JP2005300639A - 画像表示装置及び画像表示装置の制御方法 - Google Patents

画像表示装置及び画像表示装置の制御方法 Download PDF

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Tsukasa Ito
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Abstract

【課題】 刻々と変化する照明環境に設置されても周囲の状況と調和し、調度類として違和感のない画像表示を可能とする画像表示装置及びその制御方法を提供すること。
【解決手段】 画像データ入力手段と、画像表示手段とを有し、入力画像データに基づいて画像を表示する画像表示装置において、検知された照明条件に基づいて算出された色の見え指標に基づいて画像表示装置を制御する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、画像表示装置及び画像表示装置の制御方法に関する。
ディスプレイ上に表示される画像を観察しながらデジタル画像データの編集加工や出力操作などを行う作業工程において、長時間の作業による目の疲労、消費電力などの課題も少なくない。このような課題に対する解決方法として、ディスプレイ周辺の明るさや色温度を検知して、ディスプレイの表示条件を制御する、或いは人物の入室を検知して、電源のON/OFFを切り替える等の方法が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2)。
特許文献1には、画像表示装置の表示状態、及び/又は周囲の生活照明環境を積極的に制御することによって最適な視聴環境の実現を図り、より高画質な画像表示や、目にやさしく疲労感の少ない画像表示が可能な画像表示システムを提供するために、外部からの入力テレビ信号や画像表示特性検知器からの信号に応じて、画像表示装置の画面輝度、及び/又は外部の照明装置の明るさを調整して視聴環境条件を制御する画面輝度・照明制御回路とを設け、上記各入力信号に応じて画像表示装置の画面輝度及び/又は照明装置の明るさを積極的に調整し、より最適な視聴環境を供する方法が記載されている。
特許文献2には、様々な照明条件に対応したコントラスト、又は色バランスの調整を行うことができる反射型表示装置を提供するために、画像情報を表示する反射型表示手段と、反射型表示手段の一部又はその周辺部にあり照射光の状態を検知する検知手段と、検知手段で検知された照射光の状態を基に反射型表示手段の駆動方法を制御する制御手段とからなることを特徴とする反射型表示装置について記載されている。
一方、ディスプレイ上に表示される画像を観察しながらデジタル画像データの編集加工や出力操作などを行う作業工程において、高品位画像を安定に生成するべく各種技術が提案されている。(例えば、特許文献3)
特許文献3においては、プリント画像では、視覚の視環境に対する順応作用によって、視環境の影響は低減されるのに対し、CRTなどの自己発光型デバイスの場合、それ自体が視環境と異なる色度を与えるため、プリント画像とCRT表示画像との間で、「色の見え」が一致しないという課題を解決するために、視環境の差異を補正した中間の色空間(「機器独立色空間」、又は「Device Independent Color」と称される)として、CIE(国際照明委員会)で定められている色空間であるXYZ(CIE/XYZ)やL*a*b*(CIE/L*a*b*)に代えて、「色の見え予測モデル」を用いた色空間が提案されている。
また、このような色空間への変換に、「視覚的な見えを予測可能なモデル」として、非特許文献1にあるような「CIECAM97s」、「CIECAM02」を用いることが知られている。
特開2003−323169号公報 特開2000−231092号公報 特開平7−222196号公報 矢口博久、「色の見えモデル−CIECAM02の概要と課題−」、カラーフォーラムJAPAN2003論文集、画像電子学会、平成15年11月、p.57−62
ところで、近年では液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等の薄型ディスプレイの大画面化や低価格化の進行、並びに前記デジタル画像データの汎用性や画質向上技術の向上に伴い、液晶ディスプレイに静止画を表示して情報を伝達する掲示板、或いはイラストや絵画を表示して調度類として楽しむといった機会、要求が急速に高まってきている。
しかしながら、ディスプレイ周辺の明るさや色温度を検知して、表示、或いは観察条件を自動制御するだけでは、蛍光灯や白熱電球等の白色人工光の下で違和感を覚えることなく鑑賞する効果は期待されるものの、電球や蝋燭などの着色光、直射日光の下では、室内の壁や床、家具などの調度類とは異なった見え方となり、観察者は違和感を覚えるものとなってしまっていた。
特に、部屋の調度類として、写真や絵画に代えて静止画を表示する場合には、あたかも額縁に入れられた写真や絵画であるかのように、壁などの周囲と調和した状態で鑑賞できることが求められている。
特許文献1や特許文献2に記載の制御方法は、あくまでも表示を見えやすくすることを目的として表示、或いは観察条件を自動制御するものでしかなかった。このため、雰囲気を重視して低輝度の着色光で照明された食堂・応接室・寝室等に設置された場合には、ディスプレイの表示画面のみが過度に目立つことになり、調度類としての静止画を表示する場合には極めて不適切であった。
また、特許文献3や非特許文献1は、プリンタにより紙等の反射型記録媒体上に出力されることを想定して、ディスプレイ上に表示される画像を観察しながら、デジタル画像データの編集加工や出力操作などを行うことを前提としたものであり、当該ディスプレイを鑑賞する照明環境には無関係であった。したがって、ディスプレイを鑑賞する照明条件が高照度から低照度に変化しても、ディスプレイは高照度照明下のものと何ら変わるものではなく、昼夜で照明条件が刻々と変化する室内に設置される調度類として静止画を表示する場合には、その見え方は違和感を覚えるものであった。
上記事象に鑑み、本発明の目的は、低照度照明下でも、表示画面のみが過度に目立つことを改善し、周囲の状況と調和させることによって、調度類としての違和感のない画像表示並びに刻々と変化する照明環境に設置されても周囲の状況と調和し、調度類として違和感のない画像表示を可能とする画像表示装置及びその制御方法を提供することである。
本発明の目的は、下記構成により達成することができる。
請求項1に係る発明は、画像データ入力手段と、画像表示手段とを有し、入力画像データに基づいて画像を表示する画像表示装置において、
画像表示装置を鑑賞するときの照明条件を検知する照明条件検知手段と、
前記画像データ入力手段から入力された入力画像データと前記照明条件検知手段で検知された照明条件とに基づき、色の見え指標を算出する色の見え指標算出手段と、
前記色の見え指標算出手段で算出された色の見え指標に基づき、前記画像表示手段を制御する表示制御手段とを有することを特徴とする画像表示装置である。
請求項2に係る発明は、前記表示制御手段は、前記色の見え指標算出手段で算出された色の見え指標に基づき、表示用画像データを生成することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置である。
請求項3に係る発明は、前記照明条件検知手段で検知された照明条件の変化を検出する照明条件変化検出手段と、
前記表示制御手段で生成された表示用画像データを記憶する記憶手段とを有し、
前記表示制御手段は、前記記憶手段に記憶された表示用画像データを前記画像表示手段に対して出力することで前記画像表示手段を制御し、前記照明条件変化検出手段が照明条件の変化を検出したときに、当該変化した照明条件に基づいて表示用画像データを生成することを特徴とする請求項2に記載の画像表示装置である。
請求項4に係る発明は、前記表示制御手段は、前記色の見え指標算出手段で算出された色の見え指標に基づき、表示用制御データを生成することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置である。
請求項5に係る発明は、前記照明条件検知手段で検知された照明条件の変化を検出する照明条件変化検出手段と、
前記表示制御手段で生成された表示用制御データのうち少なくとも一方を記憶する記憶手段とを有し、
前記表示制御手段は、前記記憶手段に記憶された表示用制御データを前記画像表示手段に対して出力することで前記画像表示手段を制御し、
前記照明条件変化検出手段が照明条件の変化を検出したときに、当該変化した照明条件に基づいて表示用制御データを生成することを特徴とする請求項4に記載の画像表示装置である。
請求項6に係る発明は、前記表示制御手段は、前記色の見え指標算出手段で算出された色の見え指標に基づき、表示用画像データ及び表示用制御データを生成することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置である。
請求項7に係る発明は、前記照明条件検知手段で検知された照明条件の変化を検出する照明条件変化検出手段と、
前記表示制御手段で生成された表示用画像データ及び表示用制御データのうち少なくとも一方を記憶する記憶手段とを有し、
前記表示制御手段は、前記記憶手段に記憶された表示用画像データ及び表示用制御データのうち少なくとも一方を前記画像表示手段に対して出力することで前記画像表示手段を制御し、
前記照明条件変化検出手段が照明条件の変化を検出したときに、当該変化した照明条件に基づいて表示用画像データ及び表示用制御データのうち少なくとも一方を生成することを特徴とする請求項6に記載の画像表示装置である。
請求項8に係る発明は、前記表示制御手段における色の見え指標の適用度合を入力する適用度合入力手段を有し、
前記表示制御手段は、前記適用度合入力手段で入力された適用度合に基づいて前記画像表示手段を制御することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像表示装置である。
請求項9に係る発明は、前記照明条件検知手段で検知された照明条件に基づいて観察条件パラメータを算出する観察条件パラメータ算出手段を有し、
前記色の見え指標算出手段は、前記観察条件パラメータ算出手段で算出した観察条件パラメータに基づいて色の見え指標を算出することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像表示装置である。
請求項10に係る発明は、前記表示制御手段は、前記画像表示手段の発光輝度の最大値が、前記照明条件検知手段で検知した照度と比例するように制御することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像表示装置である。
請求項11に係る発明は、前記入力画像データが、シーン参照画像データであり、
前記表示制御手段は、前記シーン参照画像データに基づいて前記画像表示手段を制御することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像表示装置である。
請求項12に係る発明は、前記シーン参照画像データは色空間を表すデータであり、該色空間は輝度拡張色空間であることを特徴とする請求項11に記載の画像表示装置である。
請求項13に係る発明は、前記色の見え指標算出手段は、CIECAM97s又はCIECAM02に規定される色の見えモデルに基づいて色の見え指標を算出することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の画像表示装置である。
請求項14に係る発明は、画像データ入力手段と、画像表示手段とを有し、入力画像データに基づいて画像を表示する画像表示装置の制御方法において、
画像表示装置を鑑賞するときの照明条件を検知する照明条件検知工程と、
前記画像データ入力手段から入力された入力画像データと前記照明条件検知工程で検知された照明条件とに基づき、色の見え指標を算出する色の見え指標算出工程と、
前記色の見え指標算出工程で算出された色の見え指標に基づき、前記画像表示手段を制御する表示制御工程とを含むことを特徴とする画像表示装置の制御方法である。
請求項15に係る発明は、前記表示制御工程は、前記色の見え指標算出手段で算出された色の見え指標に基づき、表示用画像データを生成する表示用画像データ生成工程を含むことを特徴とする請求項14に記載の画像表示装置の制御方法である。
請求項16に係る発明は、前記照明条件検知工程で検知された照明条件の変化を検出する照明条件変化検出工程と、
前記表示用画像データ生成工程で生成された表示用画像データを記憶する記憶工程とを有し、
