JP2005305744A - 化粧材 - Google Patents

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Tatsuhiko Furuta
達彦 古田
Takashi Ikeda
尚 池田
Yumiko Tsuruta
由美子 鶴田
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Abstract

【目的】木質感やリサイクル適性に優れた木質樹脂発泡成形体を基材とした化粧材であって、より小さな線膨張係数を有する化粧材を提供すること。
【解決手段】木質樹脂発泡成形体の表面に、前記木質樹脂発泡成形体に含有される熱可塑性樹脂と同系の熱可塑性樹脂を主体とする化粧シートを積層してなる化粧材において、前記木質樹脂発泡成形体が、木質系充填材とポリエステル系樹脂と液晶性ポリマーを含有してなること、また前記液晶性ポリマーが前記ポリエステル系樹脂100重量部に対して1〜30重量部含有されてなること、前記ポリエステル系樹脂がポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、主に戸建て住宅やマンション、アパート、保養所、オフィスビル、店舗等の建築物における室内床面等に使用するための化粧材に関するものである。
現在、戸建て住宅等の建築物における室内床面用の化粧材としては、木質系フローリング材が最も広く流行している。この木質系フローリング材とは、厚み5〜15mm程度の天然木材の無垢板や、厚み5〜15mm程度の積層合板等の木質基材上に、厚み数百μm乃至数mm程度の天然木材の突板を貼着したもの、或いはそれらの塗装品等である。
これらの天然木材を使用した木質系フローリング材は、その表面の意匠が天然木材の木目という、最も自然で親しみやすく美麗な意匠であることから、従来広く消費者に受け容れられている。しかし、日光に当たると変色し易いことや、水に濡れると膨れや割れ、反り、腐蝕、突板の剥離等を起こし易く、特に浴室脱衣所や洗面所、厨房等の様な水廻りの部位への使用には問題があること、天然素材なので色調や木目形状などの品質や価格、供給量などが不安定であることなどの問題点も指摘されている。
特に近年では、地球環境保護問題への社会的関心が高まるにつれて、環境破壊に繋がる天然木材の大量消費は白眼視される様になり、化粧材などの建築材料の分野においても、資源のリサイクル利用への取り組みが求められる様になっている。しかし、木質系フローリング材を再度化粧材としてリサイクル利用することは、技術的にも経済的にも極めて困難であり、せいぜい粉砕してパーティクルボード用原料としてリサイクル利用される程度に留まっているが、これも近年の急激な供給増に見合った用途開発が進まないために過剰在庫を抱え、リサイクル利用は行き詰まりの状況にあり、大半は埋め立てや焼却による最終処分が行われているのが現状である。
そこで、化粧材を使用後に再度、同種の化粧材の原料として再利用可能な、リサイクル適性のある化粧材の開発が、社会的に強く要望される様になっている。こうした要望に応えるものとして、本発明者らは既に、熱可塑性樹脂と木質系充填剤を含有する木質樹脂成形体の表面に、該木質樹脂成形体に含有される熱可塑性樹脂と同系の熱可塑性樹脂を主体とする化粧シートを積層してなる化粧材を提案した(特許文献1参照)。
特開2001−353815号公報 この化粧材は、熱可塑性樹脂を主成分とするので耐水性や耐候性に優れ、物性的にも意匠的にも品質の安定した製品を安価に大量供給可能であり、切削や釘打ち等の加工性も木質系フローリング材と同等であり、しかも、使用後はそのまま粉砕して前記木質樹脂成形体の成形材料として再利用できるという、優れたリサイクル適性を備えたものである。
また、本発明者らはさらに、水系又は溶剤系接着剤による接着性や、天然木材に似た暖かい触感を与える断熱性、快い歩行感を与える弾力性等の改善を目的として、前記木質樹脂成形体を発泡させてなる木質樹脂発泡成形体を基材として使用した化粧材をも、既に提案した(特許文献2)。
特開2002−120347号公報 しかしながら、その後の試作検討の結果、前記した木質樹脂発泡成形体を使用した化粧材にも、以下の様な改良点の必要性があることが判明した。すなわち、前記化粧材としての使用を想定した場合、使用環境温度における化粧材の熱収縮、熱膨張、すなわち単位温度あたりの変形を表す線膨張係数が小さいことが望ましい。線膨張係数が大きい場合には、使用温度変化による化粧材の目空き、あるいは突き上げ等が懸念される。
