置に設けられているので、結晶成長速度や結晶膜厚を、モニタリングしながら、緻密に制御することができる。したがって、より良質な結晶を容易に得ることができる。
請求項6の成長装置は、ガス供給ノズルの先端部に反応ガスをジェット流にして噴射するオリフィスと、このオリフィスより基板側に延出し、オリフィスでジェット流となった反応ガスの発散を防止するガイド筒部とを設けるようにしたので、基板近くに反応性ガス噴出口を配することが可能となり、真空度を悪くすることなく、効率よく基板表面に反応ガスを供給できる。したがって、余分な反応ガス量が少なくなり、大きな真空ポンプを用いなくても系内を高真空に保つことができる。すなわち、装置の小型化と共に省エネルギー化、省資源化が図れる。
請求項7の製造方法は、炭素原子を含む反応ガスをシリコン基板へ指向性よく供給でき、必要最小限の炭素原子を含む反応ガスによってシリコン基板表面に立方晶炭化珪素層を効率よく形成できる。
請求項8の製造方法は、励起窒素原子を立方晶炭化珪素層表面に指向性よく供給できるとともに、オリフィスによってIII族グループ窒化物立方晶単結晶薄膜形成に悪影響を与える窒素イオンを取り除くことができ、必要最小限の励起窒素原子で立方晶炭化珪素層上に良質の窒化ガリウム等のIII族グループ窒化物単結晶薄膜を効率よく形成できる。
請求項9の製造方法は、高周波放電励起ラジカルセルの放電室の原子線出口前方に、プラスの電界を形成し、原子線出口からの窒素イオンの飛び出しを防止するので、均一な結晶成長を阻害する荷電粒子が基板表面に到達しないようにすることができる。
請求項10の製造方法は、放電室から飛び出す励起原子を検出する励起原子検出電極を基板近傍で基板に向かう励起原子を阻害しない位置に設け、励起窒素原子量をモニタリングしながら単結晶薄膜を成長させるので、より良質なIII族グループ窒化物単結晶薄膜を容易に得ることができる。
請求項11の製造方法は、III族原子と励起窒素原子とともに、シリコン原子を立方晶炭化珪素層に向けて供給するので、より良質なIII族グループ窒化物単結晶薄膜が得られる。
請求項12の製造方法は、立方晶炭化珪素層形成工程において、炭素原子を含む反応ガスとともに、シリコン原子をシリコン基板に向けて供給するようにしたので、反応ガスによって、形成された炭化膜内をシリコン原子が拡散してくる量が減少するのをシリコン用分子線セルから供給されるシリコン原子で補うことができ、より良質で平坦な立方晶炭化珪素層をシリコン基板の表面に形成できる。したがって、より良質なIII族グループ窒化物単結晶薄膜が得られる。
以下に、本発明を、その実施の形態をあらわす図面を参照して詳しく説明する。
図1〜図3は、本発明にかかる分子線エピタキシャル成長装置の第1の実施の形態をあらわしている。
図1中、1aは分子線エピタキシャル成長装置(以下、「MBE装置」と記す)、2は成長室、3aはAl用分子線セル(クヌーセンセル、K−セルといわれる場合もある)、3bはGa用分子線セル、3cはIn用分子線セル、3dはシリコン用分子線セル、4aは高周波放電励起原子セル、5は反応ガスを成長室2に導入する反応ガス導入セル、6はシリコン基板、7は基板支持部、71は加熱ヒータ、8はマニピュレータ、9はQ−mass質量分析器、10は分子ターボポンプ、11はゲートバルブ、12は試料準備室、13はビューポート、14は液体窒素シュラウドクライオポンプ、15はRHEED(高速反射電子回折)電子銃、16はRHEEDスクリーン、17はフラックスモニタ用イオンゲージであって、高周波放電励起原子セル4aおよび反応ガス導入セル5以外は、従来のMBE装置と同様のものになっている。
アルミニウム用分子線セル3a、ガリウム用分子線セル3b、インジウム用分子線セル3c,および、シリコン用分子線セル3dは、それぞれPBN(窒化硼素)製のルツボ31と、ヒータ32と、シャッター33をそれぞれ備えていて、従来のものと同様の構造をしている。
