JP2005300611A - 画像形成方法 - Google Patents

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友昭 五十嵐
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信也 谷内
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Abstract

【課題】 転写材を加熱するための回転体を所定の温度に短時間で立ち上げることができ(クイックスタート性)、広い温度範囲においてトナー像の定着性を十分に確保でき、均一な光沢度(グロス)を達成することのできる画像形成方法を提供する。
【解決手段】 転写材上の未定着トナー像を定着させるにあたり、前記転写材を加熱する回転体を、回転体の表面側から加熱する表面加熱方式の定着装置を用いる画像形成方法において、少なくともスチレン−アクリル化合物を主成分とする結着樹脂、着色剤及びワックス成分を含有するトナー粒子と無機微粒子とを有するトナーであって、80℃及び100℃での貯蔵弾性率の比、160℃での貯蔵弾性率、THF可溶分の数平均分子量、重量平均分子量及びこれらの比、重量平均粒径、及び平均円形度が規定された特定のトナーを用いる。
【選択図】 なし


Description

本発明は、例えば、複写機、プリンタ等の画像形成装置において、トナー像が転写された転写材を加熱して、転写材にトナー像を定着させる定着装置を有する画像形成装置が適用される画像形成方法に関する。
より詳しくは、回転体と、前記回転体とニップ部を形成する対向部材と、前記ニップ部とは異なる場所で前記回転体の表面部位を加熱する加熱部材と、前記加熱部材の加熱温度を制御する温度制御手段とを有する加熱定着装置を用い、前記トナー像が転写された転写材を前記回転体と前記対向部材とによって挟持して搬送し、前記回転体の熱により加熱して前記トナー像を転写材に定着させる定着工程を含む画像形成方法に関する。
画像形成装置において、電子写真プロセス、静電記録プロセス、磁気記録プロセス等の適宜の画像形成プロセスで記録材(転写材シート、エレクトロファックスシート、静電記録紙、OHP(オーバー・ヘッド・プロジェクタ)シート、印刷用紙、フォーマット紙等)に、転写方式にて、或いは直接方式にてトナー像を担持させ、記録材を加熱してトナー像を記録材に定着させる定着装置としては、例えば表面加熱方式の定着装置が知られている。この表面加熱方式の定着装置は、記録材を加熱するための回転体の表面に、弾性層や離型層等の断熱的な被覆を設け、この回転体の表面側から回転体を加熱し、トナー像を担持する記録材を加熱された回転体に押圧して、トナー像を記録材に定着させる装置である(例えば、特許文献1参照。)。
この表面加熱方式の装置によれば、加熱用の回転体に熱を表面から供給できるため、加熱源としてのヒータの点灯に対する応答がよく、弾性層が被覆された回転体を用いる場合でも立ち上げ時間の短縮を図ることができる。
しかしながらこの表面加熱方式の装置においては、回転体の温度は表面から深部に向けて低くなる温度勾配となり、記録材が押圧されて回転体の表面から熱が奪われても、回転体内側からの熱供給はほとんど行われない。その結果、蓄熱量の多い回転体一周目と、それ以降とでは、記録材に与える熱量が異なり、加熱ムラによるグロスムラ(光沢度の不均一)が発生することがあった。したがって、立ち上げ時間を短縮し、グロスムラ等の加熱ムラに起因する画像不良が発生しない定着装置が要望されている。
一方、トナーに関しては、トナーを小粒径化する事により、ハーフトーン部の定着性が低下する傾向にある。これは、ハーフトーン部のトナーののり量が少なく、転写材の凹部に転写されたトナーは、加熱部材から与えられる熱量が少なく、さらに定着圧力も、転写材の凸部によって凹部への圧力が抑制されて小さくなるからである。また、ハーフトーン部で転写材の凸部に転写されたトナーは、トナー層厚が薄いために、トナー粒子1個当たりにかかるせん断力は、トナー層厚の厚いベタ黒部分に比べ大きいものとなり、オフセット現象が発生しやすく、低画質の定着画像が形成される原因となることがある。
これらの問題を解決するために、従来よりトナー中に含まれる結着樹脂の分子量分布や架橋成分の量を調整したりする等して、定着プロセスへの適合を図ってきた。
その一例として、特許文献2においては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定された分子量分布において、分子量50万以上の領域に分子量ピークを有する高分子量スチレン−アクリル系樹脂、分子量5万〜50万の領域に分子量ピークを有するス
チレン−アクリル系樹脂、架橋構造を有するスチレン−アクリル系樹脂、及び分子量5万以下の領域に分子量ピークを有するポリエステル樹脂よりなるバインダー樹脂を有するトナーが知られている(例えば特許文献2参照。)。しかしながらこのトナーにおいては、高速定着への対応に未だ改良の余地が残されている。
また、定着時の耐高温オフセット性を向上させるために、一般にポリエチレンワックスやポリプロピレンワックス等の、比較的離型性の高い材料が用いられることがあるが、このような低軟化点物質を多量に含有すると現像性に劣る場合が多い。
一般にカラートナーにおいては、離型剤を添加せずに前記回転体の表面にシリコーンオイル等を塗布せしめることにより、耐高温オフセット性の向上が図られている。しかしながら、このようにして得られた定着画像の表面には、余分なシリコーンオイル等が付着するために、ユーザーに不快感を与えたり、高い光沢により画像が見にくい等の問題が生じることがある。
また、カラートナーにおいては、樹脂の粘弾性に着目した報告が数多くされている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、前述した表面加熱方式の定着装置に適応しつつ低温定着性と耐高温オフセット性を両立するには、未だ検討の余地が残されている。このように種々問題を解決する最適なトナー及び定着装置の組み合わせについては、未だ検討の余地が残されている。
特開平10−133505号公報 特開平8−262795号公報 特開2003−280276号公報
本発明の目的は、上述のごとき従来技術の問題点を解決した、表面加熱方式の加熱装置を用いる画像形成方法を提供することにある。
すなわち、本発明の目的は、転写材を加熱するための回転体を所定の温度に短時間で立ち上げることができ(クイックスタート性)、広い温度範囲においてトナー像の定着性を十分に確保でき、均一な光沢度(グロス)を達成することのできる画像形成方法を提供することにある。
さらに本発明の目的は、優れた低温定着性及び耐高温オフセット性を達成することのできる画像形成方法を提供することにある。
本発明は、少なくとも(a)静電潜像を担持するための像担持体を帯電させる帯電工程;(b)帯電した像担持体に露光によって静電潜像を形成する露光工程;(c)前記静電潜像をトナー担持体の表面に担持されているトナーによって現像し、前記像担持体の表面にトナー像を形成する現像工程;(d)前記像担持体の表面に形成されたトナー像を中間転写体を介して、又は介さずに転写材に転写する転写工程;及び(e)前記転写材上のトナー像を、回転体と、前記回転体とニップ部を形成する対向部材と、前記ニップ部とは異なる場所で前記回転体の表面部位を加熱する加熱部材と、前記加熱部材の加熱温度を制御する温度制御手段とを有する加熱定着装置を用い、前記トナー像が転写された転写材を前記回転体と前記対向部材とによって挟持して搬送し、前記回転体の熱により加熱して前記トナー像を転写材に定着させる定着工程;を含む画像形成方法において、前記トナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤及びワックス成分を含有するトナー粒子と無機微粒子とを有し、100℃における貯蔵弾性率(G’(100℃))に対する80℃における貯蔵弾性
率(G’(80℃))の比(G’(80℃)/G’(100℃))が9以上であり、かつ160℃における貯蔵弾性率(G’(160℃))が500〜1×104dN/m2であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるテトラヒドロフラン(THF)可溶分の数平均分子量(Mn)が2,000〜50,000であり、前記テトラヒドロフラン可溶分の重量平均分子量(Mw)2,000〜500,000であり、前記数平均分子量に対する前記重量平均分子量の比(Mw/Mn)が1〜10であり、重量平均粒径(D4)が3〜10μmであり、かつ平均円形度が0.950〜0.995であり、前記結着樹脂は、スチレン−アクリル化合物を主成分とする画像形成方法に関する。
本発明では、少なくとも低温域、高温域の貯蔵弾性率、トナー粒子中のTHF可溶分の分子量、粒径、平均円形度が規定されたトナーを用い、また定着工程においては、表面加熱方式の定着装置を用いることから、クイックスタート性、及び広い温度範囲においてトナー像の定着性を十分に確保でき、均一な光沢度(グロス)を達成することができ、また優れた低温定着性及び耐高温オフセット性を達成することができる。さらには省電力に優れた画像形成方法及び定着方法が得られる。また、定着画像の光沢度を均一に保つことが出来、心理的にユーザに安らぎを与えることが出来る。
本発明では、トナー粒子において、帯電サイトとして機能する硫黄元素の含有量と、リークサイトとして機能する元素の含有量とを調整すると、定着における静電オフセットやクリーニング不良の抑制とトナー飛散の抑制との両立を図る上でより一層効果的である。
また、本発明では、表面加熱方式の加熱装置について、転写材を挿通して加熱するニップ部と異なる場所で回転体の表面を加熱部材により加熱するにあたり、前記回転体がニップ部に対する転写材の挿通開始後から一周分回転する前に、回転体を加熱する加熱部材の制御温度を上げると、回転体の転写材への熱供給能力を一定に保つことができ、グロスムラを防止する上でより一層効果的である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明では、少なくとも(a)静電潜像を担持するための像担持体を帯電させる帯電工程;(b)帯電した像担持体に露光によって静電潜像を形成する露光工程;(c)前記静電潜像をトナー担持体の表面に担持されているトナーによって現像し、前記像担持体の表面にトナー像を形成する現像工程;(d)前記像担持体の表面に形成されたトナー像を中間転写体を介して、又は介さずに転写材に転写する転写工程;及び(e)前記転写材上のトナー像を、回転体と、前記回転体とニップ部を形成する対向部材と、前記ニップ部とは異なる場所で前記回転体の表面部位を加熱する加熱部材と、前記加熱部材の加熱温度を制御する温度制御手段とを有する加熱定着装置を用い、前記トナー像が転写された転写材を前記回転体と前記対向部材とによって挟持して搬送し、前記回転体の熱により加熱して前記トナー像を転写材に定着させる定着工程;を含む画像形成方法において、特定の加熱定着装置と特定のトナーとを用いる。
本発明では、転写材上の未定着のトナー像を形成するまでの帯電工程、露光工程、現像工程、及び転写工程は特に限定されない。これらの工程には、通常用いられる部材や工程を利用することができる。
前記定着工程では、未定着のトナー像を有する転写材を加熱してトナー像を転写材に定着させるにあたり、表面加熱方式の定着装置が用いられる。この表面加熱方式の定着装置は、回転体と、前記回転体とニップ部を形成する対向部材と、前記ニップ部とは異なる場所で前記回転体の表面部位を加熱する加熱部材と、前記加熱部材の加熱温度を制御する温
度制御手段とを有する。
前記回転体は、その表面が無端軌道を移動するものであり、未定着のトナー像を有する転写材を加熱することができるものであれば特に限定されない。このような回転体としては、例えばローラや無端ベルト等が挙げられる。前記回転体は、弾性部材で形成されていることが好ましく、その表面はフッ素系樹脂等の離型性に優れた材料で形成されていることが好ましく、耐熱性に優れた材料で形成されていることが好ましい。
前記対向部材は、前記回転体と当接し、回転体と対向部材との接触部であるニップ部を形成するものであれば特に限定されない。このような対向部材としては、例えばローラ等が挙げられる。前記ニップ部は、例えば対向部材又は回転体を回転体又は対向部材に向けてバネ等により付勢して設けることによって形成することができる。
前記加熱部材は、前記回転体が転写材に接触する側の表面を、前記ニップ部とは異なる場所で加熱するものであれば特に限定されない。このような加熱部材には公知の各種ヒータを用いることができる。加熱部材は、ニップ部を除く回転体の表面を覆うように設けられていても良いし、複数設けられていても良い。
