JP2005298586A - 有機物含有汚泥の炭化処理方法 - Google Patents

有機物含有汚泥の炭化処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】炭化処理する際の処理条件によって炭化製品からの砒素の溶出値を可及的に小さくし得る炭化処理方法を確立する。
【解決手段】炉体20内にレトルト22を回転可能に設けて成る炭化炉18を用い、レトルト22の軸方向一端側から有機物含有汚泥を内部に入れて軸方向に移動させ、汚泥を加熱下に乾留処理により炭化させた上で、炭化物をレトルト22の軸方向他端側から排出する有機物含有汚泥の炭化処理方法において、レトルト22内温度を800℃以下の温度に保持しつつ炭化処理を行う。その際、レトルト22の炉体20からの出口露出部90の温度を測定し、その測定値から換算してレトルト22内温度を求め、その換算値に基づいてレトルト22内温度を制御する。
【選択図】 図2

Description

この発明は下水汚泥等の有機物含有汚泥を炭化炉を用いて乾留処理により炭化する炭化処理方法に関する。
家庭等から排出される有機物含有の排水は一般に下水処理施設で活性汚泥法等により排水処理される。
この排水処理に伴って有機汚泥(以下単に汚泥とする)が発生するが、排水処理量の増加とともに汚泥の発生量も年々増加し、その処理処分が大きな問題になっている。
汚泥を処分するに際し、その汚泥には99%程度の水が含まれていてそのままでは処分できず、そこで減量化のために濃縮及び脱水処理したり、或いは更に焼却したり溶融したりするなど様々な処理が現在施されている。
しかしながら汚泥を焼却或いは溶融処理すると多量のエネルギーを消費し、処理コストが高いものとなる。
そこでエネルギー消費の少ない汚泥の減量化処理の1つの方法として、汚泥を乾留処理により炭化することが提案されている。
この炭化処理は、汚泥が基質中に炭素分を45重量%程度含んでいることから、焼却,溶融処理のように汚泥中の炭素分を消費してしまうのではなく、汚泥を無酸素或いは低酸素状態で熱分解(炭化)することにより炭素分を残留させ、新しい組成を持つ炭化物(炭化製品)として生成させるものである。
下記特許文献1〜4にはそのための炭化処理方法が開示されている。
例えば特許文献4には、含水率80%程度まで脱水された汚泥ケーキを受入ホッパに受け入れ、そしてこの汚泥ケーキを定量供給装置で乾燥炉に送ってそこで所定の含水率例えば40%程度の含水率まで乾燥処理した上、その乾燥後の汚泥をコンベヤで炭化炉に搬送して、そこで乾留処理により汚泥の炭化をなすようにした炭化処理方法が開示されている。
この炭化処理方法では、炉体内に乾留容器としての回転ドラムから成るレトルトを回転可能に設けて成る炭化炉を用い、そしてレトルトの軸方向一端側から汚泥をレトルト内に入れて軸方向に移動させ、汚泥を加熱下に乾留処理により炭化させた上で、炭化物をレトルトの軸方向他端側から排出する。
このようにして得られた炭化物(炭化製品)は物性的には木炭に近い性状を有するものであり、現在園芸用土壌,融雪剤等の用途に利用されている。
この炭化製品からは、溶出試験を行ったときに極微量の砒素が溶出することがある。
その溶出値が規制値(環告46号溶出試験による溶出値の規制値)以下の極微量である限り特に問題は生じないが、砒素の溶出はできる限り少ないことが望ましい。
ところで本発明者等が砒素の溶出量について調査を行う中で、汚泥の発生処理場の違いや汚泥の成分,脱水した汚泥ケーキの性状等の条件の変動によって、溶出して来る砒素の量も変動し、条件によっては砒素の溶出量が多くなることが判明した。
汚泥を炭化処理するに際しては、そのような条件の変動にも拘わらず炭化製品からの砒素の溶出はできる限り少ないことが求められる。
特開平11−37644号公報 特開平11−33599号公報 特開平11−37645号公報 特開平11−37656号公報
本発明はこのような事情を背景とし、炭化処理する際の処理条件(操業条件)によって、炭化製品からの砒素の溶出値を可及的に小さくし得る炭化処理方法を確立することを目的としてなされたものである。
而して請求項1の炭化処理方法は、炉体内に乾留容器としての回転ドラムから成るレトルトを回転可能に設けて成る炭化炉を用い、該レトルトの軸方向一端側から有機物含有汚泥を該レトルト内に入れて軸方向に移動させ、該汚泥を加熱下に乾留処理により炭化させた上で、炭化物を該レトルトの軸方向他端側から排出する有機物含有汚泥の炭化処理方法において、前記レトルト内温度を800℃以下の温度に保持しつつ炭化処理を行うことを特徴とする。
