JP2005302401A - 有機el素子封止材 - Google Patents

有機el素子封止材 Download PDF

Info

Publication number
JP2005302401A
JP2005302401A JP2004113948A JP2004113948A JP2005302401A JP 2005302401 A JP2005302401 A JP 2005302401A JP 2004113948 A JP2004113948 A JP 2004113948A JP 2004113948 A JP2004113948 A JP 2004113948A JP 2005302401 A JP2005302401 A JP 2005302401A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
organic
component
ppm
less
curable resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004113948A
Other languages
English (en)
Inventor
Manabu Inoue
学 井上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
ThreeBond Co Ltd
Original Assignee
ThreeBond Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ThreeBond Co Ltd filed Critical ThreeBond Co Ltd
Priority to JP2004113948A priority Critical patent/JP2005302401A/ja
Publication of JP2005302401A publication Critical patent/JP2005302401A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】 有機EL素子に悪影響を及ぼすことなく、効果的な封止を行うことにより、ダークスポットの発生・成長を確実に抑制して、長期間にわたって安定な発光特性を維持することが出来る有機EL素子封止用の硬化性樹脂性組成物を得ること。
【解決手段】 ガラスもしくはフィルム基板1上に透明電極2、正孔輸送層3、有機物EL層4及び背面電極5からなる有機EL層を形成し、硬化性樹脂層7を積層して非透水性ガラスもしくはフィルム6と貼り合わせる有機EL素子において、使用する硬化性樹脂が、(A)水分量800ppm以下の分子中にグリシジル基を有する化合物、(B)水分量1000ppm以下の変性脂環式ポリアミン、および/または、変性脂肪族ポリアミン、(C)水分量300ppm以下の二酸化珪素、の上記(A)〜(C)を主成分とする硬化性樹脂組成物で有機EL素子を封止するようにした。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電界の印加によって高輝度で発光する有機EL素子用の硬化性樹脂組成物に関し、さらに詳しくは湿分もしくは水分から有機EL素子を保護するための封止用硬化性樹脂組成物に関する。
有機EL素子は多結晶の半導体デバイスであり、低電圧で高輝度の発光を得られるため液晶のバックライトなどに使用され、また、自発光性の薄型平面表示デバイスとして期待されている。しかしながら、有機EL素子は水分に極めて弱く、金属電極と有機物EL層との界面が水分の影響ではく離してしまったり、金属が酸化して高抵抗化してしまったり、有機物自体が水分によって変質してしまったりし、このようなことから発光しなくなったり輝度が低下してしまったりという欠点がある。
このような課題を解消するために、有機EL素子をアクリル樹脂でモールドする方法(特開平3−37991号公報)、有機EL素子を気密ケース内にPとともに入れて外気から遮断する方法(特開平3−261091号公報)、有機EL素子上に金属の酸化物等の保護膜を設けた後にガラス板等を用いて気密にする方法(特開平4−212284号公報)、有機EL素子上にプラズマ重合膜及び光硬化型樹脂層を設ける方法(特開平5−36475号公報)、有機EL素子をフッ素化炭素からなる不活性液体中に保持する方法(特開平4−363890号公報他)、有機EL素子上に高分子保護膜を設けた後シリコーンオイル中に保持する方法(特開平5−367475号公報)、有機EL素子上に設けられた無機酸化物等の保護膜の上にさらにポリビニルアルコールを塗布したガラス板をエポキシ樹脂で接着する方法(特開平5−89959号公報)、有機EL素子を流動パラフィンやシリコーンオイル中に封じ込める方法(特開平5−129080号公報)等が提案されている。また、近年では封止樹脂中に吸湿剤を添加してこれを有機EL素子上に積層して水分による影響から有機EL層を守る方法が提案されている。