本発明は、従来の技術における前記の様な問題点を解決するためになされたものであり、木質感やリサイクル適性に優れた木質樹脂発泡成形体を基材とした化粧材であって、より小さな線膨張係数を有する化粧材を容易に提供しようとするものである。
本発明はこの課題を解決するためになされたものであり、その請求項1記載の発明は、木質樹脂発泡成形体の表面に、前記木質樹脂発泡成形体に含有される熱可塑性樹脂と同系の熱可塑性樹脂を主体とする化粧シートを積層してなる化粧材において、前記木質樹脂発泡成形体が、木質系充填材とポリエステル系樹脂と液晶性ポリマーを含有してなることを特徴とする化粧材である。
また、請求項2記載の発明は、前記液晶性ポリマーが前記ポリエステル系樹脂100重量部に対して1〜30重量部含有されてなることを特徴とする請求項1記載の化粧材である。
また、請求項3記載の発明は、前記ポリエステル系樹脂がポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1、2のいずれか記載の化粧材である。
また、請求項4記載の発明は、前記木質系充填剤の平均粒径が1〜200μmであり、前記木質樹脂発泡成形体中の前記熱可塑性樹脂100重量部に対して、前記木質系充填剤が10〜300重量部配合されてなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか記載の化粧材である。
また、請求項5記載の発明は、前記液晶性ポリマーがパラヒドロキシ安息香酸とポリエチレンテレフタレートとの共重合体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の化粧材である。
本発明はその請求項1記載の発明により、木質樹脂発泡成形体が、木質系充填材とポリエステル系樹脂と液晶性ポリマーを含有してなることにより、木質感、リサイクル適性に優れていることに加え、成形基材の流れ方向(MD方向)に液晶性ポリマーを配向させ、MD方向の線膨張係数を抑えるとともに、曲げ弾性率や表面硬度等の機械物性が改善され、より小さい線膨張係数および、より高い機械物性をもつ化粧材を提供することが可能となった。
また請求項2記載の発明により前記液晶性ポリマーが前記ポリエステル系樹脂100重量部に対して1〜30重量部含有されてなることにより、化粧材の物性を劣化させない範囲において、線膨張係数の低下や機械物性の向上の効果が得られるものとなる。
また請求項3記載の発明により、ポリエステル系樹脂がポリエチレンテレフタレートであることにより、特に化粧材としての成形が容易なものとなり、材料コスト、製造コストからも好適なものが得られる。
また請求項4記載の発明により、木質系充填剤の平均粒径が1〜200μmであり、前記木質樹脂発泡成形体中の前記熱可塑性樹脂100重量部に対して、前記木質系充填剤が10〜300重量部配合されてなることにより、充填材の分散性と樹脂形成体の機械的強度を好適なものとすることが可能となる。
また請求項5記載の発明により、前記液晶性ポリマーがパラヒドロキシ安息香酸とポリエチレンテレフタレートとの共重合体であることにより、樹脂の成形温度をより好適なものとすることが可能となる。
本発明の化粧材の一実施例の断面の構造を図1に示す。本発明の化粧材は、熱可塑性樹脂11となるポリエチレン系樹脂と液晶性ポリマーに木質系充填材12を分散させてこれを発泡させてなる(内部に気泡13が存在)木質樹脂発泡成形体1と、前記熱可塑性樹脂11と同系の熱可塑性樹脂からなる化粧シート2とからなる。
本発明における熱可塑性樹脂11はポリエチレン系樹脂と液晶性ポリマーからなる。本発明における液晶性ポリマーは、成形基材のMD方向に配向してなり、分子が剛直なため溶融状態でも分子配向が有り、光学的に異方性を示すものであり、また、低せん断応力により流れ方向に分子鎖が著しく配向する挙動を示し、一般にサーモトロピック液晶型(溶融液晶型)ポリマーと呼ばれるものである。