高周波放電励起原子セル4aは、図1および図2に示すように、放電室41と、水冷RF(高周波)コイル42と、放電室41の出口に設けられた多数のオリフィス43と、放電室41および水冷RFコイル42を囲繞するように設けられた外筒44と、外筒44の周りに巻回された磁界付与手段としての磁界付与コイル45と、ガス供給管46と、ビューポート47と、シャッター48を備えている。
磁界付与コイル45は、図示していないが、外部に設けられたコントローラによって、その供給電力を変化させることによって、放電室41にかかる磁界の磁束密度を自由に変化させることができるようになっている。
ガス供給管46には、窒素源となる液体窒素ボンベ(図示せず)に接続されている。
反応ガス導入セル5は、図1および図3に示すように、内部にガス供給ノズル51を有し、ガス供給ノズル51の先端に1穴のオリフィス52が設けられ、このオリフィス52から基板6方向に向かってガイド筒部53が延出しているとともに、ガイド筒部53の前方にシャッター54が設けられている。
オリフィス52およびガイド筒部53は、ジョイント56を介してオリフィス52およびガイド筒部53をアタッチメント50を介して既存のガス供給ノズル51に装着することによって形成されている。
また、ガス供給ノズル51は、その基端部に設けられたニードルバルブ55を介して反応ガスとしてのアセチレンのボンベ(図示せず)に接続されている。ガス供給ノズル51およびガイド筒部53は、特に限定されないが、1/4インチ程度のステンレス管が用いられる。
このMBE装置1aは、以上のようになっており、たとえば、III族グループ窒化物である窒化ガリウムの立方晶単結晶薄膜を以下のようにして製造することができる。
すなわち、まず、シリコン基板をHF(フッ化水素):HO=5%:95%(Vol.)混合比のエッチャントによって化学エッチングした後、基板支持部7に直ちにセットして、成長室2内を10―8パスカル以下の超高真空にする。つぎに、シリコン基板6を加熱ヒータ71によって昇温途中に反応ガス導入セル5のガス供給ノズル51からアセチレンガスをシリコン基板6表面に向けて供給し、シリコン基板表面をアセチレンガスに曝して表面のシリコンを炭化してシリコン基板6表面に厚み5nm程度の立方晶炭化珪素層を形成する。なお、このとき、アセチレンガスは、ガス供給ノズル51の先端にオリフィス52が設けられているので、オリフィス52からジェット流になってシリコン基板6に向かって噴射され、オリフィス52からジェット流になって噴射されたアセチレンガスは、ガイド筒部53によって発散が抑えられて、指向性よくシリコン基板6表面に供給される。なお、シャッター54の開閉によって供給量をコントロールすることもできる。
そして、このようにして立方晶炭化珪素層を形成させたのち、アセチレンガスの供給を停止し、基板温度を500℃程度にするとともに、超高真空状態を保った状態で高周波放電励起窒素原子セル4aにより窒素原子を供給し、ガリウム用分子線セル3bのルツボ31をヒータ32によって加熱してルツボ31内の金属ガリウムを蒸発させ、シャッター33をコントロールして立方晶炭化珪素層表面にガリウム原子を供給して、窒化ガリウム低温バッファ層を2nmから20nm程度の膜厚で形成する。また、ガリウム原子とともに、シリコン用分子線セル3dによって同様にしてシリコン原子を立方晶炭化珪素層表面に供給する。
さらに、高周波放電励起原子セル4aの放電室41内で放電室41内に供給された窒素ガスに高周波コイル42によって高周波を印加し、励起窒素原子を発生させるとともに、磁界付与コイル45aに電流を流して、直流磁界を放電室41にかけてサイクロトロン共鳴を起こさせて、多数の穴を有するオリフィス43を通して励起窒素原子をシリコン基板6にガリウム原子と同時またはある間隔を置いて供給し、立方晶窒化ガリウム低温バッファ層表面上に立方晶窒化ガリウム単結晶薄膜を形成するようになっている。なお、窒化ガリウム低温バッファ層の出来具合とその後の成長の際の窒素原子とガリウム原子の流量の比により六方晶窒化ガリウム単結晶薄膜を成長させることも可能である。
図4は、本発明にかかるMBE装置の第2の実施の形態をあらわしている。
