JP2005291585A - 空気調和システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 空気調和システム101は、潜熱負荷処理システム201と顕熱負荷処理システム301とを備える。潜熱負荷処理システム201は、潜熱系統圧縮機構261と表面に吸着剤が設けられた吸着熱交換器222、223、232、233とを有する。顕熱負荷処理システム301は、顕熱系統圧縮機構361と熱源側熱交換器363と空気熱交換器322、332とを有する。空気調和システム101は、吸着熱交換器の吸着動作又は再生動作によって、潜熱負荷処理システム201における顕熱処理の処理能力に相当する発生顕熱処理能力値Δtを演算し、顕熱系統圧縮機構361の運転容量を制御する。
【選択図】 図1
Description
これに対して、本願発明者は、熱源側熱交換器と利用側熱交換器としての吸着熱交換器とを有する蒸気圧縮式の冷媒回路を備えた空気調和装置を発明している(例えば、特願2003−351268号参照。)。この空気調和装置は、表面に吸着剤が設けられた吸着熱交換器に空気中の水分を吸着させる吸着動作と吸着熱交換器から水分を脱離させる再生動作とを交互に行い、吸着熱交換器を通過した空気を屋内へ供給して屋内の顕熱負荷及び潜熱負荷を処理することができるものである。つまり、上記前者の空気調和装置のように空気中の水分を凝縮させて空気の除湿を行うのではなく、空気中の水分を吸着剤に吸着させて空気を除湿しているため、冷媒の蒸発温度を空気の露点温度よりも低く設定する必要がなく、冷媒の蒸発温度を空気の露点温度以上に設定しても空気の除湿が可能となる。このため、この空気調和装置によれば、空気を除湿する場合も冷媒の蒸発温度を従来よりも高い温度に設定することができ、冷凍サイクルの高低圧差を縮小することができる。この結果、圧縮機における消費動力を減らすことが可能となり、COPを向上させることができる。また、空気の除湿を行う場合に、吸着熱交換器において必要な冷媒の蒸発温度よりも低い温度に設定することによって、その屋内の顕熱負荷も併せて処理することができる。
この空気調和システムでは、吸着熱交換器を通過した後に屋内に供給される空気の温度を検出する供給空気温度検出機構を備えており、この供給空気温度検出機構によって検出される供給空気温度と屋内の空気温度とに基づいて、潜熱系統顕熱処理能力値を演算しているため、潜熱系統顕熱処理能力値を正確に演算することができる。これにより、屋内の空気の目標温度に対する収束性をさらに向上させることができる。
第1の発明では、吸着熱交換器の吸着動作又は再生動作によって、潜熱系統冷媒回路において潜熱処理とともに処理される顕熱負荷の処理能力に相当する潜熱系統顕熱処理能力値を演算し、潜熱系統顕熱処理能力値を考慮して第2圧縮機構の運転容量を制御することによって、顕熱系統冷媒回路における顕熱処理能力が過多にならないようにすることができるため、屋内の空気の目標温度に対する収束性を向上させることができる。
(1)空気調和システムの構成
図1は、本発明にかかる一実施形態の空気調和システム101の概略の冷媒回路図である。空気調和システム101は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって、ビル等の屋内の潜熱負荷及び顕熱負荷を処理する空気調和システムである。空気調和システム101は、いわゆる、セパレート型のマルチ空気調和システムであり、主として屋内の潜熱負荷を処理する潜熱負荷処理システム201と、主として屋内の顕熱負荷を処理する顕熱負荷処理システム301とを備えている。
潜熱系統利用ユニット202、203は、ビル等の屋内の天井に埋め込みや吊り下げ等により、壁掛け等により、又は、天井裏の空間に設置されている。潜熱系統利用ユニット202、203は、潜熱系統連絡配管207、208を介して潜熱系統熱源ユニット206に接続されており、潜熱系統熱源ユニット206との間で潜熱系統冷媒回路210を構成している。潜熱系統利用ユニット202、203は、この潜熱系統冷媒回路210内において冷媒を循環させて蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって、屋内の潜熱負荷及び顕熱負荷を処理することが可能である。
