JP2005288929A - インクジェット記録ヘッド - Google Patents
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Abstract
【課題】 インクジェット記録ヘッドのサブタンクに対してインクの供給−消費を繰り返すと、インクの供給量が次第に減少することを抑制する。
【解決手段】 サブタンク2には多孔質吸収部材10が収容されており、サブタンク2には記録ヘッド1へインクを供給するためのインク出口4と、外部のインク容器からインクを供給するためのインク補充口3と、空気吸引口8とを備えており、サブタンク内壁と多孔質吸収部材の間に空気吸引口に連通する間隙13を設ける。
【選択図】 図1
【解決手段】 サブタンク2には多孔質吸収部材10が収容されており、サブタンク2には記録ヘッド1へインクを供給するためのインク出口4と、外部のインク容器からインクを供給するためのインク補充口3と、空気吸引口8とを備えており、サブタンク内壁と多孔質吸収部材の間に空気吸引口に連通する間隙13を設ける。
【選択図】 図1
Description
本発明はインクジェット記録ヘッドに関するものである。
従来のインクジェット記録装置のインク供給方法としては、記録ヘッドの乗せられたキャリッジ上にインクタンクを搭載する形式が一般的である。
インクジェット記録装置を小型化する場合に障害となるのがインクタンクの乗ったキャリッジの大きさである。記録ヘッドそのものは十分小さくできるが、インクタンクが乗ると幅・高さ共に大きくなり、キャリッジを走査する空間容積が大きくなってしまう。
キャリッジには記録ヘッドとサブタンクのみを搭載して、メインタンクからチューブでインク供給する形式もあるが、キャリッジまでチューブを這い回すのは小型の機種では困難である。
そこで、キャリッジには記録ヘッドとサブタンクのみを搭載して、サブタンク内のインクを消費したらメインタンクと接続してインクを供給するいわゆるピットイン方式を用いると記録装置全体の小型化に有効である。
図11に従来のピットイン方式のインクジェット記録ヘッドの例を示す。
ここでは縦方向の断面図を示している。
1は液体を吐出するための吐出ユニット(液体吐出手段)であり、液体を吐出する周知の記録素子が複数配列されている。吐出ユニット1内に形成された共通液路から各記録素子に供給された液体を、各記録素子内に配設された電気熱変換素子を駆動することによって吐出させるものとなっている。すなわち、各記録素子は、通電によって電気熱変換素子にジュール熱を生させ、そのジュール熱によってインクに膜沸騰を発生させて液路内に気泡を発生させ、その気泡の発生エネルギーによってインクを電気熱変換素子から吐出させる吐出方式を採るものとなっている。なお、前記吐出ユニット1から吐出する液体としては、記録媒体上で視認させることを目的として吐出される液体(色材)と、この色材の浸透状態などを調整する目的で吐出される液体(記録性向上液)とがあるが、以下の説明ではこれら液体をインクとも呼ぶ。
2及び6は吐出ユニット1の各記録素子に連通する共通液室へとインクを供給する液体貯蔵容器であり、次のように構成されている。この液体貯蔵容器において、2は中空直方体形状をなすサブタンク2である。
一方、6はサブタンク2の上面に固定された蓋部である。この蓋部6には連絡室7から蓋部6の側面に至る大気連通路8が形成されている。
サブタンク2の機能は、所定量のインクを保持して温度・気圧・姿勢の変化に対してインク漏れを起こさないことと、インクに適度な負圧を発生させることである。小型で簡易な構成で前記機能を実現するためには、一般的なインクジェット記録装置のインクタンクでも用いられるスポンジや繊維などの多孔質吸収部材を使用するのが最適である。
この従来例ではサブタンク2の内部にはポリブロピレン繊維を成型した多孔質吸収部材10が内蔵されている。このサブタンク2の底部には、外部からインクを供給する管状の補充口3がある。
また、前記吐出ユニット1の上面に突設された円筒状の接続部にはフィルター4があり多孔質吸収部材10に圧接されている。
また、前記サブタンク2の上面には開口部5が形成された開口板15があり、開口部5には気液分離膜9が接着または熱溶着で固定されており、気液分離膜9が前記大気連通口5を完全に覆うようになっている。
気液分離膜9は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製の多孔質膜でありその平均開孔径は0.4μmである。
