JP2005305692A - 繊維強化プラスチック予備成形品、繊維強化プラスチック材料、ロール - Google Patents

繊維強化プラスチック予備成形品、繊維強化プラスチック材料、ロール Download PDF

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Abstract

【課題】耐摩耗性などの耐久性を向上する。
【解決手段】第1プリプレグ21aと第2プリプレグ21bとが対面する面に対して反対側になる表面に、セラミック粒子を分散させ固着させることにより形成されているセラミック粒子表面層31aを有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、繊維強化プラスチック予備成形品、繊維強化プラスチック材料、ロールに関する。
繊維強化プラスチック(FRP:Fiber Reinforced Plastic)材料は、予備成形品であるプリプレグを複数積層して形成されている。そして、繊維強化プラスチック材料を構成するプリプレグは、マトリクス樹脂と、そのマトリクス樹脂を強化する繊維体とにより形成されている。プリプレグは、マトリクス樹脂として、たとえば、エポキシ樹脂を用いて形成され、繊維体として、たとえば、炭素繊維を用いて形成されている。
繊維強化プラスチック材料は、マトリクス樹脂が繊維体によって強化されているために、軽量であると共に高強度、高剛性であるなどの優れた特性を備えている。繊維強化プラスチック材料は、このような特性によって、運輸分野や航空宇宙分野など幅広い産業分野で構造材料として利用されている。
特に、紙やプラスチックフィルムなどのシートを製造する分野においては、繊維強化プラスチック材料は、シートを搬送するためのガイドロールや、その搬送されたシートをロール状に巻取る際に巻取り体に接触して加圧するためのニップロールなどのロールに多用されている。ガイドロールやニップロールなどのロールは、搬送されるシートに対して追従性が良く、たわみがなく高速に回転することが要求されるため、慣性モーメントが小さい繊維強化プラスチック材料が、ロールの管状体を構成する材料として好適に用いられている(たとえば、特許文献1参照)。
特開平11−47866号公報
しかしながら、繊維強化プラスチック材料をガイドロールやニップロールなどのロールに適用する場合においては、シートとの接触によってロールの表面が摩耗して慣性モーメントが変化し、搬送されるシートに対する追従性などが損なわれる場合がある。この場合、ロールの交換などのメンテナンスが必要になって製造時間のロスが生ずるため、製造効率が低下する。これは、耐摩耗性などの耐久性が、ロールの管状体を構成する繊維強化プラスチック材料において十分でないことに起因する。
したがって、本発明の目的は、耐摩耗性などの耐久性を向上することが可能な繊維強化プラスチック予備成形品、繊維強化プラスチック材料、ロールを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の繊維強化プラスチック予備成形品は、繊維強化プラスチック材料を形成する繊維強化プラスチック予備成形品であって、プリプレグと、前記プリプレグの表面にセラミック粒子を分散させ固着させることにより形成されるセラミック粒子層とを有する。
本発明の繊維強化プラスチック予備成形品によれば、セラミック粒子層は、プリプレグの表面にセラミック粒子を分散させ固着させることにより形成されており、プリプレグの表面を保護する。
上記目的を達成するために、本発明の繊維強化プラスチック材料は、第1プリプレグと第2プリプレグとが積層され形成された繊維強化プラスチック材料であって、前記第1プリプレグと前記第2プリプレグとが対面する面に対して反対側になる表面の少なくとも一方に、セラミック粒子を分散させ固着させることにより形成されているセラミック粒子表面層を有する。
本発明の繊維強化プラスチック材料によれば、セラミック粒子表面層は、第1プリプレグと第2プリプレグとが対面する面に対して反対側になる表面の少なくとも一方に、セラミック粒子を分散させ固着させることにより形成されており、第1プリプレグまたは第2プリプレグとの表面を保護する。
上記目的を達成するために、本発明のロールは、プラスチック材料により形成されている管状体と、前記管状体の外周側の表面に、セラミック粒子を分散させ固着させることにより形成されているセラミック粒子表面層とを有する。
本発明のロールによれば、セラミック粒子表面層は、管状体の外周側の表面に、セラミック粒子を分散させ固着させることにより形成されており、管状体の外周側の表面を保護する。