前記表示制御工程は、前記記憶工程で記憶された表示用画像データを前記画像表示手段に対して出力する表示用データ出力工程と、
前記照明条件変化検出工程で照明条件の変化を検出したときに、当該変化した照明条件に基づいて表示用画像データを生成することを特徴とする請求項15に記載の画像表示装置の制御方法である。
請求項17に係る発明は、前記表示制御手段は、前記色の見え指標算出手段で算出された色の見え指標に基づき、表示用制御データを生成する表示用制御データ生成工程を含むことを特徴とする請求項14に記載の画像表示装置の制御方法である。
請求項18に係る発明は、前記照明条件検知工程で検知された照明条件の変化を検出する照明条件変化検出工程と、
前記表示用制御データ生成工程で生成された表示用制御データを記憶する記憶工程とを有し、
前記表示制御工程は、前記記憶工程で記憶された表示用制御データを前記画像表示手段に対して出力する表示用データ出力工程を有し、
前記照明条件変化検出工程で照明条件の変化を検出したときに、当該変化した照明条件に基づいて表示用制御データを生成することを特徴とする請求項17に記載の画像表示装置の制御方法である。
請求項19に係る発明は、前記表示制御工程は、前記色の見え指標算出工程で算出された色の見え指標に基づき、表示用画像データを生成する表示用画像データ生成工程と、
前記色の見え指標算出工程で算出された色の見え指標に基づき、表示用制御データを生成する表示用制御データ生成工程とを含むことを特徴とする請求項14に記載の画像表示装置の制御方法である。
請求項20に係る発明は、前記照明条件検知工程で検知された照明条件の変化を検出する照明条件変化検出工程と、
前記表示用画像データ生成工程で生成された表示用画像データ及び前記表示用制御データ生成工程で生成された表示用制御データのうち少なくとも一方を記憶する記憶工程とを有し、
前記表示制御工程は、前記記憶工程で記憶された表示用画像データ及び表示用制御データのうち少なくとも一方を前記画像表示手段に対して出力する出力する表示用データ出力工程を有し、
前記照明条件変化検出工程で照明条件の変化を検出したときに、当該変化した照明条件に基づいて表示用画像データ及び表示用制御データのうち少なくとも一方を算出することを特徴とする請求項19に記載の画像表示装置の制御方法である。
請求項21に係る発明は、前記表示制御工程における色の見え指標の適用度合を入力する適用度合入力工程を有し、
前記表示制御工程は、前記適用度合入力工程で入力された適用度合に基づいて前記画像表示手段を制御することを特徴とする請求項14乃至20のいずれか1項に記載の画像表示装置の制御方法である。
請求項22に係る発明は、前記照明条件検知工程で検知された照明条件に基づいて観察条件パラメータを算出する観察条件パラメータ算出工程を有し、
前記色の見え指標算出工程は、前記観察条件パラメータ算出工程で算出した観察条件パラメータに基づいて色の見え指標を算出することを特徴とする請求項14乃至21のいずれか1項に記載の画像表示装置の制御方法である。
請求項23に係る発明は、前記表示制御工程は、前記画像表示手段の発光輝度の最大値が、前記照明条件検知工程で検知した照度と比例するように制御することを特徴とする請求項14乃至22のいずれか1項に記載の画像表示装置の制御方法である。
請求項24に係る発明は、前記入力画像データが、シーン参照画像データであり、
前記表示制御工程は、前記シーン参照画像データに基づいて前記画像表示手段を制御することを特徴とする請求項14乃至23のいずれか1項に記載の画像表示装置の制御方法である。
請求項25に係る発明は、前記シーン参照画像データは色空間を表すデータであり、該色空間は輝度拡張色空間であることを特徴とする請求項24に記載の画像表示装置の制御方法である。
請求項26に係る発明は、前記色の見え指標算出工程は、CIECAM97s又はCIECAM02に規定される色の見えモデルに基づいて色の見え指標を算出することを特徴とする請求項14乃至25のいずれか1項に記載の画像表示装置の制御方法である。
請求項1又は請求項14に記載の発明によれば、検知された照明条件に基づいて算出された色の見え指標に基づいて画像表示装置を制御するので、画像表示装置は刻々と変化する照明条件下であっても、反射型記録媒体上に形成された画像と同じ色再現を行うことが可能となり、観察者は画像表示装置を調度類として、何ら違和感を覚えることなく鑑賞することが可能となる。
特に、低輝度照明下(低照度環境下)では、表示画像内容の判別不能レベルまで画像表示装置の輝度を低減させるようになるので、あたかも壁に掲示した写真や絵画のような画像の表示を行うことが可能になる。
請求項2又は請求項15に記載の発明によれば、色の見え指標に基づき、表示用画像データを生成し、当該表示用画像データを画像表示手段に対して出力することで画像表示装置を制御するので、検知された照明条件における精度の高い色再現を行うことが可能となり、観察者は画像表示装置を調度類として、何ら違和感を覚えることなく鑑賞することが可能となる。
請求項3又は請求項16に記載の発明によれば、照明条件の変化を検出したときに、当該変化した照明条件に基づいて表示用画像データを生成し、その他の場合は生成時に記憶された表示用画像データに基づいて、画像表示装置を制御するので、照明条件が変化したときのみ色の見え指標の算出及び表示用画像データの生成を行えばよく、演算処理に要する電力の消費を低減し、また演算処理の効率化が可能となる。
請求項4又は請求項17に記載の発明によれば、色の見え指標に基づき、表示用制御データを生成し、当該表示用制御データを画像表示手段に対して出力することで画像表示装置を制御するので、画像表示手段の制御に係る演算処理を簡素化することが可能となり、比較的小規模な演算回路で、照明条件の変化に対して迅速に、観察者が調度類として何ら違和感を覚えることなく鑑賞できる画像を表示することが可能となる。
請求項5又は請求項18に記載の発明によれば、照明条件の変化を検出したときに、当該変化した照明条件に基づいて表示用制御データを生成し、その他の場合は生成時に記憶された表示用制御データに基づいて、画像表示装置を制御するので、照明条件が変化したときのみ色の見え指標の算出及び表示用制御データの生成を行えばよく、演算処理に要する電力の消費を低減し、また演算処理の効率化が可能となる。
請求項6又は請求項19に記載の発明によれば、色の見え指標に基づき、表示用画像データ及び表示用制御データを生成し、当該表示用画像データ及び表示用制御データを画像表示手段に対して出力することで画像表示装置を制御するので、画像表示制御に係る主要部の演算処理を表示用制御データの生成により簡素化するとともに、検知された照明条件における精度の高い色再現を表示用画像データの生成で行うことが可能となり、比較的小規模な演算回路で、照明条件の変化に対して迅速に、観察者が調度類として何ら違和感を覚えることなく鑑賞できる画像を表示することが可能となる。
請求項7又は請求項20に記載の発明によれば、照明条件の変化を検出したときに、当該変化した照明条件に基づいて表示用画像データ及び/又は表示用制御データを生成し、その他の場合は生成時に記憶された表示用画像データ及び/又は表示用制御データに基づいて、画像表示装置を制御するので、照明条件が変化したときのみ色の見え指標の算出並びに表示用画像データ及び/又は表示用制御データの生成を行えばよく、演算処理に要する電力の消費を低減し、また演算処理の効率化が可能となる。
請求項8又は請求項21に記載の発明によれば、色の見え指標の適用度合を入力し、入力された適用度合に基づいて画像表示装置を制御するので、動画や文字画像を鑑賞する場合の「見易さを優先させる表示」と、あたかも壁に貼った写真や絵画のような調度類として使用する場合の「周辺との調和を優先させる表示」との切り替えや、ユーザの嗜好に合わせた画像表示が可能となる。例えば、静止画を表示するときは、検知された照明条件に基づいて算出された色の見え指標に基づいて画像表示装置を制御し、ビデオやテレビ放送等の動画を鑑賞するときには、従来の画像表示装置と同じ色再現、輝度により表示することが可能となるので、観察者の要求に合った画像を表示することが可能となる。
請求項9又は請求項22に記載の発明によれば、照明条件に基づいて観察条件パラメータを算出し、算出した観察条件パラメータに基づいて色の見え指標を算出するので、鑑賞時のユーザの嗜好に合わせた画像表示(例えば、「光沢仕上げされた写真風」、「絹目仕上げされた写真風」、「キャンバス地に描かれた絵画風」等)が可能となる。
請求項10又は請求項23に記載の発明によれば、画像表示装置の発光輝度の最大値が、検知した照度と比例するように画像表示装置を制御するので、低輝度照明下(低照度環境下)では、表示画像内容の判別不能レベルまで輝度を落とすことになり、あたかも壁に貼った写真や絵画のような画像の表示を行うことで、観察者は表示装置を調度類として、何ら違和感を覚えることなく鑑賞することが可能となる。
請求項11又は請求項24に記載の発明によれば、入力画像データがシーン参照画像データであるので、当該画像が表示された画像表示装置の鑑賞時に、例えば階調変換、鮮鋭性強調、彩度強調のような、ユーザの嗜好に合わせた意図的な効果を付加して画像を表示することが容易に可能となる。
請求項12又は請求項25に記載の発明によれば、シーン参照画像データは輝度拡張色空間を表すので、例えば階調変換、鮮鋭性強調、彩度強調のような、ユーザの嗜好に合わせた意図的な効果を付加して画像を表示しても、ノイズの極めて少ない画像を表示することが可能となる。
請求項13又は請求項26に記載の発明によれば、CIECAM97s又はCIECAM02で示される「色の見えモデル」に則って色の見え指標を算出するので、広範な刺激強度レベルに対応し、また、星明かりの暗所視レベルから非常に高い明所視レベルまでの広い順応レベルに対応し、種々の観察条件に対応した色再現を行うことが可能となり、観察者は画像表示装置を調度類として、何ら違和感を覚えることなく鑑賞することが可能となる。
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
本発明に係る画像表示装置を図1を用いて説明する。図1は、本発明に係る画像表示装置10の機能的構成を概念的に示すブロック図である。
画像表示装置10は、制御部11、画像表示部12、記憶部13、操作部14、測光部15、人体感知部16、画像データ入力部17等からなり、バス18を介して接続されている。
本発明の表示制御手段に相当する制御部11は、図示しないCPU(中央処理装置)及びワークメモリ等から構成され、記憶部13に記憶されているプログラムをワークメモリに読み出し、当該プログラムに従って画像表示装置10の各部を集中制御する。
また制御部11は、画像データ入力部17又は記憶部13から入力された画像データに基づいて、表示用画像データ及び表示用制御データを出力する。制御部11の詳細については後述する。
なお、本発明において「画像表示手段を制御する」とは、画像表示手段に対して、入力画像データを変換した表示用画像データ及び画像表示手段の制御信号である表示用制御データから選ばれる少なくとも1つを出力することである。
本発明の画像表示手段に相当する画像表示部12は、表示用画像データ並びに表示用制御データの入力に基づいて画像を表示する。具体的には、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、FED(Field Emission Display)等の自己発光型の画像表示素子及びその周辺回路であり、表示方式は如何なるものであってもよい。ただし、絵画などの調度類として用いる場合には、薄型の液晶ディスプレイやプラズマディスプレイを用いることが望ましい。また、画像表示部12が、広い色再現域を有していることが望まれることは言うまでもない。
画像表示部12に表示用の信号が印加されていないときの輝度は、0.1cd/m2以下が望ましく、0.01cd/m2以下がより望ましい。また、表示用データの入力に対して画像表示部12が再現可能な照度のステップ値は、1.0lx以下が望ましく、0.1lx以下がより望ましい。画像表示部12が再現可能な色温度は、少なくともISO8995が規定する中間光色の3300〜5300Kの色温度であることが望ましい。
記憶部13は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−OnlyMemory)等の不揮発性の半導体メモリにより構成され、画像表示装置10で実行可能な各種プログラムや機能に応じた設定内容、入力された画像データを表示用データに変換するためのルックアップテーブル(LUT)などを記憶する。
