JP2005307201A - 分散剤もしくは塗装性改良剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 数平均分子量1,500〜100,000のポリオレフィン(a)からなる疎水基と、オニウム塩基(b)を少なくとも1個含む親水基を有し、かつ(b)1個当たりの数平均分子量が750〜50,000である変性ポリオレフィン(A)からなる分散剤(I)もしくは塗装性改良剤(II)。
【選択図】 なし
Description
また、ポリオレフィン樹脂の塗装性(塗膜密着性等)を改良する樹脂改質剤としては、水酸基を含有する水酸基変性ポリプロピレンが知られている(例えば、特許文献2参照)。
また、上記水酸基を含有する水酸基変性ポリプロピレンを塗装性改良のための樹脂改質剤として用いた場合は、十分な塗膜密着性等を確保するために水酸基変性ポリプロピレンの変性度を大きくする必要があり、その結果水酸基変性ポリプロピレンの分子量が低下し、機械的特性(とくに耐衝撃性)が低下する。一方、変性度を小さくすると十分な塗膜密着性が得られない等の問題がある。
本発明の目的は、分散剤に関しては、少量の添加で、樹脂の機械的・熱的特性を低下させることなく樹脂中へのフィラー分散効果に優れる分散剤を提供することにある。他の目的は、樹脂に分散する前の事前の煩雑なフィラーの有機化工程を省略することができ、しかもフィラー分散効果の高い分散剤を提供することにある。さらに他の目的は、該分散剤とフィラーからなる改質材、該改質材に添加剤を含有させてなる樹脂改質用組成物、および該改質材または樹脂改質用組成物とポリオレフィン樹脂からなるマスターバッチ樹脂組成物を提供することにある。
また、塗装性改良剤に関しては、少量の添加で、樹脂の機械的特性を低下させることなく樹脂の塗装性(塗膜密着性等)を向上させる塗装性改良剤、該塗装性改良剤とフィラーからなる改質材、該改質材に添加剤を含有させてなる樹脂改質用組成物、および該改質材または樹脂改質用組成物とポリオレフィン樹脂からなるマスターバッチ樹脂組成物、を提供することにある。
すなわち、本発明は、数平均分子量1,500〜100,000のポリオレフィン(a)からなる疎水基と、オニウム塩基(b)を少なくとも1個含む親水基を有し、かつ(b)1個当たりの数平均分子量が750〜50,000である変性ポリオレフィン(A)からなる分散剤(I)もしくは塗装性改良剤(II);該(I)もしくは(II)と、フィラーを組み合わせてなることを特徴とする樹脂用改質材;該改質材に、さらに、着色剤、補強剤、艶消剤、難燃剤、帯電防止剤、その他の塗装性改良剤、その他の分散剤、酸化防止剤および紫外線吸収剤からなる群から選ばれる1種または2種以上の添加剤(B)を含有させてなる樹脂改質用組成物;並びに、該改質材または樹脂改質用組成物とポリオレフィン樹脂(C)からなり、改質材を10〜80重量%含有してなるマスターバッチ樹脂組成物;該(A)からなる分散剤(I)をポリオレフィン樹脂に含有させることを特徴とするポリオレフィンプラスチック製品の機械的および熱的特性改良方法;並びに、該(A)からなる塗装性改良剤(II)をポリオレフィン樹脂に含有させることを特徴とするポリオレフィンプラスチック製品の塗装性改良方法である。
(1)樹脂の機械的・熱的特性を低下させることなく、少量の添加でポリオレフィン樹脂中へのフィラーの分散効果に優れる。
(2)オニウム塩基を有するため、フィラー、例えばクレーを予め有機化しこれをポリオレフィン樹脂に微分散させることに加えて、クレーを予め有機化することなくポリオレフィン樹脂に微分散させることもできる。
(3)ポリオレフィン樹脂の機械的・熱的特性の向上に寄与するフィラーの充填効果(以下、樹脂改質効果と略記)を充分に発揮させることができる。
(4)少量の添加で、樹脂の機械的特性を低下させることなく樹脂の塗装性(塗膜密着性等)を向上させることができる。
(a)には、オレフィンの1種または2種以上の(共)重合体、並びにオレフィンの1種以上と他の単量体の1種以上との共重合体が含まれる。以下において、%および比は、別に規定しない限り、それぞれ重量%および重量比を表す。
上記オレフィンには、炭素数(以下、Cと略記)2〜30(好ましくは2〜12、さらに好ましくは2〜4)のアルケン、例えばエチレン、プロピレン、1−、2−およびイソブテン、並びにC5〜30のα−オレフィン(1−ヘキセン、4−メチルペンテン−1,1−デセン、1−ドデセン等);他の単量体には、オレフィンと共重合性の不飽和単量体、例えばスチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸(アクリル酸および/またはメタクリル酸を表し、以下同様の表現を用いる)およびそのアルキル(C1〜30)エステルが含まれる。
これらのうち、ポリオレフィン樹脂への後述のフィラーの分散性の観点から好ましいのは、ポリエチレン、エチレン/プロピレン共重合体、プロピレン/不飽和単量体(C4〜20)共重合体、およびとくにポリプロピレンである。
上記(a)のうち、変性の容易さの観点および後述する樹脂組成物中でのポリオレフィン樹脂との相溶性の観点から好ましいのは、分子末端および/または分子内の、炭素1,000個当たりの二重結合量が0.2〜10個、さらに好ましくは0.3〜6個、とくに好ましくは0.5〜5個のポリオレフィンである。ここにおいて、二重結合量は1H−NMR(核磁気共鳴)分光法から得られるスペクトル中の4.5〜6.0ppm間における二重結合由来のピークと、0.5〜2.0ppm間における飽和炭化水素基由来のピークの各積分値の比率から算出できる。
α,β−不飽和カルボン酸(無水物)(m1)には、不飽和モノ−およびジカルボン酸、およびそれらの無水物が含まれる。
モノカルボン酸には、C3〜18(好ましくは3〜15とくに3〜10)の脂肪族、脂環式および芳香環含有のモノカルボン酸、例えば(メタ)アクリル、(イソ)クロトン、シクロヘキセンモノカルボンおよびケイ皮酸が含まれる。
ジカルボン酸(無水物)には、脂肪族のもの(C4〜18、好ましくはC4〜15とくに好ましくはC4〜12)、例えば(無水)マレイン、フマル、(無水)イタコン、(無水)シトラコン、メサコンおよびアリルマロン酸;脂環式のもの(C7〜24、好ましくはC8〜16)、例えば4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸;および芳香環含有のもの(C8〜24、好ましくはC8〜16)、例えばフェニルマレイン酸が含まれる。(a)との相溶性および反応性の観点、および得られる(ax1)の溶融粘度の観点から、好ましいのは不飽和ジカルボン酸(とくに脂肪族ジカルボン酸)の無水物、とくに無水マレイン酸(以下、MAと略記)である。