本発明は、耐摩耗性などの耐久性を向上することが可能な繊維強化プラスチック予備成形品、繊維強化プラスチック材料、ロールを提供することができる。
以下より、本発明にかかる実施形態の一例について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態の繊維強化プラスチック予備成形品11を示す構成図である。
図1に示すように、本実施形態の繊維強化プラスチック予備成形品11は、プリプレグ21と、セラミック粒子層31とを有し、複数が積層されることによって繊維強化プラスチック材料を形成する。
プリプレグ21は、シート状であり、マトリクス樹脂22と、繊維体23とを有する。本実施形態においては、プリプレグ21として、PYROFIL#350(三菱レーヨン(株)製)を用いている。
マトリクス樹脂22は、繊維強化プラスチック予備成形品11の母材となり、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などのプラスチック材料によってシート状に構成されている。本実施形態においては、マトリクス樹脂22として、たとえば、熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂を半硬化状態で用いている。なお、マトリクス樹脂22としては、エポキシ樹脂の他、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などの熱硬化性樹脂や、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイドなどの熱可塑性樹脂が好適に用いることができる。
繊維体23は、一方向に引き揃えられてマトリクス樹脂22に含浸され配列されており、マトリクス樹脂22の強度を強化している。本実施形態においては、繊維体23として、カーボン繊維を用いている。なお、繊維体23としては、カーボン繊維の他、ガラス繊維、ポリアミド繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維などを好適に用いることができる。
セラミック粒子層31は、プリプレグ21の表面にセラミック粒子32を分散させ固着させることにより形成されている。セラミック粒子層31は、プリプレグ21の表面を保護しており、繊維強化プラスチック材料に加工された後における耐摩耗性などの耐久性を向上する。セラミック粒子層31を形成するセラミック粒子32は、プリプレグ21のマトリクス樹脂22よりも熱伝導率が高いものが好適であり、特に、熱伝導率が常温(23℃)で0.01cal.s.℃以上が好適である。本実施形態においては、セラミック粒子層31は、平均粒子径200nmの酸化アルミニウムをセラミック粒子32として用いており、0.165mg/mの付着量になるように形成されている。セラミック粒子32としては、酸化アルミニウムの他、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、二酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化チタン、グラファイト、カーボンブラックなどが好適に用いることができる。なお、セラミック粒子32の付着量としては、たとえば、0.10〜0.35mg/mの範囲が好適である。本範囲よりも少ない場合においては、プリプレグ21の表面に均一に分散して覆うことが困難になり、繊維強化プラスチック材料への加工後における耐摩耗性が十分でなくなる。また、本範囲より多い場合においては、セラミック粒子32がプリプレグ21に固着されにくくなり、表面層31が剥離する場合がある。
図2は、本実施形態の繊維強化プラスチック材料12を示す構成図である。図2においては、繊維強化プラスチック材料12のプリプレグ21を構成する繊維体23の配列方向を角度で示している。
図2に示すように、本実施形態の繊維強化プラスチック材料12は、第1から第8のプリプレグ21a〜21hと、セラミック粒子表面層31aと、第1から第7のセラミック粒子中間層31b〜31hとを有する。
