JP2005298536A - 抗菌、消臭性エラストマー組成物及びその組成物を用いた成形製品 - Google Patents

抗菌、消臭性エラストマー組成物及びその組成物を用いた成形製品 Download PDF

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Abstract

【課題】湿潤かつ比較的密閉状態に近い環境において細菌類の繁殖による皮膚トラブルの防止、不快臭の防止が可能で、その効果が持続する抗菌、消臭性エラストマー組成物及び成形製品を提供する。
【解決手段】下記の(1)〜(3):
(1)メルトフローレートが0.01〜150g/10分、
(2)DSC法による結晶融解熱量が100J/g以下、
(3)JIS−A硬度における硬さが20〜90、
の性質を有するエラストマー基材と、抗菌性化合物および/または抗菌性化合物を含有する天然素材、および所望により消臭性化合物および/または消臭性化合物を含有する天然素材を含み、可塑剤を含まないエラストマー組成物、およびそのエラストマー組成物を用いた靴の中敷などの成形品。
【選択図】なし

Description

本発明は、衛生面において抗菌、消臭性を求められる製品に用いられるエラストマー組成物及びその組成物を用いた成形製品に関する。
従来までは靴の中敷など使用中に人体との接触があり、その装着部が湿潤状態になり、抗菌性や衛生面での配慮が必要な分野における製品の抗菌性、衛生面における機能は不十分であった。特に白癬菌などの繁殖には適した環境であり、保菌者は履靴時には常に菌を培養していることに等しいと考えられる。しかし社会生活上、履靴や作業上の装着物は長時間の連続使用が避けられない事が多く、病状の悪化や皮膚トラブルを招く主因となっている。また、現在広く実用されている抗菌、防かび剤は主に無機化合物や有機金属系のものがほとんどであり人体との接触する用途においては必ずしも安全面においての懸念を払拭させるものは少なかった。
一般的に、靴の中敷きや中敷きを装着できないサンダル、また作業用ゴム手袋、ヘルメットの内包、作業帽、バスマット、サポーター、などにおいては使用中の雑菌の繁殖が著しい。しかしその繁殖の防止策が講じられていることは稀であり、講じてあったとしても安価で安全性が高くかつ効果性の大きいものは見当たらない状況であった。例えば特開昭63−112711号公報(特許文献1)では作業用手袋の抗菌消臭加工法が公開されているが、塩化ビニル樹脂と可塑剤、抗菌剤、消臭剤の混合物をコーティングする手法であるが、可塑剤のブリードによる人体への接触、菌の栄養源となるフタル酸系などの可塑剤の使用による抗菌性の低下に対する防止策はとられていない。また特開2001−87008号公報(特許文献2)では抗菌、消臭性の植物抽出成分を内包したマイクロカプセルを高分子バインダーに含有した上層シートと抗菌防黴剤を含む下層シートを貼り合わせた靴中敷きが公開されているが、バインダーとなる高分子について無可塑(可塑剤を使用しない)という記述は無く、使用する防黴剤には有機金属塩系など人体に悪影響を与える可能性のものも含まれており、植物抽出物のマイクロカプセルを使用することについても植物抽出物に限定されており、経済性と得られる効果の面からは必ずしも満足できるものではない。
然るにバインダーの高分子が無可塑であり、かつ抗菌成分並びに消臭成分が天然物だけというものは見当たらず、安全性、経済性においても不十分な現状であった。
特開昭63−112711号公報 特開2001−87008号公報
本発明は、このような背景の下、靴などの湿潤かつ比較的密閉状態に近い環境においても細菌類の繁殖による皮膚トラブルの防止、不快臭の防止が可能で、かつその効果が持続的な靴の中敷や人体との接触機会の多い作業用品や日用雑貨品などを製造でき、人体に対しても安全性の高い原料をコスト的にも安価に提供することを課題とするものである。
