JP2005296618A - 水域での津波用避難装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 海上に船で出ている場合でもこれらの人をより近い位置で安全かつ迅速に避難させ得るようにした水域での津波用避難装置を提供すること。
【解決手段】 水底に固定され水面から上方へ高く立ち上がる支柱を備えるとともに、同支柱には避難部が設けられ、かつ、水面から避難部まで避難者を導く登り手段を備える。また、このものにおいて、支柱は杭で補強支持されている。
【選択図】 図2

Description

本発明は、沿岸海域(湾内や河川口などを含む)や河川内、湖沼などの水域での津波用避難装置に関する。
沿岸海域などの海上では、筏養殖や釣りなどに出掛けたりする人の船が多く横行しているのが現状である。
ところで、これらの筏や船で作業等をしている最中に遠隔で津波が発生すると、津波到達時間が短いと安全な場所まで直ぐには避難できず、津波に呑み込まれてしまうこととなる。また、津波情報を常時聞いていない場合も多々あり、この場合には、津波到達時間が長くても津波に呑み込まれてしまう可能性が高い。
上記に鑑み、本発明は、例えば、海上に船で出ている場合でもこれらの人をより近い位置で避難させ得るようにした水域での津波用避難装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、水底に固定され水面から上方へ高く立ち上がる支柱を備えるとともに、同支柱には避難部が設けられ、かつ、水面から避難部まで避難者を導く登り手段を備える。
請求項2記載の発明は、請求項1記載のものにおいて、支柱は杭で補強支持されている。
本発明によれば、海上に船で出ている場合でもこれらの人をより近い位置で安全かつ迅速に避難させ得るようにした水域での津波用避難装置を提供することができる。
発明を実施するための最良の形態・実施例
図1および図2は、本発明に係る水域での津波用避難装置の一実施形態を示す。図1および図2に示すように、1は支柱で、同支柱1は、上からみて正四角形の頂点に対応して配した4本からなり、この実施形態では鋼製丸パイプで基部のものが太く上部にゆくに従って細くなった竹の子状をなしている。
4本の支柱1は、水平な鋼製連結梁2で結合されており、これらの連結梁2は上下数段に配されている。こうして1つのタワー型構造物である避難装置が構成されるが、これら支柱1は、海岸から数十mあるいは数百m離間した海底3に直接あるいは別杭により垂直に立設固定されている。海底3に基礎杭を打ち込みこれに支柱1を同心軸状あるいは平行軸状をなして連結固定するようにしてもよい(このことは他の実施形態でも同様に適用することがある)。
支柱1は、斜めをなして海底地盤3に固定された複数本の補強杭4と交差状とされ、相互は連結ジョイント5により連結固定されている。補強杭4は斜め上向きをなして津波Xの到来に有効に作用するようになっているが、逆方向に斜めにしてもよい。6は階段である登る手段で、連結梁2で構成される面内に張られた床(第1階の床と第2階の床とがある)7上を介して海面8から2階まで登ることができるようになっている。
第2階の床7からは、第3段目の階段6を介して上階の避難部9上に登ることができるようになっている。避難部9は、連結梁2と床7で構成されるとともに外周に手摺10が張られており、上方には天板11も設けられている。この天板11上には、ソーラーや風力発電装置を備えてもよい。
この構造体の前方には、津波Xや津波とともに流れ来る船舶等の随順物などからタワーを防護するため、前1点・後2点配置の前防護杭12が海上に伸びるようにして立設配備されている。これらの前防護杭12にも斜めの補強杭13が附属されている。
タワー構造体と前防護杭12との間にはワイヤ式牽き部材14が張られている。また、前防護杭12相互間にも津波や浮流物を緩衝作用をもって防護するためのワイヤ式プレ張り部材15が張られている。
