JP2005297495A - 廃インクタンク、インクジェット記録装置、液体噴射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】インクジェットプリンタが傾いた姿勢に置かれた場合でも、インクが外部へ漏れ出ることの無い廃インクタンク、この廃インクタンクを備えたインクジェット記録装置、並びに液体噴射装置を提供すること。
【解決手段】インク収容部13を構成するケーシング10と、前記インク収容部13に配置されるインク吸収材18とを備えており、前記インク収容部13には、当該インク収容部13全体の連通を保ちつつ、廃インクの一方向への移動を妨げる堰となる壁20が設けられていることを特徴とする。
【選択図】図4
【解決手段】インク収容部13を構成するケーシング10と、前記インク収容部13に配置されるインク吸収材18とを備えており、前記インク収容部13には、当該インク収容部13全体の連通を保ちつつ、廃インクの一方向への移動を妨げる堰となる壁20が設けられていることを特徴とする。
【選択図】図4
Description
本発明は、インクジェット記録ヘッド(以下単に記録ヘッドということがある)から吐出され、被記録媒体に付着せずに打ち捨てられるインク等を吸収するインク吸収材を具備した廃インクタンク、この廃インクタンクを備えたインクジェット記録装置、並びに液体噴射装置に関する。
ここで液体噴射装置とは、インクジェット記録ヘッドが用いられ、該記録ヘッドからインクを吐出して被記録媒体に記録を行うプリンタ、複写機およびファクシミリ等の記録装置に限らず、インクに代えてその用途に対応する液体を前記記録ヘッドに相当する液体噴射ヘッドから被記録媒体に相当する被噴射媒体に噴射して、前記液体を前記被噴射媒体に付着させる装置を含む意味である。
液体噴射ヘッドとして、前記記録ヘッドの他に、液晶ディスプレー等のカラーフィルター製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレーや面発光ディスプレー(FED)等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド、精密ピペットとしての試料噴射ヘッド等が挙げられる。
以下、インクジェット記録装置或いは液体噴射装置の一例としてのインクジェットプリンタを例に挙げて説明する。近年、ホームDPEと称されるが如く、銀塩写真並の超高画質印刷を家庭で容易に実現可能なインクジェットプリンタが一般に広く普及しており、そしてこのようなインクジェットプリンタには、銀塩写真と同等な出力結果を得る為に四辺に余白無しで印刷する、いわゆる「縁無し印刷」が実行可能に構成されたものがある。
このようなインクジェットプリンタの構成としては、記録ヘッドと対向して設けられ、記録用紙と記録ヘッドとの距離を規定するプラテンに凹部を設け、用紙端部から外れた領域にインクを吐出するとともに当該外れた領域に吐出するインクを前記凹部に打ち捨てる構成が一般的である。
ここで前記凹部には、打ち捨てられるインクのミスト化による浮遊を極力防止する為に、インクを吸収するインク吸収材が設けられる。そして、プラテンのインク吸収材に吸収されたインクは、インク回収誘導経路を経て廃インクタンクに達するように構成される。
また、インクジェットプリンタにおいて廃インクを貯蔵する廃インク貯蔵部の構造については、廃インク収容室を区画したもの(特許文献1参照)や、廃インク吸収材を分割したもの(特許文献2参照)が報告されている。
ところで、廃インクタンク内にはインクを吸収するインク吸収材が設けられているが、このインク吸収材にある程度のインクが吸収されている状態で、例えば輸送時等にインクジェットプリンタが傾いた姿勢(特に、使用時の姿勢から横に90度寝かされた状態)に置かれると、吸収されていた廃インクが重力によって下方に移動して廃インクタンクの下端部に集まり、水頭値が大きくなって廃インクを保持することができなくなり、外部へ漏れ出てしまう虞があった。
そこで本発明はこのような問題に鑑みなされたものであり、その目的は、インクジェットプリンタが傾いた姿勢に置かれた場合でも、インクが外部へ漏れ出ることの無い廃インクタンク、この廃インクタンクを備えたインクジェット記録装置、並びに液体噴射装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様に係る廃インクタンクは、インク収容部を構成するケーシングと、前記インク収容部に配置されるインク吸収材とを備えており、前記インク収容部には、当該インク収容部全体の連通を保ちつつ、廃インクの一方向への移動を妨げる堰となる壁が設けられていることを特徴とする。