しかしながら、上記従来の有機EL層の封止方法はいずれも満足できるものではなく、例えば、吸湿剤とともに気密構造に素子を封じ込めるだけでは、ダークスポットの発生、成長を制御出来ず、また、フッ素化炭素やシリコーンオイル中に保持する方法は液体を注入する工程を経ることにより封止工程が煩雑になるだけでなく、ダークスポットの増加も完全には防げず、むしろ液体が陰極と有機層の界面に侵入して陰極のはく離を促進する問題もある。吸湿剤が樹脂に添加された場合も、吸湿により樹脂自体が膨潤し剥離等を生じてしまうことがあった。この他にも、有機EL素子への水分による悪影響を排除するため、封止層とは別に光硬化性エポキシ樹脂に酸化バリウムや酸化カルシウムなどの金属酸化物からなる吸湿剤を添加して防湿層を別途設けることも提案されている(特開2001−237064号公報)。
そこで、特開平5−182759号公報には、紫外線硬化型樹脂を用いてガラス基板上にEL層を形成し、EL層全面を覆うように樹脂組成物を積層し非透水性ガラス基板を貼り合わせたものが開発された。しかし、この発明に記載されている樹脂組成物は該樹脂に含まれる有機溶剤や紫外線による素子の劣化の問題、硬化時の応力歪みによる有機層からの陰極のはく離の問題、紫外線が届かない所で未硬化が発生する問題があり、実用性にやや劣る面があった。また、エポキシ樹脂を使用する場合は、アクリル樹脂と比較して素子への化学的影響は少ないものの硬化後の硬化物の透湿性に問題があり、これを改良するため酸化バリウムや酸化カルシウムなどの金属酸化物からなる吸湿剤を配合すことも考えられるが、この場合、樹脂中に配合した金属酸化物が水分により膨潤するため、場合によっては有機EL素子自体を崩壊させる問題があった。従って、長期的な信頼性に劣っていた。
一方、特開平11−274377号公報には、熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、カップリング剤、二酸化珪素粉末及び有機溶剤からなるペースト組成物が開示され、ICやLSIのチップを直接封止に使用することが記載されている。しかしながら、この発明は硬化物の応力緩和性(弾力性)に重点が置かれ、また、耐湿性に優れるとの記載はあるものの、ペースト組成物の系中に含まれる水分量については何等考慮されていない。
特開平5−182759号公報 特開2001−237064号公報 特開平11−274377号公報
このように有機EL素子のダークスポットによる劣化が十分に改善されず、発光特性が不安定なことは、ファクシミリ、複写機、液晶ディスプレイのバックライト等の光源としては重大な欠陥となり、また、フラットパネル・ディスプレイなどの表示素子としても望ましくない。本発明は上記従来技術の課題を解決し、有機EL素子に悪影響を及ぼすことなく、効果的な封止を行うことにより、ダークスポットの発生・成長を確実に抑制して、長期間にわたって安定な発光特性を維持することが出来る有機EL素子封止用の硬化性樹脂性組成物を得ることを目的とする。
上記の課題を解決するため本発明は、ガラスもしくはフィルム基板1上に透明電極2、正孔輸送層3、有機物EL層4及び背面電極5からなる有機EL層を形成し、硬化性樹脂層7を積層して非透水性ガラスもしくはフィルム6と貼り合わせる有機EL素子において、使用する硬化性樹脂が、
(A)水分量800ppm以下の分子中にグリシジル基を有する化合物
(B)水分量1000ppm以下の変性脂環式ポリアミン、および/または、変性脂肪族ポリアミン
(C)水分量300ppm以下の二酸化珪素
の上記(A)〜(C)を主成分とする硬化性樹脂組成物で有機EL素子を封止することとした。
また、前記(A)〜(C)を主成分とする硬化性樹脂組成物の合計含有水分量が1000ppm以下で、かつ 硬化物のアウトガス量(GC−MS)が10ppm以下(120℃,15分抽出)であることが好ましい。
以下、本発明を詳細に説明する。まず、本発明の有機EL素子は図1に示すようにガラスまたはフィルム基板1上にITO等の透明電極2、正孔輸送層3、有機物EL層4及び背面電極5がこの順に積層される。また、ガラスまたはフィルム基板1上には、耐湿性を有した硬化性樹脂層7を介しガラスや金属等の非透水性ガラスまたはフィルム基板6が固着される。
さらに詳述すると、このような構成の有機EL素子は次のようにして製造される。まず、ガラスまたはフィルム基板1上に透明電極2を約0.1μmの厚みで成膜する。透明電極2の成膜に際しては、真空蒸着及びスパッタ等による方法がある。ただし、真空蒸着による成膜は、結晶粒が成長して膜表面の平滑度を低下させることがあり、薄膜ELに適用する場合には絶縁破壊や不均一発光の原因を作ることがあるため、注意を要する。一方、スパッタによる成膜は表面の平滑性がよく、その上に薄膜デバイスを積層する場合に好ましい結果が得られる。続いて、透明電極2の上部に正孔輸送層3及び有機物EL層4を0.05μmの厚みで順次成膜する。また有機物EL層4の上部に背面電極5を0.1〜0.3μmの厚みで成膜する。
