JP2005303171A - 光学調整指示システム、光学調整指示方法、調整方法、露光装置、および露光方法 - Google Patents

光学調整指示システム、光学調整指示方法、調整方法、露光装置、および露光方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 結像光学系の像面全体についての収差バランスを解析的に評価し、調整用光学部材を自動的に選定することのできる光学調整指示システムおよび方法。
【解決手段】 結像光学系の像面における複数点について得られた結像光学系の波面収差に関する情報に基づいて、結像光学系の像面座標および瞳座標の関数として設定された収差多項式を用いて結像光学系の収差を評価する収差評価工程(S31〜S33)と、収差評価工程で得られた収差多項式の係数に関する情報に基づいて、光学調整すべき調整用光学部材を選定する部材選定工程(S34)と、波面収差に関する情報に基づいて、調整用光学部材の調整量を算出する調整量算出工程(S35)とを含む。
【選択図】 図5

Description

本発明は、光学調整指示システム、光学調整指示方法、調整方法、露光装置、および露光方法に関する。特に、本発明は、マスクのパターンを感光性基板に投影露光する露光装置に搭載される投影光学系の光学調整を自動的に指示するシステムおよび方法に関するものである。
LSIの製造において、回路パターンを形成するリソグラフィー工程では紫外線を光源とする半導体露光装置が用いられている。この種の半導体露光装置にはマスク上のパターンをウェハ上のレジストに転写する投影光学系が組み込まれ、投影光学系には収差を極限まで低減することが求められている。
一般に、露光装置に搭載される屈折型の投影光学系は多数のレンズから構成され、投影光学系の収差は光学設計の段階では所定の値以下に抑えられている。しかしながら、実際に作られる個々のレンズは、製造誤差により設計値からずれた特性を有し、この製造誤差が投影光学系における収差発生の要因の1つとなる。また、多数のレンズを用いて投影光学系を組み立てる際に組立誤差が発生し、この組立誤差も投影光学系における収差発生の要因の1つとなる。
従来技術では、多数のレンズを用いて組み立てられた投影光学系の収差を測定し、その測定結果に基づいて収差を所望の範囲に抑えるための光学調整を行う。具体的には、レンズを光軸に沿って移動させてレンズ間の間隔を変化させる間隔調整や、レンズを光軸に対して垂直にシフト(移動)させたりチルト(傾斜)させたりする偏芯調整や、レンズを光軸廻りに回転させる回転調整などを行う。
なお、投影光学系の収差測定に際して、投影光学系の像面における複数点について波面収差を計測し、各点の波面収差をツェルニケ(Zernike)多項式で関数フィッティングすることにより定量的に評価する手法が知られている(たとえば特許文献1を参照)。
特開2002−258131号公報
しかしながら、投影光学系の像面における各点の波面収差を関数フィッティングにより定量的に評価する手法では、像面全体(イメージフィールド全体)についての収差バランスを解析的に(あるいは定量的に)評価することができない。このため、従来技術では、像面の各点について測定された波面収差から像面全体についての収差バランスを予想し、予想した収差バランスに基づいて光学調整を行うべき調整用レンズを選定していた。
このように、従来技術では、像面の各点について測定された波面収差から像面全体についての収差バランスを評価する工程、および評価した収差バランスに基づいて光学調整を行うべき調整用レンズを選定する工程が、これらの工程に精通した技術者(オペレータ)の主観的な予想に依存して行われていた。換言すれば、従来技術では、技術者の介入を必要とすることなく、投影光学系(結像光学系)の像面全体についての収差バランスを解析的に評価し、調整用レンズをソフトウェア内で自動的に選定することができなかった。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであり、技術者の介入を必要とすることなく、結像光学系の像面全体についての収差バランスを解析的に評価し、光学調整を行うべき調整用光学部材を自動的に選定することのできる光学調整指示システムおよび光学調整指示方法を提供することを目的とする。また、本発明の光学調整指示システムまたは光学調整指示方法を用いて光学調整された結像光学系を用いて良好な投影露光を行うことのできる露光装置および露光方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明の第1形態では、結像光学系の像面における複数点について得られた前記結像光学系の波面収差に関する情報に基づいて、前記結像光学系の像面座標および瞳座標の関数として設定された収差多項式を用いて前記結像光学系の収差を評価するための収差評価部と、
前記収差評価部で得られた前記収差多項式の係数に関する情報に基づいて、光学調整すべき調整用光学部材を選定するための部材選定部と、
前記波面収差に関する情報に基づいて、前記調整用光学部材の調整量を算出するための調整量算出部とを備えていることを特徴とする光学調整指示システムを提供する。
本発明の第2形態では、結像光学系の像面における複数点について得られた前記結像光学系の波面収差に関する情報に基づいて、前記結像光学系の像面座標および瞳座標の関数として設定された収差多項式を用いて前記結像光学系の収差を評価する収差評価工程と、
前記収差評価工程で得られた前記収差多項式の係数に関する情報に基づいて、光学調整すべき調整用光学部材を選定する部材選定工程と、
前記波面収差に関する情報に基づいて、前記調整用光学部材の調整量を算出する調整量算出工程とを含むことを特徴とする光学調整指示方法を提供する。
本発明の第3形態では、第1形態の光学調整指示システムあるいは第2形態の光学調整指示方法により得られた前記調整用光学部材および前記調整量に関する情報に基づいて前記結像光学系を光学調整することを特徴とする調整方法を提供する。
本発明の第4形態では、結像光学系の像面における複数点について前記結像光学系の波面収差を得る収差獲得工程と、
前記収差獲得工程で得られた前記波面収差に関する情報に基づいて、前記結像光学系の像面座標および瞳座標の関数として設定された収差多項式を用いて前記結像光学系の収差を評価する収差評価工程と、
前記収差評価工程で得られた前記収差多項式の係数に関する情報に基づいて、光学調整すべき調整用光学部材を選定する部材選定工程と、
前記波面収差に関する情報に基づいて、前記調整用光学部材の調整量を算出する調整量算出工程と、
前記調整量算出工程で得られた前記調整量に関する情報に基づいて、前記調整用光学部材を光学調整する光学調整工程とを含むことを特徴とする調整方法を提供する。
本発明の第5形態では、マスクのパターンを感光性基板に投影露光するための投影光学系として、第3形態または第4形態の調整方法により光学調整された結像光学系を備えていることを特徴とする露光装置を提供する。
本発明の第6形態では、第3形態または第4形態の調整方法により光学調整された結像光学系を用いて、マスクに形成されたパターンの像を感光性基板上に投影露光することを特徴とする露光方法を提供する。
本発明の第7形態では、結像光学系の像面における複数点について得られた前記結像光学系の波面収差に関する情報に基づいて、前記結像光学系の像面座標および瞳座標の関数として設定された収差多項式を用いて前記結像光学系の収差を評価する収差評価手順と、
前記収差評価手順で得られた前記収差多項式の係数に関する情報に基づいて、光学調整すべき調整用光学部材を選定する部材選定手順と、
前記波面収差に関する情報に基づいて、前記調整用光学部材の調整量を算出する調整量算出手順とをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラムを提供する。