ここで、セラミック粒子表面層31aと第1プリプレグ21aとは、第1繊維強化プラスチック予備成形品11aとして構成されており、図1に示した繊維強化プラスチック予備成形品11と同様である。また、第1セラミック粒子中間層31bと第2プリプレグ21bとは、第2繊維強化プラスチック予備成形品11bとして構成されており、第2セラミック粒子中間層31cと第3プリプレグ21cとは、第3繊維強化プラスチック予備成形品11cとして構成されている。また、第3セラミック粒子中間層31dと第4プリプレグ21dとは、第4繊維強化プラスチック予備成形品11dとして構成されており、第4セラミック粒子中間層31eと第5プリプレグ21eとは、第5繊維強化プラスチック予備成形品11eとして構成されている。また、第5セラミック粒子中間層31fと第6プリプレグ21fとは、第6繊維強化プラスチック予備成形品11fとして構成されており、第6セラミック粒子中間層31gと第7プリプレグ21gとは、第7繊維強化プラスチック予備成形品11gとして構成されており、第7セラミック粒子中間層31hと第8プリプレグ21hとは、第8繊維強化プラスチック予備成形品11hとして構成されている。第2から第8の繊維強化プラスチック予備成形品11b〜11hもまた、図1に示した繊維強化プラスチック予備成形品11と同様であり、繊維強化プラスチック材料12は、第1から第8の繊維強化プラスチック予備成形品11a〜11hが順次積層されて形成されている。
繊維強化プラスチック材料12は、繊維強化プラスチック予備成形品11のセラミック粒子層31が形成されている面と、セラミック粒子層31が形成されている面に対して反対側の面とが対面し積層されて形成されている。
つまり、第1から第8のプリプレグ21a〜21hは、第1から第8の繊維強化プラスチック予備成形品11a〜11hの各プリプレグ21に相当する。そして、第1から第8のプリプレグ21a〜21hは、図2に示すように、第1プリプレグ21aの繊維体23の配列方向を0°とし、第1プリプレグ21aから第8プリプレグ21hまでの順で、繊維体23の配列方向が0°、+45°、−45°、90°、90°、−45°、+45°、0°になるようにして積層されている。
セラミック粒子表面層31aは、第1繊維強化プラスチック予備成形品11aのセラミック粒子層31に相当し、第1繊維強化プラスチック予備成形品11aの第1プリプレグ21aと、第2繊維強化プラスチック予備成形品11bの第2プリプレグ21bとが対面する面に対して反対側になる表面に、セラミック粒子を分散させ固着させることにより形成されている。
第1から第7のセラミック粒子中間層31b〜31hは、上記のように、第2から第8の繊維強化プラスチック予備成形品11b〜11hの各セラミック粒子層31に相当し、互いに対面するプリプレグの間に、セラミック粒子を分散させ固着させることにより形成されている。たとえば、第1セラミック粒子中間層31bは、第2繊維強化プラスチック予備成形品11bのセラミック粒子層31に相当し、第1繊維強化プラスチック予備成形品11aの第1プリプレグ21aと、第2繊維強化プラスチック予備成形品11bの第2プリプレグ11bとが対面する間に形成されている。
図3は、本実施形態のロール13を示す断面図である。
図3に示すように、本実施形態のロール13は、管状体41と、セラミック粒子表面層42と、回転軸43とを有する。
ここで、管状体41とセラミック粒子表面層42とは、図2に示す繊維強化プラスチック材料12が管状に成形されることによって構成されており、ロール13の管状体41は、図2に示す繊維強化プラスチック材料12の第1から第8のプリプレグ21a〜21hと、第1から第7のセラミック粒子中間層31b〜31hとに相当し、各セラミック粒子中間層31b〜31hの間にプラスチック材料を含むようにして形成されている。
そして、ロール13のセラミック粒子表面層42は、繊維強化プラスチック材料12のセラミック粒子表面層31aに相当し、前述の図2のように、第1プリプレグ21aと第2プリプレグ21bとが対面する面に対して反対側になる第1プリプレグ21aの外周側の表面に形成されている。
回転軸43は、管状体41の両端部に設けられている。回転軸43は、たとえば、金属により構成されている。
つぎに、本実施形態の繊維強化プラスチック予備成形品11と繊維強化プラスチック材料12とロール13との製造方法について説明する。
まず、繊維強化プラスチック予備成形品11の製造方法について説明する。はじめに、エポキシ樹脂のマトリクス樹脂22とカーボン繊維の繊維体23とを有するプリプレグ21(PYROFIL#350(三菱レーヨン(株)製))を用意する。そして、そのプリプレグ21の表面に、平均粒子径200nmの酸化アルミニウムのセラミック粒子32を、0.165mg/mの付着量で、厚さが均一に成るように散布する。プレプレグ21の表面は粘着性を有しているため、その散布されたセラミック粒子32はプレプレグ21表面に固着される。このようにして、プリプレグ21の表面にセラミック粒子層31が形成されている繊維強化プラスチック予備成形品11を形成する。本実施形態においては、この繊維強化プラスチック予備成形品11を8枚分形成する。
つぎに、繊維強化プラスチック材料12の製造方法について説明する。はじめに、8枚の繊維強化プラスチック予備成形品11を用意する。そして、繊維強化プラスチック予備成形品11のセラミック粒子層31が形成されている面と、セラミック粒子層31が形成されている面に対して反対側の面とを対面させて積層する。