本発明において「廃インク」とは、例えば被記録媒体(用紙)に余白無く印刷する、いわゆる「縁無し印刷」を実行した場合に、用紙端部から外れて打ち捨てられたインクなど、用紙に付着せずに記録に寄与しなかったインクをいう。また、「廃インクタンク」とは、前記廃インクが導かれ、そこで乾燥させるために貯留するタンクをいう。
この特徴によれば、インク収容部には、当該インク収容部全体の連通を保ちつつ、廃インクの一方向への移動を妨げる堰となる壁が設けられているので、インク収容部に導入された廃インクを均一に分散させた状態でインク吸収材に吸収させることができる。また、廃インクタンクが傾斜または垂直姿勢となった場合には、インク収容部内の廃インクは重力によって下方に移動するが、その一方向への移動が堰となる壁によって妨げられるので廃インクタンク内の一箇所に廃インクが集中することが無く、堰となる壁によって分けられた領域の複数箇所に分散される。従って、インク吸収材はその分散された廃インクを保持すればよいこととなる。そのため、廃インクを確実に収容することができ、廃インクの漏れ出しを確実に防止することができる。
また、本発明の第2の態様に係る廃インクタンクは、前記第1の態様において、前記堰となる壁は、平面視T形状に成形されていることを特徴とする。この特徴によれば、堰となる壁が平面視T形状に成形されているので廃インクの貯留部を構成することができ、もって廃インクタンクからの廃インクの漏れ出しを確実に防ぐことができる。
また、本発明の第3の態様に係る廃インクタンクは、区画壁によって複数の区画エリアに区画されたインク収容部を構成するケーシングと、それぞれの区画エリアに配置されるインク吸収材とを備えており、前記インク吸収材の厚みが12mm以下であることを特徴とする。この特徴によれば、インク吸収材の厚みが12mm以下であるため、当該インク吸収材に吸収されている廃インクの蒸発効率を高めることができ、廃インクの乾燥を効率的に行うことができる。そのため、廃インクの漏れ出しを回避することが可能である。
また、本発明の第4の態様に係るインクジェット記録装置は、被記録媒体に記録を実行するインクジェット記録ヘッドと、前記記録ヘッドに対向して配置され、被記録媒体を支承するプラテンとを備えるインクジェット記録装置であって、前記プラテンの下方に、前記第1の態様から前記第3の態様のいずれかの態様に記載の廃インクタンクが設けられていることを特徴とする。
また、本発明の第5の態様に係る液体噴射装置は、被噴射媒体に液体を噴射する液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドに対向して配置され、被噴射媒体を支承するプラテンとを備える液体噴射装置であって、前記プラテンの下方に、被噴射媒体に付着しなかった液体を収容する廃液体タンクが設けられており、前記廃液体タンクは、液体収容部を構成するケーシングと、前記液体収容部に配置される液体吸収材とを備えており、前記液体収容部には、当該液体収容部全体の連通を保ちつつ、廃液体の一方向への移動を妨げる堰となる壁が設けられていることを特徴とする。
以下、本発明に係る廃インクタンク、及び「インクジェット記録装置」、「液体噴射装置」の一例としてのインクジェットプリンタ(以下、「プリンタ」という)について図面を参照しつつ説明する。ここで、図1はプリンタ1の要部斜視図であり、図2は同要部側断面図、図3及び図4は本実施形態に係る廃インクタンク100の説明に供する図面である。なお、以下では図2の左方向(プリンタ後方側)を用紙搬送経路の「上流側」といい、右側(プリンタ前方側)を「下流側」ということとする。
プリンタ1には、「被記録媒体」、「被噴射媒体」の一例としての用紙Pに記録を実行する液体噴射手段の一例である記録実行手段として、キャリッジガイド軸(図示せず)に沿って主走査方向X(図2においては紙面前後方向)に往復可能なキャリッジ81の底部に搭載されたインクジェット記録ヘッド82が備えられている。この記録ヘッド82は、用紙Pに向けて液体の一例であるインクを吐出(噴射)し、インクを当該用紙Pに付着させることで記録を実行するものである。
記録ヘッド82の下方には、記録ヘッド82と対向して当該記録ヘッド82のヘッド面と用紙Pとの間でギャップ(いわゆる、ペーパーギャップPG)を規定するプラテン70が設けられている。そして、記録ヘッド82とプラテン70との間に用紙Pを主走査方向Xと直交する副走査方向Yに所定の搬送量で搬送する動作と、記録ヘッド82を主走査方向Xに一往復させる間に記録ヘッド82から用紙Pに向けてインクを噴射する動作とを交互に繰り返すことによって用紙Pに記録が行われる。
次に、用紙Pに記録を行う記録部を中心としてプリンタ1の構成について更に説明する。