請求項2の炭化処理方法は、請求項1において、前記レトルトの前記炉体からの出口露出部の温度を測定し、その測定値から換算して前記レトルト内温度を求め、その換算値に基づいて前記レトルト内温度を制御することを特徴とする。
請求項3の炭化処理方法は、請求項2において、前記レトルトの出口露出部の温度測定を放射温度計を用いて行うことを特徴とする。
請求項4の炭化処理方法は、請求項1〜3の何れかにおいて、前記レトルトの出口側において該レトルト内部に水蒸気の噴霧を行い、該水蒸気の噴霧量を制御することによって前記レトルト内温度を制御することを特徴とする。
発明の作用・効果
本発明者等は、炭化製品からの砒素の溶出に影響を及ぼす因子としてレトルト内温度に着目し、その影響を調べたところレトルト内温度が高くなると砒素の溶出が増すこと、そしてレトルト内温度を800℃以下の温度に保持して炭化処理を行うことで、炭化製品からの砒素の溶出を効果的に抑制し得ることを見出した。
本発明はこのような知見の下になされたものである。
かかる本発明によれば、炭化製品に特別の薬剤を加えて砒素の溶出を抑制する処理を特別に行わなくても、炭化処理の際の処理条件(操業条件)を制御することで、簡単な方法で炭化製品からの砒素の溶出を低く抑制ないし防止することができる。
また本発明ではその処理条件としてレトルト内温度を一定温度以下(800℃以下)に制御するものであるため、条件制御そのものも容易に行うことができる。
尚本発明では、レトルト内温度を700℃以上の温度に保持しておくことが望ましい。
レトルト内温度がこの温度よりも低くなると望ましい特性の、例えば望ましい精錬度の炭化製品が得られ難くなる。
ところでレトルト内温度を800℃以下に保持制御するためには、炭化処理に際してレトルト内温度を監視している必要がある。
そのための方法として、図6の比較例図に示しているようにレトルト22の出口21側の軸方向端部から熱電対100を挿入して、その熱電対100によりレトルト22内温度を測定する方法が考えられる。
しかしながら熱電対100による温度測定では、レトルト22内の高温度の下で熱電対100が断線を生じ易い問題がある。
またレトルト22の出口21側内部には、通常、レトルト22内を外気と遮断するために水蒸気の噴霧が行われるため、その水蒸気の噴霧によって熱電対100による温度測定に影響が生じ易い問題がある。
ここにおいて請求項2では、レトルトの炉体からの出口露出部の温度を測定し、その測定値から換算してレトルト内温度を求め、そしてその換算値に基づいてレトルト内温度を上記800℃以下の温度に保持制御するようになしたものである。
この請求項2の発明は、レトルトの出口露出部の温度とレトルト内温度との間に一定の相関関係が成立するとの知見の下になされたものである。
即ち本発明者等がレトルト内温度とレトルトの出口露出部の温度とを測定してそれらを比較したところ、レトルト内温度とレトルトの出口露出部の温度との間にはほぼ一定の温度差のあることが判明した。
この請求項2の方法によれば、熱電対を高温のレトルト内に挿入して温度測定しなくても、炭化炉の外部においてレトルトの出口露出部の温度を測定することで容易にレトルト内温度を求めることができ、従ってレトルト内温度の測定に際して熱電対が断線を起してしまって、操業上のトラブルを起こしてしまうといったことが無い。
そしてこの請求項2の方法では、温度測定の対象となるレトルトの出口露出部の温度が実際のレトルト内温度よりも相当低いことから、温度測定を容易に行うことができる。
この場合においてそのレトルトの出口露出部の温度測定を放射温度計を用いて行うことができる(請求項3)。
このようにすれば、レトルトの出口露出部の温度測定を非接触で容易に行うことができる。
本発明では、レトルトの出口側においてそのレトルト内部に水蒸気の噴霧を行い、その水蒸気の噴霧量を制御することによって、レトルト内温度を上記800℃以下に保持制御することができる(請求項4)。
このようにすれば、レトルト内温度を上記の目的温度以下(800℃以下)に容易に保持制御することができる。
次に本発明の実施形態を図面に基づいて以下に詳しく説明する。
図1は、本発明の実施形態の炭化処理方法を実施するための炭化処理装置の全体構成を示したもので、図中10は受入ホッパであり、含水率80%程度まで脱水された汚泥ケーキがこの受入ホッパ10に先ず受け入れられる。