操作部14は、本発明の色の見え指標の適用度合を入力する適用度合入力手段に相当し、各種操作ボタンを備えている。操作部14は、表示画像を調度類として使用する絵画モードと動画や文字を鑑賞するために表示する通常モードとの切り替えを含む画像表示装置10の各種設定、画像データの再生及び消去等のボタン操作を検出して、操作信号として制御部11に出力する。操作部14は、画像表示装置10とは別体のリモコンとなっていて、電波や赤外線等の無線方式によって操作信号を伝送するようにしてもよい。
測光部15は、本発明の照明条件検知手段に相当し、少なくとも照度と色温度を定量化する機能を備える。具体的には、CCD、C−MOS等の公知の光学センサ及び演算処理装置からなり、撮影時の光源の輝度や照らされているものの表面照度、紫外線の強さ、色温度などを数値で表す計測機器である(色彩)照度計等が知られている。
人体感知部16は、人体から発生される赤外線を検知して人間の存在の有無並びに画像表示装置10から人間までの距離を検知するもので、画像表示装置15の画像表示面前方の一定空間内に人間が存在するか否か及びその距離を検知する。具体的には、公知の赤外線センサ及び演算処理装置からなる。
画像データ入力部17は、例えばUSB端子やIEEE1394端子等で構成された外部入出力端子又はUWB(Ultra Wide Band)無線通信装置、メモリカードアダプタ等であり、他の機器すなわち図示しないデジタルカメラ、パーソナルコンピュータやDVD再生装置等から入力画像データを受信したり、メモリカードに書き込まれた入力画像データを読み出したりする。
ここで、画像表示部12の明るさや色、照明センサ14が検知するの照明条件を示す単位について詳述する。
照度(illuminance)は、微小面に全ての方向から入射する光束の、単位面積当たりの割合である(単位:ルクス(lx)=lm/m2)。すなわち照度は単位面積当たりの入射光束を表す。
輝度(luminance)は、ある方向に向かう光度の、その方向に垂直な面の単位面積当たりの割合で、発光(反射、透過)面の明るさの程度を表す(単位:cd/m2)。すなわち輝度は、単位面積当たりから出る光度であり、方向性をもっている。
色は、光源の三刺激値・色度・相関色温度で表される。三刺激値は、人間の目の分光感度分布を表す等色関数(例えば、CIE2°視野標準観測者(CIE1931等色関数)近似)を用いて算出されるXYZ値である。色度は、XYZ値から、xy色度図上の座標として算出される。色温度(color temperature)は、与えられた放射の色度と等しい色度を持つ黒体の温度のことであり、相関色温度(correlated color temperature)は与えられた放射の色度が黒体放射軌跡上にない場合、分布温度(distribution temperature)は相対分光分布が黒体放射に近似できる場合に用いる(単位:ケルビン(K))。
なお、本発明における照明条件の明るさを表す単位には照度を、画像表示手段の明るさを表す単位には輝度を、そして画像表示手段の色を表す単位には色温度を用いるものとする。
図2は、本発明に係る画像表示装置10の外観を模式的に示す斜視図である。
画像表示装置10は、画像表示素子12a、操作パネル14a、光学センサ15a、人体感知センサ16a、無線アンテナ17a、メモリカードスロット17b、を備え、これらは筐体19に保持されている。
図1の画像表示部12の一部を構成する画像表示素子12aは、画像表示装置10の前面に画像を表示するように設置されており、図1の操作部14の一部を構成する操作パネル14aは、画像表示装置10の前面であって、画像表示素子14aの下方にカバーに覆われた状態で設置されている。
測光部15を構成する光学センサ15aは、画像表示素子12aの画像表示面近傍に設置されている。画像表示素子12aの上下、又は左右の2箇所に設置することが望ましく、上下、左右の4箇所に設置することがより望ましい。このようにすることで、画像表示素子12aの一部に対して特異的に照明条件が異なる場合であっても、当該特異的な照明条件のみで画像表示素子12aが制御されず、観察者にとって違和感を覚えることのない画像表示が可能となる。また、複数箇所に設置する場合の光学センサ15aの配置は、後述する色の見え指標算出手段が必要とする観察条件パラメータの算出に適合する配置であることが望まれることは言うまでもない。
図1の人体感知部16の一部を構成する赤外線センサ16aは、光学センサ15a同様、画像表示装置10の前面に1個設置されている。
無線アンテナ17aは、図1の画像データ入力部17の一部である無線通信装置の一部を構成するもので、筐体19表面に設けられている。
図1の画像データ入力部17の一部を構成するメモリカードスロット17bは、マルチメディアカード(登録商標)、メモリースティック(登録商標)等の図示しないメモリカードが差し込み可能になっており、画像表示装置10の前面に設けられている。メモリカードは、例えば、デジタルカメラで撮像された複数の駒画像データが記録されている。
図1の制御部11の詳細について、図3を用いて説明する。図3は、図1の制御部11の内部構成を示すブロック図である。
制御部11は、観察条件パラメータ算出手段111、色の見え指標算出手段112、表示用データ生成手段113、照明条件変化検出手段115としての機能も有する。
観察条件パラメータ算出手段111は、図1の測光部15から出力された照度や色温度並びに操作部14で設定された画像表示設定等に基づき、順応視野(画像表示素子12aの周辺全体)における白色の3刺激値(Xw、Yw、Zw)、順応視野の平均輝度(LA)、背景(画像表示素子12aの周辺で、画像表示素子12aから10度以内の視野範囲)の相対輝度(Yb)、周辺の条件により決定する定数:c(周辺の影響計数)、Nc(色誘導係数)、FLL(明度コントラスト計数)、F(順応度合計数)等の観察条件パラメータを算出する。
色の見え指標算出手段112は、観察条件パラメータ算出手段111で算出された観察条件パラメータ及び画像データ入力部17や記憶部13から入力された画像データ等に基づき、ある反射記憶媒体上に画像を形成し、測光部15で検知された照明条件下に置かれた場合の、視覚的な見えを予測し、色相角(h)、色相成分(H)、明るさ(Q)、明度(J)、飽和度(s)、クロマ(c)、カラフルネス(M)等の色の見え指標を算出する。
なお、本発明において、「色の見え指標を算出する」とは、照明条件と、入力画像データとから、仮に反射記憶媒体上において前記入力画像データに基づく画像を形成し、前記照明条件下に置かれた場合の、視覚的な見えを、所定の「色の見えモデル」を用いて予測(「シミュレート」)演算することである。
「色の見えを予測する」とは、人間の目の視覚特性を考慮した色再現を意図したものであり、色の見えを予測した結果を「色の見えを表す指標」として算出し、算出した指標に従って、「画像処理」や「表示制御」を行うことはその一例に過ぎない。人間の目の視覚特性は、様々な環境変化に応じて変動するなど非常に複雑なものであるが、本発明の実施に際しては、少しでも多くの視覚特性を再現できる態様とすることが望ましい。
「色の見えモデル」とは、種々の観察条件下における「色の見え」を予測することが可能なモデルである。より具体的には、照明条件から、観察条件パラメータを算出する変換を行い、指定の観察条件下における「色の見え指標」を算出する。このような「色の見えモデル」としては、国際照明委員会(CIE)によって標準モデルとして勧告されたCIECAM97sがよく用いられている。また、CIECAM97sの発表後、さらに改良が続けられ、CIECAM02が間もなく勧告されようとしており、CIECAM97s又はCIECAM02が好ましく用いられる。
「色の見えモデル」には、上記モデル以外にも、納谷モデル、Huntモデル、RLabモデル、LLabモデルなど、いくつも発表されている。これらのモデルは、同様に本発明に適用できる。
なお、色の見え指標の算出は、入力画像データの一部、例えば最も明るい領域や、最も暗い領域などに対してのみ算出するものであってもよく、この場合は制御部11の演算処理負荷が軽減されるので、素早い表示切り替えや消費電力が低減できる点で好ましい。
表示用画像データ生成手段113は、色の見え指標算出手段112で算出された色の見え指標及び画像データ入力部17や記憶部13から入力された画像データ等に基づき、画像表示部12が有する色空間に合わせて変換された色のRGB値を出力する。
本発明において「表示用画像データ」とは、入力画像データと類似の表現体系を有するデータであり、例えば入力画像データがsRGB色空間やscRGB色空間のRGB値であれば、表示用画像データはsRGB色空間のRGB値である。
したがって、本発明において表示用画像データの生成とは、本発明の画像表示装置の特性(例えば「色域」)に応じて定義されたルックアップテーブル(LUT)による信号変換処理を施すことと同義であり、従来から知られている手法である。なお、前記LUTの仕様に応じて、色の見え指標生成工程で算出された「色の見え指標」である「色相」、「明度」、及び「彩度」から、LUT用の入力値に変換処理を施す必要がある。
なお、本発明において「画像表示手段を制御する」こと、すなわち表示制御とは、画像表示手段に対して前記表示用画像データ及び後述する表示用制御データのうち少なくとも一方を出力することを表す。
また、本発明の表示制御は、画像表示手段の画像表示領域全面に対して行われるものであっても、一部の領域に対して行われるものあってもよい。
照明条件変化検出手段115は、図1の測光部15から出力された照度や色温度等が、前に観察条件パラメータ算出手段111が観察条件パラメータ算出を行ったときと比べて変化しているか否かを検出するものであり、具体的には観察条件パラメータ算出手段111で算出された観察条件パラメータと、記憶部13に記憶された、前に算出された観察条件パラメータとを比較し、その差が予め定めた閾値以内であるか否かを判断する。
図1の操作部14による本発明に係る画像表示装置10の設定について、図4を用いて説明する。図4は、画像表示装置10の画像表示部12に表示された表示設定画面の一例を示す図である。
画像表示モードの設定時に画像表示手段12に表示される表示設定画面140は、家具モードスイッチ141、適用度合スイッチ142、再現種類スイッチ143、調和サイクルチェックスイッチ144、節電スイッチ145からなる。表示設定画面140は、操作部14の操作と連動して表示が切り替わり、表示設定として図1の記憶部13に記憶される。
家具モードスイッチ141は、画像表示装置10をあたかも壁に貼った絵画や写真のように使用するか、動画や文字を表示させるモニタとして使用するかを切り替えるスイッチである。「入」ボタン141aは、壁に貼った絵画や写真のように使用する場合に選択され、「切」ボタン141bは、動画や文字を表示させるモニタとして使用する場合に選択され、「自動」ボタン141cは、入力画像データを判別して、静止画である場合は「入」に、動画や文字画像である場合は「切」に、自動的に切り替える場合に選択される。図4では、「入」ボタン141aが選択されている。なお、以下に説明する適用度合スイッチ142、再現種類スイッチ143、調和サイクルチェックスイッチ144は、家具モードスイッチ141において「入」又は「自動」が選択された場合に有効となるものである。
適用度合スイッチ142は、本発明の色の見え指標を画像表示装置10の画像表示制御にどの程度適用するかの度合を設定するスイッチで、スライドバー142a上にポインタ142bを移動させて、5段階で選択するものである。「調和する」側に近いほど、色の見え指標を適用する度合が高く、「見やすい」側に近いほど、色の見え指標を適用する度合が低い。図4では、色の見え指標を100%適用する「調和する」にポインタ142bが選択されている。
再現種類スイッチ143は、本発明の色の見え指標を算出及び画像表示を制御するに当たり、想定する反射支持体の種類を選択するスイッチである。「写真プリント(グロス)」ボタン143aは、光沢仕上げのカラープリントを想定する場合に選択され、「写真プリント(マット)」ボタン143bは、つや消し仕上げのカラープリントを想定する場合に選択され、「絵画」ボタン143cは、キャンバス地や紙に描かれた絵画を想定する場合に選択され、「壁紙」ボタン143dは、画像表示装置10が掲示されている部屋の壁紙を想定する場合に選択される。図4では、「写真プリント(マット)」が選択されている。
