JP4373263B2 - 有機物含有汚泥の炭化処理方法 - Google Patents
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Description
この排水処理に伴って有機汚泥(以下単に汚泥とする)が発生するが、排水処理量の増加とともに汚泥の発生量も年々増加し、その処理処分が大きな問題になっている。
しかしながら汚泥を焼却或いは溶融処理すると多量のエネルギーを消費し、処理コストが高いものとなる。
そこでエネルギー消費の少ない汚泥の減量化処理の1つの方法として、汚泥を乾留処理により炭化することが提案されている。
下記特許文献1〜4にはそのための炭化処理方法が開示されている。
このようにして得られた炭化物(炭化製品)は物性的には木炭に近い性状を有するものであり、現在園芸用土壌,融雪剤等の用途に利用されている。
その溶出値が規制値(環告46号溶出試験による溶出値の規制値)以下の極微量である限り特に問題は生じないが、砒素の溶出はできる限り少ないことが望ましい。
汚泥を炭化処理するに際しては、そのような条件の変動にも拘わらず炭化製品からの砒素の溶出はできる限り少ないことが求められる。
本発明はこのような知見の下になされたものである。
また本発明ではその処理条件としてレトルト内温度を一定温度以下(800℃以下)に制御するものであるため、条件制御そのものも容易に行うことができる。
レトルト内温度がこの温度よりも低くなると望ましい特性の、例えば望ましい精錬度の炭化製品が得られ難くなる。
本発明では、レトルトの出口側においてそのレトルト内部に水蒸気の噴霧を行い、その水蒸気の噴霧量を制御することによって、レトルト内温度を上記800℃以下に保持制御する。
このようにすれば、レトルト内温度を上記の目的温度以下(800℃以下)に容易に保持制御することができる。
そのための方法として、図6の比較例図に示しているようにレトルト22の出口21側の軸方向端部から熱電対100を挿入して、その熱電対100によりレトルト22内温度を測定する方法が考えられる。
しかしながら熱電対100による温度測定では、レトルト22内の高温度の下で熱電対100が断線を生じ易い問題がある。
またレトルト22の出口21側内部には、レトルト22内を外気と遮断するために水蒸気の噴霧が行われるため、その水蒸気の噴霧によって熱電対100による温度測定に影響が生じ易い問題がある。
これはレトルトの出口露出部の温度とレトルト内温度との間に一定の相関関係が成立するとの知見に基づく。
即ち本発明者等がレトルト内温度とレトルトの出口露出部の温度とを測定してそれらを比較したところ、レトルト内温度とレトルトの出口露出部の温度との間にはほぼ一定の温度差のあることが判明した。
この方法によれば、温度測定の対象となるレトルトの出口露出部の温度が実際のレトルト内温度よりも相当低いことから、温度測定を容易に行うことができる。
このようにすれば、レトルトの出口露出部の温度測定を非接触で容易に行うことができる。
図1は、本発明の実施形態の炭化処理方法を実施するための炭化処理装置の全体構成を示したもので、図中10は受入ホッパであり、含水率80%程度まで脱水された汚泥ケーキがこの受入ホッパ10に先ず受け入れられる。
ここに受け入れられた汚泥ケーキは、定量供給装置12にて乾燥炉14へと送られ、そこで所定の含水率、例えば40%程度の含水率まで乾燥処理される。
尚この乾燥炉14では、汚泥ケーキの乾燥と併せてその粉砕が行われる。
この炭化炉18には、図2にも示しているように炉体20の内部に乾留容器としての円筒形状の回転ドラムから成るレトルト22が設けられており、前段の乾燥炉14で乾燥処理された汚泥がコンベヤ16により、更にはレトルト22の前端部(図中左端部)位置に設けられたスクリューフィーダ64(図3参照)によりレトルト22内部に投入される。
すると汚泥中に含まれていた可燃ガスが、レトルト22に設けられた吹出パイプ28を通じて外熱室26の雰囲気中に抜け出し、そしてこの可燃ガスが着火して、以後はその可燃ガスの燃焼によりレトルト22内部の汚泥の加熱が行われる。
この段階では助燃バーナ24は燃焼停止される。
この排ガス処理室30には排ガス処理室用バーナ32が設けられており、排ガス処理室30内に導かれた排ガス中の未燃ガスがこの排ガス処理室用バーナ32にて燃焼される。
尚、排ガス処理室30には排煙口31が設けられており、排ガス処理室30で燃焼処理された後の排ガスは、この排煙口31を通じて後述の図1に示す排気路56へと排気され、その排気路56上に設けられた排ガスファン60によって排気路56を通じ煙突52から大気中に放出される。
尚ここではパイロットバーナ用にLPGが用いられ、燃焼バーナ用に灯油が用いられている。
即ち熱風炉34で発生した熱風は、乾燥炉14,集塵機36を通る循環路38を循環ファン40により循環流通させられるようになっている。
この循環系では、乾燥炉14においてリークエアが循環する熱風中に入り込む。
ここで分岐路42に取り出された熱風の、熱風炉熱交換器44で熱交換された後の温度は約400℃程度であり、そして空気取入口48からの外気の取入れによる希釈・冷却により、排ガスファン46の下流部での温度は約200〜250℃程度となる。