潜熱系統熱源ユニット206は、ビル等の屋上等に設置されており、潜熱系統連絡配管207、208を介して潜熱系統利用ユニット202、203に接続されており、潜熱系統利用ユニット202、203との間で潜熱系統冷媒回路210を構成している。
次に、潜熱系統熱源ユニット206の構成について説明する。潜熱系統熱源ユニット206は、主として、潜熱系統冷媒回路210の一部を構成しており、潜熱系統熱源側冷媒回路210cを備えている。この潜熱系統熱源側冷媒回路210cは、主として、潜熱系統圧縮機構261と、潜熱系統圧縮機構261の吸入側に接続される潜熱系統アキュムレータ262とを備えている。
潜熱系統アキュムレータ262は、潜熱系統利用側冷媒回路210a、210bの運転負荷の変動に伴う冷媒循環量の増減により発生する余剰冷媒を溜める容器である。
顕熱系統利用ユニット302、303は、ビル等の屋内の天井に埋め込みや吊り下げ等により、壁掛け等により、又は、天井裏の空間に設置されている。顕熱系統利用ユニット302、303は、顕熱系統連絡配管307、308を介して顕熱系統熱源ユニット306に接続されており、顕熱系統熱源ユニット306との間で顕熱系統冷媒回路310を構成している。顕熱系統利用ユニット302、303は、この顕熱系統冷媒回路310内において冷媒を循環させて蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって、主として屋内の顕熱負荷を処理することが可能である。そして、顕熱系統利用ユニット302は潜熱系統利用ユニット202と同じ空調空間に設置されており、顕熱系統利用ユニット303は潜熱系統利用ユニット203と同じ空調空間に設置されている。すなわち、潜熱系統利用ユニット202と顕熱系統利用ユニット302とがペアになって、ある空調空間の潜熱負荷及び顕熱負荷を処理しており、潜熱系統利用ユニット203と顕熱系統利用ユニット303とがペアになって、別の空調空間の潜熱負荷及び顕熱負荷を処理している。
顕熱系統熱源ユニット306は、ビル等の屋上等に設置されており、顕熱系統連絡配管307、308を介して顕熱系統利用ユニット302、303に接続されており、顕熱系統利用ユニット302、303との間で顕熱系統冷媒回路310を構成している。
次に、顕熱系統熱源ユニット306の構成について説明する。顕熱系統熱源ユニット306は、主として、顕熱系統冷媒回路310の一部を構成しており、顕熱系統熱源側冷媒回路310cを備えている。この顕熱系統熱源側冷媒回路310cは、主として、顕熱系統圧縮機構361と、顕熱系統熱源側四路切換弁362と、顕熱系統熱源側熱交換器363と、顕熱系統熱源側膨張弁364と、顕熱系統レシーバ368とを備えている。
顕熱系統熱源側四路切換弁362は、冷房運転と暖房運転との切り換え時に、顕熱系統熱源側冷媒回路310c内における冷媒の流路を切り換えるための弁であり、その第1ポート362aは顕熱系統圧縮機構361の吐出側に接続されており、その第2ポート362bは顕熱系統圧縮機構361の吸入側に接続されており、その第3ポート362cは顕熱系統熱源側熱交換器363のガス側端部に接続されており、その第4ポート362dは顕熱系統ガス連絡配管308に接続されている。そして、顕熱系統熱源側四路切換弁362は、第1ポート362aと第3ポート362cとを接続するとともに第2ポート362bと第4ポート362dとを接続(冷房運転状態、図1の顕熱系統熱源側四路切換弁362の実線を参照)したり、第1ポート362aと第4ポート362dとを接続するとともに第2ポート362bと第3ポート362cとを接続(暖房運転状態、図1の顕熱系統熱源側四路切換弁362の破線を参照)する切り換えを行うことが可能である。
