JP4560466B2 - 変速機の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、駆動源からの出力を駆動輪に変速して伝達する変速機の制御装置に関する。
車両は、駆動輪からの出力を変速機により変速して駆動輪に伝達するように構成されている。変速機としては、プーリ幅可変の駆動側プーリおよび従動側プーリにVベルトを巻き掛けて構成されたVベルト機構を有した無段変速機がよく知られている。この変速機は、駆動側および従動側プーリに供給される作動油の油圧を制御することによりプーリ幅を変更し、プーリへのVベルトの巻き掛け半径を変更することにより、無段階的に変速比を変更制御できるようになっている。このような変速機を有した車両には、車両状態に応じて油圧を制御し、変速機の作動制御を行うための制御装置が設けられる。
また、車両は、低摩擦係数の路面での発進時や走行時にスリップが生じるおそれがある。したがって、上記のような制御装置により、車両の各部に配設された検出器からの入力情報に基づき、路面が低摩擦係数であるか否か(スリップが生じているか否か)を判断し、路面が低摩擦係数であってスリップが生じているおそれがあると判断されるときに、変速機のアップシフトを制限するなど、走行状態に応じた変速制御を行う制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、従来の制御装置は、車両の加速度を算出し、この加速度が所定の閾値を超えるとスリップ状態であるとしてこれに応じた変速制御を行うように構成されている。
ところで、発進時に、例えば車両が氷上にあって駆動輪の片輪がスピンしている状態で駆動輪に高回転の出力が伝達されると、スピンしている側の車輪はほぼ自由に回転し続ける一方、スピンしていない側の車輪は路面にグリップしてほぼ回転しないことになる。このため、左右の車輪間の速度差が大きくなり、変速機と駆動輪との間に介設されるディファレンシャル機構(以下、デフ機構とも称する)に負荷が生じて焼き付きが生じるおそれがある。
特公平7−21311号公報
しかしながら、特許文献1によると従来の制御装置では、片輪のみがスピンしているか否かの判別を正確に行うことができない。このため、制御装置の誤判断が生じて車両状態や走行状態に応じた変速制御が適切に行われず、走行性の悪化を招くおそれがあった。また、加速度の大小による判断では車両がスリップ状態であるか否かの判断が難しいことから、従来の変速装置は、一度スリップ状態であると判断されてこの状態での走行時にふさわしい変速モードに移行すると、そのモードでの変速制御が一定時間にわたって継続して行われるようになっている。このため、実際にはグリップ状態に復帰しているにも関わらずスリップ状態に対応した変速制御が行われ続けることにより、走行性の悪化を招くおそれがあった。
また、従来、エンジンが高回転の状態が続くと、通常の水冷装置などによる冷却とともに、燃料を利用して冷却アシストを行う形態の車両が知られている。このような形態においては、通常走行時に例えばアップシフトの制限が行われ続けると、エンジンが高回転の状態で走行し続け、燃料が最適な空燃比に対してリッチ側にシフトした状態で燃焼室に供給される傾向になる。このため、燃焼室に未燃の燃料が残留して有害物質を含むガスが大気中に排出されるおそれがあった。
このような問題に鑑み、本発明は、氷上などスピン状態やスリップ状態になりやすい路面上での発進時や走行時であっても、安定した走行を行うことができる車両の制御装置を提供することを目的とする。
上記目的達成のため、本発明に係る変速機の制御装置は、駆動源からの出力を左右の駆動輪に変速して伝達する変速機を備えた車両に設けられ、走行状態に応じた変速制御を行うように構成された変速機の制御装置において、変速機が、駆動源側に設けられたプーリ幅可変の駆動側プーリと、駆動側プーリに対して平行に設けられたプーリ幅可変の従動側プーリと、駆動側プーリおよび従動側プーリに巻き掛けられたベルトとを備え、左の駆動輪の回転速度を検出する第1駆動輪速度検出手段と、右の駆動輪の回転速度を検出する第2駆動輪速度検出手段と、従動輪の回転速度を検出する従動輪速度検出手段と、変速機の出力速度を検出する出力速度検出手段と、第1および第2駆動輪速度検出手段により検出された回転速度に基づいて左右の駆動輪の速度差を算出する駆動輪速度差算出手段と、第1および第2駆動輪速度検出手段により検出された回転速度の平均値および出力速度検出手段により検出された出力速度の差が所定範囲内にあるか否かを判断する第1判断手段と、駆動輪速度差算出手段により算出された速度差が所定値を超えているか否かを判断する第2判断手段と、第1および第2駆動輪速度検出手段により検出された回転速度が従動輪速度検出手段から検出された回転速度より大きいか否かを判断する第3判断手段と、第1判断手段により平均値と出力速度との差が所定範囲内にあると判断され且つ第2判断手段により算出された速度差が前記所定値を超えていると判断されたときに、変速機の変速スケジュールを駆動側および従動側プーリ間の変速比をロー側にシフトさせて設定する第1の変速スケジュールに変更する第1変速制御手段と、第1判断手段により平均値と出力速度との差が所定範囲内にあると判断され且つ第3判断手段により第1および第2駆動輪速度検出手段により検出された回転速度が大きいと判断されたときに、変速機の変速スケジュールを車両の走行速度が所定速度未満の状態においては走行速度に応じた変速比を設定するとともに、走行速度が所定速度以上の状態においては駆動側プーリの回転速度が一定となるように変速比を設定する第2の変速スケジュールに変更する第2変速制御手段とから構成されている。