図4に示すように、このMBE装置1bは、高周波放電励起原子セル4bが、以下のようになっている以外は、上記MBE装置1aと同様になっている。
すなわち、高周波放電励起原子セル4bは、磁界付与手段として2つのコイル45b、45bが放電室41を両側から挟むように配置され、矢印で示すように放電室41の軸方向に対して垂直方向に磁界が加わるようになっている以外、上記高周波放電励起原子セル4aと同様になっている。
図5は、本発明にかかるMBE装置の第3の実施の形態をあらわしている。
図5に示すように、このMBE装置1cは、高周波放電励起原子セル4cが、以下のようになっている以外は、上記MBE装置1aと同様になっている。
すなわち、高周波放電励起原子セル4cは、磁界付与手段として電磁石45cが2つの磁極45d、45dによって放電室41を両側から挟むように設けられている以外は、上記高周波放電励起原子セル4aと同様になっている。
また、高周波放電励起原子セル4cは、上記の電磁石45cに代えて、図6に示すような永久磁石を用いた磁界付与手段45eを用いることもできる。すなわち、この磁界付与手段45eは、磁性体板45fと磁性体板45fとの間に位置が可変の永久磁石45gが配置され、永久磁石45gの位置を変えることによって磁束密度が変わるようになっていて、両磁性体板45fの先端を放電室41の片側の壁面に臨ませるように配置するようになっている。
図7〜図9は、本発明にかかるMBE装置の第4の実施の形態をあらわしている。
図7に示すように、このMBE装置1dは、荷電粒子除去用電界発生手段100と、励起原子検出電極200とを備える以外は、上記MBE装置1aと同様になっている。
すなわち、荷電粒子除去用電界発生手段100は、図7〜図9に示すように、電界発生電極110と、給電装置120とを備えている。
電界発生電極110は、ステンレス鋼によって直径25mm、軸方向長さ15mmの円筒形状に形成されていて、放電室41の原子線出口が円筒の内部を臨むように放電室41の先端に固定されている。
給電装置120は、直流電源121と、電界発生電極110への給電線122と、切り替えスイッチ123とを備えていて、切り替えスイッチ123の切り替えによって、電界発生電極110の筒内にプラスの電界あるいはマイナスの電界を形成できるようになっている。
励起原子検出電極200は、図7および図9に示すように、直径0.5mm程度のタンタル線をコイル状にすることによって形成されるとともに、基板近傍の基板に向かう励起原子を阻害しない位置に設けられていて、検出回路210が接続されている。
検出回路210は、直流電源211と、励起原子検出電極200への給電線212と、切り替えスイッチ213と、電流計214とを備え、切り替えスイッチ213を切り替えることによって励起原子検出電極200をアースに対してプラスあるいはマイナスの電位を与えることができるようになっている。
このMBE装置1dは、以上のようになっており、たとえば、III族グループ窒化物である窒化ガリウムの立方晶単結晶薄膜を以下のようにして製造することができる。
すなわち、このMBE装置1dを用いた窒化ガリウムの立方晶単結晶薄膜の製造方法は、荷電粒子除去用電界発生手段100の電界発生電極110に250V〜1000V程度のプラスの電荷を印加し、原子線出口前方にプラスの電界を形成するとともに、励起原子検出電極200をマイナスの電位にしておき、励起窒素原子(N)が検出電極200に衝突した時に発生する2次電子が検出回路200に流れることによって生じる電流変化を電流計214によってモニタリングしながら窒化ガリウム単結晶薄膜を形成するようになっている以外は、上記MBE装置1aを用いた製造方法と同様になっている。
そして、この製造方法によれば、電界発生電極110によって放電室41の原子線出口前方にプラスの電界が形成されているので、III族グループ窒化物単結晶薄膜である窒化ガリウムの立方晶単結晶薄膜の成長に悪影響を与える放電室41内で発生したNイオンが、プラスの電界による反発力によって原子線出口から成長室側に飛び出るのを防止される。したがって、窒化ガリウムの立方晶単結晶薄膜の成長に有効な励起窒素原子(N)のみが基板表面へと供給され、良質な窒化ガリウムの立方晶単結晶薄膜を安定して得ることができる。