これらの素子の成膜を終えた後、ガラスまたはフィルム基板1の上部に硬化性樹脂を約0.1mmの厚みで滴下し、この硬化性樹脂の上から非透水性ガラスまたはフィルム基板6を密着させる。硬化性樹脂の詳細は後述する。非透水性ガラスまたはフィルム基板6の密着を終えた後、常温で養生または低温での加熱促進により硬化性樹脂を硬化させて硬化性樹脂層7を形成する。これにより、非透水性ガラス基板6は硬化性樹脂層7を介してガラスまたはフィルム基板1に固着される。なお、上記の加熱促進硬化を行う場合は有機EL素子にダメージを与えないよう80℃以下で行うことが望ましい。また、硬化性樹脂可使時間は作業性を考慮し室温で30min以上であることが望ましい。
本発明において硬化性樹脂層7に求められる物性は、透湿度が60℃、95%で50g/m×24hr以下(厚み150μm)、ガラス同士のはく離接着力が5kgf/cm以上及び比較的低温で硬化することが望まれる。これらの要求項目を満たすものとして(A)水分量800ppm以下の分子中にグリシジル基を有する化合物、(B)水分量1000ppm以下の変性脂環式ポリアミン、および/または変性脂肪族ポリアミン、(C)水分量300ppm以下の二酸化珪素からなるエポキシ樹脂組成物であることが必要である。また、上記エポキシ樹脂の不純物成分として、(A)〜(C)を主成分とする硬化性樹脂組成物の合計含有水分量が1000ppm以下で、その硬化物からのアウトガス量(GC−MS)が10ppm以下(120℃,15分抽出)にコントロールすることがより好ましい。
本発明の二液性エポキシ樹脂において(A)分子中にグリシジル基を有する化合物は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水素化ビスフェノール型エポキシ樹脂などがあげられるが、有機EL素子用に使用するためには塩素イオン含有量の少ないもの、具体的には加水分解性塩素が500ppm以下であるものが好ましく、また、含有水分量が800ppm以下(さらに好ましくは600ppm以下)であることが望ましい。(A)成分の具体例としては含有する塩素イオン濃度が少ないエピクロンEXA−835LV(大日本インキ工業株式会社製)が好ましく使用できる。 また、(A)成分の粘度は1000〜100000cP範囲であることが好ましい。粘度が100000cPを越えてあまりに高いと(C)二酸化珪素を添加した後の粘度が高くなり(B)成分の変性脂環式ポリアミン、および/または、変性脂肪族ポリアミンとの混合が困難になる。
上記(A)成分中の水分量を減少させるには、例えば加熱・撹拌・脱泡(真空引き)が同時に行える装置を用いて、60℃〜100℃で数時間程度加熱撹拌脱泡を行ないうことで達成可能であるが、(A)成分中の含有水分量を低減させることができる他の方法を用いても何等差し支えない。なお、(A)成分であれば例えば80℃で1時間程度加熱撹拌脱泡を行うことでの含有水分量を800ppm以下することも可能である。
本発明に用いられる(B)変性脂環式ポリアミン、および/または変性脂肪族ポリアミンとしては、従来から公知のものが使用可能である。変性脂環式ポリアミンとしては、例えば特開2003−096266号公報に記載されるように、分子内に脂環の構造を持ちアミノ基が脂環に直接またはメチレン鎖を介して結合した化合物である。この変性脂環式ポリアミンを構成する脂環式ポリアミンとしては、例えばイソホロンジアミン、メンセンジアミン、1,2‐又は1,3‐ジアミノシクロヘキサン、1,2‐ジアミノ‐4‐エチルシクロヘキサン、1,4‐ジアミノ‐3,6‐ジエチルシクロヘキサン、1‐シクロヘキシル‐3,4‐ジアミノシクロヘキサン、4,4′‐ジ(アミノジシクロヘキシル)‐メタンおよび‐プロパン、ビス(4‐アミノシクロヘキシル)‐メタンおよび‐プロパン、3,3′‐ジメチル‐4,4′‐ジアミノジシクロヘキシルメタン、3‐アミノ‐1‐シクロヘキシル‐アミノプロパン、1,2‐、1,3‐又は1,4‐ビス(アミノメチル)‐シクロヘキサン、N‐アミノエチルピペラジン、3,9‐ビス(3‐アミノプロピル)‐2,4,8,10‐テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等が挙げられ、この変性物としては、例えばマンニッヒ変性物、エポキシアダクト変性物、シアノエチル化変性物、マイケル変性物、ケチミン化変性物等が挙げられる。上記エポキシアダクト変性物の例としては、ジアミノシクロヘキサン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン等の脂環式ポリアミンと、プロピレンオキシド、酸化ヘキセン、酸化シクロヘキセン等の末端モノ‐もしくはポリ‐エポキシドや、フェニルグリシジルエーテル、t‐ブチルグリシジルエーテル、エチルヘキシルグリシジルエーテル、ブチル‐グリシジルエーテルのようなグリシジルエーテルや、或いは商品名Cardura E(Versatic 911 Acid(商品名)のグリシジルエステル)として入手しうるようなグリシジルエステルとの反応生成物を挙げることができる。