JP2005307025A - 高分子電解質膜および高分子電解質膜の製造方法 - Google Patents

高分子電解質膜および高分子電解質膜の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
固体高分子形燃料電池、特に直接メタノール形燃料電池に使用する高分子電解質膜として、高いプロトン伝導性と優れたメタノール遮断性を両立させることが困難である問題を鑑みて、高いプロトン伝導性と優れたメタノール遮断性に優れる高分子電解質膜を提供することである。また、優れた発電特性を発現しうる固体高分子形燃料電池あるいは直接メタノール形燃料電池を提供することである。
【解決手段】 1〜20nmのクラスター径のクラスター構造を有する、スルホン酸基と炭化水素系高分子化合物を含む高分子電解質膜とする。さらに、これらの高分子電解質膜を使用した固体高分子形燃料電池あるいは直接メタノール形燃料電池とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、高分子電解質膜および高分子電解質膜の製造方法に関する。さらに、これらの高分子電解質膜を使用した固体高分子形燃料電池または直接メタノール形燃料電池に関する。
スルホン酸基などのプロトン伝導性置換基を有する高分子化合物からなる高分子電解質膜は、固体高分子形燃料電池、湿度センサー、ガスセンサー、エレクトロクロミック表示素子などの電気化学素子の材料として使用される。これら電気化学素子の中でも、固体高分子形燃料電池は、新エネルギー技術の柱の一つとして期待されている。プロトン伝導性を有する高分子電解質膜を使用する固体高分子形燃料電池は、低温における作動、小型軽量化が可能などの特徴から、自動車などの移動体、家庭用コージェネレーションシステム、および民生用小型携帯機器などへの適用が検討されている。その中でも、メタノールを直接燃料に使用する直接メタノール形燃料電池は、単純な構造と燃料供給やメンテナンスの容易さ、さらには高エネルギー密度などの特徴を有し、リチウムイオン二次電池代替として、携帯電話やノート型パソコンなどの民生用小型携帯機器への応用が期待されている。
一般的に固体高分子形燃料電池や直接メタノール形燃料電池に使用される高分子電解質膜には、高いプロトン伝導性が要求される。これらの高分子電解質膜として、ナフィオン(Nafion,デュポン社の登録商標。以下同様)に代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸膜が、高いプロトン伝導度を有し、耐酸性、耐酸化性などの化学的安定性に優れていることなどから、広く検討されている。これらは、フッ素系高分子化合物からなる疎水性の主鎖骨格と、スルホン酸基を含有する親水性側鎖からなり、相分離構造を取るため、プロトン伝導に適したクラスター構造を形成するとされている。しかしながら、このようなパーフルオロカーボンスルホン酸膜は、製造が困難で、非常に高価であるという欠点がある。さらに、民生用小型携帯機器に搭載される燃料電池の燃料として有望視されているメタノールなどの水素含有液体などの透過(クロスオーバーともいう)が大きく、いわゆる化学ショート反応が起こる。これにより、カソード電位、燃料効率、セル特性などの低下が生じ、直接メタノール形燃料電池の高分子電解質膜として用いるのが困難である。また、未発電時にもクロスオーバーによる燃料の消失が懸念される。
このような背景から、製造が容易で、より安価な高分子電解質膜として、芳香族系高分子化合物のスルホン化物などからなる高分子電解質膜が種々提案されている。その代表的なものとして、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン(たとえば、特許文献1を参照のこと)、スルホン化ポリエーテルスルホン(たとえば、特許文献2を参照のこと)、スルホン化ポリスルホン(たとえば、特許文献3を参照のこと)、スルホン化ポリイミド(たとえば、特許文献4を参照のこと)などの耐熱性芳香族系高分子化合物のスルホン化物などが提案されている。また、安価で、機械的、化学的に安定とされるSEBS(スチレン−(エチレン−ブチレン)−スチレン)のスルホン化体からなるプロトン伝導性高分子膜(特許文献5を参照のこと)が提案されている。これらのスルホン化炭化水素系高分子膜は製造が容易であり、かつ低コスト化が可能であるとされている。しかしながら、高いプロトン伝導度が要求される固体高分子形燃料電池や直接メタノール形燃料電池の高分子電解質膜として使用するには、プロトン伝導性が不充分である。また、それを改善するために、スルホン酸基などのプロトン伝導性置換基の導入量を増やすと、機械的特性の低下(強度低下、伸び低下)や、水溶性になったり、膜の吸水率が上昇して著しく膨潤するなどハンドリング性が著しく損なわれる。