本発明の第8形態では、結像光学系の像面における複数点について得られた前記結像光学系の波面収差に関する情報に基づいて、前記結像光学系の像面座標および瞳座標の関数として設定された収差多項式を用いて前記結像光学系の収差を評価する収差評価手順と、
前記収差評価手順で得られた前記収差多項式の係数に関する情報に基づいて、光学調整すべき調整用光学部材を選定する部材選定手順と、
前記波面収差に関する情報に基づいて、前記調整用光学部材の調整量を算出する調整量算出手順とをコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したことを特徴とする、コンピュータ読取り可能な記録媒体を提供する。
本発明の光学調整指示システムおよび方法では、結像光学系の収差の瞳内分布および像面内分布を同時に表現することにより、像面における各点の波面収差から像面全体についての収差バランスを解析的に評価し、光学調整を行うべき調整用光学部材を自動的に選定することができる。すなわち、技術者の介入を必要とすることなく、解析的に評価された収差バランスに基づいて調整用光学部材を自動的に選定し、且つ調整用光学部材の調整量を自動的に算出することができる。
したがって、本発明の光学調整指示システムまたは方法を用いる調整方法では、自動的に選定された調整用光学部材および算出された調整量に関する情報に基づいて、結像光学系を良好に光学調整することができる。また、本発明の調整方法により良好に光学調整された結像光学系を投影光学系として用いる露光装置および露光方法では、良好な投影露光を行うことができ、ひいては良好なデバイスを製造することができる。
本発明の実施形態を、添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態にかかる露光装置の構成を概略的に示す図である。図1において、投影光学系PLの光軸AXに平行にZ軸を、光軸AXに垂直な面内において図1の紙面に平行にY軸を、光軸AXに垂直な面内において図1の紙面に垂直にX軸をそれぞれ設定している。
図1を参照すると、本実施形態の露光装置は、照明光を供給するための光源LSとして、たとえばF2レーザー光源(波長157nm)を備えている。光源LSから射出された光は、照明光学系ILを介して、所定のパターンが形成されたレチクル(マスク)Rを照明する。なお、光源LSと照明光学系ILとの間の光路はケーシング(不図示)で密封されており、光源LSから照明光学系IL中の最もレチクル側の光学部材までの空間は、露光光の吸収率が低い気体であるヘリウムガスや窒素などの不活性ガスで置換されているか、あるいはほぼ真空状態に保持されている。
レチクルRは、レチクルホルダRHを介して、レチクルステージRS上においてXY平面に平行に保持されている。レチクルRには転写すべきパターンが形成されており、たとえばパターン領域全体のうちX方向に沿って長辺を有し且つY方向に沿って短辺を有する矩形状のパターン領域が照明される。レチクルステージRSは、図示を省略した駆動系の作用により、レチクル面(すなわちXY平面)に沿って二次元的に移動可能であり、その位置座標はレチクル移動鏡RMを用いた干渉計RIFによって計測され且つ位置制御されるように構成されている。
レチクルRに形成されたパターンからの光は、投影光学系PLを介して、感光性基板であるウェハW上にレチクルパターン像を形成する。ウェハWは、ウェハテーブル(ウェハホルダ)WTを介して、ウェハステージWS上においてXY平面に平行に保持されている。そして、レチクルR上での矩形状の照明領域に光学的に対応するように、ウェハW上ではX方向に沿って長辺を有し且つY方向に沿って短辺を有する矩形状の露光領域にパターン像が形成される。ウェハステージWSは、図示を省略した駆動系の作用によりウェハ面(すなわちXY平面)に沿って二次元的に移動可能であり、その位置座標はウェハ移動鏡WMを用いた干渉計WIFによって計測され且つ位置制御されるように構成されている。
また、図示の露光装置では、投影光学系PLを構成する光学部材のうち最もレチクル側に配置された光学部材と最もウェハ側に配置された光学部材との間で投影光学系PLの内部が気密状態を保つように構成され、投影光学系PLの内部の気体はヘリウムガスや窒素などの不活性ガスで置換されているか、あるいはほぼ真空状態に保持されている。
さらに、照明光学系ILと投影光学系PLとの間の狭い光路には、レチクルRおよびレチクルステージRSなどが配置されているが、レチクルRおよびレチクルステージRSなどを密封包囲するケーシング(不図示)の内部に窒素やヘリウムガスなどの不活性ガスが充填されているか、あるいはほぼ真空状態に保持されている。
また、投影光学系PLとウェハWとの間の狭い光路には、ウェハWおよびウェハステージWSなどが配置されているが、ウェハWおよびウェハステージWSなどを密封包囲するケーシング(不図示)の内部に窒素やヘリウムガスなどの不活性ガスが充填されているか、あるいはほぼ真空状態に保持されている。このように、光源LSからウェハWまでの光路の全体に亘って、露光光がほとんど吸収されることのない雰囲気が形成されている。
上述したように、投影光学系PLによって規定されるレチクルR上の照明領域およびウェハW上の露光領域(すなわち実効露光領域)は、Y方向に沿って短辺を有する矩形状である。したがって、駆動系および干渉計(RIF、WIF)などを用いてレチクルRおよびウェハWの位置制御を行いながら、矩形状の露光領域および照明領域の短辺方向すなわちY方向に沿ってレチクルステージRSとウェハステージWSとを、ひいてはレチクルRとウェハWとを同期的に移動(走査)させることにより、ウェハW上には露光領域の長辺に等しい幅を有し且つウェハWの走査量(移動量)に応じた長さを有する領域に対してレチクルパターンが走査露光される。
本実施形態では、結像光学系としての投影光学系PLの製造に対して本発明の調整方法を適用するが、この説明に先立って、投影光学系PLの収差を像面座標と瞳座標との関数として一般的に表す収差多項式(収差関数)を新たに導出(設定)する。図2は、投影光学系PLの像面座標および瞳座標を説明する図である。図2において像面直交座標(y,z)および瞳直交座標(ξ,η)を通る光線に着目すると、この光線の波面収差Wは、y,z,ξ,ηの冪級数に展開されるはずである。
そこで、まず、波面収差Wの各成分のうち、投影光学系PLの光軸AXに関する回転対称収差成分Wrについて考える。座標の回転に対する不変量は、次の式(1)〜(3)で表される。そして、回転対称収差成分Wrは、式(1)の不変量、式(2)の不変量および式(3)の不変量の冪級数で表現される。換言すれば、回転対称収差成分Wrは、{(1)から(3)の冪級数}で表現される。
2+z2 (1)
ξ2+η2 (2)
y・ξ+z・η (3)
次に、波面収差Wの各成分のうち、投影光学系PLの光軸AXに関する偏芯収差成分Wsについて考える。偏芯で新たに発生する収差成分の座標(像面座標または瞳座標)依存性は一次のみである。したがって、偏芯成分を含んだ収差すなわち偏芯収差成分Wsは、次の式(4)〜(7)で表される一次座標依存成分のうちのいずれか1つの成分と、式(1)〜(3)で表される回転に対する不変量の冪級数との積として表現される。換言すれば、偏芯収差成分Wsは、{(1)から(3)の冪級数}×{(4)から(7)のいずれか1つ}で表現される。
y (4)
z (5)
ξ (6)
η (7)
次に、波面収差Wの各成分のうち、アス(トーリック)収差成分Waについて考える。アス(トーリック(Toric))成分で新たに発生する収差成分の座標(像面座標または瞳座標)依存性は2次のみであり、且つ座標の回転に対して180度の周期関数である。このため、アス(トーリック)成分を含んだ収差すなわちアス(トーリック)収差成分Waは、次の式(8)〜(13)で表される座標の二次依存成分で且つ座標の回転に対して180度の周期関数である成分と、式(1)〜(3)で表される回転に対する不変量の冪級数との積として表現される。換言すれば、アス(トーリック)収差成分Waは、{(1)から(3)の冪級数}×{(8)から(13)のいずれか1つ}で表現される。