変性脂環式ポリアミンの市販品としては、例えばアンカミン1732、アンカミン1882、アンカミン1365(アンカーケミカル社)、アンカミン1618、アンカミン2074(エーシーアイ ジャパン(ACI JAPAN)社)、ダイトクラールF−5197、ダイトクラールB−1616(大都産業社)、フジキュアーFXD−821、フジキュア4233(富士化成工業社)、エピキュア113(油化シェルエポキシ社)、ラロミンC−260(BASF)等が挙げられる。
また、変性脂肪族ポリアミンとしては、例えば特開平10−25334号公報及び特開平10−81651号公報などに記載されるように脂肪族アミンを変性したものである。変性脂肪族ポリアミンを構成する脂肪族ポリアミンの具体例としては、以下に示すものを挙げることができる。エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ジアミノブタン、ヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、4−アミノメチルオクタメチレンジアミン、3,3’−イミノビス(プロピルアミン)、3,3’−メチルイミノビス(プロピルアミン)、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、1,2−ビス(3−アミノプロピルオキシ)エタン、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ビスアミノメチルノルボルナン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンを挙げることができる。芳香族置換基を有する脂肪族ポリアミンの例としては、m−キシリレンジアミン、テトラクロロ−p−キシリレンジアミンなどを挙げることができ、本発明の変性脂肪族ポリアミンは、上記脂肪族ポリアミンを、エポキシ樹脂やアルキレンオキサイド化合物で変性したり、シアノエチル化あるいはケチミン化したものである。変性脂肪族ポリアミンの市販品の例としては、例えば富士化成工業社製のフジキュアーシリーズ(FXE−1000又はFXR−1030等)が挙げられる。
上記(B)変性脂環式ポリアミン、および/または変性脂肪族ポリアミンは一種類の単独使用でも、複数種を混合して使用することも可能である。(B)成分の粘度は、(A)成分と撹拌混合して使用することを考慮すると同等の粘度であることが好ましい。また、一般的に2液性エポキシ樹脂の配合量は、主剤中((A)成分に該当)のエポキシ基の量(エポキシ当量)と硬化剤中((B)成分に該当)の活性水素量(活性水素当量)により決定されるが、本願発明においても使用する(A)成分のエポキシ当量と(B)成分の活性水素当量に合わせて適宜に配合されることでより完全な硬化が行える。この適正な配合比率を逸脱すると硬化が不十分となるため、硬化物の物性が低下したり硬化物中からのアウトガスの発生量が増加することがある。
また、市販されている2液性のエポキシ樹脂の主剤と硬化剤の配合割合は、主剤100重量部に対し硬化剤を100〜10重量部で撹拌混合して使用するものが多いが、(B)成分はアミンを含有するのでその系中に湿分を取り込み易いため、本発明の用途に使用する場合には(A)成分に対し配合する(B)成分の量をなるべく少なくすることが望ましい。具体的には(A)〜(C)の硬化性組成物において30重量%以下であることが好ましい。なお、(B)成分中に含有される水分量を1000ppm(より好ましくは700ppm以下)に押さえることができれば、(A)成分と(B)成分の配合割合を重量比で1:1程度とすることも可能である。
また、(A)成分を硬化させる硬化剤として(B)成分以外にポリアミドアミンを添加すると接着強度を向上させることができるが、ポリアミドアミンの添加量が多いとアウトガス量が増加するので(A)成分100重量部に対し25重量部までの添加が適正である。
上述したポリアミドアミンも含め(B)成分の変性脂環式ポリアミン、および/または変性脂肪族ポリアミンの含有水分量は、(A)成分と同様に加熱、撹拌、脱泡(真空引き)などの工程処理を行なうことにより含有水分量を減少させることができる。(B)成分はその種類により水分量が大きく異なるため一概に規定できないが、例えば80℃で2時間程度加熱撹拌脱泡を行うことで目的の水分量(1000ppm以下)にすることが可能である。
