JP2005306964A - 液状燃料用乳化分散剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】 廃棄プラスチックを燃料として有効利用するために、該廃棄プラスチックを比較的単純な製造プロセスで液状燃料化し得る、廃棄プラスチックを含有した液状燃料用乳化分散剤を提供する。
【解決手段】 廃棄プラスチックと燃料油の溶融混合物及び水とを乳化分散させて得られる液状燃料用乳化分散剤であって、該乳化分散剤が(A)アニオン界面活性剤と、(B)HLB5〜18のノニオン界面活性剤との混合物からなり、かつ、上記(A)/(B)が質量比で1/20〜20/1であることを特徴とする液状燃料用乳化分散剤。
【選択図】 なし
【解決手段】 廃棄プラスチックと燃料油の溶融混合物及び水とを乳化分散させて得られる液状燃料用乳化分散剤であって、該乳化分散剤が(A)アニオン界面活性剤と、(B)HLB5〜18のノニオン界面活性剤との混合物からなり、かつ、上記(A)/(B)が質量比で1/20〜20/1であることを特徴とする液状燃料用乳化分散剤。
【選択図】 なし
Description
本発明は、液状燃料用乳化分散剤に関し、更に詳しくは、廃棄プラスチックと重油などの燃料油の溶融混合物及び水を乳化分散させて得られる液状燃料を製造するための乳化分散剤に関する。
近年、エネルギー源として重要な石油は、高騰すると共に資源としての枯渇が懸念され始めている。また、石油製品であるプラスチックの家庭並びに産業から排出される廃棄プラスチックの廃棄量は、年々増加の一途をたどり処理法が問題となっている。
一方でプラスチックは、発熱量が高く、その程度は、石油系燃料に匹敵することから、燃料への応用が期待されている。これまでに、廃棄プラスチックを軽油や重油などの燃料油に融解させ燃料化させる試みもなされているが、高融点のプラスチックを燃料油に溶融させると粘度が高まり、ハンドリング性や燃焼性の面から改善が望まれていた。
廃棄プラスチックを処理する技術としては、例えば、樹脂廃材を微粉砕して100〜400μmの微粒子にして廃油等の補助液体燃料に混合してスラリー燃料として、このスラリー燃料を燃焼させる樹脂廃材の処理方法(例えば、特許文献1参照)が知られている。
しかしながら、この技術は、乳化剤を使用せず、機械的せん断力のみでスラリーを製造しているため安定したスラリー燃料にはならず、燃料の貯蔵や運搬が不可能であり、燃料製造設備と燃焼設備を直結させ、連続的に使用しなければならず、設備上の制約を伴い、スラリー燃料の汎用化という点で課題がある。
しかしながら、この技術は、乳化剤を使用せず、機械的せん断力のみでスラリーを製造しているため安定したスラリー燃料にはならず、燃料の貯蔵や運搬が不可能であり、燃料製造設備と燃焼設備を直結させ、連続的に使用しなければならず、設備上の制約を伴い、スラリー燃料の汎用化という点で課題がある。
また、廃プラスチックの粗砕物と界面活性剤を含んだ水、燃料油とを混合して湿式粉砕機で微粒子にしてスラリー燃料とする廃プラスチックの処理方法(例えば、特許文献2参照)が知られている。しかしながら、この技術は、使用している界面活性剤がノニオン界面活性剤を単独使用しているため、このスラリー燃料は十分な安定化には至らず、上記と同様に燃料製造設備と燃焼設備を直結させ、連続的に使用しなければならない点に課題があるものである。
特開平11−140469号公報(特許請求の範囲、実施例等)
特開平6−33080号公報(特許請求の範囲、実施例等)
本発明は、上記従来技術の課題及び現状等に鑑み、これを解消しようとするものであり、廃棄プラスチックを燃料として有効利用するために、該廃棄プラスチックを比較的単純な製造プロセスで液状燃料化し得る、廃棄プラスチックを含有した液状燃料用乳化分散剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来の課題等を解決するために、鋭意検討した結果、廃棄プラスチックと燃料油の溶融混合物及び水を乳化分散させて得られる液状燃料用乳化分散剤であって、該乳化分散剤を特定の界面活性剤との混合物から構成し、かつ、用いる界面活性剤の質量比を特定の範囲とすることにより、上記目的の液状燃料用乳化分散剤が得られることを見い出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明は、次の(1)及び(2)に存する。
(1) 廃棄プラスチックと燃料油の溶融混合物及び水を乳化分散させて得られる液状燃料用乳化分散剤であって、該乳化分散剤が(A)アニオン界面活性剤と、(B)HLB5〜18のノニオン界面活性剤との混合物からなり、かつ、上記(A)/(B)が質量比で1/20〜20/1であることを特徴とする液状燃料用乳化分散剤。