2−z2 (8)
2y・z (9)
ξ2−η2 (10)
2ξ・η (11)
y・ξ−z・η (12)
y・η+z・ξ (13)
最後に、波面収差Wの各成分のうち、三つ葉収差成分Wtについて考える。三つ葉(Trefoil)成分で新たに発生する収差成分の座標(像面座標または瞳座標)依存性は3次のみであり、且つ座標の回転に対して120度の周期関数である。このため、三つ葉成分を含んだ収差すなわち三つ葉収差成分Wtは、次の式(14)〜(21)で表される座標の三次依存成分で且つ座標の回転に対して120度の周期関数である成分と、式(1)〜(3)で表される回転に対する不変量の冪級数との積として表現される。換言すれば、三つ葉収差成分Wtは、{(1)から(3)の冪級数}×{(14)から(21)のいずれか1つ}で表現される。
y(y2−3z2) (14)
z(3y2−z2) (15)
ξ(ξ2−3η2) (16)
η(3ξ2−η2) (17)
(y2−z2)ξ−2yzη (18)
2yzξ+(y2−z2)η (19)
y(ξ2−η2)−2zξη (20)
z(ξ2−η2)+2yξη (21)
こうして、回転対称収差成分Wrと偏芯収差成分Wsとアス(トーリック)収差成分Waと三つ葉収差成分Wtとを含んだ波面収差Wを、{(1)から(3)の冪級数}、または{(1)から(3)の冪級数}×{(4)から(21)のいずれか1つ}で表すことができる。一方、図2を参照すると、像面直交座標(y,z)および瞳直交座標(ξ,η)と像面極座標(h,α)および瞳極座標(ρ,θ)との間には、次の式(a)〜(d)に示す関係が成立する。ここで、hおよびρは規格化半怪であり、αおよびθは極座標の動径角である。
y=hcosα (a)
z=hsinα (b)
ξ=ρcosθ (c)
η=ρsinθ (d)
したがって、式(a)〜(d)に示す関係に基づいて、上述の式(1)〜(21)を次の式(A)〜(U)にそれぞれ変形することができる。
2+z2(1)は、h2 (A)
ξ2+η2(2)は、ρ2 (B)
y・ξ+z・η(3)は、ρhcos(θ−α) (C)
y(4)は、hcosα (D)
z(5)は、hsinα (E)
ξ(6)は、ρcosθ (F)
η(7)は、ρsinθ (G)
2−z2(8)は、h2cos2α (H)
2y・z(9)は、h2sin2α (I)
ξ2−η2(10)は、ρ2cos2θ (J)
2ξ・η(11)は、ρ2sin2θ (K)
y・ξ−z・η(12)は、hρcos(θ+α) (L)
y・η+z・ξ(13)は、hρsin(θ+α) (M)
y(y2−3z2)(14)は、h3cos3α (N)
z(3y2−z2)(15)は、h3sin3α (O)
ξ(ξ2−3η2)(16)は、ρ3cos3θ (P)
η(3ξ2−η2)(17)は、ρ3sin3θ (Q)
(y2−z2)ξ−2yzη(18)は、h2ρcos(θ+2α) (R)
2yzξ+(y2−z2)η(19)は、h2ρsin(θ+2α) (S)
y(ξ2−η2)−2zξη(20)は、hρ2cos(2θ+α) (T)
z(ξ2−η2)+2yξη(21)は、hρ2sin(2θ+α) (U)
したがって、回転対称収差成分Wrと偏芯収差成分Wsとアス(トーリック)収差成分Waと三つ葉収差成分Wtとを含んだ波面収差Wは、次の収差多項式(e)で表される。
W=Σ(Mi×FMi)
ただし、
FMi=(Aj1・Bj2・Cj3)×{(Dk1・Ek2・Fk3・Gk4
×(Hk5・Ik6・Jk7・Kk8・Lk9・Mk10
×(Nk11・Ok12・Pk13・Qk14・Rk15
・Sk16・Tk17・Uk18)} (e)
ここで、Σは正の整数i(i=1,2,3,・・・)に関する総和記号であって、MiおよびFMiは収差多項式Σ(Mi・FMi)における各項の係数および関数である。また、j1〜j3は、負でない整数(0,1,2,・・・)である。さらに、k1〜k18は、0または1で、且つΣki≦1を満たす。換言すれば、k1〜k18は、すべてが0であるか、あるいはいずれか1つだけが1であって他は0である。具体的には、k1〜k18がすべて0である場合、当該項は回転対称収差成分Wrを表すことになる。一方、k1〜k18のいずれか1つだけが1である場合、当該項は偏芯収差成分Wsまたはアス(トーリック)収差成分Waまたは三つ葉収差成分Wtを表すことになる。
次の表(1)および(2)に、収差多項式Σ(Mi・FMi)における各項の収差関数FMiに対応するiの値、ω依存性、収差次数、およびj1〜j3およびk1〜k18の次数の組み合わせ(各表において空欄は0である)を示す。ここで、j1〜j3およびk1〜k18の次数の組み合わせは、定数項FM1以外の各項の収差関数FMiが少なくともρを含むように規定されている。また、ω依存性では、ω=0の場合には回転依存性がないこと、ω=1の場合には360°回転依存性(1回回転依存性)があること、ω=2の場合には180°回転依存性(2回回転依存性)があること、ω=3の場合には120°回転依存性(3回回転依存性)があることをそれぞれ示している。
さらに、j1〜j3のいずれか1つが1であれば収差次数は2だけ増え、k1〜k4のいずれか1つが1であれば収差次数は1だけ増え、k5〜k10のいずれか1つが1であれば収差次数は2だけ増え、k11〜k18のいずれか1つが1であれば収差次数は3だけ増える。なお、表(1)および(2)では、第47項以降の収差関数FMiの表示を省略している。
表(1)
Figure 2005303171
表(2)
Figure 2005303171
次に、表(1)および(2)に則り、収差多項式Σ(Mi・FMi)における各項の収差関数FMiを、像面直交座標(z,y)および瞳極座標(ρ,θ)で表現して、以下の表(3)に示す。表(3)の収差分類において、Focusはフォーカスを、Distはディストーションを、Toricはトーリックを、Comaはコマを、Trefoilは三つ葉を、アスはアス(トーリック)収差をそれぞれ示している。また、表(3)において次数は収差次数を表している。また、表(3)の収差関数FMiにおいて、「+・・・」は既出の収差関数で表現できる部分を表している。なお、表(3)では、第47項以降の収差関数FMiの表示を省略している。
表(3)
Figure 2005303171
ここで、波面収差の瞳内の分布を表すツェルニケ多項式について基本的な事項を説明する。ツェルニケ多項式の表現では、座標系として上述の瞳極座標(ρ,θ)を用い、直交関数系としてツェルニケの円筒関数を用いる。すなわち、波面収差W(ρ,θ)は、ツェルニケの円筒関数Zi(ρ,θ)を用いて、次の式(f)に示すように展開される。
W(ρ,θ)=ΣCi・Zi(ρ,θ)
=C1・Z1(ρ,θ)+C2・Z2(ρ,θ)
・・・・+Cn・Zn(ρ,θ) (f)
ここで、Ciは、ツェルニケ多項式の各項の係数である。以下、ツェルニケ多項式の各項の関数系Zi(ρ,θ)のうち、第1項〜第36項にかかる関数Z1〜Z36を、次の表(4)に示す。
表(4)
Z1: 1
Z2: ρcosθ
Z3: ρsinθ
Z4: 2ρ2−1
Z5: ρ2cos2θ
Z6: ρ2sin2θ
Z7: (3ρ2−2)ρcosθ
Z8: (3ρ2−2)ρsinθ
Z9: 6ρ4−6ρ2+1
Z10: ρ3cos3θ
Z11: ρ3sin3θ
Z12: (4ρ2−3)ρ2cos2θ
Z13: (4ρ2−3)ρ2sin2θ
Z14: (10ρ4−12ρ2+3)ρcosθ
Z15: (10ρ4−12ρ2+3)ρsinθ
Z16: 20ρ6−30ρ4+12ρ2−1
Z17: ρ4cos4θ