たとえば、前述のように、セラミック粒子層31が形成されていない第1繊維強化プラスチック予備成形品11aの面と、セラミック粒子層31が形成されている第2繊維強化プラスチック予備成形品11bの面とを対面させて、第1繊維強化プラスチック予備成形品11aと第2繊維強化プラスチック予備成形品11bとを積層する。その後、セラミック粒子層31が形成されていない第2繊維強化プラスチック予備成形品11bの面と、セラミック粒子層31が形成されている第3繊維強化プラスチック予備成形品11cの面とを対面させて、第2繊維強化プラスチック予備成形品11bと第3繊維強化プラスチック予備成形品11cとを積層する。このようにして、第1から第8繊維強化プラスチック予備成形品11a〜11hとを順次積層する。この時、第1から第8繊維強化プラスチック予備成形品11a〜11hの第1から第8のプリプレグ21a〜21hにおいて、第1プリプレグ21aの繊維体23の配列方向を0°とし、第1プリプレグ21aから第8プリプレグ21hまでの順で、各繊維体23の配列方向を0°、+45°、−45°、90°、90°、−45°、+45°、0°になるようにして積層する。
そして、第1から第8繊維強化プラスチック予備成形品11a〜11hの積層体を加熱加圧処理して、第1から第8繊維強化プラスチック予備成形品11a〜11hの各プリプレグ21a〜21hのエポキシ樹脂を熱硬化させて、繊維強化プラスチック材料12を形成する。本実施形態においては、真空雰囲気にて、2℃/minの昇温速度にて130℃になるまで加熱した後に0.4MPaの圧力を印加し、180分間その状態を維持する。その後、400min後に40℃になるように冷却する。
つぎに、ロール13の製造方法について説明する。ここでは、前述の繊維強化プラスチック材料12の場合と同様に、第1から第8繊維強化プラスチック予備成形品11a〜11hを用意し、第1から第8繊維強化プラスチック予備成形品11a〜11hを順次積層し積層体を形成する。
そして、第1から第8繊維強化プラスチック予備成形品11a〜11hの積層体を、管状に形成するための金型内に配置する。このとき、管状体の外周側の表面が第1繊維強化プラスチック予備成形品11aのセラミック粒子表面層31aになるように、金型内に配置する。そして、前述の繊維強化プラスチック材料12の場合と同様に、加熱加圧処理して各プリプレグ21a〜21hのエポキシ樹脂を熱硬化させて、セラミック粒子表面層42を外周側の表面に有する管状体41を形成する。そして、管状体41の両端部に回転軸43を設置し、ロール13を完成する。
以下より、上記のように製造した繊維強化プラスチック材料12とロール13との耐摩耗性を評価するために、摩耗試験を実施した結果について説明する。
図4は、摩耗試験を説明するための図である。図4において、図4(a)は試験対象となるサンプル部分を示しており、図4(b)は、摩耗試験を行うための摩耗試験機の概要を説明する図である。なお、摩耗試験機としては、TRI−S200D(高千穂精機(株)製)を用い、試験環境としては、21℃,40%RHにて行っている。
摩耗試験においては、図4(a)に示すように、サンプルホルダー101の面に試験サンプル111を設置する。本実施形態においては、前述の繊維強化プラスチック材料12を5mm×5mmになるように正方形に切断して試験サンプル111とする。そして、繊維強化プラスチック材料12の試験サンプル111のセラミック粒子表面層31a側が外側になるように、セラミック粒子表面層31aに対して反対側の面を、サンプルホルダー101の面(14mm×14mm)に設置する。
そして、図4(b)に示すように、試験サンプル111のセラミック粒子表面層31a側を、リング形状の相手部材121の面に押し付けて接触させる。本実施形態においては、相手部材121として100Cr6鋼を用い、押付け力として10Nとしている。そして、試験サンプル111が設置されたサンプルホルダー101を固定した状態で、リング形状の相手部材121を一定の回転速度にて回転させる。本実施形態においては、1m/sの回転速度で60時間接触させながら回転させて摩耗試験を行っている。
なお、本実施形態との比較例として、セラミック粒子表面層31がない場合についても、プリプレグ21の表面を相手部材121に接触させ、同様にして、上記の摩耗試験を実施している。比較例としては、セラミック粒子表面層31がないことを除いて、本実施形態の繊維強化プラスチック材料12と同様に製造されたものを用いている。
図5と図6とは、本実施形態の摩耗試験の結果を示す図である。