本発明における液晶性ポリマーは、芳香族ポリエステル及び芳香族ポリエステルアミドが好ましく、芳香族ポリエステル及び芳香族ポリエステルアミドを同一分子鎖中に部分的に含むポリエステルも好ましい。具体的には、ユニチカ(株)製「ロッドラン」、ポリプラスチックス社・Hoechst Celanese社製「ベクトラ」、住友化学工業(株)製「スミカスーパー」、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製「ノバキュレート」等市販の液晶ポリマー樹脂などが使用可能であるが、p−ヒドロキシ安息香酸とポリエチレンテレフタレートの共縮合から得られる液晶性芳香族ポリエステルが、材料入手の容易さや成形温度の点から好ましい。
前記成形温度は、添加する液晶性ポリマーおよびポリエステル系樹脂の流動特性により最適化する必要があるが、本発明においては、前記熱可塑性樹脂11に木質系充填剤12を添加しているため、極端に高い成形温度は、木質系充填剤12の焦げや分解をともなうおそれがあるため好ましくない。
本発明におけるポリエステル系樹脂としては、従来から成形材料用途に使われている材料であれば特に制限するものではなく、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル材料を用いることが出来る。中でも、成形の容易さ、コスト等の点から、ポリエチレンテレフタレートが最も適している。
本発明において、熱可塑性樹脂11のポリエステル系樹脂と液晶性ポリマーの配合比としては、液晶性ポリマーがポリエステル系樹脂100重量部に対して1.0〜30重量部、好ましくは5〜15重量部である。液晶性ポリマーの配合が少ない場合には、本発明の特徴である、線膨張係数の低下や機械物性の向上の効果が発現されない。また、多い場合には、床基材が脆くなる等の物性の低下を引き起こすとともに、成形性が悪くなる。
本発明における木質系充填剤12の素材としては、特に制限されることなく選択が可能であるが、一般的には木材をカッターミルなどによって破断し、これをボールミルやインペラーミルなどにより粉砕して、微粉状にしたもの(木粉)などを用いる。木質系充填剤の平均粒径は1〜200μm、好ましくは10〜150μmであることが重要である。平均粒径が1μm未満のものは、取り扱いが困難であるうえに、特に木質系充填剤の配合量が多い場合は、樹脂への分散が悪いと、製造される木質樹脂発泡成形体1の機械強度の低下が発生する。また、200μmより大きいと、成形品の均質性、平面性、機械的強度が低下する。
また木質系充填剤12の配合量については、熱可塑性樹脂の100重量部に対して10重量部から300重量部まで適宜選択が可能であるが、成形性や均質性を高めるために、20〜200重量部、より好ましくは30〜150重量部の配合量とすることが望ましい。木質系充填剤の配合量が多すぎると、化粧材の曲げ弾性率が上がり、しなやかさが失われるために、施工性が悪化したり(特に、隅部への施工時や一枚交換時に、化粧材を撓ませて施工することが難しくなる)、曲げた時に割れ易くなる。一方、少なすぎると、線膨張係数が大きくなり、寸法安定性が低下するために、温度変化によって、化粧材同士の間の目隙きや、化粧材同士の突き上げによる浮き等を発生したりする原因となる。
本発明における木質樹脂発泡成形体1を成形するためには、熱可塑性樹脂11となるポリエステル系樹脂と液晶性ポリマーと木質系充填剤12の他に、成形過程において発泡剤が適宜添加されて発泡される。
本発明において、木質樹脂発泡成形体1の成形及び発泡方法は特に問わず、例えば押出成形法、カレンダー成形法、射出成形法、注型成形法等、従来公知の方法を任意に採用することができる。これらの方法での成型においては、溶融状態の樹脂にMD方向の剪断応力が付与されるため、成形品は添加した液晶性ポリマーがMD方向に配向した状態となり、本発明の特徴である、低線膨張係数および高い機械物性が得られる。
また、発泡倍率の異なる複数層の積層体とする場合にあっては、発泡剤の配合量を変えた複数種の発泡性木質樹脂組成物をそれぞれ別途に押出成形法又は射出成形法等により成形した後に貼り合わせる方法や、複数種の発泡性木質樹脂組成物を使用した逐次押出法又は共押出法、単一種類の発泡性木質樹脂組成物を使用して単一の工程で連続的且つ安定的に成形可能なセルカ成形法などが挙げられる。
本発明において、木質樹脂発泡成形体1の成形には、必要に応じて熱安定剤、酸中和剤、紫外線吸収剤、ブロッキング防止剤、脱水剤、半透明化のための光散乱剤、艶調整剤等を添加することもできる。