化学的・熱的安定性を有する炭化水素系高分子化合物のスルホン化物として、さらに、ポリフェニレンサルファイドをベースとした高分子電解質膜が提案されている。しかしながら、ポリフェニレンサルファイドは実質的に溶媒不溶性であり、他の溶媒溶解性の高分子電解質膜と比較して、製膜性等の加工性が劣る。例えば、特許文献6には、ポリフェニレンサルファイドを発煙硫酸と反応させてスルホン化ポリフェニレンサルファイドを調製し、カチオン交換物質として使用する方法が開示されている。しかし、この物質は溶媒不溶性の架橋性ポリマーであることから、さらに加工して使用するのは困難である。また、特許文献7には、非プロトン性極性溶媒に可溶なスルホン化ポリフェニレンサルファイドが提案されている。これはポリフェニレンサルファイドを変性することにより、非プロトン性極性溶媒への溶解性を付与し、容易にフィルムに加工できるポリマーの調製方法が開示されている。しかし、ここに開示されている方法は、ポリフェニレンサルファイドの変性(スルホン化)、沈殿・乾燥による変性物の回収、非プロトン性極性溶媒溶液調製、製膜・溶媒除去、など種々の工程を経るものである。
さらに、特許文献8には、スルホン化ポリフェニレンサルファイドなどのスルホン化芳香族系高分子膜の製造方法が開示されている。このスルホン化芳香族系高分子膜の製造方法において、スルホン化剤としてクロロスルホン酸、溶媒としてジクロロメタンを使用することが記載されている。しかし、この製造方法で得られたスルホン化芳香族系高分子膜も、高いプロトン伝導度を得るためにスルホン酸基などのプロトン伝導性置換基の導入量を増やすと、メタノールの透過が大きくなることが容易に想定される。このように、直接メタノール形燃料電池の電解質膜には、プロトン伝導度を低下させずにメタノール透過を抑制することが要求されているが、プロトン伝導度とメタノール遮断性がトレードオフの関係にあり、これらの特性を両立させることは困難である。
また、このジクロロメタンなどの低炭素数のハロゲン化脂肪族系炭化水素系化合物は、その沸点が低いことから、スルホン化高分子膜を得るまでに、溶媒の揮発防止や揮発した溶媒の回収のためなどの付帯設備が必要になり、製造コストが大きくなることが容易に想定される。
特開平6−93114号公報 特開平10―45913号公報 特開平9−245818号公報 特表2000−510511号公報 特表平10−503788号公報 米国特許第4,110,265号公報 特表平11−510198号公報 国際公開第02/062896号パンフレット
本発明の目的は、上記のように、固体高分子形燃料電池、特に直接メタノール形燃料電池に使用する高分子電解質膜として、高いプロトン伝導性と優れたメタノール遮断性を両立させることが困難である問題を鑑みてなされたものであり、プロトン伝導性、さらにメタノール遮断性に優れる高分子電解質膜を提供することである。また、これらの特性を有する高分子電解質膜を得るための簡便な方法を提供することである。さらに、優れた発電特性を発現しうる固体高分子形燃料電池あるいは直接メタノール形燃料電池を提供することである。
すなわち本発明の高分子電解質膜は、スルホン酸基と炭化水素系高分子化合物を含む高分子電解質膜であって、平均粒径が1〜20nmのクラスター構造を有するものであることが好ましい。
さらに、前記炭化水素系高分子化合物は、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、シンジオタクチックポリスチレン、ポリフェニレンオキシド、ポリパラフェニレン、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリアリーレンエーテルからなる群から選択される少なくとも1種あるいはそれらの誘導体であることが好ましい。
また、前記高分子電解質膜のイオン交換容量は、1〜3ミリ当量/gであることが好ましい。
また、本発明の高分子電解質膜の製造方法は、平均粒径が1〜20nmのクラスター構造を有する高分子電解質膜の製造方法であって、芳香族系高分子化合物を含むフィルムを、スルホン化剤と炭素数3以上のハロゲン化炭化水素系化合物を含む溶液に浸漬することが好ましい。
さらに、前記芳香族系高分子化合物はポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、シンジオタクチックポリスチレン、ポリフェニレンオキシド、ポリパラフェニレン、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリアリーレンエーテルからなる群から選択される少なくとも1種あるいはそれらの誘導体であること、前記スルホン化剤はクロロスルホン酸であること、前記ハロゲン化炭化水素系化合物は1−クロロブタンであることが、それぞれ好ましい。
また、本発明の固体高分子形燃料電池は、前記高分子電解質膜を使用したものに関する。
また、本発明の直接メタノール形燃料電池は、前記高分子電解質膜を使用したものに関する。
本発明によれば、プロトン伝導性、さらにメタノール遮断性に優れる高分子電解質膜を得ることができる。また、これらの特性を有する高分子電解質膜を簡便な方法で得ることができる。さらに、これらの高分子電解質膜を使用した固体高分子形燃料電池あるいは直接メタノール形燃料電池は、優れた発電特性を発現しうる。