プリンタ1の底部(廃インクタンク100の下方)に配設された用紙カセット(図示せず)から給送された用紙Pは、搬送用駆動ローラ50aと搬送用従動ローラ50bとによって構成される搬送用ローラ50によって搬送される。搬送用駆動ローラ50aは主走査方向に延在した長軸のローラから構成されており、一方、搬送用従動ローラ50bは複数個設けられており、それぞれがローラホルダ58によって従動回転可能に軸支されている。また、ローラホルダ58は図示しない付勢手段からの付勢力を常に受けており、これにより搬送用従動ローラ50bは常に搬送用駆動ローラ50aに圧接したニップ状態が保たれるようになっている。
プリンタ1の底部(廃インクタンク100の下方)に配設された用紙カセット(図示せず)から給送された用紙Pは、搬送用駆動ローラ50aと搬送用従動ローラ50bとによって構成される搬送用ローラ50によって搬送される。搬送用駆動ローラ50aは主走査方向に延在した長軸のローラから構成されており、一方、搬送用従動ローラ50bは複数個設けられており、それぞれがローラホルダ58によって従動回転可能に軸支されている。また、ローラホルダ58は図示しない付勢手段からの付勢力を常に受けており、これにより搬送用従動ローラ50bは常に搬送用駆動ローラ50aに圧接したニップ状態が保たれるようになっている。
搬送用ローラ50によって挟持された状態で搬送される用紙Pは、記録ヘッド82の下方の記録ポジションに導かれ、記録ヘッド82及び用紙Pの動作によって用紙Pに記録信号に応じた記録が実行される。記録ヘッド82とその下方において、これに対向して設けられるプラテン70とのギャップPGは高精度の記録を実行する上で重要な要素となっており、用紙Pの厚さの変化に応じて適宜調節されるようになっている。
用紙Pと記録ヘッド82との間のギャップPGを規定するプラテン70の上面には、記録ヘッド82と対向する面に直接、用紙Pを下方から支承するリブ71が形成されている。また、プラテン70の上面には、記録ヘッド82から吐出され、用紙Pの端辺から外れて打ち捨てられるインクを吸収するための凹部73が設けられており、これにより用紙Pの端部において余白無く印刷を行う、いわゆる「縁無し印刷」が実行可能となっている。
凹部73には、凹部73に至ったインクを吸収するインク吸収材74が装着されている。このインク吸収材74はインクの吸収性に優れると共に、適度な柔軟性を有する材料、例えばフォーム(発泡体)材料によって形成される。インク吸収材74の形状は、プラテン70の凹部73に対して装着される所定の形状に形成される。
インク吸収材74に吸収されたインクは、液体回収誘導経路の一例であるインク回収誘導経路(図示せず)を経て、プラテン70の下方に配設されている廃液体タンクの一例である廃インクタンク100に達し、当該廃インクタンク100に収容される。なお、廃インクタンク100については後述する。
記録ヘッド82の下流側には、被噴射媒体排出手段の一例である、第1排出用駆動ローラ51aと第1排出用ギザローラ51bとによって構成される第1排出用ローラ51、及び第2排出用駆動ローラ52aと第2排出用ギザローラ52bとによって構成される第2排出用ローラ52が設けられ、これらの排出用ローラ51,52によって用紙Pが排出されるようになっている。排出用駆動ローラ51a,52aは同期して回転するように構成され、一方、排出用ギザローラ51b,52bはその外周に複数の歯を有する歯付きローラであり、それぞれローラホルダによって自由回転可能に軸支されている。
また、第1排出用ローラ51の上流側近傍にはプラテン70に一体成形された第1案内部56が配置され、第2排出用ローラ52の上流側近傍には廃インクタンク100に一体成形された第2案内部57が配置されている。これらの案内部56,57により用紙Pがスムースに排出用ローラ51,52に挟持されるため、用紙Pの排出動作が的確に実行される。また、第1案内部56をプラテン70と、第2案内部57を廃インクタンク100と一体に成形したことで、部品点数を低減することができる。
搬送用従動ローラ50bは搬送用駆動ローラ50aよりその軸芯位置がやや下流側(プラテン70側)に配設されていて、さらに第1排出用ギザローラ51bは第1排出用駆動ローラ51aよりその軸芯位置がやや上流側(プラテン70側)に配設されている。このような構成により、用紙Pは搬送用ローラ50と第1排出用ローラ51との間において僅かに下に凸となる「逆ぞり」と呼ばれる湾曲状態に保持され、記録ヘッド82に対向する位置にある用紙Pはプラテン70に押しつけられ、もって用紙Pの浮き上がりが防止されて正常に記録動作が実行されるようになっている。
次に本実施形態に係る廃インクタンク100について説明する。
本実施形態に係る廃インクタンク100は、その内側にインク収容部13を構成するケーシング10と、インク収容部13に配置されるインク吸収材18とを備えている。インク収容部13には、当該インク収容部13全体の連通を保ちつつ、廃インクの一方向への移動を妨げる堰となる壁20(以下単に壁20ということがある)がケーシング10に一体に設けられている。