本発明者らは、前記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、抗菌、消臭性成分を含む天然素材を混練りしたエラストマー組成物が非常に高い殺菌性と消臭性を有しかつ持続性が極めて高いこと、また、基材となるエラストマーして、特定のメルトフローレート、DSC法による結晶融解熱量及び硬度を有するものを使用すると無可塑で成形加工が可能であり、かつ無可塑で柔軟性を有するため、可塑剤による耐菌性の低下や環境ホルモンの疑いのある可塑剤のブリードによるベタツキ、その他の人体接触部へのトラブルが無く、人体に無害であること、またエラストマ−に天然素材自体を練り込むことで、湿潤化することを避けられない閉塞様状態における有効成分の溶出に持続性が得られることを見出だし本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の1〜17のエラストマー組成物及びその組成物の成形物に関する。
1.基材であるエラストマーと、天然抗菌性化合物および/または抗菌性化合物を含有する天然素材を含むことを特徴とするエラストマー組成物。
2.前記エラストマーが下記の(1)〜(3)の性質を有するものである前記1に記載のエラストマー組成物:
(1)メルトフローレートが0.01〜150g/10分、
(2)DSC法による結晶融解熱量が100J/g以下、
(3)JIS−A硬度における硬さが20〜90。
3.前記エラストマーが熱可塑性エラストマーである前記1または2に記載のエラストマー組成物。
4.前記エラストマーが、30℃×70%RHの条件下において0.5〜10%の保湿性を有する前記1〜3のいずれかに記載のエラストマー組成物。
5.前記エラストマーが塩素化ポリオレフィンである前記1〜4のいずれかに記載のエラストマー組成物。
6.可塑剤を含まない前記1〜5のいずれかに記載のエラストマー組成物。
7.前記抗菌性化合物が、カビ、酵母類に対する生育阻止最低濃度が3000ppm未満である前記1に記載のエラストマー組成物。
8.前記抗菌性化合物を含有する天然素材がチャ樹の葉である前記1に記載のエラストマー組成物。
9.天然消臭性化合物および/または消臭性化合物を含有する天然素材を含む前記1に記載のエラストマー組成物。
10.前記消臭性化合物がフラボノイド類である前記9に記載のエラストマー組成物。
11.前記消臭性化合物を含有する天然素材が、チャ樹の葉、香辛料類、柑橘類、ハイビスカスの花、紫トウモロコシの種子、赤カブラからなる群より選ばれる少なくとも一種である前記10に記載のエラストマー組成物。
12.前記1〜11のいずれかに記載のエラストマー組成物を用いることを特徴とする成形物。
13.前記成形物が無可塑である前記12に記載の成形物。
14.前記成形物が靴の中敷きである前記12に記載の成形物。
15.前記成形物がゴム手袋である前記12に記載の成形物。
16.前記成形物が食品包装用シート、フィルムである前記12に記載の成形物。
17.前記成形物がバス、トイレタリー、洗面、台所用品である前記12に記載の成形物。
本発明の抗菌エラストマー組成物は、衛生性を必要とし、日常的に雑菌の繁殖を抑えることが必要な日用雑貨等の原料、製品としての使用において極めて有用である。さらに、無可塑で製品化が可能であるため人体へ無害、かつ不快臭等の消臭特性も同時に付与するのに加えて製品化が低コストにて可能であるため社会全体に広く活用でき、商品としても付加価値が非常に高い無可塑エラストマー製品である。
本発明で基材として使用するエラストマーとしては加工性と天然素材のローディング性を兼ね備えていることが好ましい。上記条件とエラストマー自体の抗菌性、また装着時の感触や可塑剤自体がエラストマーの耐菌性を著しく降下させることなどを考え合わせ、無可塑での成形加工が可能である、塩素化ポリオレフィンが好ましく、より好ましくは種々の分子量の選択が可能な、塩素化ポリエチレンと塩素化ポリエチレンを主体とした、その他エラストマーとのブレンド品が適している。