調和チェックサイクルスイッチ144は、図1の測光部15により画像表示装置10の置かれた照明条件を検知、本発明の色の見え指標の算出、画像表示を制御する間隔を設定するスイッチで、スライドバー144a上にポインタ144bを移動させて、5段階で選択するものである。「常時」は、照明条件の検知を常時行い、「チェックしない」は一度検知された照明条件で色の見え指標を算出するものである。そして、「常時」に近いほど照明条件を検知するインターバルは短く、「チェックしない」に近いほどインターバルは長い。図4では、照明条件を検知するインターバルは「1分おき」にポインタ144bが選択されている。調和チェックサイクルスイッチ144を設けることにより、色の見え指標算出や画像表示制御で制御部11が消費する電力を極力低減した上で、画像表示装置10を調度類として、何ら違和感を覚えることなく鑑賞することが可能となる。
節電スイッチ145は、画像表示装置10の節電を行うか否かを切り替えるスイッチである。「する」ボタン145aは、画像表示装置10の節電を行う場合に選択され、図1の人体感知部16で人体を検知できない場合には、照明条件の検知を行わなかったり、画像表示手段12の表示を行わないようにし、人体を検知した場合に画像表示制御を再開する。「しない」ボタン145bは、人体感知部16の検知結果に関係なく、画像表示の制御を行うものである。節電スイッチ145を設けることにより、画像表示装置10の消費電力を低減することができる。図4では「する」が選択されている。
図1の記憶部13について、図5を用いて説明する。図5は、図1の記憶部13の内部構成を示すブロック図である。
記憶部13は、観察条件パラメータ記憶手段131、表示用画像データ記憶手段132、表示用制御データ記憶手段133としての機能を有し、必要に応じてデータの書き込み又は読み出を行う。
観察条件パラメータ記憶手段131は、図3の観察条件パラメータ算出手段111が観察条件パラメータを算出するために、図1の測光部15で検知された照度及び色温度、図1の人体感知部16で検知された画像表示装置10から人間までの距離並びに図4で説明したように図1の操作部14で設定した各種画像表示設定と予め対応付けられた、観察条件パラメータ(例えば、順応視野における白色の3刺激値Xw、Yw、Zw、順応視野の平均輝度LA、背景の相対輝度Yb、周辺の条件により決定する定数c、Nc、FLL、F等)を記憶している。
表示用画像データ記憶手段132は、図3の表示用画像データ生成手段113で生成された表示用画像データを記憶する。
表示用制御データ記憶手段133は、図3の表示用制御データ生成手段114で生成された表示用制御データを記憶する。
本発明の画像表示装置の動作について、図6を用いて説明する。図6は、図1の画像表示装置10における画像表示処理を表すフローチャートである。
なお、図6のフローチャートは、画像表示装置10の電源は投入された状態であり、操作部14によって図4に示した表示設定がされ、表示する静止画の入力画像データが選択された状態からのものである。
ステップS101では、画像データ入力部17により入力画像データが読み出された後、入力画像データに予め付加されたタグ情報の解析が行われる(画像データ読み出工程及びタグ情報解析工程)。
タグ情報は、例えば、デジタルスチルカメラ用画像ファイルフォーマット規格(Exchangeable image file format for digital still cameras:Exif)に規程されるタグ情報の形式で、撮影条件に関するタグ(例えば光源(LightSource)タグ、Flashタグ、被写体位置(SubjectLocation)タグ、被写体領域(SubjectArea)タグ等)や、入力画像データが色の見え指標に基づいて生成されたか否か、すなわち家具モードで処理済みの画像データであるか否かを判別するための画像処理(CustomRendered)タグが付属情報として入力画像データの一部に記録されている。
ステップS102では、入力画像データの階調変換処理が行われる(階調変換処理工程又はシーン参照画像生成工程)。具体的には、入力画像データのscRGB色空間をsRGB色空間へと階調変換処理する。入力画像データの階調変換処理には、例えば入力画像データから算出される明度や彩度のヒストグラム解析といった入力画像データの解析も含んでいる。
ステップ103では、図1の操作部14によって図4の家具モードスイッチ141が「入」又は「自動」になっているか否か、すなわち表示画像を調度類として使用する家具モードが選択されているか否かが判断される。家具モードが選択されている場合(ステップS103:YES)、ステップS104の処理が実行され、家具モードが選択されていない場合(ステップS103:NO)、すなわち動画や文字を鑑賞するために表示する通常モードが選択されている場合はステップS113の処理が実行される。
ステップS104では、ステップS101で実行されたタグ情報の解析において、当該入力画像データが既に家具モードで処理されたことを表すタグ情報が付与されていたか否か、すなわち入力画像データが家具モードで処理されたものであるか否かが判断される。家具モードで処理されたものであると判断された場合(ステップS104;YES)、ステップS113の処理が実行され、家具モードで処理されたものでないと判断された場合(ステップS104;NO)、ステップS105の処理が実行される。
ステップS105では、図1の測光部15により、画像表示装置10の照明条件として照度と色温度の検知が行われる(照明条件検知工程)。
ステップS106では、ステップS105で検知された照明条件に基づいて、図3の観察条件パラメータ算出手段111により、観察条件パラメータの算出が行われる(観察条件パラメータ算出工程)。
ステップS107では、図3の照明条件変化検出手段115により、ステップS106で算出された観察条件パラメータが、前に観察条件パラメータ算出を行ったときと比べて変化しているか否かが判断される(照明条件変化検出工程)。具体的にはステップS106で算出された観察条件パラメータと、図1の記憶部13に記憶された、前に算出された観察条件パラメータとを比較し、その差が予め定めた閾値以内であるか否かによって判断される。観察条件パラメータが変化していると判断されると(ステップS107;YES)、ステップS108の処理が実行され、観察条件パラメータが変化していないと判断されると(ステップS107;NO)、ステップS111の処理が実行される。
ステップS108では、ステップS101で読み出された入力画像データ及びステップS106で算出された観察条件パラメータとに基づき、図3の色の見え指標算出手段112により、色の見え指標が算出される(色の見え指標算出工程)。
ステップS109では、ステップS108で算出された色の見え指標に基づいて、図3の表示用画像データ生成手段113により表示用画像データが作成される(表示用画像データ生成工程)。
ステップS110では、ステップS109で生成された表示用画像データ又は既に家具モードで処理済みの入力画像データが、観察条件パラメータと対応付けて、図5の表示用画像データ記憶手段132に書き込まれる(記憶工程)。
ステップS111では、入力画像データが、前に入力画像データに基づく画像表示を行ったときと比べて変化しているか否かが判断される。入力画像データが変化していると判断されると(ステップS111;YES)、ステップS108の処理が実行され、入力画像データが変化していないと判断されると(ステップS111;NO)、ステップS112の処理が実行される。
ステップS112では、図5の表示用画像データ記憶手段132に記憶された表示用画像データを読み出す(表示用データ読み出工程)。
ステップS113では、ステップS109で生成され或いはステップS112で読み出された表示用画像データ又はステップS102で階調変換された入力画像データが画像表示部12に出力され、画像表示部12で静止画が表示され、処理を終了する(表示用データ出力工程)。
図6のステップS102における入力画像データの解析処理について詳細に説明するが、その前に本発明の入力画像データについて詳述する。
入力画像データの解析処理の前提となる本発明の「入力画像データ」の一例としては、被写体情報を電気的な信号値として保持したデジタル画像データである。カラー写真フィルムに色素画像情報として記録され、スキャナによる読み取りで生成されたデジタル画像データや、デジタルカメラによる撮影で生成されたデジタル画像データなど、デジタル画像データを得るまでのプロセスは如何なるものであってもよい。
ただし、カラーネガフィルムから、スキャナによる読み取りでデジタル画像データを生成する際は、カラーネガフィルムの未露光部(最低濃度部)がデジタル画像データのRGB値が全て0となるよう最大透過光量の較正と反転処理を施し、透過光量に正比例したスケールから対数(濃度)スケールへの変換処理と、カラーネガフィルムのガンマ補正処理を施すことにより、被写体の輝度変化に対しほぼ比例した状態を再現しておくことが望ましい。
また、デジタルカメラによる撮影で得られたデジタル画像データにおいても同様に、被写体の輝度変化に対しほぼ比例した状態を再現していることが望ましい。このような状態で保存されたデジタル画像データのファイル形式としては、RAWデータ(CCD(Charge Coupled Device)が受光した生データ)が知られている。すなわち、本発明において、入力画像データは、RAWデータであることが望ましい。また、被写体の輝度変化に対しほぼ比例した状態で記録されたファイル形式として、後述の「シーン参照画像データ」も知られている。さらに、後述の「鑑賞画像参照データ」を入力画像データとして用いることもできる。さらに、美術品など忠実な再現が要求される場合、シーン参照画像データ、鑑賞画像参照データの色空間は、「輝度拡張色空間」(例えば、scRGB)であることが望ましい。
以下、シーン参照画像データ及び鑑賞画像参照データについて説明する。
一般の撮影シーンは、照明のムラが多く、輝度比が1000倍を超えることも珍しくない(例えば、日本色彩学会編 色彩科学ハンドブック第2版,東京大学出版会,p925−926(1998))。これに対して、各種メディアが表示可能なる輝度比は100倍オーダーである。必然的に写真階調はシーン階調と異なることになり、100倍オーダーの輝度比のメディア上で、1000倍オーダーの輝度比のシーンの印象をいかに適切に演出するかが写真設計の基本である。
このシーン階調から写真階調への変換は、シーンの状態(構図内の輝度比、主要被写体の輝度等)により適切なマッピング条件が異なり、一律に決定することができない。そこで銀塩写真の場合には下記のアーキテクチャが採用されている。
[設計1]ネガフィルムは、数千倍オーダーの輝度比に応じてリニアに濃度が変化する軟調設計にする。これにより、シーンの輝度情報は漏れなくネガフィルムに記録される。
[設計2]上記の軟調なネガフィルム画像を、硬調な印画紙に焼き付けることで、鑑賞に適した階調とする。焼き付け露光量を調節することで、幅広いシーン輝度のどこを中心に写真階調を再現するかを選択する。
設計2では、ネガフィルム画像をプリンタが自動解析することで適切な条件を算出している。この算出結果が撮影の意図と合致しなかった場合、ユーザがその旨を指摘して「焼き直し」をすれば、適切な写真を作成することができる。ユーザの指摘としては、例えば、風景描写を優先したプリントに対して、日陰の人物を重視したいと指摘する等の例が挙げられる。
リバーサルフィルムの場合、フィルム現像で直接鑑賞用画像を生成するため、設計1のような軟調設計ができない。よって、リバーサルフィルムは記録可能な輝度比の幅が狭く、適正な画像を撮影するためには、撮影時に撮影条件(照明、絞り、シャッター)を慎重に設定する必要があり、撮影後に「焼き直し」等で修正することはできない。このため、リバーサルフィルムはプロ・ハイエンドアマチュア専用の商品として販売されている。このように、銀塩写真におけるネガフィルムとポジフィルムは、ネガ・ポジの階調差以外に、画像データの性質が異なっていると言える。
このような観点でデジタルカメラと銀塩写真のアーキテクチャを比較すると、一般用の(sRGBの可視画像ファイルを生成する)デジタルカメラの機構は、リバーサルフィルムの機構に相当する。すなわち、幅広いシーン輝度のどこを中心に写真階調を再現するかは、露出制御プログラムの精度に依存しており、撮影後に修正することはできない。一方、プロユーザは、RAWデータを記録するデジタルカメラを利用し、撮影後に現像ソフトでシーン輝度のどこを中心に写真階調を再現するかを指定している。この方法はネガフィルムの機構に相当する。このように、一般用のデジタルカメラによる撮影で生成されるsRGB画像とRAWデータでは、画像データの性質が異なっていると言える。