また、出力速度検出手段により検出された出力速度に基づいて算出された加速度が所定値を超えているか否かを判断する第4判断手段を備えて構成し、第4判断手段により、加速度が所定値を超えていると判断されたときに、第2変速制御手段により変速機の変速スケジュールを第2の変速スケジュールに変更する制御が行われるように構成することが好ましい。また、従動輪速度検出手段を、左の従動輪の回転速度を検出する第1従動輪速度検出手段と、右の従動輪の回転速度を検出する第2従動輪速度検出手段とから構成し、第1および第2従動輪速度検出手段により検出された回転速度に基づいて左右の従動輪のいずれか一方の回転速度が所定値を超えているか否かを判断する第5判断手段を備えて構成し、第5判断手段により回転速度が所定値を超えていると判断されたときに、第2変速制御手段により変速機の変速スケジュールを第2の変速スケジュールに変更する制御が行われるように構成することが好ましい。
また、第1および第2変速制御手段を、駆動源からの出力を減じさせる制御を行うように構成することが好ましい。また、駆動側プーリは、駆動源に連結された入力軸に設けられて、供給される作動油の油圧に応じてプーリ幅可変に構成され、従動側プーリは、入力軸に平行に配設されたカウンタ軸に設けられて、供給される作動油の油圧に応じてプーリ幅可変に構成され、ベルトはVベルトであり、第1および第2変速制御手段を、駆動側および従動側プーリに供給される作動油の油圧を上昇させ、駆動側および従動側プーリに対してプーリ幅を狭める方向に軸方向推力を付与させる制御を行うように構成することが好ましい。さらに、カウンタ軸に設けられてカウンタ軸の出力を係合状態に応じた伝達率で駆動輪に伝達する発進クラッチを備えて変速機を構成し、第1および第2変速制御手段を、この伝達率を減じさせる制御を行うように構成することが好ましい。
このように構成される本発明に係る変速機の制御装置によると、左右の駆動輪のそれぞれに回転速度を検出する駆動輪速度検出手段と、変速機の出力速度を検出する出力速度検出手段とが設けられており、左右の駆動輪の回転速度の平均値と変速機の出力速度との差が所定範囲内にあるか否かを判断する第1判断手段と、左右の駆動輪の速度差が所定値を超えているか否かを判断する第2判断手段とを備えており、第1判断手段により速度の差が所定範囲内にあると判断され且つ第2判断手段により駆動輪の速度差が所定値を超えていると判断されると、第1変速制御手段により変速機の変速スケジュールを第1の変速スケジュールに変更する制御が行われる。この第2判断手段の所定値を予め想定される値に設定することにより、片輪がスピンしている状態であるか否かを判別できる。また、第1判断手段の所定範囲を予め想定される数値範囲に設定することにより、第1および第2駆動輪速度検出手段から検出される回転速度が正常な値であるか否かを判断できる。したがって、第1および第2判断手段により正確に片輪スピンが生じている状態である否かが判断され、この判断結果に基づいた変速制御を行うことができ、従来のように、片輪スピンが生じていないときに変速制御が行われることによって生じていた走行性や燃費が改善される。
また、従動輪の回転速度を検出する従動輪回転速度検出手段が設けられており、駆動輪の回転速度と従動輪の回転速度との大小を比較する第3判断手段を備えており、第1判断手段により速度の差が所定範囲内にあると判断され且つ第3判断手段により駆動輪の回転速度が大きいと判断されると、第2変速制御手段により変速機の変速スケジュールを第2の変速スケジュールに変更する制御が行われる。この第3判断手段の所定値を予め想定される値に設定することにより、両輪がスリップしているか否かを判別できる。したがって、第1および第3判断手段により正確に両輪がスリップしているか否かを判断でき、この判断結果に基づいた変速制御を行うことができることから、スリップ状態であるか否かの判断の確実性を増すことができ、走行性や燃費が改善される。このような変速機の制御装置により、片輪スピンと両輪スリップをそれぞれ判断し、それぞれの状態に応じた適切な変速制御が可能となる。
このとき、変速機の出力速度に基づいて算出された加速度が、所定値を超えているか否かを判断する第4判断手段を備えて構成すると、この第4判断手段の所定値を予め想定される値に設定することにより、より確実にスリップ状態である否か、すなわち、変速制限を行わせる必要があるか否かを判断できる。したがって、走行状態に応じた変速制御をより確実に行わせることができる。また、左右の従動輪の回転速度を検出する第1および第2従動輪速度検出手段と、左右の従動輪のいずれか一方の回転速度が所定値を超えているか否かを判断する第5判断手段とを備えて構成すると、この第5判断手段により、車両が動いている状態であるか否かを判断できる。これにより、車速があると判断されるときには低摩擦係数の路面を走行中であるとして、走行状態に応じた変速制御をより細かく行わせることができる。
さらに、変速制限手段により駆動源からの出力を減じさせる制御を行わせるように構成すると、駆動輪に伝達される出力が減じられ、過剰な駆動トルクが発生せず、スリップの回避が図られる。また、それぞれプーリ幅可変の駆動側プーリおよび従動側プーリと、両プーリに巻き掛けられるVベルトとから変速機を構成し、変速制限手段により、両プーリに供給される作動油の油圧を両プーリのプーリ幅が狭まるように軸方向推力を作用させる制御を行わせるように構成すると、走行中にスリップ状態からグリップした状態に移行してカウンタ軸に駆動輪側からのトルクが発生しても、この軸方向推力によってVベルトのスリップを受け止めることができ、車両を安定走行させることができる。さらに、係合状態に応じた伝達率で駆動輪側に出力を伝達する発進クラッチを備えて変速機を構成し、変速制限手段により発進クラッチの伝達率を減じさせる制御を行わせるように構成することにより、駆動輪に伝達される出力が減じられ、過剰な駆動トルクが発生せず、スリップの回避が図られる。
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。図1に、本発明に係る変速機の制御装置が設けられた四輪車のパワートレインPTを示している。このパワートレインPTは、エンジンEおよび電気モータMからなるハイブリッド型の駆動源PWと、駆動源PWおよび駆動輪DRWの間に設けられた変速機TMとから構成される。この車両はフロントドライブ型であり、前左輪Waおよび前右輪Wbの二輪が駆動輪DRWとされ、後左輪Wcおよび後右輪Wdの二輪が従動輪DNWとされている。