本発明に使用できる(C)成分の二酸化珪素は、結晶性、溶融性を問わず使用可能でるが、なるべく不純物の少ない細粒を用いることが望ましい。具体的な粒径は40μ以下であり、含有水分量のコントロールや配合の容易さから(A)成分に予め添加しロール等を利用して分散しておくのが好ましい。また、二酸化珪素自体の水分量も加熱により除去することができる。その含有水分量が300ppm以下(さらに好ましくは100ppm以下)になるように100〜150℃で加温し水分を取り除く。また、この(C)成分の添加量は、(A)成分100重量部に対し、5〜100程度が好ましい。
本発明には、さらに本発明の目的を達成可能な限り、その他の成分、例えばよう変剤、保存安定剤、可塑剤、反応性希釈剤、充填材、粘度調製剤等を添加することも可能であるが、それらの添加成分中の水分や不純物に注意する必要がある。また、本発明の硬化性組成物は、(A)成分、(B)成分、(C)成分を使用時に混合してもよく、或いは(A)成分又は(B)成分、もしくは両方の成分中に、(C)成分やその他の添加剤を予め混合しておき、使用時に両者を混合して使用してもよい(2液性)。
上記のとおりベース層と非透水ガラスまたはフィルム基板層の接着に本発明の硬化性エポキシ樹脂を使用し固着封止することにより、有機EL素子の劣化の進行を大幅に制御するとこができ、長寿命化、有機EL発光側にエポキシ樹脂層があっても高輝度化を図ることができる。また、紫外線硬化型の接着剤組成物で問題とる紫外線の届かない箇所の未硬化や、大きな硬化収縮もないため、得られる有機EL素子は安定した性能を発揮する。本発明の二液性エポキシ樹脂は常温で硬化させ、低温加熱により硬化促進させることができ、比較的低温の促進で十分に性能が安定する。
以下実施例にて本発明を詳細に説明する。
表1に示す通り各硬化性樹脂を調製し各種評価を行った。その結果を表2に記載する。なお、使用した各成分はエピクロンEXA835LV:ビスフェノールA型及びF型混合エポキシ樹脂低塩素型(大日本インキ化学工業株式会社製)、エピコート828:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製)、エピコート807:ビスフェノールF型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製)、トーマイド296:ポリアミドアミン(富士化成工業株式会社製)、ダイトクラールC−2200A:変性脂環式ポリアミン(大都産業株式会社製)、サンマイドA−100:イミダゾール変性アミン(三和化学工業株式会社製)、アンカミンZ:芳香族ポリアミン(BTRジャパン株式会社製)、ダイトクラールX−5273C:変性脂肪族ポリアミン(大都産業株式会社製)、ヒューズレックスX:二酸化珪素(株式会社龍森社製)、クリスタライトAA:二酸化珪素(株式会社龍森社製)、SG−95:タルク(日本タルク社製)、R972:よう変剤(日本アエロジル社製)である。
(A)成分の分子中にグリシジル基を有する化合物及び(B)成分の変性脂環式ポリアミン、および/または変性脂肪族ポリアミンは、それぞれ80℃で2時間加熱、撹拌、脱泡を行い、それぞれの水分量を800ppm以下、1000ppm以下に調整した。(C)成分の二酸化珪素は、120℃で2時間加温し水分量を300ppm以下に調整した。なお、調整後の各成分は窒素雰囲気中で乾燥剤とともに保管した。また、比較例5の二酸化珪素、比較例6及び7の硬化剤はそれぞれの水分量を調整せずそのまま使用した。さらに、SG−95やR972も特に脱水処理を行わなかった。
評価1:透湿度測定
各硬化性樹脂を厚み150μmのシート状に加工し硬化させ(硬化条件:表1参照)、60℃×95%の条件で透湿度を測定した。(使用機器:L80−5000型水蒸気透過度計/LYSSY社製)
評価2:アウトガス測定
フッ素樹脂コートした板の上に各硬化性樹脂を約20mg計量し所定の硬化条件で硬化させ、ダブルショットパイロライザーおよびガスクロマトグラフ/質量分析計(GC/MS)を用いたダイナミックヘッドスペース法で120℃×15分加熱した際に発生するアウトガス量を測定した。
評価3:接着力測定
パネル用ガラス基板を25mm×50mmにカットし、ガラス片が十字状になるように中央に樹脂を挟み(100μm)所定の硬化時間で硬化させ、上下に剥離した。この時はく離速度は50mm/minとして、あらかじめ測定した接着剤塗布面積で最大荷重を除して接着力とした。
評価4:パネル信頼性試験(輝度劣化評価)
ガラス基板上にスパッタリングにより透明電極を0.1μmの厚みで成膜した。続いて、透明電極の上部に正孔輸送層及び有機物EL層を0.05μmの厚みで順次成膜した。また有機物EL層の上部に背面電極を0.2μmの厚みで成膜する。これらの素子の成膜を終えた後、ガラス基板1の上部に各硬化性樹脂を約0.1mmの厚みで滴下し、この硬化性樹脂の上から非透水性ガラス基板を密着させた(硬化条件:表1参照)。このようにしてパネルを作製し、初期の輝度を測定し、連続点灯で60℃、90%の環境で輝度を測定し初期の輝度に対する相対値で比較した。
評価5:パネル信頼性試験(ダークスポット評価)