本実施形態に係る廃インクタンク100は、その内側にインク収容部13を構成するケーシング10と、インク収容部13に配置されるインク吸収材18とを備えている。インク収容部13には、当該インク収容部13全体の連通を保ちつつ、廃インクの一方向への移動を妨げる堰となる壁20(以下単に壁20ということがある)がケーシング10に一体に設けられている。
本実施形態では、壁20は図示の如く平面視「T」形状に成形されており、より詳しくは基端部がケーシング10に連結され、廃インクタンク100の長手方向に対して直交する方向(すなわち副走査方向)に延在した長部21と、この長部21の先端部に設けられ、長部21に対して直角の方向(すなわち主走査方向)に延在した短部22とから構成されている。壁20は廃インクタンク100の長手方向に所定の間隔をもって交互に配設されている。また、インク吸収材18はインク収容部13の形状に合わせて成形し、壁20に相当する箇所にはその形状に合わせて切り込みを設けた、全体として単一のものを用いることができる。
インク回収誘導経路を経て廃インクタンク100に導入された廃インクは、インク吸収材18に吸収されるとともに、壁20が設けられているもののインク収容部13全体では図示の如く連通が保たれているので、所定時間かけてインク収容部13全体に、均一に分散されて吸収される。
用紙Pに記録を実行する場合には1桁側(符号H側)が常に基準となる。そのため、縁無し印刷を実行した場合には用紙Pのサイズによらず1桁側には多くのインクが打ち捨てられ、廃インクタンク100においても1桁側から導入される廃インク量が相対的に多くなる。その結果、インク収容部13内の1桁側に廃インクが偏在する虞があるが、図示の如く廃インクタンク100のインク収容部13は全体として連通が保たれているので、廃インクをインク収容部13の全体に、均一に分散させることができる。
また、ケーシング10にはインク吸収材18を係止する係止手段(図示せず)が設けられている。これにより、インク吸収材18のケーシング10からの離間(浮き上がり)を回避することができ、特にインク吸収材18の直上に配置されている第1排出ローラ51(図2参照)の廃インクによる汚損を確実に防止することができる。
ここで、本実施形態に係る廃インクタンク100の作用について説明する。
例えば、プリンタ1が、1桁側が下となって横に90度寝かされた状態(図4において線分Aが重力方向となった姿勢)においては、長部21は重力方向に対して直交する方向(水平方向)となり、一方、短部22は重力方向となる。この状態においては、インク吸収材18に吸収されている廃インクが重力により下方に移動するが、例えばインク収容部の領域13bに吸収されている廃インクは下方に移動して領域13bの下方に位置する壁20bの長部21bによって堰き止められる。そして長部21bの上側に蓄積していき、横方向への移動は短部22bによって堰き止められる。すなわち、長部21bは重力により下方に移動する廃インクを妨げる堰として機能し、短部22bは長部21bによって堰き止められた廃インクが横方向に移動して下段の領域13cに移動することを妨げる堰として機能し、その結果、壁20bの上方には所定量の廃インクを貯留することができる貯留部が構成される。なお、短部22bを超えた廃インクは下段の領域13cに達するが、ここでも上述しように壁20cによって堰き止められるため、続けて下方に移動することがほとんど無く、最下段のインク吸収材領域まで廃インクが下方に移動することを回避することができる。
例えば、プリンタ1が、1桁側が下となって横に90度寝かされた状態(図4において線分Aが重力方向となった姿勢)においては、長部21は重力方向に対して直交する方向(水平方向)となり、一方、短部22は重力方向となる。この状態においては、インク吸収材18に吸収されている廃インクが重力により下方に移動するが、例えばインク収容部の領域13bに吸収されている廃インクは下方に移動して領域13bの下方に位置する壁20bの長部21bによって堰き止められる。そして長部21bの上側に蓄積していき、横方向への移動は短部22bによって堰き止められる。すなわち、長部21bは重力により下方に移動する廃インクを妨げる堰として機能し、短部22bは長部21bによって堰き止められた廃インクが横方向に移動して下段の領域13cに移動することを妨げる堰として機能し、その結果、壁20bの上方には所定量の廃インクを貯留することができる貯留部が構成される。なお、短部22bを超えた廃インクは下段の領域13cに達するが、ここでも上述しように壁20cによって堰き止められるため、続けて下方に移動することがほとんど無く、最下段のインク吸収材領域まで廃インクが下方に移動することを回避することができる。
