JP2005296846A - 親水化多孔質膜及びその製造方法 - Google Patents

親水化多孔質膜及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】簡易な方法で膜の性能を損なわずに親水化が可能な親水化多孔質膜、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】分解反応で親水性化学種を発生させる親水化剤及びポリフッ化ビニリデン系樹脂を含有する製膜原液を調製する工程と、その製膜原液を相分離させて親水化多孔質膜を得る工程とを含む親水化多孔質膜の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、親水化されたポリフッ化ビニリデン系樹脂を含有する親水化多孔質膜、及びその製造方法に関する。
従来より、河川や湖水の浄水などに用いる固液分離の技術として凝集沈殿、砂ろ過が一般的に採用されている。しかし、近年の原水水質の悪化、施設が大掛かりなものになることや用地確保などさまざまな問題を抱えている。一方、分離膜は、物質の分離、精製、濃縮、分画などの多くの目的で、重要な単位操作として位置付けられており、従来の凝集・沈殿・砂ろ過といった固液分離の操作を膜ろ過という単一の操作で置き換えることが可能である。
現在、限外ろ過膜(UF)や精密ろ過膜(MF)は、河川や湖水の浄水などに用いられ、水事情問題を抱える中国や中東地域を中心にその需要、市場は増加傾向にある。しかし、現在分離膜が抱えている問題点として、長期にわたり運転を行うためのUF膜又はMF膜の逆圧洗浄(逆洗)や薬剤洗浄(薬洗)に対する耐久性がある。また、汚染物質による膜表面への付着や吸着を抑える耐汚染性などの問題も指摘されており、これらの特性を兼ね備えた膜材料が求められている。
一方、エンジニアリングプラスチックは、一般に耐薬品性に優れ、高い物理的強度を持つといった優れた特性を示す。この性質を生かし、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PSF(ポリスルホン)、PES(ポリエーテルスルホン)、PPES(ポリフェニルスルホン)といったポリマーを用いて逆洗や薬洗に対する高い耐久性を有した多孔質分離膜を作成し、これを用いた水処理を行ってきた。しかし、これらの疎水性ポリマーは、他のプラスチックと比較して親水性が低く、これを分離膜として用いた場合、原水中に含まれる微細な粒子、タンパク質などの固形物質が膜面に付着しやすく、かつ付着した汚れが取れにくいという問題があった。
このような疎水性ポリマーを用いた多孔質膜を親水化する方法としては、表面に親水性物質を付着・被覆させる方法、プラズマ等を用いて親水性基をポリマーに導入する方法など、各種の方法が存在する。具体的には、例えばPVDF多孔質膜を親水化する方法として、PVDF多孔質膜を溶剤で湿潤化した後、ポリビニルピロリドンと重合開始剤とを含む溶液に接触させて加熱し、ポリビニルピロリドンを架橋させる方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1に記載の方法やその他の従来法では、多孔質膜の微細孔の内部まで、均一に親水性物質で被覆するのが困難であり、多孔質膜の阻止性能や透過性能を損なう場合もあった。また、親水性物質の脱落などが生じやすく、親水性物質の被覆によって、多孔質膜の耐薬品性や耐逆洗性が低下し易い。そして、親水性物質の架橋や重合を伴う方法では、工程が複雑化し、コスト的に不利となるなどの問題もある。
なお、親水性化合物は、疎水性ポリマーとの相溶性が悪く、ポリマー中に均一分散させるのは困難であることが知られている。このため、親水性化合物をポリマー中に分散させて親水化を行うのは一般に困難である。
特開平11−302438号公報