すなわち本発明の高分子電解質膜は、スルホン酸基と炭化水素系高分子化合物を含む高分子電解質膜であって、平均粒径が1〜20nmのクラスター構造を有することが好ましい。このように高分子電解質膜中にクラスター構造を構築することによって、スルホン酸基などのプロトン伝導性置換基を過度に導入する必要がなく、耐久性やハンドリング性などの膜特性を犠牲にすることなく、優れたプロトン伝導度を発現させることが可能となる。高分子電解質膜のクラスター径の測定には、種々の測定方法が適用することが可能である。例えば、スルホン酸基のH+イオンと金属カチオンをイオン交換して、透過型電子顕微鏡(TEM)でクラスター構造を観察する方法や、細孔やクラスター内に保持されたナノメートルオーダーの氷の融解温度がバルクな氷と比べて低下する現象を利用して示査走査熱量計(DSC)で測定する方法、小角X線散乱法(SAXS)で測定する方法などがある。高分子電解質膜の有姿(in situ)の状態での観察や種々の環境雰囲気下での測定が可能なことから、小角X線散乱法による測定が好ましい。本発明において、平均クラスター径は1〜20nmであることが好ましい。平均クラスター径がこの範囲よりも小さいと、クラスター径が小さすぎて、一般的にヒドロニウムイオン(H3+)を形成して膜中を移動するといわれるプロトンの良好な伝導パスとはなり難い傾向を示す。また、前記範囲よりもクラスター径が大きいと、クラスターの存在密度が低下し、プロトン伝導パスが低減する恐れがある。さらに、クラスター内に保持される水分量が増大するため、メタノール燃料を使用した場合に、メタノールがクラスター内の水と混ざり合い、メタノールの透過量が増大するなどの恐れがある。
高分子電解質膜にプロトン伝導性を付与させる方法としては、プロトン伝導性置換基を導入する方法、プロトン伝導性物質を複合化する方法などがあるが、得られる高分子電解質膜のプロトン伝導性や、高分子電解質膜の得易さを考慮すると、プロトン伝導性置換を導入する方法が好ましい。プロトン伝導性置換基としては、スルホン酸基やリン酸基、カルボン酸基やフェノール性水酸基などが列挙できるが、高分子電解質膜のプロトン伝導性やプロトン伝導性置換基の導入のし易さを考慮すると、スルホン酸基であることが好ましい。本発明に使用可能な炭化水素系高分子化合物としては、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリアリールエーテルスルホン、ポリ(アリルフェニルエーテル)、ポリエチレンオキシド、ポリエーテルエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリ塩化ビニル、ポリ(ジフェニルシロキサン)、ポリ(ジフェニルフォスファゼン)、ポリスルホン、ポリパラフェニレン、ポリビニルアルコール、ポリ(フェニルグリシジルエーテル)、ポリ(フェニルメチルシロキサン)、ポリ(フェニルメチルフォスファゼン)、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルホキシド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリベンズイミダゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリ(α−メチルスチレン)、ポリスチレン、スチレン−(エチレン−ブチレン)スチレン共重合体、スチレン−(ポリイソブチレン)−スチレン共重合体、ポリ1,4−ビフェニレンエーテルエーテルスルホン、ポリアリーレンエーテル、ポリエーテルイミド、シアン酸エステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、シンジオタクチックポリスチレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルニトリルやそれらの誘導体などが列挙できる。中でも、高分子電解質膜のプロトン伝導性、メタノール遮断性、ハンドリング性、などを考慮すると、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、シンジオタクチックポリスチレン、ポリフェニレンオキシド、ポリパラフェニレン、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリアリーレンエーテルからなる群から選択される少なくとも1種あるいはそれらの誘導体であることが好ましい。特に、化学的安定性、工業的入手の容易さを考慮すると、ポリフェニレンサルファイドであることがより好ましい。
本発明において、前記高分子電解質膜のイオン交換容量は、1〜3ミリ当量/gであることことが好ましい。イオン交換容量がこの範囲よりも低いと、高分子電解質膜のプロトン伝導性が不充分となる傾向を生じ、また、この範囲よりも高いとメタノール遮断性が低下する傾向を生じる。
本発明の高分子電解質膜の製造方法は、平均1〜20nmのクラスター構造を有する高分子電解質膜の製造方法であって、芳香族系高分子化合物を含むフィルムを、スルホン化剤と炭素数3以上のハロゲン化炭化水素系化合物を含む溶液に浸漬するものである。従来の芳香族系高分子化合物からなる高分子電解質膜の製造方法は、芳香族系高分子化合物の均一な有機溶媒溶液中でスルホン化反応を実施し、貧溶媒に滴下してスルホン酸基が導入された芳香族系高分子化合物を析出させる。次いで、スルホン化剤や有機溶媒を洗浄除去し、乾燥を行って、スルホン酸基が導入された芳香族系高分子化合物を回収する。さらに、このスルホン酸基が導入された芳香族系高分子化合物の有機溶媒溶液を調製し、溶液キャスト法で製膜して、高分子電解質膜を得るものである。これに対し、本発明の製造方法は、溶融押出法や溶融プレス法、溶液キャスト法などの汎用の方法で得られる芳香族系高分子化合物を含むフィルムを、芳香族系化合物にスルホン酸基を導入する公知のスルホン化剤と炭素数3以上のハロゲン化炭化水素系化合物を含む溶液に浸漬するという簡便な方法で、プロトン伝導性やメタノール遮断性に優れる1〜20nmのクラスター径のクラスター構造を有する高分子電解質膜を製造することが可能である。