こうした画像データの性質の違いは、画像データのレンダリング状態の差異に起因するものであり、この「画像データのレンダリング状態」を示す概念として「Image State」という用語が用いられている。Image State の詳細な定義は、例えば、下記の文献に示されている。
「Requirements for Unambiguous Specification of a Color Encoding ISO22028−1」,Kevin Spaulding,in Proc. Tenth Color Imaging Conference:Color Science and Engineering Systems,Technologies,Applications,IS&T,Springfield,VA,p.106−111(2002)。
Image Stateの種類を示す用語として、「scene−referred」及び「output−referred」がある。「scene−referred」とは、風景シーンの色度評価値を表現した状態を意味し、例えば、デジタルカメラのRAWデータに分光感度等の較正のみを施し、意図的な強調を加えていない画像の状態に相当する。シーン参照画像データは、シーンの色度評価値を相対的に表現したものであるが、付加的なスケール情報をも参照することで絶対的な色度評価値に換算することも可能である。スケール情報としては、OECF(光電変換特性、ISO14524で定義)、絞りのFナンバー、露光時間が挙げられる。「output−referred」とは、特定の出力機器、観察条件に対して適切な表現にレンダリングされた状態を意味する。例えば、一般的なデジタルカメラが生成するJPEG画像はディスプレイ表示に最適化されているので「鑑賞画像参照データ」に該当する。
本発明における「シーン参照画像データ」とは、scene−referredのimage stateに属する画像データの一種であり、特に記録された画素の輝度値とシーン輝度の関係が実質的に一次直線の関係にあるものを意味している。また、「鑑賞画像参照データ」とは、output−referredのimage stateに属する画像データを意味している。
まとめると、「シーン参照画像データ」とは、少なくとも撮像素子自体の分光感度に基づく各色チャンネルの信号強度を、RIMM RGB、ERIMM RGB、scRGB等の色空間(後述の「輝度拡張色空間」)にマッピング済みであり、階調変換、鮮鋭性強調、彩度強調のような画像鑑賞時の効果を向上するためにデータ内容を改変する画像処理が省略された状態の画像データを意味する。またシーン参照画像データは、撮像装置の光電変換特性(ISO1452が定義するopto−electronic conversion function, 例えば、コロナ社「ファインイメージングとデジタル写真」(社)日本写真学会出版委員会編、479頁参照。)の補正を行ったものであることが好ましい。標準化されたシーン参照画像データの情報量(例えば階調数)はA/D変換器の性能に準じ、鑑賞画像参照データで必要とされる情報量(例えば階調数)と同等以上であることが好ましい。例えば、鑑賞画像参照データの階調数が1チャンネルあたり8bitである場合、シーン参照画像データの階調数は12bit以上が好ましく、14bit以上がより好ましく、16bit以上がさらに好ましい。
以下、「輝度拡張色空間」について、詳細に説明する。
現在デジタルカメラ画像で普遍的に用いられているsRGB色空間は、IEC(International Electrotechnical Commission)によりIEC61966−2−1として規格定義されている。例えば、8bitの場合、黒色点は8bitの最小値である0、白色点は8bitの最高値である255と規定され、かつ画像データを表示、印刷するときのガンマは2.2と規定されている。ここで白色点とは何を指すのかが問題になる。白色点としては[1]表示・印刷する際のメディアの白地、[2]撮影シーンにおける完全拡散反射板の白地、[3]撮影シーンにおける輝度最大値(鏡面反射や発光部を含む。)の3通りが考えられるが、現在市場にある表示デバイス・プリンタ・画像関連のアプリケーションソフトウエアは、上記[1]を白色点とみなして稼動している。
デジタルカメラでの撮影により得られたRAWデータを鑑賞画像参照データ(output−referred)に変換する際には、表示・印刷の際に白色表示したいシーン輝度に白色点を割りつけるが、この場合、[2]や[3]の領域が該白色点より撮影輝度値が高いことが多く、白色点以上の画素値は記録できないため、該領域を白く塗りつぶすことになる。しかしながら、デジタルカメラの露光調整は万能ではないため、後で画像を調整する必要が生じる。例えば、額や鼻で光が反射して、顔の中に白ヌケが発生している場合が例として挙げられる。ところが、sRGB色空間で記録した画像では、該領域は白(8bitの場合255)でクリッピングされており、該領域の撮影情報は失われているため、これを修正することができない。こうした問題を避けるために、上記[3]を白色点としてデータ記録することが考えられるが、表示デバイス・プリンタ・画像関連のアプリケーションソフトウエアは該白色点を[1]として扱うため、こうした画像は暗く軟調に表示・プリントされて鑑賞に適さない。
こうした問題に対応するため、白色点を超える輝度値の記録を可能にした色空間が提案されている。例えば、IEC61966−2−2が規定するscRGB、scRGB−nl、scYCC−nlや、ANSI/I3A IT10.7466が規定するRIMM RGB、ERIMM RGBが例として挙げられる。本明細書では、こうした色空間を輝度拡張色空間と総称する。
16bitのscRGB色空間を例にとって説明する。CIE1931XYZ空間での測色値を、黒色点を0、白色点を1で規格化した値をX、Y、Zとすると、scRGBのR、G、B値は式(1)のように定義される。
Figure 2005300639
Figure 2005300639
逆に、scRGBのR、G、B値からX、Y、Z値へは、式(3)及び式(4)のように変換することができる。
Figure 2005300639
Figure 2005300639
式(1)において、R’、G’、B’は、整数に量子化されない浮動少数点での値を示す。上記の定義により、黒色点の(R’、G’、B’)は(0、0、0)となり、その16bit表現(R、G、B)は(4096、4096、4096)となる。またD65白色点での(R’、G’、B’)は(1、1、1)となり、その16bit表現(R、G、B)は(12288、12288、12288)となる。16bit表現においては、0から4095までが黒色点以下の輝度、4096から12288までが黒色点以上白色点以下の輝度、12289から65535までが白色点を超える輝度に相当し、黒色点を0.0、白色点を1.0で規格化した値において−0.5から7.4999の輝度範囲を表現することができる。
式(2)は、色空間を16bitの符号無し整数で表現するための変換であり、画像処理装置で浮動少数点を高速に処理できる場合は、式(1)で定義される浮動少数点値(R’、G’、B’)を内部演算で用いてもよい。この(R’、G’、B’)値は、輝度に対して比例関係にあるために画像処理の演算式が簡単になり、浮動少数点処理が許される場合の本発明の内部演算としては好ましい形態である。
なお、scRGBは輝度値と一次式の関係にある整数を記録するため、ファイルに記録したときのサイズが大きくなる。そこで、記憶部13に記憶したり、他の画像処理装置・表示装置・プリンタにデータを送ったりする際には、scRGBより小さいサイズで記録できる輝度拡張色空間にデータを変換してもよい。こうした色空間としては、IEC61966−2−2 Annex B が規定するscRGB−nl, scYCC−nl や、ANSI/I3A が規定するRIMM RGBが挙げられる。逆にデータサイズが問題にならない場合は、整数値のscRGBの代わりに、浮動少数点表記のデータをファイルに記録したり、他の画像処理装置、表示装置、プリンタにデータ転送する形態も考えられる。このように具体的な輝度拡張色空間の選択は、本発明を適用する装置の仕様に基づき任意に決めることができる。
本発明では、入力画像データの色空間は、輝度拡張色空間へと変換されたものが望ましい。また、輝度拡張色空間は、scRGBであることが望ましい。また、本発明において、輝度拡張色空間の状態を保持したまま色域調整工程を実行することが望ましい。さらに、出力される鑑賞画像参照データのファイル形式も輝度拡張色空間であることが望ましい。
図6のステップS102における入力画像データの解析処理について図7を用いて説明する。図7は、図6のステップS102における入力画像データの解析処理を表すフローチャートである。
ステップS1201では、入力画像データの解析が行われる。
入力画像データの解析では、例えば、入力画像データの画素毎の色相値と明度値を取得し、所定の明度領域が入力画像の画面内に占める割合すなわち明度領域毎の占有率や、所定の色相及び明度の組み合わせからなる分割領域が入力画像の画面内に占める割合すなわち分割領域毎の占有率が算出される。
ステップS1202では、図6に示したステップS101で解析したタグ情報及びステップS1201での入力画像データの解析結果に基づいて撮影シーンの推定が行われ、例えば、撮影シーンが、逆光シーン、半逆光シーン、ストロボ撮影、ストロボ近接撮影、通常シーンのいずれかに推定される。
ステップS1203では、ステップS1202で推定した撮影シーンに基づき、「黒色飽和点」、「白色飽和点」及び入力画像データに適用する「階調変換曲線の種類」が決定される。ステップS1203の処理は、いわゆる階調マッピング処理の一部であり、輝度拡張色空間で表される入力画像データの輝度域の一部を、画像表示装置用の再現輝度域として制限された「基準色空間」、具体的には、sRGB色空間に割り当てる。すなわち、8bitの画像データ(0〜255)の場合、黒色飽和点は、sRGB空間における0に該当し、白色飽和点は、sRGB空間における255に該当する。
階調変換曲線の決定は、ステップS1202で推定された撮影シーン毎に階調変換曲線をその都度作り変えることで行ってもよいし、例えば図8に示すように予め階調変換曲線81〜85を複数用意しておき、推定された撮影シーンに応じて階調変換曲線を選択し適用するものであってもよい。図8においては、撮影シーンに応じて得られる入力画像データの平均入力値C1〜C5が、それぞれ変換目標値Bになるように階調変換曲線が選択され適用される。
ステップS1204では、ステップS1203で決定された階調変換曲線が入力画像データに適用(階調マッピング処理)されることによって、入力画像データに階調変換処理が施され、処理を終了する。
以上、説明した入力画像データの解析処理により、画像が表示された画像表示装置の鑑賞時に、例えば階調変換、鮮鋭性強調、彩度強調のような、ユーザの嗜好に合わせた意図的な効果を付加して画像を表示することが容易に可能となる。
図6のステップS103における観察条件パラメータ算出処理について説明する。
観察条件パラメータは、図6のステップS108における色の見え指標算出処理で使用する第1観察パラメータと、ステップS109の表示用画像データ生成処理で使用する第2観察パラメータとを含み、いずれも、図3の観察条件パラメータ算出手段111により、所定の演算式により算出されるか、図5に示した観察条件パラメータ記憶手段131に予め記憶されたパラメータが読み出されることによって算出される。
第1観察条件パラメータは、下記からなり、主に図6のステップS105で検知された照度と色温度及び図4の再現種類スイッチ143で選択された再現種類によって変動する。
(1)順応視野における白色の3刺激値:Xw、Yw、Zw
(2)順応視野の平均輝度:LA
(3)背景の相対輝度:Yb
(4)周辺の条件により決定する定数:c、Nc、FLL、F
順応視野における白色の3刺激値Xw、Yw、Zwは、順応視野(画像表示装置10の画像表示部12を鑑賞したときの視野全域)、すなわち画像表示装置10の設置された場所における白色の3刺激値であり、図6のステップS105で検出された照度と色温度とに基づき算出される。
順応視野の平均輝度LAは、すなわち画像表示装置10の設置された場所における物体の平均輝度であるが、画像表示装置10の筐体19の色や材質に予め対応付けられて観察条件パラメータ記憶手段131に記憶された定数と、Xw、Yw、Zwと、図1に示した人体感知部16で検知された観察者と画像表示装置10との距離とLAとに基づき算出される。すなわち、観察者と画像表示装置10との距離が近ければ、当該照明条件における筐体19の輝度に近い値となり、観察者と画像表示装置10との距離が遠ければ、画像表示装置10が設置された背景となる壁面の輝度に近い値となる。したがって、より好ましくは、画像表示装置10が設置された背景となる壁面の色や材質に予め対応付けられた定数がLAの算出に用いられる。