変性に用いる(m1)の量は、(a)の重量に基づいて通常0.5〜40%、(a)との反応性および後述するフィラーの分散性の観点から好ましくは1〜30%である。
反応温度は、広範囲(例えば80〜230℃)に変えることができ、方法に応じ適宜採択され、方法(1)では通常100〜220℃、好ましくは140〜200℃、方法(2)では通常80〜180℃、好ましくは110〜150℃、方法(3)では通常80〜140℃である。方法(2)の溶剤としては例えばトルエンおよびキシレンが挙げられる。これらのうち、副生物が少なく均一な反応が可能であるとの観点から好ましいのは方法(2)である。酸化によるカルボキシル基の導入は、例えば米国特許第3,692,877号明細書記載の方法で行うことができる。
変性剤(m20)または(m21)の量は、(ax1)の不飽和ジカルボン酸(無水物)基またはカルボキシル基1個当たり1〜10モルまたはそれ以上、好ましくは1モルである。
−E−(G−L−E)n−G−L−E−OH
(−E−)pG−L3[−G−(E−L1−E−G−L2−G)n−E−L1−E−OH]f
(−E−)pG−L3[−G−E−(L−G−E)n−L1−(E−G−L)n−E−OH]f
エポキシ開環基には、−CH2−CH(OH)−CH2−、およびポリエポキシ開環基、例えば式−CR4−CR5−J−(CR5−CR4−)fで示される基が含まれる[式中、Jはポリエポキシドの残基(エポキシ基が除かれた);R4およびR5の、一方(例えばR5)はOHであり、他方(例えばR4)はHであるか、またはそれら(例えば2個のR4)が互にまたはJと結合して環を形成していてもよい(Jが脂環式ポリエポキシドの残基の場合)。]。
カルボキシ変性ポリオレフィン(ax)のうちで好ましいのは、(ax1)、とくに不飽和ジカルボン酸(無水物)で変性されたものである。
低分子ポリオールには、多価アルコール、並びに低分子OH末端ポリマー[ポリエーテルポリオール(以下、PTポリオールと略記)およびポリエステルポリオール(以下、PSポリオールと略記)]が含まれる。
2価アルコール(C2〜20またはそれ以上)、例えばC2〜12の脂肪族2価アルコール[(ジ)アルキレングリコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−、2,3−、1,3−および1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールおよび3−メチルペンタンジオール(以下、それぞれEG、DEG、PG、DPG、BD、HD、NPGおよびMPDと略記)、ドデカンジオール等];C6〜10の脂環式2価アルコール[1,4−シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等];C8〜20の芳香脂肪族2価アルコール[キシリレングリコール、ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン等];
ここにおける塩には、金属塩、例えばアルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)およびIIB族金属(亜鉛等)の塩;アンモニウム塩;並びにアミン塩および4級アンモニウム塩が含まれる。
塩を構成するアミンには、C1〜20のアミン、例えばヒドロキシルアミン〔C2〜10、例えば(ジ)アルカノールアミン、シクロアルカノールアミンおよびアルキルアルカノールアミン[例えば2−アミノエタノール、3−アミノプロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、4−アミノブタノール、5−アミノペンタノール、6−アミノヘキサノール、ジエタノールアミン、ジ−n−およびi−プロパノールアミン、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサノール、メチルエタノールアミンおよびエチルエタノールアミン]〕、3級アミノ基含有ジオールおよび1級モノアミン、2級モノアミン(ジアルキルアミン、モルホリン等)、並びにそれらのアルキル(C1〜4)化および/またはヒドロキシアルキル(C2〜4)化物[もしくはそれらのアルキレンオキシド(以下、AOと略記)付加物]:例えばモノ−、ジ−およびトリ−(ヒドロキシ)アルキル(アミン)(モノ−、ジ−およびトリ−エタノールアミンおよびエチルアミン、ジエチルエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−ヒドロキシエチルモルホリン等)が含まれる。4級アンモニウム塩には、これらのアミンの4級化物[米国特許第4,271,217号明細書に記載の4級化剤またはジアルキルカーボネート(ジメチルカーボネート等)による4級化物]が含まれる。
OH末端のPTには、AOの開環重合物、少くとも2個(2個〜8個またはそれ以上)の活性水素原子を有する開始剤に1種または2種以上のAOを付加させた構造を有するPTポリオール(AO付加物)、およびそれら(同一または異なる)の2分子またはそれ以上をカップリング剤でカップリングさせてなるPTポリオールが含まれる。
多価フェノールには、C6〜18の2価フェノール、例えば単環2価フェノール(ハイドロキノン、カテコール、レゾルシノール、ウルシオール等)、ビスフェノール(ビスフェノールA、F、C、B、ADおよびS、ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニル−2,2−ブタン等)、および縮合多環2価フェノール[ジヒドロキシナフタレン(例えば1,5−ジヒドロキシナフタレン)、ビナフトール等];並びに3価〜8価またはそれ以上の多価フェノール、例えば単環多価フェノール(ピロガロール、フロログルシノール、および1価もしくは2価フェノール(フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール等)のアルデヒドもしくはケトン(ホルムアルデヒド、グルタールアルデヒド、グリオキザール、アセトン)低縮合物(例えばフェノールもしくはクレゾールノボラック樹脂、レゾールの中間体、フェノールとグリオキザールもしくはグルタールアルデヒドの縮合反応によって得られるポリフェノール、およびレゾルシンとアセトンの縮合反応によって得られるポリフェノール)が含まれる。
これらのうち好ましいのは、脂肪族2価アルコールおよびビスフェノール、とくにエチレングリコールおよびビスフェノールAである。