尚、支柱1は、丸パイプ以外に角パイプ・アングル材・H型鋼など市販の各種部材を使用することができる。角パイプやアングル材のように角張った部材の場合、その角稜を津波Xの到来が想定される向きにして津波Xを切るようにする。丸パイプの支柱1には、その前方に角稜部を前にしてアングル材を添わせると津波Xを切り易い(図5を参照)…Aこのことは他の実施形態でも同様に適用することがある。以下、こうした他の実施形態でも同様に適用できることを意味する表示として、適用される文の段落後に上記のような…Aを付すものとする。
支柱1は、上記4本以外に、単一本や2本、3本、5本、6本…など全ての本数を適用できるし、下部が単一本で上部が複数本のように上下の本数が相異なる場合もある。その逆、すなわち、下部が複数本で上部が単一本のこともある。上記単一本とは、やや細めのパイプを複数本寄せ合わせたものも単一本の範疇に入るものとする(図5の左欄を参照)…A。
支柱1は、地盤3内に打ち込まれているが、地盤3に固定されたヒンジに同支柱1を回転自在に支持するとともに補助斜め支柱の付加やワイヤなどの張設で立設保持するようにしてもよい…A。
支柱1は、垂直状であるが、例えば、各種鉄塔にみられるように、四角錐の各稜線に対応するように斜めの支柱の組み合わせとしてもよい…A。
支柱1がパイプであると中空状であるが、その中にコンクリートを流し込んだりコンクリート製品を投入したりして増強してもよい。
支柱1の外周にはワイヤなどの線条材を螺旋状に巻き付けて補強を図ることもあり、この場合、線条材は、支柱1の外周に離間させて巻き付けると、津波Xからの防護手段にもなる…A。
登る手段6は、電動(付設ソーラーあるいは陸地からの配電方式)あるいは手巻き式ウインチによる簡易昇降手段によったり、簡易エレベータによることがある…A。
牽き部材14・プレ張り部材15は、ポリアミドやカーボンファイバーその他の強度なロープをしようすることがあり、また線条そのままでなくメッシュ状に編まれたものをしようしてもよい。このメッシュ状のものは、縦横に編まれたもののほか斜めに編まれたものでもよい…A。
各種杭4,13はワイヤなどの線条材を使用してもよい…A。
プレ張り部材15は、前防護杭12周りに廃タイヤなどの緩衝材を付してその外周に掛け回すこともできる…A。
牽き部材14などの線条材は、1本そのままで張るほかに、1本の線条材の長手方向に円板を離間配置し、その複数枚の間に他の周ワイヤを円筒面に対応するように上記1本のワイヤと平行状に配して津波Xの防護用として構成することがある。この場合、周ワイヤは、メッシュ式のワイヤとしてもよい…A。
前防護杭12を付すか否かを問わず、図2に示すように、支柱1の前下部にステー16を張り出し、同ステー16と支柱1の上部との間にワイヤやメッシュワイヤなどによる自己防護材17を斜めや垂直に張ってもよい…A。
図3および図4の実施形態は、1本パイプでなる支柱(主柱)20を採用したもので、同支柱20は、その基部が海底地盤21に垂直に打ち込まれて立設固定されて海面22から上方へ高く突き立つようになっている。支柱20はコンクリート基盤23で更に強固に固定してもよい。また、同支柱20は、前後(更に横位置にも設けてもよい)の補強支柱24とその間を繋ぐ連結パイプ25により津波Xの到来方向に強い構造とされている。そして、適宜にワイヤなどの牽き部材26で更なる補強をしてある。
支柱20の前方には補強支柱24が位置するので津波Xには充分対処できるが、この実施形態では、更に前方に、プレ防護杭27を立設配備してある。同杭27は、上部左右に腕状に伸びた補助アーム28を付すと防護幅が拡大する…A。
尚、防護杭27や支柱20には、津波Xの流れを集めて杭27の通孔を通じて内部に導き、その圧流水を上部外周に同心状に離間して被せた緩衝パイプ29内に通じるようにしてパイプ29と杭27間に送り込まれた圧水により津波Xの衝撃を緩和するようにしたものである…A。