(2) アニオン界面活性剤が高級アルコール硫酸エステル(塩)、及びアルキルベンゼンスルホン酸(塩)から選ばれる少なくとも一つであり、ノニオン界面活性剤が高級アルコールのアルキレンオキシド付加体、高級脂肪酸のアルキレンオキシド付加体、及び高級脂肪酸とアルコールのアルキレンオキシド付加体とのエステル体から選ばれる少なくとも一つである上記(1)記載の液状燃料用乳化分散剤。
(1) 廃棄プラスチックと燃料油の溶融混合物及び水を乳化分散させて得られる液状燃料用乳化分散剤であって、該乳化分散剤が(A)アニオン界面活性剤と、(B)HLB5〜18のノニオン界面活性剤との混合物からなり、かつ、上記(A)/(B)が質量比で1/20〜20/1であることを特徴とする液状燃料用乳化分散剤。
(2) アニオン界面活性剤が高級アルコール硫酸エステル(塩)、及びアルキルベンゼンスルホン酸(塩)から選ばれる少なくとも一つであり、ノニオン界面活性剤が高級アルコールのアルキレンオキシド付加体、高級脂肪酸のアルキレンオキシド付加体、及び高級脂肪酸とアルコールのアルキレンオキシド付加体とのエステル体から選ばれる少なくとも一つである上記(1)記載の液状燃料用乳化分散剤。
本発明の液状燃料用乳化分散剤を使用することにより、廃棄プラスチックを含有した燃料油と水を複雑な設備を必要とせず、微細なエマルジョンにすることができる。このため、低粘度で流動性の良好な、かつ、経日安定性の良好な液状燃料を供給でき、また、液状燃料の輸送や貯蔵が可能となるので、液状燃料の製造設備と燃焼設備を直結させる必要もなく新たな設備を必要とせず、しかも、現行の燃焼設備をそのまま使用できることから総合的な経済性を確保できる利点を持つ。
以下に、本発明の実施形態を詳しく説明する。
本発明の液状燃料用乳化分散剤は、廃棄プラスチックと燃料油の溶融混合物及び水を乳化分散させて得られる液状燃料用乳化分散剤であって、該乳化分散剤が(A)アニオン界面活性剤と、(B)HLB5〜18のノニオン界面活性剤との混合物からなり、かつ、上記(A)/(B)が質量比で1/20〜20/1であることを特徴とするものである。
本発明の液状燃料用乳化分散剤は、廃棄プラスチックと燃料油の溶融混合物及び水を乳化分散させて得られる液状燃料用乳化分散剤であって、該乳化分散剤が(A)アニオン界面活性剤と、(B)HLB5〜18のノニオン界面活性剤との混合物からなり、かつ、上記(A)/(B)が質量比で1/20〜20/1であることを特徴とするものである。
本発明において使用する(A)成分のアニオン界面活性剤としては、例えば、高級アルコール硫酸エステル(塩)、アルキルベンゼンスルホン酸(塩)等の硫酸エステル、スルホン酸を親水基とするものが良好であり、特に、高級アルコール硫酸エステル(塩)が好ましい。ここで、本発明において規定する「(塩)」とは、酸そのもの、又は、その塩を表わす。
高級アルコール硫酸エステル(塩)としては、好ましくは、更なる乳化分散力の点、経日安定性の点で、炭素数8〜20のもの、更に好ましくは、10〜14の直鎖、若しくは分岐鎖1級アルコール又は直鎖若しくは分岐2級アルコールを硫酸化して得られるものが挙げられる。
高級アルコール硫酸エステル(塩)としては、好ましくは、更なる乳化分散力の点、経日安定性の点で、炭素数8〜20のもの、更に好ましくは、10〜14の直鎖、若しくは分岐鎖1級アルコール又は直鎖若しくは分岐2級アルコールを硫酸化して得られるものが挙げられる。
アルキルベンゼンスルホン酸(塩)は、アルキルベンゼンをスルホン化して得られるものであり、アルキル基の炭素数が8〜20のものであればいずれも用いることができ、更なる乳化分散力の点、経日安定性の点で、炭素数10〜14のものが好ましい。
アニオン界面活性剤における塩としての対イオンとしては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属、アンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン等が挙げられ、いずれのものでもでもよいが、好ましくは、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属がよい。
これらのアニオン界面活性剤は、各単独で又は2種以上混合して用いることができる。
