JP2005291218A - 無段変速機の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 噛込周波数と弦部共振周波数との共振を回避し、騒音及び振動レベルの悪化を防いだ無段変速機を提供する。
【解決手段】
プーリ幅可変のドライブプーリ11と、プーリ幅可変のドリブンプーリ16と、ドライブプーリ11とドリブンプーリ16との間に巻き掛けられたベルト15と、両プーリ11,16のプーリ幅を変更して変速比を無段階に変化させるように構成された無段変速機CVTの制御装置において、ベルト15のプーリへの噛込周波数Faを算出する噛込周波数算出手段S3と、ベルト15の弦部共振周波数Fiを算出する弦部共振周波数算出手段S4と、これら両周波数Fa,Fiから両周波数の共振判断値dを算出する共振度算出手段S5と、共振判断値dに応じてプーリの回転数、運転状態を変更する共振回避手段S7とを有して構成する。例えば、インギヤ状態のエンジンアイドリング時に変速比を変更させるように構成してもよい。
【選択図】図4

Description

本発明は、それぞれプーリ幅可変のドライブプーリ及びドリブンプーリ間に金属ベルトを巻き掛けて構成される無段変速機の制御装置に関し、さらに詳しくは、金属ベルトの騒音、振動を抑制する制御装置に関する。
無段変速機は、上記のように溝幅の変更可能な略V字状の断面形状を有するベルト受溝をそれぞれ備えた2つのプーリ(ドライブプーリ及びドリブンプーリ)間に無端金属ベルトを巻き掛け、両プーリのベルト受溝のプーリ幅を変化させることにより変速比を無段階に変化させるように構成されている。このようなベルト式の無段変速機は、従来から種々の提案がなされており実用に供されている。
ベルト式の無段変速機に用いられるベルトとして、スチール等の金属材料により、いわゆるチェーンタイプの構成をなすものがある。このチェーンタイプの金属ベルトは、一対のピン孔を有するリンクプレートと、ピン孔に挿入されるロッカーピンとを備え、ピン孔を介してリンクプレートを交互に組み合わせ、ピン孔にロッカーピンを挿入することで、リンクプレートがロッカーピンにより互いに屈曲自在に連結されるように構成される。
このような金属ベルトが回転してプーリに噛み込んでいくときには衝突音が発生するが、そのときの噛込周波数が他の騒音あるいは振動発生源の周波数と一致すると、騒音あるいは振動が悪化する。無段変速機の騒音及び振動の改善手段としては、例えば噛込周波数とプーリの固有共振周波数とがほぼ一致する運転領域を最短時間で横切るように変速特性を設定する方法(例えば、特許文献1)等がある。
特許第3154760号公報
ところで、金属ベルトを用いる無段変速機の騒音及び振動の問題は、構造上金属ベルトの弦部の振動に拠るところが多い。弦部の振動レベルの大小は、弦部の長さ、弦部にかかる張力等によって定まる弦部の共振周波数の値に大きく左右される。また、この弦部の長さ、弦部にかかる張力は、変速比あるいはドライブプーリに入力されるトルク(以下、入力トルクとも称する)等の運転状態を決定するパラメータの影響を受けて変化するため、弦部の共振周波数は運転状態の変化に応じて変化する。一方、上記噛込周波数はドライブプーリの回転数に依存して変化しており、この噛込周波数が上記弦部共振周波数と一致したときにおいては、そのエネルギが増幅され(共振に近い状態となり)、騒音及び振動レベルが悪化してしまうという問題がある。
このような共振を回避するために、ある状態において共振回避に最適な状態となるように変速比等を予め設定を施した値に制御していても、例えば電気負荷の増減などの影響を受けて入力トルク等の運転状態が変化すれば、上記のように弦部共振周波数は入力トルク値に依存するため変化してしまう。このように運転状態の変化を受けて弦部共振周波数が変化すると噛込周波数と一致してエネルギが増幅される(共振に近い状態となる)おそれがあるという問題があった。また、この状態が例えばシフト位置が走行レンジにあって発進クラッチ、トルクコンバータが滑動する状態(インギヤ状態におけるアイドリング時)等、エンジンノイズが小さい状態においては、騒音及び振動が搭乗者に知覚されやすく特に問題となる。