本発明における芳香族系高分子化合物としては、ポリエーテルエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリ(ジフェニルフォスファゼン)、ポリスルホン、ポリパラフェニレン、ポリ(フェニルグリシジルエーテル)、ポリ(フェニルメチルシロキサン)、ポリ(フェニルメチルフォスファゼン)、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルホキシド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリベンズイミダゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリ(α−メチルスチレン)、ポリスチレン、スチレン−(エチレン−ブチレン)スチレン共重合体、スチレン−(ポリイソブチレン)−スチレン共重合体、ポリ1,4−ビフェニレンエーテルエーテルスルホン、ポリアリーレンエーテル、ポリエーテルイミド、シアン酸エステル樹脂、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、シンジオタクチックポリスチレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトンやそれらの誘導体などが列挙できる。中でも、高分子電解質膜のプロトン伝導性、メタノール遮断性、ハンドリング性、などを考慮すると、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、シンジオタクチックポリスチレン、ポリフェニレンオキシド、ポリパラフェニレン、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリアリーレンエーテルからなる群から選択される少なくとも1種あるいはそれらの誘導体であることが好ましい。特に、化学的安定性、工業的入手の容易さを考慮すると、ポリフェニレンサルファイドであることがより好ましい。本発明において、スルホン化剤としては、クロロスルホン酸、発煙硫酸、三酸化硫黄、三酸化硫黄−トリエチルフォスフェート、濃硫酸、トリメチルシリルクロロサルフェートなどの公知のスルホン化剤を使用することが好ましい。さらに、工業的入手の容易さやスルホン酸基の導入の容易さや得られる高分子電解質膜の特性を考慮すると、クロロスルホン酸を使用するのがより好ましい。
本発明において、スルホン化反応時の溶媒としては、炭素数3以上のハロゲン化炭化水素系化合物を使用することが好ましい。これらは、芳香族系高分子化合物のスルホン化時に一般的に使用されている、ジクロロメタンや1,2−ジクロロエタンなどの炭素数2以下のハロゲン化炭化水素系化合物を使用するのと比較して、沸点が高く、揮発しにくいため、溶媒の揮発防止や揮発した溶媒の回収のためなどの付帯設備が必要とならず、付帯設備に係る製造コストを低減することが可能となる。また、スルホン酸基の導入量や導入形態を比較的制御しやすく、プロトン伝導性、メタノール遮断性、機械的特性やハンドリング性に優れる高分子電解質膜を得ることができる。本発明に使用可能な炭素数3以上のハロゲン化炭化水素系化合物としては、1−クロロプロパン、1−ブロモプロパン、1−ヨードプロパン、1−クロロブタン、2−クロロブタン、1−クロロ−2−メチルプロパン、1−ブロモブタン、2−ブロモブタン、1−ブロモ−2−メチルプロパン、1−ヨードブタン、2−ヨードブタン、1−ヨード−2−メチルプロパン、1−クロロペンタン、1−ブロモペンタン、1−ヨードペンタン、1−クロロヘキサン、1−ブロモヘキサン、1−ヨードヘキサン、クロロシクロヘキサン、ブロモシクロヘキサン、ヨードシクロヘキサンなどが列挙できる。特に使用する溶媒の扱いやすさ、得られる高分子電解質膜の特性、スルホン化剤との相性などの点から、1−クロロブタンが好ましい。
スルホン化剤の使用量としては、芳香族系高分子化合物の芳香族単位に対して、0.5〜30当量、さらには0.5〜15当量であるのが好ましい。スルホン化剤の使用量が、0.5当量よりも少ない場合には、スルホン酸基の導入量が少なくなり、得られる高分子電解質膜のプロトン伝導性が不充分となる傾向がある。一方、30当量を超える場合には、芳香族系高分子化合物を含むフィルムが化学的に劣化し、正常な高分子電解質膜が得られなかったり、得られる高分子電解質膜の機械的強度が低下し、ハンドリングが困難となったり、スルホン酸基の導入量が多くなりすぎて、メタノール遮断性が低下するなど、かえって高分子電解質膜の実用的な特性が損なわれる傾向がある。
