JP2005288843A - 平版印刷版の処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、平版印刷版の耐刷性が良好で、インキ着肉性の良好な製版処理方法を提供することにある。
【解決手段】アルミニウム支持体上に感光層を設けた平版印刷版の処理方法に於いて、現像処理後に2価以上の無機カチオンを0.5%以上含有する水溶液で版面を処理することを特徴とする平版印刷版の処理方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、平版印刷版の処理方法に関する。
従来より広く用いられている平版印刷版は、支持体としてアルミニウムを用い、その上に感光層を設けたものである。平版印刷版は、ポジ板の場合、光の照射により感光層をアルカリ可溶性にしてアルカリ現像液でこれを除去する。又、ネガ板の場合は光の照射により感光層を硬化させ、現像処理によって、未硬化の部分を溶出する。ネガ版、ポジ版のどちらにおいても非画像部は支持体のアルミニウム表面となり、画像部は樹脂層となる。
従って、印刷版としての性能は、非画像部のアルミ表面の親水性、及び画像部の親油性によって決まる。しかしながら、アルミニウム表面は、空気中に長時間曝していると、元々の親水性が徐々に損なわれ、そのために、印刷物上で汚れとして現れる。あるいは印刷版の版面上を手などで触れると、皮脂が付着し、これが時間の経過と共に取れなくなり、印刷物上での汚れとして現れる。そこで、現像処理後、印刷版表面を保護する必要があり、通常、現像後に版面を水洗した後版面保護液(フィニッシング液)を塗布する。
従来、フィニッシング液において、版面保護成分として知られているのは、デキストリンやアラビアガム、或いはセルロース類、ポリビニルアルコールなど、水溶性高分子化合物である(特許文献1)。これらの化合物は現像処理後塗布され、乾燥することで、印刷版表面に皮膜をつくり、アルミニウム表面が空気に直接接触するのを防ぎ、更に皮脂等の付着を防ぐ。
しかしながら、これらの版面保護成分は、画像部である樹脂層に付着し乾燥すると、版面保護成分が剥がれるまでインキが着肉しなくなり、インキ着肉不良の原因となる。又、版面保護成分は親水性ポリマーであるため、画像部が水を含んで膨潤した状態のままになり、その結果、画像強度が悪化し、その結果、耐刷枚数が減少するという問題があった。
特開2001−75268号公報(第2頁〜第4頁)
従って、本発明の目的は、平版印刷版の版面保護成分が塗布されても耐刷性やインキ着肉性等、印刷性能に悪影響を与えない処理方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、アルミニウム支持体上に感光層を設けた平版印刷版の処理方法に於いて、現像処理後に2価以上の無機カチオンを0.5%以上含有する水溶液で版面を処理することを特徴とする平版印刷版の処理方法によって達成された。
本発明によれば、無機の2価以上のカチオンを添加した水溶液を現像後、フィニッシャー処理前に処理する事により、耐刷性が良く、しかもインキ着肉性の良好な印刷版を得ることができる。
以下に本発明の処理方法を詳細に説明する。本発明に用いられる2価のカチオンとは、水溶液中で2価の正電荷を有するイオンであり、Be、Mg、Ca、等のアルカリ土類金属イオン、Fe、Co、Ni等の遷移金属イオン等が挙げられる。3価のイオンとしては、Al、Fe等が挙げられる。通常、これらのイオンは、硫酸、硝酸、燐酸等の酸と塩を形成し、これを水に溶解させることにより、イオン溶液を形成する。この添加量としては、イオン単独の濃度に換算して、0.5%以上であれば、効果があり、好ましくは1〜5%である。0.5%より少ない場合、これらのイオンの添加効果が見られない。又、5%より多く添加した場合、耐刷力の改善効果は見られるものの、イオン自体が不安定となり、沈殿が生じやすくなるために好ましくはない。この処理に用いる水溶液のpHは、3〜7が好ましく、より好ましくは3〜5である。
この処理に用いる水溶液のpHを好ましい状態にするために、pH緩衝剤を添加する事が出来る。この目的に用いるpH緩衝剤としては、酸解離定数(pKa)が3〜5である弱酸を用いる事が好ましく、酢酸、プロピオン酸、クエン酸等のカルボン酸基を持つ酸や、リン酸などが好ましく用いられる。通常、これらのpH緩衝剤は、添加量としては、0.5〜5%で用いる事が好ましく、より好ましくは1〜3%である。
更に、イオンが不溶性の塩として沈殿を起こさない様にするために、キレート剤を添加する事が出来る。キレート剤としては、エチレンジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミン5酢酸などのアミノカルボン酸及びそのアルカリ金属塩系キレート剤や、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸のような有機ホスホン酸及びそのアルカリ金属塩などが挙げられる。その添加量は、0.01〜0.5%が好ましく、更に好ましくは0.05〜0.1%である。
本発明の処理方法は、現像処理後で、版面保護液(フィニッシャー)を版面に塗布する工程の前に実施する事が有効である。通常の平版印刷版の製版処理に置いては、現像−水洗−版面保護液の塗布(フィニッシャー処理)−乾燥の工程を経るが、水洗工程に用いる水洗水に添加してもよく、あるいは水洗後に版面保護液を塗布する工程の前に該工程を行っても良い。