前記温度制御手段は、前記回転体が、転写材上のトナー像を転写材に定着させるのに十分加熱されるように、前記加熱部材を制御するものであれば特に限定されない。このような温度制御手段は、例えば加熱部材又は回転体の表面温度を検出する温度検出手段と、温度検出手段の検出結果に基づいて加熱部材の出力を求めて制御信号を出力する制御装置と、制御装置から出力された制御信号に応じて加熱部材の出力を制御する給電装置とによって構成することができる。なお。前記温度検出手段は複数設けられても良い。
前記温度制御手段は、前記ニップ部において転写材に接触した回転体の表面の部位が、回転体が一周分回転して再び転写材に接触する前に加熱されるように、前記加熱部材の加熱温度を制御することが好ましい。このような制御は、例えば、前記ニップ部の直前又は直後の回転体の表面温度に応じて、或いは予め前記制御装置に記録されている設定値に応じて行うことができる。このような制御は、転写材に与えられる熱量の、回転体の周回数による変動を抑制して、グロスムラを防止する上でより好ましい。
さらに前記温度制御手段は、転写材の前記ニップ部からの排出完了以前に、加熱部材の制御温度を下げる、すなわち転写材への熱量を確保するために加熱温度を上げる制御からこのような制御を行わない通常の制御に戻すことが好ましい。このような制御により、転写材が前記回転体と前記対向部材との間に挿通されていないときの回転体の温度の上昇を防ぐことができる。
本発明では、前述した工程の以外の他の工程を含んでいても良い。このような他の工程としては、例えば転写後の像担持体の表面に残存するトナーを除去するクリーニング工程や、再度の帯電工程の前に像担持体の静電履歴を光の照射等により消去する前露光工程等が挙げられる。
また、本発明は、単色の画像の形成及びフルカラー画像の形成のいずれの画像の形成にも用いられる。本発明では、形成する画像に応じて適当な構成の公知の画像形成装置を利用することができる。
図2は、本発明に用いられる画像形成装置の一例の概略構成図である。本例の画像形成装置は電子写真フルカラープリンタであり、転写材の幅の中央を装置長手方向の中央に揃えて通紙する中央基準の装置である。
11は有機感光体でできた電子写真感光体ドラム(像担持体)であり、矢印の反時計廻りに所定のプロセススピード(周速度)V(=120mm/sec)で回転駆動する。感光体ドラム11は、その回転過程で帯電ローラ等の帯電装置12により、所定の極性、電位の一様な帯電処理を受ける。
次いでその帯電処理面にレーザ光学箱(レーザスキャナ)13から出力されるレーザ光13aによる、目的画像情報の走査露光処理を受ける。レーザ光学箱13は、不図示のコンピュータ等の画像信号発生装置からの目的画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調(オン/オフ)したレーザ光13aを出力して、感光体ドラム11の表面を走査露光するもので、この走査露光により感光体ドラム11の表面に、走査露光した目的画像情報に対応した静電潜像が形成される。13bはレーザ光学箱13からの出力レーザ光13aを感光体ドラム11の露光位置に反射させるミラーである。
フルカラー画像形成の場合は、目的のフルカラー画像の第一の色分解成分画像、例えばイエロー成分画像についての走査露光、静電潜像の形成がなされ、その静電潜像が四色現像装置14のうちのイエロー現像器14Yの作動によって、イエロートナー像として現像される。そのイエロートナー像は、感光体ドラム11と中間転写ドラム16との接触部(或いは近接部)である一次転写部T1において中間転写ドラム16の表面に転写される。
中間転写ドラム16の表面へのトナー像の転写後の感光体ドラム11の表面は、クリーナ17により、転写残りトナー等の付着残留物が除去され、清掃される。
中間転写ドラム16は、金属ドラム上に中抵抗の弾性層と高抵抗の表層を有するもので、感光体ドラム11に接触して、或いは近接して感光体ドラム11と略同じ周速度で矢印の時計方向に回転駆動する。金属ドラムにバイアス電位を与え、感光体ドラム11との電位差により、感光体ドラム11の表面のトナー像を中間転写体ドラム16の表面に転写させる。
上記のような帯電、走査露光、現像、一次転写のプロセスサイクルが、目的のフルカラー画像の、第二(例えばマゼンタ成分画像ならマゼンタ現像器14Mが作動)、第三(例えばシアン成分画像ならシアン現像器14Cが作動)、第四(例えば黒成分画像なら黒現像器14BKが作動)の各色の分解成分画像について順次に実行され、中間転写ドラム16の表面に、イエロートナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像、黒トナー像の都合四色のトナー像が順次重ねて転写されて、目的のフルカラー画像に対応したカラー画像が合成される。
中間転写ドラム16の表面に合成されたカラートナー画像は、中間転写ドラム16と転写ローラ15との接触ニップである二次転写部T2において、不図示の給紙部から二次転写部T2に所定のタイミングで送り出された転写材Pの表面に転写されていく。転写ローラ15は、転写材Pの背面からトナーと逆極性の電荷を供給することで、中間転写ドラム16の表面から転写材Pの表面へ合成カラートナー画像を一括転写する。
二次転写部T2を通過した転写材Pは、中間転写ドラム16の表面から分離して、定着装置10へと導入され、未定着トナー像の加熱定着処理を受けてカラー画像形成物として機外の不図示の排紙トレーに排出される。定着装置10は、本発明に用いられる前述した表面加熱方式の定着装置である。定着装置10については後に詳述する。
転写材Pへのカラートナー像の転写後の中間転写ドラム16は、クリーナ18により、転写残りトナーや紙粉等の付着残留物が除去され、清掃される。このクリーナ18は、常
時は中間転写ドラム16に非接触の状態で保持されており、中間転写ドラム16から転写材Pに対するカラートナー画像の二次転写の実行過程において、中間転写ドラム16に接触する状態に保持される。
また、転写ローラ15も、第四の色(BK)が画像形成される前は、中間転写ドラム16に非接触の状態で保持されており、中間転写ドラム16から転写材Pに対するカラートナー画像の二次転写の実行過程において、中間転写ドラム16に接触する状態に保持される。
前述したフルカラー画像の形成の動作に対して、モノカラー画像の形成の動作では、黒現像器14BKのみを動作させて、現像器を切り替えることをしない。中間転写ドラム16上には、引き続けて次ページの画像を形成可能であり、転写ローラ15及びクリーナ18は、中間転写ドラム14に当接する状態のまま一連の画像形成の動作を行う。したがって、モノカラー画像形成時には、フルカラー画像形成の約四倍の速度で画像を形成することが可能になる。本例では、フルカラーで毎分4ページ(A4サイズ)、モノカラーで毎分16ページの記録速度となる。
以上の動作を繰り返すことで、次々と画像形成を行うことができる。
次に定着装置10及びこれを用いる定着工程について説明する。
図1は定着装置10の横断面模型図である。定着装置10は、前述した表面加熱方式の定着装置であり、転写材Pを加熱するための回転体としての定着ローラ1と、定着ローラ1と定着ニップN1を形成する対向部材としての加圧ローラ3と、定着ローラ1の表面を加熱する加熱部材としての表面加熱ユニット2と、表面加熱ユニット2による定着ローラ1の表面の加熱温度を制御する温度制御手段を構成するサーミスタ5、制御回路100、給電回路101と、を具備している。
定着ローラ1は、芯金1aと、芯金1aの外周を被覆する厚さ3mmのシリコーンゴム層1bと、さらにその外周を被覆する厚さ50μmのPFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルエーテル共重合体)樹脂1cとからなる外径20mmの弾性ローラである。
同様に加圧ローラ3は、芯金3aと、芯金3aの外周を被覆する厚さ3mmのシリコーンゴム層3bと、さらにその外周を被覆する厚さ50μmのPFA樹脂3cとからなる外径20mmの弾性ローラであり、所定の加圧力(100N)で定着ローラ1を加圧し、転写材加熱用ニップ部としての定着ニップN1を形成する。
表面加熱ユニット2は、加熱手段(加熱源)としてのセラミックヒータ2bと、セラミックヒータ2bを支持するヒータホルダ2cと、ヒータホルダ2cの周囲に回転自在にエンドレスベルト状(円筒状)に設けられた加熱フィルム2aとを有する。ヒータホルダ2cは、加圧ステー2dによって、シリコーンゴム層1bの弾性に抗して定着ローラ1を加圧して、加熱フィルム2aを介してセラミックヒータ2bを定着ローラ1に押圧し、加熱ニップN2を形成している。
加熱フィルム2aは、厚さ40μmのPI(ポリイミド)樹脂の表面に10μmのPFA樹脂を被覆したもので、例えば周長が56.5mmのものが用いられる。セラミックヒータ2bは、例えば幅8mm、厚さ1mmのアルミナの上に抵抗体を印刷により形成し、その上をガラスで保護したもので、出力が700Wのものが用いられる。
なお、セラミックヒータ2bの裏面には温度検知手段としてのサーミスタ5が当接している。サーミスタ5は制御回路100と接続されており、制御回路100は給電回路10
1と接続されており、給電回路101はセラミックヒータ2bと接続されている。
定着ローラ1は、駆動手段Mにより図1において矢印の時計方向に回転駆動する。定着ローラ1の回転駆動に伴い、加圧ローラ3が定着ニップN1内の摩擦により矢印の反時計方向に従動回転する。また表面加熱ユニット2の加熱フィルム2aが、加熱ニップN2内の摩擦により、その内面側がセラミックヒータ2bの表面に密着して摺動しながら、ヒータホルダ2cの外周を、矢印の反時計方向に従動回転する。
また、表面加熱ユニット2の加熱手段としてのセラミックヒータ2bは、給電回路101から通電発熱抵抗層(抵抗体)に対して通電がなされることで迅速に昇温する。セラミックヒータ2bの発熱により、加熱ニップN2において定着ローラ1の表面が加熱フィルム2aを介して加熱される。
サーミスタ5による検知温度を基に、温度制御手段であるところの制御回路100は、給電回路101からセラミックヒータ2bへの給電状態を制御して、定着ローラ1の表面温度が所定の定着温度に保たれるように温調制御している。
定着ローラ1が回転駆動し、これに伴い加圧ローラ3及び表面加熱ユニット2の加熱フィルム2aが従動回転し、表面加熱ユニット2のセラミックヒータ2bに通電がなされる。定着ローラ1の表面温度が所定の定着温度に加熱温調された状態において、定着ローラ1と加圧ローラ3との間の定着ニップN1に、被加熱材としての、未定着トナー像を担持した転写材Pが導入される。これにより、転写材Pは定着ローラ1の外面に密着して定着ローラ1の回転にしたがって定着ニップN1を通過していき、定着ニップN1を通過する過程で、定着ローラ1からの熱伝導によってトナー像が加熱されてトナー像の加熱定着がなされる。定着ニップN1を通った転写材Pは、定着ニップN1の転写材出口側で定着ローラ1の外面から分離し、前述した排紙トレーに向けて搬送される。
次に、本発明に用いられるトナーについて説明する。
本発明に用いられるトナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤及びワックス成分を含有するトナー粒子と無機微粒子とを有し、その結着樹脂の主たる成分が、スチレン−アクリル化合物である。前記トナーは、80℃と100℃の各温度における貯蔵弾性率G’から求めたG’(80)/G’(100)が9以上、かつ160℃における貯蔵弾性率G’(160℃)が、500〜1×104dN/m2を満足するものである。
また、前記トナーは、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分子量が分子量分布において、数平均分子量(Mn)が2,000〜50,000であり、重量平均分子量(Mw)が2,000〜500,000であり、及びMw/Mnが1〜10である。更に前記トナーは、重量平均粒径(D4)が3〜10μmである。また前記トナーは、平均円形度が0.950〜0.995である。
更には、前記トナー粒子は、硫黄元素と、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、アルミニウム及びリンからなるグループより選ばれる少なくとも一種の元素とを含有し、硫黄元素の含有量(S)に対する前記グループに含まれる元素の含有量の合計(T)の比(T/S)が0.1以上4.5以下であることが好ましい。
また、本発明に用いられるトナーは、示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において、昇温測定時及び降温測定時におけるそれぞれの最大吸熱ピークが40〜150℃に位置することが好ましく、また前記トナーに含有されている無機微粒子の平均一次粒径が4〜80nmである事が好ましい。
ここで、トナーの80℃及び100℃における貯蔵弾性率G’の比、及び160℃における貯蔵弾性率G’の範囲について説明する。