しかも、検出回路200の電流計214の電流値をモニタリングしながら窒化ガリウムの立方晶単結晶薄膜を成長させることができるので、電流計214でモニタリングした予め求めてある検量線等と照合させながら、窒素の供給量をコントロールして立方晶単結晶薄膜の膜厚を自由に制御できる。
また、MBE装置1dは、励起原子検出電極200の極性を切り替えることができるので、励起原子検出電極200をプラスに帯電させるようにしておけば、原子線出口から成長室2内に飛び出る電子の量を測定することができる。さらに、励起原子検出電極200をマイナスに帯電させた状態で原子線出口前方に電界をかけないようにすれば、励起原子検出電極200によってNイオンの量を検出することができる。
図10は、本発明にかかるMBE装置の第5の実施の形態をあらわしている。
図10に示すように、このMBE装置1eは、上記MBE装置1aのように磁界付与コイル45を設ける代わりに、高周波放電励起原子セル4aの高周波コイル42への高周波回路400にフィルター510を備えた直流回路500を並列に接続し、RFコイルに交流電流と直流電流とを同時に流すことによって高周波を発生させると同時に磁界を発生させるようにした以外は、上記MBE装置1aと同様になっている。なお、図10中、420は、マッチングボックスである。
このMBE装置1eは、磁界付与コイル45等の磁界付与手段を別途設けることなく、高周波回路400にフィルター510を備えた直流回路500を並列に接続するだけの簡単な構成で、高周波コイル42を用いて高周波を発生させると同時に磁界を発生させることができ、低コスト化できるとともに、高周波放電励起原子セル4aも小型化できる。
上記の実施の形態に限らない。たとえば、ルツボはPBNに代えてアルミナ使用することもできる。また、上記の実施の形態では、高周波放電励起原子セルを励起窒素源として用いていたが、励起酸素源としても使用できる。すなわち、超高真空中での活性酸素原子と、基板との反応を利用する行程に利用することができ、酸素化合物作製行程にも応用可能である。
上記の実施の形態では、荷電粒子除去用電界発生手段が円筒状をしていたが、角筒状をしていても構わない。また、電界がうまく形成されれば、柱状のものが間欠的に同一円周状に並ぶように設けたものや金網状のもので形成するようにしても構わない。さらに円筒の開口部を金網で覆うようにしても構わない。
また、本発明の荷電粒子除去用電界発生手段および励起原子検出電極は、磁界発生手段が設けられていない従来のMBE装置に採用しても、同様の効果を得ることができる。
(実施例1)
従来のGaAs用MBE装置(V.G. Semicon社製80H)のKセルポートに、高周波放電励起原子セル(アリオス社製IRFS−501RF;13.56MHz)を励起窒素源として装着し、この高周波放電励起原子セルの放電室の原子線出口に厚み(穴長さ)2mm、穴径(直径)0.5mm、穴数185穴のPBN製オリフィスをセットするとともに、図5に示すような電磁石45cを装着した。さらに、内径1/4インチ、長さ20cmのガイド筒部を一端に備え、他端に穴径1mm、穴長さ0.5mmの1穴のオリフィスを備えた図3に示すようなアタッチメントをガス供給ノズルの先端に装着して、図1に示すような本発明のMBE装置を得た。
そして、まず、シリコン(001),(111)基板をHF(フッ化水素):HO=5%:95%(Vol.)混合比のエッチャントによる化学エッチングの後、上記MBE装置へ速やかに導入した。その後、成長室内を10−8パスカル以下の超高真空にして、基板温度が昇温途中の300℃になった時点でアセチレン(99.95%)ガスをガス供給ノズルから分子線状にして基板表面に供給しながら、基板温度を900℃まで昇温した。このときの成長室内の真空度は、5.0〜10.0×10−6パスカル以下であった。この結果、シリコン基板表面は炭化されて、立方晶炭化珪素のRHEED像が確認できた。そして、低温バッファ層を5〜10nm成長させたのち、ガリウム用分子線セルからガリウム原子を過剰に成長室内に供給するとともに、高周波放電励起原子セルへの窒素ガスの流量を0.3、0.4、0.7、0.85sccmと変化させるとともに、それぞれの流量で、電磁石によって放電室にかける磁界の磁束密度を変化させ、747nmでのN原子スペクトル強度を測定し、その結果を図11に示した。なお、スペクトル強度の測定は、実際強度が大きすぎる場合は、光路に減衰フィルターを介在させた状態で行った。