インクを供給する手順としては、まずキャリッジが所定のインク供給位置へ来た際に補充口3は外部のインクタンクに接続され、同時に大気連通路8は吸引ポンプに接続される。大気連通路8から空気が吸引されると気液分離膜9を通してサブタンク2内の空気が吸引されて内部は負圧となるので、補充口3からインクが流入する。インクは多孔質吸収部材10を満たしながら上昇し、気液分離膜に達する。インクは気液分離膜を通過できないため、この時点でインクの供給は終了する。
印刷を行ってサブタンク内のインクが減少したならば、上記の手順で再び外部のインクタンクからインクを供給する。
特開2003−200594
特開2003−200586
特開2003−246077
一般的なインクジェット記録装置のインクタンクは製造時に一度インクを注入するのみであるが、ピットイン方式では繰り返しインクを供給し消費する点が異なっている。
従来例のインクジェット記録ヘッドのサブタンクに対してインクの供給−消費を繰り返すと、インクの供給量が次第に減少する問題がある。
その原因は以下の通りである。
サブタンク内の多孔質吸収部材を構成する繊維等の密度は場所によって偏っている。密度の高い部分は毛管力が大きいためより先にインクが染み込みやすく、密度の高い部分を通ったインクが図12のように気液分離膜の下面を満たしてしまうとインクの流入は停止するため、サブタンク内に気泡11が残っていたとしても気泡は外部に出ることはできない。
繰り返しインクを供給するうちにインクが先に染み込みやすい部分はインクになじんでより濡れやすくなり、サブタンク内の気泡が多く残っていてもインクが先に気液分離膜を塞いでしまう。すなわち供給できるインクの量が次第に少なくなってしまう。
原理的には、多孔質吸収部材の中の空隙部が全て連通しており端から順番にインクが満たされるならば気泡が取り残されることは無い。しかし前述のように多孔質吸収部材の内部には毛管力の高い場所・インクに濡れやすい場所が偏在するため、周りが全てインクに囲まれた独立気泡の状態になってしまうとインクは気泡の周りを流れるだけで気泡は移動することができない。
これを解決するためには、多孔質吸収部材の中の空孔が常に大気に連通しやすく、かつ気液分離膜がインクで塞がれにくい構成とすればよい。
すなわち、請求項1に示すように多孔質吸収部材の外周部にサブタンク内壁との間隙を設けて、その空隙が空気吸引口に連通する構成とする。
また請求項2に示すように、気液分離膜の設けられた空気吸引口の少なくとも一部はインク容器の最小幅と同等以上の開口幅を有しており、気液分離膜はインク容器内部の多孔質吸収部材と密着しないようにする。
また請求項3に示すように、多孔質吸収部材を偏平な形状として最大面積面とインク容器内壁との間に間隙を設けて、間隙が空気吸引口に連通するようにする。
また請求項4に示すように、多孔質吸収部材を複数に分割して偏平な形状としてその周囲を間隙として、間隙が空気吸引口に連通するようにする。
請求項1の構成にすることによって、従来は多孔質吸収部材の空気吸引口側端面からのみ空気が抜けていく構成だったのに対して、多孔質吸収部材の外周部からも空気が抜ける構成となり気泡の周囲がインクで満たされて独立気泡となって取り残される可能性が低くなり、インク供給量を一定に保つことができる。
また請求項2の構成にすることによって、吸収部材と気液分離膜は密着しておらず空気吸引口のサイズが大きいので、インクのメニスカスが張りにくくなる。そのため多孔質吸収部材の中にまだ周囲の間隙部と連通する気泡が残っているうちにインクが空気吸引口近傍に来たとしても、空気吸引口の気液分離膜面を完全に覆うことがないので独立気泡になっていない気泡は全て吸引することができる。
また請求項3の構成にすることによって、吸収部材内部の空孔が外部に連通しやすく、吸収部材中心部分に独立気泡が残りにくくなるのでインク供給量を一定に保つことができる。
また、請求項4の構成にすることによって大容量のサブタンクであってもインク供給量を一定に保つことができる。
(実施例1)
図1から図4に本発明の実施例を示す。
図1から図4に本発明の実施例を示す。
図1は本発明におけるインクジェット記録ヘッドの縦方向断面図を示している。図2は図1のA−A断面を示し、図3はB−B断面を示している。
サブタンク2の内壁には柱状のリブ12があり、サブタンク2の内部には多孔質吸収部材10が挿入されている。多孔質吸収部材10ははリブ12によって支えられるのでサブタンク内壁との間には間隙13が出来る。
図4は図3から気液分離膜9を除去した状態を表している。間隙13は気液分離膜へ9へ連通していることが分かる。