溶媒中のスルホン化剤の濃度は、スルホン酸基の目標とする導入量や反応条件(温度・時間)を勘案して適宜設定すればよい。具体的には、0.1〜10重量%であることが好ましく、より好ましい範囲は、0.2〜5重量%である。0.1重量%より低いとスルホン化剤と芳香族系高分子化合物の芳香族単位とが接触しにくくなり、所望のスルホン酸基が導入できなかったり、導入するのに時間がかかりすぎたりする傾向がある。一方、10重量%をこえるとスルホン酸基の導入が不均一となったり、得られた高分子電解質膜の機械的特性が損なわれる傾向がある。
また、接触させる際の反応温度、反応時間についてはとくに限定はないが、反応温度については0℃以上溶媒及びスルホン化剤の沸点以下、さらには10〜30℃、反応時間については0.5時間以上、さらには2〜100時間の範囲で設定するのが好ましい。反応温度が、0℃より低い場合は、設備上冷却等の措置が必要になるとともに、反応に必要以上の時間がかかる傾向がある。また、溶媒及びスルホン化剤の沸点をこえる場合は、溶媒やスルホン化剤の揮発防止に係る付帯設備が必要になったり、反応が過度に進行したり、副反応を生じたりして、高分子電解質膜の特性を低下させる傾向がある。また、反応時間が、0.5時間より短い場合は、スルホン化剤と芳香族系高分子化合物中の芳香族単位との接触が不充分となり、所望のスルホン酸基が導入しにくくなる傾向があり、反応時間が100時間をこえる場合は、生産性が著しく低下する傾向を示すとともに、高分子電解質膜の大きな特性向上は期待できなくなる傾向がある。実際には、使用するスルホン化剤や溶媒などの反応系、目標とする生産量などを考慮して、所望の特性を有する高分子電解質膜を効率的に製造することができるように設定すればよい。
さらに具体的な事例をあげて説明すると、芳香族系高分子化合物としてポリフェニレンサルファイドフィルム、スルホン化剤としてクロロスルホン酸、溶媒として1−クロロブタンを使用する場合には、クロロスルホン酸の添加量がポリフェニレンサルファイドの芳香族単位に対して1.5当量以上、1−クロロブタン溶液中のクロロスルホン酸濃度が、0.3重量%以上、反応温度が20℃以上、反応時間が5時間以上、の条件で、所望の特性を発現しうる高分子電解質膜を製造することができる。このとき、所定量・所定濃度のクロロスルホン酸/1−クロロブタン溶液を調製し、それにポリフェニレンサルファイドフィルムを浸漬させることにより、ポリフェニレンサルファイドフィルム中の芳香族単位中の水素原子と−SO2Cl基が置換される。さらにこれを水と接触させることにより、−SO2Cl基が加水分解され、スルホン酸基(−SO3H)になるとともに、残存する1−クロロブタンやクロロスルホン酸が除去され、スルホン酸基含有ポリフェニレンサルファイドが得られる。
本発明の高分子電解質膜の製造方法は、連続的に実施してもよい。すなわち、芳香族系高分子化合物からなるフィルムを連続的にスルホン化剤との反応槽に供給し、さらに必要に応じて、洗浄工程や乾燥工程を連続的に実施してもよい。この方法によって、高分子電解質膜の製造の生産性が向上する。
また、高分子フィルムを反応槽内でスルホン化剤と接触させることによって、フィルム(膜)形状のままスルホン酸基を導入することができる。したがって、従来の均一反応系でスルホン化高分子を合成した後、膜形状に加工する方法と比較して、反応物の回収・精製・乾燥などの工程、溶媒へのスルホン化高分子の溶解や支持体への塗布、溶媒除去などの工程が省略できるため好ましい。さらに、フィルムを連続供給するため、その生産性は著しく向上する。
また、反応槽に浸漬したフィルムに付着および/または包含されたスルホン化剤を除去・洗浄することを連続的に実施することにより、スルホン化剤による周辺機器の腐食の防止やフィルムのハンドリング性が改善する。除去・洗浄の条件は、使用するスルホン化剤や芳香族系高分子化合物の種類を考慮して適宜設定すればよいが、水洗により、残存したスルホン化剤を不活性化したり、アルカリを使用して中和処理してもよい。
さらに、得られた高分子電解質膜を連続して乾燥することによって、実際に使用可能な形態で回収することができる。乾燥条件は、使用する芳香族系高分子化合物の種類や得られる高分子電解質膜の特性を考慮して適宜設定すればよい。スルホン酸基が強い親水性を示すため、洗浄過程において、含水して著しく膨潤している恐れがある。そのため、乾燥時に収縮し、皺や脹れなどの凹凸が生じる恐れがある。したがって、乾燥時には高分子電解質膜の面方向に適度なテンションをかけて乾燥することが好ましい。また、急激な乾燥を抑制するため、湿度の調節下で徐々に乾燥してもよい。
使用するスルホン化剤やスルホン化の反応条件によっては、例えば、芳香族系高分子化合物として、ポリフェニレンサルファイドを使用した場合、ポリフェニレンサルファイド中のスルフィド単位(−S−)がスルホキシド単位(−SO−)やスルホン単位(−SO2−)に酸化されたり、また、スルホキシド単位(−SO−)がスルホン単位(−SO2−)に酸化されたり、また、フェニレン単位の水素が−Clなどの置換基で置換される副反応が生じる可能性がある。しかし、得られた高分子電解質膜の特性を著しく低下させるものでなけば、前記副反応の結果生じた構造単位が含まれていても構わない。
前記のように本発明の製造方法により製造される高分子電解質膜を製造する際に、その高分子電解質膜中に、酸化防止剤、帯電防止剤、抗菌剤、滑剤、表面活性剤などの添加剤を適量含有させてもよい。