ここに受け入れられた汚泥ケーキは、定量供給装置12にて乾燥炉14へと送られ、そこで所定の含水率、例えば40%程度の含水率まで乾燥処理される。
尚この乾燥炉14では、汚泥ケーキの乾燥と併せてその粉砕が行われる。
乾燥炉14で乾燥処理された汚泥は、続いてコンベヤ16により炭化炉18へと搬送され、そこで乾留処理により汚泥の炭化が行われる。
この炭化炉18には、図2にも示しているように炉体20の内部に乾留容器としての円筒形状の回転ドラムから成るレトルト22が設けられており、前段の乾燥炉14で乾燥処理された汚泥がコンベヤ16により、更にはレトルト22の前端部(図中左端部)位置に設けられたスクリューフィーダ64(図3参照)によりレトルト22内部に投入される。
レトルト22内部に投入された汚泥は、先ず炉体20内部に配設された助燃バーナ(外熱室用バーナ)24による外熱室26内部の雰囲気加熱によって加熱される。
すると汚泥中に含まれていた可燃ガスが、レトルト22に設けられた吹出パイプ28を通じて外熱室26の雰囲気中に抜け出し、そしてこの可燃ガスが着火して、以後はその可燃ガスの燃焼によりレトルト22内部の汚泥の加熱が行われる。
この段階では助燃バーナ24は燃焼停止される。
図2に示しているように炉体20の内部には排ガス処理室30が設けられており、外熱室26からの排ガスはここに導かれる。
この排ガス処理室30には排ガス処理室用バーナ32が設けられており、排ガス処理室30内に導かれた排ガス中の未燃ガスがこの排ガス処理室用バーナ32にて燃焼される。
レトルト22内部の汚泥は、図中左端からレトルト22の回転とともに漸次図中右方向に移って行き(レトルト22には若干の勾配が設けてある)、そして最終的に乾留残渣(炭化製品)がレトルト22の図中右端の出口21、つまり炭化炉18から排出される。
尚、排ガス処理室30には排煙口31が設けられており、排ガス処理室30で燃焼処理された後の排ガスは、この排煙口31を通じて後述の図1に示す排気路56へと排気され、その排気路56上に設けられた排ガスファン60によって排気路56を通じ煙突52から大気中に放出される。
図1において、34は乾燥炉14に供給する熱風を発生させるための熱風炉で、ここでは供給された燃料が燃焼空気の供給の下で燃焼させられて熱風を発生する。
尚ここではパイロットバーナ用にLPGが用いられ、燃焼バーナ用に灯油が用いられている。
熱風炉34で発生した熱風は乾燥炉14に供給され、更にこれを通過して、その後段の集塵機36を通ってそこで集塵され、再び熱風炉34に戻されるようになっている。
即ち熱風炉34で発生した熱風は、乾燥炉14,集塵機36を通る循環路38を循環ファン40により循環流通させられるようになっている。
この循環系では、乾燥炉14においてリークエアが循環する熱風中に入り込む。
一方で熱風炉34には燃焼空気が定量供給されており、そのためここでは熱風の一部を抜き取るべく、熱風炉34の下流部において分岐路42が設けられており、熱風炉34から出た熱風の一部がこの分岐路42を通じて外部に取り出されるようになっている。
この分岐路42に取り出された熱風は高温状態(約700℃程度)にあり、そこで分岐路42に取り出された熱風が、循環路38上に設けられた熱風炉熱交換器44で熱交換され、更に空気取入口48から取り入れられた外気により希釈及び冷却された上で、排ガスファン46により排気路50,51を通じて煙突52から外部に放出される。
ここで分岐路42に取り出された熱風の、熱風炉熱交換器44で熱交換された後の温度は約400℃程度であり、そして空気取入口48からの外気の取入れによる希釈・冷却により、排ガスファン46の下流部での温度は約200〜250℃程度となる。
尚、空気取入口48からの空気の取入量は調整弁54によって調整される。
また循環路38を循環流通する熱風は、熱風炉熱交換器44で熱交換されることによりそこで温度上昇させられた上、熱風炉34の入口に戻される。
上記炭化炉18からは、その排ガスを排出するための排気路56が延び出している。
この排気路56に取り出された炭化炉18からの排ガスは、温度が800〜1000℃程度の高温度であり、そこで先ず空気取入口62からの外気の取入れによって希釈及び冷却された上で、循環路38上に設けられた炭化炉熱交換器58で熱交換され、そこで温度降下された後、更に炭化炉熱交換器58の下流部において、空気取入口63からの外気の取入れにより再び希釈・冷却された上で、排ガスファン60により排気路61,51を通じて煙突52から外部に放出される。