上記問題に鑑みて本発明は、運転状態によって変化する噛込周波数と弦部共振周波数との一致状態(共振に近い状態)を回避し、騒音及び振動レベルの悪化を抑えることを目的とする。
上記目的達成のため本発明は、プーリ幅可変のドライブプーリと、プーリ幅可変のドリブンプーリと、ドライブプーリとドリブンプーリとの間に巻き掛けられたベルトとを備え、運転状態に応じてドライブ及びドリブンプーリのプーリ幅を変更し、ドライブプーリの回転数を無段階に変速してドリブンプーリに伝達するように構成された無段変速機の制御装置において、ベルトのプーリへの噛込周波数をプーリの回転数に応じて算出する噛込周波数算出手段と、ベルトの弦部共振周波数を運転状態に応じて算出する弦部共振周波数算出手段と、これら噛込周波数と弦部共振周波数とから両周波数の共振度を算出する共振度算出手段と、共振度に応じてプーリの回転数あるいは運転状態の少なくともいずれかを変更する共振回避手段とを有する。
なお、両プーリに作動油の給排油圧制御を行う変速制御バルブの作動制御により両プーリのプーリ幅を変更するように構成された無段変速機においては、インギヤ状態におけるエンジンアイドリング時において、制御装置が予め設定した所定の変速比となるように変速制御バルブの制御を行うとともに、上記共振度に応じて変速制御バルブを作動制御してこの予め設定された変速比を変更するように制御を行うように構成してもよい。
本発明に係る制御装置は、噛込周波数および弦部共振周波数の算出を行うとともに両周波数の共振度を算出し、算出した共振度に応じて噛込周波数に影響を及ぼすパラメータであるプーリ回転数、あるいは弦部共振周波数に影響を及ぼすパラメータである変速比、入力トルク等を変化させる共振回避手段を有して構成されている。このため、ある種の電気負荷等の影響を受けて弦部共振周波数が変化して噛込周波数と共振傾向にある状態となっても、本発明に係る制御装置によってこれら運転状態の変更制御を行うことで噛込周波数あるいは弦部共振周波数の値が変更されて両周波数の一致状態を回避することができ、騒音及び振動レベルの悪化を未然に防ぐことができる。
また、特にインギヤ状態におけるエンジンアイドリング時において上記制御を行うことにより、搭乗者にとって騒音及び振動が知覚され易い車両状態での騒音及び振動レベルの悪化が防がれる。さらに変速比を変化させて弦部共振周波数を変化させることによって噛込周波数との一致状態を回避する方法による制御は、無段変速機に既存の変速制御装置を用いることによって簡易に行うことができる。
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。図1,図2に本発明に係る制御装置を備えるベルト式の無段変速機CVTを示している。この無段変速機CVTは、エンジンENGの出力軸Esとカップリング機構CPを介して繋がる変速機入力軸1と、これに平行に配設された変速機カウンタ軸2と、これら両軸1,2の間に配設された金属ベルト機構10と、変速機入力軸1の上に配設された前後進切換機構20と、変速機カウンタ軸2上に配設された発進クラッチ機構40と、出力伝達ギヤ列6a,6b,7a,7bおよびディファレンシャル機構8とを変速機ハウジングHSG内に備える。
まず、金属ベルト機構10は、変速機入力軸1上に配設されたドライブプーリ11と、変速機カウンタ軸2上に配設されたドリブンプーリ16と、両プーリ11,16間に巻き掛けられた金属ベルト15とから構成される。ドライブプーリ11は、変速機入力軸1上に回転自在に配設された固定プーリ半体12と、この固定プーリ半体12に対して軸方向に移動可能で一体回転する可動プーリ半体13とからなり、ドライブプーリシリンダ室14に供給される油圧力により可動プーリ半体13を軸方向に移動させる制御がなされる。一方、ドリブンプーリ16は、変速機カウンタ軸2に固定された固定プーリ半体17と、この固定プーリ半体17に対して軸方向に移動可能で一体回転する可動プーリ半体18とからなり、ドリブンプーリシリンダ室19に供給される油圧力により可動プーリ半体18を軸方向に移動させる制御がなされる。