また、前記方法で製造した高分子電解質膜の特性をさらに向上させるために、電子線、γ線、イオンビーム等の放射線を照射させることが好ましい。
つぎに、本発明の固体高分子形燃料電池および直接メタノール形燃料電池について、一例として、図面を引用して説明する。図1は、本発明に係る固体高分子形燃料電池あるいは直接メタノール形燃料電池の単位セルの要部断面図である。これは、本発明の高分子電解質膜1と、その両側にそれぞれ触媒層4と拡散層6を含む燃料極8、触媒層5と拡散層7を含む酸化剤極9が配置される。高分子電解質膜1と燃料極8と酸化剤極9は、必要に応じて結着剤層2,3を介して接合され、膜−電極接合体10が構成される。さらにその外側に液体燃料の流路13を有するセパレーター11、酸化剤流路14を有するセパレーター12が配置され、本発明の固体高分子形燃料電池あるいは直接メタノール形燃料電池に使用可能な単位セル15が得られる。
高分子電解質膜1としては、前述した内容の高分子電解質膜が使用される。結着剤層2,3は、同一または異なっていてもよく、必要に応じて形成されてもよく、また、形成されなくてもよい。一般的には、ナフィオンに代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸系高分子化合物や、スルホン酸基を含有するポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリイミドなど溶媒溶解性の公知の高分子電解質が使用される。これらは、高分子電解質膜1と触媒層4,5を接合(接着)するために使用される。これらの材料に対しては、その異種材料に対する接合性に加え、高分子電解質膜1と同様に、プロトン伝導性や化学的安定性などが要求される。
触媒層4,5は、同一または異なっていてもよく、片側には使用する燃料(水素やメタノールなど)の酸化能を有する触媒が使用される。もう一方には、使用する酸化剤(酸素や空気など)の還元能を有する触媒が使用される。具体的には、カーボンブラック,活性炭,カーボンナノホーン,カーボンナノチューブなどの高表面積の導電性材料に、白金などの貴金属触媒が担持されたものが使用される。特に燃料極側には、メタノール酸化時の副生成物である一酸化炭素、アルデヒド類、カルボン酸類などによる触媒被毒を抑制するため、白金の代わりに、白金とルテニウムなどからなる複合あるいは合金触媒などが使用される。
拡散層6,7は、同一または異なっていてもよく、カーボンペーパーやカーボンクロスなどの多孔質の導電性材料が使用される。これらは供給される水分や電気化学反応によって生成した水で気孔が塞がれるのを抑制するため、必要に応じて、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系化合物で撥水処理を施してもよい。一般的には、これらの拡散層6,7上に、前記触媒層4,5がナフィオンに代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸系高分子化合物や、スルホン酸基を含有するポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリイミドなど溶媒溶解性の公知の高分子電解質をバインダーとして形成され、燃料極8,酸化剤極9が調製され使用される。前記燃料極8,酸化剤極9としては、市販の触媒担持ガス拡散電極(米国E−TEK社製、など)を用いてもよい。
本発明における膜−電極接合体10の製造方法は、公知あるいは任意の方法が選択可能である。一例をあげると、触媒担持ガス拡散電極8,9の触媒層4,5上に、必要に応じて結着剤2,3の構成材料の有機溶媒溶液を塗布した後、必要に応じて溶媒を除去し、高分子電解質膜1の両面に配置する。その後、ホットプレス機やロールプレス機などのプレス機を使用して、一般的には120〜250℃程度のプレス温度でホットプレスし、膜−電極接合体10を調製することができる。また必要に応じて、結着剤2,3を使用せずに、膜−電極接合体10を調製しても構わない。
本発明の固体高分子形燃料電池あるいは直接メタノール形燃料電池を単独で、あるいは複数積層して、スタックを形成し、使用することや、それらを組み込んだ燃料電池システムとすることもできる。
さらに、本発明の高分子電解質膜を使用した直接メタノール形燃料電池について、一例として、図面を引用して説明する。
図2は、本発明の高分子電解質膜1を含む直接メタノール形燃料電池の要部断面図である。膜−電極接合体10は、燃料(メタノールあるいはメタノール水溶液)を充填および供給する機能を有する燃料(メタノールあるいはメタノール水溶液)タンク16の両側に必要数が平面状に配置される。さらにその外側には、酸化剤流路14が形成された支持体17が配置され、これらに狭持されることによって、直接メタノール形燃料電池のセル、スタックが構成される。
前記の例以外にも、本発明の高分子電解質膜は、特開2001−313046号公報、特開2001−313047号公報、特開2001−93551号公報、特開2001−93558号公報、特開2001−93561号公報、特開2001−102069号公報、特開2001−102070号公報、特開2001−283888号公報、特開2000−268835号公報、特開2000−268836号公報、特開2001−283892号公報などで公知になっている直接メタノール形燃料電池の高分子電解質膜として、使用可能である。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。