また、顕熱系統熱源ユニット306には、各種のセンサが設けられている。具体的には、顕熱系統熱源ユニット306は、顕熱系統圧縮機構361の吸入圧力を検出する顕熱系統吸入圧力センサ366と、顕熱系統圧縮機構361の吐出圧力を検出する顕熱系統吐出圧力センサ367と、顕熱系統熱源ユニット306を構成する各部の動作を制御する顕熱系統熱源側制御部365とを備えている。そして、顕熱系統熱源側制御部365は、顕熱系統熱源ユニット306の制御を行うために設けられたマイクロコンピュータやメモリを有しており、顕熱系統利用ユニット302、303の顕熱系統利用側制御部328、338との間で制御信号を伝送できるようになっている。また、顕熱系統熱源側制御部365は、潜熱系統熱源側制御部265との間でも制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。さらに、顕熱系統熱源側制御部365は、潜熱系統熱源側制御部265を介して潜熱系統利用側制御部228、238との間でも制御信号のやりとりを行うことができるようになっている。
次に、本実施形態の空気調和システム101の動作について説明する。空気調和システム101は、屋内の潜熱負荷を潜熱負荷処理システム201で処理し、屋内の顕熱負荷を主として顕熱負荷処理システム301で処理することができる。各種の運転動作について説明するのに先だって、まず、潜熱負荷処理システム201の単独運転時の動作について説明する。
<全換気モード>
まず、全換気モードにおける除湿運転及び加湿運転について説明する。全換気モードにおいては、潜熱系統利用ユニット202、203の給気ファン及び排気ファンを運転すると、屋外空気OAが外気吸入口を通じてユニット内に吸入されて給気口を通じて供給空気SAとして屋内に供給され、屋内空気RAが内気吸入口を通じてユニット内に吸入されて排気口を通じて排出空気EAとして屋外に排出される運転が行われる。
除湿運転中には、図2及び図3に示されるように、例えば、潜熱系統利用ユニット202においては、第1吸着熱交換器222が凝縮器となって第2吸着熱交換器223が蒸発器となる第1動作と、第2吸着熱交換器223が凝縮器となって第1吸着熱交換器222が蒸発器となる第2動作とが交互に繰り返される。潜熱系統利用ユニット203においても同様に、第1吸着熱交換器232が凝縮器となって第2吸着熱交換器233が蒸発器となる第1動作と、第2吸着熱交換器233が凝縮器となって第1吸着熱交換器232が蒸発器となる第2動作とが交互に繰り返される。
第1動作では、第1吸着熱交換器222、232についての再生動作と、第2吸着熱交換器223、233についての吸着動作とが並行して行われる。第1動作中は、図2に示されるように、潜熱系統利用側四路切換弁221、231が第1状態(図2の潜熱系統利用側四路切換弁221、231の実線を参照)に設定される。この状態で、潜熱系統圧縮機構261から吐出された高圧のガス冷媒は、潜熱系統吐出ガス連絡配管207、潜熱系統利用側四路切換弁221、231を通じて第1吸着熱交換器222、232に流入し、第1吸着熱交換器222、232を通過する間に凝縮する。そして、凝縮された冷媒は、潜熱系統利用側膨張弁224、234で減圧されて、その後、第2吸着熱交換器223、233を通過する間に蒸発し、潜熱系統利用側四路切換弁221、231、潜熱系統吸入ガス連絡配管208、潜熱系統アキュムレータ262を通じて潜熱系統圧縮機構261に再び吸入される(図2の潜熱系統冷媒回路210に付された矢印を参照)。
まず、リモコン111、112によって屋内の空気の目標温度及び目標相対湿度が設定されると、潜熱系統利用ユニット202、203の潜熱系統利用側制御部228、238には、これらの目標温度値及び目標相対湿度値とともに、RA吸入温度・湿度センサ225、235によって検出されたユニット内に吸入される屋内の空気の温度値及び相対湿度値と、OA吸入温度・湿度センサ226、236によって検出されたユニット内に吸入される屋外の空気の温度値及び相対湿度値とが入力される。