評価4で作成したパネルと同様に各硬化性樹脂で貼り合わせしたパネルを作成し、連続点灯で60℃、90%の環境でダークスポットの成長を観察した。1000時間経過後の直径100μm以上のダークスポット発生がない場合は○、ある場合は×とした。
評価6:水分量試験−カールフィッシャー微量水分計−
表−1の配合により本剤と硬化剤を各々調整しカールフィッシャー微量水分計にて水分量を測定した。表−1には本剤、硬化剤合計水分量を記載した。この処理は比較例4以外に実施した。
Figure 2005302401
Figure 2005302401
実施例1、2は硬化剤として変性脂環式ポリアミン、変性脂肪族ポリアミンを使用し、またそれぞれ二酸化珪素を添加したもので、有機EL表示パネルとして信頼性を確保出来ている。実施例3〜6は、実施例1,2にさらにポリアミドアミンを組み合わせたもので、それぞれ実施例1,2と比較してアウトガスが増えるものの接着力が向上することがわかる。また、実施例は、比較例1〜3と比較して二酸化珪素の添加により飛躍的に透湿性が向上している。この結果より、実施例1〜6は、有機EL素子貼合わせ用の樹脂組成物として使用することが可能である。
比較例4では二酸化珪素の替わりにタルクを使用したが、二酸化珪素程の透湿度に対する効果はない。また、タルクが空気中の水分を吸収するため系中の水分量が多くなっている。比較例5〜7は、二酸化珪素、変性脂環式ポリアミン及び変性脂肪族ポリアミンが規定量以上の水分含んでいるため信頼性に問題が生じ、ダークスポットの発生につながっている。また、これらの成分が吸湿しやすいことが分かる。
本発明は有機EL素子封止材料として好適に使用できるが、有機EL表示バネル以外にも液晶表示パネルや電子部品など水分や湿気を嫌う部材の封止剤やシール材、コーティング剤として有用である。
本発明の硬化性樹脂組成物を使用して製造した有機EL表示装置の簡略断面図である。
符号の説明
1ガラス基板
2透明電極
3正孔輸送層
4有機物EL層
5背面電極
6非透水性ガラス基板
7硬化性樹脂

Claims (5)

  1. ガラスもしくはフィルム基板1上に透明電極2、正孔輸送層3、有機物EL層4及び背面電極5からなる有機EL層を形成し、硬化性樹脂層7を積層して非透水性ガラスもしくはフィルム6と貼り合わせる有機EL素子において、使用する硬化性樹脂が、
    (A)水分量800ppm以下の分子中にグリシジル基を有する化合物
    (B)水分量1000ppm以下の変性脂環式ポリアミン、および/または、変性脂肪族ポリアミン
    (C)水分量300ppm以下の二酸化珪素
    の上記(A)〜(C)を主成分とする硬化性樹脂組成物であることを特徴とする有機EL素子封止材。
  2. 前記(A)〜(C)を主成分とする硬化性樹脂組成物に含まれる水分量が1000ppm以下で、かつ、その硬化物のアウトガス量(GC−MS)が10ppm以下(120℃,15分抽出)であることを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子封止材。
  3. 前記(A)〜(C)を主成分とする硬化性樹脂組成物を構成するそれぞれの成分の配合比が、(A)成分100重量部に対し、(B)成分10〜200重量部、(C)成分5〜150重量部である請求項1乃至2に記載の有機EL素子封止材。
  4. 前記(A)〜(C)を主成分とする硬化性樹脂組成物に、さらに(D)ポリアミドアミンを添加する請求項1乃至3に記載の有機EL素子封止材。
  5. 前記(A)〜(C)を主成分とする硬化性樹脂組成物の硬化物の硬度が、ショアーD型硬度計による硬度で70〜90である請求項1乃至4に記載の有機EL素子封止材。
JP2004113948A 2004-04-08 2004-04-08 有機el素子封止材 Pending JP2005302401A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004113948A JP2005302401A (ja) 2004-04-08 2004-04-08 有機el素子封止材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004113948A JP2005302401A (ja) 2004-04-08 2004-04-08 有機el素子封止材

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005302401A true JP2005302401A (ja) 2005-10-27

Family

ID=35333650