(実施例1)
<高分子電解質膜の調製>
ガラス容器に、1−クロロブタン578g、クロロスルホン酸8.67gを秤量し、クロロスルホン酸溶液を調製した。ポリフェニレンサルファイドフィルム(東レ株式会社製、商品名:トレリナ、厚み:25μm)を1.34g秤量し、クロロスルホン酸溶液に浸漬し、室温で20時間、放置した(クロロスルホン酸添加量は、ポリフェニレンサルファイドの芳香族単位に対して6当量)。室温で20時間放置後に、ポリフェニレンサルファイドフィルムを回収し、イオン交換水で中性になるまで洗浄した。
洗浄後のポリフェニレンサルファイドフィルムの四辺をピンからなる枠体に固定して、23℃に調温した恒温恒湿器内で、相対湿度98%、80%、60%および50%の湿度調節下で、それぞれ30分間放置してフィルムを乾燥し、スルホン酸基が導入されたポリフェニレンサルファイド膜(以下、スルホン化ポリフェニレンサルファイド膜)からなる高分子電解質膜(80mm×80mm、厚み:42μm)を得た。
<イオン交換容量の測定方法>
高分子電解質膜(約10mm×40mm)を25℃での塩化ナトリウム飽和水溶液20mLに浸漬し、ウォーターバス中で60℃、3時間イオン交換反応させた。25℃まで冷却し、次いで膜をイオン交換水で充分に洗浄し、塩化ナトリウム飽和水溶液および洗浄水をすべて回収した。この回収した溶液に、指示薬としてフェノールフタレイン溶液加え、0.01Nの水酸化ナトリウム水溶液で中和滴定し、イオン交換容量を算出した。
結果を表1に示す。
表1の実施例1,2と比較例1の比較から、以下のことがわかる。
・プロトン伝導度は、本発明とナフィオン(登録商標)のそれとは、ほぼ同等。
・メタノール透過係数は、本発明のほうが、ナフィオン(登録商標)のそれの約3分の1(実施例2)から約4分の1(実施例1)である。すなわち、本発明の方が、ナフィオン(登録商標)よりもメタノール遮断性が3倍から4倍優れている。
・ナフィオン(登録商標)のクラスター径の平均粒径3.2nmに比べて、本発明の高分子電解質膜のクラスター径の平均粒径は、より大きい5.0nm、6.6nmであることがわかる。
Figure 2005307025
<プロトン伝導度の測定方法>
イオン交換水中に保管した高分子電解質膜(約10mm×40mm)を取り出し、膜表面の水をろ紙で拭き取った。2極非密閉系のテフロン(登録商標)製のセルに膜を設置し、さらに白金電極を電極間距離30mmとなるように、膜表面(同一側)に設置した。23℃での膜抵抗を、交流インピーダンス法(周波数:42Hz〜5MHz、印可電圧:0.2V)により測定し、プロトン伝導度を算出した。
結果を表1に示す。
<メタノール遮断性の測定方法>
25℃の環境下で、ビードレックス社製膜透過実験装置を使用して、高分子電解質膜でイオン交換水と所定濃度のメタノール水溶液を隔離した。所定時間経過後にイオン交換水側に透過したメタノールを含む溶液を採取し、ガスクロマトグラフで透過したメタノール量を定量した。この定量結果から、メタノール透過速度を求め、メタノール透過係数を算出した。メタノール透過係数は、以下の数式1にしたがって算出した。
Figure 2005307025
結果を表1に示す。
<クラスター径・クラスター構造の平均粒径の測定方法>
高分子電解質膜を適当量採取し、カプトンフィルムに挟み、ステンレス製サンプルホルダーに固定して、小角X線散乱法(X線源:CuKα線、出力:50kV−200mA)による測定を行った。
<膜−電極接合体の調製>
アノード触媒シートを次のようにして調製した。Pt:Ru:C=27:13:60(重量比)の白金−ルテニウム担持カーボン触媒と蒸留水と5重量%ナフィオン溶液(Aldrich製)からなる触媒インクを調合し、テフロン(登録商標)製転写シートに前記触媒インクを塗布した。重量測定と乾燥を繰り返しながら、白金量が1mg/cm2になるまで触媒インクの塗布を繰り返した。カソード触媒シートは、Pt:Ru:C=27:13:60(重量比)の白金−ルテニウム担持カーボン触媒の代わりに、Pt:C=50:50(重量比)の半金担持カーボン触媒を使用した以外は、アノード触媒シートと同様にした。
スルホン化ポリフェニレンサルファイドからなる高分子電解質膜の両側に、アノード触媒シートおよびカソード触媒シートをそれぞれ配置し、加熱圧縮(180℃−10分)した後、転写シートを剥離し、高分子電解質膜の両面に触媒層を形成した。
<直接メタノール形燃料電池の発電特性評価>
前記方法で得られた膜−電極接合体の両側にカーボンペーパーからなる拡散層を配置し、燃料電池セルに組み込んだ(発電領域:5cm2)。燃料として、所定濃度のメタノール水溶液を0.5mL/min、酸化剤として、60℃でフル加湿した(飽和蒸気圧の)空気を124mL/min供給し、セル温度60℃で、直接メタノール形燃料電池の発電特性評価を行った。
結果を図3〜4に示す。
図3の実施例1,2と比較例1の比較から、以下のことがわかる。
・開放電圧(OcV)は、本発明の実施例の方が、ナフィオン(登録商標)のそれよりも高い。