全換気モードの加湿運転中の動作について、図6及び図7を用いて説明する。ここで、図6及び図7は、潜熱負荷処理システム201における全換気モードの加湿運転時の動作を示す概略の冷媒回路図である。尚、空気調和システム101において行われているシステム制御については、上述の全換気モードの除湿運転と同様であるため、説明を省略する。
このように、この空気調和システム101では、潜熱負荷処理システム201の全換気モードの加湿運転において、屋外の空気を加湿するとともに、切換時間間隔に応じて得られる顕熱処理能力によって加熱を行って屋内に供給する加湿運転を行うことができる。
次に、循環モードにおける除湿運転及び加湿運転について説明する。循環モードにおいては、潜熱系統利用ユニット202、203の給気ファン及び排気ファンを運転すると、屋内空気RAが内気吸入口を通じてユニット内に吸入されて給気口を通じて供給空気SAとして屋内に供給され、屋外空気OAが外気吸入口を通じてユニット内に吸入されて排気口を通じて排出空気EAとして屋外に排出される運転が行われる。
除湿運転中には、図8及び図9に示されるように、例えば、潜熱系統利用ユニット202においては、第1吸着熱交換器222が凝縮器となって第2吸着熱交換器223が蒸発器となる第1動作と、第2吸着熱交換器223が凝縮器となって第1吸着熱交換器222が蒸発器となる第2動作とが交互に繰り返される。潜熱系統利用ユニット203においても同様に、第1吸着熱交換器232が凝縮器となって第2吸着熱交換器233が蒸発器となる第1動作と、第2吸着熱交換器233が凝縮器となって第1吸着熱交換器232が蒸発器となる第2動作とが交互に繰り返される。以下、第1動作及び第2動作中における潜熱系統冷媒回路210内の冷媒の流れについては、上述の全換気モードの除湿運転と同様であるため、説明を省略し、第1動作及び第2動作中における空気の流れについてのみ説明する。
このように、この空気調和システム101では、潜熱負荷処理システム201の循環モードの除湿運転において、屋内の空気を除湿するとともに、切換時間間隔に応じて得られる顕熱処理能力によって冷却を行って屋内に供給する除湿運転を行うことができる。
このように、この空気調和システム101では、潜熱負荷処理システム201の循環モードの加湿運転において、屋内の空気を加湿するとともに、切換時間間隔に応じて得られる顕熱処理能力によって加熱を行って屋内に供給する加湿暖房運転を行うことができる。
次に、給気モードにおける除湿運転及び加湿運転について説明する。給気モードにおいては、潜熱系統利用ユニット202、203の給気ファン及び排気ファンを運転すると、屋外空気OAが外気吸入口を通じてユニット内に吸入されて給気口を通じて供給空気SAとして屋内に供給され、屋外空気OAが外気吸入口を通じてユニット内に吸入されて排気口を通じて排出空気EAとして屋外に排出される運転が行われる。
このように、この空気調和システム101では、潜熱負荷処理システム201の給気モードの除湿運転において、屋外の空気を除湿するとともに、切換時間間隔に応じて得られる顕熱処理能力によって冷却を行って屋内に供給する除湿運転を行うことができる。
このように、この空気調和システム101では、潜熱負荷処理システム201の給気モードの加湿運転において、屋外の空気を加湿するとともに、切換時間間隔に応じて得られる顕熱処理能力によって加熱を行って屋内に供給する加湿運転を行うことができる。
次に、排気モードにおける除湿運転及び加湿運転について説明する。排気モードにおいては、潜熱系統利用ユニット202、203の給気ファン及び排気ファンを運転すると、屋内空気RAが内気吸入口を通じてユニット内に吸入されて給気口を通じて供給空気SAとして屋内に供給され、屋内空気RAが内気吸入口を通じてユニット内に吸入されて排気口を通じて排出空気EAとして屋外に排出される運転が行われる。
このように、この空気調和システム101では、潜熱負荷処理システム201の排気モードの除湿運転において、屋内の空気を除湿するとともに、切換時間間隔に応じて得られる顕熱処理能力によって冷却を行って屋内に供給する除湿運転を行うことができる。