これらの添加剤のうち熱安定剤としてはヒンダードフェノール系、硫黄系、リン系等、酸中和剤としてはステアリン酸金属塩、ハイドロタルサイト等、紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、ベンゾフェノン系、トリアジン系等があり、光安定剤としてはヒンダードアミン系等がある。
滑剤としては炭化水素系滑剤、脂肪酸、高級アルコール系、脂肪酸アマイド系、金属石鹸系、エステル系、フッ素系等、造核剤としてはカルボン酸金属塩系、ソルビトール系、リン酸エステル金属塩系等があり、顔料としては縮合アゾ、不溶性アゾ、キナクリドン、イソインドリノン、アンスラキノン、イミダゾロン、コバルト、フタロシアニン、カーボン、酸化チタン、酸化鉄、雲母等のパール顔料等があり、これらの添加剤を任意の組み合わせで用いるのが一般的である。
また、発泡の手法についても公知の手法がいずれも利用できる。一般的には、熱分解や化学反応によってガスを発生する化学発泡と、低沸点の液体に熱をかけて気化させる物理発泡とに分類でき、化学発泡剤としては無機系の重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、ホウ化水素ナトリウム、軽金属、アジド化合物等、また有機発泡剤としてはアゾ系、ニトロソ系、ヒドラジド系等が、任意の組み合わせで使用できる。
また、特に2倍を越える高発泡倍率での発泡には主に物理発泡が用いられ、発泡剤としては炭酸ガスや脂肪族炭化水素が主に用いられる。また、物理発泡に際しても発泡体のセル形状を整えるため化学発泡剤を併用することが多い。
本発明において、熱可塑性樹脂となるポリエステル系樹脂と液晶性ポリマーと木質系充填剤、発泡剤及びその他の添加剤の混練については、特に方法を問わないが、バンバリーミキサーによって混練し、ペレタイザーでペレット化する方法や、2軸押出混練機によって混合、ペレット化する方法などが一般的である。また、木質系充填剤は、含水率が大きいと、ペレタイズ時に発泡の原因となるために、混練前に予め乾燥機やホッパードライヤーで含水率を8%以下に抑えることが望ましい。
本発明の化粧材1に設けられる化粧シート2は、木質樹脂発泡成形体1に含有される熱可塑性樹脂11と同系の熱可塑性樹脂により構成される。前記同系の熱可塑性樹脂は、木質樹脂発泡成形体1に含有される熱可塑性樹脂11に対して、混合しても大きな物性変化を伴わずにリサイクルが可能なものとなる。
具体的には、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂を、木質樹脂発泡成形体1用及び化粧シート2用の熱可塑性樹脂として使用することができる。
本発明における化粧シート2には、適宜木目、石目、布目、抽象柄などの意匠の印刷が施すことが可能であるが、その他特に化粧シート自体の構成について限定するものではない。
本発明における化粧シート2は、例えば着色シートに印刷を施した単層化粧シート、着色シートに印刷を施したシートに透明シートをドライラミネート法、エクストルージョンラミネート法、熱ラミネート法などによって貼り合わせた複層の化粧シートや、透明シートの裏面に印刷を施したバック刷りの単層化粧シートなどから用途に応じて適宜選択が可能である。
このとき化粧シート2に十分な隠蔽性があれば安定した意匠の再現が達成され、逆に化粧シート2が透明性を有する場合には木質樹脂発泡成形体1の木質感を活かした意匠表現が可能になる。
化粧シート2の木目柄等のパターン、絵柄、彩色等の印刷に用いるインキは、バインダーとしては硝化綿、セルロース、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、アクリル、ポリエステル系等の単独若しくは各変性物の中から適宜選択すればよい。これらは、水性、溶剤系、エマルジョンタイプのいずれでも問題なく、また1液タイプでも硬化剤を使用した2液タイプでも任意に選定可能である。さらに紫外線や電子線等の照射によりインキを硬化させることも可能である。