転写材上にあるトナーは複層からなっており、各々の層を構成するトナー粒子への熱の加わり方は一様ではない。すなわち、転写材から最も離れた層、すなわち加熱部材に最も近いトナー粒子と、転写材に最も近い層、すなわち加熱部材から最も離れたトナー粒子とでは、加熱部材からの熱の伝わり方が異なる。また、加熱部材に最も近いトナー層については、転写材の熱特性の影響が小さいのに対して、加熱部材から最も離れたトナー層については転写材の熱特性の影響が大きくなる。よって、定着工程におけるトナーの熱的挙動を把握するためには、例えば前記回転体の表面の温度及びその近傍におけるトナー物性のみに着目することは適切ではない。
これらのことを勘案したところ、前記表面加熱式の定着装置における前記転写材突入側の転写材上のトナー挙動を最もよく表す数値として、80℃におけるトナーの貯蔵弾性率G’(80℃)と100℃におけるトナーの貯蔵弾性率G’(100℃)の比G’(80℃)/ G’(100℃)を用いることが有効であることが分かった。
本発明においては、80℃と100℃におけるトナーの貯蔵弾性率G’の比、G’(80℃)/ G’(100℃)は、9以上であることが重要である。G’(80℃)/ G’(100℃)が9未満の場合は、クイックスタート定着における初期のトナーの溶融粘度が低いため、低温定着不良を起こしやすい。また、定着工程初期におけるトナー粒子の変形が不十分となるため、定着工程初期においてトナー粒子表面に好適に埋没されない無機微粒子が出現してくることがある。そのため、長期に渡って定着を行った場合には、前記無機微粒子が前記回転体を傷つけてしまうことがあり、好ましくない。
G’(80℃)/ G’(100℃)が、9以上であると、低温域においても瞬時にトナーが溶融し、かつ光沢度安定性に対して非常に優れた特性を示す。
ところで、転写材上の非画像部、すなわちトナー像が形成されていない部位においては、極微量ではあるが無機微粒子が付着している。これはトナー粒子表面から遊離した無機微粒子が転写材上に転写されたものである。この無機微粒子の一部が、定着工程において前記回転体に付着し、長期に渡って「連れ回る」ことで、前記回転体に微細欠損が発生するものと思われる。
G’(80℃)/ G’(100℃)が9以上であると、前記無機微粒子等の外添剤がしっかりとトナー粒子に付着することで、外添剤の遊離を抑えることができ、前記無機微粒子が前記回転体に「連れ回る」ことを防止することができる。すなわち、前記無機微粒子が付着している部位に新たなトナー画像が接触した場合には、前記無機微粒子を定着画像上に捕捉し、前記回転体から離間させることが出来る。その結果、前記無機微粒子による回転体の欠損を防止することが出来る。
一方で高温側である160℃における貯蔵弾性率G’(160℃)が、500〜1×104dN/m2の範囲内にある事も重要である。これは、光沢度安定性や耐高温オフセット性の観点で良好な特性を示す。更に、この特性により、本定着器における回転体と、前記回転体とニップ部を形成する対向部材と、前記回転体を前記ニップ部とは異なる場所で回転体の表面を加熱する加熱部材に対して、高温領域におけるオフセットトナーが回転体を介して前記加熱部材へ蓄積することを防ぐことができる。
トナーの貯蔵弾性率G’(80℃)、G’(100℃)及びG’(160℃)を測定す
る方法について、以下に示す。
本発明におけるトナーの貯蔵弾性率は、所定の温度における貯蔵弾性率を測定可能な測定装置によって測定することができる。ただし、本発明においては、貯蔵弾性率を測定するにあたり、加圧成型体等の測定可能な特定の形態に成型したものの貯蔵弾性率を測定する。具体的には、前記貯蔵弾性率は、粘弾性測定装置(レオメーター)RDA−II型(レオメトリック社製)を用いて、下記の条件で60〜210℃の温度範囲において測定することにより求められる。
・測定治具: 直径25mmの円形パラレルプレートを使用する。アクチュエーター(actuator)側には円形パラレルプレートに対応するシャローカップを使用する。シャローカップの底面と円形プレートの間隙は約2mmである。
・測定試料: 1gのトナーを、直径約25mm、高さ約2mmの円盤状試料となるよう、加圧成型したものを使用する。
・測定周波数: 6.28ラジアン/秒
・測定歪の設定: 初期値を0.1%に設定した後、自動測定モードにて測定を行う。
・試料の伸長補正: 自動測定モードにて調整する。
・測定温度: 60〜210℃まで毎分2℃の割合で昇温する。
上記の方法により、60〜210℃の温度範囲において貯蔵弾性率G’を測定した際の80℃、100℃及び160℃における貯蔵弾性率G’ の値を、それぞれG’(80℃)、G’(100℃)及びG’(160℃)とする。これらの貯蔵弾性率は、結着樹脂の種類や重合度を変更することによって調整は可能だが、後述する重合法によって得られる粒子であれば、その際の重合性単量体組成比や重合開始剤量、又は重合反応温度等によって調整することが可能である。
次に本発明に用いられるトナーの分子量について説明する。
本発明に用いられるトナーの分子量は、GPCによって測定されるTHF可溶分の分子量であり、重量平均分子量(Mw)が2,000乃至500,000であり、数平均分子量(Mn)が2,000乃至50,000であり、これらの比であるMw/Mnが1〜10である。重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量が2,000未満の場合には、いずれも定着画像の表面の平滑性が高く、見た感じの鮮やかさはあるものの、耐久において高温オフセットが発生しやすくなり、さらに、長期保存安定性が低下することがあり、現像器内でのトナー融着の発生といった新たな問題も懸念される。
トナー分子量の数平均分子量(Mn)が50,000を超える場合、又は重量平均分子量(Mw)が500,000を超える場合は、いずれも耐オフセット性に優れるものの、定着設定温度を高くせざるを得ない。
またMw/Mnが1未満の場合では、前述の分子量が小さい場合と同様に、耐久による高温オフセット現象、長期保存安定性の低下、現像器内でのトナー融着が生じやすくなり、更にトナー帯電量のばらつきが生じ易くなることがある。Mw/Mnが10を超える場合では、耐高温オフセット性に優れるものの、定着設定温度を高くせざるを得ないし、さらに、画像部での表面平滑性が低下してしまい、二次色の混色性が低下する為に、色再現性が低下し易くなってしまうことがある。
本発明において、トナーの前記THF可溶分の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)における分子量分布から、ポリスチレンで換算した分子量として求めることができる。GPCの測定方法としては、以下のとおりである。
まず、サンプルの調製として、試料中の樹脂成分が0.4〜0.6mg/mlとなるように、トナーを室温でテトラヒドロフラン(THF)に溶解せしめ、得られた溶液をポア径が0.2μmの耐溶剤製メンブランフィルターでろ過する。
次に、40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、溶媒としてTHFを毎分1mlの流速で流し、THF試料溶液を約100μl注入して測定する。検出器には、RI(屈折率)検出器とUV(紫外線)検出器とを直列に配列して用いる。また、カラムには、市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせたものを用いる。このようなカラムには、例えば昭和電工社製のshodex GPC KF−801、802、803、804、805、806、807、800Pを組み合わせたものが用いられる。
試料の分子量は、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料には、例えば東ソー社製TSK スタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500が用いられる。また、測定装置には、例えば高速GPC HPLC8120 GPC(東ソー社製)が用いられる。
トナーのTHF可溶分の数平均分子量や重量平均分子量は、例えば結着樹脂の種類や重合度等によって調整することが可能である。
次に、トナーの粒径について説明する。
本発明に用いられるトナーは、更に高画質化のため、より微小な潜像ドットを忠実に現像するためには、重量平均粒径が3〜10μmであることが必要である。このトナーの重量平均粒径は、4〜8μmであることが好ましい。
重量平均粒径が3μm未満のトナーにおいては、転写効率の低下から、像担持体上の転写残トナーが多くなり、例えば帯電工程として接触帯電工程を採用した場合に、接触帯電工程での像担持体の削れやトナー融着の抑制が難しくなることがある。さらに、トナー全体の表面積が増えることに加え、粉体としての流動性及び攪拌性が低下し、個々のトナー粒子を均一に帯電させることが困難となることから、耐カブリ性や転写性が悪化する傾向を示し、像担持体の削れや融着以外にも、画像や光沢度の不均一ムラの原因となりやすいため、本発明で使用するトナーには好ましくない。
また、トナーの重量平均粒径が10μmを越える場合には、文字やライン画像に飛び散りが生じやすく、高解像度が得られにくい。さらに画像形成装置が高解像度になっていくと、8μm以上のトナーは1ドットの再現が悪化する傾向にある。
前記トナーの重量平均粒径は、コールターカウンターTA−II型或いはコールターマルチサイザー(コールター社製)等種々の測定装置での測定から求めることができる。これらの測定装置を用いると、トナーの個数平均粒径を求めることも可能である。具体的には、下記のように測定できる。
コールターマルチサイザー(コールター社製)と、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)と、PC9801パーソナルコンピューター(NEC製)とを接続し、一方で1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。このように調製される電解液の代わりに、例えばISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)を用いても良い。
測定手順は以下の通りである。前記電解液を100〜150ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液を、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記コールターマルチサイザーにより、アパーチャーを用いて、2μm以上のトナー粒子の体積、個数を測定して、体積分布と個数分布とを算出する。それから、本発明に係わる所の体積分布から求めた体積基準の重量平均粒径(D4)を求める。なお、個数平均粒径は、個数分布から求めた個数基準の平均粒径として求められる。
前記重量平均粒径は、トナーの分級や、所定の粒径について前記トナーを分級した分級品の混合によって調整することが可能である。後述する重合法によって得られる粒子であれば、その分散安定剤の量により調整することが可能である。
次に本発明に用いられるトナーの形状について述べる。
本発明に用いられるは、平均円形度が0.950〜0.995である。平均円形度が0.950〜0.995のトナーは、表面のエッジ部がほとんど無いため、前記回転体等の圧接部において摩擦が低減され、前記回転体の削れや、トナー粒子の前記回転体に対する融着が抑制される。
この平均円形度が0.950〜0.995であると、トナー粒子の多くが真球に近い形状を有することを意味しており、上記作用がより一層顕著になり、定着に与える悪影響は小さくなり、転写効率も非常に高いものなる。
加えて平均円形度が0.950〜0.995のトナーを用いることにより、トナーとして密に詰まった状態で転写されるために、前述した表面加熱方式の定着装置において、回転体上により均一にトナーが接触することが可能となるため、トナー間に存在する空気の影響も小さく、定着性が改善され、高速定着時のスリップにおいても効果を発揮する。
一方、0.950未満のトナーにて多くの枚数を印字すると、トナーのエッジ部により前記回転体の部分的な摩滅が生じ、それに対応して転写材が受ける圧力に差が生じてしまう。その結果、得られる画像にグロスの異なる部分が発生し、画像中のグロスムラとして表れることがある。
さらに、0.950未満のトナーは、表面にエッジが多く存在するため、前記回転体と前記対向部材とによって形成されるニップ部に未定着トナー像を有する転写材が通過する時に前記回転体が受ける圧力はこのエッジの当接箇所に集中する。それによって、前記回転体の摩滅を加速させたり、前記回転体へのトナー融着を生じたりすることがある。トナーが回転体に融着した場合には、定着画像のグロスムラのみならず、定着画像を汚したり、本体起動時に融着トナーのみ加熱され、温度が上がりきっていない前記対向部材に前記融着トナーが移行して、画像の裏面(両面画像プリントモードの場合は第一面)を汚したりすることがある等、好ましくない。
平均円形度が0.995を超えるトナーから構成されるトナーは、円形度が非常に高いために、画像形成装置における感光体等のクリーニング性が落ちてしまうことがあり、好ましくない。