Z18: ρ4sin4θ
Z19: (5ρ2−4)ρ3cos3θ
Z20: (5ρ2−4)ρ3sin3θ
Z21: (15ρ4−20ρ2+6)ρ2cos2θ
Z22: (15ρ4−20ρ2+6)ρ2sin2θ
Z23: (35ρ6−60ρ4+30ρ2−4)ρcosθ
Z24: (35ρ6−60ρ4+30ρ2−4)ρsinθ
Z25: 70ρ8−140ρ6+90ρ4−20ρ2+1
Z26: ρ5cos5θ
Z27: ρ5sin5θ
Z28: (6ρ2−5)ρ4cos4θ
Z29: (6ρ2−5)ρ4sin4θ
Z30: (21ρ4−30ρ2+10)ρ3cos3θ
Z31: (21ρ4−30ρ2+10)ρ3sin3θ
Z32: (56ρ6−104ρ4+60ρ2−10)ρ2cos2θ
Z33: (56ρ6−104ρ4+60ρ2−10)ρ2sin2θ
Z34: (126ρ8−280ρ6+210ρ4−60ρ2+5)ρcosθ
Z35: (126ρ8−280ρ6+210ρ4−60ρ2+5)ρsinθ
Z36: 252ρ10−630ρ8+560ρ6−210ρ4+30ρ2−1
次に、収差多項式Σ(Mi・FMi)の表(3)に示す各項の収差関数FMiを、ツェルニケ多項式の表(4)に示す各項のツェルニケ関数Ziの線形結合の形態に変形し、これを収差多項式のための新たな収差関数、すなわちツェルニケ関数表現された収差関数FNiとして以下の表(5)に示す。なお、各項の収差関数FMiの変形に際しては、ρの次数およびθの次数が同じで且つsinおよびcosの種別が同じツェルニケ関数Ziを置換導入している。
また、各項の収差関数FMiを変形した結果、ある項の収差関数FNiが他の項の収差関数FNjを含む場合には、冗長性(redundancy)を避けるために、収差関数FNiから収差関数FNjに対応する部分を省略している。具体的には、最も単純な例としてFM2とZ4とを参照すると、第2項の収差関数FN2は初期的に(Z4−Z1)となるが、他の項(第1項)の収差関数FN1=Z1を含んでいるので、収差関数FN2から収差関数FN1に対応する部分Z1を省略して、収差関数FN2=Z4としている。
さらに、各項の収差関数FMiを変形した結果、ある項の収差関数FNiが他の項の収差関数FNjと一致する場合にも、冗長性を避けるために収差関数FNjの採用を省略している。具体的には、表(5)を参照すると、第39項および第40項の収差関数FN39およびFN40が第25項および第26項の収差関数FN25およびFN26とそれぞれ一致しているので、収差多項式Σ(Mi・FNi)において第39項および第40項の収差関数FN39およびFN40は用いられないことになる。
また、表(5)において、収差関数FN2〜FN8は回転対称収差成分Wrに対応し、収差関数FN9〜FN20は偏芯収差成分Wsに対応し、収差関数FN21〜FN40はアス(トーリック)収差成分Waに対応し、収差関数FN41〜FN46は三つ葉収差成分Wtに対応している。なお、表(5)では、第1項の収差関数FN1=Z1および第47項以降の収差関数FNiの表示を省略している。
表(5)
Figure 2005303171
本実施形態では、波面収差を収差多項式でフィッティング(近似)する際にフィッティング誤差を小さく抑えるために、収差多項式を像面座標および瞳座標の関数として正規直交関数系列のみを用いて設定する。この目的のため、本実施形態では、瞳極座標(ρ,θ)で表されたツェルニケ関数Ziに対応させて、像面極座標(h,α)で表されたツェルニケ関数Fiを導入する。第1項〜第36項にかかる像面座標でのツェルニケ関数F1〜F36を、次の表(6)に示す。
表(6)
F1: 1
F2: hcosα
F3: hsinα
F4: 2h2−1
F5: h2cos2α
F6: h2sin2α
F7: (3h2−2)hcosα
F8: (3h2−2)hsinα
F9: 6h4−6h2+1
F10: h3cos3α
F11: h3sin3α
F12: (4h2−3)h2cos2α
F13: (4h2−3)h2sin2α
F14: (10h4−12h2+3)hcosα
F15: (10h4−12h2+3)hsinα
F16: 20h6−30h4+12h2−1
F17: h4cos4α
F18: h4sin4α
F19: (5h2−4)h3cos3α
F20: (5h2−4)h3sin3α
F21: (15h4−20h2+6)h2cos2α
F22: (15h4−20h2+6)h2sin2α
F23: (35h6−60h4+30h2−4)hcosα
F24: (35h6−60h4+30h2−4)hsinα
F25: 70h8−140h6+90h4−20h2+1
F26: h5cos5α
F27: h5sin5α
F28: (6h2−5)h4cos4α
F29: (6h2−5)h4sin4α
F30: (21h4−30h2+10)h3cos3α
F31: (21h4−30h2+10)h3sin3α
F32: (56h6−104h4+60h2−10)h2cos2α
F33: (56h6−104h4+60h2−10)h2sin2α
F34: (126h8−280h6+210h4−60h2+5)hcosα
F35: (126h8−280h6+210h4−60h2+5)hsinα
F36: 252h10−630h8+560h6−210h4+30h2−1
実際の投影光学系の波面収差を像面座標および瞳座標の関数として表現する場合、後述するように、露光領域内の複数点において測定(あるいは光線追跡計算)により得られた波面収差をツェルニケ関数に近似し、更に本実施形態の収差多項式に近似して各収差成分を算出することになる。このとき、波面収差を収差多項式でフィッティングする際にフィッティング誤差を小さく抑えるには、表(5)に示された収差関数FNiの直交化が課題になる。
本実施形態では、像面が円形であり且つ最大像高を1に規格化することを条件として、たとえばグラム・シュミット直交化法により収差関数の直交化を行い、最終的に正規直交化された収差関数系列を導出する。すなわち、瞳座標でのツェルニケ関数Ziと像面座標でのツェルニケ関数Fiとにより正規直交関数系列TAi,TBi,TCi,およびTDiを表し、これらの正規直交関数系列TAi,TBi,TCi,およびTDiのみを用いて、次の式(g)に示すような収差多項式を像面座標および瞳座標の関数として設定する。
W=Σ(MAi×TAi+MBi×TBi+MCi×TCi
+MDi×TDi) (g)
式(g)に示す収差多項式において、MAiおよびTAiは、回転対称収差成分Wrに関する各項の係数および直交化された収差関数である。MBiおよびTBiは、偏芯収差成分Wsに関する各項の係数および直交化された収差関数である。MCiおよびTCiは、アス(トーリック)収差成分Waに関する各項の係数および直交化された収差関数である。MDiおよびTDiは、三つ葉収差成分Wtに関する各項の係数および直交化された収差関数である。
次の表(7)および(8)に、回転対称収差成分Wrに関する各項の直交化収差関数TAiを示す。次の表(9)〜(12)に、偏芯収差成分Wsに関する各項の直交化収差関数TBiを示す。次の表(13)に、アス(トーリック)収差成分Waに関する各項の直交化収差関数TCiを示す。次の表(14)に、三つ葉収差成分Wtに関する各項の直交化収差関数TDiを示す。なお、直交化収差関数TAiでは第51項以降の関数の表示を、直交化収差関数TBiでは第131項以降の関数の表示を、直交化収差関数TCiでは第19項以降の関数の表示を、直交化収差関数TDiでは第7項以降の関数の表示をそれぞれ省略している。
表(7)
Figure 2005303171
表(8)
Figure 2005303171
表(9)
Figure 2005303171
表(10)
Figure 2005303171
表(11)
Figure 2005303171