アニオン界面活性剤における塩としての対イオンとしては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属、アンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン等が挙げられ、いずれのものでもでもよいが、好ましくは、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属がよい。
これらのアニオン界面活性剤は、各単独で又は2種以上混合して用いることができる。
本発明において使用する(B)成分のHLB5〜18のノニオン界面活性剤としては、例えば、高級アルコール、ないし高級脂肪酸のアルキレンオキシド付加体、高級脂肪酸とアルコールとのアルキレンオキシド付加体のエステル体、アルカノールアミドのアルキレンオキシド付加体、ソルビタンエステルのアルキレンオキシド付加体、高級脂肪酸グリセリドのアルキレンオキシド付加体等のアルキレンオキシド付加型ノニオン界面活性剤から選ばれる少なくとも1種(各単独又は2種類以上混合物)が挙げられる。
ここで、本発明において、「アルキレンオキシド」とは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドの単独、若しくは混合を意味し、混合の場合、ブロック、ランダムの付加形式を問わないが、HLBが5〜18であることが必要であり、好ましくは8〜15であることが望ましい。ここで、本発明において、「HLB」は、Griffinの計算式により算出される値を適用する。
本発明において、用いるノニオン界面活性剤のHLBが5未満、あるいは、HLBが18を越えると、乳化分散力の点で劣ることとなり、好ましくない。
ここで、本発明において、「アルキレンオキシド」とは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドの単独、若しくは混合を意味し、混合の場合、ブロック、ランダムの付加形式を問わないが、HLBが5〜18であることが必要であり、好ましくは8〜15であることが望ましい。ここで、本発明において、「HLB」は、Griffinの計算式により算出される値を適用する。
本発明において、用いるノニオン界面活性剤のHLBが5未満、あるいは、HLBが18を越えると、乳化分散力の点で劣ることとなり、好ましくない。
好ましいノニオン界面活性剤としては、更なる乳化分散力の点、経日安定性の点から高級アルコール、ないし高級脂肪酸のアルキレンオキシド付加体、高級脂肪酸とアルコールとのアルキレンオキシド付加体のエステル体が挙げられ、特に好ましくは、高級アルコールのアルキレンオキシド付加体である。
本発明において、上記アニオン界面活性剤(A)とノニオン界面活性剤(B)の質量比(A)/(B)は、1/20〜20/1であることが必要であり、好ましくは、1/5〜5/1であることが望ましい。
この質量比が1/20未満では、安定性の面で劣ることとなり、また、質量比が20/1を越えると、エマルジョン微細化の面で劣ることとなり、好ましくない。
この質量比が1/20未満では、安定性の面で劣ることとなり、また、質量比が20/1を越えると、エマルジョン微細化の面で劣ることとなり、好ましくない。
また、アニオン界面活性剤(A)とノニオン界面活性剤(b)の合計使用量は、液状燃料全体に対する割合で、好ましくは、0.1〜20質量%(以下、質量%を単に「%」と略記する。)、更に好ましくは、0.5〜10%とすることが望ましい。
この界面活性剤の合計量が0.1%未満では、液状燃料の乳化分散が十分ではなく、また、20%を越える場合は、気泡が多くなり、また、経済性も低くなる場合があり、好ましくない。
この界面活性剤の合計量が0.1%未満では、液状燃料の乳化分散が十分ではなく、また、20%を越える場合は、気泡が多くなり、また、経済性も低くなる場合があり、好ましくない。
本発明に使用する燃料油としては、例えば、鉱物性油、植物性油、動物性油などが挙げられる。
鉱物性油としては、例えば、軽油、灯油、重油、ガソリン、ナフサなどの他、機械油、潤滑油、切削油などが含まれる。植物性油としては、例えば、ナタネ油、大豆油、米ぬか油、綿実油、トウモロコシ油、パーム油、ヒマワリ油などが挙げられる。動物性油としては、牛、豚、羊、鶏、魚等の動物性油脂が含まれる。
これらは、混合物でもよく、それらを含む廃油であってもよい。廃油の場合は、資源再利用の点でも好ましい。
鉱物性油としては、例えば、軽油、灯油、重油、ガソリン、ナフサなどの他、機械油、潤滑油、切削油などが含まれる。植物性油としては、例えば、ナタネ油、大豆油、米ぬか油、綿実油、トウモロコシ油、パーム油、ヒマワリ油などが挙げられる。動物性油としては、牛、豚、羊、鶏、魚等の動物性油脂が含まれる。