このように、この空気調和システム101では、潜熱負荷処理システム201の排気モードの加湿運転において、屋内の空気を加湿するとともに、切換時間間隔に応じて得られる顕熱処理能力によって加熱を行って屋内に供給する加湿運転を行うことができる。
まず、潜熱負荷処理システム201を全換気モードで除湿運転を行いつつ、顕熱負荷処理システム301で冷房運転を行う冷房除湿運転における動作について、図20、図21及び図22を用いて説明する。ここで、図20及び図21は、空気調和システム101における全換気モードの除湿冷房運転時の動作を示す概略の冷媒回路図である。図22は、空気調和システム101における通常運転時の制御フロー図である。尚、図22においては、潜熱系統利用ユニット202及び顕熱系統利用ユニット302のペアと潜熱系統利用ユニット203及び顕熱系統利用ユニット303のペアとは同様の制御フローであるため、潜熱系統利用ユニット202及び顕熱系統利用ユニット303のペアの制御フローの図示を省略している。
潜熱負荷処理システム201の潜熱系統利用ユニット202においては、上述の潜熱負荷処理システム201の単独運転時の場合と同様に、第1吸着熱交換器222が凝縮器となって第2吸着熱交換器223が蒸発器となる第1動作と、第2吸着熱交換器223が凝縮器となって第1吸着熱交換器222が蒸発器となる第2動作とが交互に繰り返される。潜熱系統利用ユニット203においても同様に、第1吸着熱交換器232が凝縮器となって第2吸着熱交換器233が蒸発器となる第1動作と、第2吸着熱交換器233が凝縮器となって第1吸着熱交換器232が蒸発器となる第2動作とが交互に繰り返される。
第1動作では、第1吸着熱交換器222、232についての再生動作と、第2吸着熱交換器223、233についての吸着動作とが並行して行われる。第1動作中は、図20に示されるように、潜熱系統利用側四路切換弁221、231が第1状態(図20の潜熱系統利用側四路切換弁221、231の実線を参照)に設定される。この状態で、潜熱系統圧縮機構61から吐出された高圧のガス冷媒は、潜熱系統吐出ガス連絡配管207、潜熱系統利用側四路切換弁221、231を通じて第1吸着熱交換器222、232に流入し、第1吸着熱交換器222、232を通過する間に凝縮する。そして、凝縮された冷媒は、潜熱系統利用側膨張弁224、234で減圧されて、その後、第2吸着熱交換器223、233を通過する間に蒸発し、潜熱系統利用側四路切換弁221、231、潜熱系統吸入ガス連絡配管208、潜熱系統アキュムレータ262を通じて潜熱系統圧縮機構261に再び吸入される(図20の潜熱系統冷媒回路210に付された矢印を参照)。
まず、リモコン111、112によって目標温度及び目標相対湿度が設定されると、潜熱系統利用ユニット202、203の潜熱系統利用側制御部228、238には、これらの目標温度値及び目標相対湿度値とともに、RA吸入温度・湿度センサ225、235によって検出されたユニット内に吸入される屋内の空気の温度値及び相対湿度値と、OA吸入温度・湿度センサ226、236によって検出されたユニット内に吸入される屋外の空気の温度値及び相対湿度値とが入力される。
顕熱負荷処理システム301の顕熱系統熱源ユニット306の顕熱系統熱源側四路切換弁362が冷房運転状態(第1ポート362aと第3ポート362cとが接続され、かつ、第2ポート362bと第4ポート362dとが接続された状態)になっている。また、顕熱系統利用ユニット302、303の顕熱系統利用側膨張弁321、331は、冷媒を減圧するように開度調節されている。顕熱系統熱源側膨張弁364は開けられた状態になっている。
まず、リモコン111、112によって目標温度が設定されると、顕熱系統利用ユニット302、303の顕熱系統利用側制御部328、338には、これらの目標温度値とともに、RA吸入温度センサ325、335によって検出されたユニット内に吸入される屋内の空気の温度値が入力される。