また循環路38を循環流通する熱風は、熱風炉熱交換器44で熱交換されることによりそこで温度上昇させられた上、熱風炉34の入口に戻される。
この排気路56に取り出された炭化炉18からの排ガスは、温度が800〜1000℃程度の高温度であり、そこで先ず空気取入口62からの外気の取入れによって希釈及び冷却された上で、循環路38上に設けられた炭化炉熱交換器58で熱交換され、そこで温度降下された後、更に炭化炉熱交換器58の下流部において、空気取入口63からの外気の取入れにより再び希釈・冷却された上で、排ガスファン60により排気路61,51を通じて煙突52から外部に放出される。
この炭化炉18にはLPG,灯油等の燃料が燃焼空気とともに供給される。ここでLPGはパイロットバーナの燃焼用として用いられ、また灯油は燃焼バーナ用の燃料として用いられる。
このAゾーンは、前段の乾燥炉14で乾燥後、スクリューフィーダ64でレトルト22内部に投入された汚泥中の水分が活発に蒸発して蒸気が充満した状態となり、その蒸気によってレトルト22の入口側の内部を大気と遮断するバリアゾーンとなっている。
汚泥中に含まれている水分はこのAゾーンで実質その全体が蒸発し、汚泥の含水率はここで40%から実質0%まで減少する。
このCゾーンは低酸素状態に制御保持されており、この低酸素状態の下で炭化製品の表面活性基が高温度の下で酸化反応(非燃焼酸化反応)せしめられ、表面活性基が次第に消失して行く。
この安定化処理ゾーンであるCゾーンを通った炭化製品は、続いてスクリューコンベヤ66により図中右方向に移送された後、出口21から排出される。
安定化処理ゾーンとしてのCゾーンは、この噴霧管72の先端側のノズル80からの水蒸気の噴霧によって大気と遮断される。
但しこのCゾーンにはスクリューコンベヤ66を通じて出口21から外部の空気が僅かに侵入する。
Cゾーンはその僅かな空気の浸入により低酸素状態に保持される。
通路84上にはボイラ86が設けられており、ここで水が水蒸気とされた上で噴霧管72に導入され、その先端側のノズル80からCゾーンへと噴霧される。
その温度制御は、噴霧管72のノズル80からの水蒸気の噴霧量を調節することによって行う。
即ち、ボイラ86で水蒸気とされ且つノズル80からレトルト22内部、詳しくは安定化処理ゾーンとしてのCゾーンにおいてレトルト22内に噴霧される水蒸気の量を調節する。
そして温度測定値が予定した温度よりも低ければ水蒸気の噴霧量を少なくし、また逆に温度測定値が予定した温度よりも高ければ水蒸気の噴霧量を多くする。
そしてこのようにレトルト22内温度を800℃以下に保持制御した状態で炭化処理を行うことで、炭化製品からの砒素の溶出を効果的に低く抑制することができる。
図示のように砒素の溶出値は、レトルト22内温度を低くすることによって少なくでき、特に800℃以下の温度に保持することによって砒素溶出値を望ましいレベルまで抑えることができる。
尚、レトルト22内温度が700℃未満になると炭化製品の精錬度等、炭化製品の特性が悪くなることから、本実施形態ではレトルト22内温度を700℃以上に保持した状態で炭化処理を行う。
この出口露出部90の温度とレトルト22内温度との間には一定の相関関係が成り立つことが本発明者等により確認されている。
図5は、その出口露出部90の温度と炉体20内に位置するレトルト22内温度との関係を表したものである。
従ってレトルト22内温度を直接測定しなくても、出口露出部90の温度測定を行って、その測定値に対し360℃を加えた温度をもってレトルト22内温度とすることができる。
尚、図5の結果ではノズル80からの水蒸気の噴霧量を変えた場合においても、レトルト22内温度と出口露出部90の温度との間に良好な相関関係が成り立っている。
また本実施形態では、その処理条件としてのレトルト22内温度の制御を行うものであるため、制御そのものも容易に行うことができる。
加えてレトルト22の出口露出部90の温度測定を放射温度計92を用いて行っているので、レトルト22の出口露出部90の温度測定を非接触で容易に行うことができる。
例えば上記実施形態では放射温度計92を用いてレトルト22の出口露出部90の温度を測定するようにしているが、他の温度測定手段をもって同部分の温度測定を行うようになすことも可能であるなど、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた態様で実施可能である。
20 炉体
21 出口
22 レトルト
90 出口露出部
92 放射温度計
Claims (1)
- 炉体内に乾留容器としての回転ドラムから成るレトルトを回転可能に設けて成る炭化炉を用い、該レトルトの軸方向一端側から有機物含有汚泥を該レトルト内に入れて軸方向に移動させ、該汚泥を加熱下に乾留処理により炭化させた上で、炭化物を該レトルトの軸方向他端側から排出する有機物含有汚泥の炭化処理方法において、
前記レトルトの出口側において該レトルト内部に水蒸気の噴霧を行い、該水蒸気の噴霧量を制御することによって前記レトルト内温度を800℃以下の温度に制御しつつ炭化処理を行うことを特徴とする有機物含有汚泥の炭化処理方法。
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