そこで、本発明の目的は、簡易な方法で膜の性能を損なわずに親水化が可能な親水化多孔質膜、及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく、ポリフッ化ビニリデン系樹脂の親水化処理について鋭意研究したところ、ポリマー中に分散し易い分解型の親水化剤を用いることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の親水化多孔質膜は、分解反応で親水性化学種を発生させる親水化剤の分解物と、ポリフッ化ビニリデン系樹脂とを含有してなることを特徴とする。本発明の親水化多孔質膜によると、分解反応で発生する親水性化学種を含むため、ポリフッ化ビニリデン系樹脂の親水化が行え、その際に、分解型の親水化剤を用いるために、従来の親水性化合物と比較してポリフッ化ビニリデン系樹脂への相溶性が良くなり、より効果的な親水化を行うことができる。
上記において、前記親水化剤が、加水分解して親水性化学種を発生させる含フッ素ポリシロキサンであることが好ましい。かかる親水化剤によると、ポリフッ化ビニリデン系樹脂への相溶性が更に良くなり、また、親水性化学種が表面にブリード(移行)し易く、親水化の効果もより良好になる。
一方、本発明の親水化多孔質膜の製造方法は、分解反応で親水性化学種を発生させる親水化剤及びポリフッ化ビニリデン系樹脂を含有する製膜原液を調製する工程と、その製膜原液を相分離させて親水化多孔質膜を得る工程とを含むことを特徴とする。本発明の製造方法によると、分解反応で親水性化学種を発生させる親水化剤をポリマー製膜原液に含有させて製膜するため、親水化剤のポリフッ化ビニリデン系樹脂への相溶性が良くなり、より効果的な親水化を行うことができる。
上記において、前記親水化剤が、加水分解して親水性化学種を発生させる含フッ素ポリシロキサンであることが好ましい。かかる親水化剤によると、ポリフッ化ビニリデン系樹脂への相溶性が更に良くなり、また、親水性化学種が表面にブリードし易く、親水化の効果もより良好になる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。本発明の親水化多孔質膜は、分解反応で親水性化学種を発生させる親水化剤の分解物とポリフッ化ビニリデン系樹脂とを含有してなるものである。
用いられる親水化剤としては、分解反応で親水性化学種を発生させるものであればよく、加水分解や熱分解等で親水性が発現する官能部分(有機酸残基やシラン化合物残基)を分子内に有する。また、親水化剤としては、発生する親水性化学種が表面移行性を有することが好ましい。親水化剤の分子量は、表面移行性を考慮すると数平均分子量100〜9,000が好ましく、より好ましくは200〜6,000である。
本発明で好適に使用できる表面移行性を有する親水化剤は、たとえば、次式[I]で表される化合物である。
Z−X−O−Rf [I]
(上記式中、Zは、炭化水素基または置換炭化水素基からなる有機基であって、ケイ素原子を含んでいても良い。XはC=O(カルボニル)またはSO、Rfはフッ素置換炭化水素基からなり、水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された有機基で、酸素原子を含んでいても良い。)
この化合物は、熱または光の励起エネルギーにより反応し、式中のRfと、酸素原子との間の結合が解離する。解離により発生したカルボン酸基、スルホン酸基などの親水性基(式中のX−Oを含む部分)を有する化学種が、表面の親水性を効果的に高める。
また、上記の他、下記式[II]で表される有機ケイ素化合物であっても良い。
Y−O−Rf [II]
(上記式中、Yは、シロキサン基、シリレン基、シラン化合物残基、珪酸塩残基等のケイ素含有官能基を有し、加水分解性して親水性化学種を発生させるユニット、Rfは、式[I]の場合に準ずるフッ素置換炭化水素基からなる有機基である。)
上記の様な表面移行性を有する親水化剤の市販品としては、ダイキン工業(株)社製の含フッ素ポリシロキサン(品名)ゼッフル(品番)GH−100、GH−700、東亜合成(株)社製の含フッ素有機シラン化合物(商標)ザフロンFC−2250C(分子内にフッ素素樹脂ユニットと有機シランユニットとを有する)、信越シリーコン(株)社製の(品名)シリコーンオリゴマー(品番)X−41−1053(分子内にメトキシ基を有する有機基とアルコキシシラン基有する)等を挙げることができる。
また、親水化剤は、上記式[I]又は式[II]におけるRfが、フッ素を含まない有機基であっても良い。例えば、Rfの代わりに、メチル基、エチル基等のアルキル基を有していてもよい。
本発明では、上記の親水化剤のうち、上記の式[II]で表される有機ケイ素化合物が好ましく、なかでも特に含フッ素ポリシロキサンが好ましい。