このため、上記両シリンダ室14,19への供給油圧を適宜制御することにより、可動プーリ半体13,18に作用する軸方向移動力を制御し、両プーリ11,16のプーリ幅を変化させることができる。これにより、図3に模式的に示す金属ベルト15の両プーリ11,16に対する巻掛半径r11,r16を変化させて変速比を無段階に変化させる制御を行うことができる。
前後進切換機構20は、変速機入力軸1に繋がるサンギヤ21と、サンギヤ21と噛合する複数のピニオンギヤ22aを回転自在に保持するとともにサンギヤ21と同軸上を回転自在なキャリア22と、ピニオンギヤ22aと噛合するとともにサンギヤ21と同軸上を回転自在なリングギヤ23とを有したシングルピニオンタイプの遊星歯車機構からなり、キャリア22を固定保持可能な後進ブレーキ25と、サンギヤ21とリングギヤ23とを係脱自在に繋げる前進クラッチ30とを備える。
このように構成された前後進切換機構20において、後進ブレーキ25が解放された状態で前進クラッチ30を係合させると、サンギヤ21とリングギヤ23とが結合されて一体回転する状態となり、サンギヤ21、キャリア22およびリングギヤ23の全てが変速機入力軸1と一体回転して、ドライブプーリ11が変速機入力軸1と同方向(前進方向)に回転駆動される状態となる。一方、前進クラッチ30を解放させて後進ブレーキ25を係合させると、キャリア22が固定保持され、リングギヤ23はサンギヤ21と逆の方向に回転され、ドライブプーリ11が変速機入力軸1とは逆方向(後進方向)に回転駆動される状態となる。
なお、前進クラッチ30は油圧作動式の湿式多板クラッチから構成され、油圧力を受けて係脱制御がなされる。同様に、後進ブレーキ25は油圧作動式の湿式多板ブレーキから構成され、油圧力を受けて係脱制御がなされる。
以上のようにして、変速機入力軸1の回転が前後進切換機構20により切換されてドライブプーリ11が前進方向もしくは後進方向に回転駆動されると、この回転が金属ベルト機構10により無段階に変速されて変速機カウンタ軸2に伝達される。変速機カウンタ軸2には発進クラッチ40が配設されており、この発進クラッチ40により出力伝達ギヤ6aへの駆動力伝達制御が行われる。なお、発進クラッチ40は油圧作動式の湿式多板クラッチから構成され、油圧力を受けて係合制御がなされる。
このように発進クラッチ40により制御されて出力伝達ギヤ6aに伝達された回転駆動力は、この出力伝達ギヤ6aを有する出力伝達ギヤ列6a,6b,7a,7bおよびディファレンシャル機構8を介して左右の車輪(図示せず)に伝達される。また、発進クラッチ40が解放されると、動力伝達ができない中立状態となる。
以上のように構成される無段変速機CVTにおいて、前述のように、金属ベルト機構10を構成するドライブプーリシリンダ室14およびドリブンプーリシリンダ室19への作動油の給排制御を行って無段変速制御が行われる。以下、図2に示す両シリンダ室14,19への給排油圧を制御する変速制御バルブ70および、変速制御バルブ70の作動制御を行う制御ユニット100について説明する。
変速制御バルブ70は、ドライブプーリシリンダ室14およびドリブンプーリシリンダ室19に供給する油圧を制御する2個のソレノイドバルブを有して構成され、これらソレノイドバルブが制御ユニット100から供給される変速制御信号により作動されて変速制御が行われる。この結果、変速制御信号に基づいて両シリンダ室14,19内の油圧が設定され、両プーリ11,16に作用する軸方向推力が設定される。