エンジンEはガソリンを燃料とする4気筒レシプロエンジンであり、シリンダブロック10に形成された4つのシリンダ室11,11,…の内部にピストンが配設されている。エンジンEは、各シリンダ室11に対する吸排気制御を行う吸排気制御装置12と、各シリンダ室11に対する燃料噴射制御および噴射燃料の点火制御を行う燃噴・点火制御装置13とを有している。吸排気制御装置12には、図示しないスロットルバルブが設けられている。このスロットルバルブは電気的に開度θTHを調整可能に構成されている。燃噴・点火制御装置13は、エンジンEが高回転になると燃料噴射量を増加させてシリンダ室11,11,…の冷却アシストを行うように構成されている。電気モータMは、エンジンEの出力軸Es上に配設されており、車載のバッテリにより駆動されてエンジンEの駆動力をアシストし、減速走行時には車輪側からの回転駆動により発電してバッテリの充電を行う。
変速機TMは、入力軸1とカウンタ軸2との間に配設された金属Vベルト機構20と、入力軸1の上に配設された前後進切換機構30と、カウンタ軸2の上に配設された発進クラッチ5と、発進クラッチ5に接続された減速ギヤ列6〜8とを備えて構成される無段変速機である。入力軸1は、カップリング機構CPを介してエンジンEの出力軸Esと連結されている。カウンタ軸2および減速ギヤ列のアイドル軸7は、入力軸1と平行に配設されている。
金属Vベルト機構20は、入力軸1上に配設された駆動側プーリ21と、カウンタ軸2上に配設された従動側プーリ26と、両プーリ21,26間に巻き掛けられた金属Vベルト25とから構成される。駆動側プーリ21は、入力軸1上に固定された固定プーリ半体22と、固定プーリ半体22に対して軸方向に相対移動可能な可動プーリ半体23とを有する。可動プーリ半体23の側方にはシリンダ壁23aにより囲まれて駆動側シリンダ室24が形成されている。駆動側シリンダ室24に供給される作動油の油圧に応じて可動プーリ半体23が軸方向に移動する。従動側プーリ26は、カウンタ軸2に固定された固定プーリ半体27と、固定プーリ半体27に対して軸方向に相対移動可能な可動プーリ半体28とを有する。可動プーリ半体28の側方にはシリンダ壁28aにより囲まれて従動側シリンダ室29が形成されている。従動側シリンダ室29に供給される作動油の油圧に応じて可動プーリ半体28が軸方向に移動する。両シリンダ室24,29に供給される作動油の油圧を制御することにより、両プーリ21,26のプーリ溝幅が変化して金属Vベルト25の巻き掛け半径が変化し、変速比を無段階に変化させることができる。
前後進切換機構30は、遊星歯車機構からなり、入力軸1に結合されたサンギヤ31と、固定プーリ半体22に結合されたリングギヤ32と、後進ブレーキ37により固定保持可能なキャリア33と、サンギヤ31とリングギヤ32とを連結可能な前進クラッチ35とを備える。前進クラッチ35が係合されると全ギヤ31〜33が入力軸1と一体に回転し、エンジンEの駆動により駆動側プーリ21は入力軸1と同方向(前進方向)に回転駆動される。一方、後進ブレーキ37が係合されると、キャリア33が固定保持されるため、リングギヤ32はサンギヤ31と逆の方向に駆動され、エンジンEの駆動により駆動側プーリ21は入力軸1と逆方向(後進方向)に回転駆動される。なお、前進クラッチ35および後進ブレーキ37は作動油が供給されて作動する。前進クラッチ35は、供給される作動油圧に応じて係合状態を変化させ、この係合状態に応じた伝達率で入力軸1の回転を駆動側プーリ21の固定プーリ半体22に伝達する。
発進クラッチ5は、カウンタ軸2と減速ギヤ列6〜8との間の動力伝達を制御する油圧クラッチであり、カウンタ軸2に発生した出力を係合状態に応じた伝達率で減速ギヤ列6〜8に伝達する。発進クラッチ5が係合されると、金属Vベルト機構20により変速されたエンジンEからの出力が減速ギヤ列6〜8に伝達され、減速ギヤ列6〜8により減速されてデフ機構9に伝達される。デフ機構9は、伝達された出力を左右に分割し、左右のアクスルシャフト9a,9bを介して駆動輪DRWに伝達する。
このような変速機TMは、電磁制御弁CVから油路41,42を介して両プーリ21,26のシリンダ室24,29に供給されるプーリ制御油圧Pdr,Pdnにより変速制御が行われ、図示しない油路を介して前進クラッチ35および後進ブレーキ37に供給される前後進制御油圧により前後進切換制御が行われ、油路43を介して供給されるクラッチ制御油圧PCLにより発進クラッチ係合制御が行われる。
また、車両には各種のセンサが配設されている。例えば図1に示すものとして、駆動側プーリ21の近傍に取り付けられて駆動側プーリの回転速度Ndrを検出する駆動側プーリ回転速度センサ51と、従動側プーリ26の近傍に取り付けられて従動側プーリ26の回転速度Ndnを検出する従動側プーリ回転速度センサ52と、減速ギヤ列6〜8を構成するファイナルギヤ8bの近傍に取り付けられ、変速機TMの出力速度VTMを検出する出力速度センサ53とが設けられている。この出力速度センサ53により、デフ機構9により分割される直前の出力速度VTMが検出される。
さらに、前左輪Waの近傍に取り付けられて前左輪Waの回転速度Nwaを検出する第1駆動輪回転速度センサ54と、前右輪Wbの近傍に取り付けられて前右輪Wbの回転速度Nwbを検出する第2駆動輪回転速度センサ55と、後左輪Wcの近傍に取り付けられて後左輪Wcの回転速度Nwcを検出する第1従動輪回転速度センサ56と、後右輪Wdの近傍に取り付けられて後右輪Wdの回転速度Nwdを検出する第2従動輪回転速度センサ57とが設けられている。