トナーの平均円形度は、トナーの投影像に基づいて以下の式(1)より求められる円形度の、以下の式(2)より求められる平均値である。前記平均円形度は、トナーの表面形状の凹凸の度合いの指標であり、トナーが完全な球形の場合は1.000を示し、トナーの表面形状が複雑になるほど平均円形度は小さな値を示す。
Figure 2005300611
Figure 2005300611
前記平均円形度は、例えば東亜医用電子製フロー式粒子像分析装置「FPIA−1000」を用いて測定することができる。
具体的な測定方法としては、界面活性剤を約0.1mg溶解している水10mlにトナー約5mgを分散させて分散液を調製し、超音波(20kHz、50W)を分散液に5分間照射し、分散液濃度を5,000〜2万個/μlとして、前記装置により測定を行い、3μm以上の円相当径の粒子群の円形度を測定し、平均円形度を求める。
なお、この測定方法において、3μm以上の円相当径の粒子群についてのみ円形度を測定する理由は、3μm未満の円相当径の粒子群にはトナー粒子とは独立して存在する前記外添剤の粒子群も多数含まれ、その影響によりトナー粒子群についての円形度が正確に見積もれないことを防止するためである。
また、前記「FPIA−1000」では、各粒子の円形度を算出後、平均円形度の算出に当たって、円形度0.40〜1.00を上記の如く61分割したクラスに分け、分割点の中心値と頻度を用いて粒子の円形度を求め、平均円形度を算出している。この算出法で算出される平均円形度の各値と、上述した式(1)及び(2)から算出される平均円形度の各値との誤差は、非常に少なく、実質的には無視出来る程度のものであるので、本発明においては、前述したような算出方法を用いても良い。このように、前記平均円形度の測定では、算出時間の短絡化や算出演算式の簡略化の如きデータの取り扱い上の理由で、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式の概念を利用し、一部変更したこのような算出法を用いても良い。
前記平均円形度は、トナー粒子の製造方法として重合法を採用することや、機械的衝撃や熱的衝撃等によってトナー粒子の円形度を制御する処理を行うこと等により調整することが可能である。
本発明に用いられるトナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤及びワックス成分を含有するトナー粒子と無機微粒子とを有する。前記トナーの物性を実現することができるものであれば、前記トナーの材料には特に限定はなく、公知の材料を用いることができる。
前記結着樹脂は、スチレン−アクリル化合物を主成分とする。結着樹脂は、スチレン−アクリル化合物を最も多く含有するのであれば、その組成は特に限定されず、スチレン−アクリル化合物のみから構成されていても良いし、その他の樹脂を副成分として含むものであっても良い。
前記スチレン−アクリル化合物としては、スチレン及びその誘導体と、(メタ)アクリル酸及びそのエステル等の誘導体とが化学的に結合してなる化合物であれば特に限定され
ない。このようなスチレン−アクリル化合物としては、例えばスチレン系化合物とアクリル酸系化合物とを単量体とするオリゴマーやコポリマー等が挙げられる。
前記トナー粒子には、着色力を付与するために着色剤を必須成分として含有する。本発明に好ましく用いられる着色剤としての有機顔料又は有機染料としては以下のものが挙げられる。
シアン系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー7、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー66等が挙げられる。
マゼンタ系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物等が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントレッド23、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド169、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド254等が挙げられる。
イエロー系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物等が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー62、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー111、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー127、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー147、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー174、C.I.ピグメントイエロー175、C.I.ピグメントイエロー176、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー181、C.I.ピグメントイエロー191、C.I.ピグメントイエロー194等が挙げられる。
これらの着色剤は、単独又は混合した状態、さらには固溶体の状態で用いることができる。前記着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、トナーへの分散性の点から選択される。前記着色剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対し1〜20質量部で
ある。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、上記イエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたもの等が用いられる。
黒色着色剤として磁性体を用いた場合には、他の着色剤と異なり、結着樹脂100質量部に対し30〜200質量部が添加される。
磁性体としては、鉄、コバルト、ニッケル、銅、マグネシウム、マンガン、アルミニウム、ケイ素等の元素を含む金属酸化物等がある。中でも四三酸化鉄、γ−酸化鉄等、酸化鉄を主成分とするものが好ましい。また、前記磁性体には、トナー帯電性コントロールの観点から、ケイ素元素又はアルミニウム元素等の他の金属元素を含有していても良い。これら磁性体の粒子は、窒素吸着法によるBET比表面積が2〜30m2/g、特に3〜2
8m2/gが好ましく、またモース硬度が5〜7の磁性粉が好ましい。
磁性体の形状としては、八面体、六面体、球体、針状、鱗片状等があるが、八面体、六面体、球体、不定型等の異方性の少ない形状であることが、画像濃度を高める上で好ましい。磁性体の平均粒径としては0.05〜1.0μmが好ましく、さらに好ましくは0.1〜0.6μmであり、さらには0.1〜0.3μmがより一層好ましい。
本発明において、後述する重合法を用いてトナーを得る場合には、着色剤の持つ重合阻害性や水相移行性に注意を払う必要があり、好ましくは、表面改質、例えば重合阻害のない物質による疎水化処理、を施しておいたほうが良い。特に、染料系やカーボンブラックは、重合阻害性を有しているものが多いので、使用の際に注意を要する。染料系を表面処理する好ましい方法としては、あらかじめこれら染料の存在下で重合性単量体を重合せしめる方法が挙げられ、得られた着色重合体を単量体系に添加する。
また、カーボンブラックについては、上記染料と同様の処理の他、カーボンブラックの表面官能基と反応する物質、例えば、ポリオルガノシロキサン等で処理を行っても良い。
前記トナー粒子には、ワックス成分が含まれる。転写材上に転写されたトナー像は、その後、熱及び圧力等のエネルギーにより転写材上に定着され、半永久的画像が得られる。この際、熱ロール式定着やフィルム式定着が一般に良く用いられるが、トナー粒子に前記ワックス成分を含有させ、かつ前述した表面加熱方式の定着装置を用いる事により、グロスムラ等のムラを発生しない画像を提供できる。
前述のように、重量平均粒径が10μm以下のトナー粒子を用いれば、非常に高精細な画像を得ることができるが、粒径の細かいトナー粒子は、紙等の転写材を使用した場合に、紙の繊維の隙間に入り込み、前記回転体からの熱の受け取りが不十分となり、低温オフセットが発生しやすい。しかしながら、本発明に用いられるトナーにおいて、適正量の前記ワックス成分を含有させることにより、高解像性と耐オフセット性とを両立させることが可能となる。
前記ワックス成分としては、各種のワックス等、例えばパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等の石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレンに代表されるポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス及びその誘導体等が挙げられる。これらの誘導体には、酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。さらには、高級脂肪族アルコール、ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸、或いはその化
合物、酸アミドワックス、エステルワックス、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物系ワックス、動物性ワックス等が挙げられる。
前記ワックス成分の含有量は、結着樹脂100質量部に対して0.5〜50質量部の範囲が好ましい。含有量が0.5質量部未満では低温オフセット抑制効果に乏しく、50質量部を超えてしまうと長期間の保存性が悪化すると共に、他のトナー材料の分散性が悪くなり、トナーの流動性の悪化や画像特性の低下につながることがある。
本発明に用いられるトナーは、示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において、昇温測定時に20〜200℃の領域に吸熱ピークがあり、40〜150℃に最大吸熱ピークを有するものが好ましい。また、示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において、降温測定時において20〜200℃の領域に発熱ピークがあり、40〜150℃に最大発熱ピークを有するものがより好ましい。
上記温度領域に吸熱ピーク及び最大吸熱ピークを有すると、低温定着に大きく貢献しつつ、離型性をも効果的に発現し、前述した表面加熱方式の定着装置とのマッチングを良好にする上で好ましい。前記吸熱ピークが20℃未満で前記最大吸熱ピークが40℃未満に存在すると、ワックス成分の自己凝集力が弱くなり、トナーの高温オフセット性が著しく損なわれ、トナーの流動性、保存性、さらに転写性も劣るようになることがある。前記吸熱ピークが200℃を越え前記最大吸熱ピークが150℃を越えて存在すると、トナーの低温定着性が著しく損なわれ、定着温度の上昇をもたらすことがある。特にフルカラー画像を形成するためのカラートナーの場合においては、各色トナーの定着時の混色性が低下し、色再現性に乏しく、さらにOHP画像の透明性が低下することがある。またトナー印字率の多い画像時の定着性に劣ることがある。
ワックス成分又はトナー(トナー粒子)の最大吸熱ピーク温度の測定は、「ASTM D 3418−8」に準じて行うことができる。測定には、例えばパーキンエルマー社製DSC−7が用いられる。トナーのガラス転移点を測定する際も同様の装置を用いることができる。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。測定サンプルにはアルミニウム製のパンを用い、対照用に空パンをセットし、昇温速度10℃/minで測定を行う。
前記吸熱ピーク及び前記最大吸熱ピークは、前述した範囲に適当なピークを有するワックス成分を用いることによって調整することが可能である。このように、トナーの前記吸熱ピーク及び前記最大吸熱ピークと前記ワックス成分の前記吸熱ピーク及び前記最大吸熱ピークとは実質的に同じである。
また、後述する硫黄原子を有する樹脂や結着樹脂、又はトナー粒子のガラス転移温度(Tg)は、前述した最大吸熱ピークと同様に測定することができる。ガラス転移温度の測定であれば、二度目の昇温時のDSCカーブより、吸熱ピーク前の基線と吸熱ピーク後の基線の中線と、立ち上がり曲線での交点における温度をTgとする。
本発明に用いられるトナーには、荷電特性を安定化するために荷電制御剤を配合しても良い。荷電制御剤は、その種類等に応じて、トナー粒子中に添加することもできるし、トナー粒子に外添することもできる。荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が、現像システムに応じた最適の摩擦帯電量のコントロールを実現する上で好ましい。さらに、直接重合法を用いてトナーを製造する場合には、重合阻害性が低く、水系分散媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。しかしながら、本発明に用いるトナーには、荷電制御剤の添加は必須ではなく、現像工程において、トナーの層厚規制部材やトナー担持