(実施例2)
放電室の出口のオリフィスを、厚み0.5mm,穴径2mm、穴数1穴とするとともに、光路に異なる減衰フィルターを介在させた以外は、実施例1と同様の測定を行い、その結果を図12に示した。
(実施例3)
放電室の原子線出口に厚み(穴長さ)2mm、穴径(直径)0.2mm、穴数185穴のオリフィスをセットするとともに、光路に異なる減衰フィルターを介在させた以外は、実施例1と同様の測定を行い、その結果を図13に示した。
図11〜図13から、放電室に外部から磁界をかけるようにすれば、同じ流量でもスペクトル強度が大きくなり、効率よく基板表面に励起N原子を供給できることがわかる。すなわち、実施例1のオリフィスでは、図11に示すように、流量0.3sccmで磁束密度1.0とした場合、磁界をかけない流量0.7sccmの場合よりスペクトル強度が大きい。
また、図11〜図13から、オリフィスの形状によってその効率が変化することがよくわかる。
すなわち、最適なオリフィスの形状(穴数、穴長さ、穴径)、磁束密度を予め求めておけば、最少の流量で、超高真空を保ったまま効率よくIII族グループ窒化物の立方晶単結晶薄膜を製造できることがよくわかる。
(実施例4)
アセチレンガスとともに、シリコン用分子線セルからシリコン原子を基板表面に照射した以外は、実施例1と同様にして立方晶炭化珪素層をシリコン基板表面に形成し、得られた立方晶炭化珪素層表面を原子間力走査顕微鏡(「AFM」とも記す)によって観察した結果、シリコン原子を照射しない場合に観測されるピットが1ミクロン平方メートルあたり1〜8個存在していた物が消失し、表面荒さを示すラフネスは照射することにより0.29nmに減少していた。したがって、立方晶炭化珪素層を形成する場合、炭素を含む反応ガスとともにシリコン原子を同時にシリコン基板表面に照射すれば、続くIII族グループ窒化物単結晶薄膜成長により有効であることがわかった。
(実施例5)
実施例1と同様のMBE装置と試料準備条件を用い、立方晶炭化珪素層形成工程を経て得られた立方晶炭化珪素層の表面に立方晶炭化珪素層形成工程に引き続いて低温バッファ層を基板温度500℃で成長させたのち、基板を800℃、ガリウム用分子線セル温度を965℃、窒素流量0.5sccmで、3時間かけて窒化ガリウム膜を成長させた。
そして、得られた窒化ガリウム膜の16Kで測定したPL(フォトルミネッセンス)測定結果を図14に示した。
図14に示すように、実施例5の条件では、立方晶窒化ガリウムと六方晶窒化ガリウムのバンド端付近の発光が観測され、その他に2.8eV付近の発光も観測された。この2.8eV付近の発光は、欠陥が形成する深い準位を介した発光と思われる。
(実施例6)
窒化ガリウム膜の成長工程において、同時にシリコン用分子線セルからセル温度1300℃でシリコン原子を供給した以外は、上記実施例4と同様にして窒化ガリウム薄膜をシリコン基板上に形成し、得られた窒化ガリウム膜の16Kで測定したPL(フォトルミネッセンス)測定結果を図15に示した。
図15に示すように、実施例6の条件では、2.8eV付近での発光は見られず、立方晶窒化ガリウムのバンド付近の発光が主に見られた。
上記実施例4および実施例5の結果からガリウムと同時にシリコンを照射することによってより立方晶窒化ガリウム単結晶薄膜の結晶性が向上することがわかる。
なお、実施例5、6の結晶膜をXRD(X線回折)測定したところ、実施例6のように、ガリウムと同時にシリコンを照射した場合、実施例5に比べ、半値幅が減少し、その強度が増加していた。この結果からも、ガリウムと同時にシリコンを照射することによってより立方晶窒化ガリウム単結晶薄膜の結晶性が向上することがわかる。