車両には、駆動源PWや変速機TMなどを作動制御する制御装置60が設けられている。制御装置60には、各センサ51〜57からの検出信号や、エンジン回転速度Neや吸排気制御装置12に設けられたスロットルバルブの開度θTHなどのエンジン状態を示す信号が入力される。制御装置60は、入力された信号に基づいて車両状態を判断して作動制御信号を出力する。制御装置60は、電動モータMに作動制御信号を出力して電動モータMによる駆動力アシストを行わせるなど、駆動源PWの作動制御を行うように構成されている。また、電磁制御弁CVのソレノイドに作動制御信号を出力して電磁制御弁CVを作動制御することによりプーリ制御油圧Pdr,Pdn、前後進切換制御油圧およびクラッチ制御油圧PCLの設定制御を行って駆動源PWから駆動輪DRWに伝達される出力を調整するなど、変速機TMの作動制御を行うように構成されている。
制御装置60には、タイマー61とメモリ62が備えられている。メモリ62には、エンジン回転速度Neやスロットルバルブの開度θTHなどのエンジン情報、シフトレバーの位置やアクセルペダルの開度などの運転操作情報、前後輪Wa〜Wdの回転速度Nwa〜Nwdなどの車輪情報に応じてプーリ制御油圧Pdr,Pdnやクラッチ制御油圧PCLなどを求めるためのマップが予め記憶されている。また、このようなマップは、車両状態に応じて予め設定された複数の変速モードごとに記憶されている。例えば、通常走行時の変速モードと別に、低摩擦係数の路上走行時の変速モードや、氷上走行時の変速モードなどが設定されており、これらの変速モードごとにプーリ制御油圧Pdr,Pdnやクラッチ制御油圧PCLなどを求めるためのマップが記憶されている。走行状態に応じて適宜マップを選択し、このマップに従ってプーリ制御油圧Pdr,Pdnを設定することで、変速スケジュールの変更が行われる。
このようなマップとして、図5〜図7には、車速とスロットルバルブの開度θTHに応じて目標の駆動側プーリ21の回転速度Ndrを求めるためのマップを例示している。このマップから求められた駆動側プーリ21の回転速度Ndrの値をパラメータとしてプーリ制御油圧Pdr,Pdnが算出されるようになっている。なお、図5は通常走行時に選択されるマップであり、図6は低摩擦係数の路上走行時に選択されるマップであり、図7は氷上走行時に選択されるマップである。
図5,図6において、実線(丸プロット)Aは、スロットルバルブが僅かに開放されているときの線図であり、点線(三角プロット)Bは、スロットルバルブの開度θTHが全開状態のときの線図であり、実線(三角プロット)Cはスロットルバルブの開度θTHが中間状態のときの線図である。両マップは、スロットルバルブの開度θTHが大きくなるにつれてオーバードライブ(OD)側にシフトして同じ車速に対する目標の駆動側プーリ21の回転速度Ndrが小さくなり、スロットルバルブの開度θTHが小さくなるにつれてロー(Low)側にシフトして同じ車速に対する目標の駆動側プーリ21の回転速度Ndrが大きくなるように設定されている。一方、図7に示すように、氷上走行時に選択されるマップは、スロットルバルブの開度θTHに依存せず、車速に応じて目標の駆動側プーリ21の回転速度Ndrが求められるように設定されており、ロー(Low)側にシフトするように設定されている。
次に、制御装置60により行われる処理について説明する。図2に示す処理は、車両の発進時に所定時間(例えば10msec)ごとに繰り返して行われる。
まず、変速機TMの出力速度VTMと前輪Wa,Wbの回転速度Nwa,Nwbとの差の絶対値が、予め設定された所定範囲内(例えば3.5km/h以下)にあるか否かが判断される(ステップS11)。この処理を行うにあたって制御装置60は、第1および第2駆動輪回転速度センサ54,55により検出された前左輪Waおよび前右輪Wbの回転速度Nwa,Nwbに基づいて両回転速度Nwa,Nwbの平均値((Nwa+Nwb)/2)を予め算出する。制御装置60は、この両回転速度Nwa,Nwbの平均値と、出力速度センサ53により検出された出力速度VTMとの差を算出し、その差が所定範囲内にあるか否かを判断する。
ここで、第1および第2駆動輪回転速度センサ54,55が正常に作動しているときには、前左輪Waの回転速度Nwaおよび前右輪Wbの回転速度Nwbはそれぞれ、デフ機構9により分割される直前の変速機TMの出力速度VTMとの差がそれぞれほぼ一致し、所定の数値範囲内に収まる。したがって、両回転速度Nwa,Nwbの平均値と出力速度VTMとの差がこのような所定範囲を逸脱するときは、第1および第2駆動輪回転速度センサ54,55の少なくともいずれか一方が故障して制御装置60に正常な検出信号が入力されていないときなどが例として挙げられる。このため、ステップS1では、適切な数値範囲を予め設定しておくことにより、第1および第2駆動輪回転速度センサ54,55が正常であるか否かを判断できる。なお、本構成例では、出力速度センサ53の故障を検知する検出器が従来と同様に設けられており、この検出器により、本処理を行う前に予め、制御装置60に入力される変速機TMの出力速度VTMが正常な値であることが保証されている。
ステップS11で前輪Wa,Wbの回転速度Nwa,Nwbの平均値と変速機TMの出力速度VTMとの差の絶対値が所定範囲内にあると判断されると、すなわち、前輪Wa,Wbの車輪情報が正常であると判断されると、第1駆動輪回転速度センサ54により検出された前左輪Waの回転速度Nwaと、第2駆動輪回転速度センサ55により検出された前右輪Wbの回転速度Nwbとの差の絶対値が、所定の閾値を超えているか否かが判断される(ステップS12)。この閾値は、変速機TMの出力速度VTMに応じて求められ、メモリ62には出力速度VTMと閾値とを対応させたテーブルが予め記憶されている。また、この閾値は、前輪Wa,Wbにテンパータイヤの装着されているときや前輪Wa,Wbがパンクしているときなどの走行時に起こり得る速度差よりも大きくなるように設定されている一方、この閾値以下の速度差が生じている状態で通常の変速制御で発進してもデフ機構9に焼き付きが起こらないような値よりも小さくなるように設定されている。