表(12)
Figure 2005303171
表(13)
Figure 2005303171
表(14)
Figure 2005303171
こうして、本実施形態では、投影光学系PLの収差を像面座標と瞳座標との関数として表す収差多項式として、正規直交関数系列のみを用いた収差多項式(g)が最終的に設定される。なお、本実施形態では、収差多項式(g)における各項の収差関数として、9次(光線収差)までの回転対称収差成分を表現する関数、8次(光線収差)までの偏心収差成分を表現する関数、3次(光線収差)までのアス(トーリック)収差成分を表現する関数、2次(光線収差)までの三つ葉収差成分を表現する関数を例示的に算出しているが、同様な手法により、さらに高次の収差分布を表現する収差関数を算出することも可能である。
さらに、フォーカス成分をより正確に表現するためには、下記の通り、表(7)〜(13)中のZ4をデフォーカス収差D(次の式(h)で示す)で置換すると、各評価点でのフォーカス成分あるいは球面収差成分のフィッティング精度を向上させることができる。これは、特に高い開口数を有する結像光学系の評価の際に有効である。
D=(ρ2−1)1/2−1 (h)
図3は、本実施形態にかかる投影光学系の調整方法を含む製造方法の基本工程を概略的に示すフローチャートである。図3を参照すると、本実施形態の製造方法は、投影光学系PLを組み立てる組立工程S1と、組立工程S1で組み立てられた投影光学系PLの収差を測定する収差測定工程S2と、収差測定工程S2で測定された投影光学系PLの収差を補正するのに必要な光学調整を指示する光学調整指示工程S3と、光学調整指示工程S3で得られた指示情報に基づいて投影光学系PLを光学調整する光学調整工程S4とを含んでいる。
図4は、本実施形態の製造方法における組立工程S1の内部工程を概略的に示すフローチャートである。本実施形態の製造方法における組立工程S1では、各レンズを形成すべきブロック硝材(ブランクス)を製造した後、製造されたブロック硝材の屈折率の絶対値および屈折率分布を、たとえばフィゾーフラット(フィゾー平面)を用いる干渉計装置を用いて計測する(S11)。この種の干渉計装置では、参照光と測定光との位相ずれに基づいて、光学材料としての各ブロック硝材の屈折率分布による波面収差が計測される。なお、屈折率均質性の干渉計による計測に関する詳細については、たとえば特開平8−5505号公報などを参照することができる。
次いで、屈折率分布が計測されたブロック硝材から必要に応じて研削されたブロック硝材を用いて、投影光学系PLを構成すべき各レンズを製造する。すなわち、周知の研磨工程にしたがって、設計値を目標として各レンズの表面を研磨加工する(S12)。研磨工程では、各レンズの面形状の誤差を干渉計で計測しながら研磨を繰り返し、各レンズの面形状を目標面形状に近づける。こうして、各レンズの面形状誤差が所定の範囲に入ると、各レンズの面形状の誤差を、たとえばフィゾーレンズを用いる更に精密な干渉計装置を用いて計測する(S13)。なお、レンズの面形状誤差の干渉計による計測に関する詳細については、たとえば特開平7−12535号、特開平7−113609号、特開平10−154657号公報などを参照することができる。
最後に、所定の組立装置を用い、設計にしたがって1つまたは複数のレンズを各分割鏡筒に組み込み(S14)、1つまたは複数のレンズをそれぞれ収納した複数の分割鏡筒を組み立てることにより投影光学系PLを得る(S15)。なお、各分割鏡筒へのレンズの組込みおよび複数の分割鏡筒の組立てに用いられる組立装置に関する詳細については、たとえば特開2002−258131号公報などを参照することができる。
本実施形態の製造方法における収差測定工程S2では、投影光学系PLの像面における複数点について、その波面収差を測定する。すなわち、収差測定工程S2は、投影光学系PLの像面における複数点について投影光学系PLの波面収差を得る収差獲得工程を構成している。なお、投影光学系PLの波面収差の測定に際しては、たとえば米国特許第5,898,501号(特開平10−38757号および特開平10−38758号に対応)に開示されたフィゾー型干渉計を用いることができる。
また、特開2000−97617号に開示されたPDI(ポイントデフラクション干渉計)や、特開平10−284368号および米国特許第4,309,602号荷開示された位相回復法や、WO99/60361号、WO00/55890号、および特願2000−258085号に開示されたS/H(シャック・ハルトマン)法や、米国特許第5,828,455号及び米国特許第5,978,085号に開示されたLitel Instruments Inc.社の手法などを用いることもできる。
さらに、特開2000−146757号に開示されたハーフトーン位相シフトマスクを用いる手法や、特開平10−170399号、 Jena Review 1991/1, pp8-12 "Wavefront analysis of photolithographic lenses" Wolfgang Freitag et al., Applied Optics Vol. 31, No.13, May 1, 1992, pp2284‐2290. "Aberration analysis in aerial images formed by lithographic lenses", Wolfgang Freitag et al.、および特開2002−22609号に開示されているように、瞳内の一部を通過する光束を用いる手法などを用いることもできる。なお、上述の説明では、干渉計などを用いて投影光学系PLの波面収差を測定しているが、たとえば光線追跡により投影光学系PLの波面収差を算出することもできる。
図5は、本実施形態の製造方法における光学調整指示工程S3の内部工程を概略的に示すフローチャートである。本実施形態の製造方法における光学調整指示工程S3では、上述の手法を用いて、投影光学系PLの収差を像面座標と瞳座標との関数として表す収差多項式(g)を正規直交関数系列のみを用いて設定する(S31)。次いで、収差測定工程S2で得られた波面収差を、瞳座標の関数としてのツェルニケ多項式で近似する(S32)。
具体的には、像面における複数点について得られた波面収差をツェルニケ多項式でフィッティングし、各項のツェルニケ係数Ciを各像点について算出する。次に、近似工程(S32)で得られたツェルニケ多項式における各項のツェルニケ係数Ciに基づいて、本実施形態の収差多項式(g)における各項の係数MAi,MBi,MCi,およびMDiを決定する(S33)。
具体的には、たとえば特定項のツェルニケ関数Ziに着目し、対応するツェルニケ係数Ciの像面内分布(各像点における係数Ciの分布)に基づいて、収差多項式(g)における特定項の係数MAi,MBi,MCi,およびMDiを、たとえば最小二乗法を用いて決定する。さらに、他の特定項のツェルニケ関数Ziに着目し、対応するツェルニケ係数Ciの像面内分布に基づいて、収差多項式(g)における他の項の係数MAi,MBi,MCi,およびMDiを、たとえば最小二乗法を用いて順次決定する。
本実施形態では、表(7)〜(14)に規定された直交化関数TAi,TBi,TCi,およびTDiと、決定工程(S33)で決定された係数MAi,MBi,MCi,およびMDiとに基づいて、投影光学系PLの収差の瞳内分布および像面内分布を同時に表現する収差多項式が最終的に得られる。このように、設定工程S31、近似工程S32および決定工程S33は、収差獲得工程としての収差測定工程S2で得られた波面収差に関する情報に基づいて、投影光学系PLの像面座標および瞳座標の関数として設定された収差多項式を用いて投影光学系PLの収差を評価する収差評価工程を構成している。