また、プリンタ1が、1桁側が下となって横に90度寝かされ、さらに前方にある程度傾けられた状態(図4において線分Bが重力方向となる姿勢)においては、インク吸収材18に吸収されている廃インクが重力により下方に移動するが、例えばインク収容部の領域13bに吸収されている廃インクは重力により下方に移動して領域13bの下方に位置する壁20bの長部21bによって堰き止められるとともに当該長部21bに沿ってさらに下方に移動し、短部22bによって堰き止められる。このような姿勢においては壁20bによって構成される廃インクの貯留部の容積が小さくなるために短部22bを超えて廃インクが領域13cに移動することがある。短部22bを超えて領域13bから領域13cに移動した廃インクは、領域13cの下方に位置する壁20cによって確実に堰き止められる。なお、領域13cに吸収されていた廃インクも壁20cによって堰き止められる。
このようにインク収容部に壁を設けなかった場合には、インク収容部が垂直方向に長くなり、インク吸収材に吸収されている全ての廃インクが下方に一様に移動して短時間で下端部に集中する(水頭値が大きくなる)ため廃インクを保持することができなくなって漏れ出すおそれがあった。
しかし、本発明に係る廃インクタンクでは、インク収容部全体の連通を保ちつつ、壁によってインク収容部が複数の領域に分かれているので廃インクが一箇所に集中することが無く、各領域のインク吸収材は該当領域の廃インクを保持すれば足りるので、廃インクの漏れ出しを確実に防止することができる。また、堰となる壁が設けられていることにより、廃インクがインク収容部の最下部に至るまでの経路長を長くすることができ、廃インクの漏れ出しをより一層確実に回避することができる。
また、本発明に係る廃インクタンクでは大型のインク吸収材が不要となるので、本実施形態ではインク吸収材18の厚みを12mm以下、好ましくは8mm以下、さらに好ましくは5.5mm程度にまで薄くする(容積を小さくする)ことが可能となり、もってプリンタ1の小型化、薄型化を図ることが可能となる。また、インク吸収材18の厚みを薄く設定することが可能となることから、廃インクと空気との接触頻度を高めることで廃インクの蒸発を促進させることができ、もって廃インクの乾燥を効率的に行うことができる。なお、堰となる壁は、廃インクの一方向への移動を妨げることが可能な形状であれば特に限定されるものではない。
次に本発明の別の実施形態に係る廃インクタンク200について図5を参照しつつ説明する。
本実施形態に係る廃インクタンク200は、その内部にインク収容部を構成するケーシング10と、インク収容部に配置されるインク吸収材を備えている。インク収容部はケーシング10に一体成形された区画壁30によって2つの区画エリア13a,13bに区画されており、それぞれの区画エリア13a,13bにはインク吸収材18a,18bが配置されている。
本実施形態に係る廃インクタンク200は、その内部にインク収容部を構成するケーシング10と、インク収容部に配置されるインク吸収材を備えている。インク収容部はケーシング10に一体成形された区画壁30によって2つの区画エリア13a,13bに区画されており、それぞれの区画エリア13a,13bにはインク吸収材18a,18bが配置されている。
本実施形態に係る廃インクタンク200では、インク吸収材18a,18bは厚みが12mm以下、好ましくは8mm以下、より好ましくは5.5mm程度となるように構成されている。インク吸収材の厚みが上記範囲にあることにより、インク吸収材に吸収された廃インクと空気との接触頻度を高めることができ、廃インクの溶媒の蒸発を促進させることが可能である。その結果、廃インクの乾燥を効率的に行うことができる。また、インク収容部13を複数(本実施形態では2つ)に区画することでそれぞれのインク吸収材18a,18bが吸収して保持すべき廃インク量を減らすことでき、水頭値が小さくなるため廃インクの吸収効率を向上させることができる。
縁無し印刷を実行した場合には用紙Pのサイズによらず常に1桁側(符号H側)にはインクが打ち捨てられるので、廃インクタンク200においても1桁側から導入される廃インク量が相対的に多くなり、その結果、インク収容部13a側のインク吸収材18aに吸収される廃インク量が相対的に多くなる。そのため、プリンタが横に90度寝かされた状態(図5において線分Cが重力方向となった姿勢)では、特にインク収容部13aから廃インクが漏れ出す虞が相対的に高まる。
しかし本発明に係る廃インクタンクは、上述したようにインク吸収材の厚みが12mm以下、好ましくは8mm以下、より好ましくは5.5mm以下となるように構成されているため、廃インクの蒸発効率が高く、廃インクの乾燥を効率的に行うことができる。そのため、廃インクを乾燥させることでインク収容部からの廃インクの漏れ出しを回避することが可能である。