この変速制御のため、制御ユニット100には、エンジン回転数センサ101により検出されるエンジン回転信号Ne、ドライブプーリ回転数センサ102により検出されるドライブプーリ回転信号NDR、ドリブンプーリ回転数センサ103により検出されるドリブンプーリ回転信号NDN、シフト位置センサ104により検出されるシフト位置信号SP、スロットル開度センサ105により検出されるエンジンスロットル開度信号THなど、運転状態を検出する各種のセンサが出力する検出信号が入力されている。また、シフト位置が走行レンジにあって発進クラッチ40が滑動した状態(インギヤ状態のアイドリング時)においては、発進するに最適であるとともに、騒音及び振動が抑えられるように予め設定される基準変速比となるように両シリンダ室14,19に対する給排油圧が設定され、制御ユニット100から変速制御バルブ70のソレノイドに通電制御がなされている(例えば、変速比:2.360)。
本発明に係る制御装置は、このような変速制御を行う制御ユニット100を利用して騒音及び振動レベルの悪化を回避するための制御を行う。無段変速機CVTにおける騒音及び振動は、ドライブプーリ11の回転により金属ベルト15がプーリに噛み込んでいくときに発生する衝突音の周波数である噛込周波数と、両プーリ11,16間に巻き掛けられる金属ベルトの弦部15a(図3参照)の共振周波数である弦部共振周波数とが一致してそのエネルギが増幅される(共振に近い状態)ことにより悪化してしまう。なお、噛込周波数の一次成分Fiおよび弦部共振周波数の一次成分Faは、それぞれ以下の式(1),(2)で表される。
(数1)
Fi=A・Nin (1)
(数2)
Fa=B・C・T1/2 (2)
ここで、Ninはドライブプーリ11の回転数、Tは弦部15aの張力、A,Bは定数である。また、式(2)に示すCは変速比に依存する変数であり、張力Tは入力トルク及び変速比に依存して変化する。また、上記式に示すように噛込周波数はプーリ回転数に比例して推移し、例えばインギヤ状態でのアイドリング時における周波数一次成分は300Hz程度である一方、プーリ回転数の上昇に伴って概ね3000Hz程度まで周波数が上昇する。弦部共振周波数は弦部の張力の平方根に比例しており、運転状態に応じた周波数変化は噛込周波数と比較して小さく、概ね150〜200Hzの範囲で周波数一次成分が推移する。
なお、図3に示すように、巻掛半径r11,r16が変化するとドライブプーリ11に対する金属ベルト15の巻掛角θは変化する。ここで、両プーリ11,16の中心間距離をLとすると弦部40aの長さはLsinθとなることから、巻掛角θの変化、即ち変速比の変化に応じて弦部15aの長さは変化する。
本発明においては、上記の噛込周波数の一次成分Fiと弦部共振周波数の一次成分Faとが共振傾向にあるか否かを判断するための共振判断値dを以下の式(3),(4)より求める。
(数3)
d=k−[k] ([ ]は、ガウス記号) (3)
(数4)
k=Fi/Fa (4)
式(3),(4)で共振判断値dを、噛込周波数の一次成分を弦部共振周波数の一次成分で除した値kの小数部としている。両周波数のエネルギの増幅による騒音及び振動レベルは、両周波数Fa,Fiが一致することによって悪化するため、このときk=1となる。また、弦部共振周波数の一次成分Fiをn倍することによって弦部共振周波数のn次成分が求まり、この値と噛込周波数の一次成分とが一致する場合においてもそのエネルギが増幅され、このときk=nとなる(nは2以上の整数)。このため、kが整数に近くなればなるほど、即ち図7に略示するように共振判断値dが0あるいは1に近くなればなるほど両周波数が共振傾向にあることを示し、騒音及び振動レベルが悪化する状態にあることを示す。一方、共振判断値が0と1との中間点となる0.5であるときは、一致による両周波数のエネルギ増幅が最も生じにくく、騒音及び振動レベルが比較的低減された良好な状態にあることを示す。なお、本発明に係る無段変速機CVTの金属ベルト機構10において両周波数は上記範囲で推移するため、例えば弦部共振周波数の一次成分が噛込周波数の二次成分と一致し、Fa=2Fi となってd=0.5であるときに両周波数が共振傾向にあるといったことはない。