背景の相対輝度Ybは、10度視野(腕を伸ばして握り拳で隠れる範囲)の、画像表示部12に対する輝度の相対値であり、LAに基づき算出される。
周辺の条件により決定する定数c、Nc、FLL、Fは、画像表示部12で表示される白色の輝度と画像表示装置10の周囲にある白色の輝度との比率から求められるCIECAM97sで規定された定数で、図4に示した再現種類スイッチ143で選択された再現種類、図6のステップS105で検出された照度及び色温度に基づき、これらに対応付けられて予め観察条件パラメータ記憶手段131に記憶されたパラメータが選択される。
第2観察条件パラメータは、下記からなる。第2観察条件パラメータは、主に図6のステップS105で検知された照度と色温度によって変動するもので、画像表示装置10の画像表示部12固有のパラメータとなる点を除いては第1観察条件パラメータと同様なので説明を省略する。
(1)順応視野における白色の3刺激値:Xw’、Yw’、Zw’
(2)順応視野の平均輝度:LA’
(3)背景の相対輝度:Yb’
(4)周辺の条件により決定する定数:c’、Nc’、FLL’、F’
図6のステップS108における色の見え指標の算出処理の詳細について説明する。本発明において色の見え指標の算出は、「色の見えモデル」による正変換処理に相当する。
以下、色の見えモデルとしてCIECAM97sが適用された場合について図9を用いて説明する。図9は、図6のステップS108における色の見え指標算出処理を示すフロー図である。
なお、色の見え指標の算出処理は、図6のステップS101で読み出された入力画像データを表す色空間の全域において行われることが、正確な色の見え予測を行う上で好ましいが、その処理量は膨大なものとなるので、例えば数十〜数千の代表点を予め定めておいて、それらの代表点について色の見えを予測したり、入力画像データのうち、予め定めた閾値よりも大きな値を有する色のみ或いは小さな値を有する色のみ対象として色の見えを予測することが、迅速な処理が行われる上で好ましい。
ステップS1081で、入力画像データの各画素のRGB値が、色の3刺激値XYZに変換される。画像データがscRGBで記載されている場合は、RGB値は、次式により色の3刺激値X、Y,Zに変換される。
Figure 2005300639
また、sRGBの場合は、RGB値は、次式により色の3刺激値X、Y,Zに変換される。
Figure 2005300639
Figure 2005300639
Figure 2005300639
Figure 2005300639
また、RAWデータの場合は、デジタルカメラの特性を記述したICCプロファイルを用いて変換される。具体的には、プロファイル内に記述されている、3×3マトリックス情報を用いて、上記と同様の変換が実行される。
次に、ステップS1082で、図6のステップS106で算出された第1観察条件パラメータから、後の計算で使用する以下の値を計算する。
Figure 2005300639
次に、ステップS1083で、画像データに対して色順応変換が行われる。色順応変換は、フォンクリースタイプの色順応変換を改良したもので、観察条件下での白色に対する順応度合いが考慮されている。まず、次式により、X、Y、Zが
Figure 2005300639
に変換される(以下、文章中では、それぞれ、R1、G1、B1と表現する。)。
Figure 2005300639
ここで、変換マトリックスMBとして、以下を使用する。
Figure 2005300639
上記のようにして変換したR1、G1、B1から、次式によって色順応変換した応答、Rc、Gc、Bcが算出される。
Figure 2005300639
ここでRw、Gw、Bwは、順応白色の3刺激値をマトリックスMBによって変換したものである。
次に、ステップS1084で、色順応処理が施された画像データが、人間の視覚系のセンサに相当する錐体の応答R’、G’、B’に変換される。まず、次式に示すように、マトリックスMBによる変換の逆変換が行われ、それからHunt−Pointer−Estevez変換と呼ばれる3×3マトリックスがかけられる。
Figure 2005300639
次に、ステップS1085で、錐体応答に変換された画像データに対し、視覚系の非線形応答に対応した以下の変換が行われる。
Figure 2005300639
最後に、ステップS1086で、色の見えを予測する数値、色相角:h、明度:J、クロマ:Cが、それぞれ下記の式に従って算出される。
Figure 2005300639
1、h2、e1、e2については、以下の表から検索される。h<h1の場合はh’=h+360、それ以外はh’=hとし、表1でhi≦h’<hi+1を満たすiを求め、h1=hi、h2=hi+1、e1=ei、e2=ei+1として使用される。
Figure 2005300639
なお、色の見えモデルとして、CIECAM02を使用する場合、ステップS1082以後の処理を以下のように入れ替える。
ステップS1082で、第1観察条件パラメータから、後の計算で使用する以下の値が計算される。
Figure 2005300639
次に、ステップS1083で、画像データに対して色順応変換を施される。色順応変換は、フォンクリースタイプの色順応変換を改良したもので、観察条件下での白色に対する順応度合いが考慮されている。まず、次式により、X、Y、ZがR1、G1、B1に変換される。
Figure 2005300639
ここで、変換マトリックスMCAT02として、以下が使用される。
Figure 2005300639
次いで、変換されたR1、G1、B1から、次式によって色順応変換した応答、Rc、Gc、Bcが算出される。
Figure 2005300639
ここでRw、Gw、Bwは、順応白色の3刺激値をマトリックスMCAT02によって変換されたものである。
次に、ステップS1084で、色順応処理が施された画像データが、人間の視覚系のセンサに相当する錐体の応答R’、G’、B’に変換される。まず、変換マトリックスMCAT02による変換の逆変換が行われ、それからHunt−Pointer−Estevez変換と呼ばれる3×3マトリックスがかけられる。
Figure 2005300639
次に、ステップS1085で、錐体応答に変換された画像データに対し、視覚系の非線形応答に対応した以下の変換が施される。
Figure 2005300639
最後に、ステップS1086で、色の見えを予測する数値、色相角:h、明度:J、クロマ:Cが、それぞれ以下の式に従って算出される。
Figure 2005300639
以上の変換により、入力画像データのRGB値は、「色の見え」を表した色の見え指標J、C、hの値となる。

図4のステップS111における表示用画像データ生成処理の詳細について説明する。本発明において表示用画像データの生成は、「色の見えモデル」による逆変換処理である。
以下、色の見えモデルとしてCIECAM97sが適用された場合について図10を用いて説明する。図10は、図6のステップS109における表示用画像データ生成処理を示すフロー図である。
まず、ステップS1111において、図6のステップS106で算出された第2観察条件パラメータ、Xw’、Yw’、Zw’、LA’、Yb’、c’、Nc’、FLL’、F’から下記変数が算出される。
Figure 2005300639
また、図9のステップS1083〜S1086の演算がXw’、Yw’、Zw’に適用され、Aw’が算出される。
次に、ステップS1112で、色の見えを表すパラメータJ、C、hから非線形応答値Ra’、Ga’、Ba’が算出される。まず、J、Cから、以下の式によりAとsが求められる。
Figure 2005300639
次に、以下の式によりa、bが求められる。
Figure 2005300639
ここで、[1+tan2(h)]1/2の計算においては、hの値によって結果を以下の符号とする。
Figure 2005300639
1、h2、e1、e2については、以下の表から検索される。h<h1の場合はh’=h+360、それ以外はh’=hとし、表2でhi≦h’<hi+1を満たすiが求められ、h1=hi、h2=hi+1、e1=ei、e2=ei+1として使用される。
Figure 2005300639
Ra’、Ga’、Ba’は、以下の式から算出される。
Figure 2005300639
次に、ステップS1113で、非線形応答値Ra’、Ga’、Ba’が逆変換され、錐体応答R’、G’、B’が求められる。
Figure 2005300639
ここで、Ra’−1<0の場合は、次式を使用する。Ga’、Ba’についても同様である。
Figure 2005300639
さらに、ステップS1114で、錐体応答が逆変換され、RcY、GcY、BcYが算出される。
Figure 2005300639
次に、ステップS1115で、色順応逆変換が行われ、測色値に戻される。
はじめに、次式によってYcが算出される。
Figure 2005300639
次に、次式によって、(Y/Yc)R、(Y/Yc)G、(Y/Yc)1/pBが算出される。
Figure 2005300639
ここで、(Y/Yc)<0の場合は、(Y/Yc)1/pBの値を負にする。
次に、次式によってY’が算出される。
Figure 2005300639
3刺激値X’’、Y’’、Z’’は、次式によって算出される。
Figure 2005300639
以上で、色の見えを表す値と、第2の観察環境パラメータから、該環境で指定された見えに相当する色の3刺激値X、Y、Zが算出された。この値は、ステップS1116で、出力機器の色空間に変換されて出力される。具体的には、モニタ・プリンタの特性を記述したICCプロファイルに記述されている3×3マトリックス情報若しくは3次元ルックアップテーブルを用いて変換される。
なお、色の見えモデルとしてCIECAM02を用いた場合の逆変換は、以下のようになる。
まず、ステップS1111で、第2観察条件パラメータから下記変数が算出される。
Figure 2005300639
また、順応視野における白色の3刺激値Xw’、Yw’、Zw’について第2の観察条件パラメータを用いて、図9のステップS1083〜S1086の演算を適用して、Aw’が算出される。
次に、色の見え値からの非線形応答算出を説明する。
はじめに、色相角の入力値が表3で検索され、hi≦h’<hi+1を満たすiが求められる。
Figure 2005300639
上記iと色の見えの色相成分Hの入力値を用いて、次式が計算される。
Figure 2005300639
ここでh’>360の場合は360を減じた値とする。
次に、色の見えのクロマを表すCと明度を表すJの入力値を用いて下記変数が計算される。
Figure 2005300639
次に、|sin(hr)|≧|cos(hr)|であれば、次式が計算される。
Figure 2005300639
また、|sin(hr)|<|cos(hr)|であれば、次式が計算される。
Figure 2005300639
次に、以下の計算が行われる。
Figure 2005300639
次に、ステップS1113における非線形応答逆変換の計算を説明する。
Figure 2005300639
ここで、sign(x)は、x>0で1、x=0で0、x<0で−1の値をとる関数である。
次に、ステップS1114における錐体応答逆変換の計算を説明する。
Figure 2005300639
次に、ステップS1115における色順応逆変換の計算を説明する。
Figure 2005300639
色の3刺激値X、Y、Zは、ステップS1116で、画像表示手段12の色空間(例えばsRGB)に変換されて出力される。
画像表示装置10の表示制御の例として、入力画像データと、該入力画像データに対する画像表示装置10の各種設定及び各種の照明条件における表示用画像データを下記表4に示す。なお、入力画像データの値(sRGB)はR、G、Bで表記し、低照度の照明条件にはタングステンランプを使用した。
Figure 2005300639
上記の表示制御例においては、家具モード「切」の状態では低照度並びに高照度条件においても、表示用画像データのRGB値は入力画像データと同じであるが、家具モード「入」の状態では、低照度条件では低輝度、低彩度の画像表示を行い、高照度条件では高輝度、低彩度の画像表示を行うように表示用画像データのRGB値が調整されている。
また、家具モードの画像表示制御においては、図16に示すように、測光部15が検知した照度(lx)と、画像表示部12の発光輝度の最大値(cd/m2)とが、比例するように制御されるのが好ましい。なお、画像表示部12の発光輝度の最大値とは、画像表示部12で完全白色を表示したときの発光輝度のことである。