次いで、光学調整指示工程S3では、収差評価工程(S31〜S33)で得られた収差多項式の係数に関する情報に基づいて、光学調整すべき調整用レンズ(一般には平行平面板などを含む調整用光学部材)を選定する(S34)。部材選定工程S34の内部工程については、図6を参照して後述する。さらに、たとえば収差測定工程S2で得られた各点の波面収差に関する情報(具体的には各点の波面収差をツェルニケ多項式でフィッティングした情報)に基づいて、部材選定工程S34で選定された調整用レンズの調整量を算出する(S35)。
調整量算出工程S35では、調整用レンズの位置または姿勢の調整量として、レンズを光軸に沿って移動させてレンズ間の間隔を変化させる間隔調整量や、レンズを光軸に対して垂直にシフト(移動)させたりチルト(傾斜)させたりする偏芯調整量や、レンズを光軸廻りに回転させる回転調整量などを算出する。こうして、部材選定工程S34で得られた調整用レンズに関する情報および調整量算出工程S35で得られた調整量に関する情報は、投影光学系PLの収差を補正するのに必要な光学調整を指示する情報すなわち光学調整指示情報を構成している。
本実施形態の光学調整工程S4では、部材選定工程S34で得られた調整用レンズに関する情報および調整量算出工程S35で得られた調整量に関する情報に基づいて、当該調整用レンズを光学調整する。具体的には、当該調整用レンズの位置または姿勢の調整をするために、レンズ調整として間隔調整や偏芯調整や回転調整を行う。以下、図6を参照して部材選定工程S34の内部工程を説明するとともに、収差測定工程S2以降の手順の一例について説明する。
図6は、光学調整指示工程S3における部材選定工程S34の内部工程を概略的に示すフローチャートである。図6を参照すると、部材選定工程S34は、収差評価工程(S31〜S33)で得られた収差多項式の係数のうち、たとえば3次偏芯アスに関する係数MB9,MB10(表(9)を参照)や、3次偏芯コマに関する係数MB11,MB12(表(9)を参照)が所定の条件式を満足しているか否かを判定する第1判定工程S341と、第1判定工程S341の判定結果に応じて光学調整すべき1つまたは複数の調整用レンズを選定(決定)する第1選定工程S342とを有する。
また、部材選定工程S34は、収差評価工程(S31〜S33)で得られた収差多項式の係数のうち、たとえば倍率に関する係数MA1(表(7)を参照)や、4次ディストーションに関する係数MA3(表(7)を参照)や、3次偏芯ディストーションに関する係数MB3〜MB6(表(9)を参照)が所定の条件式を満足しているか否かを判定する第2判定工程S343と、第2判定工程S343の判定結果に応じて光学調整すべき1つまたは複数の調整用レンズを選定(決定)する第2選定工程S344とを有する。
収差測定工程S2以降の典型的な手順によれば、第1判定工程S341において、係数MB9,MB10が所定の判定値よりも小さいか否かを判定する。この場合、MB9およびMB10の絶対値がそれぞれ所定の判定値よりも小さいか否かを判定してもよいし、MB9とMB10とを含む所定関数の値(たとえば(MB92+MB1021/2など)が所定の判定値よりも小さいか否かを判定してもよい。この点は、後述の複数の係数MB11,MB12や複数の係数MB3〜MB6が所定の条件式を満足しているか否かを判定する場合にも同様である。また、第1判定工程S341では、係数MB11,MB12が所定の判定値よりも小さいか否かを判定する。
第1判定工程S341において少なくとも1つの係数が所定の条件式を満足していない場合(図中NOの場合)、第1選定工程S342に移行する。第1選定工程S342では、第1判定工程S341において所定の条件式を満足していない係数の種別や当該係数が所定の条件式を満足していない度合などをパラメータとして、光学調整すべき1つまたは複数の調整用レンズを自動的に決定する。そして、調整量算出工程S35では、第1選定工程S342で決定された調整用レンズに関する情報に基づいて、調整用レンズの位置または姿勢の調整量(間隔調整量や偏芯調整量や回転調整量など)を算出する。
光学調整工程S4では、第1選定工程S342で決定された調整用レンズに関する情報および調整量算出工程S35で得られた調整量に関する情報に基づいて、当該調整用レンズを光学調整する。次いで、収差測定工程S2において、1回目の光学調整がなされた投影光学系PLの像面における複数点について波面収差を再び測定する。なお、この2回目の収差測定工程S2では、投影光学系PLの像面における測定点の数を1回目の収差測定工程S2よりも多く設定してもよい。さらに、収差評価工程(S31〜S33)では、2回目の収差測定工程S2で得られた波面収差に関する情報に基づいて、投影光学系PLの像面座標および瞳座標の関数として設定された収差多項式を用いて投影光学系PLの収差を評価する。
こうして、部材選定工程S34の第1判定工程S341において、係数MB9〜MB12が所定の判定値よりも小さいか否かを再び判定する。第1判定工程S341においてすべての係数MB9〜MB12が所定の条件式を満足している場合(図中YESの場合)、第2判定工程S343に移行する。しかしながら、第1判定工程S341において少なくとも1つの係数が所定の条件式を満足していない場合、第1判定工程S341においてYESの判定が得られるまで、第1選定工程S342、調整量算出工程S35、光学調整工程S4および収差測定工程S2をさらに繰り返す。第2判定工程S343では、係数MA1およびMA3の絶対値がそれぞれ所定の判定値よりも小さいか否かを判定する。また、第2判定工程S343では、係数MB3〜MB6が所定の判定値よりも小さいか否かを判定する。
第2判定工程S343において少なくとも1つの係数が所定の条件式を満足していない場合(図中NOの場合)、第2選定工程S344に移行する。第2選定工程S344では、第2判定工程S343において所定の条件式を満足していない係数の種別や当該係数が所定の条件式を満足していない度合などをパラメータとして、光学調整すべき1つまたは複数の調整用レンズを自動的に決定する。そして、調整量算出工程S35では、第2選定工程S344で決定された調整用レンズに関する情報に基づいて、調整用レンズの位置または姿勢の調整量(間隔調整量や偏芯調整量や回転調整量など)を算出する。
光学調整工程S4では、第2選定工程S344で決定された調整用レンズに関する情報および調整量算出工程S35で得られた調整量に関する情報に基づいて、当該調整用レンズを光学調整する。次いで、収差測定工程S2において、2回目の光学調整がなされた投影光学系PLの像面における複数点について波面収差を再び測定する。なお、この3回目の収差測定工程S2では、投影光学系PLの像面における測定点の数を1回目や2回目の収差測定工程S2よりも多く設定してもよい。さらに、収差評価工程(S31〜S33)では、3回目の収差測定工程S2で得られた波面収差に関する情報に基づいて、投影光学系PLの像面座標および瞳座標の関数として設定された収差多項式を用いて投影光学系PLの収差を評価する。
こうして、部材選定工程S34の第1判定工程S341において、係数MB9〜MB12が所定の判定値よりも小さいか否かを再び判定する。第1判定工程S341においてすべての係数MB9〜MB12が所定の条件式を満足している場合(図中YESの場合)、第2判定工程S343に移行する。しかしながら、第2判定工程S343において少なくとも1つの係数が所定の条件式を満足していない場合、第2判定工程S343においてYESの判定が得られるまで、第2選定工程S344、調整量算出工程S35、光学調整工程S4および収差測定工程S2をさらに繰り返す。第2判定工程S343では、係数MA1,MA3,MB3〜MB6が所定の判定値よりも小さいか否かを再び判定する。第2判定工程S343においてすべての係数MA1,MA3,MB3〜MB6が所定の条件式を満足している場合(図中YESの場合)、投影光学系PLの製造工程を終了するか、あるいは必要に応じて次の製造工程に移行する。