本発明の処理に用いる版面保護液は、版面保護成分として例えばアラビアガム、デキストリン、変性澱粉、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース類、及びその変性体、プルラン、ポリビニルアルコール及びその誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド及びその共重合体、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル/無水マレイン酸共重合体。スチレン/無水マレイン酸共重合体、大豆多糖類等が挙げられる。これらの水溶性高分子化合物の添加量は、低分子ゼラチンの分子量および、添加量にもよるが、1リットルあたり0〜150g/Lが良く、好ましくは10〜100g/L、特に好ましくは30〜60g/Lである。
又、版面保護剤には、各種消泡剤を含有することができる。代表的なものとしてシリコン系消泡剤、乳化タイプ消泡剤等があり、これらを0.001〜0.1g/L添加することで十分な消泡効果を得ることができる。
更に、版面保護剤にポリアルキレングリコールアルキルエーテルを添加することにより、インキ着肉性が更に向上する。該化合物のポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールが好ましく、また、エチレンオキシ基とプロピレンノキシ基がランダムもしくはブロックに重合したものであってもよい。該化合物におけるアルキレンオキシ基は2〜20程度が好ましい。該化合物のアルキル基としては、炭素数6〜30の長鎖のアルキル基が好ましく、また、の長鎖アルキル基に、スルホン酸基、水酸基、カルボン酸基等が結合していてもよい。該化合物として特に好ましいものは、ポリエチレングリコール−モノ−アルキルエーテル、あるいはポリプロピレングリコール−モノ−アルキルエーテルである。
該化合物として、例えば、ジエチレングリコール−モノ−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコール−モノ−ラウリルエーテル、トリエチレングリコール−モノ−オレイルエーテル、ジプロピレングリコール−モノ−ラウリルエーテル、ジプロピレングリコール−モノ−オレイルエーテル等が挙げられる。これらの添加量は、0.1〜10g/Lが良く、1〜10g/Lが好ましい。
版面保護剤のpHに特に制限は無いが、弱酸性から酸性領域で使用することが好ましい。通常2.5〜6が好ましいが、pHをこの領域に調整するために無機酸、有機酸と、それらの塩のいずれか、もしくはこれらの組み合わせを用いることができる。これらの酸としては、例えば硝酸、硫酸、燐酸、メタ燐酸といった鉱酸、クエン酸、酢酸、蓚酸、マロン酸、p−トルエンスルホン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、レブリン酸、フィチン酸、有機ホスホン酸といった有機酸などが挙げられる。無機塩としては、第一燐酸ナトリウム、第一燐酸カリウム、第一燐酸アンモニウム、第二燐酸アンモニウム、第二燐酸ナトリウム、ヘキサメタ燐酸ナトリウム、トリポリ燐酸ナトリウム等が挙げられるこれらの酸やその塩は1種類もしくは2種類以上を組み合わせて使用して良い。これらの化合物の添加量は0.01〜35g/Lが良く、1〜20g/Lが好ましい。
版面保護剤には、防腐剤を添加することができる。防腐剤としては、フェノール又はその誘導体、ホルマリン、イミダゾール誘導体、デヒドロ酢酸ナトリウム、4−イソチアゾリン−3−オン誘導体、ベンゾイソチアゾリン−3−オン、ベンゾトリアゾール誘導体、アミングアニジン誘導体、四級アンモニウム塩類、ピリジン、キノリン、グアニジン等の誘導体、ダイアジン、トリアゾール誘導体、オキサゾール、オキサジン誘導体、ニトロブロモアルコール系の2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3ジオール、1,1−ジブロモ−1−ニトロ−2−エタノール、1,1−ジブロモ−2−ニトロ−2−プロパノール等が好ましく用いられる。添加量は、0.01〜10g/Lが良く、0.05〜5g/Lが好ましい。種々のカビ、細菌等に応じて、二種類以上組み合わせても良い。
上記防腐剤を効果的に作用させ、また、水道水から持ち込まれるカルシウム等のイオンの影響を封鎖するために、キレート化合物を添加することが好ましい。例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、ニトリロトリ酢酸、のようなアミノポリカルボン酸及びそのカリウム塩、ナトリウム塩や、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸のような有機ホスホン酸及びそのアルカリ金属塩が挙げられる。これらの添加量は、0.01〜10g/Lが良く、0.1〜1g/Lが好ましい。
更に、必要に応じて湿潤剤を添加しても良い。湿潤剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、へキシレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパンなどが用いられる。これらの湿潤剤は単独で用いても良いが、二種以上併用しても良い。これらの添加量は、0.1〜50g/Lが良く、1〜30g/Lが好ましい。