ステップS12で速度差が閾値を超えていると判断されると、前左輪Waおよび前後輪Wbの片輪がスピンしている状態にあるとし、通常発進時の変速モードから、片輪がスピンしている状態で発進されるときの変速モードに移行する(ステップS13)。すなわち、駆動側プーリ回転速度Ndrを求めるためのマップとして図5に示すマップに替えて図7に示すマップが選択され、通常走行時の変速スケジュールから氷上走行時の変速スケジュールに変更される。図7に示すマップにおいては、上記のようにスロットルバルブの開度に関わらずロー側にシフトした変速制御(大きい減速比での変速)が行われるようになっている。したがって、スロットルバルブの開度が大きくなっても(アクセルペダルの踏込操作が行われても)、図5に示す通常走行時のマップが選択されているときのように減速比が小さくなることがないため変速機TMの出力速度VTMが過度に上昇することがなく、片輪スピン状態になって左右の速度差が生じる場合であってもその速度差が過度に大きくなることがない。このようにしてデフ機構9の焼き付きの回避が図られている。
ステップS11で速度の差が所定範囲内にないと判断され、すなわち、前輪の車輪情報が正常でないと判断されると、従来と同様の氷上判断処理が行われる(ステップS30)。図3に示すように、この従来の処理では、まず、出力速度センサ53から検出される変速機TMの出力速度VTMから加速度を算出し、算出された加速度が予め設定された所定の閾値を超えているか否かを判断する(ステップS31)。加速度が閾値を超えていると判断されると、タイマー61による計時をリスタートし(ステップS32)、アクセルペダルの開度が所定の開度を超えるか否かを判断する(ステップS33)。
ステップS33で、アクセルペダルの開度が大きい、すなわち、アクセルペダルが踏み込まれていると判断されると、前輪Wa,Wbがスリップしているとして、図7に示す氷上走行時のマップが選択されて変速制御を行うようになっている(ステップS34)。ステップS33でアクセルペダルの開度が小さいと判断されると、図5に示す通常走行時のマップが選択されて変速制御を行うようになっている(ステップS36)。
一方、ステップS31で加速度が閾値以下であると判断されると、タイマー61が作動中であるか否かが判断される(ステップS35)。タイマー61が作動していない場合には、図5に示す通常走行時のマップが選択される(ステップS36)。タイマー61が作動していると判断される場合には、ステップS33に進み、アクセルペダルの開度が大きいか否かの判断が行われる。タイマー61は、演算間隔の数倍に設定された所定時間(例えば500msec)を計時すると自動停止するようになっている。したがって、一度ステップS32の処理が行われると、その後の複数回の演算処理においてタイマー61の計時が継続された状態になり、加速度が閾値以下になってもタイマー61が計時している限りステップS35からステップS33に進むようになっている。これにより、マップの頻繁な切り替えの回避が図られている。なお、ステップS33においては、アクセルペダルの開度に基づく判断に替え、スロットルバルブの開度θTHが所定値を超えるか否かの判断を行わせるように構成してもよい。
このように、本構成例の制御装置60は、駆動輪DRWである前輪Wa,Wbのそれぞれに回転速度Nwa,Nwbを検出するための第1および第2駆動輪回転速度センサ54,55を設けており、両センサ54,55により検出された回転速度Nwa,Nwbの差が所定の閾値を超えているか否かを判断している。この判断により、左右の駆動輪DRWのうち片輪がスピンしているか否かを判断でき、速度差が閾値を超えていると判断されると、駆動側プーリ21の回転速度を求めるマップを変更し、変速機TMの変速スケジュールを変更する制御が行われるように構成されている。これにより、片輪がスピンしているときに最適な変速制御を行うことができ、燃費の改善が図られる。また、閾値の最適設定により、パンク時やテンパータイヤの装着による速度差が生じてもスピンしていると判断されることを排除でき、片輪がスピンしているとの誤判断のない制御装置を構成できる。さらに、このとき選択されるマップの設定により、左右の駆動輪の速度差が過度に大きくなることが防がれ、デフ機構9の焼き付きの回避が図られる。
また、予め、第1および第2駆動輪回転速度センサ54,55から検出される回転速度Nwa,Nwbの平均値と、出力速度センサ53により検出される変速機TMの出力速度VTMとの差が所定範囲内にあるか否かが判断される。この判断により、第1および第2駆動輪回転速度センサ54,55の少なくともいずれかが故障して検出信号が制御装置60に正常に入力されているか否かの判断を行うことができる。本構成例では、この判断処理により駆動輪DRWが正常であるとされたときに、検出される駆動輪DRWの回転速度Nwa,Nwbに基づいて片輪がスピンしている状態であるか否かの判断を行うようになっている。このため、例えば両輪がグリップ状態であるのにも関わらず、片輪がスピンしていると誤判断されることがなく、このような誤判断により生じていたアップシフトの制限などが回避され、燃費や排ガス成分の改善が図られる。また、この判断によりセンサの故障を検知できるため、センサの故障検知装置を専用に設ける必要がなく、コストの低減が図られる。
さらに、車輪情報が正常であると判断されたときであって、駆動輪DRWの速度差が大きくない場合には、左右の駆動輪Wa,Wbがグリップされた状態であると判断し、通常の発進を行わせるように変速機TMの作動制御が行われる。同様に、駆動輪の車輪情報が正常でないと判断された場合であっても、駆動輪回転速度センサ54,55の検出結果を用いずに行う従来の判断処理が行われるようになっており、スリップ状態になったときにはスムーズな発進を行えるようになっている。
次に、図4を参照して制御装置60により行われる処理について説明する。図4に示す処理は、走行時に所定時間(例えば10msec)ごとに繰り返して行われる。