体との摩擦帯電を積極的に利用することで、トナー中に必ずしも荷電制御剤を含む必要はない。
本発明に用いられるトナーは、帯電に対して影響の高い硫黄元素の量と、帯電を阻害する、即ちリークサイトとして機能しうるマグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、アルミニウム及びリンからなるグループより選ばれる少なくとも一種の元素(以下、「グループ1元素」とも略す)の量との関係が、硫黄元素の含有量を(S)、グループ1元素の含有量を(T)としたときに、T/Sの値が0.5以上4.5以下の範囲を有している事が好ましい。この事は、定着における静電オフセット及びクリーニング不良の抑制とトナー飛散の抑制との両立を図る上でより好ましい。
これは、主としてリークサイトとして機能するグループ1元素と、帯電サイトとして機能する硫黄元素との存在量のバランスが、一定の粒径範囲及び一定の平均円形度範囲にあるトナーの定着静電オフセット及びクリーニング不良の抑制とトナー飛散の抑制との両立に大きく関与しているためである。
T/Sが0.1より小さい場合には、リークサイトとして機能するグループ1元素量に対する硫黄元素量が少ないため、チャージアップの傾向が強くなり、過帯電した成分により、定着静電オフセットやクリーニング不良が発生しやすくなると共に画質が低下することがある。一方、T/Sが4.5を越えると、リークサイトとして機能する成分であるグループ1元素が多くなるため、トナーの帯電量が電子写真プロセスに必要とされる適正値に達しないので、トナー飛散や画質の低下が起こることがある。このT/Sの値を制御するためには、トナー粒子中に導入する硫黄元素量、グループ1元素量のコントロールにより達成することが可能である。
前記前記トナー粒子中のこれらの元素の含有量は、これらの元素を含有するトナー粒子の原料の使用や、これらの元素を含有し、トナー粒子の製造に用いられる各種材料の使用、及びその使用量によって調整することが可能である。硫黄元素を含有するトナー粒子の原料や製造用の各種材料としては、例えばスルホン酸基等の硫黄原子を含有する置換基を有する樹脂、ワックス成分、スルホン酸基等の硫黄原子を含有する置換基を有する界面活性剤等が挙げられる。また、前記グループ1元素を含有するトナー粒子の原料や製造用の各種材料としては、例えば一般に金属石鹸と呼ばれる脂肪酸塩を含むワックス成分、荷電制御剤や、後述する懸濁重合法で用いられる無機分散剤等が挙げられる。
前記T/Sは、トナー粒子表面に存在する硫黄元素やグループ1元素を定量することによって求めることができる。トナー粒子表面に存在する硫黄元素含有量(S)とグループ1元素含有量(T)は、トナー粒子の表面組成分析によって測定することができ、例えばESCA(X線光電子分光分析)を用いることができる。より具体的には、ESCAの装置及び測定条件は、下記の通りである。
使用装置:PHI社製 1600S型 X線光電子分光装置
測定条件:X線源 MgKα(400W)
分光領域:800μmφ
本発明では、測定された各元素のピーク強度から、PHI社提供の相対感度因子を用いて表面原子濃度を算出する。本測定では、トナーを超音波洗浄し、トナー粒子表面に付着している外添剤を除去した後、トナー粒子と外添剤とを磁気力にて分離し、乾燥してから測定することが好ましい。
また、本発明に係わるトナーにおいて好適な懸濁重合等の製造方法においては、高分子タイプの荷電制御剤と無機分散剤として使用されるグループ1元素を含有する化合物との
相互作用によりT/Sが決まる。この系においては、硫黄元素量を一定にしても、硫黄元素の存在状態の分布によりT/Sの値が変化しうる。
例えば、隣接する帯電サイト同士の距離が短く、近傍に存在する帯電サイトの濃度が高い荷電制御剤成分の比率が高い場合、その成分は隣接する帯電サイト同士の距離が短いことに起因して、グループ1元素と接触すると、強い相互作用により、それらのグループ1元素を包み込む傾向が有り、T/S値が大きくなる。この傾向が顕著になると、前述のグループ1元素が露出しなくなり、それら元素の帯電に関する特性の一つである電荷のリークが行われなくなり、リークサイトとしての機能が失われることがある。その結果、チャージアップを引き起こす傾向となり、定着での静電オフセットはより顕著になることがある。さらに、荷電制御剤の帯電サイトの多くが前述の元素と相互に作用するため、帯電制御に関与する帯電サイトが減少し、帯電量の制御機能が失われ、高湿環境下では帯電量低下によりトナー飛散を引き起こしたり、低湿環境下ではチャージアップを引き起こし、またクリーニング不良を誘発したりすることもある。
一方、隣接する帯電サイト同士の距離が適度な距離となると、グループ1元素との相互作用が小さくなり、それら元素が高分子タイプの荷電制御剤に包み込まれることなく、帯電サイトが有効に機能し、かつそれらのグループ1元素の残留量も減少する。また、高分子タイプの荷電制御剤中における帯電サイトのうち、前述の元素と相互に作用しやすい部位は、帯電サイト濃度が高い傾向にあるため、帯電サイトの集中によるトナーの帯電量分布の広がりをも抑制するものと発明者らは考えている。
しかし、完全に均一になってしまうとグループ1元素が硫黄元素との相互作用が小さくなり、グループ1元素量が少なくなりT/Sも小さくなり、リークサイトが不足してチャージアップし、定着静電オフセットやクリーニング不良の発生、画質の低下が顕著となる。本発明者らは、これらの現象を総合的に把握し、画質の低下を抑制する範囲を規定する上でT/Sを定義した。
しかも、後述する懸濁重合法では、極性が高いものほどトナー粒子の表面に存在する傾向があり、硫黄元素を有する樹脂がトナー粒子の表面に存在すると、前述の効果がより明確に発現される。
本発明に用いられるトナー粒子は、重合法によって得られる粒子であるのが好ましい。本発明に用いられるトナーは、粉砕法によって製造することも可能であるが、この粉砕法で得られるトナー粒子は一般に不定形のものであり、本発明に用いられるトナーの必須要件である平均円形度が0.950〜0.995という物性を得るためには、機械的、熱的或いは何らかの特殊な処理を行うことが必要となる。
そこで、上述の諸問題を解決するため、本発明に用いられるトナーにおいては、トナー粒子を重合法により製造することが好ましい。トナー粒子の重合法としては、直接重合法、懸濁重合法、乳化重合法、乳化会合重合法、シード重合法等の公知の重合法が挙げられるが、これらの中では、粒径と粒子形状のバランスのとりやすさという点で、特に懸濁重合法が好ましい。
懸濁重合法とは、重合性単量体及び着色剤(更に必要に応じて重合開始剤、架橋剤、荷電制御剤、その他の添加剤)を均一に溶解又は分散せしめて単量体組成物とした後、この単量体組成物を、分散安定剤を含有する連続層(例えば水相)中に適当な撹拌器を用いて分散し、同時に重合反応を行わせ、所望の粒径を有するトナー粒子を得るものである。この懸濁重合法で得られるトナー粒子は、個々のトナー粒子の形状がほぼ球形に揃っているため、平均円形度が0.950〜0.995という物性要件を満たすトナーが得られやす
く、さらにこういったトナーは帯電量の分布も比較的均一となるため、高い転写性を有している。
さらに、懸濁重合して得られた微粒子に再度、重合性単量体と重合開始剤を添加して表面層を設けるコア・シェル構造も必要に応じて設計することが可能である。
次に本発明に用いられるトナーの懸濁重合法による製造方法を説明する。
本発明に用いられるトナーを懸濁重合法で製造する場合、使用される重合性単量体としては以下のものが挙げられる。
前記重合性単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレン等のスチレン系単量体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−n−プロピル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸−2−クロロエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類;、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸−n−プロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル類;その他のアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等の単量体等が挙げられる。
これらの重合性単量体は、単独、又は混合して使用し得る。上述の重合性単量体の中でも、スチレン又はスチレン誘導体を単独で、或いはほかの重合性単量体と混合して使用することが、トナーの現像特性及び耐久性の点から好ましい。
懸濁重合法でのトナー粒子の製造においては、重合性単量体系に樹脂を添加して重合しても良い。
例えば、単量体では水溶性のため、水性懸濁液中では溶解して乳化重合を起こすので使用できないアミノ基、カルボン酸基、水酸基、グリシジル基、ニトリル基等、親水性官能基を有する単量体成分をトナー粒子中に導入したい時には、これらとスチレン或いはエチレン等ビニル化合物とのランダム共重合体、ブロック共重合体或いはグラフト共重合体等、共重合体の形にして、或いはポリエステル、ポリアミド等の重縮合体、ポリエーテル、ポリイミン等重付加重合体の形で使用が可能となる。こうした極性官能基を含む高分子重合体をトナー粒子中に共存させると、前述のワックス成分を相分離させ、より内包化が強力となり、耐オフセット性、耐ブロッキング性、低温定着性の良好なトナーを得る上でより好ましい。
また、材料の分散性や定着性、或いは画像特性の改良等を目的として、上記以外の樹脂を重合性単量体系中に添加しても良い。このような場合に用いられる樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレ
ン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独で、或いは混合して使用することができる。
これらの樹脂の添加量としては、重合性単量体100質量部に対し1〜20質量部が好ましい。1質量部未満では添加効果が小さく、一方20質量部を超えるとトナー粒子の種々の物性設計が難しくなることがある。
さらに、前記重合性単量体を重合して得られるトナー粒子の分子量範囲とは異なる分子量の重合体を単量体中に溶解して重合すれば、分子量分布の広い、耐オフセット性の高いトナー粒子を得ることができる。
前記懸濁重合法において使用される重合開始剤としては、重合反応時に半減期0.5〜30時間であるものを、重合性単量体100質量部に対し0.5〜20質量部の添加量で重合反応を行うと、分子量1万〜10万の間に極大を有する重合体を得、トナーに望ましい強度と適当な溶融特性を与えることができる。重合開始剤例としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系又はジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
前記懸濁重合法でトナー粒子を製造する際は、架橋剤を添加しても良い。好ましい添加量としては、0.001〜15質量%である。
前記懸濁重合法でトナー粒子を製造する際は、分子量調整剤を使用することができる。分子量調整剤としては、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素類;α−メチルスチレンダイマー等を挙げることができる。これらの分子量調整剤は、重合開始前或いは重合途中に添加することができる。分子量調整剤は、重合性単量体100質量部に対して、通常、0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部の割合で用いられる。
前記懸濁重合法では、一般に前述したトナー粒子の原料、すなわち重合性単量体中に、スルホン酸基を有する重合体、磁性体、ワックス成分、荷電制御剤、架橋剤等のトナー粒子として必要な成分及びその他の添加剤、例えば重合反応で生成する重合体の粘度を低下させるために入れる有機溶媒、高分子重合体、分散剤等を適宜加えて、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、超音波分散機等の分散機によって均一に溶解又は分散せしめた重合性単量体組成物を、分散安定剤を含有する水系媒体中に懸濁する。
この時、高速撹拌機もしくは超音波分散機のような高速分散機を使用して一気に所望のトナー粒子のサイズとなるように重合性単量体組成物を分散すると、得られるトナー粒子の粒径がシャープになる。重合開始剤を添加する時期としては、重合性単量体中に他の添