(実施例7)
実施例1のMBE装置の高周波放電励起原子セルに図7に示すMBE装置1dのように荷電粒子除去用電界発生手段100および励起原子検出電極200を取り付けるとともに、励起原子検出電極200に−100Vをかけ、高周波放電励起原子セルを用いて窒素ガス流量0.5sccm、RF入力電力500Wの窒素活性条件で窒素を励起させて成長室内に噴射し、荷電粒子除去用電界発生手段の電界発生電極にかける印加電圧を−1000V〜1000Vまで変化させ、印加電圧と励起原子検出電極200によって測定される電流値(窒素イオンの荷電粒子密度)の変化を調べ、その結果を図16に示した。
図16から、電界発生電極にかける印加電圧がプラス側になるにつれて、電流値が減少し、電界発生電極110にかける印加電圧が250Vよりプラス側では、略平衡状態になることがわかる。すなわち、電界発生電極110に250V以上のプラスの電荷を印加すれば、プラスの電界によって原子線出口からの飛び出しが完全に防止されることがわかる。なお、荷電粒子の流入がないのに電流値が0にならないのは、励起窒素原子によって励起原子検出電極200より2次電子が放出され、この2次電子を検出しているためと考えられる。
本発明にかかる分子線エピタキシャル成長装置の第1の実施の形態を模式的にあらわす断面図である。 図1の分子エピタキシャル成長装置の高周波放電励起原子セル部分の斜視図である。 図1の分子エピタキシャル成長装置のガス供給ノズル部分の要部断面図である。 本発明にかかる分子線エピタキシャル成長装置の第2の実施の形態の高周波放電励起原子セル部分をあらわす斜視図である。 本発明にかかる分子線エピタキシャル成長装置の第3の実施の形態の高周波放電励起原子セル部分をあらわす斜視図である。 本発明にかかる分子線エピタキシャル成長装置の高周波放電励起原子セルに用いる磁界付与手段の他の例をあらわす斜視図である。 本発明にかかる分子線エピタキシャル成長装置の第4の実施の形態を模式的にあらわす断面図である。 図7の分子線エピタキシャル成長装置の電界発生電極の取り付け状態を説明する斜視図である。 図7の分子線エピタキシャル成長装置の荷電粒子除去用電界発生手段および励起原子検出電極の電気回路を説明する説明図である。 本発明にかかる分子線エピタキシャル成長装置の第5の実施の形態の高周波コイルの電気回路を説明する説明図である。 実施例1で求めた各ガス流量での磁束密度とスペクトル強度の関係をあらわすグラフである。 実施例2で求めた各ガス流量での磁束密度とスペクトル強度の関係をあらわすグラフである。 実施例3で求めた各ガス流量での磁束密度とスペクトル強度の関係をあらわすグラフである。 実施例4で得た窒化ガリウム結晶膜のPL測定結果をあらわすグラフである。 実施例5で得た窒化ガリウム結晶膜のPL測定結果をあらわすグラフである。 実施例7で得た図7に示すMBE装置を用いた場合における荷電粒子除去用電界発生手段の電界発生電極にかける印加電圧を−1000V〜1000Vまで変化させ、印加電圧と励起原子検出電極によって測定される電流値の変化を調べた結果をあらわすグラフである。
符号の説明
1a,1b,1c,1d,1e 分子線エピタキシャル成長装置(MBE装置)
2 成長室
3a Al用分子線セル
3b Ga用分子線セル
3c In用分子線セル
3d シリコン用分子線セル
4a,4b,4c 高周波放電励起原子セル
41 放電室
43 オリフィス
45a 磁界付与コイル(磁界付与手段)
45b コイル(磁界付与手段)
45c 電磁石(磁界付与手段)
45e 磁界付与手段
5 反応ガス導入セル
51 ガス供給ノズル
52 オリフィス
53 ガイド筒部
6 基板
100 荷電粒子除去用電界発生手段
200 励起原子検出電極

Claims (12)

  1. 高周波放電励起原子セルを備える分子線エピタキシャル成長装置において、