中でも最も一般的な方法は、ウレタン系のインキでイソシアネートで硬化させる方法である。これらバインダー以外には通常のインキに含まれている顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、各種添加剤が添加されている。特によく用いられる顔料には縮合アゾ、不溶性アゾ、キナクリドン、イソインドリノン、アンスラキノン、イミダゾロン、コバルト、フタロシアニン、カーボン、酸化チタン、酸化鉄、雲母等のパール顔料等がある。
また、いずれの化粧シート2においても、木質樹脂発泡成形体1への貼り合わせのためのプライマーコートや、表面保護や艶調整のためのトップコート、エンボス法やグロスマット法による導管表現等が施されていても構わない。また、化粧シート2における熱可塑性樹脂層に用いる添加剤も、木質樹脂発泡成形体1におけると同様なものが適宜使用可能である。
化粧シート2の厚さは特に問わないが、0.05〜0.3mm程度の範囲内とされるのが通例である。化粧シート2と木質樹脂発泡成形体1との積層方法は特に問わず、例えば接着剤を介したドライラミネート法又はウェットラミネート法や、接着剤を介した又は介さない熱ラミネート法、超音波融着法や高周波融着法、木質樹脂発泡成形体1の発泡押出成形と同時に冷却サイジング金型内に化粧シート2を導入して貼り合わせる成形同時ラミネート法等、従来公知の方法を任意に用いることができる。
本発明において、化粧シート2が積層される木質樹脂発泡成形体1の表面とは、上面、下面及び側面を含む全表面を指すのでは必ずしもなく、少なくとも床面への施工時に露出面となる上面に積層されていれば良い。そして必要に応じて、上面から側面の一部または全部にかけて、或いは側面の全部を経てした面の一部にかけて、連続して積層した構成とすることもできる。側面の少なくとも上方の一部にかけて化粧シート2が積層されていると、床面に施工した際に、化粧材同士の隙間が目立ちにくくなる利点がある。
また、本発明の化粧材には、木質樹脂発泡成形体1の化粧シート2を積層していない面の一部もしくは全部に、前記木質樹脂発泡成形体1に含有される熱可塑性樹脂11と同系の熱可塑性樹脂を主体とする発泡層(図示せず)が積層されていてもよい。例えば、化粧材の裏面側に発泡層を積層しておくと、床下地面の不陸を吸収してがたつきを防止したり、床面への物品の衝突音や歩行音を吸収して騒音を防止したりするなどの効果がある。
前記発泡層の積層手法については公知の手法が利用でき、例えば木質樹脂発泡成形体1の成形用の発泡性木質樹脂組成物に用いた熱可塑性樹脂11と同系の熱可塑性樹脂に、前記熱分解や化学反応によってガスを発生する化学発泡剤又は低沸点の液体に熱をかけて気化させる物理発泡剤のいずれかの発泡剤によりシート状に発泡成形した発泡成形体を、木質樹脂発泡成形体1の化粧シート2を積層していない面の一部もしくは全部に貼り合わせることにより形成できる。
本発明の化粧材をリサイクルする場合は、表面に積層された化粧シート2を剥離除去することなくそのまま破砕し、必要に応じて木質系充填剤12、熱可塑性樹脂11、各種添加剤などを適宜添加して、再度ペレット化し、これを木質樹脂発泡成形体1の成形用材料として再利用することができる。この場合も、破砕物の混練方法やペレット化方法、成形方法等については、特に方法は問わない。また、再ペレット化する代わりに、破砕物をそのまま木質樹脂発泡成形体1の成形材料として成形機に投入したり、木質樹脂発泡成形体1の成形時に破砕物と共に木質系充填剤12や熱可塑性樹脂11を同時に成形機に投入し、成形機内で混練しつつ成形したりしても、勿論かまわない。
ポリエチレンテレフタレート樹脂100重量部と、パラヒドロキシ安息香酸とポリエチレンテレフタレートとの共重合体である液晶ポリマー10重量部と、木材をカッターミルで破断し、これをボールミルにより粉砕して微粉状にした平均粒径100μmの木質系充填剤100重量部と、ステアリン酸カルシウム系滑剤1重量部とを、2軸押出混練機によって混合し、ペレット化して、木質樹脂組成物を作製した。この木質樹脂組成物100重量部に対してトリアリルイソシアヌレート及び重曹−クエン酸系発泡剤を3重量部添加して、それを1軸押出機を用いた異形押出成形によって、発泡倍率2.5倍、厚さ6mm、幅300mmの断面長方形状に成形し、さらに表面にコロナ放電処理をして、木質樹脂発泡成形体を作製した。
一方、ポリエチレンテレフタレートフィルムにウレタン系インキで木目印刷をして、この裏面にプライマーコートを、表面にトップコートを施して、ポリエチレンテレフタレート系樹脂製の化粧シートを作製した。しかる後、この化粧シートを前記木質樹脂発泡成形体の表面にラッピング加工法にて貼り合わせて、本発明の化粧材を作製した。