その他のエラストマーとしては、オレフィン系、スチレン系、ポリ塩化ビニル系、ウレタン系、フッ素系の熱可塑性エラストマー、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、シンジオタクチック1,2ポリブタジエン、イソプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、イソブチレン・イソプレンゴム、アクリルゴムが挙げられる。混合比は、塩素化ポリオレフィン9割に対し他エラストマー1割〜塩素化ポリオレフィン5割に対し他エラストマー5割で混合することが好ましい。
基材となるエラストマーのMFR(メルトフローレート)はJIS K7210に準拠した手法で0.01〜150g/10分が好ましく、より好ましくは1.0〜100である。0.01g/10分未満では流動性が悪く各種成形法が困難であり、150g/10分を超えると耐摩耗性や形態保持力といった耐久性において劣る。
またエラストマーのDSC法による融解熱量はJIS K7121およびK7122に準じた手法で100J/g以下が好ましく、より好ましくは25J/g〜60J/gである。100J/gを超えると製品として結晶残が多くなり硬化し、製品の装着感及び天然成分の溶出の持続性において満足のいくものが得られない。また25J/g未満では非架橋においては製品の歪みが大きくなり製品の形態保持性や強度が劣り、保湿性も増大し過剰になることが言える。
そしてエラストマーの硬さはJIS−A硬度で20〜90が好ましく、より好ましくは40〜70である。20未満では柔らかすぎて製品の形態保持力、耐久性において満足のいくものが得られず、90を超えると硬すぎて製品の装着感において劣ることが言える。
本発明で使用する塩素化ポリオレフィンは水性懸濁法、気相法など常法で得られるものであり、原料ポリオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、4−メチルペンテン−1などのα−オレフィンの単独重合体、エチレンとα−オレフィンとの共重合体もしくはこれらのα−オレフィン2種以上の共重合体などで、結晶性の重合体が挙げられる。ここで共重合体とは、ランダムまたはブロックの共重合体のいずれをも含む。本発明の実施例、比較例で用いている塩素化ポリオレフィンの製造法は水性懸濁法を用いている。すなわち、原料である高密度ポリエチレンの粉体をアニオン系界面活性剤を用いて純水に分散させ、塩素化する手法である。塩素化工程の後は洗浄、脱水乾燥工程を経て所望の塩素化ポリエチレンが粉体状で得られる。
本発明で使用するエラストマーの保湿性は30℃×70%RHの条件下おいて0.5〜10%の範囲内が好ましく、より好ましくは1.5〜5%が好ましい。0.5%未満では人体装着部からの発汗を吸収する能力が乏しく不快であり、有効成分の溶出性という面からも極めて不利である。また発汗を吸収するということは汗に含有される塩成分をエラストマー中に取り込むことになるので浸透圧の上昇及び自由水の減少という面からも抗菌性に有利であるが、10%を超えるとエラストマーの含水量が過剰になり閉塞状態では不快感を生じ、支持体としての役目も果たせない。
本発明で使用する天然物の種類については、最も効力のある茶タンニン成分つまりエピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、エピカテキンガレート、エピカテキン、ガロカテキンが多く含有されるチャ樹の葉が好ましい。中でも大葉種は茶タンニン成分が多く最も好ましいが、中葉種、小葉種も抗菌成分が多く有効である。また、季節や日照時間によってもチャ樹の葉の有効成分濃度は変化するので、二番茶期の日光に対して充分露天したものがより好ましい。チャ樹の葉以外のその他の天然物も効果があり使用できる。