そして、支柱20の後部には、左右一対の縦長板30が固定され、その間を利用して登る手段31を配備して上部の避難部32へ避難できるようにしてある。
図5の実施形態は、四角パイプ状の支柱35の上部に避難部36と天板37を備えたもので、特に、登る手段38を支柱35の外部のものと支柱35の内部のものとし、その間を連通口39で連絡するとともに避難部36に通じる出口40を備えて構成したものである。登る手段38は、支柱35内のみを通るものにしてもよい…A。尚、支柱35は、左欄のように、細目のパイプ41…の寄せ集めにより構成してもよい。パイプ41はアングルや溝形鋼などでもよい。
図6の実施形態は、単一本の支柱45の外部に添って簡易ステップ式の登る手段46を設けたものである。上部(あるいは下部まで長くてもよい)には、メッシュワイヤを円筒状にした安全柵47を備えてもよい。
図7の実施形態は、単一本式の支柱50の周りに螺旋式の登る手段51を備えて海面52から避難部53に登り得るようにしたものであり、支柱50は、登る手段51の下方に対応して架台54を張り出し、同架台54に斜め杭55を結合してもよい。斜め杭55には更に補強杭56を結合してもよい。57は牽きワイヤである。
尚、螺旋状の登る手段51は、津波Xとともに流れ来る随順物(船など)が衝当する際の緩衝作用をするように外周にワイヤ58やメッシュワイヤなどのを付したりゴムタイヤを付したりしてもよい。これらの緩衝手段は、津波Xの到来する前面半周に配備してもよい…A。
図8の実施形態は、近くに対応して山60や丘などがある場合にその間の湾内に避難装置61をタワー形式で立設固定したものであり、62は支柱、63は連結材、64は登る手段、65は避難部を示すもので、こうした装置61を杭66とワイヤ67により引張固定し、さらに、避難部65への避難者が山60へ繋がれた梯子ワイヤ68を通じて山60まで逃げ得るようにしたものである。尚、ワイヤ67は、杭66を止める補助杭69で更に増強したり、バネ70を仲介にして緩衝しながら引っ張るようにしてもよい。尚、図下欄に仮想線で示すように、連結材63の部分それ自体を登る手段64により代替構成してもよい。
図9の実施形態は、養殖筏74…が多く配備された入江の様子を示している。こうした入江では養殖筏74…で作業をする人や漁船で釣りに出掛けたりする人がいる。この実施形態は、こうした人を津波の襲来からより早く確実に救済するためのシステムを示す。
ここで、この入江には、左右に離れて山(あるいは丘)75があり、これらの山75を利用して避難装置を構成する。同装置は、山75間に渡された主ワイヤ76と、同ワイヤ76の中間に装備された中継避難ボックス77と、同ボックス77と山75間に掛けられてボックス77の揺れ止めをする複数本の牽きワイヤ78…とを有する。そして、ボックス77からは、下方の海面79へ向けて伸びる登り梯子80を垂らし、その下端に浮き桟橋式の最初避難部81につないである。最初避難部81には、ソーラー82による電力供給により同避難部81の位置を昼夜を問わず明示するための位置表示灯83が点滅に光るように設けられており、避難部81それ自体も蛍光色にしてどの方向からもはっきり判るようにしてある。登り梯子80にも蛍光色を付してもよい。さらに、ボックス77からは、内部ウインチにより巻き揚げ可能なように吊り上げカゴ84を吊り下げてもよい。
また、ボックス77内には滑車が一対設けられており、これに対し、各山75側にも滑車85が設けられて駆動源86により正逆駆動可能にしてある。これら両滑車間に掛けられた救助ワイヤ87に救助カゴ88をそれぞれぶら下げて往復運動できるようにしてある。駆動源86は遠隔操作可能にしてもよい。また、救助ワイヤ87は往復駆動されるようになっているが、同ワイヤ87は固定張り式にしてそれに添って救助カゴ88がブレーキ付きで安全に滑動するようにしてもよい。91は最終避難部である。尚、主ワイヤ76などのアンカー89は、コンクリート基盤90で支持するようにしてもよい。