加剤を添加する時に同時に加えても良いし、重合性単量体組成物を水系媒体中に懸濁する直前に混合しても良い。また、造粒直後、重合反応を開始する前に重合性単量体組成物或いは溶媒に重合開始剤を溶解して加えることもできる。
造粒後は、通常の撹拌機を用いて、粒子状態が維持され、且つ粒子の浮遊、沈降が防止される程度の撹拌を行えば良い。
懸濁重合法でトナー粒子を製造する場合には、分散安定剤として公知の界面活性剤や有機或いは無機の分散剤を用いることができる。中でも無機分散剤が、有害な超微粉を生じ難く、その立体障害性により分散安定性を得ているので、反応温度を変化させても安定性が崩れ難く、洗浄も容易でトナーに悪影響を与え難いので、好ましく使用できる。こうした無機分散剤の例としては、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛等のリン酸多価金属塩;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機塩;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、ベントナイト、アルミナ等の無機酸化物等が挙げられる。
これらの無機分散剤は、重合性単量体100質量部に対して0.2〜20質量部を単独で使用しても良く、粒度分布を調整する目的で0.001〜0.1質量部の界面活性剤と併用しても良い。界面活性剤としては、例えばドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等が挙げられる。
これら無機分散剤を用いる場合には、そのまま使用しても良いが、水系媒体中にて前記無機分散剤粒子を生成させると、より細かい粒子を得ることができる。例えば、リン酸カルシウムの場合、高速撹拌下、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液とを混合して、水不溶性のリン酸カルシウムを、より均一で細かく分散した状態で生成させることができる。
この時、同時に水溶性の塩化ナトリウム塩が副生するが、水系媒体中に水溶性塩が存在すると、重合性単量体の水への溶解が抑制されて、乳化重合による超微粒トナーが発生し難くなるので、より好都合である。
しかしながら前記水溶性塩は、重合反応終期に、残存する重合性単量体を除去する時には障害となることから、水系媒体を交換するか、イオン交換樹脂で脱塩する等により除去することが好ましい。無機分散剤は、重合終了後に、酸或いはアルカリで溶解することができ、ほぼ完全に取り除くことができる。
重合性単量体組成物の重合においては、重合温度は40℃以上、一般には50〜90℃に設定される。この温度範囲で重合を行うと、内部に封じられるべきワックス成分が相分離により析出して、ワックス成分の内包化がより完全となる。残存する重合性単量体を消費するために、重合反応終期ならば、反応温度を90〜150℃にまで上げることは可能である。本発明に用いられるトナーは、重合終了後、得られたトナーを公知の方法によって濾過、洗浄、乾燥を行い、無機微粒子を混合し、トナー粒子の表面に付着させることで得ることができる。また、製造工程に分級工程を入れ、粗粉や微粉をカットすることも、望ましい形態の一つである。
硫黄原子を含有する樹脂をトナー粒子中に配合する場合では、硫黄原子を含有する樹脂をそのままトナー粒子の原料として添加しても良いし、前述した懸濁重合法等の重合法に
よってトナー粒子を製造する場合では、硫黄原子を含有する重合性単量体を前記重合性単量体組成物中に配合しても良い。
前記硫黄原子を含有する樹脂を製造するための含硫黄単量体としては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、メタクリルスルホン酸、下記構造式(1)で示されるマレイン酸アミド誘導体、下記構造式(2)で示されるマレイミド誘導体、及び下記構造式(3)で示されるスチレン誘導体等が挙げられる。
Figure 2005300611
Figure 2005300611
Figure 2005300611
(結合部位はオルト位又はパラ位である。)
前記硫黄原子を含有する樹脂は、上記単量体の単重合体であっても構わないが、上記単量体と他の単量体との共重合体であっても構わない。上記単量体と共重合体をなす単量体としては、ビニル系重合性単量体があり、単官能性重合性単量体或いは多官能性重合性単量体を使用することが出来る。
本発明に使用するトナーの平均円形度、所望の平均粒径を得る上では、上記単量体のうちスルホン酸を有する単量体が好ましく、スルホン酸基含有(メタ)アクリルアミドがより好ましい。
前記硫黄原子を含有する樹脂に含まれる含硫黄単量体の含有量は、0.01〜20質量%の範囲であることが、トナーの適切な帯電特性と平均円形度とを達成する上で好ましい。同様の理由により、0.05〜10質量%の範囲がより好ましく、0.1〜5質量%の範囲がさらに好ましい。
前記単官能性重合性単量体としては、スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンの如きスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、i−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、i−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートの如きアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、i−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートの如きメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニルの如きビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトンの如きビニルケトン等が挙げられる。
前記多官能性重合性単量体としては、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、ジビニルエーテル等が挙げられる。
前記硫黄原子を含有する樹脂を形成する単量体としては、上述の如き単量体を用いることができるが、スチレン誘導体を単量体として含有していることが、より好ましい。
前記硫黄原子を含有する樹脂の製造方法は、塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、イオン重合等があるが、操作性等の面から溶液重合が好ましい。
前記硫黄原子を含有する樹脂のうち、前記スルホン酸基を有する重合体を構成する単量体としては、下記一般式に示す単量体が挙げられる。
[化]
X(SO3 -・mYk+
(Xは前記重合性単量体に由来する重合体部位を表し、Y+はカウンターイオンを表し、
kはカウンターイオンの価数であり、m及びnは整数であり、n=k×mである。)
前記一般式におけるカウンターイオンとしては、水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、アンモニウムイオン等であることが好ましい。
前記硫黄原子を含有する樹脂において、スルホン酸基を有する重合体の酸価(mgKOH/g)は3乃至80が好ましい。より好ましくは5乃至40が良い。さらに好ましくは10乃至30が良い。
前記スルホン酸基を有する重合体の酸価が3未満の場合には、本発明で言及するような十分な荷電制御作用が得られないことがあり、かつ環境特性が悪くなることがある。前記酸価が50を超える場合には、この様な重合体を含有する組成物を用いて、懸濁重合で粒子を造る場合、トナー粒子がいびつな形状を有する様になり、トナーの平均円形度が小さくなってしまい、含有するワックス成分がトナー粒子の表面に現れ、現像性の低下を引き起こすことがある。
前記硫黄原子を含有する樹脂は、結着樹脂100質量部当たり0.05乃至20質量部含有されていることが良い。好ましくは0.1乃至10質量部が良い。前記硫黄原子を含有する樹脂の含有量が0.05質量部未満の場合には、本発明で言及するような十分な荷電制御作用が得られにくく、20質量部を超えると、トナーの平均円形度が低下し、現像性や転写性の低下を引き起こすことがある。トナー粒子中の硫黄原子を含有する樹脂の含有量は、キャピラリー電気泳動法等を用いて測定することができる。
本発明に用いられるトナーには、前述したトナー粒子の他に無機微粒子を有する。本発明では、流動化剤として平均一次粒径4〜80nmの無機微粒子が、トナー全体に対し0.1〜4質量%添加されていることも非常に好ましい使用形態である。無機微粒子は、トナーの流動性の改良及びトナー粒子の帯電の均一化のために添加されるが、無機微粒子を疎水化処理する等の処理によってトナーの帯電量の調整、環境安定性の向上等の機能を付与することも好ましい。
無機微粒子の平均一次粒径が80nmよりも大きい場合、良好なトナーの流動性が得られず、トナー粒子への帯電付与が不均一になり易く、低湿下での摩擦帯電性の不均一化につながるため、カブリの増大、画像濃度の低下或いは耐久性の低下等の問題が生じやすくなる。また前記回転体への微細欠損についても生じやすくなる。
無機微粒子の平均一次粒径が4nmよりも小さい場合には、無機微粒子同士の凝集性が強まり、一次粒子ではなく、解砕処理によっても解れ難い強固な凝集性を持つ粒度分布の広い凝集体として挙動し易く、この凝集体の現像、像担持体或いはトナー担持体、前記回転体等を傷つけること等による画像欠陥を生じ易くなる。トナー粒子の帯電分布をより均一とするためには、無機微粒子の平均一次粒径は6〜35nmであることがより好ましい。
無機微粒子の平均一次粒径は、走査型電子顕微鏡により拡大撮影したトナーの写真で、更に走査型電子顕微鏡に付属させたXMA等の元素分析手段によって無機微粒子の含有する元素でマッピングされたトナーの写真を対照しつつ、トナー粒子の表面に付着或いは遊離して存在している無機微粒子の一次粒子を100個以上測定し、個数平均粒径を求めることで測定することができる。また、無機微粒子の含有量は、蛍光X線分析を用い、標準試料から作成した検量線を用いて定量できる。
前記無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、チタニア等が使用できる。例えば、シリカとしては、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成されたいわゆる乾式法又はヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び水ガラス等から製造されるいわゆる湿式シリカの両者が使用可能であるが、表面及びシリカ微粉体の内部にあるシラノール基が少なく、またNa2O、SO3 2-等の製造残滓の少ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカにおいては、製造工程において、例えば塩化アルミニウム、塩化チタン等他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能である。前記乾式シリカは、それらも包含する。
平均一次粒径が4〜80nmの無機微粒子の添加量は、トナー粒子100質量部に対して0.1〜4.0質量部であることが好ましい。添加量が0.1質量部未満ではその効果が十分ではなく、4.0質量部を超えると定着性が悪くなることがある。
前記無機微粒子は、疎水化処理されたものであることが、高湿環境下での特性を向上させ、前記回転体に対する離型性の向上等の機能を付与する上で好ましい。トナーに添加された無機微粒子が吸湿すると、トナーとしての帯電量が著しく低下し、現像性や転写性の低下、そして定着時に水蒸気が多量発生する事により、回転体と前記回転体とニップを形成する対向部材との間に僅かな空隙を生じ、摩擦力で回転するべき回転体と前記回転体とニップ部を形成する対向部材が回転しなくなり、定着ジャムが生じ易くなる。
疎水化処理の処理剤としては、シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物、有機チタン化合物の如き処理剤等が挙げられる。このような処理剤は、を単独で、或いは併用して用いることができる。
その中でも、シリコーンオイルにより処理したものが好ましく、より好ましくは、無機微粒子を疎水化処理すると同時に、或いは処理した後に、シリコーンオイルにより処理したものが、高湿環境下でもトナー粒子の帯電量を高く維持し、選択現像性を低減する上で好ましい。
無機微粒子の処理条件としては、例えば第一段反応としてシリル化反応を行い、無機微粒子の表面の活性水素基を化学結合により消失させた後、第二段反応としてシリコーンオイルにより表面に疎水性の薄膜を形成する条件が挙げられる。シリル化剤の使用量としては、無機微粒子100質量部に対し5〜50質量部が好ましい。5質量部未満では無機微粒子表面の活性水素基を消失させるのに十分でなく、50質量部を超えると、余分なシリル化剤同士の反応で生成するシロキサン化合物が糊の役割となって、無機微粒子同士の凝集が起こり、画像欠陥を生じ易くなる。