図5は図1におけるC−C断面であり、本発明の構成でサブタンク2にインクを補充する際のインク・気泡の挙動を表している。
まずキャリッジが所定のインク供給位置へ来た際に補充口3は外部のインクタンクに接続され、同時に大気連通路8は吸引ポンプに接続される(図5(a))。大気連通路8から空気が吸引されると気液分離膜9を通してサブタンク2内の空気が吸引されて内部は負圧となるので、補充口3からインクが流入する(図5(b))。間隙13よりも多孔質吸収部材10の方が毛管力が強いため、インクはまず多孔質吸収部材10を満たしながら流入していく。前述のように吸収部材の中での密度ばらつきや濡れ性のばらつきがあるため、図5(c)で示すようにまだ吸収部材の中に空気が残っていてもインクの液面は上昇し気液分離膜9に達する。
従来はこの状態でインクが気液分離膜を塞いで空気を残したままインクの供給が終了していたが、本構成では吸収部材中の空気は間隙13を通して外部に連通している。従って図5(d)のように吸収部材の中でインクに囲まれて独立気泡になっている空気以外は間隙を通して排出され、その空間はインクで満たされる。
外部に連通する空気がなくなったならば図5(e)のように間隙部分にインクが入り始める。そして図5(f)のようにインクが気液分離膜を塞いだ状態になるとインクの供給は終了する。
多孔質吸収部材10の厚さWは図5(d)で表す気泡残りに大きく影響する。なぜならば前述のように吸収部材中に独立気泡を作らないことが必要なので、多孔質吸収部材が厚いと中心部分の空隙部分はその周囲にインクが回ると独立気泡になりやすいからである。
そこでサブタンクの内容積は変えずに多孔質吸収部材の縦横比を変更してインク供給量の変化を検討した結果を図6に示す。
図7には検討に用いた多孔質吸収部材の寸法・容積と、インクの供給・消費を1000回繰り返した後の初期に対するインク供給量を示す。
サブタンク2の内壁と多孔質吸収部材10との間隙寸法dはリブ11の厚みで決まり、いずれも0.4mmとした。リブ11は幅1mmでこれが2mmの間隔で適宜配置されている。
なお、間隙寸法dはサブタンク2との間に空気抜けとしての空間が確保できる寸法以上であれば良いが、上限は吸収部材高さH以上の水頭相当の毛管力を発生できる寸法にするのが好ましい。dが広すぎると間隙部分のインクの水頭が吐出ユニット1にかかり加圧状態になるので印字性能に影響を及ぼす可能性がある。
インクを供給した直後のヘッド重量から、インクを消費し終えた後の重量を引いて供給インク量を測定した。図6の横軸は繰り返し回数を表し縦軸は供給インク量を表す。図6及び図7を見ると、多孔質吸収部材10の厚さが薄いほど繰り返しインクを供給した後の供給量の低下が小さいことが分かる。厚さが6mmを超えると1000回繰り返しインク供給をした後は初期の64%程度の供給量まで低下した。
この結果を踏まえて本実施例では吸収部材の厚さWは3mmに設定した。図6から分かるようにインク供給を1000回繰り返した後にもほとんど初期と変わらないインク供給量を確保している。実用的にはW=5mm程度までは使用可能である。
(実施例2)
図8から図10に第二の実施例を示す。実施例1では吸収部材サイズの制限からサブタンク2の容積を大きく取ることができなかったが、本実施例ではサブタンクの容積を大きくできる構成の例である。
図8から図10に第二の実施例を示す。実施例1では吸収部材サイズの制限からサブタンク2の容積を大きく取ることができなかったが、本実施例ではサブタンクの容積を大きくできる構成の例である。
本実施例では多孔質吸収部材のサイズが大きいが、吐出ユニット1のフィルター4が圧接されている多孔質吸収部材10−1は一体で、気液分離膜9側は厚さが5mm以下になるように多孔質吸収部材10−2は二つに分かれている。
サブタンク2の内壁には実施例1と同様にリブ12が立っている。また、サブタンク2の中央部分には二つの吸収部材を支える柱14が立っている。
組立時には、まず多孔質吸収部材10−1を挿入し、吐出ユニット1のフィルター4に圧接する。多孔質吸収部材10−1には柱12を避ける穴が開いている。次に多孔質吸収部材10−2を挿入して、気液分離膜9を溶着した開口板15を固定し、その上に蓋部6を固定する。
多孔質吸収部材10−2は吸収部材同士もサブタンク2の内壁とも離れているので、実施例1と同様に吸収部材の中に気泡が残ることなく、繰り返しのインク供給後も供給量を一定に保つことができる。
1 吐出ユニット
2 サブタンク
3 インク補充口
4 フィルター
5 開口部
6 蓋部
7 連絡室
8 大気連通路
9 気液分離膜