また、ポリフッ化ビニリデン系樹脂としては、ポリフッ化ビニリデンの他、フッ化ビニリデンを共重合成分として含む共重合体や、ポリフッ化ビニリデンを混合成分として含むブレンド体が挙げられる。その他の成分としては、例えばフッ化ビニル、四フッ化エチレン、六フッ化プロピレンなどの含フッ素モノマーやその重合体成分、その他、エチレン、プロピレンなどのビニル系モノマーやその重合体成分が挙げられる。ポリフッ化ビニリデン系樹脂の重量平均分子量は、製膜性や得られる多孔質膜の強度などの観点から10万〜200万が好ましい。また、多孔質膜の物性を大きく損なわない範囲で、PSF(ポリスルフォン)等のポリマーをブレンド体として含有することも可能である。
親水化剤の含有量は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂100重量部に対して、10〜250重量部が好ましく、30〜150重量部がより好ましい。親水化剤の含有量が10重量部未満であると、親水化の効果が不十分となる傾向があり、250重量部を超えると、多孔質膜の機械的強度が低下する傾向がある。
本発明の親水化多孔質膜は、湿式相分離法、乾式相分離法、延伸法など、何れの製法で製膜したものでもよいが、孔径制御の容易性などの観点から、相分離法を利用して製造するのが好ましい。以下、相分離法を利用する本発明の製造方法を例にとり説明する。
本発明の製造方法は、分解反応で親水性化学種を発生させる親水化剤及びポリフッ化ビニリデン系樹脂を含有する製膜原液を調製する工程と、その製膜原液を相分離させて親水化多孔質膜を得る工程を含むものである。
本発明では、親水化剤の分解反応により親水性化学種を発生させるが、上記の湿式製膜法では、相分離に使用する非溶媒(水等)によって分解反応が生じるため、分解反応工程が別途必要とならない。但し、他の方法で本発明の親水化多孔質膜を製膜する場合には、必要に応じて、水分との接触、加熱、エネルギー線照射などの工程を追加してもよい。
上記ポリマーの溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等が使用でき、その他のポリマーの溶媒としては、凝固浴に用いるポリマーの非溶媒と相溶性があれば何れの溶媒でも使用できる。
製膜原液中のポリマー濃度は、10〜30重量%が好ましく、15〜25重量%がより好ましい。30重量%を越えるときは、製膜原液の粘度が高すぎ製膜が困難になる傾向がある。一方、10重量%より少ないときは、得られる多孔質分離膜の機械的強度が乏しくなる傾向がある。
その他、製膜原液には、造孔剤などの目的に広く使用されるポリエチレングリコール等を添加しても構わない。また、親水化剤の分解反応を促進するための触媒等を添加してもよい。なお、親水化剤を溶解させる方法としては、製膜原液作製時にポリマーと同時に投入するか、ポリマーが溶解後に投入すればよい。
本発明の製造方法は、上記の製膜原液を相分離させて親水化多孔質膜を得る工程を含むものである。相分離は、製膜原液を一定厚みにキャストしたものを非溶媒に浸漬したり、温度変化させたり、両者の組み合わせなどで行うことができる。具体的には、ガラス板、不織布または織布の上に一定厚みにキャストしたものを凝固浴に投入したり、二重管ノズルより中心に非溶媒または溶媒との混合液を流しながら凝固浴へ中空糸状に押し出して、溶媒置換による相分離現象を起こさせることができる。
上記の非溶媒は、膜中の溶媒を脱溶媒する効果がある。十分に脱溶媒された多孔質膜は、水分を除去するために乾燥される。凝固浴には水、アルコール等の非溶媒や非溶媒と溶媒の混合液が使用できる。本発明では、相分離させる際の非溶媒の温度は、5〜70℃が好ましい。また、その他の条件としては、相分離法による一般の製膜条件が採用できる。
本発明は、特に、表面部の平均孔径0.01〜0.5μm、空孔率40〜80%の多孔質膜を親水化するのに有効である。
本発明の親水化多孔質膜は、食品工業におけるアルコール飲料や果汁飲料等の除菌、除濁、除蛋白質、半導体製造工業における超純水の製造、医薬品工業における無菌水の製造、各種工業排水、ビル等の建築物排水、下水の除濁、河川水、かん水、海水の逆浸透法による脱塩の前処理などに用いられ、菌体や微粒子及び高分子物質を効率良く分離・除去し、且つ機械的強度に優れる精密ろ過または限外ろ過用の多孔質分離膜を提供できる。