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004113948A Pending JP2005302401A (ja) 2004-04-08 2004-04-08 有機el素子封止材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005302401A (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008059868A (ja) * 2006-08-30 2008-03-13 Seiko Epson Corp 有機エレクトロルミネッセンス装置とその製造方法及び電子機器
US7462651B2 (en) 2005-04-04 2008-12-09 National Starch And Chemical Investment Holding Corporation Radiation-curable desiccant-filled adhesive/sealant
US7687119B2 (en) 2005-04-04 2010-03-30 Henkel Ag & Co. Kgaa Radiation-curable desiccant-filled adhesive/sealant
US7986096B2 (en) 2006-06-14 2011-07-26 Samsung Electronics Co., Ltd. Display device with minimized infiltration of oxygen and moisture and manufacturing method thereof
US8828500B2 (en) 2008-11-28 2014-09-09 Three Bond Co., Ltd. Photocurable resin composition for sealing organic EL device
JP2014203654A (ja) * 2013-04-04 2014-10-27 凸版印刷株式会社 有機el装置及びその製造方法
WO2015111635A1 (ja) * 2014-01-23 2015-07-30 電気化学工業株式会社 樹脂組成物
WO2015125046A1 (en) * 2014-02-19 2015-08-27 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Light-emitting device and peeling method
JP2019070120A (ja) * 2012-07-26 2019-05-09 デンカ株式会社 樹脂組成物

Cited By (21)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7462651B2 (en) 2005-04-04 2008-12-09 National Starch And Chemical Investment Holding Corporation Radiation-curable desiccant-filled adhesive/sealant
US7687119B2 (en) 2005-04-04 2010-03-30 Henkel Ag & Co. Kgaa Radiation-curable desiccant-filled adhesive/sealant
US7986096B2 (en) 2006-06-14 2011-07-26 Samsung Electronics Co., Ltd. Display device with minimized infiltration of oxygen and moisture and manufacturing method thereof
JP2008059868A (ja) * 2006-08-30 2008-03-13 Seiko Epson Corp 有機エレクトロルミネッセンス装置とその製造方法及び電子機器
US8828500B2 (en) 2008-11-28 2014-09-09 Three Bond Co., Ltd. Photocurable resin composition for sealing organic EL device
JP2019070120A (ja) * 2012-07-26 2019-05-09 デンカ株式会社 樹脂組成物
JP2014203654A (ja) * 2013-04-04 2014-10-27 凸版印刷株式会社 有機el装置及びその製造方法
CN105916937B (zh) * 2014-01-23 2018-11-16 电化株式会社 树脂组合物
WO2015111635A1 (ja) * 2014-01-23 2015-07-30 電気化学工業株式会社 樹脂組成物
KR102385321B1 (ko) * 2014-01-23 2022-04-11 덴카 주식회사 수지 조성물
US20170009071A1 (en) * 2014-01-23 2017-01-12 Denka Company Limited Resin composition