以上のように、光学調整指示工程S3は、収差測定工程(収差獲得工程)S2で得られた波面収差に関する情報に基づいて、投影光学系(結像光学系)PLの像面座標および瞳座標の関数として設定された収差多項式を用いて投影光学系PLの収差を評価する収差評価工程(S31〜S33)と、収差評価工程(S31〜S33)で得られた収差多項式の係数に関する情報に基づいて、光学調整すべき調整用レンズ(調整用光学部材)を選定する部材選定工程S34と、波面収差に関する情報に基づいて調整用レンズの調整量を算出する調整量算出工程S35とを含んでいる。
ここで、収差評価工程(S31〜S33)では、投影光学系PLの収差の瞳内分布および像面内分布を同時に表現する収差多項式を用いることにより、投影光学系PLの収差成分を解析的に分解することができ、ひいては投影光学系PLの像面における各点の波面収差から像面全体についての収差バランスを解析的に評価することができる。したがって、各点の波面収差から像面全体についての収差バランスを技術者が主観的に予想する従来技術とは異なり、光学調整指示工程S3における収差評価工程(S31〜S33)の手順と、部材選定工程S34の手順と、調整量算出工程S35の手順とを所定のプログラムにしたがってコンピュータに実行させることができる。
こうして、本実施形態の光学調整指示システムおよび方法(工程S3すなわち工程S31〜S35に対応)では、投影光学系PLの収差の瞳内分布および像面内分布を同時に表現することにより、像面における各点の波面収差から像面全体についての収差バランスを解析的に評価し、光学調整を行うべき調整用レンズ(一般には平行平面板などを含む調整用光学部材)をソフトウェア内で自動的に選定することができる。すなわち、技術者の介入を必要とすることなく、解析的に評価された収差バランスに基づいて調整用光学部材を自動的に選定し、且つ調整用光学部材の調整量をソフトウェア内で自動的に算出することができる。
したがって、本実施形態の光学調整指示システムまたは方法を用いる調整方法(工程S2〜S4に対応)では、自動的に選定された調整用光学部材および算出された調整量に関する情報に基づいて、投影光学系PLを良好に光学調整することができる。また、本実施形態の調整方法により良好に光学調整された投影光学系PLを用いる露光装置および露光方法では、良好な投影露光を行うことができる。
なお、上述の実施形態では、部材選定工程S34が、係数MB9〜MB12の値を判定する第1判定工程S341と、係数MA1,MA3,MB3〜MB6の値を判定する第2判定工程S343とを含んでいる。しかしながら、これに限定されることなく、部材選定工程S34が含む判定工程の数、階層形式、判定基準、判定内容などについて、本発明の範囲内で様々な変形例が可能である。
また、上述の実施形態では、光学調整指示工程S3において、調整用レンズの調整量として、間隔調整量や偏芯調整量や回転調整量などを算出している。しかしながら、これに限定されることなく、たとえば高次収差に関する係数の値を判定し、その判定結果に応じて非球面加工すべき光学部材の選定および必要な加工量の算出などを行うこともできる。
また、上述の実施形態では、計算の煩雑さを避けつつ投影光学系PLの収差を十分に表現できるように収差多項式(g)の導出において次数を制限しているが、本発明の収差多項式の導出方法では必要に応じて次数をさらに高めることができる。また、上述の実施形態では、収差多項式(g)の導出に際して、回転対称収差成分Wrと偏芯収差成分Wsとアス(トーリック)収差成分Waと三つ葉収差成分Wtとを考慮しているが、これに限定されることなく、他の適当な収差成分なども必要に応じて考慮することができる。
上述の実施形態の露光装置では、照明装置によってレチクル(マスク)を照明し(照明工程)、投影光学系を用いてマスクに形成された転写用のパターンを感光性基板に露光する(露光工程)ことにより、マイクロデバイス(半導体素子、撮像素子、液晶表示素子、薄膜磁気ヘッド等)を製造することができる。以下、本実施形態の露光装置を用いて感光性基板としてのウェハ等に所定の回路パターンを形成することによって、マイクロデバイスとしての半導体デバイスを得る際の手法の一例につき図7のフローチャートを参照して説明する。
先ず、図7のステップ301において、1ロットのウェハ上に金属膜が蒸着される。次のステップ302において、その1ロットのウェハ上の金属膜上にフォトレジストが塗布される。その後、ステップ303において、本実施形態の露光装置を用いて、マスク上のパターンの像がその投影光学系を介して、その1ロットのウェハ上の各ショット領域に順次露光転写される。その後、ステップ304において、その1ロットのウェハ上のフォトレジストの現像が行われた後、ステップ305において、その1ロットのウェハ上でレジストパターンをマスクとしてエッチングを行うことによって、マスク上のパターンに対応する回路パターンが、各ウェハ上の各ショット領域に形成される。
その後、更に上のレイヤの回路パターンの形成等を行うことによって、半導体素子等のデバイスが製造される。上述の半導体デバイス製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する半導体デバイスをスループット良く得ることができる。なお、ステップ301〜ステップ305では、ウェハ上に金属を蒸着し、その金属膜上にレジストを塗布、そして露光、現像、エッチングの各工程を行っているが、これらの工程に先立って、ウェハ上にシリコンの酸化膜を形成後、そのシリコンの酸化膜上にレジストを塗布、そして露光、現像、エッチング等の各工程を行っても良いことはいうまでもない。
また、本実施形態の露光装置では、プレート(ガラス基板)上に所定のパターン(回路パターン、電極パターン等)を形成することによって、マイクロデバイスとしての液晶表示素子を得ることもできる。以下、図8のフローチャートを参照して、このときの手法の一例につき説明する。図8において、パターン形成工程401では、本実施形態の露光装置を用いてマスクのパターンを感光性基板(レジストが塗布されたガラス基板等)に転写露光する、所謂光リソグラフィ工程が実行される。この光リソグラフィー工程によって、感光性基板上には多数の電極等を含む所定パターンが形成される。その後、露光された基板は、現像工程、エッチング工程、レジスト剥離工程等の各工程を経ることによって、基板上に所定のパターンが形成され、次のカラーフィルター形成工程402へ移行する。
次に、カラーフィルター形成工程402では、R(Red)、G(Green)、B(Blue)に対応した3つのドットの組がマトリックス状に多数配列されたり、またはR、G、Bの3本のストライプのフィルターの組を複数水平走査線方向に配列されたりしたカラーフィルターを形成する。そして、カラーフィルター形成工程402の後に、セル組み立て工程403が実行される。セル組み立て工程403では、パターン形成工程401にて得られた所定パターンを有する基板、およびカラーフィルター形成工程402にて得られたカラーフィルター等を用いて液晶パネル(液晶セル)を組み立てる。
セル組み立て工程403では、例えば、パターン形成工程401にて得られた所定パターンを有する基板とカラーフィルター形成工程402にて得られたカラーフィルターとの間に液晶を注入して、液晶パネル(液晶セル)を製造する。その後、モジュール組み立て工程404にて、組み立てられた液晶パネル(液晶セル)の表示動作を行わせる電気回路、バックライト等の各部品を取り付けて液晶表示素子として完成させる。上述の液晶表示素子の製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する液晶表示素子をスループット良く得ることができる。