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。なお、実施例等における評価項目は下記のようにして測定を行った。
(接触角)
一般的に用いられる方法にて、多孔質膜に5μmLの水滴を静かに滴下し、滴下後30秒後の多孔質膜と水滴との接触角度を測定した。
(構造観察)
多孔質膜の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真より評価した。
(平均孔径および空孔率)
平均孔径は表面の走査型電子顕微鏡(SEM)観察により測定し、空孔率はかさ密度から計算した。
(実施例1)
ジメチルアセトアミドにポリフッ化ビニリデン(ソルベイ社製、SOLEF6020)を15wt%になるように混合し60℃の温浴にて撹拌して溶解した。ポリフッ化ビニリデンが溶解後、親水化剤(含フッ素ポリシロキサン、ダイキン工業製のゼッフルGH−700)をポリフッ化ビニリデンに対し100wt%になるように添加し、更に3時間以上撹拌を行い均一な製膜原液を得た。これをガラス板上にアプリケーターにてキャスティングし、それを非溶媒である40℃の水に浸漬して相分離と脱溶媒を行った。乾燥し厚さ30μmの多孔質膜を得た。この多孔質膜を用いて、上記の各評価を行った。
接触角の測定では、滴下した水が多孔質膜に染み込んでしまい30秒後の接触角は測定不可であったため、接触角は0°と評価できる。また、構造観察においては、いわゆるスポンジ構造とよばれる均一な膜構造が観察され、親水化剤の分離による不均質化は観察されなかった。この多孔質膜の平均孔径は0.05μm、空孔率は70%であった。
(実施例2)
実施例1において、親水化剤ゼッフルの配合比をポリフッ化ビニリデンに対し44wt%としたこと以外は実施例1と同様にして多孔質膜を得た。この多孔質膜を用いて、上記の各評価を行った。
接触角の測定では、接触角は52°であり、親水化処理の効果が確認できた。また、構造観察においては、いわゆるスポンジ構造とよばれる均一な膜構造が観察され、親水化剤の分離による不均質化は観察されなかった。この多孔質膜の平均孔径は0.05μm、空孔率は68%であった。
(比較例1)
ゼッフルを添加しないこと以外は実施例1と同様な操作にて多孔質膜を得た。この多孔質膜を用いて、上記の各評価を行った。
接触角の測定では、接触角は95°であった。また、構造観察においては、マクロボイドを有する不均一な膜構造が観察された。この多孔質膜の平均孔径は0.03μm、空孔率は68%であった。
以上の結果より、本発明では分解反応で親水性化学種を発生させる親水化剤を添加することにより、接触角の低下が見られ親水性が向上していることが分かる。その際、多孔質膜の構造、孔径、空孔率などは、好適に維持されており、従って、簡易な方法で膜の性能を損なわずに親水化が可能な親水化多孔質膜の製造方法を提供することができる。

Claims (4)

  1. 分解反応で親水性化学種を発生させる親水化剤の分解物と、ポリフッ化ビニリデン系樹脂とを含有してなる親水化多孔質膜。
  2. 前記親水化剤が、加水分解して親水性化学種を発生させる含フッ素ポリシロキサンである請求項1記載の親水化多孔質膜。
  3. 分解反応で親水性化学種を発生させる親水化剤及びポリフッ化ビニリデン系樹脂を含有する製膜原液を調製する工程と、その製膜原液を相分離させて親水化多孔質膜を得る工程とを含む親水化多孔質膜の製造方法。
  4. 前記親水化剤が、加水分解して親水性化学種を発生させる含フッ素ポリシロキサンである請求項3記載の親水化多孔質膜の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101134348B1 (ko) 2009-12-08 2012-04-09 허준혁 친수성 pvdf 분리막 및 이의 제조방법
CN108187510A (zh) * 2018-02-02 2018-06-22 南京久盈膜科技有限公司 一种高强度pvdf中空纤维膜、制备方法及装置

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