使用できるものとしてはクローブ、シナモン、メース、ナツメグ、ワサビ、カラシ、カルダモン、クミン、シソ、セージ、タイム、トウガラシ、バジル、ローズマリー、ローリエ、ハッカ、ホップ、タデ、桑、クマザサ、ニンニク、モウソウチク等の植物やレモンや夏みかん、グレープフルーツ、ブドウなどの果実類がある。これらの花蕾、葉、根茎、果実、種子、樹皮を乾燥粉砕したものを使用する。
また効果のある成分としては茶ポリフェノール、ルプロン、β−酸、フマール酸、フエラル酸、コーヒー酸などの桂皮酸化合物ならびにその類似体、微生物の代謝によって生産されるプロピオン酸などの有機酸類やバクテリオシン類、シナモン由来のシンナムアルデヒド、オイゲノール、甘草抽出物、アリルイソチオシアネート、アセチルオイゲノール、シネオール、p-ヒドロキシベンジルイソチオシアネート、クエン酸、ジアリルジスルフィド、ジアリルスルフィド、キトサン類、、プロタミン、ポリリジン、ペクチン加水分解物のオリゴガラクチュロン酸、ガラクチュロン酸がある。
また、使用する天然素材の状態としては、有効成分の溶出速度やイオン化のしやすさなどから、一度湿潤状態にさせた後、乾燥、粉砕したものが好ましい。
本発明の抗菌エラストマー組成物で対象となる細菌類とは、癜風菌、鼠径表皮菌などの表皮菌類や水虫の原因菌である好人性の紅色菌、趾間菌、菫色菌、好獣性の犬小胞子菌、疣状菌、好土性の石膏様小胞子菌などの白癬菌類、ボツリヌス菌、レジオネラ菌、ウェルシュ菌、カンジタやアスペルギルスに属するカビ類や酵母類、また乳糖を分解し酸とガスを生産する好気性または通性嫌気性の大腸菌群、乳酸菌類、ブドウ球菌類、放線菌類、連鎖球菌類である。
本発明で使用する抗菌成分のカビ、酵母類に対する生育阻止最低濃度は3000ppm未満が好ましく、より好ましくは1000ppm未満である。一般的に抗菌性天然成分の細菌類に対する生育阻止最低濃度が20〜2000ppmであることから、カビ、酵母類に対する生育阻止最低濃度が3000ppm以上では真菌症に対して充分な抗菌作用が得られない。高温多湿部分で起こる皮膚トラブルは真菌症が主であることからもカビ、酵母類に対する生育阻止最低濃度は3000ppm未満が好ましい。
本発明で使用する天然物には消臭成分としてフラボノイド類が含有していることが好ましい。ここでいうフラボノイド類とはアントシアニジン類でありこれを含有する天然物とは茶葉、シソの葉、カカオ豆、ハイビスカスの花、ブドウ果皮、紫トウモロコシの種子、赤カブラの葉、茎、根であり、これらを乾燥粉砕したものを使用する。これら天然物に含有され消臭能力を持つ成分としてはシソニン、デルフィニジン、ペオニン、ラファニン、エピカテキン、カテキン、ロイコシアニジン、ガロカテキンがある。
本発明の組成物は可塑剤を配合することなく、熱可塑性エラストマーとしての常法にて成形加工が可能である。本発明の組成物を用いた押し出し成型品ないし型物成型品とはゴム手袋、靴の中敷、長靴、サンダル、作業帽、サポーター、ヘルメットの内包などである。
以下、実施例および比較例から本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
下記の例において使用したエラストマー、天然抗菌性化合物および可塑剤は以下の通りである。
塩素化ポリエチレン:CPE、昭和電工(株)製、商品名「エラスレン」、
クロロプレンゴム:CR、昭和電工(株)製、商品名「ショウプレン」、
エチレンプロピレンゴム:EPM、JSR(株)製、商品名「EP−11」、
エチレンプロピレンジエンゴム:EPDM、JSR(株)製、商品名「EP−51」、
エチレン-ブテン-1共重合体:EBM、JSR(株)製、商品名「EBM−2021P」、
ポリエチレン:PE、JPO(株)製、商品名「J−REX KX690N」、
ポリ塩化ビニル:PVC、新第一塩ビ株式会社製、商品名「ZEST 1000Z」、
緑茶葉:やぶ北、石田園(販売元)、静岡県島田市産、
シナモン樹皮:シナモン(粉)、エスビー食品、スリランカ産、
バジル葉:バジル、日食YU、ギリシャ産、
ワサビ根茎:伊豆河津地方産、