まず、図2のステップS11と同様の判断処理が行われる(ステップS51)。これにより、第1および第2駆動輪回転速度センサ54,55から正常な検出信号が制御装置60に入力されているか否かが判断される。
ステップS51で速度の差が所定範囲内にあると判断されると、第1および第2従動輪回転速度センサ56,57から検出された回転速度Nwc,Nwdが所定の閾値を超えているか否かが判断される(ステップS52)。これにより、車両が走行状態にあるか否かを判断できる。
ステップS52で後輪Wc,Wdのいずれかが閾値を超えていると判断されると、すなわち、車両が走行状態にあると判断されると、この後輪Wc,Wdの回転速度Nwc,Nwdの大きい方の値(max Nwc,Nwd)と、前輪Wa,Wbの回転速度Nwa,Nwbの平均値((Nwa+Nwb)/2)との大小が比較される(ステップS53)。ここで、後輪Wc,Wdは従動輪DNWであるため、後輪Wc,Wdの回転速度Nwc,Nwdを車両の実速として取り扱うことができる。このような後輪Wc,Wdの回転速度Nwc,Nwdに対して前輪Wa,Wbの回転速度Nwa,Nwbが大きいとすれば、車両がスリップして駆動輪DNWが空転しているおそれがある。
ステップS53で前輪Wa,Wbの回転速度Nwa,Nwbの平均値が後輪Wc,Wdの回転速度Nwc,Nwdよりも大きいと判断されると、すなわち、車両がスリップしているおそれがあると判断されると、車両の加速度が所定の閾値を超えているか否かが判断される(ステップS54)。なお、変速機TMの出力速度VTMから加速度(dVTM/dt)が求められる。
ステップS54でこの加速度が閾値を超えていると判断されると、摩擦係数の低い路上を走行中に車両がスリップ状態になったとし、このような路上走行時を想定して設定された変速モードに移行する(ステップS55)。このとき、図5に示す通常走行時のマップに替えて図6に示す低摩擦係数路の路上走行時のマップが選択されて変速制御が行われる。このマップは、車速が所定速度(例えば40km/h)までは、プーリレシオを徐々にアップシフトさせることにより、駆動輪DRWが急激にグリップしないようにしている。また、所定速度以上の車速においては、目標の駆動側プーリ21の回転速度Ndrを一定として車速が急激に上昇してもエンジンEが過回転しないように設定されている。その上で、制御装置60から電磁制御弁CVに作動制御信号が出力され、両プーリ21,26のシリンダ室24,29に供給されるプーリ供給油圧Pdr,Pdnを上昇させるように作動油圧が設定制御される。同様に、電磁制御弁CVに作動制御信号が出力され、発進クラッチ5に供給されるクラッチ係合制御油圧PCLを小さくする制御が行われ、発進クラッチ5の係合力を減じさせる制御が行われる。さらに、吸排気制御装置12のスロットルバルブに作動制御信号が出力され、スロットルバルブの開度θTHを小さくし、エンジンE(駆動源PW)からの出力を減じさせる制御が行われる。このような処理が行われると、一連の処理が終了する。
なお、ステップS53で後輪Wc,Wdの回転速度Nwc,Nwdのいずれかが前輪Wa,Wbの回転速度Nwa,Nwbの平均値を上回ると判断されたとき、および、ステップS54で算出された加速度dVTM/dtが閾値を超えていないと判断されたときにおいては、スリップ状態ではないとして、図5に示す通常走行時のマップが選択されて変速制御が行われ(ステップS65)、一連の処理が終了する。
また、ステップS51で速度の差が所定範囲内にないと判断されたとき、および、ステップS52で後輪Wc,Wdから所定の閾値を超える回転速度Nwc,Nwdが検出されなかったとき、すなわち、第1および第2駆動輪回転駆動センサ54,55が故障しているときや、車両が停止していると判断されるとき、あるいは、第1および第2従動輪回転速度センサ56,57が故障しているおそれのあるときには、従来行われているようなスリップ判断処理が行われる。すなわち、ステップS54と同様に、出力速度センサ54から検出された変速機TMの出力速度VTMに基づいて算出された加速度(dVTM/dt)が、所定の閾値を超えているか否かが判断される(ステップS71)。なお、この閾値についても、メモリ62に予め記憶されるテーブルを用いて、出力速度センサから入力される出力速度VTMに応じて求められる。
ステップS71で加速度が閾値を超えていると判断されると、制御装置60に備えられたタイマー61が始動され(ステップS72)、ステップS54,S55の関係と同様にしてステップS55と同様に図6に示す低摩擦係数の路上走行時のマップが選択されて変速制御が行われ(ステップS75)、タイマー61による計時を継続させたまま一連の処理が終了する。なお、このタイマー61は所定の時間が経過すると自動的に停止されるようになっている。この所定時間は、演算間隔(例えば10msec)の数倍に設定されている。すなわち、ステップS72でタイマー61が一度始動されると、その後繰り返し行われる複数回の処理において、タイマー61による計時が継続して行われることになる。
ステップS71で加速度が閾値を超えていないと判断されたときにおいては、タイマー61が作動中であるか否かが判断される(ステップS81)。タイマー61が停止していると判断されると、ステップS54,S65の関係と同様にして通常走行中であるとし、図5に示す通常走行時のマップが選択されて変速制御が行われ(ステップS85)、一連の処理が終了する。
また、ステップS81でタイマー61が作動しているとすれば、前回以前の処理において、ステップS71の判断処理で加速度が閾値を超えていると判断され、その判断が行われたから長い時間が経過しないうちに今回の処理においてステップS71の判断処理で加速度が閾値以下であると判断されたときである。このようなとき、すなわちステップS81でタイマー61が作動していると判断されると、ステップS75に進み、低摩擦係数の路上走行時を想定して設定された変速モードでの変速制御を継続して行わせ(ステップS75)、一連の処理を終了する。これにより、変速モードの切り替えが頻繁に行われることを回避できる。