まず、潜熱系統利用側制御部228、238においては、上述のRA吸入温度・湿度センサ225、235によって検出されたユニット内に吸入される屋内の空気の温度値及び相対湿度値等とともに、SA供給温度センサ227、237によって検出されたユニット内から屋内に供給される空気の温度値が入力されているため、ステップS18において、RA吸入温度・湿度センサ225、235によって検出された温度値と、SA供給温度センサ227、237によって検出された温度値との温度差である発生顕熱能力値Δtを演算する。そして、この発生顕熱能力値Δtの値を、顕熱系統利用ユニット302、303の処理能力を下げる必要があるかどうかを顕熱系統熱源側制御部365に知らせるための顕熱処理信号K3に変換する。例えば、Δtの絶対値が所定値よりも小さい場合(すなわち、潜熱系統利用ユニット202、203から屋内に供給される空気の温度値が屋内の空気の温度値に近い値であり、顕熱系統利用ユニット302、303の処理能力を増減する必要がない場合)には顕熱処理信号K3を「0」とし、Δtの絶対値が所定値よりも顕熱系統利用ユニット302、303の処理能力を下げなければならない方向に大きい場合(すなわち、冷房運転においては潜熱系統利用ユニット202、203から屋内に供給される空気の温度値が屋内の空気の温度値よりも低い値であり、顕熱系統利用ユニット302、303の処理能力を下げる必要がある場合)には顕熱処理信号K3を「a’」とする。
このようにして決定された顕熱系統圧縮機構361の運転容量を用いて、顕熱系統圧縮機構361の運転容量を制御することで、顕熱系統利用ユニット302、303の目標温度に近づけるシステム制御を行っている。例えば、温度差ΔTe2が正値の場合には顕熱系統圧縮機構361の運転容量を減少させ、逆に、温度差ΔTe2が負値の場合には顕熱系統圧縮機構361の運転容量を増加させるように制御する。
<加湿暖房運転>
次に、潜熱負荷処理システム201を全換気モードで加湿運転を行いつつ、顕熱負荷処理システム301で暖房運転を行う加湿暖房運転における動作について、図22〜図24を用いて説明する。ここで、図23及び図24は、空気調和システム101における全換気モードの加湿暖房運転時の動作を示す概略の冷媒回路図である。
潜熱負荷処理システム201の潜熱系統利用ユニット202においては、上述の潜熱負荷処理システム201の単独運転時の場合と同様に、第1吸着熱交換器222が凝縮器となって第2吸着熱交換器223が蒸発器となる第1動作と、第2吸着熱交換器223が凝縮器となって第1吸着熱交換器222が蒸発器となる第2動作とが交互に繰り返される。潜熱系統利用ユニット203においても同様に、第1吸着熱交換器232が凝縮器となって第2吸着熱交換器233が蒸発器となる第1動作と、第2吸着熱交換器233が凝縮器となって第1吸着熱交換器232が蒸発器となる第2動作とが交互に繰り返される。
第1動作では、第1吸着熱交換器222、232についての再生動作と、第2吸着熱交換器223、233についての吸着動作とが並行して行われる。第1動作中は、図23に示されるように、潜熱系統利用側四路切換弁221、231が第1状態(図23の潜熱系統利用側四路切換弁221、231の実線を参照)に設定される。この状態で、潜熱系統圧縮機構261から吐出された高圧のガス冷媒は、潜熱系統吐出ガス連絡配管207、潜熱系統利用側四路切換弁221、231を通じて第1吸着熱交換器222、232に流入し、第1吸着熱交換器222、232を通過する間に凝縮する。そして、凝縮された冷媒は、潜熱系統利用側膨張弁224、234で減圧されて、その後、第2吸着熱交換器223、233を通過する間に蒸発し、潜熱系統利用側四路切換弁221、231、潜熱系統吸入ガス連絡配管208、潜熱系統アキュムレータ262を通じて潜熱系統圧縮機構261に再び吸入される(図23の潜熱系統冷媒回路210に付された矢印を参照)。