ボックス77や最初避難部81あるいは沿岸線側からは、地震の発生から津波の襲来を知らせる警報手段が設けられており、この警報に伴い、海に出ている人は、直ぐに最初避難部81までゆき、そこから登り梯子80を伝って中継避難ボックス77まで登る。同ボックス77からは、救助カゴ88に乗り込み、最終避難部91まで避難してゆくものとする。吊り上げカゴ84を利用することもできる。尚、最終避難部91には、カゴ88を緩やかに受け止める緩衝手段(例えば、廃タイヤなど)を対向配置しておいてもよい。
図10の実施形態は、上記各種電力の必要に応じるため、交差状になる架設ワイヤ94の交差面部にソーラー95を配置したものを示し、その他、ボックス96の外面にソーラー95を付してもよい。97は高所の避雷線で、同線96上には対高所架設物表示部103を付してある。また、98は避雷針で、ボックス96に取り付けられ、同避雷針98に導通して導通線99が海面まで垂れ下げられている。そして、線99上には、目立つ蛍光表示部(テープやランプ)100が付されるとともに、仮想線端には避雷針に対するアース端子101が装備されている。尚、架設ワイヤ94には、別途陸からの配電コード102を通すようにしてもよい。
図11の実施形態は、他の避難装置を示す。105は対向する山で、これらの山105には、それぞれ鉄塔106が建てられ、これらの間には、一方の鉄塔106に固定され他方の鉄塔106には滑車107を介してウエイト108で引き降ろされた状態で主ワイヤ109が強く架設されている。同ワイヤ109は複数本でもよい。
この主ワイヤ109上には、複数のローラー110で安定に走行可能な走行台111が装備され、同台111から下方に連結板112が突設されている。両鉄塔106には滑車113が取り付けられ、これらの滑車113を介して掛け回された水平駆動ワイヤ114の各端部が連結板112に連結されているとともに、一方の滑車113は駆動源により正逆に駆動自在になっている。そして、連結板112から垂下された受けバー115には移動滑車116が設けられ、この滑車116に掛けられた吊りワイヤ117の下端には吊りカゴ118が取り付けられる一方、吊りワイヤ117の他端は、正逆駆動可能な駆動源を備えた吊り駆動滑車119に巻き掛けられている。尚、吊りカゴ118の下部はフローとになっている。
津波の襲来が警報されると、避難者は吊りカゴ118に乗り込み、そこで、カゴ118内の遠隔コントローラの操作により一方の滑車113が回転駆動される。これにより、仮想線のようにカゴ118は水平方向に自在に移動でき、山105に近ずけるようにする。適宜に吊り駆動滑車119を駆動してカゴ118を吊り上げ、図示しない避難場所に持ち込むようにする。尚、操作上、カゴ118を高く吊り上げたままにして避難状態にしてもよい。
尚、上記では山が対向していた場合の避難装置を示したが、図12のように、山122からのワイヤ123の他端を海底から海上に立設した鉄塔124に架設してもよい。ワイヤ123は、少なくともその下方を特定の船舶が通過できる程度の高さにする必要がある。双方共に山などがない場合には、図13に示すように、海上に一対の鉄塔126を立設してワイヤ127を架設するようにする。
また、図14に示す実施形態は、山相互間に架設されたワイヤ129から係留ワイヤ130を複数本垂れ下げておき、各ワイヤ130をフロート131に連結可能とするとともに、船舶132に複数点で従来より強力に連結保持することのできる繋ぎワイヤ133を付しておくことにする。尚、フロート131にはソーラー134を装備してランプ発光を可能にしてもよい。
図15の実施形態は、例えば、入江に対向する山136がある場合にその相互間にワイヤ137を架設してその一端は固定式に他端は巻き取り可能な繰出ドラム138に巻き掛けておくものとする。ワイヤ137の線上には、フロート139とフック140を備えた吊りワイヤ141を複数本吊り下げておく。このようにしておくと、津波の襲来が判ると、ドラム138を張った状態から緩め、仮想線のように海面まで自由に下げる。これにより、フロート139が海面に浮ぶので、それに付随してフック140を利用して船を係留したり随順物(逆流する家屋や人)を引っ掛けたりしてそれ以上沖に流されないようにする。ドラム138を巻き上げると、船の通過を許容するものとなる。
