JP2005299286A - 建築材料及びその製造方法、建造物の施工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 断熱材10は、ガラス発泡板2と、アクリル樹脂とセメントと体質顔料とからなりガラス発泡板2を覆うポリマーセメント4と、を含む構成となっている。このような構成によれば、可とう性に優れ、耐衝撃性に優れたポリマーセメント4でガラス発泡板2を保護することができるので、持ち運び時や取り扱い時にガラス発泡板2の破損をある程度防ぐことができる。また、ポリマーセメント4は耐熱性に優れているので、防火性能が高い。
【選択図】 図1
Description
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、持ち運び時や取り扱い時に壊れにくく、かつ防火性能の高い建築材料及びその製造方法、建造物の施工方法の提供を目的とする。
ここで、前記ガラス発泡体は、例えば直方体のガラス発泡板である。このガラス発泡体(板)は多孔質であり、その表面及び内側に無数の細孔を備えているので、特に断熱性に優れている。また、前記ポリマーセメントを構成する前記樹脂は、例えば、酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、アクリル−スチレン(アクリルスチレン共重合体)系樹脂、EVA(エチレン酢酸共重合体)系樹脂、又はアクリル−ウレタン(アクリルウレタン共重合体)系樹脂の何れか一つである。
また、本発明に係る第2の建築材料は、上述した第1の建築材料において、前記ガラス発泡体は直方体であり、前記ポリマーセメントは、前記ガラス発泡体の表面と、裏面と、側面とを覆っていることを特徴とするものである。
さらに、本発明に係る第1、第2の建築材料によれば、例えば、ポリマーセメントにおける樹脂の割合を所定の範囲内で調整することで、コーンカロリーメーター燃焼試験等の不燃性、又は準不燃性の基準に合格することが可能である。従って、防火地域および内装制限地域において、断熱材として建造物への取り付け施工が可能である。なお、ここでいう建造物とは、家屋、建物等の建築物、その他構造物等を含むものである。
ここで、ポリマーセメント系塗料に含まれる樹脂の形態は、例えば、水溶性、マイクロエマルジョン、ディスパージョン又はエマルジョンの何れか一形態である。ポリマーセメント系塗料は、セメントに水和効果反応を起こさせるため、例えば水系塗料とする。本発明に係る第1の建築材料の製造方法によれば、持ち運び時や取り扱い時に壊れにくく、かつ防火性能の高い建築材料を提供することができる。
本発明に係る第3の建築材料の製造方法は、上述した第1、又は第2の建築材料の製造方法において、前記ポリマーセメント系塗料における前記樹脂の割合を、重量パーセントで15[%]以上、40[%]以下の範囲内とすることを特徴とするものである。
本発明に係る第4の建築材料の製造方法は、上述した第1から第3の建築材料の製造方法の何れか一において、前記ポリマーセメントにおける前記セメントの割合を、重量パーセントで20[%]以上、40[%]以下の範囲内とすることを特徴とするものである。
ここで、所定の接着剤とは、例えば、酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、アクリル−スチレン(アクリルスチレン共重合体)系樹脂、EVA(エチレン酢酸共重合体)系樹脂、又はアクリル−ウレタン(アクリルウレタン共重合体)系樹脂の何れか一つを含有した接着モルタルである。また、建造物の所定部位としては、例えば、モルタルや合板からなる外壁、又は内壁等が挙げられる。本発明に係る建造物の施工方法によれば、本発明に係る建築材料を、例えば、防火地域および内装制限地域で建造物の断熱材として用いることが可能である。
図1は、本発明の実施形態に係る断熱材10の構成例を示す斜視図である。この断熱材10は、例えば、直方体のガラス発泡板2と、このガラス発泡板2を覆うポリマーセメント4、とを含む構成となっている。
このような構成によれば、可とう性に優れ、耐衝撃性に優れたポリマーセメント4でガラス発泡板2を保護できるので、その持ち運び時やその取り扱い時にガラス発泡板2の破損を防ぐことができる。また、ポリマーセメント4は耐熱性に優れているので、従来のアスファルト樹脂を塗布した発泡体と比べて、その防火性能が高い。
次に、上記の方法により完成させた断熱材10を建造物に取り付けて、断熱施工する方法について説明する。ここで、建造物とは、家屋、建物等の建築物、その他構造物等を含むものである。
次に、所定の形状、所定の大きさに成形された断熱材10を施工工事の現場に搬送する。そして、この施工工事の現場で、断熱材10の裏面に接着モルタルを塗布する。ここで、この接着モルタルには、例えば、酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、アクリル−スチレン(アクリルスチレン共重合体)系樹脂、EVA(エチレン酢酸共重合体)系樹脂、又はアクリル−ウレタン(アクリルウレタン共重合体)系樹脂の何れか一つが含まれている。ここでは、例えば、アクリル系樹脂を含有した接着モルタルを使用する。
このように、本発明の実施形態に係る断熱材10及びその製造方法、建造物の断熱施工方法によれば、可とう性に優れ、耐衝撃性に優れたポリマーセメント4でガラス発泡板2を保護できるので、その持ち運び時やその取り扱い時にガラス発泡板2の破損を防ぐことができる。
さらに、断熱材を施工現場に搬送する前に、この断熱材をその取り付け箇所に応じて所定の形状、所定の大きさに前もって成形しておくことが可能である。このような断熱材の建造物への取り付け作業は、例えば左官職のように熟練した技術がなくても行うことが可能である。従って、断熱施工の工期短縮や、断熱施工のコスト低減に貢献することができる。