図5は、比摩耗率Ws(mm/Nm)と、摩耗時間t(時間)との関係を示す図であり、縦軸が比摩耗率Ws、横軸が摩耗時間tである。図5においては、本実施形態の結果201と、比較例の結果202とを示している。ここで、比摩耗率とは、所定の摩耗時間における摩耗量を、摩耗速度と押し付け力とで割った値である。このため、比摩耗率は、値が大きい程、耐摩耗性が劣ることを意味している。
図6は、本実施形態と比較例との試験面の3Dトポグラフィックマップ図である。図6において、図6(a)は比較例の試験前であり、図6(b)は比較例の試験後である。また、図6(c)は本実施形態の試験前であり、図6(d)は本実施形態の試験後である。
図5に示すように、比摩耗率は、本実施形態の結果201の方が、比較例の結果202よりも低くなっている。また、図6に示すように、本実施形態は、試験後の表面が滑らかになっているのに対し、比較例は、試験後の表面に深い傷が発生し、表面が削り取られていることがわかる。
以上のように、本実施形態の繊維強化プラスチック材料12およびロール13は、表面にセラミック粒子表面層31a,42が形成されている。セラミック粒子表面層31a,42は、硬度が高いセラミック粒子32からなり、第1プリプレグ21aにより形成されるプラスチック材料の表面を保護し、摩耗によって削り取られにくくなっている。このため、本実施形態は、耐摩耗性などの耐久性を向上させることができる。
また、本実施形態の繊維強化プラスチック材料12およびロール13においてセラミック粒子表面層31a,42は、表面部分において第1プリプレグ21aにより形成されるプラスチック材料よりも熱伝導率が高いセラミック粒子32を用いて形成されており、特に、熱伝導率が常温で0.01cal.s.℃以上のもので形成されている。このため、本実施形態は、摩擦面で発生する熱が容易に表面で放熱されるため、耐摩耗性などの耐久性を向上することができる。
また、本実施形態の繊維強化プラスチック材料12およびロール13は、セラミック粒子中間層31b〜31hが各プリプレグ11a〜11hの界面部分に介在している。つまり、本実施形態の繊維強化プラスチック材料12およびロール13は、複数のプリプレグ11a〜11hのそれぞれの間にセラミック粒子中間層31b〜31hを有している。そして、セラミック粒子中間層31b〜31hは、前述のセラミック粒子表面層31aと同様に、各プリプレグ11a〜11hよりも熱伝導率が高いセラミック粒子32を用いて形成されており、特に、熱伝導率が常温で0.01cal.s.℃以上のもので形成されている。このため、本実施形態は、摩耗によって表面が削り取られにくく、摩擦により表面で発生する熱が容易に表面で放熱されるため、耐摩耗性などの耐久性を向上することができる。
また、同様に、本実施形態の繊維強化プラスチック予備成形品11は、プリプレグ21の表面にセラミック粒子層31が形成されているため、耐摩耗性を向上可能な繊維強化プラスチック材料12およびロール13を形成することができる。
図1は、本発明にかかる実施形態の繊維強化プラスチック予備成形品を示す構成図である。 図2は、本発明にかかる実施形態の繊維強化プラスチック材料を示す構成図である。 図3は、本発明にかかる実施形態のロールを示す断面図である。 図4は、本発明にかかる実施形態における摩耗試験を説明するための図である。 図5は、本発明にかかる実施形態における比摩耗率と摩耗時間との関係を示す図である。 図6は、本発明にかかる実施形態と比較例との試験面の3Dトポグラフィックマップ図である。
符号の説明
11:繊維強化プラスチック予備成形品,
11a〜11h:第1から第8の繊維強化プラスチック予備成形品,
12:繊維強化プラスチック材料,
13:ロール,
21:プリプレグ,
21a〜21h:第1から第8のプリプレグ,
22:マトリクス樹脂,
23:繊維体,
31:セラミック粒子層,
31a:セラミック粒子表面層,
31b〜31h:第1から第7のセラミック粒子中間層,
32:セラミック粒子,
41:管状体,
42:セラミック粒子表面層,
43:回転軸

Claims (20)

  1. 繊維強化プラスチック材料を形成する繊維強化プラスチック予備成形品であって、
    プリプレグと、
    前記プリプレグの表面にセラミック粒子を分散させ固着させることにより形成されるセラミック粒子層と
    を有する
    繊維強化プラスチック予備成形品。
  2. 前記プリプレグは、マトリクス樹脂と、前記マトリクス樹脂を強化する繊維体とを有し、
    前記セラミック粒子は、前記マトリクス樹脂よりも熱伝導率が高い
    請求項1に記載の繊維強化プラスチック予備成形品。
  3. 前記繊維体は、ガラス繊維とポリアミド繊維と炭化ケイ素繊維と炭素繊維とアルミナ繊維との少なくとも1つによって形成されている