これらは、混合物でもよく、それらを含む廃油であってもよい。廃油の場合は、資源再利用の点でも好ましい。
本発明で使用する廃棄プラスチックとは、家庭、産業から排出される廃棄プラスチックであり、例えば、オレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリエチレンテレフタレート、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体等、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、アクリル系樹脂(ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸エステル等)、スチレン系樹脂(ポリスチレン、スチレンーアクリロニトリル共重合体、スチレンーアクリロニトリルーブタジエン共重合体)、ポリアクリロニトリル、セルロース系樹脂(セルロースアセテート等)などの熱可塑性樹脂や尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル、ポリウレタンなどの熱硬化性樹脂及びこれらの混合物が挙げられる。
好ましくは、熱可塑性樹脂である。特に、オレフィン系樹脂が好ましい。これら廃棄プラスチックには、天然ゴム、合成ゴム(ジエン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタンゴム等)などのゴム類や無機物質可塑剤、安定剤、充填剤等の添加物を含むものでもよく、廃棄プラスチック中のプラスチックの含有量としては70%以上であればよい。
プラスチックの形態は、粉砕したものが取り扱い上好ましく、特に、平均粒径20mm以下程度に粉砕されたものがよい。
プラスチックの形態は、粉砕したものが取り扱い上好ましく、特に、平均粒径20mm以下程度に粉砕されたものがよい。
本発明において、廃プラスチックと燃料油の質量比は、5〜50:95〜50が好ましく、より好ましくは、10〜30:90〜70であることが望ましい。
この廃プラスチックスの質量比が5未満では、廃プラスチック活用の面から好ましくなく、また、質量比が50を越えると、粘度が高くなりすぎ、好ましくない。
また、廃プラスチックと燃料油合計と水との割合は、1:9〜9:1が好ましく、より好ましくは、3:7〜7:3である。
この廃プラスチックスの質量比が5未満では、廃プラスチック活用の面から好ましくなく、また、質量比が50を越えると、粘度が高くなりすぎ、好ましくない。
また、廃プラスチックと燃料油合計と水との割合は、1:9〜9:1が好ましく、より好ましくは、3:7〜7:3である。
本発明において、得られる乳化分散剤は、防錆剤、抗菌剤、キレート剤、減粘剤等と共に使用してもよいものである。
防錆剤としては、例えば、芳香族モノアミン、ピリジンなどのアミン化合物、その他、安息香酸ナトリウムやメルカプトベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。抗菌剤としては、例えば、銀、亜鉛、銅、ニッケルなどの金属塩、有機窒素系、有機窒素硫黄系、有機ブロム系、有機硫黄系などが挙げられる。キレート剤としては、例えば、リン酸水素2ナトリウムなどのリン系、エチレンジアミン4酢酸4ナトリウム、クエン酸3ナトリウムなどのカルボン酸系などが挙げられる。
また、減粘剤としては、例えば、グリコールモノエーテル類、グリコールジエーテル類、フェニルグリコールエーテル類、ベンジルグリコール類などが挙げられるが、これらに限られるものではない。
防錆剤としては、例えば、芳香族モノアミン、ピリジンなどのアミン化合物、その他、安息香酸ナトリウムやメルカプトベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。抗菌剤としては、例えば、銀、亜鉛、銅、ニッケルなどの金属塩、有機窒素系、有機窒素硫黄系、有機ブロム系、有機硫黄系などが挙げられる。キレート剤としては、例えば、リン酸水素2ナトリウムなどのリン系、エチレンジアミン4酢酸4ナトリウム、クエン酸3ナトリウムなどのカルボン酸系などが挙げられる。
また、減粘剤としては、例えば、グリコールモノエーテル類、グリコールジエーテル類、フェニルグリコールエーテル類、ベンジルグリコール類などが挙げられるが、これらに限られるものではない。
本発明の乳化分散剤を用いて液状燃料を製造する方法としては、例えば、廃棄プラスチックをその融点以上の温度にて燃料油に溶融させた後に、水と本発明の乳化分散剤とを混合し、分散乳化させる方法が挙げられる。この際、廃棄プラスチックを溶融させた燃料油は、高温の液状状態で使用してもよく、また、室温まで冷却して固体、または、半固体の状態で使用してもよい。