また、これら噛込周波数と弦部共振周波数との一致による騒音及び振動レベルの悪化は、例えばインギヤ状態におけるアイドリング時など、特にエンジンノイズの小さいときにおいて搭乗者に知覚され易い。ここで、インギヤ状態のアイドリング時における噛込周波数の一次成分と弦部共振周波数との一致状態を回避するための制御内容について図4のフローチャートを参照して説明する。
ステップS1において、シフト位置センサ105からのシフト位置信号SPを受けてインギヤ状態か否かを判断する。シフト位置が中立レンジにあると判断される場合は、ステップS2へと進み、噛込周波数と弦部共振周波数との一致状態を回避するために、変速制御バルブ70のソレノイドへの通電制御を行うことによって両シリンダ室14,19に供給される油圧が調整される。このようにステップS2においては、中立レンジにおいて両周波数の一致を回避可能な弦部共振周波数となるように予め設定記憶された変速比とする制御がなされる。なお、本実施例においてこのステップS2で設定される変速比の値は、上述のインギヤ状態の基準変速比と同値としている。
ステップS1においてシフト位置が走行レンジにあってインギヤ状態であると判断された場合は、ステップS3に進んでドライブプーリ回転数センサ102から入力する回転信号NDRを受けて式(1)を用いて噛込周波数の一次成分Fiの算出が行われる。次いでステップS4において弦部共振周波数の一次成分Faの算出を行う。制御ユニット100には、図5に示すように予め変速比に対して計測された変数Cがマップ設定され、図6に示すように予め変速比及び入力トルクに対して計測された弦部の張力Tがマップ設定されており、エンジン回転数センサ101のエンジン回転信号Ne、ドライブプーリ回転数センサ102のドライブプーリ回転信号NDR、ドリブンプーリ回転数センサ103のドリブンプーリ回転信号NDN、スロットル開度センサ105のエンジンスロットル開度信号TH等を受けて変速比、入力トルクが算定され、この算定結果を上記マップと照合させることにより変数C及び弦部の張力Tが算定され、式(2)を用いて弦部共振周波数の一次成分Faの算出が行われる。さらに、ステップS5において、ステップS3,S4での噛込周波数Fi及び弦部共振周波数Faの算出結果を受け、式(3),(4)を用いて共振判断値dが算出される。
ステップS6においては、予め制御ユニット100に設定した閾値とステップS5において求めた共振判断値との大小比較がなされ、この大小比較によって閾値を基準として設けられる複数の数値範囲のうちいずれの範囲内に共振判断値が属するのかを決定して共振度の高低判断を行うステップとなっている。なお、図4,図7に示すように本実施例においては、2つの閾値(例えば、閾値1:0.35,閾値2:0.65)を用いて3つの数値範囲R1,R2,R3の設定がなされており、ステップS6aにおいて閾値1との大小比較、ステップS6bにおいて閾値2との大小比較を行って数値範囲R1,R2,R3のいずれに属するのかを決定する。
ステップS6aで共振判断値が閾値1よりも小さいと判断された場合、即ち図7に示すように共振度が高く共振判断値が0.5よりも小さい数値範囲R1に属していると判断された場合においては、ステップS7aに進み、変速比を基準変速比よりもOD(オーバードライブ)側にシフトするように変速制御バルブ70のソレノイドへの通電制御を行い、両シリンダ室14,19に供給される油圧が調整される。なお、ここでシフトさせる変速比の値は、予め制御ユニット100に設定記憶されている(例えば、変速比:2.410)。
また、ステップS6aで共振判断値が閾値1よりも大きいと判断されてステップS6bに進み、ステップS6bで閾値2よりも小さいと判断された場合、即ち図7に示すように範囲内に共振判断値0.5を含んで共振度の低い数値範囲R2に属して入ると判断された場合においては、ステップS7bに進み、基準変速比を維持するように変速制御バルブ70のソレノイドへの通電制御を行い、両シリンダ室14,19に供給される油圧の調整が行われる。