    請求項2に記載の繊維強化プラスチック予備成形品。
  4. 前記セラミック粒子は、酸化アルミニウムと炭化ケイ素と窒化ケイ素と窒化ホウ素と二酸化珪素と酸化マグネシウムと酸化鉄と酸化チタンとグラファイトとカーボンブラックとの少なくとも1つによって形成されている
    請求項1から3のいずれかに記載の繊維強化プラスチック予備成形品。
  5. 前記セラミック粒子は、熱伝導率が常温で0.01cal.s.℃以上である
    請求項1から4のいずれか記載の繊維強化プラスチック予備成形品。
  6. 少なくとも第1プリプレグと第2プリプレグとが積層され形成された繊維強化プラスチック材料であって、
    前記第1プリプレグと前記第2プリプレグとが対面する面に対して反対側になる表面の少なくとも一方に、セラミック粒子を分散させ固着させることにより形成されているセラミック粒子表面層
    を有する
    繊維強化プラスチック材料。
  7. 前記第1プリプレグと前記第2プリプレグとは、マトリクス樹脂と、前記マトリクス樹脂を強化する繊維体とを有し、
    前記表面層を形成するセラミック粒子は、前記マトリクス樹脂よりも熱伝導率が高い
    請求項6に記載の繊維強化プラスチック材料。
  8. 前記繊維体は、ガラス繊維とポリアミド繊維と炭化ケイ素繊維と炭素繊維との少なくとも1つによって形成されている
    請求項7に記載の繊維強化プラスチック材料。
  9. 前記セラミック粒子表面層のセラミック粒子は、酸化アルミニウムと炭化ケイ素と窒化ケイ素と窒化ホウ素と二酸化珪素と酸化マグネシウムと酸化鉄と酸化チタンとグラファイトとカーボンブラックとの少なくとも1つによって形成されている
    請求項6から8のいずれかに記載の繊維強化プラスチック材料。
  10. 前記セラミック粒子表面層を形成するセラミック粒子は、熱伝導率が常温で0.01cal.s.℃以上である
    請求項6から9のいずれかに記載の繊維強化プラスチック材料。
  11. 前記第1プリプレグと前記第2プリプレグとが対面する間に、セラミック粒子を分散させ固着させることにより形成されるセラミック粒子中間層
    を有する
    請求項6から10のいずれかに記載の繊維強化プラスチック材料。
  12. プラスチック材料により形成されている管状体と、
    前記管状体の外周側の表面に、セラミック粒子を分散させ固着させることにより形成されているセラミック粒子表面層と、
    を有する
    ロール。
  13. 前記セラミック粒子表面層を形成するセラミック粒子は、前記管状体を形成するプラスチック材料よりも熱伝導率が高い
    請求項12に記載のロール。
  14. 前記セラミック粒子表面層を形成するセラミック粒子は、熱伝導率が常温で0.01cal.s.℃以上である
    請求項12または13に記載のロール。
  15. 前記セラミック粒子表面層のセラミック粒子は、酸化アルミニウムと炭化ケイ素と窒化ケイ素と窒化ホウ素と二酸化珪素と酸化マグネシウムと酸化鉄と酸化チタンとグラファイトとカーボンブラックとの少なくとも1つにより形成されている
    請求項12から14のいずれかに記載のロール。
  16. 前記管状体を形成するプラスチック材料は、少なくとも第1プリプレグと第2プリプレグとにより形成され、前記第1プリプレグが前記第2プリプレグよりも外周側に積層されている繊維強化プラスチック材料であり、
    前記セラミック粒子表面層は、前記第1プリプレグと前記第2プリプレグとが対面する面に対して反対側になる前記第1プリプレグの外周側の表面に形成されている
    請求項12から15のいずれかに記載のロール。
  17. 前記第1プリプレグと第2プリプレグとは、マトリクス樹脂と、前記マトリクス樹脂を強化する繊維体とを有し、
    前記繊維体は、ガラス繊維とポリアミド繊維と炭化ケイ素繊維と炭素繊維との少なくとも1つで形成されている
    請求項16に記載のロール。
  18. 前記第1プリプレグと前記第2プリプレグとが対面する間に、セラミック粒子を分散させ固着させることにより形成されるセラミック粒子中間層
    を有する
    請求項16または17に記載のロール。
  19. 前記セラミック粒子中間層を形成するセラミック粒子は、前記管状体を形成するプラスチック材料よりも熱伝導率が高い
    請求項18に記載のロール。
  20. 前記セラミック粒子中間層を形成するセラミック粒子は、熱伝導率が常温で0.01cal.s.℃以上である
    請求項18または19に記載のロール。
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