尚炭化炉18から排出された排ガスは、空気取入口62からの外気の取入れによる希釈・冷却により温度降下(約700℃)され、更に炭化炉熱交換器58における熱交換、空気取入口63からの外気の取入れによる冷却によって200〜250℃程度の温度まで温度降下された上で、排ガスファン60により排気路61,51を通じ煙突52から外部に放出される。
この炭化炉18にはLPG,灯油等の燃料が燃焼空気とともに供給される。ここでLPGはパイロットバーナの燃焼用として用いられ、また灯油は燃焼バーナ用の燃料として用いられる。
炭化炉18における上記レトルト22の内部は、図3に示しているように入口側のAゾーンが水分蒸発ゾーンとなっている。
このAゾーンは、前段の乾燥炉14で乾燥後、スクリューフィーダ64でレトルト22内部に投入された汚泥中の水分が活発に蒸発して蒸気が充満した状態となり、その蒸気によってレトルト22の入口側の内部を大気と遮断するバリアゾーンとなっている。
汚泥中に含まれている水分はこのAゾーンで実質その全体が蒸発し、汚泥の含水率はここで40%から実質0%まで減少する。
続くBゾーンは実質的無酸素状態の炭化ゾーンで、このBゾーンにおいてメタン,エタン等の乾留ガスが活発に発生し、汚泥は主としてこのBゾーンの炭化ゾーンで炭化される。
炭化製品を排出する出口21側の最後のCゾーンは、Bゾーンの炭化ゾーンで炭化された炭化製品の安定化処理ゾーンである。
このCゾーンは低酸素状態に制御保持されており、この低酸素状態の下で炭化製品の表面活性基が高温度の下で酸化反応(非燃焼酸化反応)せしめられ、表面活性基が次第に消失して行く。
この安定化処理ゾーンであるCゾーンを通った炭化製品は、続いてスクリューコンベヤ66により図中右方向に移送された後、出口21から排出される。
この出口21側のスクリューコンベヤ66は、軸方向の前,後端が閉鎖された大径のパイプ68を回転体として、その外周面にスパイラル状の羽根70を設けたもので、Cゾーンで安定化処理された炭化製品は、このスパイラル状の羽根70による送り作用で出口21側に送られてそこから排出される。
図2に示しているように、レトルト22にはその後端部(図中右端部)から水蒸気の噴霧管72が内部に向けて軸方向に挿入されている。
安定化処理ゾーンとしてのCゾーンは、この噴霧管72の先端側のノズル80からの水蒸気の噴霧によって大気と遮断される。
但しこのCゾーンにはスクリューコンベヤ66を通じて出口21から外部の空気が僅かに侵入する。
Cゾーンはその僅かな空気の浸入により低酸素状態に保持される。
82は水ポンプであって、この水ポンプ82により通路84を通じて水が送られる。
通路84上にはボイラ86が設けられており、ここで水が水蒸気とされた上で噴霧管72に導入され、その先端側のノズル80からCゾーンへと噴霧される。
本実施形態では、レトルト22の炉体20からの出口露出部90における測定点Pの温度を放射温度計92にて測定し、そしてその測定値から換算してレトルト22内温度を求め、その換算値に基づいてレトルト22内温度を800℃以下且つ700℃以上に保持制御しつつ炭化処理を行う。
その温度制御は、噴霧管72のノズル80からの水蒸気の噴霧量を調節することによって行う。
具体的にはこの実施形態では、放射温度計92による測定点Pの測定温度がコントローラ94に入力され、コントローラ94はその入力値即ち放射温度計92による測定点Pの温度測定値に基づいて水ポンプ82を制御し、通路84を通じて水ポンプ82から送り出される水量をコントロールする。
即ち、ボイラ86で水蒸気とされ且つノズル80からレトルト22内部、詳しくは安定化処理ゾーンとしてのCゾーンにおいてレトルト22内に噴霧される水蒸気の量を調節する。
そして温度測定値が予定した温度よりも低ければ水蒸気の噴霧量を少なくし、また逆に温度測定値が予定した温度よりも高ければ水蒸気の噴霧量を多くする。
本実施形態では、上記のようにレトルト22内温度を800℃以下の温度に保持制御しつつ炭化処理を行う。
そしてこのようにレトルト22内温度を800℃以下に保持制御した状態で炭化処理を行うことで、炭化製品からの砒素の溶出を効果的に低く抑制することができる。
図4は炭化炉18から排出される炭化製品からの砒素の溶出値とレトルト22内温度との関係を調べてこれを表したものである。
図示のように砒素の溶出値は、レトルト22内温度を低くすることによって少なくでき、特に800℃以下の温度に保持することによって砒素溶出値を望ましいレベルまで抑えることができる。