AO付加物のカップリング剤には、ポリハライド、例えばC1〜6のアルカンポリハライド(例えばC1〜4のアルキレンジハライド:メチレンジクロライド、1,2−ジブロモエタン等);エピハロヒドリン(エピクロルヒドリン等);およびポリエポキシド(後述のもの)が含まれる。
縮合PSポリオールは、ポリオールとポリカルボン酸類(および必要によりヒドロキシカルボン酸)との重縮合またはポリオールとポリカルボン酸無水物およびAOとの反応により、PLポリオールはポリオールを開始剤とするラクトンの開環付加(またはポリオールとヒドロキシカルボン酸との重縮合)により、ヒマシ油のポリオール変性物はヒマシ油とポリオールとのエステル交換反応により、そしてポリカーボネートポリオールはポリオールを開始剤とするアルキレンカーボネートの開環付加/重縮合、ポリオールとジフェニルもしくはジアルキルカーボネートの重縮合(エステル交換)、またはポリオールもしくは2価フェノール(前掲のもの:ビスフェノールA等)のホスゲン化により、製造することができる。
PSの製造に用いるポリオールは、通常1,000以下、好ましくは30〜500のOH当量を有する。その例には、上記の多価アルコール[ジオール(例えばEG、1,4−BD、NPG、HDおよびDEG)および3価以上のポリオール(GR、TMP、PE等)]、上記PTポリオール(PEG、PPG、PTMG等)、およびこれらの2種以上の混合物が含まれる。縮合PSポリオールの製造に好ましいのは、ジオール、およびそれと少割合(例えば10当量%以下)の3価以上のポリオールとの併用である。
縮合PSポリオールの製造に好ましいのは、ジカルボン酸類、およびそれと少割合(例えば10当量%以下)の3価〜4価またはそれ以上のポリカルボン酸類との併用である。
ラクトンおよびヒドロキシカルボン酸には前掲のものが含まれる。
アルキレンカーボネートには、C2〜6のアルキレン基を有するもの、例えばエチレンおよびプロピレンカーボネートが含まれる。ジアルキルカーボネートには、C1〜4のアルキル基を有するもの、例えばジメチル、ジエチルおよびジ−i−プロピルカーボネートが含まれる。
OH末端のPDには、ポリカルボン酸類(上記)を、ヒドロキシルアミン(前記)またはポリオール(上記)およびPA(後述)と重縮合させてなる、ポリ(エステル)アミドポリオールが含まれる。
C(NCO基中の炭素を除く、以下同様)2〜18の脂肪族PI:ジイソシアネート(以下DIと略記)、例えばエチレンDI、テトラメチレンDI、ヘキサメチレンDI(HDI)、ヘプタメチレンDI、オクタメチレンDI、デカメチレンDI、ドデカメチレンDI、2,2,4−および/または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンDI、リジンDI、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、2,6−ジイソシアナトエチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレートおよびビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート;および3官能以上のPI(トリイソシアネート等)、例えば1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネートおよびリジンエステルトリイソシアネート(リジンとアルカノールアミンとの反応生成物のホスゲン化物、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート、2−および/または3−イソシアナトプロピル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート等);
C8〜15の芳香脂肪族PI:m−および/またはp−キシリレンDI(XDI)、ジエチルベンゼンDIおよびα,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンDI(TMXDI);
上記変性PIの遊離イソシアネート基含量は通常8〜33%、好ましくは10〜30%、とくに好ましくは12〜29%である。
PIのうちで、耐光性の観点から好ましいのは、非芳香族系(脂肪族、脂環式および芳香脂肪族)PI、とくに脂肪族PI、脂環式PIおよびこれらの併用である。
高分子ポリオールのうちで好ましいのはPTポリオールおよびPSポリオールである。
好ましいPAは、ジアミン(以下DAと略記)、とくに脂肪族DAである。さらに好ましいのは、C2〜12のもの[エチレンDA(以下EDAと略記)、ヘキサメチレンDA、ヘプタメチレンDA、オクタメチレンDAおよびデカメチレンDA]、とくにEDAである。
(1)脂肪族ポリエポキシド:脂肪族ポリオール[前記2価〜8価またはそれ以上の多価アルコールおよびPTポリオール]のポリグリシジルエーテル(グリシジルエーテルは以下GEと略記):ジGE[例えばEG、PG、1,4−BD、HD、MPD、DEG、NPG、PEG(Mn150〜200,000)およびPPG(Mn134〜200,000)のジGE]、トリGE[例えばGRおよびTMPのトリGE]、および4価またはそれ以上のGE[例えばPEテトラGEおよびSOヘキサGE];脂肪族ポリカルボン酸(前記PS製造用に挙げた2価〜3価またはそれ以上の脂肪族ポリカルボン酸)のポリグリシジルエステル(グリシジルエステルは以下GSと略記)[例えばシュウ酸およびアジピン酸ジGS、およびトリカルバリルトリGS]、およびグリシジル(メタ)アクリレート重合体およびグリシジル(メタ)アクリレートと他のモノマー〔例えば不飽和HC(脂肪族HC、脂環式HC、芳香族HC等)、アルキル(メタ)アクリレート[C1〜50のアルキル基を有するもの、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、2−エチルヘキシル、ドデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシルおよびエイコシル(メタ)アクリレート]、およびカルボニル、エーテルおよび/またはイオウ含有不飽和モノマー[例えば不飽和エステル、不飽和エーテル、ビニルケトン、サルファイド結合含有モノマーおよびスルホン基含有モノマー]等、好ましくはアルキル(メタ)アクリレート〕との共重合体(Mnは好ましくは300〜10,000、とくに500〜5,000;共重合比は好ましくは2/98〜80/20、とくに5/95〜50/50);エポキシ化動植物油(例えばエポキシ化大豆油);
(3)複素環含有ポリエポキシド:C5〜20、例えばトリスグリシジルメラミン;