この液状燃料の製造方式としては、連続プロセスとバッチプロセスがある。連続プロセスで調製する場合は、まず、耐熱耐圧攪拌槽に燃料油、廃プラスチックを混合して廃プラスチックの融点以上の温度で溶融混合し、次いで、廃プラスチックと燃料油の混合物を冷却するが、その冷却温度は十分な流動性を保持する温度以上であるのがよい。
一方で水と乳化分散剤を混合して5〜100℃、好ましくは、30〜90℃で保温しておく。これら2つをラインミキサー等を使用して連続的に高速攪拌下でせん断力をかけ、常温〜200℃で乳化分散させる。必要であれば前記混合液をリサイクルさせ、せん断力を十分にかける。あるいは混合液を二段乳化としてホモミキサー等にかけることも効果がある。この際の乳化分散剤の添加は一括でもよく分割添加でもよい。
一方で水と乳化分散剤を混合して5〜100℃、好ましくは、30〜90℃で保温しておく。これら2つをラインミキサー等を使用して連続的に高速攪拌下でせん断力をかけ、常温〜200℃で乳化分散させる。必要であれば前記混合液をリサイクルさせ、せん断力を十分にかける。あるいは混合液を二段乳化としてホモミキサー等にかけることも効果がある。この際の乳化分散剤の添加は一括でもよく分割添加でもよい。
バッチプロセスで調製する場合には、耐圧耐熱攪拌槽に廃棄プラスチックと燃料油の溶融混合物と水と乳化分散剤を一括または別々に仕込み、必要に応じて加温下(例えば、30〜200℃)、高せん断攪拌機で乳化分散させる。高せん断攪拌機には、通常のモーター付き攪拌翼、ホモジナイザー、ホモミキサー、ブレンダー等を用いる。この際、廃棄プラスチックと燃料油の溶融混合物を常温にまで下げ、固体、半固体状とした後、このものに水、乳化分散剤を加え、乳化分散させてもよい。
本発明では、廃棄プラスチックと燃料油を廃棄プラスチックの融点温度以上の温度で加温して溶融させた混合物を用いるが、このようにすることによって、液状燃料中の廃棄プラスチックの平均粒経は100μm以下、好ましくは50μm以下、更に好ましくは30μm以下〔レーザー回折式粒子径測定装置(HORIBA LA-920)を使用して測定可能〕となり、従って、水と乳化分散させるのに良好な状態となるため、液状燃料の経日安定性も良好となる。
このように構成される本発明の液状燃料用乳化分散剤を用いることにより、廃棄プラスチックを含有した燃料油と水を複雑な設備を必要とせず、微細なエマルジョンにすることができることとなる。これにより、低粘度で流動性の良好な、かつ、経日安定性の良好な液状燃料を供給でき、また、液状燃料の輸送や貯蔵が可能となるので、液状燃料の製造設備と燃焼設備を直結させる必要もなく新たな設備を必要とせず、しかも、現行の燃焼設備をそのまま使用できることから総合的な経済性を確保できる利点を有するものとなる。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は下記実施例によって限定されるものではない。
〔実施例1〜11及び比較例1〜4〕
下記各製法により、各乳化分散剤を用いた各液状燃料を得た。実施例1〜4及び比較例1は、連続プロセスであり、その他はバッチプロセスにより製造した。なお、以下において、ポリオキシエチレンを「POE」、オキシエチレンを「EO」と略称する。
(実施例1)
耐圧耐熱性20L容攪拌槽にA重油15kgと粉砕した廃棄プラスチック(ポリプロピレン)5kgを仕込み、200℃にまで昇温し、1時間保温し廃棄プラスチックを溶融させた。この廃棄プラスチック燃料油を約130℃にまで冷却し、ポンプにより30kg/hrの速度でラインミキサーへ送液した。
一方で、50L容サービスタンクに精製水17.2kg、炭素数12〜16のアルキル硫酸エステルナトリウム、2.33kg、POE(EO付加モル数:7)トリデシルエーテル(HLB=12.2)0.47kgを仕込み混合後、80℃に保温し、この混合液をポンプにより30kg/hrの送液速度でラインミキサーに送液し、回転数3000rpmで廃プラスチック燃料油と乳化分散剤溶液を混合乳化した。ラインミキサーにより乳化分散した粗乳化分散液をポンプでホモミキサーを備えた50L容混合槽に送液し、攪拌速度5000rpm、50℃の条件下で30分乳化分散して液状燃料を得た。
下記各製法により、各乳化分散剤を用いた各液状燃料を得た。実施例1〜4及び比較例1は、連続プロセスであり、その他はバッチプロセスにより製造した。なお、以下において、ポリオキシエチレンを「POE」、オキシエチレンを「EO」と略称する。