尚、レトルト22内温度が700℃未満になると炭化製品の精錬度等、炭化製品の特性が悪くなることから、本実施形態ではレトルト22内温度を700℃以上に保持した状態で炭化処理を行う。
本実施形態では、このレトルト22内温度の制御を上記のようにレトルト22における出口露出部90の測定点Pの温度測定に基づいて行う。
この出口露出部90の温度とレトルト22内温度との間には一定の相関関係が成り立つことが本発明者等により確認されている。
図5は、その出口露出部90の温度と炉体20内に位置するレトルト22内温度との関係を表したものである。
図示の結果に表れているように、本発明者等の研究によるとレトルト22内温度と出口露出部90の温度との間には約360℃の差のあることが判明した。
従ってレトルト22内温度を直接測定しなくても、出口露出部90の温度測定を行って、その測定値に対し360℃を加えた温度をもってレトルト22内温度とすることができる。
尚、図5の結果ではノズル80からの水蒸気の噴霧量を変えた場合においても、レトルト22内温度と出口露出部90の温度との間に良好な相関関係が成り立っている。
かかる本実施形態の炭化処理方法によれば、炭化製品に特別の薬剤を加えて砒素の溶出を抑制する処理を特別に行わなくても、炭化処理の際の処理条件(操業条件)を制御することで、簡単な方法で炭化製品からの砒素の溶出を低く抑制ないし防止することができる。
また本実施形態では、その処理条件としてのレトルト22内温度の制御を行うものであるため、制御そのものも容易に行うことができる。
また温度測定の対象となるレトルト22の出口露出部90の温度が実際のレトルト22内温度よりも相当低いことから、温度測定そのものも容易に行うことができる。
加えてレトルト22の出口露出部90の温度測定を放射温度計92を用いて行っているので、レトルト22の出口露出部90の温度測定を非接触で容易に行うことができる。
また本実施形態では、レトルト22内への水蒸気の噴霧量を制御することでレトルト22内温度を制御しており、この場合レトルト22内温度を容易にコントロールすることができる。
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示である。
例えば上記実施形態では放射温度計92を用いてレトルト22の出口露出部90の温度を測定するようにしているが、他の温度測定手段をもって同部分の温度測定を行うようになすことも可能であるなど、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた態様で実施可能である。
本発明の一実施形態の炭化処理方法を実施する装置の全体構成を示した図である。 図1における炭化炉の構成を示した図である。 図2におけるレトルト内部の炭化のプロセスを模式的に表した図である。 レトルト内温度と炭化製品からの砒素溶出値との関係を表した図である。 レトルトの出口露出部の温度とレトルト内温度との関係を表した図である。 本発明の利点を説明するための比較例図である。
符号の説明
18 炭化炉
20 炉体
21 出口
22 レトルト
90 出口露出部
92 放射温度計

Claims (4)

  1. 炉体内に乾留容器としての回転ドラムから成るレトルトを回転可能に設けて成る炭化炉を用い、該レトルトの軸方向一端側から有機物含有汚泥を該レトルト内に入れて軸方向に移動させ、該汚泥を加熱下に乾留処理により炭化させた上で、炭化物を該レトルトの軸方向他端側から排出する有機物含有汚泥の炭化処理方法において、
    前記レトルト内温度を800℃以下の温度に保持しつつ炭化処理を行うことを特徴とする有機物含有汚泥の炭化処理方法。
  2. 請求項1において、前記レトルトの前記炉体からの出口露出部の温度を測定し、その測定値から換算して前記レトルト内温度を求め、その換算値に基づいて前記レトルト内温度を制御することを特徴とする有機物含有汚泥の炭化処理方法。
  3. 請求項2において、前記レトルトの出口露出部の温度測定を放射温度計を用いて行うことを特徴とする有機物含有汚泥の炭化処理方法。
  4. 請求項1〜3の何れかにおいて、前記レトルトの出口側において該レトルト内部に水蒸気の噴霧を行い、該水蒸気の噴霧量を制御することによって前記レトルト内温度を制御することを特徴とする有機物含有汚泥の炭化処理方法。
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