まず、リモコン111、112によって目標温度及び目標相対湿度が設定されると、潜熱系統利用ユニット202、203の潜熱系統利用側制御部228、238には、これらの目標温度値及び目標相対湿度値とともに、RA吸入温度・湿度センサ225、235によって検出されたユニット内に吸入される屋内の空気の温度値及び相対湿度値と、OA吸入温度・湿度センサ226、236によって検出されたユニット内に吸入される屋外の空気の温度値及び相対湿度値とが入力される。
顕熱負荷処理システム301の顕熱系統熱源ユニット306の顕熱系統熱源側四路切換弁362が暖房運転状態(第1ポート362aと第4ポート362dとが接続され、かつ、第2ポート362bと第3ポート362cとが接続された状態)になっている。また、顕熱系統利用ユニット302、303の顕熱系統利用側膨張弁321、331は、顕熱系統利用ユニット302、303の暖房負荷に応じて、開度調節されている。顕熱系統熱源側膨張弁364は、冷媒を減圧するように開度調節されている。
まず、リモコン111、112によって目標温度が設定されると、顕熱系統利用ユニット302、303の顕熱系統利用側制御部328、338には、これらの目標温度値とともに、RA吸入温度センサ325、335によって検出されたユニット内に吸入される屋内の空気の温度値が入力される。
このため、この空気調和システム101では、除湿冷房運転時と同様のシステム制御を行っている。
このようにして決定された顕熱系統圧縮機構361の運転容量を用いて、顕熱系統圧縮機構361の運転容量を制御することで、顕熱系統利用ユニット302、303の目標温度に近づけるシステム制御を行っている。例えば、温度差ΔTc2が正値の場合には潜熱系統圧縮機構261の運転容量を増加させ、逆に、温度差ΔTc2が負値の場合には潜熱系統圧縮機構261の運転容量を減少させるように制御する。
(3)空気調和システムの特徴
本実施形態の空気調和システム101には、以下のような特徴がある。
本実施形態の空気調和システム101は、吸着熱交換器222、223、232、233を有し主として屋内の潜熱負荷を処理することが可能な複数(本実施形態では、2つ)の潜熱系統利用側冷媒回路210a、210bを備えた潜熱系統利用ユニット202、203が、潜熱系統吐出ガス連絡配管207及び潜熱系統吸入ガス連絡配管208を介して、潜熱系統圧縮機構261を有する潜熱系統熱源側冷媒回路210cを備えた潜熱系統熱源ユニット206に接続されることによって構成された潜熱負荷処理システム201を備えている。つまり、潜熱系統利用側冷媒回路210a、210bの系統全体で蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うための熱源を1つにまとめるようにしている。これにより、吸着熱交換器を用いた空気調和装置を複数台設置する際に生じるコストアップやメンテナンス箇所の増加を抑えることができる。
また、潜熱系統熱源側冷媒回路210cは、潜熱系統圧縮機構261の吸入側に接続された液溜容器としての潜熱系統アキュムレータ262を有しており、この潜熱負荷処理システム201の運転負荷の変動に伴い、冷媒循環量が減少した場合に増加する余剰冷媒を溜めておくことができるようになっている。これにより、冷媒循環量の減少に伴って発生する余剰冷媒を溜めるためのレシーバを、利用側冷媒回路の数、すなわち、吸着熱交換器の数に対応して接続する必要がなくなり、これによるコストアップや吸着熱交換器を内蔵する潜熱系統利用ユニットのサイズが大きくなるのを抑えることができる。
しかも、空気調和システム101は、吸着熱交換器222、223、232、233を有する潜熱系統利用ユニット202、203を備えた潜熱負荷処理システム201に加えて、空気熱交換器322、332を有する顕熱系統利用ユニット302、303と顕熱系統熱源ユニット306を備えている。すなわち、空気調和システム101では、主として屋内の潜熱負荷を処理する潜熱負荷処理システム201と、主として屋内の顕熱負荷を処理する顕熱負荷処理システム301とに分けて、屋内の潜熱負荷及び顕熱負荷を処理することができる。