また、上記ポリエポキシドのうちさらに好ましいのは、50〜500とくに60〜200のエポキシ当量を有するものである。
本発明におけるオニウム塩基(b)は、分子中にカルボキシル基と反応しうる官能基(水酸基、1級もしくは2級アミノ基、不飽和基等)と3級アミノ基を有する化合物(b11)および/または分子中にカルボキシル基と反応しうる官能基(上記に同じ)と第3ホスフィノ基を有する化合物(b12)および4級化剤もしくはジアルキルカーボネート(b2)から形成される。
これらのうち変性ポリオレフィン(A)の熱安定性および耐加水分解性の観点から好ましいのは1級もしくは2級アミノ基を有するもの、(A)中のオニウム塩基濃度の観点からさらに好ましいのは(b11)中、1級もしくは2級アミノ基と3級アミノ基を有するもの、とくに好ましいのはN,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジエチル−1,3−プロパンジアミンおよびN,N−ジブチル−1,3−プロパンジアミン、最も好ましいのはN,N−ジブチル−1,3−プロパンジアミンである。
ジアルキルカーボネートには、C1〜18のアルキル基を有するもの、例えばジメチル、ジエチルおよびジ−i−プロピルカーボネートが含まれる。
これらのうち簡便性の観点から好ましいのは、(i)の方法である。
また、反応の順序としては(1)カルボキシ変性ポリオレフィン(ax)に(b11)および/または(b12)を反応させた後に4級化する方法、および(2)(b11)および/または(b12)を4級化した後に(ax)と反応させる方法が挙げられる。
これらのうち好ましいのは、副反応が起こりにくい(1)の方法である。
XはC2〜15(好ましくはC2〜6)のアルキレン(エチレン、プロピレン、ヘキシレン等)、アルキリデン(エチリデン、プロピリデン、ブチリデン、ヘキシリデン等)、シクロアルキレン(シクロペンチレン、シクロヘキシレン等)またはシクロアルキリデン(シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン等)、アリーレン(フェニレン、ビフェニレン等)、アリールアルキレン(キシリレン等)またはアルキルアリーレン(トルイレン等)基を表し、これらのうち好ましいのはアルキレン基である。
QはNまたはPを表し、好ましいのはNである。
Zは対アニオン[ハロゲン(Cl、Br等)イオン、アルキル硫酸(メチル硫酸、エチル硫酸等)イオン等]を表し、好ましいのはアルキル硫酸イオンである。
本発明の変性ポリオレフィン(A)は、前記ポリオレフィン(a)からなる疎水基と、前記オニウム塩基(b)を少なくとも1個含む親水基を有し、かつ(b)1個当たりのMnの下限が750、好ましくは1,000、さらに好ましくは1,500、特に好ましくは2,000、上限が50,000、好ましくは40,000、さらに好ましくは30,000、特に好ましくは20,000である。(b)1個当たりのMnが750未満および50,000を超えるとフィラー分散能が悪くなる。
(1)カルボキシ変性ポリオレフィン(ax)と(b11)および/または(b12)を反応させてモノアミドおよび/またはモノエステルを得た後、3級アミノ基および/または第3ホスフィノ基を(b2)で4級化する製造方法。
(2)(b11)および/または(b12)を4級化剤(b2)で4級化した後、カルボキシ変性ポリオレフィン(ax)と反応させてモノアミドおよび/またはモノエステルを得る製造方法。
(2)の製造方法において、(ax)と4級化された(b11)および/または(b12)との反応における官能基当量比[COOH/(NH2、OHおよび/または不飽和基)]は、上記と同様の観点から好ましくは1/0.2〜1/8、さらに好ましくは1/0.5〜1/4である。
フィラーには、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸鉛、金属ケイ酸塩、金属窒化物、炭素類及びその他のフィラーが含まれる。
金属酸化物としては、シリカ(シリカバルーン等)、珪藻土、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化スズおよび酸化アンチモン等;
金属水酸化物としては、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムおよび塩基性炭酸マグネシウム等;
金属炭酸塩としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドーソナイトおよびハイドロタルサイト等;
金属ケイ酸塩としては、ケイ酸カルシウム、クレー(モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土等)、タルク、マイカ、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス(繊維、ビーズ等)等;
金属窒化物としては、窒化アルミニウム、窒化ホウ素および窒化ケイ素等;
炭素類としては、カーボンブラック、グラファイト、フラーレン、炭素繊維、炭素バルーン、木炭粉末等;
これらのフィラーは単独でも、2種以上併用してもよい。
層状構造を有するクレーとしては、例えばモンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、バイデライト、スティブンサイト、ノントロナイト、バーミキュライト、ハロイサイトおよび膨潤性マイカが挙げられ、非層状構造を有するクレーとしては、例えばアロフェンおよびヒシンゲル石等が挙げられる。
これらのうち樹脂改質効果の観点から好ましいのは、層状構造を有するクレーであり、さらに好ましいのはモンモリロナイトおよびサポナイトである。
本発明におけるフィラー(特にクレー)は、フィラーに対して有機化効果を有する分散剤(以下、フィラー有機化分散剤と略記)で予め処理(有機化すること、以下同じ)されたものでも、また処理されていなくてもいずれでもよい。これらのうち本発明の分散剤(I)の樹脂改質効果をよりよく発揮させることができるとの観点から好ましいのは、該有機化されていないフィラー(特にクレー)である。
また、本発明におけるフィラー(特にクレー)は後述のその他の塗装性改良剤(B6)で予め処理(混合すること、以下同じ。)されたものでも、また処理されていなくてもいずれでもよい。これらのうち本発明の塗装性改良剤(II)の樹脂改質効果をよりよく発揮させることができるとの観点から好ましいのは、(B6)で予め処理されていないフィラー(特にクレー)である。