(実施例1)
耐圧耐熱性20L容攪拌槽にA重油15kgと粉砕した廃棄プラスチック(ポリプロピレン)5kgを仕込み、200℃にまで昇温し、1時間保温し廃棄プラスチックを溶融させた。この廃棄プラスチック燃料油を約130℃にまで冷却し、ポンプにより30kg/hrの速度でラインミキサーへ送液した。
一方で、50L容サービスタンクに精製水17.2kg、炭素数12〜16のアルキル硫酸エステルナトリウム、2.33kg、POE(EO付加モル数:7)トリデシルエーテル(HLB=12.2)0.47kgを仕込み混合後、80℃に保温し、この混合液をポンプにより30kg/hrの送液速度でラインミキサーに送液し、回転数3000rpmで廃プラスチック燃料油と乳化分散剤溶液を混合乳化した。ラインミキサーにより乳化分散した粗乳化分散液をポンプでホモミキサーを備えた50L容混合槽に送液し、攪拌速度5000rpm、50℃の条件下で30分乳化分散して液状燃料を得た。
(実施例2)
50L容サービスタンクに精製水17.2kg、炭素数12〜16のアルキル硫酸エステルナトリウム0.47kg、POE(EO付加モル数:7)トリデシルエーテル(HLB=12.2)2.33kgを仕込み混合後、80℃に保温した以外は、上記実施例1と同条件で液状燃料を得た。
50L容サービスタンクに精製水17.2kg、炭素数12〜16のアルキル硫酸エステルナトリウム0.47kg、POE(EO付加モル数:7)トリデシルエーテル(HLB=12.2)2.33kgを仕込み混合後、80℃に保温した以外は、上記実施例1と同条件で液状燃料を得た。
(実施例3)
50L容サービスタンクに精製水17.2kg、炭素数16〜18のアルキル硫酸エステルナトリウム、2.33kg、POE(EO付加モル数:20)デシルエーテル(HLB=16.3)0.47kgを仕込み混合後、80℃に保温した以外は、上記実施例1と同条件で液状燃料を得た。
50L容サービスタンクに精製水17.2kg、炭素数16〜18のアルキル硫酸エステルナトリウム、2.33kg、POE(EO付加モル数:20)デシルエーテル(HLB=16.3)0.47kgを仕込み混合後、80℃に保温した以外は、上記実施例1と同条件で液状燃料を得た。
(実施例4)
50L容サービスタンクに精製水17.2kg、炭素数10〜14のアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム2.33kg、POE(EO付加モル数:20)デシルエーテル(HLB=16.3)0.47kgを仕込み混合後、80℃に保温した以外は、上記実施例1と同条件で液状燃料を得た。
50L容サービスタンクに精製水17.2kg、炭素数10〜14のアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム2.33kg、POE(EO付加モル数:20)デシルエーテル(HLB=16.3)0.47kgを仕込み混合後、80℃に保温した以外は、上記実施例1と同条件で液状燃料を得た。
(実施例5)
高速ホモミキサー〔TKオート・ホモミキサー;特殊機化工業(株)製〕と温度調節装置を備えたステンレス製1L容攪拌槽(耐圧耐熱性)に精製水74.4g、ノニオン系界面活性剤として、POE(EO付加モル数:7)トリデシルエーテル(HLB=12.2)11.2g、アニオン系界面活性剤として炭素数12〜16のアルキル硫酸エステルナトリウム2.8gを仕込み、1000rpmの攪拌条件下、40℃で10分水と乳化分散剤を混合した。この混合液に粉砕した廃棄プラスチック(ポリプロピレン)27.9gとA重油83.7gを溶融混合させ、冷却固化させて、スパーテルで掻き取れるレベルの比較的柔らかな状態となった廃プラスチック燃料油111.6gを加え、全量200gを仕込んだ後に、ホモミキサーの回転数を4000rpmにまで上げ、10分乳化を行って、液状燃料を得た。
高速ホモミキサー〔TKオート・ホモミキサー;特殊機化工業(株)製〕と温度調節装置を備えたステンレス製1L容攪拌槽(耐圧耐熱性)に精製水74.4g、ノニオン系界面活性剤として、POE(EO付加モル数:7)トリデシルエーテル(HLB=12.2)11.2g、アニオン系界面活性剤として炭素数12〜16のアルキル硫酸エステルナトリウム2.8gを仕込み、1000rpmの攪拌条件下、40℃で10分水と乳化分散剤を混合した。この混合液に粉砕した廃棄プラスチック(ポリプロピレン)27.9gとA重油83.7gを溶融混合させ、冷却固化させて、スパーテルで掻き取れるレベルの比較的柔らかな状態となった廃プラスチック燃料油111.6gを加え、全量200gを仕込んだ後に、ホモミキサーの回転数を4000rpmにまで上げ、10分乳化を行って、液状燃料を得た。