尚、仮想線のように、超音波センサー142を高所配置して波の高さを検知することで、事前に津波の襲来を察知し警報を発すことが可能になる。特に、津波が襲来する前には水面が下降することがあり、そのことからこのセンサー142による検知は有効である。尚、ロープ143を垂らすには、仮想線のように、フロート144で行う方法と更にウエイト145を海底に下げて固定する方法とがある。
図16の実施形態は、既設の波消ブロック群(商品名:テトラポット)147…の津波に対する安定防護対策案を示す。
日本海中部地震に襲われた秋田県の海岸では、10t近くもある波消ブロックの数々が海岸近くの丘まで打ち上げられたという記録があり、津波の破壊力の凄さを象徴する1つとなっている。図16の波消ブロック群147は沿岸から少し離れて沿岸に平行に設置されたもので、その沖合いには左右からの堤防があってその間からの津波の襲来に対向するように構成されたものである。
148は海底地盤、149は海面で、図の右側が沖側である。こうした波消ブロック147…に対し、これらを一括的に固結化するため、波消ブロック群147の前後には、地盤148にそれぞれ打ち込まれブロック群147に沿った形の斜め杭150…が横からみてハの字になるようにしてしかもブロック群147の長手方向に多数組配備されている。斜め杭150は、更に斜めの補強杭151により連結補強されているとともに、長手方向には、斜め杭150を繋ぐ前後面横連結材152が上下複数段に亘って連結装架されている。波消ブロック群147の長手方向端部に対応して繋ぎワイヤ153が掛けられている一方、上面には、上面横連結材154と上面縦連結材155が構築され、前後面の構築物と相互連結されるようになっている。そして、ブロック群147の上面には、コンクリートあるいはモルタルによる固結剤156が流し固着されてその上面を歩行可能になっている。
波消ブロック群147…はこうして全体が固結一体化されているので、津波が襲来してもばらばらにならず、掬い流されるおそれもない。
図17の実施形態は、波消ブロック群158…の全体をメッシュワイヤ159により被い、同ワイヤ159の前後端を多数の杭160により固定したものである。ワイヤ159は特に二重など複数枚重ねてある。ワイヤ159の沖側端には、津波で掬い上げられないための防護材161が杭打ちされている。また、上面には、固結剤162が流し固着されている。
図18の実施形態は、高さを5・10・20・30mなどにできる特大(あるいは巨大)波消ブロック163を示す。同ブロック163は、四角錐の面を三角形にくり貫いた形状で、その材質はコンクリートや鋼製などであり、同波消ブロック163は、そのまま一体物であると運搬設置に不利であるため、ここでは、分割合体方式にしてある。図19はその分解状態を示し、164は連結梁で、断面レ形の鋼製のものの端部には連結板165を溶接したものである。166はコーナーブロックで、同じくレ形の鋼製のものを三方に結合したもので、各端部には連結板165を溶接してなる。連結板165間はボルトナットで相互連結するもので、これにより、図18のように現場で一体化施工される。尚、ブロック163の内側あるいは外側には、杭孔167の開けられた基板168が固定されており、図19のような杭169の打ち込みにより海底地盤に固着されるようになっている。
波消ブロック163は、図18の仮想線のように隣合わせに繋いでもよく、この場合、隣のものは逆様に繋いでもよい。また、波消ブロック163の中は中空であるが、その中にはテトラポットなどの小さい波消ブロックを投入設置してもよい。さらに、図18のように、津波に備えて波消ブロック163の斜面に登る手段170を配すとともに上端には避難部171を固定してもよい。上記ボルトナットにはその腐食を防止するため、樹脂やモルタルなどを覆うこともできる。上記内部の波消ブロックは微生物を育ち易くして魚の繁殖場として機能する。波消ブロック163の上面は、支え杭などにより水平な歩道を形成することができるとともに手摺の追加などにより釣り場としても利用可能である。