ステップS6aで共振判断値が閾値1よりも大きいと判断されてステップS6bに進み、ステップS6bにおいても閾値2よりも大きいと判断された場合、即ち図7に示すように共振度が高く共振判断値が0.5よりも大きい数値範囲R3に属していると判断された場合においては、ステップS7cに進み、変速比を基準変速比よりもLOW側にシフトするように変速制御バルブ70のソレノイドへの通電制御を行い、両シリンダ室14,19に供給される油圧の調整が行われる。なお、ここでシフトさせる変速比の値は、ステップS7aの変化と同様に予め制御ユニット100に設定記憶されている(例えば、変速比:2.310)。
このように、ステップS7a〜S7cにおいては、共振判断値が属する数値範囲に応じて、変速比を基準変速比よりもOD側もしくはLOW側にシフト変更する制御、または基準変速比を維持する制御が行われる。この制御によって変速比がOD側もしくはLOW側にシフト変更すると、変数Cが変化して弦部共振周波数の一次成分Faが変化する。
ここで、図8には、本発明に係る制御装置による効果を示す一例として、共振判断値dが数値範囲R3に属する場合における従来例の無段変速機の騒音レベルと本発明に係る制御装置を適用した無段変速機の騒音レベルの測定結果を示している。なお、噛込周波数の一次成分と弦部共振周波数との一致による騒音レベルの測定結果を実線で示している。この図より、本発明に係る制御装置によって常に変速比を基準変速比としたままとする従来例と比較して騒音レベルが低減することがわかる。また、白抜きで示すプロットは数値範囲R3に共振判断値が属する場合に変化させる変速比の変更例を示しており、基準変速比からOD側にシフト変更させることによっても同様にして、従来例よりも騒音レベルを低減させることができるとわかる。
このように、上記制御内容を行う本発明に係る無段変速機の制御ユニット100により、例えばインギヤ状態における停止中にエアコンがON状態となってエンジン回転数が上昇するといった運転状態の変化を受けて弦部共振周波数が変化し、噛込周波数と一致傾向にある状態となっても、運転状態を検出する各種センサの検出信号を受けて算出される共振判断値の属する範囲に応じて変速比を変化させる制御が行われるため、変速比の変化に応じて弦部共振周波数が変化して噛込周波数との一致状態を回避し、騒音及び振動レベルの悪化を防ぐことができる。
ここまで本発明に係る無段変速機の制御装置の制御内容について説明したが、本実施例のみに限られず種々の変更が可能である。例えば本実施例の制御内容では、噛込周波数の一次成分のみについて共振度の高低判断を行って変速比を決定する制御を行うとしているが、噛込周波数の二次成分についても同様に算出して共振判断値を一次及び二次の双方で求め、双方の共振判断値に基づいて変速比を変化させる制御を行ってもよい。このように双方の共振判断値を考慮した制御を行うことにより、図8に一点鎖線で示すように、さらに騒音及び振動レベルを低下させることができる。なお、噛込周波数の三次以上の高次成分についても同様にして弦部共振周波数との共振判断値を求め、各次成分の共振判断値を考慮した制御を行ってもよい。
なお、設定する閾値1および閾値2を0.5に近づけることにより、図7に一点鎖線で示す変速比を変化させるか否かの境界線BLが下方(共振度の低い側)に推移するため、より厳しいレベルで両周波数の一致状態を回避するための制御を行うことができるようになる。さらに、本実施例においては、数値範囲を設定するための閾値を2つ設けて共振度判断(ステップS6)を行っているが、3つ以上の閾値を設けて数値範囲の設定をさらに細くすることにより変速比を変化させる制御を行ってもよい。