該クレーの処理方法としては、(1)クレーとフィラー有機化分散剤とを、温水(例えば80℃)等の分散剤用の溶剤中で混合し、濾過後に乾燥させる方法、(2)クレーとフィラー有機化分散剤とを2軸押出機等で混合(温度条件は通常60〜270℃)中に水等の分散剤用の溶剤を添加する方法が挙げられる。好ましいのはクレーの層間にフィラー有機化分散剤が層間挿入されやすい(1)の方法である。
<1>(I)もしくは(II)とフィラーおよび必要により少量の水等の溶剤とを、例えば粉体混合機(ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー[商品名:Farrel(株)製]等)で例えば0〜80℃で混合した後、溶融混練装置{バッチ混練機(反応槽等)、連続混練機〔FCM[商品名:Farrel(株)製]、LCM[商品名:(株)神戸製鋼所製]、CIM[商品名:(株)日本製鋼所製]等〕、単軸押出機、二軸押出機等}を使用して120〜220℃で5〜30分間混練する方法;
<2>(I)もしくは(II)とフィラーおよび必要により少量の水等の溶剤とを上記粉体混合をすることなく、上記と同様の溶融混練装置を使用して同様の条件で直接混練する方法
が挙げられる。混練効率の観点から<1>の方法が好ましい。
上記の好ましい改質材は、(I)もしくは(II)とクレーとを充分混練することにより得られる。(I)もしくは(II)がクレーの層間に挿入されている状態は、X線回折装置および/または電子顕微鏡を用いた観察で確認することができ、(I)もしくは(II)の挿入の程度はX線回折装置によって測定されるクレーの格子面間隔(層間距離)により表される。上記〔1〕または〔2〕で示した組み合わせ方法のうち、クレーの層間への挿入効率の観点から好ましいのは〔1〕の方法である。上記〔1〕または〔2〕の方法において、樹脂改質用組成物、または(I)もしくは(II)とクレー、さらに必要により(B)を別々に順不同で、樹脂に加える方法については後述する。
1)非イオン性界面活性剤:
AO付加型ノニオニックス、例えば疎水性基(C8〜24またはそれ以上)を有する活性水素原子含有化合物[飽和および不飽和の、高級アルコール(C8〜18)、高級脂肪族アミン(C8〜24)および高級脂肪酸(C8〜24)等:例えばアルキルもしくはアルケニル(ドデシル、ステアリル、オレイル等)アルコールおよびアミン、およびアルカンもしくはアルケン酸(ラウリン、ステアリンおよびオレイン酸等)]の(ポリ)オキシアルキレン誘導体[AO(C2〜4、例えばEO、PO、BOおよびこれらの2種以上の併用、とくにEO)(1〜500モルまたはそれ以上)付加物(分子量174〜Mn30,000)、およびPAG(例えばPEG;分子量150〜Mn6,000)の高級脂肪酸モノ−およびジ−エステル];多価アルコール[前記のもの、例えばGR、PEおよびソルビタン]の高級脂肪酸(上記)エステルの(ポリ)オキシアルキレン誘導体(同上;分子量320〜Mn30,000;例えばツイーン型ノニオニックス);高級脂肪酸(上記)の(アルカノール)アミドの(ポリ)オキシアルキレン誘導体(同上;分子量330〜Mn30,000);多価アルコール(上記)アルキル(C3〜60)エーテルの(ポリ)オキシアルキレン誘導体(同上;分子量180〜Mn30,000);およびポリオキシプロピレンポリオール[多価アルコール(上記)およびポリアミン(前記PA)のポリオキシプロピレン誘導体(例えばPPGおよびエチレンジアミンPO付加物;Mn500〜5,000)]のポリオキシエチレン誘導体(Mn1,000〜30,000)[プルロニック型およびテトロニック型ノニオニックス];多価アルコール(C3〜60)型ノニオニックス、例えば多価アルコール(上記)の脂肪酸(上記)エステル、多価アルコール(上記)アルキル(C3〜60)エーテル、および脂肪酸(上記)アルカノールアミド;並びにアミンオキシド型ノニオニックス、例えば(ヒドロキシ)アルキル(C10〜18:ドデシル、ステアリル、オレイル、2−ヒドロキシドデシル等)ジ(ヒドロキシ)アルキル(C1〜3:メチル、エチル、2−ヒドロキシエチル等)アミンオキシド。
第4級アンモニウム塩型カチオニックス、例えばテトラアルキルアンモニウム塩(C11〜100)、例えばアルキル(C8〜18:ラウリル、ステアリル等)トリメチルアンモニウム塩およびジアルキル(C8〜18:デシル、オクチル等)ジメチルアンモニウム塩;トリアルキルベンジルアンモニウム塩(C17〜80)、例えばラウリルジメチルベンジルアンモニウム塩;アルキル(C8〜60)ピリジニウム塩、例えばセチルピリジニウム塩;(ポリ)オキシアルキレン(C2〜4、重合度1〜100またはそれ以上)トリアルキルアンモニウム塩(C12〜100)、例えばポリオキシエチレンラウリルジメチルアンモニウム塩;およびアシル(C8〜18)アミノアルキル(C2〜4)もしくはアシル(C8〜18)オキシアルキル(C2〜4)トリ[(ヒドロキシ)アルキル(C1〜4)]アンモニウム塩、例えばステアラミドエチルジエチルメチルアンモニウム塩(サパミン型4級アンモニウム塩)[これらの塩には、例えばハライド(クロライド、ブロマイド等)、アルキルサルフェート(メトサルフェート等)および有機酸(下記)の塩が含まれる];並びにアミン塩型カチオニックス:1〜3級アミン[例えば高級脂肪族アミン(C12〜60:ラウリル、ステアリルおよびセチルアミン、硬化牛脂アミン、ロジンアミン等)、脂肪族アミン(上記)のポリオキシアルキレン誘導体(上記;EO付加物等)、およびアシルアミノアルキルもしくはアシルオキシアルキル(上記)ジ(ヒドロキシ)アルキル(上記)アミン(ステアロイロキシエチルジヒドロキシエチルアミン、ステアラミドエチルジエチルアミン等)]の、無機酸(塩酸、硫酸、硝酸およびリン酸等)塩および有機酸(C2〜22:酢酸、プロピオン、ラウリン、オレイン、コハク、アジピンおよびアゼライン酸、安息香酸等)塩。
カルボン酸(塩)、例えば高級脂肪酸(上記)、エーテルカルボン酸[高級アルコール(上記)またはそのAO付加物、例えばEO(1〜10モル)付加物のカルボキシメチル化物]、およびそれらの塩;硫酸エステル塩、例えば上記の高級アルコールまたはそのAO付加物の硫酸エステル塩(アルキルおよびアルキルエーテルサルフェート、硫酸化油(天然の不飽和油脂または不飽和のロウをそのまま硫酸化して中和した塩)、硫酸化脂肪酸エステル(不飽和脂肪酸の低級アルコールエステルを硫酸化して中和した塩)および硫酸化オレフィン(C12〜18のオレフィンを硫酸化して中和した塩);スルホン酸塩、例えばアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸ジアルキルエステル型、α−オレフィン(C12〜18)スルホン酸塩およびN−アシル−N−メチルタウリン(イゲポンT型等);並びにリン酸エステル塩、例えば上記の高級アルコールもしくはそのAO付加物またはアルキル(C4〜60)フェノールのAO付加物(同上)のリン酸エステル塩(アルキル、アルキルエーテルおよびアルキルフェニルエーテルホスフェート)。