(実施例6)
アニオン界面活性剤として、炭素数12〜16のアルキル硫酸エステルナトリウム11.2g、ノニオン界面活性剤として、POE(EO付加モル数:7)トリデシルエーテル(HLB=12.2)2.8gとした以外は、上記実施例5と同条件で液状燃料を得た。
アニオン界面活性剤として、炭素数12〜16のアルキル硫酸エステルナトリウム11.2g、ノニオン界面活性剤として、POE(EO付加モル数:7)トリデシルエーテル(HLB=12.2)2.8gとした以外は、上記実施例5と同条件で液状燃料を得た。
(実施例7)
アニオン界面活性剤として、炭素数10〜14のアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム2.8g、ノニオン界面活性剤として、POE(EO付加モル数:20)デシルエーテル(HLB=16.3)11.2gとした以外は、上記実施例5と同条件で液状燃料を得た。
アニオン界面活性剤として、炭素数10〜14のアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム2.8g、ノニオン界面活性剤として、POE(EO付加モル数:20)デシルエーテル(HLB=16.3)11.2gとした以外は、上記実施例5と同条件で液状燃料を得た。
(実施例8)
乳化分散温度を80℃にした以外は、上記実施例6と同条件で液状燃料を得た。
乳化分散温度を80℃にした以外は、上記実施例6と同条件で液状燃料を得た。
(実施例9)
アニオン界面活性剤として、炭素数12〜16のアルキル硫酸エステルナトリウム1.2g、ノニオン界面活性剤としてPOE(EO付加モル数:10)トリデシルエーテル(HLB=13.8)4.8g、精製水77.6と廃棄プラスチック29.1gをA重油87.3gに溶融させた燃料油を用い、乳化分散温度を60℃とした以外は上記実施例5と同条件で液状燃料を得た。
アニオン界面活性剤として、炭素数12〜16のアルキル硫酸エステルナトリウム1.2g、ノニオン界面活性剤としてPOE(EO付加モル数:10)トリデシルエーテル(HLB=13.8)4.8g、精製水77.6と廃棄プラスチック29.1gをA重油87.3gに溶融させた燃料油を用い、乳化分散温度を60℃とした以外は上記実施例5と同条件で液状燃料を得た。
(実施例10)
ノニオン系界面活性剤として、ラウリン酸POE(EO付加モル数:9)メチルエーテル11.2gとした以外は、上記実施例5と同条件で液状燃料を得た。
ノニオン系界面活性剤として、ラウリン酸POE(EO付加モル数:9)メチルエーテル11.2gとした以外は、上記実施例5と同条件で液状燃料を得た。
(実施例11)
アニオン系界面活性剤として、炭素数12〜16のアルキル硫酸エステルナトリウム11.2g)、ノニオン系界面活性剤として、ラウリン酸POE(EO付加モル数:9)メチルエーテル2.8gとした以外は、上記実施例5と同条件で液状燃料を得た。
アニオン系界面活性剤として、炭素数12〜16のアルキル硫酸エステルナトリウム11.2g)、ノニオン系界面活性剤として、ラウリン酸POE(EO付加モル数:9)メチルエーテル2.8gとした以外は、上記実施例5と同条件で液状燃料を得た。
(比較例1)
使用した乳化分散剤をPOE(EO付加モル数:7)トリデシルエーテル(HLB=12.2)2.8kgを用い、アニオン界面活性剤を用いなかった以外は、上記実施例1と同条件で液状燃料を得た。
使用した乳化分散剤をPOE(EO付加モル数:7)トリデシルエーテル(HLB=12.2)2.8kgを用い、アニオン界面活性剤を用いなかった以外は、上記実施例1と同条件で液状燃料を得た。
(比較例2)
使用した乳化分散剤をPOE(EO付加モル数:7)トリデシルエーテル(HLB=12.2)14gを用い、アニオン界面活性剤を用いなかった以外は、上記実施例5と同条件で液状燃料を得た。
使用した乳化分散剤をPOE(EO付加モル数:7)トリデシルエーテル(HLB=12.2)14gを用い、アニオン界面活性剤を用いなかった以外は、上記実施例5と同条件で液状燃料を得た。
(比較例3)
使用した乳化分散剤を炭素数12〜16のアルキル硫酸エステルナトリウム14gを用い、ノニオン界面活性剤を用いなかった以外は、上記実施例5と同条件で液状燃料を得た。
使用した乳化分散剤を炭素数12〜16のアルキル硫酸エステルナトリウム14gを用い、ノニオン界面活性剤を用いなかった以外は、上記実施例5と同条件で液状燃料を得た。
(比較例4)