なお、インク収容部の区画エリア数、区画形状は特に限定されるものではなく、また、それぞれの区画エリアに異なる厚みのインク吸収材を配置することもできる。
1 プリンタ、10 ケーシング、13 インク収容部、18 インク吸収材、
20 壁、21 長部、22 短部、30 区画壁、50 搬送用ローラ、
50a 搬送用駆動ローラ、50b 搬送用従動ローラ、51 第1排出用ローラ、
51a 第1排出用駆動ローラ、51b 第1排出用ギザローラ、
52 第2排出用ローラ、52a 第2排出用駆動ローラ、
52b 第2排出用ギザローラ、56 第1案内部、57 第2案内部、
70 プラテン、71 リブ、73 凹部、74 インク吸収材、81 キャリッジ、
82 記録ヘッド、100,200 廃インクタンク、X 主走査方向、
Y 副走査方向、P 用紙
20 壁、21 長部、22 短部、30 区画壁、50 搬送用ローラ、
50a 搬送用駆動ローラ、50b 搬送用従動ローラ、51 第1排出用ローラ、
51a 第1排出用駆動ローラ、51b 第1排出用ギザローラ、
52 第2排出用ローラ、52a 第2排出用駆動ローラ、
52b 第2排出用ギザローラ、56 第1案内部、57 第2案内部、
70 プラテン、71 リブ、73 凹部、74 インク吸収材、81 キャリッジ、
82 記録ヘッド、100,200 廃インクタンク、X 主走査方向、
Y 副走査方向、P 用紙
Claims (5)
- インク収容部を構成するケーシングと、
前記インク収容部に配置されるインク吸収材とを備えており、
前記インク収容部には、当該インク収容部全体の連通を保ちつつ、廃インクの一方向への移動を妨げる堰となる壁が設けられていることを特徴とする、廃インクタンク。 - 請求項1において、前記堰となる壁は、平面視T形状に成形されていることを特徴とする、廃インクタンク。
- 区画壁によって複数の区画エリアに区画されたインク収容部を構成するケーシングと、
それぞれの区画エリアに配置されるインク吸収材とを備えており、
前記インク吸収材の厚みが12mm以下であることを特徴とする、廃インクタンク。 - 被記録媒体に記録を実行するインクジェット記録ヘッドと、前記記録ヘッドに対向して配置され、被記録媒体を支承するプラテンとを備えるインクジェット記録装置であって、
前記プラテンの下方に、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の廃インクタンクが設けられていることを特徴とする、インクジェット記録装置。 - 被噴射媒体に液体を噴射する液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドに対向して配置され、被噴射媒体を支承するプラテンとを備える液体噴射装置であって、
前記プラテンの下方に、被噴射媒体に付着しなかった液体を収容する廃液体タンクが設けられており、
前記廃液体タンクは、液体収容部を構成するケーシングと、前記液体収容部に配置される液体吸収材とを備えており、前記液体収容部には、当該液体収容部全体の連通を保ちつつ、廃液体の一方向への移動を妨げる堰となる壁が設けられていることを特徴とする、液体噴射装置。
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JP2004120703A JP2005297495A (ja) | 2004-04-15 | 2004-04-15 | 廃インクタンク、インクジェット記録装置、液体噴射装置 |
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JP2004120703A JP2005297495A (ja) | 2004-04-15 | 2004-04-15 | 廃インクタンク、インクジェット記録装置、液体噴射装置 |
Publications (1)
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---|---|
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Cited By (2)
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JP2007301832A (ja) * | 2006-05-11 | 2007-11-22 | Canon Inc | インクジェット記録装置 |
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2004
- 2004-04-15 JP JP2004120703A patent/JP2005297495A/ja active Pending
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