上記シリコーンオイルは、25℃における粘度が10〜200,000mm2/sのも
のが好ましく、さらには3,000〜80,000mm2/sのものがより好ましい。シ
リコーンオイルの25℃における粘度が10mm2/s未満では、無機微粒子に安定性が
無く、熱及び機械的な応力により、画質が劣化する傾向がある。200,000mm2
sを超える場合は、均一な処理が困難になる傾向がある。
シリコーンオイルの処理方法としては、例えばシラン化合物で処理された無機微粒子とシリコーンオイルとを、ヘンシェルミキサー等の混合機を用いて直接混合しても良いし、無機微粒子にシリコーンオイルを噴霧する方法を用いても良い。或いは適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解或いは分散せしめた後、無機微粒子を加え混合し溶剤を除去する方法でも良い。無機微粒子の凝集体の生成が比較的少ない点で、噴霧機を用いる方法がより好
ましい。
シリコーンオイルの処理量は、無機微粒子100質量部に対し1〜23質量部、好ましくは5〜20質量部が良い。シリコーンオイルの量が少なすぎると良好な疎水性が得られず、多すぎるとやはり無機微粒子の凝集が起こりやすい。
本発明に用いられるトナーには、クリーニング性の向上等の目的で、一次粒径30nmを超える(好ましくは比表面積が50m2/g未満)、より好ましくは一次粒径50nm
以上(好ましくは比表面積が30m2/g未満)の無機又は有機の球状に近い微粒子をさ
らに添加することも好ましい形態のひとつである。このような微粒子紙としては、例えば球状シリカ粒子、球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子、球状樹脂粒子等が好ましく用いられる。
本発明に用いられるトナーには、実質的な悪影響を与えない範囲内で更に他の添加剤を添加することができる。このような他の添加剤としては、例えばフッ素樹脂粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末の如き滑剤粉末;或いは酸化セリウム粉末、炭化ケイ素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末等の研磨剤;或いは例えば酸化チタン粉末、酸化アルミニウム粉末等の流動性付与剤;ケーキング防止剤;また、逆極性の有機微粒子及び無機微粒子を現像性向上剤として少量用いることもできる。これらの添加剤も表面を疎水化処理して用いることも可能である。
本発明では、加熱定着装置として、転写材を挿通して加熱するニップ部と異なる場所で回転体の表面を加熱部材により加熱されることによって熱補給を受ける回転体が、ニップ部に対する転写材の挿通の開始後、一周分回転する前に、回転体を加熱する加熱部材の制御温度を上げることにより、回転体の転写材への熱供給能力を一定に保つことができる。
また、転写材の前記ニップからの排出完了以前に、加熱部材の制御温度を下げる、すなわち転写材排出前に加熱部材の制御温度を戻すと、転写材が挿通されていないときの回転体の温度が上昇することを防ぐことができる。
本発明では、前述した表面加熱方式の定着装置を用い、低温域でも瞬時に溶融し、また高温域においても回転体表面にオフセットしない為の最適な貯蔵弾性率G’を有するトナーを用いることにより、低温定着性を良好にし、又回転体の表面に高温オフセットするトナーが前記加熱部材へ蓄積されることを防ぐ事ができる等、様々な定着不良を抑制することができる。
また、トナーは結着樹脂中にマグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、アルミニウム及びリンからなるグループより選ばれる少なくとも一種の元素を含有し、上記元素含有量の合計と硫黄元素の含有量の比が0.1以上4.5以下の範囲を有することにより、定着静電オフセットやクリーニング不良等を抑制した画像形成方法を提供することができる。
上記作用により、前記加熱装置の立ち上げ時間を短縮した省エネ定着装置として前記表面加熱方式の定着装置を用いた場合にも、前述したトナーを組み合わせて使用することにより、グロスムラ等の不均一な画像を発生せず、また定着回転体の温度が上昇した場合でもオフセットしない画像形成装置を提供することができる。
以下、本発明を製造例及び実施例により具体的に説明するが、これは本発明をなんら限定するものではない。なお、以下の配合における部数は全て質量部である。
(製造例1)
先に極性重合体の製造例を示す。
還流管、撹拌機、温度計、窒素導入管、滴下装置及び減圧装置を備えた加圧可能な反応容器に、溶媒としてメタノール250部、2−ブタノン150部、及び2−プロパノール100部、モノマーとしてスチレン82部、アクリル酸−2−エチルヘキシル10部、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸8部を添加し、撹拌しながら還流温度まで加熱した。重合開始剤であるt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート1部を2−ブタノン20部で希釈した溶液を、30分かけて滴下して5時間撹拌を継続し、さらにt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート1部を2−ブタノン20部で希釈した溶液を、30分かけて滴下して、更に5時間撹拌して重合を終了した。さらに、温度を維持したまま脱イオン水を500部添加し、有機層と水層の界面が乱れないように毎分80〜100回転で2時間撹拌した後に、30分静置して分層した後に、水層を廃棄し、有機層に無水硫酸ナトリウムを添加し、脱水した。
次に、有機層から重合溶媒を減圧留去した後に得られた重合体を、150メッシュのスクリーンを装着したカッターミルを用いて100μm以下に粗粉砕した。得られた極性重合体はTg約75℃であった。得られた極性重合体を極性重合体1とする。
次にトナーの製造例を示す。
イオン交換水400質量部に、0.1M−Na3PO4水溶液450質量部を投入し、50℃に加温した後、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、10,000rpmにて撹拌した。これに1.0M−CaCl2水溶液68質量部を添加し、リン酸カルシ
ウム塩を含む水系媒体を得た。
一方、
スチレン 83質量部
n−ブチルアクリレート 17質量部
C.I.ピグメントブルー15:3 5質量部
極性重合体1 1質量部
飽和ポリエステル 10質量部
(酸価10mgKOH/g、ピーク分子量11,000)
エステルワックス(吸熱ピーク=66℃) 12質量部
ジビニルベンゼン 0.2質量部
上記処方を60℃に加温し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、5,000rpmにて均一に溶解、分散した。これに、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)3.5質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
前記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃、N2雰囲気下において、
TK式ホモミキサーにて11,000rpmで撹拌し、重合性単量体組成物を造粒した。
その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ、5時間経過時に昇温速度40℃/hrで80℃に昇温し、5時間反応させた。重合反応終了後、減圧下で残存モノマーを留去し、冷却後、塩酸を加えpHを1.4にし、6時間撹拌することでリン酸カルシウム塩を溶解した。その後、ろ過、イオン交換水による水洗、乾燥をして、トナー粒子(1)を得た。
このトナー粒子100質量部に対し、流動向上剤として、ヘキサメチルジシラザンで処理した後にシリコーンオイルで処理した疎水性シリカ微粉体(BET:180m2/g、
平均一次粒径:30nm)1.5質量部をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で5分間乾式混合して、本発明のトナー1とした。
東亜医用電子株式会社製のフロー式粒子像測定装置を用いて、トナー1の重量平均粒径及び平均円形度を算出したところ、それぞれ6.8μm及び0.984であった。
表1にトナーの物性値を示す。なお、表中「St」はスチレンを示し、「Ac」はn−ブチルアクリレートを示す。
Figure 2005300611
(製造例2)
極性重合体の量を2質量部としたこと以外は、製造例1と同様にした。本製造例によるトナーをトナー2とした。
(製造例3)
極性重合体の量を4質量部とし、流動向上剤のシリカ微粉体の平均一次粒径を60nmにしたこと以外は、製造例1と同様にした。本製造例によるトナーをトナー3とした。
(製造例4、5)
極性重合体の量をそれぞれ0質量部、8質量部としたこと以外は、製造例1と同様にした。本製造例によるトナーをトナー4、5とした。
(製造例6)
スチレンとn−ブチルアクリレートの部数をそれぞれ85質量部、15質量部とし、極性重合体の量を3質量部とし、リン酸カルシウム塩の量を減らすことにより平均粒径を調整する以外は、製造例1と同様にした。本製造例によるトナーをトナー6とした。
(製造例7)
スチレンとn−ブチルアクリレートの部数をそれぞれ85質量部、15質量部とし、極性重合体の量を4質量部とし、リン酸カルシウム塩の量を増やすことにより平均粒径を調整する以外は、製造例1と同様にした。本製造例によるトナーをトナー7とする。
(製造例8)
スチレンとn−ブチルアクリレートの部数をそれぞれ80質量部、20質量部とし、極性重合体を4質量部用い、初期反応開始温度を65℃とし、流動向上剤のシリカ微粉体に平均一次粒径5nmのものを使用する以外は、製造例1と同様にした。本製造例によるトナーをトナー8とした。
(製造例9)
スチレンとn−ブチルアクリレートの部数をそれぞれ80質量部、20質量部とし、極性重合体を入れず、初期反応開始温度を70℃とし、シリカ微粉体に平均一次粒径100nmのものを使用する以外は、製造例1と同様にした。本製造例のよるトナーをトナー9とした。
(製造例10)
極性重合体の量を10質量部とし、初期反応開始温度を58℃とする以外は、製造例1と同様にした。本製造例によるトナーをトナー10とした。
(製造例11)
極性重合体の量を2質量部とし、着色剤としてC.I.ピグメントブルー15:3をC.I.ピグメントイエロー174 10質量部にする以外は、製造例1と同様にした。本製造例によるトナーをトナー11とした。
(製造例12)
着色剤として、C.I.ピグメントイエロー174をC.I.ピグメントレッド122
10質量部とする以外は、製造例11と同様にした。本製造によるトナーをトナー12とした。
(製造例13)
着色剤として、C.I.ピグメントレッド122をカーボンブラック(BET:60m2/g)7.5質量部とする以外は、製造例11と同様にした。本製造によるトナーをト
ナー13とした。
<実施例1〜8、比較例1〜5>
トナー1を非磁性一成分系現像剤(1)とし、この現像剤を図3に示すような画像形成装置を用い、高温高湿度条件下(温度30℃、湿度80%RH)及び低温低湿条件下(温度15℃、湿度10%RH)において画像評価を行った。画像形成装置について、以下に説明する。
図3は、非磁性一成分接触現像方式の電子写真プロセスを利用した、1200dpiレーザービームプリンタ(キヤノン製:LBP−840)改造機の概略図である。このレーザービームプリンタの改造機は、感光体31と、感光体31に当接して設けられ感光体31を帯電させる帯電ローラ32と、帯電した感光体31の表面に画像情報に応じたレーザ光33を照射して形成した静電潜像をトナーで現像する現像装置34と、転写時には転写材43を介して感光体31を押圧し、感光体31に形成されたトナー像を電圧の印加により転写材43に転写する転写ローラ39と、トナー像が転写された転写材43を加熱してトナー像を転写材43に定着させる、前述した表面加熱方式の定着装置42と、感光体43に当接するクリーニングブレード40を有し、転写後の感光体31に付着するトナー等の付着物を除去するクリーナ41とを有する。
現像装置34は、トナー38を収容するトナー容器44と、トナー容器44の開口部に回転自在に設けられるトナー担持体35と、トナー容器44内に設けられ、トナー容器44内のトナー38をトナー担持体35に供給する塗布ローラ36と、トナー担持体35に担持されたトナーを規制してトナーの層をトナー担持体35の表面に形成するブレード37と、トナー容器44内のトナー38を攪拌しつつ塗布ローラ36に向けて供給する攪拌装置49とによって構成されている。