    前記高周波放電励起原子セルが、その放電室内で励起された励起原子に放電室外から磁界を作用させる磁束密度可変の磁界付与手段を備えていることを特徴とする分子線エピタキシャル成長装置。
  2. 放電室の原子線出口にオリフィスが設けられている請求項1に記載の分子線エピタキシャル成長装置。
  3. 高周波放電励起原子セルの放電室の原子線出口前方にプラスの電界またはマイナスの電界を形成し、前記原子線出口から基板方向への荷電粒子の飛び出しを防止する荷電粒子除去用電界発生手段を備えている請求項1または請求項2に記載の分子線エピタキシャル成長装置。
  4. 放電室から飛び出す励起原子を検出する励起原子検出電極を備えている請求項3に記載の分子線エピタキシャル成長装置。
  5. 励起原子検出電極が、励起された励起原子のターゲットとなる基板近傍で基板に向かう励起原子を阻害しない位置に設けられている請求項4に記載の分子線エピタキシャル成長装置。
  6. 反応ガスを基板表面に供給するガス供給ノズルを備える分子線エピタキシャル成長装置において、
    前記ガス供給ノズルの先端部に反応ガスをジェット流にして噴射するオリフィスと、このオリフィスより基板側に延出し、オリフィスによってジェット流となった反応ガスの発散を防止して反応ガスを基板方向にガイドするガイド筒部とを備えていることを特徴とする分子線エピタキシャル成長装置。
  7. 分子線エピタキシャル成長装置の成長室内に設置されたシリコン基板表面にガス供給ノズルを介して炭素原子を含む反応ガスを供給し、昇温中のシリコン基板表面を反応ガス雰囲気に曝してシリコン基板表面を炭化して立方晶炭化珪素層を形成する立方晶炭化珪素層形成工程と、前記立方晶炭化珪素層形成工程を経て得られたシリコン基板上の立方晶炭化珪素層に向かって、分子線セルからIII族原子を供給し、同時またはある間隔を置いて高周波放電励起原子セルから励起N原子を供給し、立方晶炭化珪素層表面にIII族グループ窒化物単結晶薄膜を形成するIII族グループ窒化物単結晶薄膜形成工程とを備えるIII族グループ窒化物の立方晶単結晶薄膜の製造方法であって、先端部に反応ガスをジェット流にして噴射するオリフィスと、このオリフィスより基板側に延出し、オリフィスでジェット流となった反応ガスの発散を防止するガイド筒部とを備えるノズルを介して反応ガスをシリコン基板表面に供給することを特徴とする分子線エピタキシャル成長法を用いたIII族グループ窒化物単結晶薄膜の製造方法。
  8. III族グループ窒化物単結晶薄膜形成工程において、高周波放電励起ラジカルセルの放電室外部から磁界をかけるとともに、放電室の原子線出口にオリフィスを設け、このオリフィスを介して励起窒素原子を立方晶炭化珪素層に向けて供給する請求項7に記載の分子線エピタキシャル成長装置を用いたIII族グループ窒化物単結晶薄膜の製造方法。
  9. 高周波放電励起ラジカルセルの放電室の原子線出口前方に、プラスの電界を形成し、原子線出口からの窒素イオンの飛び出しを防止する請求項8に記載の分子線エピタキシャル成長装置を用いたIII族グループ窒化物単結晶薄膜の製造方法。
  10. 放電室から飛び出す励起原子を検出する励起原子検出電極を基板近傍で基板に向かう励起原子を阻害しない位置に設け、励起窒素原子量をモニタリングしながら単結晶薄膜を成長させる請求項9に記載の分子線エピタキシャル成長装置を用いたIII族グループ窒化物単結晶薄膜の製造方法。
  11. III族グループ窒化物単結晶薄膜形成工程において、III族原子と励起窒素原子とともに、シリコン原子を立方晶炭化珪素層に向けて供給する請求項7〜請求項10のいずれかに記載の分子線エピタキシャル成長装置を用いたIII族グループ窒化物単結晶薄膜の製造方法。
  12. 立方晶炭化珪素層形成工程において、反応ガスとともに、シリコン原子をシリコン基板に向けて供給する請求項7〜請求項11のいずれかに記載の分子線エピタキシャル成長装置を用いたIII族グループ窒化物単結晶薄膜の製造方法。
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