・各電流密度領域におけるセル電圧は、本発明の実施例の方が、ナフィオン(登録商標)のそれよりも高く、高い出力密度を発現している。
図4の実施例1,2と比較例1の比較から、以下のことがわかる。
・開放電圧(OcV)は、本発明の実施例の方が、ナフィオン(登録商標)のそれよりも高い。
・各電流密度領域におけるセル電圧は、本発明の実施例の方が、ナフィオン(登録商標)のそれよりも高く、高い出力密度を発現している。

(実施例2)
1−クロロブタン量を746g、クロロスルホン酸量を14.93g、ポリフェニレンサルファイドフィルム(東レ株式会社製、商品名:トレリナ、厚み:50μm)を1.73gとした以外は、実施例1と同様にして高分子電解質膜を調製し(クロロスルホン酸添加量は、ポリフェニレンサルファイドの芳香族単位に対して8当量)、スルホン化ポリフェニレンサルファイド膜からなる高分子電解質膜(80mm×80mm、厚み:90μm)を得た。
高分子電解質膜として、このスルホン化ポリフェニレンサルファイド膜を使用した以外は、実施例1と同様にした。
結果を表1、図3〜4に示した。
(比較例1)
高分子電解質膜として、デュポン社製ナフィオン(登録商標)115を使用した以外は、実施例1と同様にした。
結果を表1、図3〜4に示す。
表1の実施例1,2と比較例1の比較から、ナフィオン(登録商標)のクラスター径の平均粒径3.2nmに比べて、本発明の高分子電解質膜のクラスター径の平均粒径は、より大きい5.0nm、6.6nmであることがわかる。従い、本発明の高分子電解質膜は、クラスター構造を有する公知のパーフルオロカーボンスルホン酸膜であるナフィオン(登録商標)よりもやや大きいクラスター径のクラスター構造を有することが明らかとなった。さらに、ナフィオン(登録商標)と比較して、同等のプロトン伝導度を有すること、さらにメタノール遮断性が優れること(メタノール透過係数が小さい)ことが明らかとなって、本発明の有用性が示された。
図3,4の実施例1,2と比較例1の比較から、本発明の高分子電解質膜は、4mol/L、8mol/Lのいずれの濃度においても、各電流密度領域で、比較例のものよりも高いセル電圧を示し、優れた発電特性を発現することが明らかとなり、本発明の有用性が示された。
本発明に係る固体高分子形燃料電池あるいは直接メタノール形燃料電池の単位セルの一例の要部断面図である。 本発明に係る直接メタノール形燃料電池の一例の要部断面図である。 4mol/Lのメタノール水溶液を燃料に使用した場合の直接メタノール形燃料電池の発電特性 8mol/Lのメタノール水溶液を燃料に使用した場合の直接メタノール形燃料電池の発電特性
符号の説明
1 高分子電解質膜
2 燃料極側の結着剤層
3 酸化剤極側の結着剤層
4 燃料極側の触媒層
5 酸化剤極側の触媒層
6 燃料極側の拡散層
7 酸化剤極側の拡散層
8 燃料極
9 酸化剤極
10 膜−電極接合体
11 燃料極側のセパレーター
12 酸化剤極側のセパレーター
13 燃料流路
14 酸化剤流路
15 単位セル
16 タンク
17 支持体

Claims (9)

  1. スルホン酸基と炭化水素系高分子化合物を含む高分子電解質膜であって、平均粒径が1〜20nmのクラスター構造を有する高分子電解質膜。
  2. 前記炭化水素系高分子化合物が、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、シンジオタクチックポリスチレン、ポリフェニレンオキシド、ポリパラフェニレン、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリアリーレンエーテルからなる群から選択される少なくとも1種あるいはそれらの誘導体である請求項1記載の高分子電解質膜。
  3. 前記高分子電解質膜のイオン交換容量が、1〜3ミリ当量/gである請求項1または2のいずれかに記載の高分子電解質膜。
  4. 平均粒径が1〜20nmのクラスター構造を有する高分子電解質膜の製造方法であって、芳香族系高分子化合物を含むフィルムを、スルホン化剤と炭素数3以上のハロゲン化炭化水素系化合物を含む溶液に浸漬する高分子電解質膜の製造方法。
  5. 前記芳香族系高分子化合物が、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、シンジオタクチックポリスチレン、ポリフェニレンオキシド、ポリパラフェニレン、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリアリーレンエーテルからなる群から選択される少なくとも1種あるいはそれらの誘導体である請求項4記載の高分子電解質膜の製造方法。
  6. 前記スルホン化剤が、クロロスルホン酸である請求項4記載の高分子電解質膜の製造方法。
  7. 前記ハロゲン化炭化水素系化合物が、1−クロロブタンである請求項4記載の高分子電解質膜の製造方法。
  8. 前記請求項1〜3の高分子電解質膜、あるいは、前記請求項4〜7の製造方法により得られた高分子電解質膜を使用した固体高分子形燃料電池。
  9. 前記請求項1〜3の高分子電解質膜、あるいは、前記請求項4〜7の製造方法により得られた高分子電解質膜を使用した直接メタノール形燃料電池。
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