〔実験1〕
本発明の実施形態で用いるポリマーセメント系塗料における樹脂、セメント、体質顔料のそれぞれの割合(重量パーセント)を変えて、乾燥後のポリマーセメント系塗料(即ち、ポリマーセメント)の曲げ強度と、圧縮強度とを測定した。実験方法は下記の通りである。また、その実験結果を表2に示す。なお、この実験1における樹脂は、アクリル系樹脂である。
(実験方法)
・曲げ強度:JIS R 5201 (5) 強さ試験 (b) 曲げ強さ
・圧縮強度 JIS R 5201 (5) 強さ試験 (a) 圧縮強さ
・塗付後の養生時間 7日間
・養生(乾燥)条件 200[℃]、65[%]RH
・試験機器:曲げ、圧縮強度試験:万能試験機
(実験結果)
表2から明らかなように、曲げ強度に関しては、サンプル1E(樹脂40[%]、セメント30[%]、体質顔料30[%])と、サンプル1F(樹脂50[%]、セメント30[%]、体質顔料20[%])とが大きい。また、圧縮強度に関しては、サンプル1〜サンプル7で大きな差はなかった。曲げ強度のみを考えれば、サンプル1E及びサンプル1Fがベストである。
本発明の実施形態で用いるポリマーセメント系塗料における樹脂、セメント、体質顔料の割合を、重量パーセントでそれぞれ樹脂25[%]、セメント40[%]、体質顔料35[%]に設定した。この設定条件で、樹脂のガラス転移温度(Tg)を10[℃]〜−50[℃]の範囲内で変えて、乾燥後のポリマーセメント系塗料(即ち、ポリマーセメント)の曲げ強度を測定し、かつ、ポリマーセメント表面のべたつき度を確認した。実験方法は下記の通りである。また、その実験結果を表3に示す。なお、この実験2における樹脂は、アクリル系樹脂である。
(実験方法)
・曲げ強度:実験1と同様。
・べたつき度:指触にてべたつき度を判定。◎、○、△、×で表した。
(◎はべたつき度が小さく、×はべたつき度が大きい。)
(実験結果)
ガラス転移温度が0[℃]より大きい場合には、ポリマーセメントのべたつき度(即ち、粘着性)が小さ過ぎ、ガラス発泡体とポリマーセメントとの密着性を担保できないおそれがある。また、ガラス転移温度が−30[℃]より小さい場合には、ポリマーセメントのべたつき度が大き過ぎ、ポリマーセメントの表面に汚れ等が付着し易い。このため、本発明の建築材料には、ガラス転移温度が0[℃]以下、−30[℃]以上の範囲内にある樹脂からなるポリマーセメント系塗料を用いることが好ましい。
本発明の実施形態で用いるポリマーセメント系塗料におけるセメントの割合を、重量パーセントで40[%]に設定した。また、ポリマーセメント系塗料における樹脂の割合を重量パーセントで10[%]〜50[%]の範囲内に設定し、樹脂と体質顔料のそれぞれの割合を変えて、その燃焼性について試験を行った。その実験結果を表4に示す。なお、この実験3における樹脂は、アクリル系樹脂である。
(実験方法)
・塗付後の養生時間 7日間
・養生(乾燥)条件 200[℃]、65[%]RH
・燃焼性の試験方法:コーンカロリーメーター燃焼試験
(実験結果)
ポリマーセメント系塗料における樹脂の割合が、重量パーセントで40[%]よりも大きい場合には、コーンカロリーメーター燃焼試験の準不燃性の基準をクリアーできない可能性がある。従って、燃焼性の観点から、ポリマーセメント系塗料全体に対する樹脂の割合は、重量パーセントで40[%]以下に設定することが好ましい。
また、本発明の建築材料を、例えば、防火地域および内装制限地域で建造物の断熱材として用いる場合には、ポリマーセメント系塗料全体に対する樹脂の割合を、重量パーセントで40[%]以下に設定する必要がある。
以上、実験結果1、2及び3に基づいて、本発明の実施形態では、本発明のポリマーセメント系塗料の一例として表1を示した。
Claims (7)
- 所定形状に成形されたガラス発泡体と、
所定の樹脂とセメントとからなり前記ガラス発泡体を覆うポリマーセメントとを含むことを特徴とする建築材料。 - 前記ガラス発泡体は直方体であり、
前記ポリマーセメントは、前記ガラス発泡体の表面と、裏面と、側面とを覆っていることを特徴とする請求項1に記載の建築材料。 - 所定形状に成形されたガラス発泡体に、所定の樹脂とセメントとからなるポリマーセメント系塗料を塗布する工程と、
前記ポリマーセメント系塗料を乾燥させて、前記ガラス発泡体を覆うポリマーセメントを形成する工程と、を含むことを特徴とする建築材料の製造方法。 - 前記ポリマーセメント系塗料を構成する前記樹脂は、
そのガラス転移温度が0[℃]以下、−30[℃]以上の範囲内にあることを特徴とする請求項3に記載の建築材料の製造方法。 - 前記ポリマーセメント系塗料における前記樹脂の割合を、重量パーセントで15[%]以上、40[%]以下の範囲内とすることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の建築材料の製造方法。
- 前記ポリマーセメントにおける前記セメントの割合を、重量パーセントで20[%]以上、40[%]以下の範囲内とすることを特徴とする請求項3から請求項5の何れか一項に記載の建築材料の製造方法。
- 請求項1に記載された前記建築材料に所定の接着剤を塗布する工程と、
前記建築材料の前記接着剤が塗布された面を建造物の所定部位に接触させて、当該建築材料を該建造物に取り付ける工程と、を含むことを特徴とする建造物の施工方法。
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JP2004119350A JP2005299286A (ja) | 2004-04-14 | 2004-04-14 | 建築材料及びその製造方法、建造物の施工方法 |
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