図20の実施形態は、海岸線上に津波用の避難ステージ173を設置したものにおいて、その前後面に斜め式でコンクリートや鋼製の防護柱174を組み合わせたものである。図のように防護柱174により石ころなどが襲来してきてもステージ173を防護するものである。
図21および図22の実施形態は、波消手段176を前後に配した堤防177について、同堤防177の前面側に津波を左右に分ける平面テーパー状の振り分け突堤178を形成したものである。堤防177の先端側には、振り分けられた津波流を逆向きに湾曲戻り流として相殺関係にするためのガイド179を突設してある。
図23ないし図28に示す実施形態において、図23の手前側が海側、図24および図25のP側が同じく海側で、その反対側が反海側である海岸や家屋などがある側である。
200は堤防で、その一部を図のように切り欠いて開口201として明けてあり、この開口201の底端は水面より高く設定されている。
この開口201には、通常は図23から図25のように開口して待避した状態になっているが津波が図26のように海側から矢印Xのように到来する際には図24の矢印Dのように前部が下がって図26のように前面閉止状態となって津波Xに対抗し家屋などを護るようにする一方、津波Xが図28の矢印Yのように戻り流となって逆流する場合には家屋や家具、船舶などの流出しては困るものを受け止めて戻り流のみを通過させるようにした開閉制御型防護装置Gが設けられている。
202は底フレームで、開口201の底端内にゴム質の免震用緩衝材203を介して固定されている。204はガイドレールで、同ガイドレール204は、開口201の左右立面に緩衝材203を介して垂直に固定され左右一対からなる。
ガイドレール204は、図27にその断面形状が示されているように、縦座板205とH形断面をしたレール本体206を備え、レール本体206内には、溝形鋼でなる転動受材207が設けられている。
堤防200の上面には、開口201の上に対応して図25のような上枠体209が緩衝材203を介して固定されている。この上枠体209には、前記ガイドレール204の上端が連結固定されているとともに、同上枠体209上には、左右一対の軸受210が設けられるとともに、これら軸受210を介して駆動軸211が装架されている。この駆動軸211の回りには、左右一対のスプロケット212が設けられるとともに、同駆動軸211は駆動源213で正逆に駆動制御可能になっている。駆動軸211は、手動のみあるいは駆動源213か手動のいずれかで回転できるようにしてもよい。
215はローラー、216はチェーンで、これらローラー付きチェーン215,216は、前記左右のガイドレール204にそれぞれ転動により上下するようにされるとともに上部のスプロケット212に掛け回されている。左右のチェーン216の各プレートからは軸受体217が突設され、これら左右に対向するものの間に、回転パイプ218が上下複数段にわたるように回転支持されている。
各回転パイプ218には、図26のような変曲断面をし軽量で強度のある開閉シャッター220…が取り付けられている。この開閉シャッター220は、上側の回転パイプ218側からその下側の回転パイプ218の前面に被さる形で垂れ下がるものになっている。
尚、221はシャッターガイドで、開閉シャッター220がスプロケット212の回りを転回する際のシャッター220の安定性を確保するためのものである。222はサポートパイプで、開閉シャッター220の前後に添うようにして垂直に立てられて津波による負荷からシャッター220を受け止め護るものである。