なお、上述の実施形態では、露光装置に搭載された投影光学系に対して本発明を適用しているが、これに限定されることなく、他の一般的な結像光学系に対して本発明を適用することもできる。また、上述の実施形態では、いわゆるスキャン露光型の露光装置に搭載された投影光学系に対して本発明を適用しているが、これに限定されることなく、一括露光型の露光装置に搭載された投影光学系に対して本発明を適用することもできる。
さらに、上述の実施形態では、157nmの波長光を供給するF2 レーザー光源またはを用いているが、これに限定されることなく、たとえば248nmの波長光を供給するKrFエキシマレーザー光源や、193nmの波長光を供給するArFエキシマレーザー光源などの深紫外光源、146nmの波長光を供給するKr2 レーザー光源や126nmの波長光を供給するAr2 レーザー光源などの真空紫外光源、またg線(436nm)やi線(365nm)を供給する水銀ランプなどを用いることもできる。
本発明の実施形態にかかる露光装置の構成を概略的に示す図である。 投影光学系PLの像面座標および瞳座標を説明する図である。 本実施形態にかかる投影光学系の調整方法を含む製造方法の基本工程を概略的に示すフローチャートである。 本実施形態の製造方法における組立工程S1の内部工程を概略的に示すフローチャートである。 本実施形態の製造方法における光学調整指示工程S3の内部工程を概略的に示すフローチャートである。 光学調整指示工程S3における部材選定工程S34の内部工程を概略的に示すフローチャートである。 マイクロデバイスとしての半導体デバイスを得る際の手法のフローチャートである。 マイクロデバイスとしての液晶表示素子を得る際の手法のフローチャートである。
符号の説明
LS 光源
IL 照明光学系
R レチクル
RS レチクルステージ
PL 投影光学系
W ウェハ
WS ウェハステージ

Claims (19)

  1. 結像光学系の像面における複数点について得られた前記結像光学系の波面収差に関する情報に基づいて、前記結像光学系の像面座標および瞳座標の関数として設定された収差多項式を用いて前記結像光学系の収差を評価するための収差評価部と、
    前記収差評価部で得られた前記収差多項式の係数に関する情報に基づいて、光学調整すべき調整用光学部材を選定するための部材選定部と、
    前記波面収差に関する情報に基づいて、前記調整用光学部材の調整量を算出するための調整量算出部とを備えていることを特徴とする光学調整指示システム。
  2. 前記部材選定部は、前記収差多項式の1つまたは複数の係数が所定の条件式を満足しているか否かを判定するための判定部と、該判定部の判定結果に応じて光学調整すべき1つまたは複数の調整用光学部材を選定するための選定部とを有することを特徴とする請求項1に記載の光学調整指示システム。
  3. 前記調整量算出部は、前記調整用光学部材の位置または姿勢の調整量を算出することを特徴とする請求項1または2に記載の光学調整指示システム。
  4. 前記収差多項式は、前記結像光学系の像面座標および瞳座標の関数として正規直交関数系列のみを用いて設定されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光学調整指示システム。
  5. 前記収差評価部は、前記波面収差を瞳座標の関数としての所定の多項式で近似するための近似部と、前記近似部で得られた前記所定の多項式における各項の係数に基づいて前記収差多項式の各項の係数を決定するための決定部とを有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光学調整指示システム。
  6. 前記正規直交関数系列は、瞳座標でのツェルニケ関数と像面座標でのツェルニケ関数とにより表されていることを特徴とする請求項4または5に記載の光学調整指示システム。
  7. 前記所定の多項式はツェルニケ多項式を含むことを特徴とする請求項5または6に記載の光学調整指示システム。
  8. 結像光学系の像面における複数点について得られた前記結像光学系の波面収差に関する情報に基づいて、前記結像光学系の像面座標および瞳座標の関数として設定された収差多項式を用いて前記結像光学系の収差を評価する収差評価工程と、
    前記収差評価工程で得られた前記収差多項式の係数に関する情報に基づいて、光学調整すべき調整用光学部材を選定する部材選定工程と、
    前記波面収差に関する情報に基づいて、前記調整用光学部材の調整量を算出する調整量算出工程とを含むことを特徴とする光学調整指示方法。
  9. 前記部材選定工程は、前記収差多項式の1つまたは複数の係数が所定の条件式を満足しているか否かを判定する判定工程と、該判定工程の判定結果に応じて光学調整すべき1つまたは複数の調整用光学部材を選定する選定工程とを含むことを特徴とする請求項8に記載の光学調整指示方法。
  10. 前記調整量算出工程は、前記調整用光学部材の位置または姿勢の調整量を算出する工程を含むことを特徴とする請求項8または9に記載の光学調整指示方法。
  11. 前記収差多項式は、前記結像光学系の像面座標および瞳座標の関数として正規直交関数系列のみを用いて設定されていることを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の光学調整指示方法。
  12. 前記収差評価工程は、前記波面収差を瞳座標の関数としての所定の多項式で近似する近似工程と、前記近似工程で得られた前記所定の多項式における各項の係数に基づいて前記収差多項式の各項の係数を決定する決定工程とを含むことを特徴とする請求項8乃至11のいずれか1項に記載の光学調整指示方法。
  13. 前記正規直交関数系列は、瞳座標でのツェルニケ関数と像面座標でのツェルニケ関数とにより表されていることを特徴とする請求項11または12に記載の光学調整指示方法。
  14. 前記所定の多項式はツェルニケ多項式を含むことを特徴とする請求項12または13に記載の光学調整指示方法。
  15. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光学調整指示システムあるいは請求項8乃至14のいずれか1項に記載の光学調整指示方法により得られた前記調整用光学部材および前記調整量に関する情報に基づいて前記結像光学系を光学調整することを特徴とする調整方法。
  16. 結像光学系の像面における複数点について前記結像光学系の波面収差を得る収差獲得工程と、
    前記収差獲得工程で得られた前記波面収差に関する情報に基づいて、前記結像光学系の像面座標および瞳座標の関数として設定された収差多項式を用いて前記結像光学系の収差を評価する収差評価工程と、
    前記収差評価工程で得られた前記収差多項式の係数に関する情報に基づいて、光学調整すべき調整用光学部材を選定する部材選定工程と、
    前記波面収差に関する情報に基づいて、前記調整用光学部材の調整量を算出する調整量算出工程と、
    前記調整量算出工程で得られた前記調整量に関する情報に基づいて、前記調整用光学部材を光学調整する光学調整工程とを含むことを特徴とする調整方法。
  17. 前記調整量算出工程は、前記調整用光学部材の位置または姿勢の調整量を算出し、
    前記光学調整工程は、前記部材選定工程で選定された前記光学部材の位置または姿勢を調整することを特徴とする請求項16に記載の調整方法。
  18. マスクのパターンを感光性基板に投影露光するための投影光学系として、請求項15乃至17のいずれか1項に記載の調整方法により光学調整された結像光学系を備えていることを特徴とする露光装置。
  19. 請求項15乃至17のいずれか1項に記載の調整方法により光学調整された結像光学系を用いて、マスクに形成されたパターンの像を感光性基板上に投影露光することを特徴とする露光方法。
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