<比較例1>
前記実施例1において、木質樹脂発泡成形体に、液晶性ポリマーを配合せず、それ以外は実施例1と同一の要領にて化粧材を作製した。
<比較例2>
ホモポリプロピレン樹脂にマレイン酸変性ホモポリプロピレン樹脂が20重量%添加されてなるホモポリプロピレン系樹脂100重量部と、木材をカッターミルで破断し、これをボールミルにより粉砕して微粉状にした平均粒径100μmの木質系充填剤100重量部と、ステアリン酸カルシウム系滑剤1重量部とを、2軸押出混練機によって混合し、ペレット化して、木質樹脂組成物を作製した。この木質樹脂組成物100重量部に対してトリアリルイソシアヌレート及び重曹−クエン酸系発泡剤を3重量部添加して、それを1軸押出機でセルカプロセスによって、発泡倍率2.5倍、厚さ6mm、幅300mmの断面長方形状に成形し、さらに表面にコロナ放電処理をして、木質樹脂発泡成形体を作製し、一方、ランダムポリプロピレンに酸化鉄、酸化チタン等の顔料を配合して製膜した厚さ100μmの着色ポリプロピレンシートにウレタン系インキで木目印刷をして、エクストルージョンラミネート法にてホモポリプロピレン樹脂を100μmの厚みでエンボス同時ラミネートし、この裏面にプライマーコートを、表面にトップコートを施して、ポリプロピレン系樹脂製の化粧シートを作製した。しかる後、この化粧シートを前記木質樹脂発泡成形体の表面にラッピング加工法にて貼り合わせて化粧材を作製した。
<性能比較>
以上のように作製した実施例1および比較例1、2の化粧材について、表面硬度試験(DD2ゴム硬度計)、及び曲げ弾性率(JIS K6714に準ずる)、線膨張係数(5℃および60℃環境下での寸法変化を測定し計算)に関して性能評価を行ったところ、結果は下記の表1の通りであった。実施例1でポリエステル系樹脂に液晶性ポリマーを添加していることにより、より低い線膨張係数かつ表面強度、曲げ強度に優れた化粧材が作成できていることが確認できた。
Figure 2005305744
本発明により、熱可塑性樹脂及び木質系充填剤を含む木質樹脂発泡成形体を基材とし、その表面に基材の主成分である熱可塑性樹脂と同系の熱可塑性樹脂からなる化粧シートを積層してなることにより、木質感、リサイクル適性に優れていることに加え、前記木質樹脂発泡成形体に用いる熱可塑性樹脂としてポリエステル系樹脂と液晶性ポリマーが含まれることで、液晶性ポリマーがMD方向に配向していることにより、低い線膨張係数を有し、また高い表面硬度および機械物性をもつ化粧材を提供することができるという実用上の顕著な利点を有するものである。
本発明の化粧材の一実施例の断面の構造を示す説明図である。
符号の説明
1…木質樹脂発泡成形体
11…熱可塑性樹脂
12…木質系充填剤
13…気泡
2…化粧シート

Claims (5)

  1. 木質樹脂発泡成形体の表面に、前記木質樹脂発泡成形体に含有される熱可塑性樹脂と同系の熱可塑性樹脂を主体とする化粧シートを積層してなる化粧材において、前記木質樹脂発泡成形体が、木質系充填材とポリエステル系樹脂と液晶性ポリマーを含有してなることを特徴とする化粧材。
  2. 前記液晶性ポリマーが前記ポリエステル系樹脂100重量部に対して1〜30重量部含有されてなることを特徴とする請求項1記載の化粧材。
  3. 前記ポリエステル系樹脂がポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1、2のいずれか記載の化粧材。
  4. 前記木質系充填剤の平均粒径が1〜200μmであり、前記木質樹脂発泡成形体中の前記熱可塑性樹脂100重量部に対して、前記木質系充填剤が10〜300重量部配合されてなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか記載の化粧材。
  5. 前記液晶性ポリマーがパラヒドロキシ安息香酸とポリエチレンテレフタレートとの共重合体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の化粧材。
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