通常時には、図24に開口高さHで示すように、開閉シャッター220の前側のものが4m前後持ち上がり後側も同様に持ち上がった状態とされる。堤防200に設置する場合には、開閉シャッター220の後側は下端まで閉止状になっていてもよく、河川に設置する場合には、開閉シャッター220の後側は図24のように持ち上がって河川水が通過できるようにする。
津波が到来する場合、図24の状態から駆動源213が駆動されてスプロケット212の駆動により図24の矢印X方向、すなわち、前下がりとなるように開閉シャッター220が降ろされる。降ろされた状態は図26に示すもので、開閉シャッター220が全て前垂れ状態になっており、これに津波がXのように到来してきてもここで抑止されるものである。
一方、津波が図28の矢印Yのように逆流してきた場合には、開閉シャッター220が軸受体217回りに自在に逃げ回転できるので、戻り流のみを通過させ、家屋や家具などの大事なものは回転パイプ218…に引っ掛かり、それ以上沖に流されることを阻止するものである。
尚、河川の河口などに本装置を設置する場合は、河口幅に合わせて横方向に長い開閉シャッター220を備えた装置とする場合と、数台の装置を並べて対処する場合とがある。
また、図24に仮想線で示すように、開閉シャッター220は、水平方向に戻るように構成することもできる。
図29および図30に示す実施形態は、付加的な提案例である。
同提案例は、矩形沈澱池225に覆蓋226を装備した構造についてのもので、矩形沈澱池225は、複数あるもののうちの1つを示すもので、これらの図における左右が池幅方向で、227はその側壁、228はそれに直交する端壁であり、これらの壁により上からみると矩形の池を形成している。尚、以下の覆蓋は方形沈澱池や円形沈澱池にも適用されることがある。
こうした覆蓋は、藻類の発生防止・ゴミの侵入防止・オゾンの拡散防止・防臭等の機能を有するものであるが、従来の覆蓋は、軽量化のためアルミ板製やFRP製のものが普及している。アルミ製の覆蓋は、その表面が反射作用をもつので太陽光がこれに反射して処理場の近所にその反射光による迷惑を及ぼし、またFRP製の覆蓋にあっては、不用時の廃棄処理に問題があり、こうした問題を解決できる覆蓋が望まれていたのが現状である。
前記問題に鑑み、この実施形態では、覆蓋226をテント地でその表裏に酸化チタン光触媒をコーティングしたものを使用して、それ自体に防汚効果をもたせるだけでなく裏面では池内汚水から発生する各種ガス類の分解による無害化と殺菌・脱臭などを可能とし、表面では反射を抑えるとともに大気中の有害物質の無害化をも可能にしたものである。テント地にはこれまで使用されてきたPEなどのプラスチックを使用することは勿論、廃棄に適した生分解性プラスチックが使用されることがある。
この覆蓋226は、矩形をしたものとされ、それを受ける構造としては、池上回りに固定した基受フレーム230と、基受フレーム230上に添って固定した丸パイプ状などの上受フレーム231とを備えるとともに、池上を長手方向に向いて跨ぐようにして平行に複数本固定配備された覆蓋受パイプ232…を備えている。
覆蓋受パイプ232および上受フレーム231からは、覆蓋226を下側から受け支え緩やかな張り状態を与えるための弾性反発性のホルダー233…が設けられている。ここで、図30に仮想線で示すように、覆蓋226のたるみによりその上面に雨水などが溜まることも想定されるため、レバー234を足踏み操作することで突き上げレバー235が覆蓋226をその裏から叩き上げる除水レバー236がヒンジ支持により設けられている。237は押さえプレートであり、覆蓋226の上に設けられて止着具により覆蓋226の縁を押さえ付けるものである。
尚、図30の右下欄に示すように、上受フレーム231の外周には、覆蓋226を傷付けずに受けまたシール性も確保するように弾性受材238が巻き付けられている。