ジ-2-エチルヘキシルフタレート:DOP、新日本理化(株)製、商品名「サンソサイザーDOP」、
エポキシ化大豆油:ESBO、旭電化(株)製、商品名「アデカサイザーO−130P」。
実施例1〜3:
重量平均分子量5〜50万の塩素化ポリエチレン(CPE)100質量部に対し緑茶葉を2〜5重量部ヘンシェルミキサーで混合し、排出後押し出し成形機にてペレット化した。その後170℃で26cmの靴底型に2mmの厚みでプレスし所望のシートを得た。
実施例4〜6:
重量平均分子量5〜50万の塩素化ポリエチレン(CPE)100質量部に対しシナモン樹皮(実施例4)、バジル葉(実施例5)、ワサビ根茎(実施例6)を乾燥、粉砕したものを、それぞれ5質量部ヘンシェルミキサーで混合し、排出後押し出し成形機にてペレット化した。その後ロール成形機にて塩素化ポリエチレン(CPE)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)を表1に記載の割合でブレンドし、シート化した後、170℃で靴底型に2mmの厚みでプレスし所望のシートを得た。
比較例1〜7:
実施例と同様にして表1に示す6種類の組成のエラストマー、すなわち塩素化ポリエチレン(CPE)、塩素化ポリエチレン(CPE)/エチレンプロピレンゴム(EPM)(9/1)、塩素化ポリエチレン(CPE)/エチレン−ブテン−1(EBM)(7/3)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)/ジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)(7/3)、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)/エポキシ化大豆油(ESBO)(7/3)を用いて所望の厚みのシートを作成した。
実施例1〜6及び比較例1〜7で成形したシートについて下記の方法で、抗菌性、消臭性、MFR、結晶融解熱量及び硬度を測定した。結果を表1に示す。
(1)抗菌性−(1)
秤量したシート0.5gを紅色菌を培養したデキストロース寒天培地に静地する。このとき初期の細菌コロニー数と大きさを記録しておき35℃の孵卵器で24時間培養後に初期状態と比較し、下記の基準で評価した。
初期コロニーの大きさと数の比較:著しく増殖++、増殖+、抑制±、阻害−。
(2)抗菌性−(2)
成人男性の白癬菌感染者が実際に通勤時、職務遂行時において二週間使用した結果を調べ、下記の基準で評価した。
白癬菌感染者が実際に二週間使用した結果:変わらない×、若干の痒み減少△、進行停止・痒み等軽減○、症状改善・痒み等著しく軽減◎。
(3)消臭性
成人男性が通勤時、職務遂行時において二週間使用した結果を調べ、下記の基準で評価した。
被験者が二週間使用中の臭気状態:臭気強い×、かなり改善○、殆ど臭気無し◎。
(4)MFR
JIS K7210に準拠し、得られたシートを180℃で測定した。荷重は21.6kg。
(5)結晶融解熱量
配合前エラストマー基材についてJIS K7121およびK7122の測定方法に準拠した。
(6)硬度
JIS−Aに準拠し、定速硬度測定装置を使用し、降下速度10mm/secで測定し直後値を採用した。
(7)保湿性
得られたシートを30℃、70%RH条件下の恒温恒湿槽へ24Hr暴露後、シート1gを5mm角に裁断し、kett社製、水分測定器FM−300を使用し150℃、60secの条件で水分吸着法にて測定した。
Figure 2005298536
緑茶葉2phrを添加した実施例1では、抗菌性(1)で培地上の制菌作用は充分あるが、抗菌性(2)や消臭性での実際の使用に対しては痒みの軽減がある程度で若干、効果が小さかった。
緑茶葉3〜5phrを添加した実施例2〜3では、抗菌性(1)、(2)及び消臭性についても充分な効果が得られており、被験者の患部においても爛れ部が縮小し、痒みの軽減度合いも大きかった。いずれも茶タンニン成分が効いていると思われ、緑茶葉を3phr以上添加することが好ましいことが分かる。