使用した乳化分散剤を炭素数12〜16のPOE(EO付加モル数:3)アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム14gを用い、ノニオン界面活性剤を用いなかった以外は、上記実施例5と同条件で液状燃料を得た。
使用した乳化分散剤を炭素数12〜16のPOE(EO付加モル数:3)アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム14gを用い、ノニオン界面活性剤を用いなかった以外は、上記実施例5と同条件で液状燃料を得た。
上記で得られた実施例1〜11及び比較例1〜4の液状燃料について、下記方法により、エマルジョン粘度、経日安定性を測定、評価した。
これらの結果を下記表1に示す。
これらの結果を下記表1に示す。
(粘度の測定方法)
調製したエマルジョンの粘度は、B型粘度計(ブルックフィールド社製、No.3ロータ、回転数60rpm、指示値が安定した時点で測定、測定温度35℃)で粘度を測定した。
調製したエマルジョンの粘度は、B型粘度計(ブルックフィールド社製、No.3ロータ、回転数60rpm、指示値が安定した時点で測定、測定温度35℃)で粘度を測定した。
(経日安定性の評価方法)
製造した液状燃料を100mL容スクリューバイアル瓶に移し、室温(25℃)に静置後、2層に分離して下層に水が分離する迄の日数により経日安定性を評価した。
製造した液状燃料を100mL容スクリューバイアル瓶に移し、室温(25℃)に静置後、2層に分離して下層に水が分離する迄の日数により経日安定性を評価した。
上記表1の結果から明らかなように、本発明範囲となる乳化分散剤を用いた液状燃料となる実施例1〜11は、本発明範囲外となる比較例1〜4に較べて、廃棄プラスチックを含有した燃料油と水を複雑な設備を必要とせず、微細なエマルジョンにすることができるので、低粘度で流動性の良好で、経日安定性の良好な液状燃料となることが判明した。
Claims (2)
- 廃棄プラスチックと燃料油の溶融混合物及び水を乳化分散させて得られる液状燃料用乳化分散剤であって、該乳化分散剤が(A)アニオン界面活性剤と、(B)HLB5〜18のノニオン界面活性剤との混合物からなり、かつ、上記(A)/(B)が質量比で1/20〜20/1であることを特徴とする液状燃料用乳化分散剤。
- アニオン界面活性剤が高級アルコール硫酸エステル(塩)、及びアルキルベンゼンスルホン酸(塩)から選ばれる少なくとも一つであり、ノニオン界面活性剤が高級アルコールのアルキレンオキシド付加体、高級脂肪酸のアルキレンオキシド付加体、及び高級脂肪酸とアルコールのアルキレンオキシド付加体とのエステル体から選ばれる少なくとも一つである請求項1記載の液状燃料用乳化分散剤。
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JP2004124130A JP2005306964A (ja) | 2004-04-20 | 2004-04-20 | 液状燃料用乳化分散剤 |
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2008029898A1 (fr) * | 2006-09-01 | 2008-03-13 | Nanomizer Inc. | Procédé de production de carburant en émulsion et appareil de production du carburant |
JP2008081740A (ja) * | 2006-09-01 | 2008-04-10 | Sg Engineering Kk | 水と可燃性油を微粒子状態で混合してエマルジョン燃料を製造する方法及び同エマルジョン燃料の製造装置並びにエマルジョン燃料 |
KR101241301B1 (ko) | 2012-05-04 | 2013-03-11 | 주식회사 그린테크놀로지 | 유전용 항유화제 |
CN101735869B (zh) * | 2009-12-14 | 2013-04-17 | 济南开发区星火科学技术研究院 | 一种微乳化燃料油添加剂及制备方法 |
CN109621812A (zh) * | 2018-12-24 | 2019-04-16 | 北京生态岛科技有限责任公司 | 一种利用高热值废物制备乳化油的方法和系统 |
-
2004
- 2004-04-20 JP JP2004124130A patent/JP2005306964A/ja active Pending
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