比例定数は、図4に示した表示設定画面の再現種類スイッチ143で選択された項目によって定まるもので、例えば図16においては、「写真プリント(マット)」が選択された場合の制御例CT1と「絵画」が選択された場合の制御例CT2とを示している。このようにすることで、低輝度照明下(低照度環境下)では、表示画像内容の判別不能レベルまで輝度を落とすことになり、あたかも壁に貼った写真や絵画のような画像の表示を行うことで、観察者は表示装置を調度類として、何ら違和感を覚えることなく鑑賞することが可能となる。
本発明の第2の実施形態について、図11及び図12を用いて説明する。
図11は、本発明の第2の実施形態に係る画像表示装置の制御部11bの内部構成を示すブロック図である。なお、本発明の第2の実施形態に係る画像表示装置10を構成するその他の各部は、図1及び図2に示したものと同じである。
制御部11bは、図3の制御部11における表示用画像データ生成手段113に代えて、表示用制御データ生成手段114を具備する点で異なる点を除いては、図3に示した制御部11と同じである。
表示用制御データ生成手段114は、色の見え指標算出手段112で算出された色の見え指標及び画像データ入力部17や記憶部13から入力された画像データ等に基づき、画像表示部12が画像を表示するための制御データ(例えば、画像表示素子12a全体の輝度増減、画像表示素子12aの表示切り替え間隔等)を出力する。
なお、本発明において表示用制御データとは、入力画像データとは異なった表現体系を有するデータであり、例えば入力画像データがsRGB色空間におけるRGB値であれば、表示用制御データは、画像表示素子全体の輝度増減、画像表示素子の表示切り替え間隔、最大発光輝度、色温度、解像度等を表すデータである。
本発明の第2の実施形態に係る画像表示装置の動作について、図12を用いて説明する。図12は、図1に示した制御部11に代えて、図11に示した制御部11bを適用した画像表示装置10における画像表示処理を表すフローチャートである。
なお、図6と同様に図12のフローチャートは、画像表示装置10の電源は投入された状態であり、操作部14によって図4に示した表示設定がされ、表示する静止画の入力画像データが選択された状態からのものである。
ステップS201では、画像データ入力部17により入力画像データが読み出された後、入力画像データに予め付加されたタグ情報の解析が行われる(画像データ読み出工程及びタグ情報解析工程)。
ステップS202では、入力画像データの階調変換処理が行われる(階調変換工程)。なお、階調変換処理は、図7及び図8で説明したものと同じである。
ステップ203では、家具モードが選択されているか否かが判断される。家具モードが選択されている場合(ステップS203:YES)、ステップS204の処理が実行され、家具モードが選択されていない場合(ステップS203:NO)、すなわち動画や文字を鑑賞するために表示する通常モードが選択されている場合はステップS209の処理が実行される。
ステップS204では、入力画像データが家具モードで処理されたものであるか否かが判断される。家具モードで処理されたものであると判断された場合(ステップS204;YES)、ステップS209の処理が実行され、家具モードで処理されたものでないと判断された場合(ステップS204;NO)、ステップS205の処理が実行される。
ステップS205では、図1の測光部15により、画像表示装置10の照明条件として照度と色温度の検出が行われる(照明条件検知工程)。
ステップS206では、ステップS205で検出された照明条件に基づいて、図11の観察条件パラメータ算出手段111により、観察条件パラメータの算出が行われる(観察条件パラメータ算出工程)。なお、観察条件パラメータの算出処理は、図6で説明したものと同じである。
ステップS207では、図11の照明条件変化検出手段115により、ステップS206で算出された観察条件パラメータが、前に観察条件パラメータ算出を行った時と比べて変化しているか否かが判断される(照明条件変化検出工程)。観察条件パラメータが変化していると判断されると(ステップS207;YES)、ステップS208の処理が実行され、観察条件パラメータが変化していないと判断されると(ステップS207;NO)、ステップS211の処理が実行される。
ステップS208では、ステップS201で読み出された入力画像データ及びステップS206で算出された観察条件パラメータとに基づき、図11の色の見え指標算出手段112により、色の見え指標が算出される(色の見え指標算出工程)。なお、色の見え指標算出処理は、図9に示したものと同じである。
ステップS209では、ステップS208で算出された色の見え指標に基づいて、図11の表示用制御データ生成手段114により表示用制御データが作成される(表示用制御データ生成工程)。
ステップS210では、ステップS209で生成された表示用制御データが、観察条件パラメータと対応付けて、図5の表示用制御データ記憶手段133に書き込まれる(記憶工程)。
ステップS211では、入力画像データが、前に入力画像データに基づく画像表示を行った時と比べて変化しているか否かが判断される(入力画像データ比較工程)。入力画像データが変化していると判断されると(ステップS211;YES)、ステップS208の処理が実行され、入力画像データが変化していないと判断されると(ステップS211;NO)、ステップS212の処理が実行される。
ステップS212では、図5の表示用制御データ記憶手段133に記憶された表示用制御データを読み出す(表示用データ読み出工程)。
ステップS213では、ステップS209で生成され又はステップS212で読み出された表示用制御データ及びS202で階調変換された入力画像データが画像表示部12に出力され、画像表示部12で静止画が表示され、処理を終了する(表示用データ出力工程)。
画像表示装置10の表示制御の例として、入力画像データと、該入力画像データに対する画像表示装置10の各種設定及び各種の照明条件における表示用制御データを下記表5に示す。
Figure 2005300639
上記の表示制御例においては、高照度条件で家具モードを「入」とすると、高輝度低彩度の画像表示を行い、低照度条件で家具モードを「入」とすると、低輝度低彩度の画像表示を行うように表示用制御データが生成されている。
本発明の第3の実施形態について、図13及び図14を用いて説明する。
図13は、本発明の第3の実施形態に係る画像表示装置の制御部11cの内部構成を示すブロック図である。なお、本発明の第3の実施形態に係る画像表示装置10を構成するその他の各部は、図1及び図2に示したものと同じである。
制御部11cは、図3の制御部11における表示用画像データ生成手段113に加えて、表示用制御データ生成手段114を具備する点で異なる点を除いては、図3に示した制御部11と同じである。また、表示用画像データ生成手段113及び表示用制御データ生成手段114の機能は図3及び図11に示したものと同じである。
本発明の第3の実施形態に係る画像表示装置の動作について、図14を用いて説明する。図14は、図1に示した制御部11に代えて、図13に示した制御部11cを適用した画像表示装置10における画像表示処理を表すフローチャートである。
なお、図6と同様に図14のフローチャートは、画像表示装置10の電源は投入された状態であり、操作部14によって図4に示した表示設定がされ、表示する静止画の入力画像データが選択された状態からのものである。
ステップS301では、画像データ入力部17により入力画像データが読み出された後、入力画像データに予め付加されたタグ情報の解析が行われる(画像データ読み出工程及びタグ情報解析工程)。
ステップS302では、入力画像データの階調変換処理が行われる(階調変換工程)。なお、階調変換処理は、図7及び図8で説明したものと同じである。
ステップ303では、家具モードが選択されているか否かが判断される。家具モードが選択されている場合(ステップS303:YES)、ステップS304の処理が実行され、家具モードが選択されていない場合(ステップS303:NO)、すなわち動画や文字を鑑賞するために表示する通常モードが選択されている場合はステップS313の処理が実行される。
ステップS304では、入力画像データが家具モードで処理されたものであるか否かが判断される。家具モードで処理されたものであると判断された場合(ステップS304;YES)、ステップS310の処理が実行され、家具モードで処理されたものでないと判断された場合(ステップS304;NO)、ステップS305の処理が実行される。
ステップS305では、図1の測光部15により、画像表示装置10の照明条件として照度と色温度の検出が行われる(照明条件検知工程)。
ステップS306では、ステップS305で検出された照明条件に基づいて、図13の観察条件パラメータ算出手段111により、観察条件パラメータの算出が行われる(観察条件パラメータ算出工程)。なお、観察条件パラメータの算出処理は、図6で説明したものと同じである。
ステップS307では、図13の照明条件変化検出手段115により、ステップS306で算出された観察条件パラメータが、前に観察条件パラメータ算出を行った時と比べて変化しているか否かが判断される(照明条件変化検出工程)。観察条件パラメータが変化していると判断されると(ステップS307;YES)、ステップS308の処理が実行され、観察条件パラメータが変化していないと判断されると(ステップS307;NO)、ステップS311の処理が実行される。
ステップS308では、ステップS301で読み出された入力画像データ及びステップS306で算出された観察条件パラメータとに基づき、図13の色の見え指標算出手段312により、色の見え指標が算出される(色の見え指標算出工程)。なお、色の見え指標算出処理は、図9に示したものと同じである。
ステップS309では、ステップS308で算出された色の見え指標に基づいて、図13の表示用画像データ生成手段113及び表示用制御データ生成手段114により表示用画像データ及び表示用制御データが作成される(表示用データ生成工程)。
ステップS310では、ステップS309で生成された表示用画像データ及び表示用制御データが、それぞれ観察条件パラメータと対応付けて、図5の表示用画像データ記憶手段132及び表示用制御データ記憶手段133に書き込まれる(記憶工程)。
ステップS311では、入力画像データが、前に入力画像データに基づく画像表示を行った時と比べて変化しているか否かが判断される(入力画像データ比較工程)。入力画像データが変化していると判断されると(ステップS311;YES)、ステップS308の処理が実行され、入力画像データが変化していないと判断されると(ステップS311;NO)、ステップS312の処理が実行される。
ステップS312では、図5の表示用画像データ記憶手段132及び表示用制御データ記憶手段133に記憶された表示用画像データ及び表示用制御データを読み出す。
ステップS313では、ステップS309で生成され又はステップS312で読み出された表示用画像データ及び表示用制御データが画像表示部12に出力され、画像表示部12で静止画が表示され、処理を終了する(表示用データ出力工程)。
画像表示装置10の表示制御の例として、入力画像データと、該入力画像データに対する画像表示装置10の各種設定及び各種の照明条件における表示用画像データ及び表示用制御データを下記表6に示す。
Figure 2005300639
上記の表示制御例においては、高照度条件で家具モード「入」とすると、高輝度低彩度の画像表示を行い、低照度条件で家具モード「入」とすると、低輝度低彩度の画像表示を行うように表示用画像データ及び表示用制御データが生成されている。
なお、本発明に係る画像表示装置の制御方法は、画像表示装置を制御する制御装置にも適用することができる。以下、図15を用いて本発明に係る画像表示制御装置を説明する。図15は、本発明に係る画像表示制御装置20及びそれに接続された画像表示装置30を模式的に示した概略図である。
画像表示制御装置20は、図1に示した画像表示装置10の画像表示部12に代えてディスプレイ接続部21を具備し、ディスプレイ接続部21は、接続ケーブル31を介して画像表示装置30と接続し、表示用画像データ及び表示用制御データを出力するものである。その他の構成は、図1に示した画像表示装置各部と同じである。
また、本発明の目的は前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(CPU若しくはMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えばフロッピー(R)ディスク,ハードディスク,光ディスク,光磁気ディスク,CD−ROM,CD−R,磁気テープ,不揮発性のメモリカード,ROMなどを用いることができる。