天然素材にシナモン樹皮5phrを使用した実施例4では、5phrの添加である程度の抗菌性と充分な消臭性が得られ、シナモン中のシンナムアルデヒド、オイゲノールの効力が高いことが分かる。しかし天然素材にバジルの葉5phrを用いた実施例5では抗菌作用という意味では若干、物足りない静菌のレベルであり、バジル中の成分、リナロール、シネオール、メチルシャビコールの効果が若干小さいこと分かる。ワサビの根茎5phrを用いた実施例6では、かなりの抗菌性、消臭性が得られ、ワサビ中のアリルイソチオシアネートの効果が大きいことが分かる。
天然物を無添加で行った比較例1〜4では、いずれも抗菌性、消臭性ともに全く効果は得られず、基材のエラストマーだけでは衛生面における効果として意味の無いことが分かる。
基材としてポリエチレンを用いて緑茶葉3phrを添加した比較例5は、得られたシートはかなり硬く装着感も悪い。また保湿性が低く有効成分の溶出があまり無いので、抗菌性は劣っている。
可塑剤であるDOPを配合した軟質PVCに緑茶葉3phrを添加した比較例6は、基材となるエラストマーがCPEであるときよりも抗菌性、消臭性において劣っている。これは軟質PVC中の可塑剤であるDOPが抗菌性を落としていることが主因子と思われる。
また比較例7では比較例6と比較して抗菌性が降下しているが、これは可塑剤として抗菌性の更に低いESBOを使用したことによるものと考えられる。

Claims (17)

  1. 基材であるエラストマーと、天然抗菌性化合物および/または抗菌性化合物を含有する天然素材を含むことを特徴とするエラストマー組成物。
  2. 前記エラストマーが下記の(1)〜(3)の性質を有するものである請求項1に記載のエラストマー組成物:
    (1)メルトフローレートが0.01〜150g/10分、
    (2)DSC法による結晶融解熱量が100J/g以下、
    (3)JIS−A硬度における硬さが20〜90。
  3. 前記エラストマーが熱可塑性エラストマーである請求項1または2に記載のエラストマー組成物。
  4. 前記エラストマーが、30℃×70%RHの条件下において0.5〜10%の保湿性を有する請求項1〜3のいずれかに記載のエラストマー組成物。
  5. 前記エラストマーが塩素化ポリオレフィンである請求項1〜4のいずれかに記載のエラストマー組成物。
  6. 可塑剤を含まない請求項1〜5のいずれかに記載のエラストマー組成物。
  7. 前記抗菌性化合物が、カビ、酵母類に対する生育阻止最低濃度が3000ppm未満である請求項1に記載のエラストマー組成物。
  8. 前記抗菌性化合物を含有する天然素材がチャ樹の葉である請求項1に記載のエラストマー組成物。
  9. 天然消臭性化合物および/または消臭性化合物を含有する天然素材を含む請求項1に記載のエラストマー組成物。
  10. 前記消臭性化合物がフラボノイド類である請求項9に記載のエラストマー組成物。
  11. 前記消臭性化合物を含有する天然素材が、チャ樹の葉、香辛料類、柑橘類、ハイビスカスの花、紫トウモロコシの種子、赤カブラからなる群より選ばれる少なくとも一種である請求項10に記載のエラストマー組成物。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載のエラストマー組成物を用いることを特徴とする成形物。
  13. 前記成形物が無可塑である請求項12に記載の成形物。
  14. 前記成形物が靴の中敷きである請求項12に記載の成形物。
  15. 前記成形物がゴム手袋である請求項12に記載の成形物。
  16. 前記成形物が食品包装用シート、フィルムである請求項12に記載の成形物。
  17. 前記成形物がバス、トイレタリー、洗面、台所用品である請求項12に記載の成形物。
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