カルボン酸(塩)型アンフォテリックス、例えばアミノ酸型アンフォテリックス、例えばアルキル(C8〜18)アミノプロピオン酸(塩)、およびベタイン型アンフォテリックス、例えばアルキル(同上)ジ(ヒドロキシ)アルキル(上記)ベタイン(アルキルジメチルベタイン、アルキルジヒドロキシエチルベタイン等);硫酸エステル(塩)型アンフォテリックス、例えばアルキル(同上)アミンの硫酸エステル(塩)、およびヒドロキシアルキル(C2〜4:ヒドロキシエチル等)イミダゾリン硫酸エステル(塩);スルホン酸(塩)型アンフォテリックス、例えばアルキル(同上:ペンタデシル等)スルフォタウリン、およびイミダゾリンスルホン酸(塩);並びにリン酸エステル(塩)型アンフォテリックス、例えばグリセリン高級脂肪酸(上記)エステルのリン酸エステル(塩)。
塩を構成するアミンには、C1〜20のアミン、例えばヒドロキシルアミン、3級アミノ基含有ジオールおよび1級モノアミン、2級モノアミン、並びにそれらのアルキル化(C1〜4)および/またはヒドロキシアルキル化(C2〜4)物(AO付加物):例えばモノ−、ジ−およびトリ−(ヒドロキシ)アルキル(アミン)(モノ−、ジ−およびトリ−エタノールアミンおよびエチルアミン、ジエチルエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−ヒドロキシエチルモルホリン等)が含まれる。4級アンモニウム塩には、これらのアミンの4級化物[米国特許第4,271,217号明細書に記載の4級化剤またはジアルキルカーボネート(前記)による4級化物]が含まれる。
該組成物の重量に基づく各添加剤の使用量は、(B1)は通常10%以下、好ましくは1〜5%;(B2)は通常15%以下、好ましくは3〜10%;(B3)は通常20%以下、好ましくは1〜10%;(B4)は通常15%以下、好ましくは3〜10%;(B5)は通常10%以下、好ましくは1〜5%;(B6)は通常20%以下、好ましくは5〜15%;(B7)は通常2%以下、好ましくは0〜0.5%、特に好ましくは0%;(B8)は通常3%以下、好ましくは0.01〜1%、(B9)は通常3%以下、好ましくは0.01〜1%である。
上記(B1)〜(B9)の間で添加剤が同一で重複する場合、または添加剤(B)と前記フィラーが同一で重複する場合は、それぞれの添加剤が該当する添加効果を奏する量を他の添加剤としての効果に関わりなく使用するのではなく、他の添加剤としての効果も同時に得られることをも考慮し、使用目的に応じて使用量を調整するものとする。
(2)の方法における改質材の一部/(B)の割合は、改質材および(B)それぞれの機能発現の観点から好ましくは5/95〜50/50である。
これらの方法のうち、改質材および(B)それぞれの機能発現の観点から好ましいのは(2)の方法(マスターバッチ法)である。
溶融混練装置としては、前記のものが挙げられる。
本発明の上記改質材のマスターバッチ樹脂組成物は、本発明の改質材または樹脂改質用組成物とポリオレフィン樹脂(C)からなり、該マスターバッチ樹脂組成物の重量に基づいて改質材の割合は樹脂改質効果の観点から好ましい下限は10%、さらに好ましくは15%、とくに好ましくは20%、作業性の観点から好ましい上限は80%、さらに好ましくは75%、とくに好ましくは70%である。
本発明において、ポリオレフィン樹脂(C)の改質効果として、フィラーの分散性向上による樹脂の機械的・熱的特性の向上を目的とする場合は、上記のように最終組成のポリオレフィン樹脂組成物は本発明の改質材または樹脂改質用組成物を含有するものとなる。
一方、ポリオレフィン樹脂(C)の改質効果として、樹脂の塗装性(塗膜密着性等)の改良を目的とする場合は、最終組成のポリオレフィン樹脂組成物は、上記と同じ本発明の改質材または樹脂改質用組成物を含有するものに加えて、前記塗装性改良剤(II)とポリオレフィン樹脂(C)からなり、前記フィラーを含有しない樹脂組成物、またはこれに必要によりさらに、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、その他の塗装性改良剤、分散剤、酸化防止剤および紫外線吸収剤からなる群から選ばれる1種または2種以上の、前記フィラーを除く添加剤を含有させてなる樹脂組成物であってもよい。ここにおいて、上記フィラーを除く添加剤としては前記例示したものと同じものが挙げられる。
上記樹脂組成物中の塗装性改良剤(II)の割合は、該樹脂組成物の重量に基づいて、樹脂改質効果の観点から好ましい下限は0.1%、さらに好ましくは0.5%、とくに好ましくは1%、成形性の観点から好ましい上限は30%、さらに好ましくは20%、とくに好ましくは15%である。
上記のように、本発明の、数平均分子量1,500〜100,000のポリオレフィン(a)からなる疎水基と、オニウム塩基(b)を少なくとも1個含む親水基を有し、かつ(b)1個当たりの数平均分子量が750〜50,000である変性ポリオレフィン(A)からなる分散剤(I)は、これをポリオレフィン樹脂に含有させることによりポリオレフィンプラスチック製品の機械的および熱的特性を改良する方法を提供することができ、また、本発明の、上記(A)からなる塗装性改良剤(II)は、これをポリオレフィン樹脂に含有させることによりポリオレフィンプラスチック製品の塗装性を改良する方法を提供することができる。
樹脂組成物およびその成形体試験片(厚み4mm)について、RINT2200粉末X線回折装置[理学電気(株)製]を用いて、X線の波長λ=0.154056nm、管電圧40.0KV、管電流30mA、発散スリット1/2°、散乱スリット1/2°の条件で反射光強度が極大となる反射角について測定を行い、得られた反射角の倍数2θ(°)から下記計算式を用いて格子面間隔d(nm)を求めた。2θのピークが0.1°以下に現れる、または確認できない場合はdを88nm以上と判断した。
d=λ/(2sinθ)
(2)クレー層間剥離
樹脂組成物およびその成形体試験片(厚み4mm)(いずれも酸化ルビジウム染色処理したもの)について、樹脂組成物は直接、また成形体試験片はその中心部分の断面を走査型電子顕微鏡(倍率:10万倍)を用いて肉眼で観察した。評価基準は以下の通り。
○:クレーの剥離が容易に確認でき、クレー片が分散している。