前記レーザービームプリンタの改造機は、具体的には前記のLBP−840に以下の(a)〜(h)の部分を改造することにより構成した。
(a)装置の帯電方式を、導電性のゴムローラを感光体に当接して行う直接帯電とし、印加電圧を直流成分(−1200V)とした。
(b)トナー担持体を、カーボンブラックを分散したシリコーンゴムからなる中抵抗ゴムローラ(直径16mm、硬度ASKER−C45度、抵抗105Ω・cm)に変更し、
感光体に当接させた。
(c)トナー担持体の回転方向は、感光体との接触部分において同方向であり、トナー担持体の周速は、感光体の周速に対し140%とした。このような条件で感光体及びトナー担持体を回転駆動させた。
(d)感光体を以下のものに変更した。
ここで用いる感光体としては、Alシリンダーを基体としたもので、これに以下に示すような構成の層を、浸漬塗布により順次積層して、感光体を作製した。
・導電性被覆層:酸化錫及び酸化チタンの粉末をフェノール樹脂に分散したものを主体とする。膜厚15μm。
・下引き層:変性ナイロン及び共重合ナイロンを主体とする。膜厚0.6μm。
・電荷発生層:長波長域に吸収を持つチタニルフタロシアニン顔料をブチラール樹脂に分散したものを主体とする。膜厚0.6μm。
・電荷輸送層:ホール搬送性トリフェニルアミン化合物をポリカーボネート樹脂(オストワルド粘度法による分子量2万)に8:10の質量比で溶解したものを主体とする。膜厚20μm。
(e)トナー担持体にトナーを塗布する手段として、発泡ウレタンゴムからなる塗布ローラを現像器内に設け、トナー担持体に当接させた。塗布ローラには、約−550Vの電圧を印加する。
(f)トナー担持体上のトナーのコート層の制御のために、樹脂をコートしたステンレス製ブレードを用いた。なお、このトナー担持体に対するブレードの当接幅(NE長)は、1.05mmであった。NE長は、前記画像形成装置に用いられるトナー担持体と同径、同硬度、同抵抗を有するゴムローラ表面に市販の塗料をごく薄く塗布し、画像形成装置を仮組みした後、前記ゴムローラを取り外し、光学顕微鏡によりステンレスブレード表面を観察することにより測定した。
(g)現像時の印加電圧をDC成分(−450V)のみとした。
(h)クリーニングブレードの当接圧を初期設定の85%にした。
これらの改造に適合するように、プロセス条件設定を以下のように行った。すなわち、感光体の帯電電位は、暗部電位を−600Vとし、明部電位を−150Vとした。定着装置は、本発明の表面加熱方式の加熱装置に変更し、定着スピードは120mm/sec、定着温度は180℃に設定した。
前記改造機では、ローラ帯電器(直流のみを印加)を用い像担持体を一様に帯電する。帯電に次いで、レーザー光で画像部分を露光することにより静電潜像を形成し、トナーにより可視画像とした後に、電圧を+700V印加したローラによりトナー像を転写材に転写する。
前記改造機を用い、以上の条件で、高温高湿環境(30℃、80%RH)及び低温低湿環境(15℃、10%RH)の環境下にて単色2%の印字比率の画像を5,000枚までプリントアウトに際して、INI(初期)、1,000枚、5,000枚時の単色ハーフトーン画像を出力し、耐オフセット性と耐久安定性の評価を行った。ここで、INIにおいては、定着開始温度の確認として、定着温度を振った確認を行った。また、高温高湿環境下における保存安定性も同時に確認した。さらに、画質の評価として光沢度とカブリについても以下のように評価した。またトナー(2)乃至(13)も同様の方法で評価した。
(耐高温オフセット性)
定着温度を上げ、目視でオフセット現象の発生しない最高温度を高温オフセットフリー温度とし、耐オフセット性の指標とする。その程度に応じて以下の4ランクで評価した。A:高温オフセットフリー温度が210℃以上。
B:高温オフセットフリー温度が200℃以上210℃未満。
C:高温オフセットフリー温度が190℃以上200℃未満。
D:高温オフセットフリー温度が190℃未満。
(定着開始温度)
定着器加熱部の温度を100〜230℃の温度範囲で5℃おきに温調し、定着させ、得られた定着画像を4900N/m2の荷重をかけたシルボン紙で2回摺擦し、摺擦前後の
画像濃度低下率が10%以下となる温度を定着開始温度とする。その程度に応じて以下の4ランクで評価した。
a:定着開始温度が140℃未満。
b:定着開始温度が140℃以上150℃未満。
c:定着開始温度が150℃以上160℃未満。
d:定着開始温度が160℃以上。
(画像グロス差)
クイックスタート性の観点から、低温低湿下でスタート直後から50枚連続通紙時の1枚目と50枚目の平均グロス値の差を評価した。Xerox社製の4024用紙(75g紙、105g紙、リーガルサイズ)又はCLC−SK A3サイズ紙(キヤノン製)上に30mm×30mmサイズの単色ベタのパッチ画像を9ヶ所出力した。得られた画像のグロスムラの程度について、以下の4ランクで評価した。また、本発明に使用した光沢度測定器は、日本電色工業製のPG−3D(入射角θ=75°)を使用し、標準面は光沢度96.9の黒色ガラスを使用した。この時、いずれかの用紙一つでも下記評価を満足しないものがあれば、そのランクを記載した。
A:グロス差が5未満。
B:グロス差が5以上10未満。
C:グロス差が10以上15未満。
D:グロス差が15以上。
(保存安定性/耐久安定性)
高温高湿下の環境におけるトナーの保存安定性、耐久安定性を評価した。評価は、高温高湿下での耐久前後において、トナーのブロッキング具合を確認することにより行った。
ブロッキングは、パウダーテスター(ホソカワミクロン社製)での凝集度測定で確認した。測定方法は、3gのトナーを、100メッシュ、200メッシュ、400メッシュの篩を3段重ね合わせた所に落とし、振幅0.6mmで15秒振動させた時のメッシュONトナー量から下記式によって凝集度を算出した。
[数]
凝集度=(100メッシュONトナー)×5+(200メッシュONトナー)×3+(400メッシュONトナー)×4
また評価は、以下4項目に分けて行った。
A:非常に良好(耐久前後の凝集度の差が3未満)。
B:良好(耐久前後の凝集度の差が3以上6未満)。
C:実用上問題なし(耐久前後の凝集度の差が6以上10未満)。
D:やや難あり(耐久前後の凝集度の差が10以上)。
(画像カブリ)
「REFLECTMETER MODEL TC−6DS」(東京電色社製)により測定したプリントアウト画像の白地部分の白色度と転写紙の白色度との差から、カブリ濃度(%)を算出し、耐久評価終了時の画像カブリを評価した。フィルターは、シアンの場合はアンバーライト、イエローの場合はブルー、マゼンタ及びブラックではグリーンフィルターを用いた。評価は以下の基準によって行った。
A:非常に良好(0.5%未満)。
B:良好(0.5%以上1.0%未満)。
C:実用上問題なし(1.0%以上1.5%未満)。
D:やや難あり(1.5%以上)。
評価結果を表2に示す。いずれの評価項目においても、本発明では、Bランク以上が許容範囲内である。
実施例1、2、6乃至8においては、定着開始温度はいずれも140℃以下であり、ク
イックスタートの観点から好ましく、またグロスムラ、カブリ等の発生もなく、耐オフセット性に優れた画像が得られた。
実施例3、5においては、耐久後半若干のカブリの増加が認められた。他は問題ないレベルであった。
実施例4においては、オフセット画像が若干認められたものの、実用上問題ないレベルであった。
比較例1では、保存安定性、耐久安定性には優れていたが、定着開始温度が160℃以上であり、クイックスタートの観点から実用上問題がある。この影響で、光沢度均一性も損なわれているものと考えられる。
比較例2では、カブリが耐久後半で悪く、また定着開始温度も150℃以上160℃未満であった。
比較例3では、定着開始温度は優れた特性を示したものの、耐オフセット性、保存安定性、耐久安定性が実用上問題のあるレベルで発生した。この影響で、画像光沢度の均一性も損なわれていた。
比較例4では、定着開始温度は優れた特性を示したものの、他のすべての項目で実用上問題のあるレベルであった。
比較例5では、すべての項目で実用上問題のあるレベルであった。
Figure 2005300611
本発明に用いられる表面加熱方式の定着装置の一例の横断面を模型的に示す図である。 本発明に用いられる画像形成装置の一例の構成を概略的に示す図である。 本発明に用いられる画像形成装置の他の例の構成を概略的に示す図である。
符号の説明
1 定着ローラ
1a、3a 芯金
1b、3b シリコーンゴム層
1c、3c PFA樹脂
2 表面加熱ユニット
2a 加熱フィルム
2b セラミックヒータ
2c ヒータホルダ
2d 加圧ステー
3 加圧ローラ
5 サーミスタ
10 定着装置
11 感光体ドラム
12 帯電装置
13 レーザ光学箱
13a レーザ光
13b ミラー
14 四色現像装置
14BK 黒現像器
14C シアン現像器
14M マゼンタ現像器
14Y イエロー現像器
15 転写ローラ
16 中間転写ドラム
17、18 クリーナ
31 感光体
32 帯電ローラ
33 レーザ光
34 現像装置
35 トナー担持体
36 塗布ローラ
37 ブレード
38 トナー
39 転写ローラ
40 クリーニングブレード
41 クリーナ
42 定着装置
43 転写材
44 トナー容器
49 攪拌装置
100 制御回路
101 給電回路
M 駆動手段
N1 定着ニップ
N2 加熱ニップ
P 転写材
t トナー
T1 一次転写部
T2 二次転写部

Claims (5)

  1. 少なくとも(a)静電潜像を担持するための像担持体を帯電させる帯電工程;(b)帯電した像担持体に露光によって静電潜像を形成する露光工程;(c)前記静電潜像をトナー担持体の表面に担持されているトナーによって現像し、前記像担持体の表面にトナー像を形成する現像工程;(d)前記像担持体の表面に形成されたトナー像を中間転写体を介して、又は介さずに転写材に転写する転写工程;及び(e)前記転写材上のトナー像を、回転体と、前記回転体とニップ部を形成する対向部材と、前記ニップ部とは異なる場所で前記回転体の表面部位を加熱する加熱部材と、前記加熱部材の加熱温度を制御する温度制御手段とを有する加熱定着装置を用い、前記トナー像が転写された転写材を前記回転体と前記対向部材とによって挟持して搬送し、前記回転体の熱により加熱して前記トナー像を転写材に定着させる定着工程;を含む画像形成方法において、
    前記トナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤及びワックス成分を含有するトナー粒子と無機微粒子とを有し、100℃における貯蔵弾性率(G’(100℃))に対する80℃における貯蔵弾性率(G’(80℃))の比(G’(80℃)/G’(100℃))が9以上であり、かつ160℃における貯蔵弾性率(G’(160℃))が500〜1×104dN/m2であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるテトラヒドロフラン(THF)可溶分の数平均分子量(Mn)が2,000〜50,000であり、前記テトラヒドロフラン可溶分の重量平均分子量(Mw)2,000〜500,000であり、前記数平均分子量に対する前記重量平均分子量の比(Mw/Mn)が1〜10であり、重量平均粒径(D4)が3〜10μmであり、かつ平均円形度が0.950〜0.995であり、
    前記結着樹脂は、スチレン−アクリル化合物を主成分とすることを特徴とする画像形成方法。
  2. 前記トナー粒子は、硫黄元素と、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、アルミニウム及びリンからなるグループより選ばれる少なくとも一種の元素とを含有し、前記硫黄元素の含有量(S)に対する前記グループに含まれる各元素の含有量の合計(T)の比(T/S)が0.1以上4.5以下であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 前記トナーは、示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において、昇温測定時及び降温測定時におけるそれぞれの最大吸熱ピークが40〜150℃に位置することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成方法。
  4. 前記無機微粒子の平均一次粒径が4〜80nmであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  5. 前記温度制御手段は、前記ニップ部での前記回転体と前記対向部材とによる前記転写材の搬送時に転写材に接触した前記回転体の表面部位が、一周分回転して再び転写材に接触する前に加熱されるように、前記加熱部材の加熱温度を上げることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像形成方法。

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