また、図29および図30の実施形態では、押さえプレート237…を外せば覆蓋226をいずれかの方向へ折り畳んだり巻き付けたりして開口を得てその開口を介して池内への新規機器装置類の交換やメンテナンスを行うことができるものであるが、図30の左下欄に示すように、池上側脇に対称に配備したガイドレール240に添って覆蓋受けパイプ241を進退自在とすることにより光触媒膜付き覆蓋226を開閉可能としてもよい。
さらに、図31のように、基受フレーム243上の長手方向両端にブラケット244を配備し、同ブラケット244間に、上側の巻きパイプ245と下側のアイドルローラー246をそれぞれ回転自在に配備したものである。巻きパイプ245には、覆蓋226が巻き付けられて繰り出しも可能とされてアイドルローラー246を経由してなされるようになっている。247はパッキンシールである。このものは、ロックつき操作ハンドル248により覆蓋226を巻き取ることで池の開口が得られる。
図32の実施形態は、テント地で光触媒膜付きの覆蓋250を右下欄のようにaとbの上下2層構造とし互いに仕切られた個別空間251間を連通可能に形成してなるとともに取付外縁部252を有する矩形をした膨縮可能型とし、その一部に開閉切り換え自在なエアー注入口253を備えるとともに、同注入口253に、手動ポンプ操作あるいは図示のエアーポンプ254によりエアーを注入可能にしてある。エアーポンプ254は覆蓋250上に配したソーラー薄膜フィルム255や池上のソーラーパネルなどにより電源供給するようにしてもよい。
沈澱池256上には、その長手方向(図示のもの)あるいは幅方向に向けてさらには上からみてX字形をなすように覆蓋受材257を設けてある。こうした受材257を設けないこともある。覆蓋250はその内部にエアーが注入され、膨らんだ状態とされたまま覆蓋受材257上にマウントされ、外縁部252を押さえプレート258により池上まわりに固定するものとする。その後、覆蓋250内のエアーは抜かれる場合とそのままとされる場合とがある。前記のように新規機器や装置を池内に設置施工するため覆蓋250を一時撤去する場合は、エアーを注入した状態で持ち上げて隣の沈澱池上に回避させたりエアー抜きをして回避させておけば、池開口が大きく得られ、エアーで膨らませた状態で簡単に移設できるものである。エアーは他のガスなど流体でもよい。一側の外縁部252側のみを転回支点にして覆蓋250を閉←→開自在にしてもよい。
本発明の海上での津波避難装置の一実施形態を示す平面図。 図1の側断面図。 他の実施形態を示す避難装置の平面図。 図3の側断面図。 他の実施形態を示す斜視図。 他の実施形態を示す側面説明図。 他の実施形態を示す側面図。 他の実施形態を示す断面模式図。 他の実施形態を示す鳥瞰図。 他の実施形態を示す斜視図。 他の実施形態を示す正面図。 他の実施形態を示す模式図。 他の実施形態を示す模式図。 他の実施形態を示す斜視図。 他の実施形態を示す正面図。 他の実施形態を示す斜視図。 他の実施形態を示す側断面図。 他の実施形態を示す斜視図。 図18の分解斜視図。 他の実施形態を示す側面図。 他の実施形態を示す平面図。 図21のA−A線断面図。 他の実施形態を示す津波対応型開閉シャッター装置の正面図。 図23のA−A線断面図。 図23の平面図。 開閉シャッターが津波対応のため降ろされた状態を示す側断面図。 図26のB−B線断面図。 津波戻り流による作用を示す側断面図。 沈澱池の覆蓋装置を示す平面図。 図29のC−C線断面図。 巻き取り方式を示す断面図。 他の実施形態を示す斜視図。
符号の説明
1 支柱
3 海底地盤
6 階段(登る手段)
8 海面
9 避難部

Claims (2)

  1. 水底に固定され水面から上方へ高く立ち上がる支柱を備えるとともに、同支柱には避難部が設けられ、かつ、水面から避難部まで避難者を導く登り手段を備えた水域での津波用避難装置。
  2. 請求項1記載のものにおいて、支柱は杭で補強支持されている水域での津波用避難装置。
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