なお、本実施例においては、弦部共振周波数を変化させて噛込周波数との一致状態を回避するために、予め設定した閾値により複数の数値範囲を設け、それぞれの範囲に応じて予め設定記憶させておいた変速比となるように制御する方法をとったが必ずしもこのような方法に限られず、例えば噛込周波数、弦部共振周波数等の各項から、各判断時において共振判断値dが0.5となる両周波数の一致状態を回避するために最適な変速比を算出し、算出した最適変速比となるように変速制御バルブ70のソレノイドを通電制御する等の方法をとってもよい。
また、ステップS7において両周波数の一致状態を回避するために変更制御を行うものは変速比に限られず、共振判断値の属する範囲に応じて噛込周波数あるいは弦部共振周波数を変化させて一致状態の回避ができれば他の手段による制御を行ってもよい。例えば、共振判断値の属する範囲に応じて、制御ユニット100からスロットル開度を調整制御する電気信号を出力して入力トルクを変化させることにより弦部15aの張力を変化させて弦部共振周波数を変化させる制御、両シリンダ室14,19に対する給排油圧を補正する補正係数もしくは加算すべき補正項を算出する手段を制御ユニット100に備え、共振判断値に応じてこの補正係数もしくは補正項を適用した油圧制御を行うことにより弦部の張力15aを変化させて弦部共振周波数を変化させる制御等を行うことにより一致状態を回避してもよい。
本発明に係る無段変速機の制御装置の構成を示す概略図である。 上記無段変速機の断面図である。 上記無段変速機の金属ベルト機構の模式図である。 上記制御装置による制御内容を示すフローチャートである。 変速比と変数Cとの関係を示すグラフである。 変速比と、ドライブプーリに入力されるトルクと、弦部の張力との関係を示すグラフである。 共振判断値と、噛込周波数及び弦部共振周波数の共振度との関係を示す略図であり、ステップS6の説明図である。 本実施例において共振判断値が数値範囲R3に属するときの、変速比変更に伴う騒音レベルの推移を表すグラフである。
符号の説明
CVT 無段変速機
ECU 制御ユニット
CP カップリング機構
10 金属ベルト機構
11 ドライブプーリ
14 ドライブプーリシリンダ室
15 金属ベルト
(15a 弦部)
16 ドリブンプーリ
19 ドリブンプーリシリンダ室
70 変速制御バルブ

Claims (2)

  1. プーリ幅可変のドライブプーリと、プーリ幅可変のドリブンプーリと、前記ドライブプーリと前記ドリブンプーリとの間に巻き掛けられたベルトとを備え、運転状態に応じて前記ドライブ及びドリブンプーリのプーリ幅を変更し、前記ドライブプーリの回転数を無段階に変速して前記ドリブンプーリに伝達するように構成された無段変速機の制御装置において、
    前記ベルトのプーリへの噛込周波数を該プーリの回転数に応じて算出する噛込周波数算出手段と、
    前記ベルトの弦部共振周波数を運転状態に応じて算出する弦部共振周波数算出手段と、
    前記噛込周波数と前記弦部共振周波数とから該両周波数の共振度を算出する共振度算出手段と、
    前記共振度に応じて前記回転数あるいは前記運転状態の少なくともいずれかを変更する共振回避手段とを有すること特徴とする無段変速機の制御装置。
  2. 前記無段変速機は、前記ドライブおよびドリブンプーリに作動油の給排油圧制御を行う変速制御バルブを備え、前記変速制御バルブの作動制御により前記ドライブ及びドリブンプーリのプーリ幅が変更されるように構成されており、
    インギヤ状態におけるエンジンアイドリング時において、前記制御装置は予め設定された所定の変速比となるように前記変速制御バルブの作動制御を行うとともに、前記共振度に応じて前記変速制御バルブを作動制御して前記変速比を変更する制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の無段変速機の制御装置。
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