△:クレーの層間は開いているが完全に剥離はしていない。
×:クレーが剥離しておらず、そのまま樹脂に分散している。
上記各基準において、クレー片とは、クレーの層間距離が広がった結果生じるクレー層一枚のこと、剥離とは、その一枚一枚が剥がれていること、また、そのまま樹脂に分散しているとはクレーに剥離がなく多層を形成したままの状態で樹脂中に観察されることを意味する。
(3)衝撃強度
成形体試験片(厚み3.2mm)について、ASTM D256(ノッチ付、厚み3.2mm)に基づき、Method Aにて測定した。(単位:kgf・cm/cm2)
(4)曲げ弾性率
成形体試験片(厚み4mm)について、ASTM D790に基づき、試験片(10×4×100mm)、支点間距離60mmにて測定した。(単位:kgf/cm2)
(5)塗膜密着性試験
成形体試験片(150×70×2mm)上に市販のメラミンアルキッド系上塗り塗料[商品名:フレキセン♯101、日本ビーケミカル(株)製]をシンナー[商品名:♯101−10、日本ビーケミカル(株)製]にて希釈(塗料/シンナー重量比=2/1)したものを、スプレー機を用いてスプレー塗布した後、室温で15分間静置し、循風乾燥機で120℃、20分間焼き付けを行った(乾燥膜厚約40μm)。得られた塗布面についてJIS K5400に準拠した碁盤目テープ法による付着性試験を行った。碁盤目100のうち、塗膜が剥離しなかった部分の数を0〜100で表した。
窒素導入管、排ガス留出管、撹拌装置および冷却管を備えた4ツ口フラスコに、市販のポリプロピレン(ペレット状)[ノーブレンH501、住友化学(株)製、以下同じ。]100部を窒素雰囲気下に入れ、気相部分に窒素を通気しながらマントルヒーターにて加熱し、撹拌しながら360℃で70分間熱減成を行った。熱減成物を180℃まで冷却した後フラスコより取り出してさらに室温まで冷却した後、粗粉砕した。窒素導入管、撹拌装置および冷却管を備えた別の4ツ口フラスコに、本熱減成物90部、無水マレイン酸10部およびキシレン100部を入れ、窒素置換後、窒素通気下に130℃まで加熱昇温して均一に溶解した。ここにジクミルパーオキサイド0.5部をキシレン10部に溶解した溶液を滴下した後、キシレン還流温度まで昇温し、3時間撹拌を続けた。その後、減圧下にキシレンを留去した後室温にて冷却し、ハンマーミルにて直径約2mmに粉砕してMn5,100、酸価51.1の無水マレイン酸変性ポリオレフィン(a1−1)を得た。(a1−1)の熱軟化点は145℃であった。
高分子量ポリオレフィン樹脂にプロピレン・αオレフィンコポリマー(ペレット状)[タフマーXR107L、三井化学(株)製]を用いた以外は製造例1と同様にして、Mn5,040、酸価50.8の無水マレイン酸変性ポリオレフィン(a1−2)(粉体状)を得た。(a1−2)の熱軟化点は113℃であった。
窒素導入管、排ガス留出管、撹拌装置および冷却管を備えた冷却管付き4ツ口フラスコに、(a1−1)850部、キシレン850部を入れ、気相部分に窒素を通気しながらマントルヒーターにて140℃に加熱し均一化した後、10分かけてN,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン100部を入れて2時間反応させた。100℃まで冷却した後、10分かけてジエチル硫酸59部を入れて反応を1時間継続した。その後、170℃、減圧にてキシレンを500部留去した後、130℃まで冷却し、離型紙を敷いたトレーに取り出した。150℃の減圧乾燥機にて残りのキシレンを留去した後、冷却、粉砕し、1,000部の変性ポリオレフィン(A1)(粉体状)を得た。
(a1−1)に代えて(a1−2)を用いた以外は実施例1と同様にして、変性ポリオレフィン(A2)(粉体状)を得た。
N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン100部をN,N−ジエチル−1,3−プロパンジアミン128部に代えた以外は実施例1と同様にして、変性ポリオレフィン(A3)(粉体状)を得た。
N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン100部をN,N−ジn−ブチル−1,3−プロパンジアミン184部に代えた以外は実施例1と同様にして、変性ポリオレフィン(A4)(粉体状)を得た。
ジエチル硫酸59部をジメチル硫酸47部に変えた以外は実施例1と同様にして、変性ポリオレフィン(A5)(粉体状)を得た。
窒素導入管、排ガス留出管、撹拌装置および冷却管を備えた冷却管付き4ツ口フラスコに、(a1−1)850部、キシレン850部を入れ、気相部分に窒素を通気しながらマントルヒーターにて140℃に加熱し均一化した後、10分かけてモノエタノールアミン73部を入れて2時間反応させた。その後、170℃、減圧にてキシレンを留去した後、冷却、粉砕し、水酸基変性ポリオレフィン(比A1)(粉体状)を得た。
市販のポリプロピレン100部、(A1)〜(A5)および(比A1)各10部をそれぞれヘンシェルミキサーで3分間ブレンドした後、ベント付き2軸押出機にて、240℃、100rpm、滞留時間20分の条件で溶融混練してポリオレフィン樹脂組成物を得た。これらを用い射出成形機で所定の試験片を作成後、塗膜密着性を評価した。結果を表1に示す。
クレー[クニピアF、クニミネ(株)製モンモリロナイト、以下同じ。]20部を水(イオン交換水、以下同じ)に分散させた80℃のスラリー2,000部中にジステアリルジメチルアンモニウムクロライド21部を水に溶解させた80℃の水溶液1,500部を撹拌しながら一括混合した。30分間撹拌を行った後、沈殿物を濾別し、80℃の水200部で2回洗浄を行った。その後、離型紙上に取り拡げ、130℃の循風乾燥機にて60分間乾燥し、格子面間隔(層間距離)dが28nmの有機化クレー(L1)を得た。
市販のポリプロピレン100部、変性ポリオレフィンおよびフィラーとを表2に示す配合量(部)に従ってヘンシェルミキサーで3分間ブレンドした後、ベント付き2軸押出機にて、240℃、100rpm、滞留時間20分の条件で溶融混練してポリオレフィン樹脂組成物を得た。これらを用い射出成形機で所定の試験片を作成後、樹脂物性評価およびX線回折装置による評価を行った。結果を表2に示す。
変性ポリオレフィン(A1)60部およびクレー40部を2軸押出機にて、160℃、100rpm、滞留時間20分の条件で溶融混練した。得られた固形物を室温にて冷却した後、ハンマーミルで直径約2mmに粉砕して、dが88nm以上の樹脂用改質材(K1)を得た。
変性ポリオレフィン(A1)を(A4)に代えた以外は実施例19と同様にして、dが88nm以上の樹脂用改質材(K2)を得た。