このように、本構成例の制御装置60によると、左右の駆動輪Wa,Wbの回転速度Nwa,Nwbをそれぞれ検出する第1および第2駆動輪回転速度センサ54,55と、左右の従動輪Wc,Wdの回転速度Nwc,Nwdを検出する第1および第2従動輪回転速度センサ56,57と、変速機TMの出力速度VTMを検出する出力速度センサ53とが設けられている。そして、ステップS51において、左右の駆動輪Wa,Wbの回転速度Nwa,Nwbの平均値と変速機TMの出力速度VTMとの差が所定範囲内にあるか否かを判断し、ステップS53において前輪Wa,Wbの回転速度Nwa,Nwbの平均値が従動輪DNWの回転速度Nwc,Nwdを超えているか否かを判断している。
このステップS51の判断処理は、図2に示すフローチャートのステップS11と同様にして、駆動輪回転速度センサ54,55からの入力信号が正常であるか否かを判断できる。またステップS53では、車両がスリップ状態であるか否かを判断できる。このように、ステップS51により駆動輪回転速度センサ54,55からの入力情報が正常であると保証された上で、ステップS53により路面が摩擦係数が低くスリップ状態であるか否かの判断を行うことができる。本構成例の制御装置60は、このように確実性が向上した判断結果に基づいて変速制御を行うように構成されていることから、従来のようにモードの切り替えを遅らせる必要がなく、走行性の改善や、燃費や排ガス成分の改善が図られる。
このとき、変速機TMの出力速度VTMに基づいて算出された加速度(dVTM/dt)が所定の閾値を超えているか否かを判断するステップS54により、この閾値が予め想定される値に適切に設定されることでより確実にスリップ状態である否かを判断できる。したがって、走行状態に応じた変速制御をより確実に行わせることができる。また、左右の従動輪Wc,Wdの回転速度Nwc,Nwdを検出する第1および第2従動輪回転速度センサ56,57と、左右の従動輪Wc,Wdの回転速度Nwc,Nwdが所定の閾値を超えているか否かを判断するステップS52により、車両が動いているか否かを判断できる。これにより、車両が走行中であるか否かを判断でき、走行状態に基づいた変速制御をさらに細かく行うことができる。
このようにして確実にスリップ状態であるか否かを判断できるため、従来のように、アップシフトの制限を複数回の処理にわたって行わせるように、スリップ状態であるか否かの判断が不確実であるためにスリップ状態での変速モードを継続させる必要がなくなり、グリップ状態になったときに確実にその状態に見合った変速制御を行わせることができ、走行性が向上する。
また、本構成では、車両が低摩擦係数の路上走行中にスリップ状態になると、電気的に作動制御可能なスロットルバルブの開度θTHを小さくし、駆動源PWからの出力を減じさせる制御が行われる。このため、駆動輪DRWに伝達される駆動トルクが減少し、スピンやスリップの回避が図られ、スムーズな発進を行わせることができ、走行性を向上させることができる。さらに、両プーリ21,24のシリンダ室22,29に供給されるプーリ制御油圧Pdr,Pdnを上昇させ、プーリ幅を狭める方向に両プーリ21,26に軸方向推力を付与させる制御が行われる。これにより、スピンやスリップ状態から通常走行状態に復帰したときに、駆動輪DRWのグリップ力が急激に増加してカウンタ軸2に過剰なトルクが入力されたとしても、両プーリ21,26によりVベルト25のスリップを受け止めることができる。これにより、スリップ状態から通常状態に復帰したときに、駆動源PWから駆動輪DRWへの動力伝達を安定して行わせることができ、走行性を向上させることができる。さらに、発進クラッチ5のトルク容量を減じさせる制御を行うようになっている。これにより、スリップ状態であるときには、過剰な入力トルクを発生させず、スムーズな発進を行わせることができるとともに、通常状態に復帰してグリップ力が増したときであっても、カウンタ軸2へ過剰なトルクが入力されることが防がれ、駆動源PWから駆動輪DRWへの動力伝達を安定して行わせることができる。
なお、このスロットルバルブの開度調整、プーリ制御油圧Pdr,Pdnの設定制御、クラッチ係合制御油圧PCLの設定制御は、図2に示すステップS13の処理で行われる変速制御において行わせるように構成されていてもよい。これにより、図2で行われる処理においても同様に、安定した動力伝達が行われることにより走行性の向上が図られる。
本発明に係る変速機の制御装置は、上記実施形態の構成に限られない。例えば、低摩擦係数の路上走行中における駆動源PWの作動制御として、スロットルバルブの開度θTHを調整する制御を行うように構成されているが、必ずしもこれに限られず、例えば電気モータMに作動制御信号を出力して電気モータMによる駆動力アシスト制御を停止し、電気モータMからの出力を制御するように構成してもよい。さらに、駆動源PWの出力制御、プーリ制御油圧Pdr,Pdnの制御、クラッチ係合制御油圧PCLの制御を全て行うように構成されているが、少なくともいずれか一つが行われる形態としてもよい。さらに、前後進制御油圧を制御し、前進クラッチ35の係合力を減じさせる制御が行われるように構成してもよい。
また、変速機TMとして、金属Vベルト機構20を備えた無段変速機(CVT)を例示したが、例えばギヤ式の自動変速機のように他の形態の変速機であっても同様に適用可能である。なお、フロントドライブ型の車両を例示したが、後輪Wc,Wdを駆動輪DRWとしてもよい。さらに、ガソリンを燃料とするレシプロタイプのエンジンEおよび電気モータMから構成されるハイブリッド型の駆動源PWを例示したが、圧縮天然ガス自動車、燃料電池自動車、電気自動車など、他の形態の駆動源が用いられていても本発明を同様に適用できる。