本実施形態の空気調和システム101では、空気調和システム101全体として処理しなければならない潜熱負荷である必要潜熱処理能力(Δhに相当)と、空気調和システム101全体として処理しなければならない顕熱負荷である必要顕熱処理能力(ΔTに相当)とが、潜熱負荷処理システム201の潜熱系統冷媒回路210及び顕熱負荷処理システム301の顕熱系統冷媒回路310を用いて処理されている。ここで、潜熱系統冷媒回路210の処理能力の増減は、主として潜熱系統圧縮機構261の運転容量の制御によって行われている。また、顕熱系統冷媒回路310の処理能力の増減は、主として顕熱系統圧縮機構361の運転容量の制御によって行われている。つまり、潜熱系統冷媒回路210の処理能力の増減と、顕熱系統冷媒回路310の処理能力の増減とは、基本的に別々に行われている。
本実施形態の空気調和システム101では、吸着熱交換器222、223、232、233を通過した後に屋内に供給される空気の温度を検出するSA供給温度センサ227、237を備えており、このSA供給温度センサ227、237によって検出される供給空気SAの温度と屋内空気RAの温度とに基づいて、潜熱系統顕熱処理能力値Δtを演算しているため、潜熱系統顕熱処理能力値Δtを正確に演算することができる。これにより、屋内の空気の目標温度に対する収束性をさらに向上させることができる。
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上述の実施形態においては、顕熱負荷処理システムとして、冷房及び暖房切換運転が可能なマルチ空気調和システムを適用しているが、これに限定されず、冷房専用のマルチ空気調和システムや冷房及び暖房同時運転が可能なマルチ空気調和システムを適用してもよい。
210 潜熱系統冷媒回路(潜熱系統冷媒回路)
222、223、232、233 吸着熱交換器
227、237 SA供給温度センサ(供給空気温度検出機構)
261 潜熱系統圧縮機構(第1圧縮機構)
310 顕熱系統冷媒回路(顕熱系統冷媒回路)
322、332 空気熱交換器
361 顕熱系統圧縮機構(第2圧縮機構)
363 顕熱系統熱源側熱交換器(熱源側熱交換器)
Δt 発生顕熱処理能力値
Claims (2)
- 蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって、屋内の潜熱負荷及び顕熱負荷を処理する空気調和システムであって、
第1圧縮機構(261)と、表面に吸着剤が設けられた吸着熱交換器(222、223、232、233)とを有しており、冷媒の蒸発器として機能させて空気中の水分を前記吸着剤に吸着させる吸着動作と、冷媒の凝縮器として機能させて前記吸着剤から水分を脱離させる再生動作とを交互に行うことで空気を除湿又は加湿することが可能な潜熱系統冷媒回路(210)と、
第2圧縮機構(361)と、熱源側熱交換器(363)と、空気熱交換器(322、332)とを有しており、冷媒と空気との熱交換を行うことが可能な顕熱系統冷媒回路(310)とを備え、
前記吸着熱交換器を通過した空気を屋内に供給することが可能であり、
前記空気熱交換器を通過した空気を屋内に供給することが可能であり、
前記吸着熱交換器の吸着動作又は再生動作によって、前記潜熱系統冷媒回路において屋内の潜熱負荷の処理とともに処理される顕熱負荷の処理能力に相当する発生顕熱処理能力値(Δt)を演算し、前記発生顕熱処理能力値を考慮して前記第2圧縮機構の運転容量を制御する、
空気調和システム(101)。 - 前記吸着熱交換器(222、223、232、233)を通過した後に屋内に供給される空気の温度を検出する供給空気温度検出機構(227、237)を備えており、
前記供給空気温度検出機構によって検出される供給空気温度と屋内の空気温度とに基づいて、前記発生顕熱処理能力値(Δt)を演算する、
請求項1に記載の空気調和システム(101)。
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