変性ポリオレフィン(A1)を(a1−1)に代えた以外は実施例19と同様にして、dが1.5nmの樹脂用改質材(比K1)を得た。
市販のポリプロピレン87.5部および(K1)12.5部をヘンシェルミキサーで3分間ブレンドした後、ベント付き2軸押出機にて、240℃、100rpm、滞留時間20分の条件で溶融混練してポリオレフィン樹脂組成物を得た。該組成物を用い射出成形機で所定の試験片を作成後、樹脂物性評価およびX線回折装置による評価を行った。結果を表3に示す。
(K1)を(K2)に代えた以外は実施例21と同様にして評価を行った。結果を表3に示す。
(K1)を(比K1)に代えた以外は実施例21と同様にして評価を行った。結果を表3に示す。
市販のポリプロピレン50部、クレー25部および(A1)25部をヘンシェルミキサーで3分間ブレンドした後、ベント付き2軸押出機にて、200℃、100rpm、滞留時間20分の条件で溶融混練した。得られた固形物を室温にて冷却した後、ハンマーミルで直径約1mmに粉砕して、dが88nm以上のマスターバッチ樹脂組成物(M1)を得た。
(A1)を(A4)に代えた以外は実施例23と同様にして、dが88nm以上のマスターバッチ樹脂組成物(M2)を得た。
(M1)20部および市販のポリプロピレン80部をヘンシェルミキサーで3分間ブレンドした後、ベント付き2軸押出機にて、240℃、100rpm、滞留時間20分の条件で溶融混練してポリオレフィン樹脂組成物を得た。該組成物を用い射出成形機で所定の試験片を作成後、樹脂物性評価およびX線回折装置による評価を行った。結果を表4に示す。
(M1)を(M2)に代えた以外は実施例25と同様にして評価を行った。結果を表4に示す。
(A1)を(a1−1)に代えた以外は実施例23と同様にして、dが2.8nmのマスターバッチ樹脂組成物(比M1)を得た。
(M1)を(比M1)に代えた以外は実施例25と同様にして評価を行った。結果を表4に示す。
すなわち、本発明の分散剤(I)は、ポリオレフィン樹脂の樹脂物性を低下させることなくフィラーを分散させることができ、特にフィラーにクレーを用いた場合はクレーを予め有機化処理することなく混練するだけでクレーの層間距離を広げることができ、ナノコンポジット樹脂製造における簡便性に優れることから、有機・無機フィラーの分散剤、ポリオレフィン系ナノコンポジット樹脂形成用分散剤として極めて幅広く用いられる。また、本発明の塗装性改良剤(II)は、少量の添加でポリオレフィン樹脂の機械的特性を低下させることなく樹脂の塗装性(塗膜密着性等)を向上させることができる。
さらに、本発明の、分散剤(I)もしくは塗装性改良剤(II)とクレーを組み合わせた樹脂用改質材は、ポリオレフィン樹脂と混練するだけで樹脂の機械的・熱的特性を著しく向上させることができるため、各産業分野、特に建材分野や自動車分野におけるポリオレフィン樹脂用改質材として極めて有用である。
Claims (17)
- 数平均分子量1,500〜100,000のポリオレフィン(a)からなる疎水基と、オニウム塩基(b)を少なくとも1個含む親水基を有し、かつ(b)1個当たりの数平均分子量が750〜50,000である変性ポリオレフィン(A)からなる分散剤(I)もしくは塗装性改良剤(II)。
- (a)が、分子末端および/または分子内に炭素1,000個当たり0.2〜10個の二重結合を有するポリオレフィンである請求項1記載の分散剤(I)もしくは塗装性改良剤(II)。
- (a)が、高分子量ポリオレフィンの熱減成物である請求項1または2記載の分散剤(I)もしくは塗装性改良剤(II)。
- (a)の熱軟化点が30〜210℃である請求項1〜3のいずれか記載の分散剤(I)もしくは塗装性改良剤(II)。
- 疎水基が、(無水)カルボキシ変性ポリオレフィンの残基である請求項1〜4のいずれか記載の分散剤(I)もしくは塗装性改良剤(II)。
- 請求項1〜6のいずれか記載の分散剤(I)もしくは塗装性改良剤(II)とフィラーを組み合わせてなることを特徴とする樹脂用改質材。
- フィラーが層状構造を有するクレーである請求項7記載の改質材。
- 改質材の重量に基づく(I)もしくは(II)の割合が5〜95%である請求項7または8記載の改質材。
- 請求項1〜6のいずれか記載の(I)以外のフィラー有機化分散剤を含有しない請求項7〜9のいずれか記載の改質材。
- 請求項1〜6のいずれか記載の(II)以外のその他の塗装性改良剤を含有しない請求項7〜10のいずれか記載の改質材。
- 請求項7〜9のいずれか記載の改質材に、さらに、着色剤、補強剤、艶消剤、難燃剤、帯電防止剤、その他の塗装性改良剤、その他の分散剤、酸化防止剤および紫外線吸収剤からなる群から選ばれる1種または2種以上の添加剤(B)を含有させてなる樹脂改質用組成物。
- 請求項7〜11のいずれか記載の改質材または請求項12記載の樹脂改質用組成物とポリオレフィン樹脂(C)からなり、改質材を10〜80重量%含有してなるマスターバッチ樹脂組成物。
- 数平均分子量1,500〜100,000のポリオレフィン(a)からなる疎水基と、オニウム塩基(b)を少なくとも1個含む親水基を有し、かつ(b)1個当たりの数平均分子量が750〜50,000である変性ポリオレフィン(A)からなる塗装性改良剤(II)とポリオレフィン樹脂(C)からなり、フィラーを含有しない樹脂組成物。
- さらに、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、その他の塗装性改良剤、分散剤、酸化防止剤および紫外線吸収剤からなる群から選ばれる1種または2種以上の、フィラーを除く添加剤を含有させてなる請求項14記載の樹脂組成物。
- 数平均分子量1,500〜100,000のポリオレフィン(a)からなる疎水基と、オニウム塩基(b)を少なくとも1個含む親水基を有し、かつ(b)1個当たりの数平均分子量が750〜50,000である変性ポリオレフィン(A)からなる分散剤(I)をポリオレフィン樹脂に含有させることを特徴とするポリオレフィンプラスチック製品の機械的および熱的特性改良方法。
- 数平均分子量1,500〜100,000のポリオレフィン(a)からなる疎水基と、オニウム塩基(b)を少なくとも1個含む親水基を有し、かつ(b)1個当たりの数平均分子量が750〜50,000である変性ポリオレフィン(A)からなる塗装性改良剤(II)をポリオレフィン樹脂に含有させることを特徴とするポリオレフィンプラスチック製品の塗装性改良方法。
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