JPWO2015111635A1 (ja) * 2014-01-23 2017-03-23 デンカ株式会社 樹脂組成物
KR20210078573A (ko) * 2014-01-23 2021-06-28 덴카 주식회사 수지 조성물
CN105916937A (zh) * 2014-01-23 2016-08-31 电化株式会社 树脂组合物
US10683414B2 (en) 2014-01-23 2020-06-16 Denka Company Limited Resin composition
JP2021009849A (ja) * 2014-02-19 2021-01-28 株式会社半導体エネルギー研究所 表示装置
WO2015125046A1 (en) * 2014-02-19 2015-08-27 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Light-emitting device and peeling method
US10141526B2 (en) 2014-02-19 2018-11-27 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Peeling method using separating peeling layer and layer to be peeled
US10079353B2 (en) 2014-02-19 2018-09-18 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Light-emitting device with flexible substrates
US9437832B2 (en) 2014-02-19 2016-09-06 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Light-emitting device and peeling method
JP2022104974A (ja) * 2014-02-19 2022-07-12 株式会社半導体エネルギー研究所 表示装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5201347B2 (ja) 有機el素子封止用光硬化性樹脂組成物
JP5288150B2 (ja) 有機el素子封止用熱硬化型組成物
TWI513360B (zh) 有機el元件密封構件
KR101801690B1 (ko) Oled 패널 하부 보호필름 및 이를 포함하는 oled 패널
WO2013147156A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子封止用樹脂組成物、その製造方法、該樹脂組成物を用いた接着フィルム、ガスバリアフィルム、有機エレクトロルミネッセンス素子および有機エレクトロルミネッセンスパネル
TWI677530B (zh) 有機電激發光顯示元件用密封劑
JP6793230B2 (ja) ディスプレイ用粘着シートおよびこれを含むディスプレイ
WO2013027389A1 (ja) シート状エポキシ樹脂組成物、及びこれを含む封止用シート
TWI687448B (zh) 封裝組成物
EP3716350B1 (en) Organic electronic device
KR20160114542A (ko) 접착제 조성물
JP4816863B2 (ja) 有機el素子封止用熱硬化型組成物
TWI641650B (zh) Organic electroluminescent display element sealant
JP2005302401A (ja) 有機el素子封止材
JP4780275B2 (ja) 有機el素子封止材
US11479664B2 (en) Encapsulating composition
JP2005019269A (ja) 有機el素子および有機el素子貼合わせ用樹脂組成物
JP2005302414A (ja) 脱水処理した二液型ポリエポキシ樹脂用硬化剤及びその利用
JP2013214369A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子封止用樹脂組成物、これを用いた接着フィルム、ガスバリアフィルム、有機エレクトロルミネッセンス素子および有機エレクトロルミネッセンスパネル
KR20120113902A (ko) 유기 el 디스플레이 장치 및 이에 포함되는 유기 el 소자 봉지용 접착제 조성물
JP2006070193A (ja) 有機el素子封止用の一液型硬化性樹脂組成物
KR20090107108A (ko) 경화성 수지 조성물 및 이를 포함하는 유기 전계 발광 표시장치
KR20190037943A (ko) 유기전자소자 봉지용 조성물