本発明の処理を行う平版印刷版は、支持体上に少なくとも光重合性ポリマーを含む感光性組成物から成る光重合性層が塗布されたもので、光の照射によって重合組成物が架橋、重合反応を起こし、未反応部分を除去することで、重合部分をインキ受容性部分とする平版印刷版でも良く、或いは光の照射部分がアルカリ可溶性となり、現像処理によってアルカリ可溶性部分を除去するタイプの印刷板であっても良い。例えば特開昭52−151024号、特公平2−51372号、特開昭50−15603号、特公平3−34051号、特開平10−90881号、特開平5−2265号、特公昭61−9621号、特開平8−320551号、特開2001−290271号に記載される様な平版印刷版などが挙げられる。
照射する光の波長は、感光層に依存するが、300nmの紫外線から1050nmの赤外線まで、感光層の感光領域に応じて使用することができる。
アルカリ性現像液としては、本発明に係わる重合体或いはバインダー樹脂を溶解する液で有れば特に制限は無いが、好ましくは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、メタ珪酸ナトリウム、メタ珪酸カリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアンモニウムハイドロキサイド等のようなアルカリ性化合物を溶解した水性現像液が良好に未露光部を選択的に溶解し、下方の支持体表面を露出出来るため極めて好ましい。さらには、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ベンジルアルコール等の各種アルコール類をアルカリ性現像液中に添加することも好ましく行われる。
本発明の処理方法においては、露光後通常自動現像機で処理を行う。自動現像機は、一般に現像部と後処理部とからなり、印刷版を搬送する装置と、各処理液槽及びスプレー槽から成り、露光済みの印刷版を水平に搬送しながら、ポンプで組み上げた各処理液をスプレーノズルから吹き付けて現像及び後処理するものである。又、最近は現像液が満たされた現像槽中に液中ガイドロールなどによって印刷版を浸漬搬送させて現像処理する方法が開発されており、この様な現像方法も本発明に好適に適用できる。この様な自動現像液においては、現像処理量や稼働時間等に応じて補充液を補充しながら処理することが出来る。
以下実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、効果はもとより本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
特開2001−290271号公報の実施例8の感光材料87を作成した。
上記感光材料をサーマル用プレートセッター(PT−R4000(大日本スクリーン製造(株)製))で露光した後、プロセッサPD−912−M(大日本スクリーン製造(株)製)で現像、水洗、ガム液塗布を行った。現像液は、下記組成のものを用いた。
<現像液>
KOH 20g
珪酸カリウム 20g
ペレックスNBL 60g
水で 1L
版面保護剤については下記組成のものを作成した。
<ガム液>
リン酸1アンモニウム 5g
デキストリン 50g
デヒドロ酢酸Na 0.5g
EDTA2Na 1g
水で 1L
上記処理液をそれぞれ現像槽、フィニッシャー槽に入れ、水洗槽には水道水を入れて現像処理を行った。これを比較例とする。次に水洗槽に、表1で示されている化合物を添加して溶解し、同様の処理を行った。これを本発明1〜6とする。
Figure 2005288843
このようにして得られた印刷版の耐刷試験を行った。印刷機ハイデルベルグKORD(Heidelberg社製オフセット印刷機の商標)、インキ(大日本インキ化学工業(株)製のニューチャンピオン墨H)及び市販のPS版用給湿液(アストロマークIII 日研化学(株)製)を用いて20万枚まで印刷を行い、耐刷力を評価した。耐刷力は画像部のインキ乗りの不良、或いは線飛びが生じるときのいずれかにより印刷が不可能になったときの印刷枚数で評価した。その結果を表2に示す。
インキ着肉試験については、次の様に実施した。経験的に得られた比較的インキ着肉性の悪い印刷条件、即ち、印刷機小森スプリント26(小森コーポレーション社製オフセット印刷機の商標)、インキ(大日本インキ化学工業(株)製のニューチャンピオン墨H)及び市販のPS版用給湿液を用いて印刷を行い、印刷開始時のインキ着肉性を評価した。インキ着肉性は印刷開始後、画像の濃度の変化の起きなくなる迄の枚数で評価した。その結果を表2に示す。
Figure 2005288843
表2からわかるように、比較例の処理は、耐刷力が10万枚程度であるのに対して本発明の処理においては、15万枚以上の耐刷力を得る事ができた。又、インキ着肉枚数についても比較例が50枚に対して、本発明の処理方法においては20枚以下となった。

Claims (1)

  1. アルミニウム支持体上に感光層を設けた平版印刷版の処理方法に於いて、現像処理後に2価以上の無機カチオンを0.5%以上含有する水溶液で版面を処理することを特徴とする平版印刷版の処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011189718A (ja) * 2010-03-17 2011-09-29 Mitsubishi Paper Mills Ltd 感熱型平版印刷版の印刷方法

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