10 多孔質吸収部材
11 気泡
12 リブ
13 間隙
14 柱
15 開口板
2 サブタンク
3 インク補充口
4 フィルター
5 開口部
6 蓋部
7 連絡室
8 大気連通路
9 気液分離膜
10 多孔質吸収部材
11 気泡
12 リブ
13 間隙
14 柱
15 開口板
Claims (5)
- 記録ヘッドと共にキャリッジに搭載されるインク容器内の空気を吸引することによって、外部のインク容器からキャリッジ上のインク容器に繰り返しインクを供給し使用するインクジェット記録ヘッドにおいて、インク容器内には多孔質吸収部材が収容されており、インク容器には記録ヘッドへインクを供給するためのインク出口と、外部のインク容器からインクを供給するためのインク補充口と、空気吸引口とを備えており、インク容器内壁と多孔質吸収部材の間に空気吸引口に連通する間隙があることを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
- 空気吸引口の少なくとも一部はインク容器の最小幅と同等以上の開口幅を有しており、空気吸引口は気液分離膜を介して外部と連通しており、気液分離膜はインク容器内部の多孔質吸収部材と密着しないことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録ヘッド。
- 多孔質吸収部材が偏平直方体形状で最短辺の寸法は5mm以下であり、多孔質吸収部材の最大面積面と、対向するインク容器内壁の一部もしくは全部との間に空気吸引口に連通する間隙があることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録ヘッド。
- 多孔質吸収部材の一部が複数に分割されており、分割された部分の厚さは5mm以下であり分割された部分の周囲は空気吸引口に連通する間隙となっていることを特徴とする請求項1または2または3に記載のインクジェット記録ヘッド。
- インク容器内壁に柱状のリブがあり、多孔質吸収部材はリブのない部分はインク容器内壁から離れて空気吸引口に連通する間隙となっていることを特徴とする請求項1または2または3または4に記載のインクジェット記録ヘッド。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004108681A JP2005288929A (ja) | 2004-04-01 | 2004-04-01 | インクジェット記録ヘッド |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2005288929A true JP2005288929A (ja) | 2005-10-20 |
Family
ID=35322416
Family Applications (1)
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JP2004108681A Withdrawn JP2005288929A (ja) | 2004-04-01 | 2004-04-01 | インクジェット記録ヘッド |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005288929A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008030433A (ja) * | 2006-07-05 | 2008-02-14 | Brother Ind Ltd | インクジェット式記録装置及びそれのエア除去方法 |
US8020981B2 (en) | 2006-07-05 | 2011-09-20 | Brother Kogyo Kabushiki Kaisha | Inkjet recording apparatus and air removal method therefor |
JP2016002721A (ja) * | 2014-06-18 | 2016-01-12 | 株式会社リコー | 画像形成装置及び液体吐出ヘッド用キャップ |
JP2017081083A (ja) * | 2015-10-30 | 2017-05-18 | キヤノン株式会社 | 液体吐出装置、ヘッド及び液体充填方法 |
-
2004
- 2004-04-01 JP JP2004108681A patent/JP2005288929A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20070605 |