本発明に係る変速機の制御装置を備えた車両のパワートレインの構成図である。 第1の本発明に係る変速機の制御装置により行われる処理内容を示すフローチャートである。 第1の本発明に係る変速機の制御装置により行われる従来氷上判断の処理内容を示すフローチャートである。 第2の本発明に係る変速機の制御装置により行われる処理内容を示すフローチャートである。 通常走行時において目標の駆動側プーリ回転速度を求めるためのマップである。 低摩擦係数の路上走行時において目標の駆動側プーリ回転速度を求めるためのマップである。 氷上走行時において目標の駆動側プーリ回転速度を求めるためのマップである。
符号の説明
PW 駆動源
TM 変速機
DRW(Wa,Wb) 駆動輪
DNW(Wc,Wd) 従動輪
5 発進クラッチ
20 金属Vベルト機構
30 前後進切換機構
35 前進クラッチ
53 出力速度センサ
54 第1駆動輪回転速度センサ
55 第2駆動輪回転速度センサ
56 第1従動輪回転速度センサ
57 第2従動輪回転速度センサ
60 制御装置
61 タイマー
62 メモリ

Claims (6)

  1. 駆動源からの出力を左右の駆動輪に変速して伝達する変速機を備えた車両に設けられ、走行状態に応じた変速制御を行うように構成された変速機の制御装置において、
    前記変速機が、前記駆動源側に設けられたプーリ幅可変の駆動側プーリと、前記駆動側プーリに対して平行に設けられたプーリ幅可変の従動側プーリと、前記駆動側プーリおよび従動側プーリに巻き掛けられたベルトとを備え、
    左の前記駆動輪の回転速度を検出する第1駆動輪速度検出手段と、
    右の前記駆動輪の回転速度を検出する第2駆動輪速度検出手段と、
    従動輪の回転速度を検出する従動輪速度検出手段と、
    前記変速機の出力速度を検出する出力速度検出手段と、
    前記第1および第2駆動輪速度検出手段により検出された回転速度に基づいて前記左右の駆動輪の速度差を算出する駆動輪速度差算出手段と、
    前記第1および第2駆動輪速度検出手段により検出された回転速度の平均値および前記出力速度検出手段により検出された出力速度の差が所定範囲内にあるか否かを判断する第1判断手段と、
    前記駆動輪速度差算出手段により算出された速度差が所定値を超えているか否かを判断する第2判断手段と、
    前記第1および第2駆動輪速度検出手段により検出された回転速度が、前記従動輪速度検出手段から検出された回転速度より大きいか否かを判断する第3判断手段と、
    前記第1判断手段により前記平均値と前記出力速度との差が所定範囲内にあると判断され且つ前記第2判断手段により算出された速度差が前記所定値を超えていると判断されたときに、前記変速機の変速スケジュールを前記駆動側および従動側プーリ間の変速比をロー側にシフトさせて設定する第1の変速スケジュールに変更する第1変速制御手段と、
    前記第1判断手段により前記平均値と前記出力速度との差が所定範囲内にあると判断され且つ前記第3判断手段により前記第1および第2駆動輪速度検出手段により検出された回転速度が大きいと判断されたときに、前記変速機の変速スケジュールを前記車両の走行速度が所定速度未満の状態においては前記走行速度に応じた前記変速比を設定するとともに、前記走行速度が前記所定速度以上の状態においては前記駆動側プーリの回転速度が一定となるように前記変速比を設定する第2の変速スケジュールに変更する第2変速制御手段とから構成されることを特徴とする変速機の制御装置。
  2. 前記出力速度検出手段により検出された出力速度に基づいて算出された加速度が所定値を超えているか否かを判断する第4判断手段を備えて構成され、
    前記第4判断手段により、加速度が所定値を超えていると判断されたときに、前記第2変速制御手段により前記変速機の変速スケジュールを前記第2の変速スケジュールに変更するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の変速機の制御装置。
  3. 前記従動輪速度検出手段が、左の従動輪の回転速度を検出する第1従動輪速度検出手段と、右の従動輪の回転速度を検出する第2従動輪速度検出手段とから構成され、
    前記第1および第2従動輪速度検出手段により検出された回転速度に基づいて、左右の前記従動輪のいずれか一方の回転速度が所定値を超えているか否かを判断する第5判断手段を備えて構成され、
    前記第5判断手段により回転速度が所定値を超えていると判断されたときに、前記第2変速制御手段により前記変速機の変速スケジュールを前記第2の変速スケジュールに変更するように構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の変速機の制御装置。
  4. 前記第1および第2変速制御手段が、前記駆動源からの出力を減じさせる制御を行うように構成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の変速機の制御装置。
  5. 前記駆動側プーリは、前記駆動源に連結された入力軸に設けられて、供給される作動油の油圧に応じてプーリ幅可変に構成され、
    前記従動側プーリは、前記入力軸に平行に配設されたカウンタ軸に設けられて、供給される作動油の油圧に応じてプーリ幅可変に構成され、
    前記ベルトは、Vベルトであり、
    前記第1および第2変速制御手段が、前記駆動側および前記従動側プーリに供給される作動油の油圧を上昇させ、前記駆動側および前記従動側プーリに対してプーリ幅を狭める方向に軸方向推力を付与させる制御を行うように構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の変速機の制御装置。
  6. 前記変速機が、前記カウンタ軸に設けられて前記カウンタ軸の出力を係合状態に応じた伝達率で前記駆動輪に伝達する発進クラッチを備えて構成され、
    前記第1および第2変速制御手段が、前記伝達率を減じさせる制御を行うように構成されることを特徴とする請求項5に記載の変速機の制御装置。
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