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
その他、画像表示装置、画像表示制御装置及び画像表示システムを構成する各構成の細部構成及び細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
本発明に係る画像表示装置の機能的構成を概念的に示すブロック図である。 本発明に係る画像表示装置の外観を模式的に示す斜視図である。 図1の制御部の内部構成を示すブロック図である。 画像表示装置の画像表示部に表示された表示設定画面の一例を示す図である。 図1の記憶部の内部構成を示すブロック図である。 本発明に係る画像表示装置における画像表示処理を表すフローチャートである。 図6における入力画像データの解析処理を表すフローチャートである。 図6における階調変換処理において使用する階調変換曲線の一例を示す模式図である。 図6における色の見え指標算出処理を示すフロー図である。 図6における表示用画像データ生成処理を示すフロー図である。 本発明の第2の実施形態に係る画像表示装置の制御部の内部構成を示すブロック図である。 図11に示した制御部を適用した画像表示装置における画像表示処理を表すフローチャートである。 本発明の第3の実施形態に係る画像表示装置の制御部の内部構成を示すブロック図である。 図13に示した制御部を適用した画像表示装置における画像表示処理を表すフローチャートである。 本発明に係る画像表示制御装置及びそれに接続された画像表示装置を模式的に示した概略図である。 本発明に係る画像表示制御における照度と画像表示部の最大発光輝度との関係の一例を示したグラフである。
符号の説明
10 画像表示装置
11 制御部
111 観察条件パラメータ算出手段
112 色の見え指標算出手段
113 表示用データ生成手段
114 表示制御データ生成手段
115 照明条件変化検出手段
12 画像表示部
12a 画像表示素子
13 記憶部
131 観察条件パラメータ記憶手段
132 表示用画像データ記憶手段
133 表示用制御データ記憶手段
14 操作部
140 表示設定画面
15 測光部
15a 光学センサ
16 人体感知部
16a 人体感知センサ
17 画像データ入力部
17a 無線アンテナ17a
17b メモリカードスロット
19 筐体

Claims (26)

  1. 画像データ入力手段と、画像表示手段とを有し、入力画像データに基づいて画像を表示する画像表示装置において、
    画像表示装置を鑑賞するときの照明条件を検知する照明条件検知手段と、
    前記画像データ入力手段から入力された入力画像データと前記照明条件検知手段で検知された照明条件とに基づき、色の見え指標を算出する色の見え指標算出手段と、
    前記色の見え指標算出手段で算出された色の見え指標に基づき、前記画像表示手段を制御する表示制御手段とを有することを特徴とする画像表示装置。
  2. 前記表示制御手段は、前記色の見え指標算出手段で算出された色の見え指標に基づき、表示用画像データを生成することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
  3. 前記照明条件検知手段で検知された照明条件の変化を検出する照明条件変化検出手段と、
    前記表示制御手段で生成された表示用画像データを記憶する記憶手段とを有し、
    前記表示制御手段は、前記記憶手段に記憶された表示用画像データを前記画像表示手段に対して出力することで前記画像表示手段を制御し、前記照明条件変化検出手段が照明条件の変化を検出したときに、当該変化した照明条件に基づいて表示用画像データを生成することを特徴とする請求項2に記載の画像表示装置。
  4. 前記表示制御手段は、前記色の見え指標算出手段で算出された色の見え指標に基づき、表示用制御データを生成することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
  5. 前記照明条件検知手段で検知された照明条件の変化を検出する照明条件変化検出手段と、
    前記表示制御手段で生成された表示用制御データのうち少なくとも一方を記憶する記憶手段とを有し、
    前記表示制御手段は、前記記憶手段に記憶された表示用制御データを前記画像表示手段に対して出力することで前記画像表示手段を制御し、
    前記照明条件変化検出手段が照明条件の変化を検出したときに、当該変化した照明条件に基づいて表示用制御データを生成することを特徴とする請求項4に記載の画像表示装置。
  6. 前記表示制御手段は、前記色の見え指標算出手段で算出された色の見え指標に基づき、表示用画像データ及び表示用制御データを生成することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
  7. 前記照明条件検知手段で検知された照明条件の変化を検出する照明条件変化検出手段と、
    前記表示制御手段で生成された表示用画像データ及び表示用制御データのうち少なくとも一方を記憶する記憶手段とを有し、
    前記表示制御手段は、前記記憶手段に記憶された表示用画像データ及び表示用制御データのうち少なくとも一方を前記画像表示手段に対して出力することで前記画像表示手段を制御し、
    前記照明条件変化検出手段が照明条件の変化を検出したときに、当該変化した照明条件に基づいて表示用画像データ及び表示用制御データのうち少なくとも一方を生成することを特徴とする請求項6に記載の画像表示装置。
  8. 前記表示制御手段における色の見え指標の適用度合を入力する適用度合入力手段を有し、
    前記表示制御手段は、前記適用度合入力手段で入力された適用度合に基づいて前記画像表示手段を制御することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像表示装置。
  9. 前記照明条件検知手段で検知された照明条件に基づいて観察条件パラメータを算出する観察条件パラメータ算出手段を有し、
    前記色の見え指標算出手段は、前記観察条件パラメータ算出手段で算出した観察条件パラメータに基づいて色の見え指標を算出することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像表示装置。
  10. 前記表示制御手段は、前記画像表示手段の発光輝度の最大値が、前記照明条件検知手段で検知した照度と比例するように制御することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像表示装置。
  11. 前記入力画像データが、シーン参照画像データであり、
    前記表示制御手段は、前記シーン参照画像データに基づいて前記画像表示手段を制御することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像表示装置。
  12. 前記シーン参照画像データは色空間を表すデータであり、該色空間は輝度拡張色空間であることを特徴とする請求項11に記載の画像表示装置。
  13. 前記色の見え指標算出手段は、CIECAM97s又はCIECAM02に規定される色の見えモデルに基づいて色の見え指標を算出することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の画像表示装置。
  14. 画像データ入力手段と、画像表示手段とを有し、入力画像データに基づいて画像を表示する画像表示装置の制御方法において、
    画像表示装置を鑑賞するときの照明条件を検知する照明条件検知工程と、
    前記画像データ入力手段から入力された入力画像データと前記照明条件検知工程で検知された照明条件とに基づき、色の見え指標を算出する色の見え指標算出工程と、
    前記色の見え指標算出工程で算出された色の見え指標に基づき、前記画像表示手段を制御する表示制御工程とを含むことを特徴とする画像表示装置の制御方法。
  15. 前記表示制御工程は、前記色の見え指標算出手段で算出された色の見え指標に基づき、表示用画像データを生成する表示用画像データ生成工程を含むことを特徴とする請求項14に記載の画像表示装置の制御方法。
  16. 前記照明条件検知工程で検知された照明条件の変化を検出する照明条件変化検出工程と、
    前記表示用画像データ生成工程で生成された表示用画像データを記憶する記憶工程とを有し、
    前記表示制御工程は、前記記憶工程で記憶された表示用画像データを前記画像表示手段に対して出力する表示用データ出力工程と、
    前記照明条件変化検出工程で照明条件の変化を検出したときに、当該変化した照明条件に基づいて表示用画像データを生成することを特徴とする請求項15に記載の画像表示装置の制御方法。
  17. 前記表示制御手段は、前記色の見え指標算出手段で算出された色の見え指標に基づき、表示用制御データを生成する表示用制御データ生成工程を含むことを特徴とする請求項14に記載の画像表示装置の制御方法。
  18. 前記照明条件検知工程で検知された照明条件の変化を検出する照明条件変化検出工程と、
    前記表示用制御データ生成工程で生成された表示用制御データを記憶する記憶工程とを有し、
    前記表示制御工程は、前記記憶工程で記憶された表示用制御データを前記画像表示手段に対して出力する表示用データ出力工程を有し、
    前記照明条件変化検出工程で照明条件の変化を検出したときに、当該変化した照明条件に基づいて表示用制御データを生成することを特徴とする請求項17に記載の画像表示装置の制御方法。
  19. 前記表示制御工程は、前記色の見え指標算出工程で算出された色の見え指標に基づき、表示用画像データを生成する表示用画像データ生成工程と、
    前記色の見え指標算出工程で算出された色の見え指標に基づき、表示用制御データを生成する表示用制御データ生成工程とを含むことを特徴とする請求項14に記載の画像表示装置の制御方法。
  20. 前記照明条件検知工程で検知された照明条件の変化を検出する照明条件変化検出工程と、
    前記表示用画像データ生成工程で生成された表示用画像データ及び前記表示用制御データ生成工程で生成された表示用制御データのうち少なくとも一方を記憶する記憶工程とを有し、
    前記表示制御工程は、前記記憶工程で記憶された表示用画像データ及び表示用制御データのうち少なくとも一方を前記画像表示手段に対して出力する出力する表示用データ出力工程を有し、
    前記照明条件変化検出工程で照明条件の変化を検出したときに、当該変化した照明条件に基づいて表示用画像データ及び表示用制御データのうち少なくとも一方を算出することを特徴とする請求項19に記載の画像表示装置の制御方法。
  21. 前記表示制御工程における色の見え指標の適用度合を入力する適用度合入力工程を有し、
    前記表示制御工程は、前記適用度合入力工程で入力された適用度合に基づいて前記画像表示手段を制御することを特徴とする請求項14乃至20のいずれか1項に記載の画像表示装置の制御方法。
  22. 前記照明条件検知工程で検知された照明条件に基づいて観察条件パラメータを算出する観察条件パラメータ算出工程を有し、
    前記色の見え指標算出工程は、前記観察条件パラメータ算出工程で算出した観察条件パラメータに基づいて色の見え指標を算出することを特徴とする請求項14乃至21のいずれか1項に記載の画像表示装置の制御方法。
  23. 前記表示制御工程は、前記画像表示手段の発光輝度の最大値が、前記照明条件検知工程で検知した照度と比例するように制御することを特徴とする請求項14乃至22のいずれか1項に記載の画像表示装置の制御方法。
  24. 前記入力画像データが、シーン参照画像データであり、
    前記表示制御工程は、前記シーン参照画像データに基づいて前記画像表示手段を制御することを特徴とする請求項14乃至23のいずれか1項に記載の画像表示装置の制御方法。
  25. 前記シーン参照画像データは色空間を表すデータであり、該色空間は輝度拡張色空間であることを特徴とする請求項24に記載の画像表示装置の制御方法。
  26. 前記色の見え指標算出工程は、CIECAM97s又はCIECAM02に規定される色の見えモデルに基づいて色の見え指標を算出することを特徴とする請求項14乃至25のいずれか1項に記載の画像表示装置の制御方法。
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